JP2005206684A - フッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法 - Google Patents

フッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005206684A
JP2005206684A JP2004014180A JP2004014180A JP2005206684A JP 2005206684 A JP2005206684 A JP 2005206684A JP 2004014180 A JP2004014180 A JP 2004014180A JP 2004014180 A JP2004014180 A JP 2004014180A JP 2005206684 A JP2005206684 A JP 2005206684A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sulfonic acid
polymer
fluorinated
producing
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004014180A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4437407B2 (ja
Inventor
Nobuyuki Uematsu
信之 植松
Nobuhito Hoshi
星  信人
Takehiro Koga
健裕 古賀
Gronwald Oliver
オリバー グロンヴァルド
Masanori Ikeda
池田  正紀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2004014180A priority Critical patent/JP4437407B2/ja
Priority to US11/038,571 priority patent/US7473748B2/en
Publication of JP2005206684A publication Critical patent/JP2005206684A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4437407B2 publication Critical patent/JP4437407B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】 アルカリ加水分解工程を経ることなく簡易な方法でフッ素化スルホン酸ポリマーを製造する方法を提供するものである。また、フッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液を製造する方法を提供するものである。さらに詳しくは、固体高分子型燃料電池用の高分子電解質として有用なフッ素化スルホン酸ポリマー、およびその溶液または懸濁液の製造方法を提供すること。
【解決手段】 スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーを、1)50〜350℃で加熱処理する操作と、2)プロトン性化合物と接触させる操作の少なくとも一方の操作によりスルホン酸を含有するポリマーへ変換することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法である。
【選択図】 選択図なし。

Description

本発明は、フッ素化スルホン酸ポリマー、およびその溶液または懸濁液の製造方法に関する。詳しくは、固体高分子型燃料電池用の高分子固体電解質として好適に用いることのできるフッ素化スルホン酸ポリマー、およびその溶液または懸濁液の製造方法に関する。
近年、電解質として固体高分子隔膜を用いた燃料電池が、小型軽量化が可能であり、かつ、比較的低温でも高い出力密度が得られることから注目され、開発が加速されている。
このような目的に用いられる固体高分子材料には、優れたプロトン伝導度、適度な保水性、水素ガス、酸素ガス等に対するガスバリア性等が要求される。このような要件を満たす材料として、スルホン酸基、ホスホン酸基等を有する高分子が種々検討され、多くの材料が提案されてきている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、実際の燃料電池運転条件下では、電極において高い酸化力を有する活性酸素種が発生し、特に、長期にわたり燃料電池を安定に運転させるためには、このような過酷な酸化雰囲気下での耐久性が要求される。現在までに提案されている多くの炭化水素系材料は、燃料電池の運転の初期特性に関しては優れた特性を示すものも報告されているが、耐酸化性に問題がある。
このため、現在、実用化に向けた検討としては、下記一般式(3):
Figure 2005206684
(式中、k/lは3〜10、pは0〜1の整数、qは1〜6の整数である。)
で表されるパーフルオロスルホン酸ポリマーが主に採用されている。
また、燃料電池においては、隔膜だけでなくガス拡散電極の触媒表面までプロトン伝導性が連続している必要があり、電極触媒のバインダーとしても同様のパーフルオロスルホン酸ポリマーが用いられている。
このパーフルオロスルホン酸ポリマーは、下記一般式(4):
Figure 2005206684
(式中、p、qは、一般式(3)と同じである。)
で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマーと、テトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体に加水分解反応を施すことによって得られる。
加水分解反応には、通常、側鎖末端が−SOF型であるポリマーをNaOH、KOH等のアルカリによりスルホン酸塩型に変換後、さらに塩酸等の酸により−SOH型に変換するという手段が用いられている。
このポリマーを隔膜として用いる場合には、側鎖末端が−SOF型であるポリマーを加熱成型により成膜した後、加水分解反応を施す方法(溶融成膜法)、−SOH型のポリマーを溶解処理した溶液または懸濁液をキャスト成膜する方法(キャスト成膜法)等が知られている。また、触媒バインダーとして用いる場合には、−SOH型のポリマーの溶液または懸濁液を触媒層上に塗布する方法、あるいは該溶液または懸濁液を触媒と混合し、基板上に塗布、乾燥する方法が一般的である。
以上のうち、溶融成膜法は、フィルム状で加水分解する過程で激しく膨潤するため取り扱いが困難である。一方、キャスト成膜やバインダーとして用いるための溶液または懸濁液は、スルホン酸型のポリマーを溶解処理することになるが、事前に−SOF型のポリマーを加水分解処理しておく必要がある。その際、上記のように一旦アルカリでスルホン酸塩型に変換後、酸処理によりスルホン酸型に変換し、さらに水洗する必要があった。特に酸処理は、塩を残さないように徹底して行なう必要があり、アルカリ加水分解を経由する工程は多段階、かつ、煩雑な工程であった。
なお、前記一般式(3)で表されるポリマーにおいて、pが0の場合は、pが1の場合に比べて主鎖とスルホン酸基の間のスペーサー部が短いため、高いガラス転移温度と高い強度を発現し、耐熱性の点で好ましいが、その原料となる前記一般式(4)で表されるモノマーは、その製造工程において副反応が著しく、収率は極めて低いものであった。
そこで、この課題を解決する目的で、特許文献1および特許文献2には、官能基をスルホン酸塩に代えたモノマーの製造方法が記載されているが、この塩型モノマーは揮発性がないため蒸留精製できず、また−SOF型に変換する方法も煩雑、かつ、低収率なものであった。一方、スルホン酸エステル構造のモノマーはこれまで報告されていない。
O. Savadogo、 Jounal of New Materials for Electrochemical Systems I、 47−66(1998) 国際公開第98/43952号パンフレット 特公昭47−2083号公報
本発明は、アルカリ加水分解工程を経ることなく、簡易な方法でフッ素化スルホン酸ポリマーを製造する方法を提供するものである。また、フッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液を製造する方法を提供するものである。さらに詳しくは、固体高分子型燃料電池用の高分子電解質として有用なフッ素化スルホン酸ポリマー、およびその溶液または懸濁液の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、スルホン酸の特定のエステル基を含有するポリマーを経由することにより、該スルホン酸エステル基を簡易な方法でスルホン酸基に変換できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーを、1)50〜350℃で加熱処理する操作と、2)プロトン性化合物と接触させる操作の少なくとも一方の操作により、スルホン酸を含有するポリマーへ変換することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
[2] 下記一般式(1):
−SOCRCHR (1)
(式中、R、 R、 R、 Rは、それぞれ、フッ素原子, 水素原子, 炭素原子数1〜8個の炭化水素基, 炭素原子数1〜8個の含フッ素炭化水素基から選ばれる基であり、R、 R、 R、 Rのうち少なくとも1個は、フッ素原子または含フッ素炭化水素基であり、R、 R、 R、 Rは、それぞれ連結して環状構造を形成してもよい。)
で表されるスルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーを、50〜350℃で加熱処理することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
[3] スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ビニルモノマーを単独重合または他の単量体と共重合し、得られたポリマーを、1)50〜350℃で加熱処理する操作と、2)プロトン性化合物と接触させる操作の少なくとも一方の操作により、スルホン酸を含有するポリマーへ変換することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
[4] スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ビニルモノマーが、スルホン酸基を有するフッ素化モノマーへのフルオロオレフィンの付加反応により製造されることを特徴とす[3]に記載のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
[5] スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーが、下記一般式(2):
Figure 2005206684
(式中、nは0〜1の整数、mは1〜6の整数、Rはフルオロアルキル基である。)
で表される構造のモノマー単位を含有するポリマーであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1つに記載のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
[6] スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーが、一般式(2)で表されるモノマーと、炭素原子数2〜3の含フッ素モノマーの少なくとも1種、との共重合体であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1つに記載のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
[7] スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーが、一般式(2)で表されるモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合体であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1つに記載のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれか1つに記載の方法で製造されたフッ素化スルホン酸ポリマーを、プロトン性化合物を含む溶媒に溶解処理することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液の製造方法。
[9] スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーを、プロトン性化合物を含む溶媒中、50〜250℃で加熱することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの溶液または懸濁液の製造方法。
[10] [8]または[9]に記載の方法で製造したフッ素化スルホン酸ポリマーの溶液または懸濁液をキャスト成膜し、膜厚5〜200μmのフッ素化スルホン酸ポリマー膜を製造することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマー膜の製造方法。
[11] [8]または[9]に記載の方法で製造したフッ素化スルホン酸ポリマーの溶液または懸濁液を、膜および/または触媒バインダーとして用いて、膜/電極接合体(MEA)を製造することを特徴とする燃料電池用MEAの製造方法。
本発明のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法は、アルカリ加水分解のような煩雑で、多段階の工程を経る必要が無く、通常、簡便な1段階で製造することができるため、生産性に優れている。また、フッ素化スルホン酸ポリマーの製造と同時に、該ポリマーの溶液または懸濁液を製造することができるので、溶液または懸濁液の製造方法としても生産性に優れている。
以下、本発明について詳細に説明する。
一般にスルホン酸のアルキルエステルは非常に不安定で、空気中の水分とも容易に反応して加水分解する。そのため、このような反応性の高さを利用して、スルホン酸のアルキルエステルは、むしろアルキル化剤として用いられているほどである。
しかしながら、アルキルエステル構造の代わりにフルオロアルキルエステル構造とすることによって、スルホン酸エステル基が適度な安定性を有し、モノマー取り扱い時および重合操作時には安定に取り扱うことが可能である一方、特定の条件では容易に除去することが可能になることが判明した。
本発明の方法に用いられるスルホン酸のフルオロアルキルエステル基中のフルオロアルキル基は、本発明においては、フッ素置換されたアルキル基およびアルキル基中にエーテル結合を含むアルキル基を意味する。エーテル結合を含む場合、[エーテル結合の数]/[炭素原子の数]の比は、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.35以下、さらに好ましくは0.25以下、最も好ましくは0.2以下である。[エーテル結合の数]/[炭素原子の数]の比が大きすぎると、フルオロアルキル基部分の安定性が低下しやすくなる。
エステル基中のフルオロアルキル基を構成する炭素原子数には制約は無いが、操作性の点からは1〜10個の範囲が好ましく、2〜8個がより好ましく、2〜6個がさらに好ましく、2〜4個が最も好ましい。フッ素原子の置換位置が遠すぎるとエステル基の安定性が不足するので、1位および/または2位がフッ素原子または含フッ素炭化水素基で置換されていることが好ましく、含フッ素炭化水素基の場合はパーフルオロ炭化水素基であることが好ましい。
以下にエステル基中のフルオロアルキル基の具体例を示す。
−CHFCH、−CHCHF、−CFCH、−CHCHF、−CFCHF、−CHFCHF、−CFCHF、−CH(CF)CHF、−CHCHCF、−CHCF、−CHCFCF、−CHCFCHF、−CH(CF、−CHCFCFCF、−C(CF、−C、−CHCFCHFCF、−CHCFCFCFCHF、−CHCFCFCFCFCFCHF、−CHCHCFCFCFCF、−CHCF(CF)OCFCFCF、−CHCF(CF)OCF(CF、−CHCFOCFCF、−CHCFCFCHOCHCHOCHCHOCH
2位が水素置換しているフルオロアルキル基は、後述するようにその原料モノマーがスルホン酸基を有するフッ素化モノマーへのフルオロオレフィンの付加反応により容易に製造できるので特に好ましい。すなわち、スルホン酸のフルオロアルキルエステル基としては下記一般式(1):
−SOCRCHR (1)
(式中、R、 R、 R、 Rは、それぞれ、フッ素原子, 水素原子, 炭素原子数1〜8個の炭化水素基, 炭素原子数1〜8個の含フッ素炭化水素基から選ばれる基であり、R、 R、 R、 Rのうち少なくとも1個は、フッ素原子または含フッ素炭化水素基であり、該含フッ素炭化水素基は、パーフルオロ炭化水素基であることが好ましく、R、 R、 R、 Rは、それぞれ連結して環状構造を形成してもよい。)
で表される構造が好ましい。
更に、2位が水素置換しているフルオロアルキル基は、50〜350℃の加熱処理によりフッ素化スルホン酸ポリマーを製造する場合には、脱エステル化が容易であるので好ましい。加えて、この場合には、モノマー原料のフルオロオレフィンが脱離するので、回収して再利用も可能である。
一般式(1)中のフルオロアルキル基において、フッ素原子数/(フッ素原子数+炭素原子数)の比は0.1〜0.9の範囲が好ましく、より好ましくは0.25〜0.75の範囲であり、最も好ましくは0.33〜0.6の範囲である。また、RおよびRの少なくとも一方は、フッ素原子であることが好ましく、両方がフッ素原子であることがより好ましい。一般式(1)中のフルオロアルキル基の2位には、少なくとも1個の水素原子が結合しているが、2個以上の水素原子が結合していることがより好ましい。
以下に一般式(1)中のフルオロアルキル基の具体例を示す。
−CHFCH、−CHCHF、−CFCH、−CHCHF、−CFCHF、−CHFCHF、−CFCHF、−CH(CF)CHF、−CHCHCF
スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーは、スルホン酸基を有するフッ素化ポリマーのスルホン酸基がフルオロアルキルエステル化された構造であればよい。このようなポリマーとして、例えば、スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ビニルモノマーの重合体が挙げられ、好ましくは下記一般式(2):
Figure 2005206684
(式中、nは0〜1の整数、mは1〜6の整数、Rはフルオロアルキル基である。)
で表される構造のモノマー単位を含有するポリマーである。
スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーは、スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ビニルモノマーの単独重合体であっても、他の単量体との共重合体であってもよい。前記フッ素化ポリマー中のスルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ビニルモノマー単位の割合は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは9モル%以上である。
一般式(2)で表されるモノマーと、炭素原子数2〜3の含フッ素モノマーの少なくとも1種、との共重合体が好ましく、一般式(2)で表されるモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合体がより好ましい。
スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーを、加熱処理またはプロトン性化合物と接触させることにより、フッ素化スルホン酸ポリマーを製造することができる。加熱処理により製造する場合は、加熱温度は、通常、50〜350℃であり、好ましくは80〜300℃であり、さらに好ましくは100〜250℃である。温度が低すぎると製造効率が低くなり、温度が高すぎると生成したスルホン酸基が分解する。加熱する時間は0.1分〜1時間が好ましい。製造効率を高める目的で、ブレンシテッド酸やルイス酸等の酸性化合物を共存させてもよい。
プロトン性化合物と接触させる場合は、プロトン性化合物の種類により条件は異なるが、接触させる温度は、通常、0〜200℃であり、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。接触させる時間は0.1分〜5時間が好ましい。プロトン性化合物は単独でも、複数のプロトン性化合物を混合して使用してもよいし、非プロトン性の溶媒を混合して使用してもよい。
本発明の製造方法においては、従来の−SOF型官能基の加水分解処理で用いられているNaOH、KOH等の無機塩基を使用しなくてもフッ素化スルホン酸ポリマーを製造することができるので、膜の膨潤による取り扱いの困難さ、プロセスの煩雑さ等の問題が発生しない。
本発明に使用されるプロトン性化合物としては、水の他、アルコール類、アミン類、カルボン酸類、スルホン酸類、ホスホン酸類等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、広範な種類のプロトン性化合物が使用される。
プロトン性化合物の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、ジエチルアミン等の2級または1級アミン類、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類等が挙げられ、特に処理後の除去が容易な点から、揮発性の化合物が好ましい。これらのプロトン性化合物の中でも、反応が比較的速やかに進行し、目的スルホン酸ポリマーの精製も容易であるという点で、水、アルコール類およびカルボン酸類が好ましく、アルコール類がより好ましい。
アミン系プロトン性化合物を用いた処理の場合には、スルホン酸ポリマーのアミン塩が生成するが、その塩を酸処理することにより容易にスルホン酸ポリマーに誘導することができる。
キャスト成膜や触媒バインダーとして用いられるフッ素化スルホン酸ポリマーの溶液または懸濁液は、一般に水、アルコール等のプロトン性溶媒の溶液または懸濁液として用いられる。このような溶媒以外に該ポリマーを効率的に溶解する溶媒が無いからである。したがって、上記のように、スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーをプロトン性溶媒中で処理する際に、そのまま加熱して溶解処理すれば一気にフッ素化スルホン酸ポリマーの溶液または懸濁液が製造できる。用いる溶媒は同様でよいが、好ましくは水、アルコール類、またはそれらを含む混合物である。溶解処理まで行なう場合、加熱温度は、通常、50〜250℃、好ましくは100〜200℃である。必要により、耐圧容器内で処理する。この場合のポリマー濃度は、製造された溶液または懸濁液中のフッ素化スルホン酸ポリマーの濃度としては、0.1〜30wt%が好ましく、1〜20wt%がさらに好ましい。
なお、本発明において溶液または懸濁液とは、目視において均一な溶液状の液体をいう。
本発明の方法で製造されるフッ素化スルホン酸ポリマーは、スルホン酸基を有するフッ素化ポリマー全般であるが、好ましくはパーフルオロスルホン酸ポリマーであり、より好ましくは一般式(3):
Figure 2005206684
で表されるパーフルオロスルホン酸ポリマーである。
式中、k/lは3〜10、pは0〜1の整数、qは1〜6の整数である。pは好ましくは0であり、qは好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4である。
本発明の方法で用いられるスルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーは、一般的には、スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化モノマーを重合することにより得られる。
重合は単独重合でも共重合でもよく、共重合の場合、共重合モノマーとしては、1種または2種以上の含フッ素モノマー、1種または2種以上の非フッ素化モノマー(例えば、エチレン)、含フッ素モノマーと非フッ素化モノマー(例えば、アルキルビニルエーテル)の組み合わせ等、いずれでもよい。各種の共重合モノマーの中でも、化学的安定性の観点からは含フッ素モノマーが好ましく、パーフルオロ(クロロ)オレフィンがより好ましく、テトラフルオロエチレン(TFE)やクロロトリフルオロエチレン(CTFE)がさらに好ましく、TFEが最も好ましい。
上記単独重合または共重合は、一般的にはラジカル重合や放射線重合で行われる。具体的な重合方法としては、特開昭57−92026号公報等に記載されているような溶液重合、水等を媒体とした懸濁重合や乳化重合の他に、塊状重合、ミニエマルジョン重合、マイクロエマルジョン重合等、いずれの方法も採用可能であるが、エステル基が分解しにくいため、プロトン性化合物の不在下で実施される重合方法が好ましい。プロトン性化合物の不在下で実施する共重合方法は、溶液重合法またはバルク重合法であることがより好ましい。重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤の他、パーフルオロ過酸化物等を用いることができる。
以下に、スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化モノマーの製造方法について、一般式(2):
Figure 2005206684
(式中、nは0〜1、mは1〜6、Rはフルオロアルキル基である。)
で表されるモノマーを例に説明する。
これらの方法は、いずれも上記一般式(2)においてnが0のモノマー製造に適用可能であり、従来困難であった、上記一般式(3)においてpが0のポリマー製造を容易にする点においても優れている。
1)エステル化→ビニル化法
一般式(5):
Figure 2005206684
(式中、nおよびmは、一般式(2)と同じ)
で表される酸フルオリドを、炭酸ナトリウム等の炭酸塩と反応させて、一般式(6):
Figure 2005206684
(式中、Mは、Na、K等のアルカリ金属等、nおよびmは、一般式(2)と同じ)
で表されるカルボン酸塩に変換した後、塩基の存在下で、相当するフルオロアルコール(ROH)と反応させるか、相当するフルオロアルコールのアルカリ金属アルコキシドと反応させて一般式(7):
Figure 2005206684
(式中、Mは、一般式(6)と同じ、n、mおよびRは、一般式(2)と同じ)
で表されるエステルを製造した後、加熱、脱炭酸反応により一般式(2)で表されるビニルモノマーとする方法。
2)ビニル体のエステル化法
一般式(8):
Figure 2005206684
(式中、Xは、F、Cl等のハロゲン原子、nおよびmは、一般式(2)と同じ)
で表されるスルホン酸ハライドと、塩基の存在下、相当するフルオロアルコール(ROH)とを反応させてエステル体を得る方法。最初に、一般式(8)の化合物中のビニル基の2重結合を、塩素、臭素等のハロゲン付加により保護した後、フルオロアルコールまたはそのアルコキシドと反応させ、最後に亜鉛等を用いて脱ハロゲン化反応を行い、ビニル基を再生することもできる。
3) スルホン酸塩からの製造法
一般式(5)で表される化合物をアルカリで処理して、まず一般式(9):
Figure 2005206684
(式中、Mは、Na、K等のアルカリ金属等、nおよびmは、一般式(2)と同じ)
で表される塩に変換した後、加熱、脱炭酸して、一般式(10):
Figure 2005206684
(式中、Mは、一般式(9)と同じ、nおよびmは、一般式(2)と同じ)
で表されるスルホン酸塩に変換し、次いで、リン塩素化物等で塩素化してスルホン酸クロリドとし、最後に2)の方法でエステル体を得る方法。この方法は、2)の方法の一部であるが、n=0のエステル体を得る場合に特に有用である。
4)スルホン酸へのフルオロオレフィンの付加反応
一般式(11):
Figure 2005206684
(式中、nおよびmは、一般式(2)と同じ)
で表されるスルホン酸と、
一般式(12):
CR=CR (12)
(式中、R、R、RおよびRは、一般式(1)と同じ。)
で表されるフルオロオレフィンとを反応させる方法。
この場合、Rは−CRCHRとなる。
この方法で用いられる、一般式(12)で表されるフルオロオレフィンの具体例として、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、3,3,3−トリフルオロプロペン等が挙げられ、中でもフッ化ビニリデンが好ましい。
この方法の反応条件としては、一般式(11)で表されるスルホン酸と、一般式(12)で表されるフルオロオレフィンとを、0.1〜2MPa程度の圧力範囲で加圧混合するだけでよいが、0〜150℃の温度範囲で行うことが好ましい。
これらの方法のうち、スルホン酸基を有するフッ素化モノマーへのフルオロオレフィンの付加反応による製造方法が、特に製法として容易なので好ましい。
本発明の方法で製造されるフッ素化スルホン酸ポリマーは、特に溶液または懸濁液化を伴う用途に用いることが有用である。すなわち、固体高分子型燃料電池用の膜をキャスト法で成膜する場合、およびガス拡散電極の触媒バインダーとしての用途である。上記のように、溶液または懸濁液は、プロトン性化合物を含む溶媒で、フッ素化スルホン酸ポリマーの製造と同時に製造することができるが、一旦、フッ素化スルホン酸ポリマーを製造してから溶解処理を行なってもよい。
キャスト法により成膜する場合は、適当な基材の上に溶液または懸濁液を展開し、乾燥後、固化した膜を基材から剥離する。この場合、必要により加熱して乾燥することができる。乾燥後の膜は、熱処理することによりその特性を変えることもできる。キャスト成膜の場合、膜厚は5〜200μmが好ましく、10〜150μmがさらに好ましく、15〜100μmが最も好ましい。キャスト成膜は、フッ素化スルホン酸ポリマー単独で行なってもよいが、適当な補強材を用いてもよく、ポリテトラフルオロエチレン等の多孔質膜にフッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液をドープして成膜してもよい。
ガス拡散電極の触媒バインダーとして用いる場合、バインダーを用いずに製造されたガス拡散電極に、フッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液を塗布、乾燥する方法、触媒金属を担持した導電材と、必要により撥水剤とを、フッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液と混合し、適当な基材上に塗布、乾燥する方法等により製造することができる。この場合、触媒金属としては、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、それらの合金等が用いられるが、多くの場合、白金またはその合金が用いられる。触媒の担持量は、電極が形成された状態で0.01〜10mg/cm程度である。導電材としては、各種金属や各種炭素材料が用いられ、カーボンブラック、グラファイト等が好ましい。
本発明の方法で製造されたフッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液は、成膜および触媒バインダーのいずれかまたは両方に用いることができる。
固体高分子型燃料電池用膜/電極接合体(以下、MEA、と略記する)は、電解質となる膜と、この膜に接合されるガス拡散電極とで構成され、膜とガス拡散電極との接合は、加圧、加温できる装置を用いて実施される。一般的には、例えば、ホットプレス機、ロールプレス機等により行われる。その際のプレス温度は、膜のガラス転移温度以上であればよく、一般的には130〜250℃である。プレス圧力は、使用するガス拡散電極の固さに依存するが、通常5〜200kg/cm、好ましくは20〜100kg/cmである。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
[参考例1]
国際公開第98/43952号パンフレットに記載の方法にしたがって合成した45.0gのCF=CFOCFCFSONaを、63mlの濃硫酸と混合し、減圧蒸留(沸点90〜130℃/0.13kPa)することにより15.6gの無色液体を得た。この液体は、19F−NMR、H−NMRより、CF=CFOCFCFSOHであることが確認された(収率30%、純度80%)。
19F−NMR:δ(ppm、CFCl基準)−137.7(dd,1F)、−124.2(dd,1F)、―118.9(s,2F)、−116.8(dd,1F)、−86.0ppm(s,2F)
H−NMR:δ(MeSi基準)10.5(s,1H)
ステンレス製100ml耐圧容器に、CF=CFOCFCFSOH15gを入れ、フッ化ビニリデンで0.5MPaに加圧した。100℃で攪拌しながら内圧を0.5MPaに保つように適宜フッ化ビニリデンを追加圧入した。5時間反応させた後、放圧することによって18.8gの油状物が得られた。この油状物は、19F−NMR、ガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GC−MASS)より、CF=CFOCFCFSOCFCHであることが確認された。
19F−NMR:δ(ppm、CFCl基準)−137.2(dd,1F)、−122.8(dd,1F)、―115.5(dd,1F)、−114.3(s,2F)、−84.5(s,2F)、−58.9ppm(s,2F)
EI−MS:m/z 100、97、81、65
CI−MS:360(M+NH
ステンレス製200ml耐圧容器に、上記スルホン酸エステルモノマー15g、30gのHFC43−10meeおよび重合開始剤として(CFCFCFCOO)の5%HFC43−10mee溶液0.5gを入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.3MPaに加圧した。
23℃で攪拌しながら内圧を0.3MPaに保つように適宜TFEを追加圧入した。5時間反応後、放圧し、30gのヘキサンを加え、白色の膨潤した沈殿物を得た。この沈殿物をヘキサン/HFC43−10mee(1/1,vol)で3回洗浄、乾燥して、4.8gの白色固体を得た。この固体のIRスペクトルからエステル基(1415cm−1)およびメチル基(3000cm−1)の吸収が確認され、この固体がスルホン酸エステルポリマーであることが確認された。
[参考例2]
化学式(13):
Figure 2005206684
のビニル化合物44.6gを30gのジメトキシエタンに溶かし、20.2gのトリエチルアミンを加えた。次に、この溶液を氷冷し、その中に20.0gのCFCHOHを30分間で滴下した。そのまま0℃で30分間攪拌を続け、ガスクロマトグラフィーで化学式(13)のビニル化合物が消失したことを確認した後、反応溶液を氷水中に注ぎ、下層を分離した。下層を数回水洗した後、化学式(14)
Figure 2005206684
で表されるエステルモノマー48.5g(収率92%)を得た。得られたモノマーの沸点は85℃/2.7×10Paであった。
モノマーの構造を19F−NMRで確認した。
19F−NMR δ(CFCl基準):−146.6(q,1F)、−138.6(ddt,1F)、−124.4(dd,1F)、−116.9(dd,1F)、−115.9(s,2F)、−86.7(s,2F)、−82.2(s,3F)、−80.9(ABq,2F)、−77.5ppm(t,3F)
ステンレス製200ml耐圧容器に、上記エステルモノマー(使用前に回転バンド蒸留装置で精留したもの)15g、30gのHFC43−10meeおよび重合開始剤として(CFCFCFCOO)の5%HFC43−10mee溶液0.64gを入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.3MPaに加圧した。25℃で攪拌しながら内圧を0.3MPaに保つよう適宜TFEを追加圧入した。3.5時間反応させた後、放圧し、白色の膨潤した固形物を得た。この固形物をアセトンで洗浄、乾燥して3.2gの白色粉末を得た。この粉末のIRスペクトルからエステル基の吸収(1460cm−1)が確認された。
[実施例1]
参考例1で得られたスルホン酸エステルポリマー0.2gを熱プレス機上で、200℃で10分間予熱した後に熱プレスし、厚さ45μmのフィルムを得た。得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、エステル基の吸収が完全に消失し、スルホン酸基(970,1058cm−1)の吸収が現れていることが確認された。また、滴定によりこのフィルムの交換基容量を測定したところ、当量重量で920g/当量であった。
[実施例2]
参考例1で得られたスルホン酸エステルポリマー0.5gにメタノール20mlを加え、2時間加熱還流した。溶媒を乾燥除去後、50℃で真空乾燥して乾燥ポリマーを得た。得られた固体のIRスペクトルを測定したところ、エステル基の吸収が完全に消失し、スルホン酸基(970,1058cm−1)の吸収が現れていることが確認された。また、滴定によりこのポリマーの交換基容量を測定したところ、当量重量で900g/当量であった。
次に、ガラス内筒を備えた100mlの耐圧容器に、上記フッ素化スルホン酸ポリマー0.4g、および水/エタノール(1/1,wt)7.6gを仕込み、180℃で4時間加熱攪拌した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。
[実施例3]
ガラス内筒を備えた100mlの耐圧容器に、参考例1で得られたスルホン酸エステルポリマー0.5g、および水/エタノール(1/1,wt)9.5gを仕込み、180℃で4時間加熱攪拌した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。この溶液または懸濁液をガラスシャーレ上に展開し、風乾して膜厚50μmのキャスト膜を作成した。得られた膜のIRスペクトルを測定したところ、スルホン酸膜であることが確認された。また、滴定によりこのフィルムの交換基容量を測定したところ、当量重量で900g/当量であった。
[実施例4]
米国DE NORA NORTH AMERICA社製ガス拡散電極ELAT(登録商標)(Pt担持量0.4mg/cm)に、実施例2で得られた溶液または懸濁液を、ポリマー担持量0.8mg/cmとなるように塗布し、140℃で乾燥し、ガス拡散電極とした。
2枚のガス拡散電極を向かい合わせ、その間に実施例3で得られた膜(160℃で1時間アニールしたもの)をはさみ、160℃、圧力50kg/cmでホットプレスすることによりMEAを作製した。
集電体として厚さ約400μmのカーボンクロスを用い、MEAと集電体とを積層し、燃料電池単セル評価装置に組み込んだ。燃料に水素ガス、酸化剤に空気を用い、常圧、セル温度80℃で単セル特性試験を行った。水素ガスは45℃、空気は55℃で加湿をおこない、セルへ供給した。その結果、0.5、1.0A/cmの電流密度でセルの出力電圧を確認し、発電されていることが確認された。
[実施例5]
実施例3で得られた膜の代わりに、下記式(15):
Figure 2005206684
で表されるポリマー(当量重量950g/当量)からなる、膜厚50μmの膜を用いた以外、実施例4と同様にMEAを作成し、単セル評価を行なった。その結果、0.5、1.0A/cmの電流密度でセルの出力電圧を確認し、発電されていることが確認された。
[実施例6]
実施例2で得られた溶液または懸濁液の代わりに、化学式(15)で表されるポリマー(当量重量950g/当量)の水/EtOH(1:1、質量比)溶液または懸濁液(ポリマー濃度5wt%)を用いた以外、実施例4と同様にMEAを作成し、単セル評価を行なった。その結果、0.5、1.0A/cmの電流密度でセルの出力電圧を確認し、発電されていることが確認された。
[実施例7]
参考例2で得られたスルホン酸エステルポリマー0.5gにジエチルアミン20mlを加え、1時間加熱還流した。ジエチルアミンを除去後、50℃で真空乾燥して乾燥ポリマーを得た。得られた固体のIRスペクトルを測定したところ、エステル基の吸収が完全に消失していた。次に、この固体を3N塩酸および水で洗浄し、50℃で真空乾燥して乾燥ポリマーを得た。得られた固体のIRスペクトルを測定したところ、スルホン酸基(970,1058cm−1)の吸収が現れていることが確認された。また、滴定によりこのポリマーの交換基容量を測定したところ、当量重量で940g/当量であった。
[参考例3]
上記化学式(13)で表されるビニル化合物162gを120mlのHFC43−10meeに溶解させ、室温で61gの臭素を滴下した。室温でしばらく攪拌を続けた後、過剰の臭素と溶媒を留去してから減圧蒸留(沸点110℃/6.7kPa)により201gの無色液体を得た。この液体は、19F−NMRより臭素付加体(16):
Figure 2005206684
であることが確認された(収率91%)。
19−NMR:δ(CFCl基準)−146.6(s,1F)、−114.0(s,2F)、−87.5(dd,1F)、−83.6(dd,1F)、−81.5(s,3F)、−81.0(ABq,2F)、−73.0(d,1F)、−65.0(s,2F)、43.4ppm(s,1F)
次に、水酸化ナトリウム25.2gを溶解させた200mlのエタノール溶液を0℃に冷却し、得られた臭素付加体(16)182.1gを滴下し、0℃で1時間、室温で1.5時間、さらに60℃で1時間攪拌させた。この反応溶液を室温まで冷却させ、セライトを使ってこの溶液を濾過した後、濾液を減圧濃縮すると、淡黄色固体176.2gが得られた。この固体は、19F−NMRよりスルホン酸ナトリウム塩(17):
Figure 2005206684
であることが確認された(収率94%)。
19F−NMR:δ(CFCl基準)−145.9(d,1F)、−118.2(s,2F)、−86.0(dd,1F)、−82.2(dd,1F)、−80.5(s,3F)、−80.0(ABq,2F)、−73.2(s,1F)、−65.0ppm、(s,2F)
得られたスルホン酸ナトリウム塩(18)26.5gに濃硫酸30mlを加えて溶解後、減圧蒸留(沸点125〜130℃/0.13kPa)することにより17.7gの無色液体が得られた。この液体は、19F−NMR、H−NMRよりスルホン酸(18):
Figure 2005206684
であることが確認された(収率69%)。
19F−NMR:δ(ppm、CFCl基準)−146.6(s,1F)、−116.9(s,2F)、−87.5(t,1F)、−83.0(t,1F)、−81.5(s,3F)、−80.6(ABq,2F)、−73.2(d,1F)、−65.0ppm(s,2F)
H−NMR:δ(MeSi基準)12.5(s,1H)、
ステンレス製100ml耐圧容器に、上記スルホン酸(18)14.4gを入れ、フッ化ビニリデンで0.4MPaに加圧した。25℃で攪拌しながら内圧を0.4MPaに保つように適宜フッ化ビニリデンを追加圧入した。フッ化ビニリデンの圧力低下が収まってから、さらに30分間、内圧を0.4MPaに保った後、放圧し、15.4gの無色液体を得た。この液体は19F−NMR、H−NMRより、スルホン酸エステル(19):
Figure 2005206684
であることが確認された(収率97%)。
19F−NMR:δ(ppm、CFCl基準)−146.6(s,1F)、−115.0(s,2F)、−87.4(t,1F)、−83.0(t,1F)、−81.3(s,3F)、−80.6(ABq,2F)、−72.8(d,1F)、−64.9(s,2F)、―59.6ppm(s,2F)
H−NMR:δ(MeSi基準)1.8(t,3H)
窒素気流下、上記エステル体(19)11.3g、亜鉛粉末2.2g、およびアセトニトリル40mlを混合し、50℃で5分攪拌後、この反応混合物を濾過した。濾液を減圧濃縮後、減圧蒸留(沸点66〜67.5℃/0.8kPa)することにより、5.3gの無色液体を得た。この液体は、19F−NMR、H−NMR、ガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GC−MASS)より、スルホン酸エステルモノマー(20):
Figure 2005206684
であることが確認された(収率62%)。
19F−NMR:δ(ppm、CFCl基準)−146.5(s,1F)、−138.6(dd,1F)、−124.3(dd,1F)、―116.8(dd,1F)、−115.5(s,2F)、−86.5(q,2F)、−82.1(s,3F)、−80.8(q,2F)、−60.1ppm(s,2F)
H−NMR:δ(MeSi基準)2.0(t,3H)
EI−MS:m/z 100、97、81、65
CI−MS:526(M+NH
ステンレス製200ml耐圧容器に、上記スルホン酸エステルモノマー(20)5g、15gのHFC43−10meeおよび重合開始剤として(CFCFCFCOO)の5%HFC43−10mee溶液0.12gを入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.3MPaに加圧した。23℃で攪拌しながら内圧を0.3MPaに保つように適宜TFEを追加圧入した。1時間反応後、放圧し、白色の膨潤した固形物を得た。この固形物をメタノールで洗浄、乾燥して、3.3gの白色粉末を得た。この粉末のIRスペクトルからエステル基の吸収(1415cm−1)が確認された。
[実施例8]
ガラス内筒を備えた100mlの耐圧容器に、参考例3で得られたスルホン酸エステルポリマー0.5g、および水/エタノール(1/1,wt)9.5gを仕込み、180℃で4時間加熱攪拌した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。この溶液または懸濁液をガラスシャーレ上に展開し、風乾して膜厚50μmのキャスト膜を作成した。得られた膜のIRスペクトルを測定したところ、スルホン酸基(970,1058cm−1)の吸収が現れていることが確認された。また、滴定によりこのポリマーの交換基容量を測定したところ、当量重量で980g/当量であった。
本発明のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法は、アルカリ加水分解工程を経ないので、プロセスが単純で製造効率が高い。また、フッ素化スルホン酸ポリマー製造と同時にポリマー溶液または懸濁液を製造でき、キャスト膜製造や触媒バインダー用途として有用である。

Claims (11)

  1. スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーを、1)50〜350℃で加熱処理する操作と、2)プロトン性化合物と接触させる操作の少なくとも一方の操作により、スルホン酸を含有するポリマーへ変換することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
  2. 下記一般式(1):
    −SOCRCHR (1)
    (式中、R、 R、 R、 Rは、それぞれ、フッ素原子, 水素原子, 炭素原子数1〜8個の炭化水素基, 炭素原子数1〜8個の含フッ素炭化水素基から選ばれる基であり、R、 R、 R、 Rのうち少なくとも1個は、フッ素原子または含フッ素炭化水素基であり、R、 R、 R、 Rは、それぞれ連結して環状構造を形成してもよい。)
    で表されるスルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーを、50〜350℃で加熱処理することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
  3. スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ビニルモノマーを単独重合または他の単量体と共重合し、得られたポリマーを、1)50〜350℃で加熱処理する操作と、2)プロトン性化合物と接触させる操作の少なくとも一方の操作により、スルホン酸を含有するポリマーへ変換することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
  4. スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ビニルモノマーが、スルホン酸基を有するフッ素化モノマーへのフルオロオレフィンの付加反応により製造されることを特徴とする請求項3記載のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
  5. スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーが、下記一般式(2):
    Figure 2005206684
    (式中、nは0〜1の整数、mは1〜6の整数、Rはフルオロアルキル基である。)
    で表される構造のモノマー単位を含有するポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
  6. スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーが、一般式(2)で表されるモノマーと、炭素原子数2〜3の含フッ素モノマーの少なくとも1種、との共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
  7. スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーが、一般式(2)で表されるモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法で製造されたフッ素化スルホン酸ポリマーを、プロトン性化合物を含む溶媒に溶解処理することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液の製造方法。
  9. スルホン酸のフルオロアルキルエステル基を含有するフッ素化ポリマーを、プロトン性化合物を含む溶媒中、50〜250℃で加熱することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの溶液または懸濁液の製造方法。
  10. 請求項8または9に記載の方法で製造したフッ素化スルホン酸ポリマーの溶液または懸濁液をキャスト成膜し、膜厚5〜200μmのフッ素化スルホン酸ポリマー膜を製造することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマー膜の製造方法。
  11. 請求項8または9に記載の方法で製造したフッ素化スルホン酸ポリマーの溶液または懸濁液を、膜および/または触媒バインダーとして用いて、膜/電極接合体(MEA)を製造することを特徴とする燃料電池用MEAの製造方法。
JP2004014180A 2004-01-22 2004-01-22 フッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法 Expired - Fee Related JP4437407B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004014180A JP4437407B2 (ja) 2004-01-22 2004-01-22 フッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法
US11/038,571 US7473748B2 (en) 2004-01-22 2005-01-21 Vinyl monomer with superacid ester group and polymer of the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004014180A JP4437407B2 (ja) 2004-01-22 2004-01-22 フッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005206684A true JP2005206684A (ja) 2005-08-04
JP4437407B2 JP4437407B2 (ja) 2010-03-24

Family

ID=34900045

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004014180A Expired - Fee Related JP4437407B2 (ja) 2004-01-22 2004-01-22 フッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4437407B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012529549A (ja) * 2009-06-12 2012-11-22 ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア 低い表面張力、低い液体粘度および高い固体含量を有するフルオロイオノマー分散体
JP2017513187A (ja) * 2014-03-21 2017-05-25 コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ プロトン交換膜燃料電池(pemfc)用膜/電極接合体、及び製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012529549A (ja) * 2009-06-12 2012-11-22 ソルヴェイ・スペシャルティ・ポリマーズ・イタリー・エッセ・ピ・ア 低い表面張力、低い液体粘度および高い固体含量を有するフルオロイオノマー分散体
KR101740746B1 (ko) 2009-06-12 2017-05-26 솔베이 스페셜티 폴리머스 이태리 에스.피.에이. 낮은 표면장력, 낮은 액체 점도 및 높은 고형물 함량을 갖는 플루오로아이오노머 분산액
JP2017513187A (ja) * 2014-03-21 2017-05-25 コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ プロトン交換膜燃料電池(pemfc)用膜/電極接合体、及び製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4437407B2 (ja) 2010-03-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4166574B2 (ja) スルホンアミド基を有するパーフルオロビニルエーテルモノマーの共重合体とその製造方法
JP4997968B2 (ja) 固体高分子形燃料電池用電解質材料、電解質膜及び膜電極接合体
JP6941604B2 (ja) スルホニルペンダント基を有するテトラフルオロエチレンのコポリマーを作製する方法
CA2414506C (en) Polymerization process of sulphonic monomers
JP4788267B2 (ja) フルオロスルホニル基と1,3−ジオキソラン構造を有する重合体およびその用途
KR100284212B1 (ko) 할로퍼플루오로 및 퍼플루오로 에테르 중합체 및 이를 포함하는 전지
US7473748B2 (en) Vinyl monomer with superacid ester group and polymer of the same
JPWO2005029624A1 (ja) 固体高分子型燃料電池用膜−電極接合体
JP2002527544A (ja) フルオロシクロブチル環を含むポリマー及びその製造
JP2020534400A (ja) スルホニルペンダント基を有するフッ素化コポリマー、並びにそれを含む組成物及び物品
JP2009209365A (ja) パーフルオロカーボン重合体の製造方法
WO2003106515A1 (ja) スルホン酸官能基含有フッ素化単量体、それを含有する含フッ素共重合体、およびイオン交換膜
JP4334375B2 (ja) N−アルキルビススルホニルイミド基含有ビニルモノマー
JP6819605B2 (ja) ヨウ素原子含有量の低減された含フッ素化合物を製造する方法
US20040122256A1 (en) Perfluorvinyl ether monomer having sulfonamide group
US10975209B2 (en) Methods for producing fluorinated polymer, fluorinated polymer having functional group and electrolyte membrane
JP2007537306A (ja) 安定なトリフルオロスチレン含有化合物、および高分子電解質膜におけるそれらの使用
JP4437407B2 (ja) フッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法
US8933264B2 (en) Method for producing organic compound having sulfo group, method for producing liquid composition, and method for hydrolyzing organic compound having fluorosulfonyl group
JP4260466B2 (ja) フッ素化スルホン酸エステルモノマー
JP4176392B2 (ja) スルホンアミド基含有モノマーの製造方法
US9184459B2 (en) Sulfonated polymers useful for forming fuel cell membranes
JP2015183167A (ja) フッ素系高分子電解質
JP4131917B2 (ja) フッ素化モノマーの製造法
JP2002226514A (ja) スルホン酸基含有ポリマーの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090908

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091106

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20091106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091222

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091222

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130115

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees