JP2005205643A - 結晶化速度の速いGaSb系相変化型記録膜およびこのGaSb系相変化型記録膜を形成するためのスパッタリングターゲット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原子%でGa:8〜14%、Pb:13〜16%を含有し、残部がSbおよび不可避不純物からなる組成を有する結晶化速度の速いGaSb系相変化型記録膜、並びにこのGaSb系相変化型記録膜をスパッタリングにより形成するためのターゲット。
【選択図】 なし
Description
このGa12Sb88共晶組成を有するGa−Sb二元系相変化型記録膜は、融点:588.0℃、結晶化温度:204.9℃を有し、このGa12Sb88共晶組成を有するGa−Sb二元系相変化型記録膜は、該膜と同一の成分組成を有する焼結合金からなるターゲットを用いてスパッタリングすることにより作製されることも知られている(例えば、非特許文献1参照)。
「PCOS2002」High‐Density&High−Speed Phase ChangeRecording Technologies for Future Generation Proceedings of The 14th Symposiumon Phase Change Optical Information Storage PCOS2002(2002年11月28、29日に静岡県伊東市の伊東大和館において開催)第11〜15頁。
(イ)通常のGa12Sb88共晶組成を有するGaSb共晶系相変化型記録膜にPb:13〜16%を添加したGaSb共晶系相変化型記録膜は、前記通常のGaSb共晶系相変化型記録膜に比べて結晶化速度が大きく、したがって一層高速の書き換えが可能となる、
(ロ)前記(イ)記載のGaSb系相変化型記録膜は、前記(イ)記載のGaSb系相変化型記録膜と同一の成分組成を有するターゲットを用いてスパッタリングすることにより得られる、という研究結果が得られたのである。
(1)原子%で(以下、%は原子%を示す)Ga:8〜14%、Pb:13〜16%を含有し、残部がSbおよび不可避不純物からなる組成を有する結晶化速度の速いGaSb系相変化型記録膜、
(2)Ga:8〜14%、Pb:13〜16%を含有し、残部がSbおよび不可避不純物からなる組成を有する前記(1)記載の結晶化速度の速いGaSb系相変化型記録膜を形成するためのスパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
この発明の結晶化速度の速いGaSb系相変化型記録膜に含まれるGaを8〜14%に限定したのは、Gaの含有量が8%未満では結晶化温度が低くなり過ぎるので好ましくなく、一方、Ga:14%を越えると、結晶化温度が高くなり過ぎて結晶化が困難になるので好ましくないことによるものである。
Pb成分は、GaSb系相変化型記録膜の結晶化速度を高めるために添加するが、これら成分を13%未満添加しても膜の結晶化速度を上げる効果が薄いので好ましくなく、一方、16%を越えて含有させると結晶化速度が極端に低下するので好ましくない。したがって、この発明のGaSb系相変化型記録膜に含まれるPbを13〜16%に定めた。
前記真空ホットプレスは、圧力:146〜155MPa、温度:370〜430℃、1〜2時間保持の条件で行なわれ、その後、モールドの温度が270〜300℃まで下がった時点で冷却速度:1〜3℃/min.で常温まで冷却することにより行われることが一層好ましい。
さらにGa、SbおよびPbをArガス雰囲気中で溶解し鋳造して合金インゴットを作製し、この合金インゴットをAr雰囲気中で粉砕することにより、いずれも粒径:250μm以下の合金粉末を作製し、この合金粉末を温度:400℃、圧力:146MPaで真空ホットプレスすることによりホットプレス体を作製し、これらホットプレス体を超硬バイトを使用し、旋盤回転数:200rpmの条件で研削加工することにより直径:125mm、厚さ:5mmの寸法を有する円盤状の表1に示される成分組成を有するサンプルターゲット1〜13を作製した。サンプルターゲット1は従来ターゲットと同じものである。
先に用意したZnS−SiO2ターゲットとポリカーボネート基板を直流マグネトロンスパッタリング装置に装入し、ZnS−SiO2ターゲットとポリカーボネート基板の間の距離を80mmとなるようにセットした後、到達真空度:4×10−4Pa(3×10−6Torr)以下になるまで真空引きを行い、その後、全圧:0.67Pa(5×10−3Torr)になるまでArガスを供給し、
・基板温度:室温、
・投入電力:300W、
の条件でスパッタリングを行い、ポリカーボネート基板の表面に、厚さ:100nmを有するZnS−SiO2保護膜を形成し、この厚さ:100nmを有するZnS−SiO2保護膜を形成したポリカーボネート基板を13枚作製した。
次に、表1に示されるサンプルターゲット1〜13を直流マグネトロンスパッタリング装置に装入し、サンプルターゲット1〜13と前記厚さ:100nmのZnS−SiO2保護膜を形成したポリカーボネート基板との間の距離を180mmになるようにセットした後、到達真空度:4×10−4Pa(3×10−6Torr)以下になるまで真空引きを行い、その後、全圧:0.83Pa(6.2×10−3Torr)になるまでArガスを供給し、
・基板温度:室温、
・投入電力:25W、
の条件でスパッタリングを行い、ポリカーボネート基板表面のZnS−SiO2保護膜の上に、いずれも厚さ:10nmを有するGaSb系相変化型記録膜1〜13を形成した。
前記厚さ:10nmを有するGaSb系相変化型記録膜1〜13を形成したポリカーボネート基板のGaSb系相変化型記録膜1〜13の上にさらに前記保護膜成膜条件と同じ条件で厚さ:15nmのZnS−SiO2保護膜を形成した後、先に用意したAgターゲットを前記厚さ:15nmのZnS−SiO2保護膜を形成したポリカーボネート基板との間の距離が80mmになるようにセットし、到達真空度:4×10−4Pa(3×10−6Torr)以下になるまで真空引きを行い、その後、全圧:0.67Pa(5×10−3Torr)になるまでArガスを供給し、
・基板温度:室温、
・投入電力:200W、
の条件でスパッタリングを行い、ポリカーボネート基板表面の前記膜厚:15nmのZnS−SiO2保護膜の上に、さらに膜厚:225nmを有する反射膜を形成した。
前記Media TestIはレーザーのパワーが最大29mWであり、結晶化のためのレーザーは1〜29mWの範囲において1mW刻みでレーザーのパワーを変えて結晶化速度を測定し、得られた結晶化速度の中で最も速い結晶化速度をそのサンプルの結晶化速度とした。
一般に、非晶質相から結晶質相へ変化する際、核形成→結晶化の過程を経て結晶質へ移行する。このMedia TestIを用いて結晶化速度を測定する方法は、同じ個所に核形成のためのレーザーおよび結晶化のためのレーザーを二回分けて連続照射し、結晶化のためのレーザー照射前後の結晶領域の半径の変化を測定し、さらに結晶化のためのレーザー照射時間を測定し、この測定値から、結晶化速度(m/s)=(結晶化のためのレーザー照射前後の結晶領域の半径の変化)/(結晶化のためのレーザー照射時間)の式で定義された線速度を求めたものである。
Claims (2)
- 原子%で(以下、%は原子%を示す)Ga:8〜14%、Pb:13〜16%を含有し、残部がSbおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする結晶化速度の速いGaSb系相変化型記録膜。
- 原子%で(以下、%は原子%を示す)Ga:8〜14%、Pb:13〜16%を含有し、残部がSbおよび不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1記載の結晶化速度の速いGaSb系相変化型記録膜を形成するためのスパッタリングターゲット。
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