JP2005207861A - パワー半導体素子の試験装置およびこれを用いた試験方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パワー半導体素子の表面に形成された電極パッドに複数のプローブ針を垂直に接触させた状態で、該複数のプローブ針に高周波・微小振幅であって前記プローブ針と直交する方向の振動を与える。
【選択図】図1
Description
半導体チップの電極パッドにはプローブ針を介してテスターより様々な試験条件の電流・電圧が印加され、その測定値によって半導体チップの特性が測定・評価される。上記の試験は、半導体チップをウェハーの状態のままステージに載置して行っても良い。
ところで、パワー半導体素子は高電圧を印加して大電流を流す電極(主電極)を備えている。そのため、パワー半導体素子の試験では、実使用時を模して前記主電極に高電圧・大電流を印加して測定・評価が行われる。半導体チップとしてパワー半導体素子の試験を行う際には、前記主電極のパッドと接触するプローブ針も高電圧大電流に耐え得るように設計され、パワー半導体チップの主電極パッドに複数本のプローブ針を並列に接触させている。
複数のプローブ針3をプローブ針アッシー4に固定する際、パワー半導体素子に接触する側(以下、接触端という)の高さは揃えられ、他端はテスター(図示せず)に接続されている。
なお、図5においては、複数のプローブ針のうち#1〜#5の符号を付した5本のみを記載しているが、図6に示す試験対象によって必要な本数(紙面横方向の本数並びに奥行き方向の列数)が配置される。
図6は試験対象となるパワー半導体チップの一例を示す図である。図6はIGBT(Insulated Gate bipolar Transistor)を示すものであり、ゲート電極パッド1gとエミッタ電極パッド1eが表面に露出している。ソース電極はチップ裏面に形成されている。表面に露出しているエミッタ電極パッド1eは3つの領域に区分されていて、チップ内部で接続されている。エミッタ電極パッド12上に点線10で示した個所は、試験時にプローブ針3が接触する個所であって、1つの電極パッドに対して複数のプローブ針3が並列に接触されている。1つの電極パッドに対して接触させるプローブ針3の本数は、そのパワー半導体チップの定格やチップサイズに応じて適宜設定されている。
このような、垂直式測定装置に対して、微細なピッチで電極パッドを備えるLSIのようなチップの試験には、導電性と弾性を備えたアームの先端を電極パッドに接触させるカンチレバー式プローブ針を用いている。以下において、このような測定装置をカンチレバー式試験装置という。
なお、カンチレバー式プローブ針の可動範囲が狭いこと、並びに押圧力が小さいことから、より確実に酸化皮膜を除去するために、プローブ針あるいはプローバステージに超音波印加を行う方法が知られている(特許文献1)。
図8は垂直式試験装置における、プローブ針の接触抵抗の分布を示した図であって、図5におけるプローブ針3(#1〜#5)の接触抵抗値の分布を示している。平均接触抵抗値は121mΩ、分布幅は40〜290mΩであり、最も大きいものと小さい下の間には250mΩもの差が生じている。
このことは、LSIなどの微小な電圧信号を取り扱うカンチレバー式試験装置であれば、大きな問題とならない。
このため、プローブ針と電極パッドとの接触部におけるの発熱量は、約61Wとなり、5msの通電時間で接触部の温度が77℃上昇する。パワー半導体チップを高温雰囲気(150℃)で特性評価する高温試験では、プローブ針番号#2温度は、227℃となる。
仮に5本のプローブ針の接触抵抗値が平均値である121mΩとしても、20A/本の電流値に対して、発熱量は49Wとなり、5msの通電時間で、接触部の温度は62℃上昇する。高温試験では全てのプローブ針温度が212℃となる。
図10は、パワー半導体チップの電極パッドに同一荷重を印加してプローブ針を接触させて試験をしたときのプローブ針接触部部分(図7)の断面を模式的に示す図であり、同図(a)は電流が集中せずアルミニウムの溶融を伴わない場合を示し、同図(b)は電流が集中したことによって電極パッドのアルミニウムが溶融した場合を示す。
図10(a)において、プローブ針の接触によって電極パッド表面の変形(プローブ痕)の深さは1μm程度であるが、溶融を伴う図10(b)ではプローブ痕の深さは4μmに達している。上述のように高温試験の条件下では、常温よりもさらに大きなプローブ痕となる。
絶縁層の破壊に到らないまでも、電極パッドが大きく変形していると、当該電極パッドにワイヤーボンディングを施した場合、ワイヤーボンディング領域直下に未接合部を残し、当該パワー半導体チップを組み込んだ半導体装置の信頼性に大きな影響を与えてしまう。
また、プローブ針の先端には電極パッドの溶融物などが付着し、プローブ針自身が短寿命になってしまう。
また、特許文献1には、電極パッドに複数のプローブ針を並列に接触させること、プローブ針間の接触抵抗のばらつきを低減することについては何ら記載されていない。
この発明は、前記のような従来の垂直式試験装置における課題に鑑みてなされたものであり、電極パッドに対して並列接続関係にあるプローブ針の接触抵抗の値並びにばらつきを抑制することを課題とすものである。
なお、図1においても、複数のプローブ針のうち#1〜#5の符号を付した5本のみを記載しているが、試験対象に応じて必要な本数(紙面横方向の本数並びに奥行き方向の列数)が配置される。
図1において、6は超音波発生装置であり、61は超音波発生装置にて発生した超音波振動を伝達する超音波振動子である。図1ではステージ2上にパワー半導体チップを搭載しているが、パワー半導体チップに切断する前のウェハー状態のままステージに搭載しても良い。以下において、特記しない限りいずれにも適用可能である。
プローブ針アッシー4は、樹脂や金属などの固体材料にプローブ針と同数の孔を設け、それぞれの孔にプローブ針3の円筒スリーブ32をかしめて製作する。
図2に示すように、プローブ芯31と円筒スリーブ32との間にプローブ芯31の摺動を容易なものとするための空間があり、超音波振動子61を円筒スリーブ32に固定したのでは、上記の空間にて超音波振動が吸収され、プローブ芯31の接触端まで超音波振動が伝達しないため、超音波振動子61をプローブ芯31にかしめて固定している。
このとき、各プローブ芯31の先端位置にばらつきが大きいと、パワー半導体チップの電極パッドに接触した時のプローブ針負荷荷重に分布が生じてしまい、表面酸化膜の破壊状態に差が生じてしまう。このため、プローブ芯31を超音波振動子61にかしめる際には、各プローブ針先高さを揃えるのが望ましい。厳密には、プローブ針先高さの差をゼロにするのは難しいが、プローブ針先の高さの差を荷重換算で5g以下となるように揃えて超音波振動子61でかしめる。この高さの差はプローブ針の先端形状、プローブ針及び電極パッド材質の硬度・縦弾性係数などに依存し、個々のケースで異なるが、各プローブ針先高さを基準範囲内に揃えおくことが望ましい。
複数のプローブ針3から個別のデータを収集する必要がある場合や、同電位とならない電極パッドにプローブ針を接触させる場合は、超音波振動子に絶縁性の素材を用いる必要がある。高硬度の樹脂で形成するのが好適である。
次に試験方法について説明する。
上記のとおりステージ2上にパワー半導体チップ1の位置決め・固定したのち、ステージ2を上昇させて、パワー半導体チップ1のエミッタ電極パッド1eの接触個所10においてそれぞれプローブ針3を接触させる。
次に、超音波発生装置6を取り外した後、コレクタ−エミッタ間に所定電圧(1kV)を印加し、ゲート電極に所定のゲート電圧を印加する。エミッタ電極1eに対して合計34本のプローブ針3が並列に接続され、数百Aの試験電流を分担して印加し、パワー半導体チップの特性を測定する。
上記の試験に続いて、高温試験を行う場合、プローブ針3をパワー半導体チップに接触させたまま、ステージ2に内蔵したヒーターによってパワー半導体チップを所定温度(150℃)まで上昇させた後、再びコレクタエミッタ間に所定の電圧を印加して特性測定を行う。
図3は、本実施例におけるプローブ針の接触抵抗の分布を示した図であって、図1におけるプローブ針3(#1〜#5)の接触抵抗値の分布を示している。図8に示した従来例における接触抵抗値の最小最大値は40、290mΩで、バラツキはΔ250mΩ(=290―40mΩ)であったのに対して、図3ではプローブ針の接触抵抗値の最小最大値は、19、25mΩ、バラツキはΔ6mΩ(=25―19mΩ)であり、接触抵抗の値,バラツキとも減少していることがわかる。これは酸化膜破壊が促進され、導通面積が増加したことによる。良好な導通状態を得ることができるため、プローブ針への荷重を軽減することが可能であり、プローブ針の接触によるプローブ痕の発生を抑制することができる。
同様に、プローブ芯固定部材63によってプローブ芯31と円筒スリーブ32との間のあそびを拘束し、超音波振動子64をステージ2に接続してステージ2に超音波振動を供給しても良い。
あるいは、プローブ芯固定部材63によってプローブ芯31と円筒スリーブ32との間のあそびを拘束し、超音波振動子62をプローブ取り付け部5に接続すると共に超音波振動子64をステージ2に接続し、プローブ取り付け部5およびステージ2に同時に超音波振動を供給しても良い。このときの振動方向はプローブ針と直交する方向であって、かつプローブ取り付け部5とステージ2とは振動方向を異ならせておくと、いずれかに単独で超音波振動を印加した場合に比べ、同一の超音波振動(振幅、周波数)を印加した場合でも、摺動面積が大きくなってより良好な接触を得ることができる。
なお、上記の実施例はIGBTを例にとって説明したが、これに限るものではなく、パワー半導体素子としてダイオードにも適用可能であることは言うまでもない。
また、パワー半導体素子をチップ状に切断する前のウェハー状態においても適用可能である。この場合、ステージ2もしくはプローブ取り付け部5が水平方向に移動可能に構成されている。ステージ2にウェハーを載置・固定し、ウェハー内に形成されたパワー半導体素子の電極パッドにプローブ針を接触させ、超音波振動を印加した後、所定の試験を行う。試験の後、ステージ2もしくはプローブ取り付け部5を移動させ、順次同様にパワー半導体素子の試験を行う。このような試験によって不良品と判別されたパワー半導体チップは、プローブ針近傍に設けられたマーカーによってマーキングされ、チップに切断された後選別・排除される。
図6に示すように、パワー半導体チップ1のゲート電極パッドはエミッタ電極パッドと同じ面に形成されている。ゲート電極用のプローブ針をエミッタ電極用のプローブ針と共にプローブ針アッシーに固定しておけば、ゲート電極パッドとエミッタ電極パッドに同時にプローブ針を接触させることができる。
このとき、図1に示す超音波振動子61は、エミッタ電極用のプローブ芯31のみに固定され、ゲート電極用のプローブ芯は固定しない。したがって、エミッタ電極用のプローブ針には超音波発生装置6からの超音波振動が印加され、上記の如くエミッタ電極パッド表面上を摺動するがゲート用プローブ針には振動を印加しない。
ゲート電極には大電流が流れることがなく、数ボルトのゲート電圧が印加されるだけであるので、垂直方向の荷重によるものだけでも十分接触可能である。また、大電流が流れないことから溶融等の問題への対策が不用であり、振動を印加する必要がない。
2 ステージ
3 プローブ針
4 プローブ針アッシー
5 プローブ取り付け部
6 超音波発生装置
61,62,64 超音波振動子
63 プローブ芯固定部
Claims (7)
- パワー半導体素子の表面に形成された電極パッドにプローブ針を垂直に接触させて前記パワー半導体素子の特性を測定するパワー半導体素子の試験装置において、
前記電極パットに並列に接触する複数のプローブ針と、
該複数のプローブ針が前記電極パッドに接触した状態で、該複数のプローブ針に高周波・微小振幅であって前記プローブ針と直交する方向の振動を与える振動印加手段とを備えたことを特徴とするパワー半導体素子の試験装置。 - 前記パワー半導体素子は、一方の面にゲート電極並びに少なくとも1種の主電極が形成された絶縁ゲート型素子であって、
前記複数のプローブ針が前記主電極に接し、該複数のプローブ針と前記ゲート電極に接するゲート電極用プローブ針とを保持する手段を備え、
前記振動印加手段は、前記ゲート電極用プローブ針を除いて前記複数のプローブ針に高周波・微小振幅の振動印加することを特徴とする請求項1に記載のパワー半導体素子の試験装置。 - パワー半導体素子の表面に形成された電極パッドにプローブ針を垂直に接触させて前記パワー半導体素子の特性を測定するパワー半導体素子の試験装置において、
前記電極パットに並列に接触する複数のプローブ針と、
該複数のプローブ針が前記電極パッドに接触した状態で、前記パワー半導体素子が固定されたステージに高周波・微小振幅であって前記プローブ針と直交する方向の振動を与える振動印加手段とを備えたことを特徴とするパワー半導体素子の試験装置。 - パワー半導体素子の表面に形成された電極パッドにプローブ針を垂直に接触させて前記パワー半導体素子の特性を測定するパワー半導体素子の試験装置において、
前記電極パットに並列に接触する複数のプローブ針と、
該複数のプローブ針が前記電極パッドに接触した状態で、該複数のプローブ針および前記パワー半導体素子が固定されたステージにそれぞれ高周波・微小振幅であって前記プローブ針と直交する方向の振動を与える振動印加手段とを備えたことを特徴とするパワー半導体素子の試験装置。 - 前記複数のプローブ針の振動方向と前記パワー半導体素子が固定されたステージの振動方向はそれぞれ異なる方向であることを特徴とするパワー半導体素子の試験装置。
- 前記複数のプローブ針に印加される振動と前記パワー半導体素子が固定されたステージに印加される振動とは振幅もしくは周波数が異なることを特徴とするパワー半導体素子の試験装置。
- ステージ上にパワー半導体素子を載置・固定し、
該パワー半導体素子の表面に形成された電極パッドに複数のプローブ針を垂直かつ並列に接触させ、
該複数のプローブ針が前記電極パッドに接触した状態で、該複数のプローブ針および/または前記ステージに高周波・微小振幅であって前記プローブ針と直交する方向の振動を所定時間印加後、
前記パワー半導体素子の電極パッドに前記複数のプローブ針を介して所定の試験電圧を印加することを特徴とするパワー半導体素子の試験方法。
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