JP2002373459A - 光ディスク保護膜用スパッタリング・ターゲット及びそれを用いて形成した光ディスク保護膜 - Google Patents

光ディスク保護膜用スパッタリング・ターゲット及びそれを用いて形成した光ディスク保護膜

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JP2002373459A
JP2002373459A JP2001179831A JP2001179831A JP2002373459A JP 2002373459 A JP2002373459 A JP 2002373459A JP 2001179831 A JP2001179831 A JP 2001179831A JP 2001179831 A JP2001179831 A JP 2001179831A JP 2002373459 A JP2002373459 A JP 2002373459A
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sputtering
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Tsukasa Nakai
司 中居
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 DCスパッタリングが可能で、かつデータ書
換え時の特性劣化が小さい、高記録密度対応の光ディス
クに好適な保護膜用スパッタリング・ターゲット及び光
ディスク保護膜の提供。 【解決手段】 実質的にZnSと、Al、In、Ag、
Cu、N、Li、Na及びClからなる群から選択され
る少なくとも1種のドーパント元素とを含有する原料混
合物を焼結して得られるターゲットであって、該ターゲ
ットの25℃における電気抵抗率が1×10−4〜1.
5×10Ω・cmであることを特徴とする、DCスパ
ッタリングの可能な光ディスク保護膜用スパッタリング
・ターゲット、さらには、これらを用いて作成した光デ
ィスク保護膜により提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク保護膜
用スパッタリング・ターゲット及びそれを用いて形成し
た光ディスク保護膜に関し、さらに詳しくは、DCスパ
ッタリングが可能で、かつデータ書換え時の特性劣化が
小さい、高記録密度に対応しうる光ディスクに好適な保
護膜用スパッタリング・ターゲット及び光ディスク保護
膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ情報、映像情報や音
楽情報の記録媒体である光記録ディスク(以下、単に光
ディスクともいう)の普及がめざましい。光ディスクに
は、CD(Compact Disk)、DVD(Di
gital Versatile Disk)、MD
(MiniDisk)等がよく知られ、記録、読取りの
方式によって構造は異なるが、いずれも透明な基板上に
複数の機能性薄膜が層状に形成されている。オーバーラ
イト(上書き)可能な光ディスクの場合、ポリカーボネ
ート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)
などプラスチック製の透明基板に、溝(ランド、グルー
プ)が設けられ、下部保護膜(下部誘電体膜ともい
う)、記録膜及び上部保護膜が順次形成され、上部保護
膜には、さらにAl−Ti系などの反射膜、紫外線(U
V)硬化樹脂がオーバーコート層として形成されてい
る。
【0003】これらの中で、相変化型光ディスク、すな
わち、光ディスク記録膜層の所定場所へレーザーを局所
的、かつ瞬間的に照射して加熱後、冷却しデータを記録
するタイプの光ディスクが最近になって注目を集めてい
る。この相変化型光ディスクには、CD−RW(Rew
ritable)、DVD−RW、DVD+RW、DV
D−RAM(Random Access Memor
y)及びDVRなどがあり、記録膜材料としては、In
−Se系、In−Sb−Te系、Ge−Te−Sb系、
Ag−In−Sb−Te系等の合金が一般的である。レ
ーザーの照射を受けた部分は、約500〜600℃で固
体から液体状態に相変態され、冷却されると再び固体状
態に戻るが、相変化型光ディスクは、このような記録膜
材料の性質を利用したものである。レーザー照射部分
を、結晶状態にするかアモルファス(非晶質)状態にす
るかは、冷却速度で制御され、記録データは、相状態に
よる膜の反射率の違いで読みとられる。
【0004】相変化型光ディスク記録膜層のレーザー照
射部(相変態部)は、記録時に大きな体積膨張と収縮に
遭遇する。記録膜層以外の層も同様に加熱、冷却される
ため、各層間で熱膨張係数に差が生じ、相当の応力(残
留応力を含む)が発生する。この現象は液体状態へ相変
態しない消去時でも同じである。このため保護膜には過
酷な環境に耐えて記録膜を保護する機能が要求され、光
学的な特性と共に重要な機能と位置付けられている。
【0005】従来の保護膜は、ZnSに対し、20mo
l%を超える量のSiOを添加して得たスパッタリン
グ・ターゲット(以下では、ZnS+SiO系ターゲ
ットと称する)で製造されている。スパッタリング法に
は、アルゴンプラズマを高周波で発生させる高周波スパ
ッタリング法(以下、RFスパッタリングと記述す
る)、直流電力で発生させる直流スパッタリング法(以
下、DCスパッタリングと記述する)があり、主流を占
めている。いずれも高効率化のため、ターゲットの裏側
にマグネットを配置してアルゴンプラズマをターゲット
直上に集中させ、アルゴンイオンの衝突効率を上げて低
いガス圧で成膜可能としたマグネトロン・スパッタ法が
付加されている。
【0006】ZnS+SiO系ターゲットを用いたス
パッタリング法として、例えば、特開11−22912
8号公報を挙げることができる。SiOと、Al
をそれぞれ特定量含有したZnSからなるスパッタリ
ング・ターゲットが開示され、ZnSのα型結晶、β型
結晶の混在比率を特定範囲にすることで、保護膜の製造
時にパーティクルを低減できるとしている。ところが、
このZnS+SiO系ターゲットは、その構成材料で
あるZnS、SiOが共に電気絶縁体であるため、D
Cスパッタリングによる成膜が困難なことから、専らR
Fスパッタリングによらねばならない。一般に、RFス
パッタリングは、DCスパッタリングに比べて成膜速度
が小さい。ZnS+SiO系ターゲットで成膜した保
護膜層は記録層の上下に2層必要であり、記録膜層、反
射膜層よりも厚膜化されることから、保護膜の成膜時間
が光ディスク生産の律速段階となっている。成膜速度を
上げるため大電力を投入してスパッタリングするが、Z
nS+SiO系ターゲットが脆く、熱伝導率が低いこ
とから、成膜時にターゲットが割れる危険性も増加して
いる。高強度のターゲットを用いても、割れ、クラック
の発生を完全に阻止するのは困難とされている。一方、
特開2001−11601号公報では、パーティクルが
発生し、基板へ異物が堆積する原因物質にSiOが関
与しているとして、これを使用せず、B 、P
などガラス形成酸化物の粉末をZnS粉末と混合し
て、特定条件で焼結し、光ディスク保護膜用材料を製造
する方法が開示されている。これによれば基板への異物
堆積を抑制しうるが、DCスパッタリングによる成膜の
可能性については記載されていない。
【0007】このような状況下、DCスパッタリングに
よって製造でき、データ書換え時の特性劣化が小さく、
高記録密度に対応しうる光ディスクに好適な保護膜用ス
パッタリング・ターゲットが切望されていた。
【0008】
【発明が解決しょうとする課題】本発明の目的は、こう
した従来技術の問題点に鑑み、DCスパッタリングが可
能で、かつデータ書換え時の特性劣化が小さく、高記録
密度に対応しうる光ディスクに好適な光ディスク保護膜
用スパッタリング・ターゲット及びそれを用いて形成し
た光ディスク保護膜を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、光ディスク用保護膜
の主成分となるZnSに、特定のドーパント元素、及び
所望に応じて特定の非晶質化剤を配合した後、これら原
料混合物を焼結したところ、DCスパッタリングが可能
で、かつデータ書換え時の特性劣化が小さく、高記録密
度に対応しうる光ディスク保護膜用スパッタリング・タ
ーゲットが得られることを見出し、本発明を完成させる
に至ったものである。すなわち、本発明の第1の発明に
よれば、実質的にZnSと、Al、In、Ag、Cu、
N、Li、Na及びClからなる群から選択される少な
くとも1種のドーパント元素とを含有する原料混合物を
焼結して得られるターゲットであって、該ターゲットの
25℃における電気抵抗率が1×10−4〜1.5×1
Ω・cmであることを特徴とする、DCスパッタリ
ングの可能な光ディスク保護膜用スパッタリング・ター
ゲットが提供される。
【0010】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、原料混合物は、さらに、SiO、T
iO、ZrO、Ta、Nb、SiC、
AlN及びBNからなる群から選択される少なくとも1
種の非晶質化剤を含有することを特徴とする、光ディス
ク保護膜用スパッタリング・ターゲットが提供される。
【0011】また、本発明の第3の発明によれば、第2
の発明において、非晶質化剤は、0.1〜20mol%
含有することを特徴とする光ディスク保護膜用スパッタ
リング・ターゲットが提供される。
【0012】一方、本発明の第4の発明によれば、第1
〜3のいずれかの発明に係るターゲットを用いて得られ
る光ディスク用保護膜が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光ディスク保護膜
用スパッタリング・ターゲット及びそれを用いて形成し
た光ディスク保護膜について詳細に説明する。
【0014】1.光ディスク保護膜用スパッタリング・
ターゲット 本発明の光ディスク保護膜用スパッタリング・ターゲッ
トは、実質的にZnSと、Al、In、Ag、Cu、
N、Li、Na及びClからなる群から選択される少な
くとも1種のドーパント元素とを含有する原料混合物を
焼結して、25℃における電気抵抗率を特定範囲内にす
ることが必要であり、これによって、DCスパッタリン
グに適用できる光ディスク保護膜用スパッタリング・タ
ーゲットを得ることができた。
【0015】主要な成分であるZnSとして、純度が9
9.99%以上に精製された原料を使用することが好ま
しいが、実質的には、ZnSやドーパント元素の原料
中、該ターゲットの製造中に混入しうる極く微量な不純
物は許容される。ZnSにはα型相、β型相の結晶状態
があるが、本発明ではα型相、β型相のいずれも使用で
き、それら混合物を用いてもよい。
【0016】ドーパント元素は、ZnSの電気抵抗を低
減させる機能を有する元素であって、Al、In、A
g、Cu、N、Li、Na及びClからなる群から少な
くとも1種を選択する。ドーパント元素は、ZnSの電
気抵抗率を下げる機能を主目的として添加されるが、熱
伝導率を向上させ、ZnSの結晶粒を微細化して非晶質
化(アモルファス化)させることにより、ターゲットを
割れ難くする機能も併せ持っている。
【0017】添加量は、元素の種類や、ZnSへの添加
方法によっても異なるため、ドーピング後のZnSがも
つ電気抵抗率で規定する。電気抵抗率は、Van de
rPauw法を用いて測定した数値である。通常、添加
量を多くすれば、電気抵抗率は下がるが、添加元素や添
加方法、後処理方法の如何によっては上昇することもあ
り、ターゲットの25℃における電気抵抗率が1×10
−4〜1.5×10 Ω・cmの範囲内となる量を予測
して添加する。通常、0.8〜2000ppmを目安と
すればよい。ドーピングにより、ZnSの電気抵抗率を
1×10−4Ω・cm未満とすれば、DCスパッタリン
グが容易になるが、膜の光学的特性が変化し、着色化な
どの現象が生じる。また、ZnS系の保護特性が大幅に
変化し、書換え時に光ディスクの特性が劣化する。逆
に、1.5×10Ω・cmを超えると、従来のように
DCスパッタリングができず、書換え時に光ディスクの
特性が劣化する。なお、これらの元素2種以上を添加し
ても、所望の特性を達成できる。組合わせうる元素とし
ては、AlとN、NaとLiなどがある。
【0018】本発明の光ディスク保護膜用スパッタリン
グ・ターゲットを製造するには、先ず、上記のドーパン
ト元素をZnS粉体に添加して原料混合物を調製する。
ZnS粉体は、ドーパント元素が均一に分散・混合でき
るよう、例えば粒径5μm以下に予め粉砕しておくこと
が望ましい。粉砕手段としては、ボールミル、ジェット
ミル、振動ミル、高速媒体拡散ミルなど公知の手段が採
用できる。原料混合物は、必要によりバインダーで結合
し、粒度を整えればよい。ドーパント元素として、N、
Na、Li、Al、In、Ag又はCuを用いる場合に
は、ZnS粉体中にそのまま添加する。また、Clは、
ZnCl粉体の化合物としてZnS粉体をドーピング
してもよい。この原料混合物を、アルゴンなど不活性ガ
ス雰囲気下、ホットプレス法などにより成形する。次い
で焼結炉に移し、1100℃以下の温度、250〜40
0Kg/cmの圧力で焼結する。焼結体は粗大結晶粒
(α−ZnS相)が起点となって割れを生ずると考えら
れ、これを防止するためには、950〜1100℃の温
度に設定するのが望ましい。かかる焼結工程だけでな
く、これに仮焼工程及び/又はアニール工程を付加すれ
ば、より低抵抗なターゲットの製造が期待できる。ホッ
トプレス法で成形した場合、焼結体の残留歪みを除去す
るため、焼結後に、降温中に圧力を抜重あるいは電気炉
に投入して、大気中又は真空中、500〜700℃で1
時間程度、焼結体を保持するとよい。こうして高密度、
高強度な焼結体を得ることができる。焼結体は最後に研
磨、切断などの機械加工を施し、銅板等に張り合わせれ
ばスパッタリング・ターゲットとなる。
【0019】原料混合物には、さらに、SiO、Ti
、ZrO、Ta、Nb 、SiC、A
lN及びBNからなる群から選択される少なくとも1種
の非晶質化剤を含有できる。これらの物質は、ZnSの
結晶構造の秩序を少なくとも部分的に乱して、非晶質化
する機能を有する。非晶質化剤は、記録膜や反射膜等と
の濡れ性等を向上させ、オーバーライト時のデータの劣
化を抑える機能も有する。特に好ましいのは、Si
、ZrOであり、中でもSiOが好適である。
【0020】本発明の光ディスク保護膜用スパッタリン
グ・ターゲットにおいて、かかる非晶質化剤は、ZnS
に対して0.1〜20mol%含有させる。ドーパント
元素を添加しているので、従来よりも非晶質化剤は少量
で済む利点があるが、0.1mol%未満では、オーバ
ーライト時のデータの劣化を抑制できない。逆に20m
ol%を越えると、電気抵抗が高くなり、DCスパッタ
リングを採用できず、たとえRFスパッタリングで保護
膜を作成しても、その光学的特性が変化し、着色化を招
く。特に好ましくは、5〜15mol%含有させる。こ
れらの非晶質化剤は、2種以上組合わせて添加してもよ
く、組合わせうる化合物としては、TiOとZr
、NbとAlNなどが挙げられる。なお、S
iC粉体、AlN粉体の市販品は比較的低純度である
が、前記ドーパントを添加すれば導電性粉体を調製で
き、特に、ドーパントとしてAlを用いると効果が大き
い。
【0021】2.光ディスク保護膜 本発明の光ディスク用保護膜は、光ディスクの記録膜を
物理的ストレスから保護するものであり、上記1.に記
載のターゲットを用いて得られる保護膜である。光ディ
スクは、前記の記録媒体であれば特に限定されず、あら
ゆる光記録ディスクを包含する。記録膜層はGe−Sb
−Te系、Ag−In−Sb−Te系に代表され、DC
スパッタリングなどで成膜されている。本発明の光ディ
スク保護膜もDCスパッタリングなどで成膜され、特に
相変化型光ディスクにおいて、データの書換えに伴なう
過酷な環境から記録膜層を保護できる。このような保護
膜は、高温・高湿状態でディスクを長時間放置しても、
ディスク特性を低下させることがない。
【0022】本発明の保護膜の膜厚は、記録膜層や反射
膜層と比べて厚く成膜される。本発明のターゲットを用
いれば、DCスパッタリングによって高い成膜速度を達
成できる。ターゲットが割れない程度の大電力を印加で
きるが、例えば600〜2600W、好ましくは100
0〜1500Wを投入してスパッタリングする。但し、
2600Wを超えるとターゲット割れの頻度が増加し好
ましくない。DCスパッタリング装置には、高周波電力
を同時に印加できる装置がある。放電開始時には着火性
や放電安定性が高いとされており、高抵抗のターゲット
でも使用できる利点がある。マグネトロン・スパッタ装
置は、ターゲット下部マグネットの強度が強いほど放電
し易く、本発明は、非磁性体ターゲット用のカソード
と、強磁性体ターゲット用のカソードが配置されたマグ
ネトロン・スパッタ装置も有効に適用できる。スパッタ
リング条件であるが、真空度、アルゴンガス圧などの性
能は、装置の機種によって異なり、前記した投入電力量
のほか、ターゲット・基板間距離、成膜時間は作成すべ
き保護膜によって適宜制御されるものである。なお、保
護膜の上に形成される反射膜層は、Al合金、Ag合金
など電気的に導体であるため、これにもDCスパッタリ
ングが適用できる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の具体的構成を実施例により詳
しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定
されるものではない。
【0024】(実施例1〜32)ZnSへ各種ドーパン
ト元素(0.8〜2000ppm)、又はこれと非晶質
化剤(0.1〜20mol%)を添加し、焼結体を製造
し特性を調べた。ZnSは純度99.99%の粉体(α
型相とβ型相の混合物)を用いた。ドーパント原料とし
て、純度99.99%のAl、Ag、Cu、In
及びZnClの粉体を選び、N、Na及びLiは、Z
nS粉体の調製時に添加した。Cl源にはZnCl
体を用いた。Al、In、Ag、Cu及びClについて
もZnS粉体の調製時に添加することで、より低抵抗の
ZnS粉体が得られた。非晶質化剤としては、Si
、TiO、ZrO、Ta、Nb
SiC、AlN及びBN粉体を用いた。SiC、AlN
は低純度であったが、ドーパント元素を添加することに
より導電性粉体とした。原料混合物は造粒・成形し、A
r等の不活性ガス雰囲気中、ホットプレス法により焼結
体を作製した。焼結工程だけでなく、仮焼、アニール工
程を加えてZnSを低抵抗化した。焼結体を機械加工し
てスパッタリング・ターゲットとした。ターゲット組成
および膜組成は、ICP(Induced Coupl
ing Plasma Analysis)、又はEP
MA(Electron Probe MicroAn
alysis)により分析し、ターゲット組成と膜組成
がほぼ同じになることを確認した。上記のターゲットを
用いて、DCスパッタリングが可能な領域を調査した。
上記の要領でドーパント元素、又はこれと非晶質化剤入
りの小さなZnS焼結体を作成し、25℃、真空中にお
ける電気伝導率、又は電気抵抗率を測定して判定した。
DCスパッタリング可能な低抵抗の組成系について、実
際にスパッタリング装置にて放電試験を行った。電気抵
抗率は、Van der Pauw法で測定し、Hal
l係数も測定して、良好なドーピング条件を検討した。
ターゲットサイズは、6インチ×3mmとした。スパッ
タリング装置として、日本真空技術(株)(ULVA
C)製、SBH−2306RDEを用い、表1の放電条
件において試験した。アネルバ(株)製のマグネトロン
・スパッタリング装置(ILC−3100)でも同様に
試験した。ZnSにドーパント元素のみ添加した時の結
果を表2、さらに非晶質化剤も添加した場合の結果を表
3に列挙した。Arガス圧、ターゲット・基板間の距離
(T/S間距離)を変化させると、安定に放電した領域
があり、現実にDCスパッタリング可能(○印)といえ
る。なお、高周波電力を同時に印加できるDCスパッタ
リング装置でも、純粋にDC電圧のみで放電できると判
定できた。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】(比較例1〜3)ZnSのみ用いた場合、
ドーパント元素としてAlを少量(0.7ppm)添加
した場合、少量(0.5ppm)のClと非晶質化剤
(20mol%のSiO )を添加した場合について、
上記実施例と同様にして、焼結体を製造し特性を調べ
た。現実にDCスパッタリング可能かどうか判定するた
め、Arガス圧、ターゲット・基板間の距離(T/S間
距離)を変化させたところ、表2、表3に示したよう
に、いかなる条件においても放電が起こらず、DCスパ
ッタリングは困難なことが分かった(×印)。
【0029】(実施例33)上記の放電試験によってD
C放電可能であったターゲットを用いて、ガラス基板上
に保護膜を成膜し、熱伝導性、屈折率、膜組織を観察し
た。膜の熱拡散率をACカロリメトリ法で、膜の比熱を
DSC(示差走査熱量計)で測定し、さらに膜密度も測
定した。これらは全て、25℃、真空中で行った。屈折
率はエリプソメータを用いて測定し、結晶組織はSEM
およびTEMで観察した。測定値から、(1)式によっ
て膜の熱伝導率を求めた。 λ=α・Cp・ρ ・・・(1)式 ここで、λ、α、Cp及びρは、それぞれ薄膜の熱伝
導率[W/m・K]、熱拡散率[cm/sec]、比
熱[J/g・K]及び密度[g/cm]である。その
結果、本発明のドーパント元素である、Al、In、A
g、Cu、N、Li、Na又はClを用いた場合、熱伝
導率はドーパント元素を用いないZnS膜よりやや増加
することが分かった。屈折率は、λ=780、650及
び400nmの3波長にて、ドーパント元素を用いない
ZnS膜とほぼ同等であり、膜組織は、ZnS+SiO
膜と同様なアモルファス相を形成していた。非晶質化
剤としてSiO、TiO、ZrO、Ta
Nb、SiC、AlN又はBNを用いた場合、熱
伝導率はZnS+SiO膜とほぼ同等であった。屈折
率は、λ=780、650及び400nmの3波長に
て、ほぼZnS+SiO膜と同様なアモルファス相を
形成していた。すなわち、本発明のターゲットを用いれ
ば、ZnS+SiO系ターゲットを用いた場合と同等
以上の保護膜が得られることが分かった。
【0030】(実施例34)上記保護膜を用いてCD系
用、DVD系用のディスク2種類を作成し、ディスク特
性を評価した。射出成形により作製された厚さ1.2m
m、直径120mm、ピッチ1.6μm、深さ50nm
の溝付きポリカーボネート基板上に、下部保護層、記録
層、上部保護層及び反射層を順次形成した(下部保護層
と、上部保護層はDCスパッタリングで成膜した)。続
いて、反射層の上に紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)を
スピンコート法により塗布、紫外線を照射、硬化させ、
オーバーコート層として5μm積層し、CD系の評価用
ディスクとした。一方、上記基板を、射出成形により作
製された厚さ0.6mm、直径120mm、ピッチ0.
8μm、深さ30nmの溝付きポリカーボネート基板に
代え、上記と同様にして、下部保護層、記録層、上部保
護層、反射層を順次形成した。さらに、UV硬化樹脂を
スピンコート法により塗布、硬化させ、オーバーコート
層として4μm積層し、これに何も形成されていない厚
さ0.6mm、直径120mmのポリカーボネート基板
(いわゆる、ブランク・ディスク)を、紫外線硬化樹脂
を用いて張り合わせ、DVD系用の評価用のディスクと
した。なお、記録膜層にはAgInSb69Te
25ターゲットを、保護膜層には本発明のターゲット
を、反射膜層にはAlTiが1.5at.%のターゲッ
トを用いた。CD系のディスクは、波長780nmの半
導体レーザー光を、NA0.55のレンズを通して、媒
体面で直径1μmのスポット径に絞り込んで基板から照
射し、ディスク特性を評価した。DVD系のディスク
は、波長633nmの半導体レーザー光をNA0.6の
レンズを通して、媒体面で直径0.5μmのスポット径
に絞り込んで基板から照射し、ディスク特性を評価し
た。成膜後の記録層は、非結晶であったが、ディスク特
性を測定するに際し、最初に媒体面で10mWのDC光
でディスク全面を十分に結晶化させ、それを初期(未記
録)状態とした。各線速にてレーザーパワーをPe/P
w=0.5として、Pwを8〜16mWまで変化させ、
CNR(キャリア対ノイズ比)が大きく、ジッターが小
さくなる条件を選択し、ディスク特性を測定した。この
ときの光ディスクの線速は、CD系のディスクに対して
は、2.0、5.0及び10.0m/secの3水準、
DVD系のディスクに対しては、7.0及び15.0m
/secの2水準とした。読み取りパワーPrは、0.
9mWとした。また、ディスク特性としては、CNR
(キャリア対ノイズ比)、ジッターの他に変調度も測定
した。また、記録層のCNRが大きく、ジッターが小さ
くなる条件にして、各ディスクを80℃、かつ85%R
Hの高温高湿の状態に500時間放置後、各線速にて再
生し、ディスク特性を測定した(この試験を、高温高湿
保管試験と称する)。その結果、本発明のターゲットを
保護膜層に用いれば、良好な初期特性を有する光ディス
クを作成でき、かつ高温高湿保管試験後はCNR、ジッ
ターおよび変調度にほとんど変化が見られなかった。
【0031】(比較例4)一方、比較例1〜3のターゲ
ットを用いて製造した光ディスクで、上記と同様に高温
高湿保管試験を行った。CNR、ジッターおよび変調度
が大きく変化してしまうか、初期特性において良好な特
性を有する光ディスクを作成できなかった。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、DCスパッタリングが
可能で、データ書換え時の特性劣化が小さく、高記録密
度に対応した光ディスクを製造するに好適な保護膜用ス
パッタリング・ターゲットを提供できることから、優れ
た性能の光ディスク保護膜が形成でき、その工業的価値
は極めて大きい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にZnSと、Al、In、Ag、
    Cu、N、Li、Na及びClからなる群から選択され
    る少なくとも1種のドーパント元素とを含有する原料混
    合物を焼結して得られるターゲットであって、該ターゲ
    ットの25℃における電気抵抗率が1×10−4〜1.
    5×10Ω・cmであることを特徴とする、DCスパ
    ッタリングの可能な光ディスク保護膜用スパッタリング
    ・ターゲット。
  2. 【請求項2】 原料混合物は、さらに、SiO、Ti
    、ZrO、Ta、Nb、SiC、A
    lN及びBNからなる群から選択される少なくとも1種
    の非晶質化剤を含有することを特徴とする、請求項1に
    記載の光ディスク保護膜用スパッタリング・ターゲッ
    ト。
  3. 【請求項3】 非晶質化剤は、0.1〜20mol%含
    有することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク保
    護膜用スパッタリング・ターゲット。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のターゲ
    ットを用いて得られる光ディスク用保護膜。
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