JP2005202016A - 液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フォーカルコニック状態が安定に維持され、しきい値急峻性が良好で、その結果優れた黒表示及び良好なスイッチング動作が可能な表示素子を提供すること。
【解決手段】 1対の表示基板の間に設けた表示層を有する液晶表示素子であって、前記表示層が、高分子バインダ及び液晶ドロップ若しくは液晶マイクロカプセルを含むか、又は液晶マイクロカプセルを含み、該液晶ドロップ中又は液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを有することを特徴とする液晶表示素子、及び表示層を作製する工程が、高分子バインダ及び液晶ドロップ若しくは液晶マイクロカプセルを含むか、又は液晶マイクロカプセルを含む表示層用塗布液を表示基板に塗布する工程と、前記液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程を有する液晶表示素子の製造方法、並びに高分子ネットワーク化された液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを含む表示層用塗布液を表示基板に塗布する工程を有する液晶表示素子の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを含む表示層を有するPDLC型液晶表示素子及びその製造方法に関する。
紙パルプの原料である森林資源の破壊や、ごみの廃却、焼却による環境汚染などから、オフィスを中心とする大量の紙の消費が問題になっている。しかしながら、パーソナルコンピュータの普及、インターネットを始めとする情報化社会の発達により、電子情報の一時的な閲覧を目的とする、いわゆる短寿命文書としての紙の消費は、益々増加する傾向にあり、紙に代わる書き換え可能な表示媒体の実現が望まれている。
そんな中、コレステリック液晶表示素子は無電源で表示を保持できるメモリ性を有すること,偏光板を使用しないため明るい表示が得られること,カラーフィルターを用いずにカラー表示が可能なことなどの特長を有することから近年注目を集めている。
液晶分子が螺旋構造を持つコレステリック液晶は、入射した光を右円偏光と左円偏光に分け、螺旋の捩じれ方向に一致する円偏光成分をブラッグ反射し、残りの光を透過させる選択反射現象を起こす。反射光の中心波長λ、及び反射波長幅Δλは、螺旋ピッチをp、平均屈折率をn、複屈折率をΔnとすると、それぞれλ=n・p、Δλ=Δn・pで表され、コレステリック液晶層による反射光は螺旋ピッチに依存した鮮やかな色を呈する。
正の誘電異方性を有するコレステリック液晶は、図7(A)に示すように、螺旋軸がセル表面に垂直になり、入射光に対して上記の選択反射現象を起こすプレーナ状態、同図(B)に示すように、螺旋軸がほぼセル表面に平行になり、入射光を少し前方散乱させながら透過させるフォーカルコニック状態、及び同図(C)に示すように、螺旋構造がほどけて液晶ダイレクタが電界方向を向き、入射光をほぼ完全に透過させるホメオトロピック状態、の3つの状態を示す。
上記の3つの状態のうち、プレーナ状態とフォーカルコニック状態は、無電圧で双安定に存在することができる。したがって、コレステリック液晶の配向状態は、液晶層に印加される電圧に対して一義的に決まらず、プレーナ状態が初期状態の場合には、印加電圧の増加に伴って、プレーナ状態、フォーカルコニック状態、ホメオトロピック状態の順に変化し、フォーカルコニック状態が初期状態の場合には、印加電圧の増加に伴って、フォーカルコニック状態、ホメオトロピック状態の順に変化する。一方、液晶層に印加した電圧を急激にゼロにした場合には、プレーナ状態とフォーカルコニック状態はそのままの状態を維持し、ホメオトロピック状態はプレーナ状態に変化する。そして、印加するパルス電圧の大きさによって上記3つの状態を相互に遷移させることができる。
この電気光学応答を示したものが図8である。図8中、曲線Aは初期状態がプレーナ状態の場合を示し、曲線Bは初期状態がフォーカルコニック状態の場合を示す。
図8において(a)で示す領域はプレーナ状態又はフォーカルコニック状態(選択反射状態又は透過状態)を、(b)で示す領域は遷移領域を、(c)で示す領域はフォーカルコニック状態(透過状態)を、(d)で示す領域は遷移領域を、(e)で示す領域はホメオトロピック状態を示し、ホメオトロピック状態で電圧を0にするとプレーナ状態(選択反射状態)に変化する。また、Vpf,90 、Vpf,10 、Vfh,10 、Vh,90とは、前記の2つの遷移領域の前後において、正規化反射率が90又は10になる電圧(正規化反射率が90以上を選択反射状態とし、10以下を透過状態とする)を意味する。
そして、コレステリック液晶層の背面に、少なくとも選択反射色と同じ波長の光を吸収する層を配置することで、プレーナ状態とフォーカルコニック状態を利用した反射型メモリ表示を実現できる。
コレステリック液晶表示素子は、一対の基板間に液晶を連続相として封入する構造のほかに、高分子バインダ中にコレステリック液晶をドロップ状に分散したPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造や、高分子バインダ中にマイクロカプセル化されたコレステリック液晶を分散したPDMLC(Polymer Dispersed Microencapsulated Liquid Crystal)構造にすることができる(以下の特許文献1ないし3を参照)。
PDLC構造やPDMLC構造を用いると、液晶の流動性が抑えられるため曲げや圧力に対する画像の乱れが小さくなり、フレキシブルな媒体を実現できる。また、複数のコレステリック液晶層を直接積層してカラー表示を行ったり、光導電層と積層して光信号で画像をアドレスする表示素子とすることもできる。更に、表示層を圧膜印刷技術を用いて形成することが可能となるため、製造方法が簡略化されて低コストになるという利点もある。
ところで、従来のPDLC構造表示素子における表示層の作製方法は、ブレンダーなどの乳化装置を用いて液晶を高分子バインダの水溶液中に乳化分散させて(あるいは高分子バインダを含まない水に乳化分散させて)、液晶ドロップ分散液を調製し(図9(A)参照)、これを表示基板に均一塗布(図9(B)参照)した後、溶剤を揮発させて(図9(C)参照)液晶ドロップが高分子バインダに保持された表示層を形成する(以下の特許文献1ないし3を参照)。図9において、31は液晶ドロップ、37は高分子バインダの水溶液、60は乳化装置、10は表示基板、70は塗布装置、30は表示層をそれぞれ示す。
溶剤が揮発する過程では、液晶ドロップには表示面に対して垂直方向(厚み方向)の体積収縮がより大きく起こるため、乾燥後の液晶ドロップは厚み方向に圧縮された偏平な球状になる。通常、高分子との界面付近に存在する液晶は高分子表面に平行な方向に配向するため、表示面に平行な内面を多く有する偏平した液晶ドロップ内では、コレステリック液晶はプレーナ配向する傾向が強い。
したがって、電圧を印加してプレーナ状態からフォーカルコニック状態へ変化させた場合、電場の開放にともなって界面付近の配向固定領域にならう方向に弾性力が発生し、プレーナ状態へと戻る現象が発生すると考えられ、その結果、フォーカルコニック状態の安定性が低くなる。筆者らの実験によると、この現象は、特に、オーダーパラメータの高い、つまり綺麗に並びやすい特性をもつネマチック液晶をホストとするコレステリック液晶で発生するケースが多い。したがって、例えば高温動作範囲を拡大するためにCh−I転移温度が高い高温型コレステリック液晶を用いた場合、オーダーパラメータが高いコレステリック液晶では、黒表示が白濁してコントラストが低くなるという問題を引き起こす。
このことを図により説明すると、図10は、表示面に垂直方向に圧縮された偏平な球状の液晶ドロップ31(31aはコレステリック液晶)に高電界(フォーカルコニック状態に変化させるに充分な電界)を印加した状態(図10(A))と、この状態から電界を除去した場合の液晶ドロップ31の界面近くにおける液晶の配列状態(図10(B))を示す概念図である。図10(A)が示すように、液晶ドロップにはその界面においてSで示す配向固定領域が存在し、この領域から、図で示すように曲がり液晶内部に向かって落ち込むような構造となることがある。そして、電界を除去すると図10(B)で示されるように、コレステリック液晶がもつ特性により、界面付近から液晶内部に向かって前記の配向固定領域にならう方向に弾性エネルギーが発生し、プレーナ状態へと戻る現象が生ずる。すなわち、フォーカルコニック状態の安定性が低下する。
また、フォーカルコニック状態が安定でないということは、選択反射状態(プレーナ状態)から光透過状態(フォーカルコニック状態)に変化するしきい値急峻性が小さいことをも意味する(図12の曲線Lを参照)。しきい値急峻性が大きいとは、図11の曲線L及びHのように、プレーナ状態(選択反射状態)からフォーカルコニック状態(透過状態)への変化が急峻であることを意味する。
しきい値急峻性は、複数のコレステリック液晶層を直接積層しそのしきい値電圧差を利用して、1つの外部信号でカラー表示を行う方式(例えば以下の特許文献1を参照)において重要なファクターの1つである。このカラー表示方式を用いる表示素子として、例えば、図13に2層のコレステリック液晶層を直接積層する場合を示す。図13中、100は表示素子、10、20は表示基板(11、21は基板、12、22は電極)、14は遮光層、30aは上部コレステリック液晶層(H層)、30bは下部コレステリック液晶層(L層)、200は表示素子100に書込みを行うための書込み部、220は書込み部における電圧印加部、240は書込み部における制御部をそれぞれ示す。
この場合、積層した2つのコレステリック液晶層の各層が、図11に示すような電気光学応答を示す、すなわち、曲線L(L層)及び曲線H(H層)のVa50とVb50との間及びVc50とVd50との間が充分に広く(しきい値電圧差が大きい)、かつ大きいしきい値急峻性を有することが必要である。そして、外部から印加される1つのパルス電圧に対して、2つのコレステリック液晶層に前記のごとき電圧が印加されるようにするためには、各コレステリック液晶の物性(静電容量、抵抗値等)を調整することにより各層に印加される分圧を制御する。このようにして、2つの表示層の反射状態を1つの外部信号で個別に制御可能となる。
ここで、Va50とVb50との間及びVc50とVd50との間の電圧幅を大きくして動作マージンを拡大するには、各表示層への容量分圧比を大きくすればよく、2つの表示層の誘電率比を大きくする方法が有効である。
ところが、現在、図11で示すVa50とVb50との間の電圧幅を十分に確保することが可能な液晶の種類が乏しく選択の範囲が限られているため、L層のコレステリック液晶としてプレーナ状態での誘電率が小さい材料を用いざるをえないのが実情である。このような材料として、分子短軸方向に極性基を持たず、オーダーパラメータの高いネマチック液晶をホストとするコレステリック液晶を用いることが好ましいが、上述のように、この種のコレステリック液晶は、プレーナ状態からフォーカルコニック状態への配向変化のしきい値急峻性が悪い問題があるため、図12に示すように、Va50とVb50との間の電圧幅を確保することができず、スイッチング動作が行えないという問題を引き起こしてしまう。
特公平7−009512号公報 特開平09−236791号公報 特許第3178530号明細書(段落0159〜0161)
本発明は、前記のごとき問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フォーカルコニック状態が安定に維持され、しきい値急峻性が良好で、その結果優れた黒表示及び良好なスイッチング動作が可能なPDLC、またはPDMLC型の表示素子を提供することにある。
前記課題は、以下の液晶表示素子及びその製造方法を提供することにより解決される。
(1)基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板、及び前記一対の表示基板の電極の間に設けた表示層を有する液晶表示素子であって、前記表示層が、高分子バインダ及び液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを含み、該液晶ドロップ中又は液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを有することを特徴とする液晶表示素子。
(2)液晶がコレステリック液晶であることを特徴とする前記(1)に記載の液晶表示素子。
(3)基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板の電極の間に表示層を設ける工程を有する液晶表示素子の製造方法であって、前記表示層を設ける工程が、表示基板の電極の上に、高分子バインダ及び溶媒を含む溶液に液晶及びモノマーを含む液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルが分散された表示層用塗布液を塗布する塗布工程、前記液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程を有することを特徴とする前記(1)に記載の液晶表示素子の製造方法。
(4)前記高分子ネットワーク形成工程が、表示層用塗布液の塗布中、又は塗布後乾燥前若しくは乾燥後に行われることを特徴とする前記(3)に記載の液晶表示素子の製造方法。
(5)基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板の電極の間に表示層を設ける工程を有する液晶表示素子の製造方法であって、前記表示層を設ける工程が、液晶及びモノマーを含む液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを作製する工程、前記液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程、表示基板の電極上に、高分子バインダー及び溶媒を含む溶液に前記高分子ネットワーク化液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルが分散された表示層用塗布液を塗布する工程を有することを特徴とする前記(1)に記載の液晶表示素子の製造方法。
(6)前記モノマーがUV光により重合するUV重合モノマーであり、前記高分子ネットワーク形成工程において、前記液晶及びUV重合モノマーを含む液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルにUV光を照射して前記UV重合モノマーを重合することにより、前記液晶ドロップ中又は液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを形成することを特徴とする前記(3)又は(5)に記載の液晶表示素子の製造方法。
(7)前記モノマーが熱により重合する熱重合モノマーであり、前記高分子ネットワーク形成工程において、液晶及び熱重合モノマーを含む液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを加熱して前記熱重合モノマーを重合することにより、前記液晶ドロップ中又は液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを形成することを特徴とする前記(3)又は(5)に記載の液晶表示素子の製造方法。
(8)基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板、及び前記一対の表示基板の電極の間に設けた表示層を有する液晶表示素子であって、前記表示層が液晶マイクロカプセルを含み、該液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを有する液晶表示素子。
(9)液晶がコレステリック液晶であることを特徴とする前記(8)に記載の液晶表示素子。
(10)基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板の電極の間に表示層を設ける工程を有する液晶表示素子の製造方法であって、前記表示層を設ける工程が、表示基板の電極の上に、溶媒に液晶及びモノマーを含む液晶マイクロカプセルが分散された表示層用塗布液を塗布する塗布工程、前記液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程を有することを特徴とする前記(8)に記載の液晶表示素子の製造方法。
(11)前記高分子ネットワーク形成工程が、表示層用塗布液の塗布中、又は塗布後乾燥前若しくは乾燥後に行われることを特徴とする前記(10)に記載の液晶表示素子の製造方法。
(12)基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板の電極の間に表示層を設ける工程を有する液晶表示素子の製造方法であって、前記表示層を設ける工程が、液晶及びモノマーを含む液晶マイクロカプセルを作製する工程、前記液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程、表示基板の電極上に、溶媒に前記高分子ネットワーク化液晶マイクロカプセルが分散された表示層用塗布液を塗布する工程を有することを特徴とする前記(8)に記載の液晶表示素子の製造方法。
(13)前記モノマーがUV光により重合するUV重合モノマーであり、前記高分子ネットワーク形成工程において、前記液晶及びUV重合モノマーを含む液晶マイクロカプセルにUV光を照射して前記UV重合モノマーを重合することにより、前記液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを形成することを特徴とする前記(10)又は(12)に記載の液晶表示素子の製造方法。
(14)前記モノマーが熱により重合する熱重合モノマーであり、前記高分子ネットワーク形成工程において、液晶及び熱重合モノマーを含む液晶マイクロカプセルを加熱して前記熱重合モノマーを重合することにより、前記液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを形成することを特徴とする前記(10)又は(12)に記載の液晶表示素子の製造方法。
本発明の表示素子は、表示層における液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを高分子ネットワーク化したため、フォーカルコニック状態が安定に維持されるため優れた黒表示を行うことができ、また、しきい値急峻性が良好なため良好なスイッチング動作が可能である。
本発明の第1の表示素子は、表示層に高分子バインダ及び液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを含み、かつ液晶ドロップ中又は液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークが形成されていることを特徴とする。また、第2の表示素子は、表示層に液晶マイクロカプセルを含み、かつ液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークが形成されていることを特徴とする。
図1に、本発明の第1の表示素子の実施形態を示す。
第1の実施形態の表示素子は、表示層に液晶ドロップを含む態様で、図1中、100は表示素子、10、20は一対の表示基板を示し、11及び21は基板を、12及び22は、基板11及び21に設けられた電極を示し、表示基板10、20はそれぞれの電極が対向するように配置される。14は非表示面側の電極の上に設けられた遮光層を示す。30は表示層を示し、表示層は高分子ネットワーク化されたコレステリック結晶ドロップ32及び高分子バインダ34を含む。前記液晶ドロップの32aはコレステリック液晶を、32cは高分子ネットワークを示す。16は遮光層14と表示層30の間に形成された接着層を示す。
図2に、本発明の第1の表示素子の他の実施形態を示す。
この実施形態では、表示層として、コレステリック液晶を高分子シェルに包み込んだコレステリック液晶マイクロカプセルを高分子バインダ中に分散保持している点だけが第1実施形態と異なっている。図1と同じ符号を付したものは同じものを意味する。図2において36は液晶マイクロカプセルを示し、36aはコレステリック液晶を、36bはマイクロカプセルの高分子シェルを、36cは高分子ネットワークをそれぞれ示す。
本発明における液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルにおいては、液晶からなる連続相の中に高分子のネットワークが形成されているため、前述のごときコレステリック液晶の特性に基づく弾性力が働かずフォーカルコニック状態が安定に維持される。
このことを図3により説明する。図3(A)及び図3(B)中、32は高分子ネットワーク化された液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを、32aはコレステリック液晶を、32cは液晶ドロップ等の内部に形成された高分子ネットワークをそれぞれ示す。図3が示すように、コレステリック液晶内部に配向が不整合になる部分(高分子ネットワーク部分)があらかじめ導入されている。
また、図3(A)は高電界を印加した状態を示し、プレーナ状態からフォーカルコニック状態へ変化したことを示し、図3(B)は前記の状態から印加電圧を0に変化させたときの状態を示す。
液晶ドロップ等の内部に高分子ネットワークが形成されていると、電圧の印加によってプレーナ状態からフォーカルコニック状態へ変化した場合、その不整合部を起点としてマルチドメイン構造が作りやすくなる、つまり、電場による誘電エネルギが液晶の弾性エネルギとして蓄積されるのではなく、ドメイン間の界面エネルギとして散逸されるようになる。そして、図3(B)が示すように、電場を開放した際にプレーナ状態に戻そうとする弾性力を発揮させず、フォーカルコニック状態が安定に維持されるようになる。
また、本発明の第2の表示素子は、その表示層中に高分子ネットワーク化された液晶マイクロカプセルを含み、高分子バインダを含まないものである。前記図2に示す液晶マイクロカプセルを用いる表示素子の場合は、高分子バインダは必ずしも必要ではなく、表示層に液晶マイクロカプセルだけを含む表示素子とするものも本発明の中に含まれる。
次に、前記で説明した表示素子に用いる各構成部材について説明する。
基板は、絶縁性を有する、ガラスやシリコン、又はポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどの高分子フィルムを用いて形成され、少なくとも観察面側の基板は、入射光及び反射光に対して透過性を有する材料により形成する。また必要に応じて、基板の表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
電極は、導電性を有する、金やアルミなどの金属薄膜、酸化インジウムや酸化スズなどの金属酸化物、又はポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリンなどの導電性有機高分子を用いて形成され、少なくとも観察面側にある電極は、入射光及び反射光に対して透過性を有する材料により形成する。また必要に応じて、その表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
表示層は、コレステリック(カイラルネマチック)液晶を高分子バインダ中にドロップ状に分散保持した構造からなる。コレステリック液晶ドロップが均一なサイズの多面体形状からなり、表示素子の厚み方向に重なり合わず単層稠密に配置されていることが好ましい。
コレステリック液晶として、ステロイド系コレステロール誘導体、あるいはシッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系などの光学活性材料からなるカイラル成分を、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系などのネマチック液晶やスメクチック液晶、又はこれらの混合液晶に添加した材料を用いることができる。
高分子バインダとして、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマーなどの水溶性高分子材料、あるいはフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの水性エマルジョン化できる材料のように、液晶材料に溶解せず、また液晶と相溶しない液体を溶剤とする高分子材料を用いる。
接着層は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂など、熱や圧力によって表示層と遮光層を密着させることができる材料を用いる。なお、接着層を挿入する位置はこの実施形態に限らず、電極と表示層の間、電極と遮光層の間とすることもできる。電極と表示層の間に接着層を形成する場合は、少なくとも入射光及び反射光に対して透過性を有する材料により形成する。
遮光層は、絶縁性を有する、カドミウム系、クロム系、コバルト系、マンガン系、カーボン系などの無機顔料、又はアゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系、アントロン系などの有機染料や有機顔料、あるいはこれらを高分子バインダーに分散した材料を用いて形成され、少なくとも反射光に対して、光吸収性を有するように構成する。
次に、本発明の表示素子の作製方法について説明する。
前記第1の表示素子を作製する第1の方法は、前記表示層を設ける工程が、表示基板の電極の上に、高分子バインダ及び溶媒を含む溶液に液晶及びモノマーを含む液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルが分散された表示層用塗布液を塗布する塗布工程と、前記液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程を行うことを特徴とする。
また、前記第1の表示素子を作製する第2の方法は、表示層用塗布液を表示基板に塗布する際、既に、該塗布液に高分子ネットワーク化された液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルが含有されている方法である。
まず、前記第1の表示素子を作製する第1の方法について説明する。
[塗布工程]
(表示層用塗布液の調製)
<液晶ドロップの作製>
まず、液晶とモノマーを含む液晶ドロップを作製する。モノマー(高分子前駆体を含む)は重合することにより高分子化し液晶ドロップ中に高分子ネットワークを形成するものであれば特に制限なく用いられる。重合形態は、光重合、熱重合、電子線重合等があり、光重合性モノマーとしては紫外線硬化性モノマー又は樹脂が、熱重合性モノマーとしては熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等)が用いられる。中でも光重合性モノマーが反応速度が大きく、他のプロセスにおける温度変化に対して不要な重合反応を起さず安定である点から好ましい。前記モノマーは液晶と相溶性を有し、後述の液晶ドロップを作製する際に用いる連続相に溶解しないものが好ましい。
液晶ドロップの作製は、液晶とモノマーを均一に混合溶解させた分散相を、分散相と相溶しない連続相、例えば、水相中にドロップ状に乳化させる。乳化手段としては、分散相と連続相を混合した後、ホモジナイザ−などの機械的なせん断力で分散相を微小な液滴として分散させる方法や、分散相を連続相中に多孔質膜を通して押出し、微小な液滴として分散させる膜乳化法などを用いることができる。特に膜乳化法は乳化液滴の粒径ばらつきが小さくなるため、均一な粒径の液晶ドロップを形成することができるため好ましい。なお、乳化時の連続相中に、乳化を安定させるための界面活性剤、あるいは、バインダになる高分子材料をあらかじめ混合しておいてもよい。
<液晶マイクロカプセルの作製>
また、液晶及びモノマーを含む液晶マイクロカプセルは以下のようにして作製される。 高分子シェル内に液晶及びモノマーが内包された液晶マイクロカプセルの調製においては、公知のマイクロカプセル化手法、たとえば、相分離法、界面重合法、in situ重合法を用いることができる。例えば、前記のごとくして作製した液晶ドロップの周囲に以下のごとき高分子シェルを形成する。
高分子シェルとしては、ゼラチン、セルロース誘導体、ゼラチン−アラビアゴム、ゼラチン−ゲランゴム、ゼラチン−ペプトン、ゼラチン−カルボキシメチルセルロース、ポリスチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、ポリフェニルエステル、ポリウレタン、ポリウレア、メラミンホルマリン樹脂、フェノールホルマリン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂など、内包する液晶材料に溶解しない材料を用いる。
具体的には、前記のごとくして作製した液晶ドロップを高分子シェル材料を含む溶液中に分散させ、又は前記材料に応じて熱硬化などさせ、液晶ドロップの周囲に高分子シェルを形成する。また、ウレタン・ウレア系の高分子シェルを作る場合には、あらかじめ液晶ドロップに多価イソシアネート化合物を含ませておき、液晶ドロップを多価アルコールを含む溶液中に添加してウレタン・ウレア生成反応を起こさせることが好ましい。
<表示層用塗布液の調製>
表示層用塗布液は、前記のごとくして調製した液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルに、必要に応じ他の添加成分、例えば、高分子バインダ、界面活性剤、沈降防止剤、酸化防止剤、消泡剤、粘度調整剤等を加えて調製される。
<表示層用塗布液の塗布>
表示基板の電極の上に表示層用塗布液を塗布する。アプリケータ、エッジコータ、スクリーンコータ、ロールコータ、カーテンコータ、ダイコータなど所望のウェット厚に塗布できる公知の装置を用いて基板へ塗布し、加熱、減圧、エアブローなどを行って塗布膜を乾燥させる。乾燥した膜は、コレステリック液晶とモノマーが均一に溶解した分散相が、高分子バインダ中にドロップ状に分散された構造になる。
<高分子ネットワーク形成工程>
高分子ネットワークの形成は、前記モノマーが光重合性モノマーの場合には紫外線等の光を塗布層に照射すればよく、熱重合性モノマーの場合には塗布層を重合温度に加熱すればよい。高分子ネットワークの形成は、表示層用塗布液の塗布中であってもよく、また、塗布後乾燥する前であってもよく、更に乾燥後のいずれの段階で行ってもよい。
前記第1の方法について液晶ドロップを用いる場合を図4により説明する。液晶マイクロカプセルの場合も同様である。
図4(A)に示すように、乳化装置60を用いて、高分子バインダ溶液37中に、液晶とモノマーを含む分散相を乳化分散させて、液晶とモノマーを含む液晶ドロップ31の乳化液を調製する。次に、このようにして調製した液晶ドロップに必要に応じて他の添加剤を添加し、表示層用塗布液を調製し、図4(B)に示すように、表示層用塗布液を塗布装置70を用いて表示基板10上に塗布する。図4(C)は塗布層から溶媒を揮散させる乾燥工程を示す。その後、図4(D)に示すように高分子ネットワーク化を行う。80は高分子ネットワーク化装置(紫外線照射装置、加熱装置等)であり、モノマーの種類によって適宜選択する。この高分子ネットワーク化により液晶及びモノマーを含む液晶ドロップ31の内部には高分子ネットワーク32cが形成され、本発明の高分子ネットワーク化液晶ドロップ32を含む表示層30が作製される。
次に本発明の第1の表示素子を作製するための第2の方法について説明する。第2の方法は、表示層用塗布液として高分子ネットワーク化された液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルが含有されている塗布液を用いる方法である。この第2の方法における高分子ネットワークの形成は、液晶及びモノマーを含む液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルの乳化液調製後であって、表示基板への塗布前であればいつ行ってもよい。また、液晶マイクロカプセルの場合には、高分子シェルを形成する前の液晶ドロップ状態のときに高分子ネットワーク化を行っても、高分子シェルを形成した後に行ってもよい。
また、本発明の第2の表示素子を作製する方法は、前記第1の表示素子を作製する第1及び第2の方法とは、表示層用塗布液中にバインダを含まない点だけが異なる他は同様にの工程により行われる。
以下に実施例を示し本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「部」及び「質量%」を意味する。
実施例1
トラン骨格をもつフッ素系ネマチック液晶(大日本インキ化学工業社製)84.0%と、カイラル剤1(R811、メルク社製)12.8%と、カイラル剤2(R1011、メルク社製)3.2%とを混合して、グリーン〜イエローの色光を選択反射するコレステリック液晶組成物を調製した。
更に、このコレステリック液晶にチオール系UV重合モノマー(NOA65、ノーランド社製)を3%添加し、常温で均一に混合溶解させて分散相とした。
前記分散相1部に、部分けん化PVA(重合度500、和光純薬工業社製)の5.0%水溶液8部を混合した溶液を、ホモジナイザ装置(GLH型、オムニ社製)を用い、10000rpmの条件で乳化して表示層用塗布液を得た。
室温状態の前記表示層用塗布液を、ITO透明電極をスパッタした125μm厚のPET表示基板(ハイビーム、東レ社製)の上に、塗布後のウェット膜厚が100μmになるようにギャップを調整したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。
これを60℃のホットプレート上に載せて塗膜内の水分を蒸発させて乾燥させた後、20mW/cm2(365nm)のUV光を60秒照射してモノマーを重合させた。
一方、対向側の表示基板にもITO透明電極をスパッタした125μm厚のPET基板(ハイビーム、東レ社製)を用い、その電極上にカーボンブラック顔料を分散させたポリビニルアルコール水溶液を2.0μm厚にスピンコート塗布して遮光層を形成した。
更に、前記遮光層の上に、ウレタン系ラミネート剤(LX719/KY−90、大日本インキ化学工業社製)を1μm厚にスピンコート塗布して接着層を形成した。
前記表示層と接着層が対向するように二枚の表示基板を重ね合わせて、100℃のラミネータを通して接着することにより、表示素子を得た。
実施例2
実施例1と同様にしてコレステリック液晶組成物を調製し、液晶組成物に対してジアクリレートオリゴマー(Kayarad HX620、日本化薬社製)を3%、光開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュア1173、メルク社製)をオリゴマーに対して2%添加し、常温で均一に混合溶解させて分散相とした。
前記分散相を、4.2μm径のセラミック多孔質膜をセットした膜乳化装置(マイクロキット、SPGテクノ社製)を用いて、窒素圧力0.13kgf/cm2の条件下で、0.25%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液中に乳化した。
得られたエマルジョンに、水溶性メラミンホルマリン樹脂(MX−035、三和ケミカル社製)を分散相の1/5部添加し、65℃で3時間反応させて、コレステリック液晶とUV重合オリゴマーがメラミンホルマリン樹脂のシェルに包まれた液晶マイクロカプセルスラリーを得た。
次に、前記スラリーを静置してマイクロカプセルを沈降させ、上澄みを除去して濃縮した。濃縮されたスラリー1部に対して、不揮発分濃度が40%の水性シリコーンエマルジョン(MF−56、信越化学工業社製)を1/2部、イオン交換水を3部添加して、表示層用塗布液を得た。
室温状態の前記表示層用塗布液を、ITO透明電極をスパッタした125μm厚のPET表示基板(ハイビーム、東レ社製)の上に、塗布後のウェット膜厚が100μmになるようにギャップを調整したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。
これを、60℃のホットプレート上に載せて塗膜内の水分を蒸発させて乾燥させた後、20mW/cm2(365nm)のUV光を60秒照射してモノマーを重合させた。
一方、対向側の表示基板にもITO透明電極をスパッタした125μm厚のPET表示基板(ハイビーム,東レ社製)を用い、その電極上にカーボンブラック顔料を分散させたポリビニルアルコール水溶液を2.0μm厚にスピンコート塗布して遮光層を形成した。
更に、前記遮光層の上に、ウレタン系ラミネート剤(LX719/KY−90、大日本インキ化学工業社製)を1μm厚にスピンコート塗布して接着層を形成した。
前記表示層と接着層が対向するように二枚の表示基板を重ね合わせて、100℃のラミネータを通して接着することにより、表示素子を得た。
実施例3
実施例1と同様にしてコレステリック液晶組成物を調製し、前記組成物に対しビスフェノールA型エポキシモノマー(エピコート828 ジャパンエポキシレジン社製)を1.5%、メルカプタン系硬化剤(カップキュア3−800 ジャパンエポキシレジン社製)を1.5%添加し、常温で均一に混合溶解させて分散相とした。
前記分散相1部に、部分けん化PVA(重合度500,和光純薬工業社製)の5.0%水溶液8部を混合した溶液を、ホモジナイザ装置(GLH型、オムニ社製)を用い、10000rpmの条件で乳化して表示層用塗布液を得た。
室温状態の前記表示層用塗布液を、ITO透明電極をスパッタした125μm厚のPET表示基板(ハイビーム、東レ社製)の上に、塗布後のウェット膜厚が100μmになるようにギャップを調整したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。
これを、真空チャンバー内で塗膜内の水分を蒸発させて乾燥させた後、60℃のオーブン内で3時間加熱してモノマーを重合させた。
一方、対向側の表示基板にもITO透明電極をスパッタした125μm厚のPET表示基板(ハイビーム,東レ社製)を用い、その電極上にカーボンブラック顔料を分散させたポリビニルアルコール水溶液を2.0μm厚にスピンコート塗布して遮光層を形成した。
更に、前記遮光層の上に、ウレタン系ラミネート剤(LX719/KY−90、大日本インキ化学工業社製)を1μm厚にスピンコート塗布して接着層を形成した。
前記表示層と接着層が対向するように二枚の表示基板を重ね合わせて、100℃のラミネータを通して接着することにより、表示素子を得た。
比較例1
実施例1において、分散相にUV重合モノマーを添加せず、乾燥後のUV照射を行わなかったこと以外は、同様の手法によって表示素子を得た。
(表示特性の測定)
実施例1と比較例1の表示素子の、電気光学応答及びフォーカルコニック状態における表示特性を、積分球型分光測色計(CM2022型、ミノルタ社製)を用いて測定した。図5に電気光学応答の測定結果を、図6にフォーカルコニック状態の反射スペクトルを示す。また、これらに基づき、表1に、プレーナ状態からフォーカルコニック状態に変化する際のしきい値急峻性(γpf=(Vpf,10− Vpf,90)/Vpf,50)と、フォーカルコニック状態の視感反射率Y値(黒反射率Ymin.)を示す。ここで、Vpf,90 、Vpf,50、Vpf,10は、それぞれプレーナ状態からフォーカルコニック状態に変化する際に正規化反射率が90%、50%、10%になる電圧とする。
Figure 2005202016
これから明らかなように、本発明の表示素子は、プレーナ状態からフォーカルコニック状態に変化する際のしきい値急峻性が高く、また、フォーカルコニックによる暗状態での反射率が低い特性を有している。
表示層に液晶ドロップを含む本発明の表示素子の一例を示す概念図である。 表示層に液晶マイクロカプセルを含む本発明の表示素子の一例を示す概念図である。 本発明の表示装置において、フォーカルコニック状態の安定性が良好なことを説明する概念図で、(A)は液晶ドロップに高電界をかけた状態を、(B)は電界を除去した状態を示す。 本発明の表示装置における表示層の作製過程を示す概念図であり、(A)は乳化工程、(B)は塗布工程、(C)は乾燥工程、(D)は高分子ネットワーク化工程を示す。 実施例及び比較例1の表示素子の電気光学応答を示すグラフである。 実施例1及び比較例1の表示素子のフォーカルコニック状態における反射スペクトルを示すグラフである。 コレステリック液晶の配列状態を示す図である。 正の誘電異方性をもつコレステリック液晶の電気光学応答を示すグラフである。 従来の表示装置における表示層の作製過程を示す概念図で、(A)は乳化工程、(B)は塗布工程、(C)は乾燥工程をそれぞれ示す。 従来の表示装置においてフォーカルコニック状態の安定性が悪いことを説明する概念図で、(A)は液晶ドロップに高電界をかけた状態を、(B)は電界を除去した状態を示す。 2層のコレステリック液晶層を直接積層した表示素子に要求される電気光学応答を示すグラフである。 図11の電気光学応答を示すグラフにおいて2層のしきい値電圧差が小さい場合を示すグラフである。 2層のコレステリック液晶層を直接積層した表示素子を示す概念図である。
符号の説明
10、20 表示基板
12、22 電極
14 遮光層
16 接着層
30 表示層
32 高分子ネットワーク化液晶ドロップ
36 高分子ネットワーク化液晶マイクロカプセル
32a、36a コレステリック液晶
32c、36c 高分子ネットワーク
36b 高分子シェル
100 液晶表示素子

Claims (14)

  1. 基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板、及び前記一対の表示基板の電極の間に設けた表示層を有する液晶表示素子であって、前記表示層が、高分子バインダ及び液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを含み、該液晶ドロップ中又は液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを有することを特徴とする液晶表示素子。
  2. 液晶がコレステリック液晶であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板の電極の間に表示層を設ける工程を有する液晶表示素子の製造方法であって、前記表示層を設ける工程が、表示基板の電極の上に、高分子バインダ及び溶媒を含む溶液に液晶及びモノマーを含む液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルが分散された表示層用塗布液を塗布する塗布工程、前記液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  4. 前記高分子ネットワーク形成工程が、表示層用塗布液の塗布中、又は塗布後乾燥前若しくは乾燥後に行われることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示素子の製造方法。
  5. 基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板の電極の間に表示層を設ける工程を有する液晶表示素子の製造方法であって、前記表示層を設ける工程が、液晶及びモノマーを含む液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルを作製する工程、前記液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程、表示基板の電極上に、高分子バインダー及び溶媒を含む溶液に前記高分子ネットワーク化液晶ドロップ又は液晶マイクロカプセルが分散された表示層用塗布液を塗布する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  6. 前記モノマーがUV光により重合するUV重合モノマーであり、前記高分子ネットワーク形成工程において、前記液晶及びUV重合モノマーを含む液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルにUV光を照射して前記UV重合モノマーを重合することにより、前記液晶ドロップ中又は液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを形成することを特徴とする請求項3又は請求項5に記載の液晶表示素子の製造方法。
  7. 前記モノマーが熱により重合する熱重合モノマーであり、前記高分子ネットワーク形成工程において、液晶及び熱重合モノマーを含む液晶ドロップまたは液晶マイクロカプセルを加熱して前記熱重合モノマーを重合することにより、前記液晶ドロップ中又は液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを形成することを特徴とする請求項3又は請求項5に記載の液晶表示素子の製造方法。
  8. 基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板、及び前記一対の表示基板の電極の間に設けた表示層を有する液晶表示素子であって、前記表示層が液晶マイクロカプセルを含み、該液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを有する液晶表示素子。
  9. 液晶がコレステリック液晶であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示素子。
  10. 基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板の電極の間に表示層を設ける工程を有する液晶表示素子の製造方法であって、前記表示層を設ける工程が、表示基板の電極の上に、溶媒に液晶及びモノマーを含む液晶マイクロカプセルが分散された表示層用塗布液を塗布する塗布工程、前記液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程を有することを特徴とする請求項8に記載の液晶表示素子の製造方法。
  11. 前記高分子ネットワーク形成工程が、表示層用塗布液の塗布中、又は塗布後乾燥前若しくは乾燥後に行われることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示素子の製造方法。
  12. 基板と基板の一方の面に設けられた電極を有する1対の表示基板の電極の間に表示層を設ける工程を有する液晶表示素子の製造方法であって、前記表示層を設ける工程が、液晶及びモノマーを含む液晶マイクロカプセルを作製する工程、前記液晶マイクロカプセルの中に高分子ネットワークを形成する高分子ネットワーク形成工程、表示基板の電極上に、溶媒に前記高分子ネットワーク化液晶マイクロカプセルが分散された表示層用塗布液を塗布する工程を有することを特徴とする請求項8に記載の液晶表示素子の製造方法。
  13. 前記モノマーがUV光により重合するUV重合モノマーであり、前記高分子ネットワーク形成工程において、前記液晶及びUV重合モノマーを含む液晶マイクロカプセルにUV光を照射して前記UV重合モノマーを重合することにより、前記液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを形成することを特徴とする請求項10又は請求項12に記載の液晶表示素子の製造方法。
  14. 前記モノマーが熱により重合する熱重合モノマーであり、前記高分子ネットワーク形成工程において、液晶及び熱重合モノマーを含む液晶マイクロカプセルを加熱して前記熱重合モノマーを重合することにより、前記液晶マイクロカプセル中に高分子ネットワークを形成することを特徴とする請求項10又は請求項12に記載の液晶表示素子の製造方法。
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