JP4437407B2 - フッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法 - Google Patents
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Description
このような目的に用いられる固体高分子材料には、優れたプロトン伝導度、適度な保水性、水素ガス、酸素ガス等に対するガスバリア性等が要求される。このような要件を満たす材料として、スルホン酸基、ホスホン酸基等を有する高分子が種々検討され、多くの材料が提案されてきている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、実際の燃料電池運転条件下では、電極において高い酸化力を有する活性酸素種が発生し、特に、長期にわたり燃料電池を安定に運転させるためには、このような過酷な酸化雰囲気下での耐久性が要求される。現在までに提案されている多くの炭化水素系材料は、燃料電池の運転の初期特性に関しては優れた特性を示すものも報告されているが、耐酸化性に問題がある。
で表されるパーフルオロスルホン酸ポリマーが主に採用されている。
このパーフルオロスルホン酸ポリマーは、下記一般式(4):
で表されるパーフルオロビニルエーテルモノマーと、テトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体に加水分解反応を施すことによって得られる。
このポリマーを隔膜として用いる場合には、側鎖末端が−SO2F型であるポリマーを加熱成型により成膜した後、加水分解反応を施す方法(溶融成膜法)、−SO3H型のポリマーを溶解処理した溶液または懸濁液をキャスト成膜する方法(キャスト成膜法)等が知られている。また、触媒バインダーとして用いる場合には、−SO3H型のポリマーの溶液または懸濁液を触媒層上に塗布する方法、あるいは該溶液または懸濁液を触媒と混合し、基板上に塗布、乾燥する方法が一般的である。
そこで、この課題を解決する目的で、特許文献1および特許文献2には、官能基をスルホン酸塩に代えたモノマーの製造方法が記載されているが、この塩型モノマーは揮発性がないため蒸留精製できず、また−SO2F型に変換する方法も煩雑、かつ、低収率なものであった。一方、スルホン酸エステル構造のモノマーはこれまで報告されていない。
すなわち、本発明は以下の通りである。
、−CH(CF 3 )CH 2 F、−CH 2 CF 3 の中から選ばれるフルオロアルキル基である。)
で表されるモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合体であるフッ素化ポリマーを、1)50〜350℃で加熱処理する操作または、
2)プロトン性化合物を含む溶媒と接触させる操作のいずれか一方の操作により、スルホン酸を含有するポリマーへ変換することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。
[2] 上記プロトン性化合物を含む溶媒と接触させる操作が、プロトン性化合物を含む溶媒中、50〜250℃で加熱することである上記[1]に記載の製造方法。
[3] 上記共重合体中の上記一般式(2)で表されるモノマー単位の割合が、9モル%以上16.8モル%以下である上記[1]又は[2]に記載の製造方法。
一般にスルホン酸のアルキルエステルは非常に不安定で、空気中の水分とも容易に反応して加水分解する。そのため、このような反応性の高さを利用して、スルホン酸のアルキルエステルは、むしろアルキル化剤として用いられているほどである。
しかしながら、アルキルエステル構造の代わりにフルオロアルキルエステル構造とすることによって、スルホン酸エステル基が適度な安定性を有し、モノマー取り扱い時および重合操作時には安定に取り扱うことが可能である一方、特定の条件では容易に除去することが可能になることが判明した。
エステル基中のフルオロアルキル基を構成する炭素原子数には制約は無いが、操作性の点からは1〜10個の範囲が好ましく、2〜8個がより好ましく、2〜6個がさらに好ましく、2〜4個が最も好ましい。フッ素原子の置換位置が遠すぎるとエステル基の安定性が不足するので、1位および/または2位がフッ素原子または含フッ素炭化水素基で置換されていることが好ましく、含フッ素炭化水素基の場合はパーフルオロ炭化水素基であることが好ましい。
−CHFCH3、−CH2CHF2、−CF2CH3、−CH2CHF2、−CF2CH2F、−CHFCHF2、−CF2CHF2、−CH(CF3)CH2F、−CH2CH2CF3、−CH2CF3、−CH2CF2CF3、−CH2CF2CHF2、−CH(CF3)2、−CH2CF2CF2CF3、−C(CF3)3、−C6F6、−CH2CF2CHFCF3、−CH2CF2CF2CF2CHF2、−CH2CF2CF2CF2CF2CF2CHF2、−CH2CH2CF2CF2CF2CF3、−CH2CF(CF3)OCF2CF2CF3、−CH2CF(CF3)OCF(CF3)2、−CH2CF2OCF2CF3、−CH2CF2CF2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3
−SO3CR1R2CHR3R4 (1)
(式中、R1、 R2、 R3、 R4は、それぞれ、フッ素原子, 水素原子, 炭素原子数1〜8個の炭化水素基, 炭素原子数1〜8個の含フッ素炭化水素基から選ばれる基であり、R1、 R2、 R3、 R4のうち少なくとも1個は、フッ素原子または含フッ素炭化水素基であり、該含フッ素炭化水素基は、パーフルオロ炭化水素基であることが好ましく、R1、 R2、 R3、 R4は、それぞれ連結して環状構造を形成してもよい。)
で表される構造が好ましい。
一般式(1)中のフルオロアルキル基において、フッ素原子数/(フッ素原子数+炭素原子数)の比は0.1〜0.9の範囲が好ましく、より好ましくは0.25〜0.75の範囲であり、最も好ましくは0.33〜0.6の範囲である。また、R1およびR2の少なくとも一方は、フッ素原子であることが好ましく、両方がフッ素原子であることがより好ましい。一般式(1)中のフルオロアルキル基の2位には、少なくとも1個の水素原子が結合しているが、2個以上の水素原子が結合していることがより好ましい。
−CHFCH3、−CH2CHF2、−CF2CH3、−CH2CHF2、−CF2CH2F、−CHFCHF2、−CF2CHF2、−CH(CF3)CH2F、−CH2CH2CF3
で表される構造のモノマー単位を含有するポリマーである。
一般式(2)で表されるモノマーと、炭素原子数2〜3の含フッ素モノマーの少なくとも1種、との共重合体が好ましく、一般式(2)で表されるモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合体がより好ましい。
プロトン性化合物と接触させる場合は、プロトン性化合物の種類により条件は異なるが、接触させる温度は、通常、0〜200℃であり、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。接触させる時間は0.1分〜5時間が好ましい。プロトン性化合物は単独でも、複数のプロトン性化合物を混合して使用してもよいし、非プロトン性の溶媒を混合して使用してもよい。
本発明に使用されるプロトン性化合物としては、水の他、アルコール類、アミン類、カルボン酸類、スルホン酸類、ホスホン酸類等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、広範な種類のプロトン性化合物が使用される。
アミン系プロトン性化合物を用いた処理の場合には、スルホン酸ポリマーのアミン塩が生成するが、その塩を酸処理することにより容易にスルホン酸ポリマーに誘導することができる。
なお、本発明において溶液または懸濁液とは、目視において均一な溶液状の液体をいう。
式中、k/lは3〜10、pは0〜1の整数、qは1〜6の整数である。pは好ましくは0であり、qは好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4である。
重合は単独重合でも共重合でもよく、共重合の場合、共重合モノマーとしては、1種または2種以上の含フッ素モノマー、1種または2種以上の非フッ素化モノマー(例えば、エチレン)、含フッ素モノマーと非フッ素化モノマー(例えば、アルキルビニルエーテル)の組み合わせ等、いずれでもよい。各種の共重合モノマーの中でも、化学的安定性の観点からは含フッ素モノマーが好ましく、パーフルオロ(クロロ)オレフィンがより好ましく、テトラフルオロエチレン(TFE)やクロロトリフルオロエチレン(CTFE)がさらに好ましく、TFEが最も好ましい。
で表されるモノマーを例に説明する。
一般式(5):
で表される酸フルオリドを、炭酸ナトリウム等の炭酸塩と反応させて、一般式(6):
で表されるカルボン酸塩に変換した後、塩基の存在下で、相当するフルオロアルコール(RfOH)と反応させるか、相当するフルオロアルコールのアルカリ金属アルコキシドと反応させて一般式(7):
で表されるエステルを製造した後、加熱、脱炭酸反応により一般式(2)で表されるビニルモノマーとする方法。
一般式(8):
で表されるスルホン酸ハライドと、塩基の存在下、相当するフルオロアルコール(RfOH)とを反応させてエステル体を得る方法。最初に、一般式(8)の化合物中のビニル基の2重結合を、塩素、臭素等のハロゲン付加により保護した後、フルオロアルコールまたはそのアルコキシドと反応させ、最後に亜鉛等を用いて脱ハロゲン化反応を行い、ビニル基を再生することもできる。
一般式(5)で表される化合物をアルカリで処理して、まず一般式(9):
で表される塩に変換した後、加熱、脱炭酸して、一般式(10):
で表されるスルホン酸塩に変換し、次いで、リン塩素化物等で塩素化してスルホン酸クロリドとし、最後に2)の方法でエステル体を得る方法。この方法は、2)の方法の一部であるが、n=0のエステル体を得る場合に特に有用である。
一般式(11):
で表されるスルホン酸と、
CR1R2=CR3R4 (12)
(式中、R1、R2、R3およびR4は、一般式(1)と同じ。)
で表されるフルオロオレフィンとを反応させる方法。
この場合、Rfは−CR1R2CHR3R4となる。
この方法で用いられる、一般式(12)で表されるフルオロオレフィンの具体例として、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、3,3,3−トリフルオロプロペン等が挙げられ、中でもフッ化ビニリデンが好ましい。
これらの方法のうち、スルホン酸基を有するフッ素化モノマーへのフルオロオレフィンの付加反応による製造方法が、特に製法として容易なので好ましい。
本発明の方法で製造されるフッ素化スルホン酸ポリマーは、特に溶液または懸濁液化を伴う用途に用いることが有用である。すなわち、固体高分子型燃料電池用の膜をキャスト法で成膜する場合、およびガス拡散電極の触媒バインダーとしての用途である。上記のように、溶液または懸濁液は、プロトン性化合物を含む溶媒で、フッ素化スルホン酸ポリマーの製造と同時に製造することができるが、一旦、フッ素化スルホン酸ポリマーを製造してから溶解処理を行なってもよい。
ガス拡散電極の触媒バインダーとして用いる場合、バインダーを用いずに製造されたガス拡散電極に、フッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液を塗布、乾燥する方法、触媒金属を担持した導電材と、必要により撥水剤とを、フッ素化スルホン酸ポリマー溶液または懸濁液と混合し、適当な基材上に塗布、乾燥する方法等により製造することができる。この場合、触媒金属としては、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、それらの合金等が用いられるが、多くの場合、白金またはその合金が用いられる。触媒の担持量は、電極が形成された状態で0.01〜10mg/cm2程度である。導電材としては、各種金属や各種炭素材料が用いられ、カーボンブラック、グラファイト等が好ましい。
固体高分子型燃料電池用膜/電極接合体(以下、MEA、と略記する)は、電解質となる膜と、この膜に接合されるガス拡散電極とで構成され、膜とガス拡散電極との接合は、加圧、加温できる装置を用いて実施される。一般的には、例えば、ホットプレス機、ロールプレス機等により行われる。その際のプレス温度は、膜のガラス転移温度以上であればよく、一般的には130〜250℃である。プレス圧力は、使用するガス拡散電極の固さに依存するが、通常5〜200kg/cm2、好ましくは20〜100kg/cm2である。
国際公開第98/43952号パンフレットに記載の方法にしたがって合成した45.0gのCF2=CFOCF2CF2SO3Naを、63mlの濃硫酸と混合し、減圧蒸留(沸点90〜130℃/0.13kPa)することにより15.6gの無色液体を得た。この液体は、19F−NMR、1H−NMRより、CF2=CFOCF2CF2SO3Hであることが確認された(収率30%、純度80%)。
19F−NMR:δ(ppm、CFCl3基準)−137.7(dd,1F)、−124.2(dd,1F)、―118.9(s,2F)、−116.8(dd,1F)、−86.0ppm(s,2F)
1H−NMR:δ(Me4Si基準)10.5(s,1H)
19F−NMR:δ(ppm、CFCl3基準)−137.2(dd,1F)、−122.8(dd,1F)、―115.5(dd,1F)、−114.3(s,2F)、−84.5(s,2F)、−58.9ppm(s,2F)
EI−MS:m/z 100、97、81、65
CI−MS:360(M+NH4 +)
23℃で攪拌しながら内圧を0.3MPaに保つように適宜TFEを追加圧入した。5時間反応後、放圧し、30gのヘキサンを加え、白色の膨潤した沈殿物を得た。この沈殿物をヘキサン/HFC43−10mee(1/1,vol)で3回洗浄、乾燥して、4.8gの白色固体を得た。この固体のIRスペクトルからエステル基(1415cm−1)およびメチル基(3000cm−1)の吸収が確認され、この固体がスルホン酸エステルポリマーであることが確認された。
化学式(13):
モノマーの構造を19F−NMRで確認した。
19F−NMR δ(CFCl3基準):−146.6(q,1F)、−138.6(ddt,1F)、−124.4(dd,1F)、−116.9(dd,1F)、−115.9(s,2F)、−86.7(s,2F)、−82.2(s,3F)、−80.9(ABq,2F)、−77.5ppm(t,3F)
ステンレス製200ml耐圧容器に、上記エステルモノマー(使用前に回転バンド蒸留装置で精留したもの)15g、30gのHFC43−10meeおよび重合開始剤として(CF3CF2CF2COO)2の5%HFC43−10mee溶液0.64gを入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.3MPaに加圧した。25℃で攪拌しながら内圧を0.3MPaに保つよう適宜TFEを追加圧入した。3.5時間反応させた後、放圧し、白色の膨潤した固形物を得た。この固形物をアセトンで洗浄、乾燥して3.2gの白色粉末を得た。この粉末のIRスペクトルからエステル基の吸収(1460cm−1)が確認された。
参考例1で得られたスルホン酸エステルポリマー0.2gを熱プレス機上で、200℃で10分間予熱した後に熱プレスし、厚さ45μmのフィルムを得た。得られたフィルムのIRスペクトルを測定したところ、エステル基の吸収が完全に消失し、スルホン酸基(970,1058cm−1)の吸収が現れていることが確認された。また、滴定によりこのフィルムの交換基容量を測定したところ、当量重量で920g/当量であった。
参考例1で得られたスルホン酸エステルポリマー0.5gにメタノール20mlを加え、2時間加熱還流した。溶媒を乾燥除去後、50℃で真空乾燥して乾燥ポリマーを得た。得られた固体のIRスペクトルを測定したところ、エステル基の吸収が完全に消失し、スルホン酸基(970,1058cm−1)の吸収が現れていることが確認された。また、滴定によりこのポリマーの交換基容量を測定したところ、当量重量で900g/当量であった。
次に、ガラス内筒を備えた100mlの耐圧容器に、上記フッ素化スルホン酸ポリマー0.4g、および水/エタノール(1/1,wt)7.6gを仕込み、180℃で4時間加熱攪拌した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。
ガラス内筒を備えた100mlの耐圧容器に、参考例1で得られたスルホン酸エステルポリマー0.5g、および水/エタノール(1/1,wt)9.5gを仕込み、180℃で4時間加熱攪拌した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。この溶液または懸濁液をガラスシャーレ上に展開し、風乾して膜厚50μmのキャスト膜を作成した。得られた膜のIRスペクトルを測定したところ、スルホン酸膜であることが確認された。また、滴定によりこのフィルムの交換基容量を測定したところ、当量重量で900g/当量であった。
米国DE NORA NORTH AMERICA社製ガス拡散電極ELAT(登録商標)(Pt担持量0.4mg/cm2)に、実施例2で得られた溶液または懸濁液を、ポリマー担持量0.8mg/cm2となるように塗布し、140℃で乾燥し、ガス拡散電極とした。
2枚のガス拡散電極を向かい合わせ、その間に実施例3で得られた膜(160℃で1時間アニールしたもの)をはさみ、160℃、圧力50kg/cm2でホットプレスすることによりMEAを作製した。
集電体として厚さ約400μmのカーボンクロスを用い、MEAと集電体とを積層し、燃料電池単セル評価装置に組み込んだ。燃料に水素ガス、酸化剤に空気を用い、常圧、セル温度80℃で単セル特性試験を行った。水素ガスは45℃、空気は55℃で加湿をおこない、セルへ供給した。その結果、0.5、1.0A/cm2の電流密度でセルの出力電圧を確認し、発電されていることが確認された。
実施例3で得られた膜の代わりに、下記式(15):
実施例2で得られた溶液または懸濁液の代わりに、化学式(15)で表されるポリマー(当量重量950g/当量)の水/EtOH(1:1、質量比)溶液または懸濁液(ポリマー濃度5wt%)を用いた以外、実施例4と同様にMEAを作成し、単セル評価を行なった。その結果、0.5、1.0A/cm2の電流密度でセルの出力電圧を確認し、発電されていることが確認された。
参考例2で得られたスルホン酸エステルポリマー0.5gにジエチルアミン20mlを加え、1時間加熱還流した。ジエチルアミンを除去後、50℃で真空乾燥して乾燥ポリマーを得た。得られた固体のIRスペクトルを測定したところ、エステル基の吸収が完全に消失していた。次に、この固体を3N塩酸および水で洗浄し、50℃で真空乾燥して乾燥ポリマーを得た。得られた固体のIRスペクトルを測定したところ、スルホン酸基(970,1058cm−1)の吸収が現れていることが確認された。また、滴定によりこのポリマーの交換基容量を測定したところ、当量重量で940g/当量であった。
上記化学式(13)で表されるビニル化合物162gを120mlのHFC43−10meeに溶解させ、室温で61gの臭素を滴下した。室温でしばらく攪拌を続けた後、過剰の臭素と溶媒を留去してから減圧蒸留(沸点110℃/6.7kPa)により201gの無色液体を得た。この液体は、19F−NMRより臭素付加体(16):
19−NMR:δ(CFCl3基準)−146.6(s,1F)、−114.0(s,2F)、−87.5(dd,1F)、−83.6(dd,1F)、−81.5(s,3F)、−81.0(ABq,2F)、−73.0(d,1F)、−65.0(s,2F)、43.4ppm(s,1F)
次に、水酸化ナトリウム25.2gを溶解させた200mlのエタノール溶液を0℃に冷却し、得られた臭素付加体(16)182.1gを滴下し、0℃で1時間、室温で1.5時間、さらに60℃で1時間攪拌させた。この反応溶液を室温まで冷却させ、セライトを使ってこの溶液を濾過した後、濾液を減圧濃縮すると、淡黄色固体176.2gが得られた。この固体は、19F−NMRよりスルホン酸ナトリウム塩(17):
19F−NMR:δ(CFCl3基準)−145.9(d,1F)、−118.2(s,2F)、−86.0(dd,1F)、−82.2(dd,1F)、−80.5(s,3F)、−80.0(ABq,2F)、−73.2(s,1F)、−65.0ppm、(s,2F)
得られたスルホン酸ナトリウム塩(18)26.5gに濃硫酸30mlを加えて溶解後、減圧蒸留(沸点125〜130℃/0.13kPa)することにより17.7gの無色液体が得られた。この液体は、19F−NMR、1H−NMRよりスルホン酸(18):
19F−NMR:δ(ppm、CFCl3基準)−146.6(s,1F)、−116.9(s,2F)、−87.5(t,1F)、−83.0(t,1F)、−81.5(s,3F)、−80.6(ABq,2F)、−73.2(d,1F)、−65.0ppm(s,2F)
1H−NMR:δ(Me4Si基準)12.5(s,1H)、
ステンレス製100ml耐圧容器に、上記スルホン酸(18)14.4gを入れ、フッ化ビニリデンで0.4MPaに加圧した。25℃で攪拌しながら内圧を0.4MPaに保つように適宜フッ化ビニリデンを追加圧入した。フッ化ビニリデンの圧力低下が収まってから、さらに30分間、内圧を0.4MPaに保った後、放圧し、15.4gの無色液体を得た。この液体は19F−NMR、1H−NMRより、スルホン酸エステル(19):
19F−NMR:δ(ppm、CFCl3基準)−146.6(s,1F)、−115.0(s,2F)、−87.4(t,1F)、−83.0(t,1F)、−81.3(s,3F)、−80.6(ABq,2F)、−72.8(d,1F)、−64.9(s,2F)、―59.6ppm(s,2F)
1H−NMR:δ(Me4Si基準)1.8(t,3H)
窒素気流下、上記エステル体(19)11.3g、亜鉛粉末2.2g、およびアセトニトリル40mlを混合し、50℃で5分攪拌後、この反応混合物を濾過した。濾液を減圧濃縮後、減圧蒸留(沸点66〜67.5℃/0.8kPa)することにより、5.3gの無色液体を得た。この液体は、19F−NMR、1H−NMR、ガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GC−MASS)より、スルホン酸エステルモノマー(20):
19F−NMR:δ(ppm、CFCl3基準)−146.5(s,1F)、−138.6(dd,1F)、−124.3(dd,1F)、―116.8(dd,1F)、−115.5(s,2F)、−86.5(q,2F)、−82.1(s,3F)、−80.8(q,2F)、−60.1ppm(s,2F)
1H−NMR:δ(Me4Si基準)2.0(t,3H)
EI−MS:m/z 100、97、81、65
CI−MS:526(M+NH4 +)
ガラス内筒を備えた100mlの耐圧容器に、参考例3で得られたスルホン酸エステルポリマー0.5g、および水/エタノール(1/1,wt)9.5gを仕込み、180℃で4時間加熱攪拌した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。この溶液または懸濁液をガラスシャーレ上に展開し、風乾して膜厚50μmのキャスト膜を作成した。得られた膜のIRスペクトルを測定したところ、スルホン酸基(970,1058cm−1)の吸収が現れていることが確認された。また、滴定によりこのポリマーの交換基容量を測定したところ、当量重量で980g/当量であった。
Claims (3)
- 下記一般式(2):
、−CH(CF 3 )CH 2 F、−CH 2 CF 3 の中から選ばれるフルオロアルキル基である。)
で表されるモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合体であるフッ素化ポリマーを、1)50〜350℃で加熱処理する操作または、
2)プロトン性化合物を含む溶媒と接触させる操作のいずれか一方の操作により、スルホン酸を含有するポリマーへ変換することを特徴とするフッ素化スルホン酸ポリマーの製造方法。 - 上記プロトン性化合物を含む溶媒と接触させる操作が、プロトン性化合物を含む溶媒中、50〜250℃で加熱することである請求項1に記載の製造方法。
- 上記共重合体中の上記一般式(2)で表されるモノマー単位の割合が、9モル%以上16.8モル%以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
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