JP2005200643A - ポリマー被覆微粒子の製造方法およびポリマー被覆微粒子 - Google Patents

ポリマー被覆微粒子の製造方法およびポリマー被覆微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】微粒子がポリマーによってよく被覆され、かつ安定なポリマー被覆微粒子の製造方法、およびポリマーによってよく被覆され安定なポリマー被覆微粒子を提供する。
【解決手段】疎水性微粒子を有機溶媒に懸濁させて懸濁液とし、この懸濁液と親水化物質を含有する水とを混合し、この懸濁液を親水化物質が取り囲んで形成された乳化粒子が水中に分散した乳化液を得た後、この乳化液に超音波振動を与えて前記乳化粒子を微細化した状態を保ちながら、この乳化粒子の含有する有機溶媒を徐々に蒸発させることにより、親水化物質が吸着した微粒子を得る。この親水化物質が吸着した微粒子を水に懸濁させ、モノマーを含有させることにより、前記微粒子にモノマーを吸収させて再乳化し、再乳化液の再乳化粒子のモノマーを重合させることにより、ポリマー被覆微粒子を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリマー被覆微粒子の製造方法およびポリマー被覆微粒子に関し、特に被覆の安定したポリマー被覆微粒子を製造する方法、およびポリマーにより均等に被覆され粒子サイズのよく揃ったポリマー被覆微粒子に関する。
ポリマーの微粒子や、ポリマーでさまざまな微粒子を被覆したポリマー被覆微粒子は、工業分野で広く用いられてきただけでなく、近年においては基礎的な生物学や医療の分野においてその重要性が高まっており、例えばアフィニティークロマトグラフィーの担体への応用や、医療における診断や薬物送達システム(ドラックデリバリーシステム、DDS)などへの応用に対する関心が高まっている。
こうした応用のうち、アフィニティークロマトグラフィーの担体への応用は、ポリマー微粒子を担体とし、この担体にタンパク質などの生体分子と特異的に結合する物質であるリガンドを固定し、このリガンドの活性を利用して特定の生体分子を分離精製するものである。本発明者らは、球状のポリマー微粒子担体であるスチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)ポリマー粒子や、これにスペーサーを設け、スペーサーを介して生理活性を有する物質を結合することのできるポリマー微粒子(ミクロスフィア、特許文献1:特開平10−195099号公報)を開発し、これによってリガンドの固定化量を飛躍的に高めるとともに、従来のアフィニティークロマトグラフィー担体の問題点とされていた非特異的吸着の問題を解決することができた。
このようなポリマー微粒子に磁性体を導入すると、磁力を用いて操作することができ、水相からの分離を遠心分離よりも簡便でかつ迅速に行なうことが可能となる。本発明者らは、上記ポリマー微粒子に磁性体微粒子を結合して複合化した微粒子を開発した(特許文献2:特開2002−090366号公報)。また本発明者らは有機物質とフェライトとを直接結合させることによ り磁性を付与させたフェライト結合有機物質を開発し、特定の薬物に対する受容体の精製・同定などの用途において多くの望ましい性質が得られることを示した(特許文献3:WO 03/066644 A1公報)。磁性体を導入したポリマー微粒子およびその応用についてのこのほかの多くの研究結果については、Scientific and Clinical Application of Magnetic Carriers Plenum Press 1997(非特許文献1)に記載されている。
磁性体などの無機物の微粒子をポリマーで被覆し、その被覆に生物学的分子または化学的分子と反応可能な官能基を導入し、この官能基に生物学的分子または化学的分子を結合させ、その分子の特異的相互作用を利用し、特定の生体物質の検出や分離精製などに用いることについては、例えば特許公表2003−513093号公報(特許文献4)にも記載がある。
ポリマー微粒子や、ポリマーで各種の微粒子を被覆したポリマー被覆微粒子の医療における診断や分析への応用には、上記アフィニティークロマトグラフィーへの応用のほかに、金標識や蛍光標識などの各種標識への応用や、磁気共鳴診断(MRI)の増感剤への応用などがある。金標識や蛍光標識などの場合は、表面への生体分子の非特異的吸着を防ぐために適切なポリマー被覆が望まれる。また蛍光標識としては、有機物などの従来の蛍光色素を用いた蛍光標識のほかに、半導体のナノ結晶粒子(量子ドット)を用いた蛍光標識の有用性に関心が高まっている。量子ドットは、例えばNano Lett., Vol.2, 263-268 (2002) (非特許文献2)に記載されているように、従来の色素物質に比べ発光スペクトルがシャープであり、粒子サイズによって波長の選択が可能であるなど、多くの利点を有している。
量子ドットを診断用などの蛍光マーカーとして用いるためには、量子ドットが保護され化学的に安定であることのほかに、生体中の水に対する親和性が高いことや、生体分子の非特異的吸着がないこと、検出対象である生体物質などの物質と結合できる官能基を有することなどが求められる。このため、量子ドットに対し、適切なポリマー被覆をなされることが望ましい。親水性の結合基を設けた水溶性発光量子ドットについては、特表2002−530630号公報(特許文献5)に記載されている。
特開平10−195099号公報 特開2002−090366号公報 WO 03/066644 A1公報 特許公表2003−513093号公報 特表2002−530630号公報 Scientific and Clinical Application of Magnetic Carriers Plenum Press 1997 Nano Lett., Vol.2, 263-268 (2002)
こうした磁性体や量子ドット、金微粒子などの各種の微粒子に対するポリマー被覆は、いずれの場合も被覆もれが生じたりせずによく被覆がなされており、また被覆が物理的および化学的に安定なものであることが望まれる。微粒子のポリマー被覆が不均等で被覆もれなどがある場合には、微粒子同士の凝集が生じたり、微粒子が生体物質の非特異的吸着を生じたりすることが懸念される。また被覆が安定でない場合には、ポリマー被覆微粒子が使用中に損なわれるおそれがある。
本発明は、微粒子に対し均等で安定なポリマー被覆が得られるポリマー被覆微粒子の製造方法、およびポリマーによって被覆が均等で安定になされており、上記のような懸念が生じることのないポリマー被覆微粒子を提供することを目的とする。
本発明は以下に述べる研究成果に基づいてなされた。即ち、本発明者らは、親水性微粒子であるフェライトに対するポリマー被覆の方法について研究を重ねた結果、次のような方法を用いれば、均等で安定なポリマー被覆が実現できることを見出した。
まず、2価鉄イオンを有する水溶液中から、フェライトの微粒子を析出させた。次にこの親水性微粒子の表面を10−ウンデセン酸で被覆して疎水化した。ここに10−ウンデセン酸は疎水基の末端に二重結合を有する脂肪酸である。この10−ウンデセン酸の被覆によって疎水化されたフェライトの微粒子を有機溶媒に分散して懸濁液とし、この懸濁液を10−ウンデセン酸の添加された水と混合し、10−ウンデセン酸によって微細な懸濁液の液滴が囲まれて形成された乳化粒子を有する乳化液を得た。続いてこの微細な乳化粒子の状態を保ちながら、乳化液から有機溶媒を蒸発させて除去し、表面に10−ウンデセン酸を残すことにより、10−ウンデセン酸で二重に被覆され親水化されたフェライト微粒子を得た。
次にこのフェライト微粒子を水中に分散した分散液に疎水性のモノマーを添加し、このフェライト微粒子の10−ウンデセン酸の二重被覆の層間に存在する疎水層にモノマーを吸収させて再乳化粒子とすることにより、再乳化液を得ることができた。続いてこの再乳化液の再乳化粒子のモノマーを重合させることにより、ポリマー被覆されたフェライト微粒子を得ることができた。このポリマー被覆はモノマー間で重合しているだけでなく、10−ウンデセン酸とも共重合しており、ポリマー被覆は安定性の高いものであった。またこのポリマー被覆では乳化のプロセスが利用でき、球形で粒子サイズのよく揃ったポリマー被覆微粒子を得ることができた。
さらに研究を進めた結果、このポリマー被覆方法はフェライト微粒子だけでなく、他のさまざまの親水性微粒子に対しても適用できることがわかり、さらに疎水性微粒子に対しても適用できることがわかった。また微粒子表面に形成する二重被覆は、10−ウンデセン酸だけでなく、さまざまな物質を用いることができることがわかった。
本発明のポリマー被覆微粒子の製造方法は、親水基と疎水基とを有する疎水化物質の親水基を親水性微粒子の表面に吸着させ疎水化物質の層を形成し、疎水基を外面に存在させて親水性微粒子を疎水化して疎水性微粒子を得る疎水化工程と、疎水性微粒子を有機溶媒に懸濁させて懸濁液を得る懸濁工程と、疎水基と親水基とを有する親水化物質を含有する水にこの懸濁液を混合して混合液とし、この混合液に超音波振動を与えることにより、親水化物質が懸濁液を取り囲んだ乳化粒子が水に分散した乳化液を得る乳化工程と、この乳化液に超音波振動を与えながら前記乳化粒子の含有する有機溶媒を蒸発させ、親水化物質を疎水性微粒子表面に吸着させて親水性微粒子の層を形成することにより疎水性微粒子を親水化し、疎水化物質の層とこれに吸着した親水化物質の層との間に疎水性層の形成された親水化微粒子を得る有機溶媒蒸発工程と、この親水化微粒子を水に懸濁させるとともにこの水にモノマーを含有させ、親水化微粒子の疎水性層にモノマーを吸収させ再乳化させて再乳化液を得るモノマー吸収・再乳化工程と、再乳化液の親水化微粒子によって吸収された前記モノマーを重合させることによりポリマー被覆微粒子を得るモノマー重合工程とを備えたことを特徴とする。
本発明のポリマー被覆微粒子の製造方法における上記疎水化工程には、親水性微粒子を懸濁した水中にて微粒子に疎水化物質を吸着させた後、水を除く方法を用いることによって、粒子表面に均等に疎水化物質を吸着させることができる。
本発明のポリマー被覆微粒子の製造方法においては、疎水性微粒子に親水化物質を吸着させて親水化微粒子を得る工程として、上記の通り懸濁工程、乳化工程および有機溶媒蒸発工程の3つの工程を用いる。これらの工程に従い、疎水性微粒子を有機溶媒に分散懸濁させ、これを親水化物質を有する水と混合し超音波振動を用いて乳化すると、水中で親水化物質によって囲まれた懸濁液の乳化粒子として、微細で粒径のよく揃ったものを得ることができる。この乳化粒子に対し超音波振動を与えて微細で粒径の揃った状態を維持しながら乳化粒子内の有機溶媒を蒸発させることによって、微細で粒径のよく揃った親水化微粒子を得ることができる。この有機溶媒の蒸発の際には、乳化粒子の構造の乱れを少なくすることが望ましく、このため蒸発は時間をかけて徐々に進行させることが好ましい。
このようにして得られた親水化微粒子には、親水基によって親水性微粒子の表面に吸着した疎水化物質の疎水基と親水化物質の疎水基により疎水性の層が形成される。この疎水層は、次の工程にて疎水性のモノマーを吸収するための重要な層である。
本発明のポリマー被覆微粒子の製造方法においては、親水化微粒子にポリマー被覆を行なってポリマー被覆微粒子を得る工程として、親水化微粒子にモノマーを吸収させて再乳化粒子とするモノマー吸収・再乳化工程と、この再乳化粒子のモノマーを重合させる乳化重合工程とを用いる。上記の親水化微粒子には、疎水化物質と親水化物質の疎水基により疎水性の層が形成されており、モノマー吸収・再乳化工程で疎水性のモノマーを導入すると、モノマーはこの疎水層に親和し選択的に吸収されてこの疎水層によく浸透し、微粒子の周囲をよく覆うことができる。このようにしてモノマーを吸収した各親水化微粒子は、それぞれに再乳化され再乳化粒子となる。この際の親水化微粒子として、上記の工程によって得た微細で粒径のよく揃ったものを用いれば、微細で粒径がよく揃った球形の再乳化粒子を得ることが可能となる。続いてこの再乳化粒子のモノマーを乳化重合工程にて重合させることにより、微粒子がポリマーでよく被覆され、しかも微細で粒子サイズがよく揃い、粒子間に凝集のない球状のポリマー被覆微粒子を得ることができる。
ここで用いるモノマーには、各種のモノマーを使用することができるが、その中でも付加重合によってポリマーを形成する疎水性の各種モノマーは、微粒子の疎水性層に吸着させるのに適しているので、特に好ましい。
親水性微粒子を疎水化する上記疎水化物質には、親水基としてスルホン酸基、硫酸基、リン酸基、メルカプト基、アミノ基および水酸基などの親水性を有し、疎水基として直鎖の長鎖アルキル基(C8〜C20)、分岐鎖の長鎖アルキル基(C8〜C20)、長鎖アルキル基(C8〜C15)とアルキルベンゼン残基とを有する各種の疎水性物質を用いることができる。
その中でも親水基にカルボキシル基を備えたものは親水性物質に対する吸着が良好なので好ましく、また上記疎水化物質として、疎水基にビニル基を備えたものは、乳化重合工程において疎水化物質とモノマーとが重合し一体化するので、安定なポリマー被覆を形成でき、特に好ましい。このような疎水化物質として、例えばCH=CH(CH−COOHの示性式で示される10−ウンデセン酸またはその塩を挙げることができる。
本発明のポリマー被覆微粒子の製造方法は、親水性微粒子を疎水性にする代わりに、疎水性微粒子から出発するものであってもよい。即ち、疎水性微粒子を有機溶媒に懸濁させて懸濁液を得る懸濁工程と、この懸濁液と前記親水化物質を含有する水とを混合して混合液とし、この混合液に超音波振動を与えることにより前記懸濁液を前記親水化物質が取り囲んだ乳化液を得る乳化工程と、この乳化液に超音波振動を与えながら前記乳化粒子の含有する有機溶媒を蒸発させ前記親水化物質の吸着によって親水化した疎水性微粒子を得る有機溶媒蒸発工程と、この疎水性微粒子の表面に疎水基と親水基とを有する親水化物質の疎水基を吸着させ親水基を外面に存在させて疎水性微粒子を親水化する親水化物質吸着工程と、この疎水性微粒子の疎水性の表面とこの表面に吸着した親水化物質の疎水基とを含む疎水性層にて、モノマーの重合によりポリマーを形成させることにより疎水性微粒子をポリマーで被覆しポリマー被覆微粒子を得るポリマー被覆微粒子生成工程とを備えたものであってもよい。
また本発明のポリマー被覆微粒子の製造方法は、疎水性微粒子の表面に、疎水基と親水基とを有する親水化物質の疎水基を吸着させ親水基を外面に存在させることにより、疎水性微粒子を親水化する親水化物質吸着工程と、この親水化微粒子を水に懸濁させ、この水にモノマーを含有させて親水化微粒子の疎水性微粒子表面とこの表面に吸着した親水化物質の疎水基とを含む疎水性層にモノマーを吸収させるモノマー吸収工程と、このモノマーを吸収した親水化微粒子のモノマーを重合させることにより、ポリマー被覆微粒子を得るモノマー重合工程とを備えていてもよい。
本発明の二重層被覆微粒子は、親水基と疎水基とを有する疎水化物質の親水基を親水性微粒子の表面に吸着させることによりこの疎水化物質の層を形成してこの疎水化物質の疎水基が外面に存在する疎水性微粒子とし、この疎水性微粒子を有機溶媒に懸濁させて懸濁液とし、この懸濁液を疎水基と親水基とを有する親水化物質を含有する水に混合して混合液とし、この混合液に超音波振動を与えることにより前記親水化物質が前記懸濁液を取り囲んだ乳化粒子が水に分散した乳化液とし、この乳化液に超音波振動を与えて乳化粒子を微細化し、超音波振動を与えて乳化粒子の微細化された状態を保ちながら乳化粒子の含有する有機溶媒を蒸発させてこの疎水性微粒子を親水性微粒子の層で被覆することにより形成され、疎水化物質の層と親水化物質の層との二重層によって親水性微粒子が被覆されていることを特徴とする。なお、この二重層被覆微粒子は、疎水化物質と親水化物質が共に疎水基の端部にビニル基を有する場合には、この二重層のこれらビニル基を重合反応させることにより、ポリマー被覆の形成されたポリマー被覆微粒子を得ることができる。
本発明のポリマー被覆微粒子は、親水性の微粒子と、この微粒子を被覆するポリマー被覆とを備えており、そのポリマー被覆は、ビニル基を持つモノマーと、疎水基にビニル基を有し親水基が親水性の微粒子に吸着した疎水化物質との共重合を形成していることを特徴とする。
本発明のポリマー被覆微粒子において、上記ポリマー被覆は、ビニル基を持つモノマーが、疎水基にビニル基を有し親水基が前記親水性の微粒子に吸着した疎水化物質と、疎水基にビニル基を有し親水基がポリマー被覆の外面に存在しこのボリマー被覆を親水化する親水化物質との共重合を形成しているものであってもよい。
本発明のポリマー被覆微粒子は、微粒子のポリマー被覆が二重結合を持つモノマーとビニル基を有し親水性微粒子に吸着した疎水化物質とが共重合して形成されているので、親水性微粒子の被覆が安定なポリマー被覆であるという特徴を有している。
本発明の有機溶剤中使用のポリマー被覆微粒子は、上記ポリマー被覆磁性体微粒子で構成され、耐有機溶剤性を備えていることを特徴とする。また本発明のコンビナトリアルケミストリー用磁性固相担体、たんぱく質、ペプチド、核酸 および薬剤からなる化学物質の群の少なくともいずれかのアフィニティークロマトグラフィー用磁性固相担体、およびペプチドまたは核酸の化学合成用磁性固相担体は、親水性微粒子として磁性体微粒子を用いた有機溶剤中使用のポリマー被覆微粒子を担体として用いることを特徴とする。
こうした構成のコンビナトリアルケミストリー用磁性固相担体、アフィニティークロマトグラフィー用磁性担体および化学合成用磁性固相担体は、微小サイズでありながら、メタノール、1,4−ジオキサン、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、アセトン、ジエチルエーテル、トルエン、クロロホルムおよびヘキサンなどの有機溶剤に浸漬しても、ポリマー被覆層が有機溶剤に溶解せず、またポリマー被覆層が磁性体微粒子から脱離しない耐有機溶剤性を持ち、ポリマー被覆の状態が安定に保たれるという顕著な性質を有することができる。こうした耐有機溶剤性を有し磁性を有することにより、有機溶剤中での磁気分離が可能であるという利点を有することができる。このため、これら担体を用い、コンビナトリアルケミストリーやアフィニティークロマトグラフィー、化学合成などにおいて分離操作を安定かつ迅速に行なうことができる。
本発明の製造方法によれば、微粒子に対し良好で安定なポリマー被覆を形成したポリマー被覆微粒子を得ることができる。またポリマー被覆微粒子の粒子サイズをよく揃えることができ、粒径のコントロールが容易である。また本発明によるポリマー被覆微粒子は、二重結合を持つモノマーとビニル基を有し親水性微粒子に吸着した疎水化物質とが共重合してポリマー被覆が形成されているので、ポリマー被覆の安定性が高いという特徴を持つ。このため、本発明によれば、磁性体や量子ドットなど各種の微粒子に対する良好で安定したポリマー被覆が得られるので、生物科学や医療などでの使用に適した各種のポリマー被覆微粒子が提供できる。
(実施の形態1)[ポリマー被覆微粒子の製造工程]
次に本発明の実施の形態に基づき、図を参照しながら、本発明についてさらに詳細に説明する。
図1は本発明におけるポリマー被覆微粒子の製造方法の一実施形態について、工程の流れ図を示したものである。図1において、親水性微粒子1に疎水化物質2を吸着させ疎水化する疎水化工程3により、疎水性微粒子4を得る。この疎水化工程3としては、親水性微粒子を懸濁した水中にて親水性微粒子1に疎水化物質2を吸着させ、水を除く方法を用いることができる。
次にこの疎水性微粒子4に対し、親水化物質を吸着させて親水化した親水化微粒子を得る。図1において疎水性微粒子4を懸濁工程5にて有機溶媒6に懸濁し懸濁液7を得る。次に乳化工程8にてこの懸濁液7を親水化物質9を含有させた水10と混合し超音波振動11を与えて乳化することにより、親水化物質9によって囲まれた粒子サイズのよく揃った微細な乳化粒子が水中に分散した乳化液12を得る。
続いて有機溶媒蒸発工程13にて、この乳化液12に超音波振動14を与えて乳化粒子が微細化された状態を保ちながら有機溶媒を徐々に蒸発させて、粒子サイズのよく揃った親水化微粒子15を得る。
次に図1の懸濁・モノマー吸収・再乳化工程16にて、この親水化微粒子15を水17に懸濁させるとともに、この水17にモノマーおよび疎水性開始剤18を含有させ、モノマーおよび疎水性開始剤18を親水化微粒子15の疎水性層に吸収させることにより再乳化した再乳化粒子19Aの懸濁した再乳化液19を得る。ここに親水化微粒子15の疎水性層は、疎水性微粒子4の表面とこれに吸着した親水化物質9との間の層である。続いて乳化重合工程20にて、この再乳化液19に付加重合反応の親水性開始剤21を含有させるとともに加熱22を行ない、粒子サイズのよく揃ったポリマー被覆微粒子23を得る。
図2は、この図1の工程における微粒子からポリマー被覆微粒子の生成までの主な段階の微粒子の状態を模式的に示した図である。図2(a)に模式的に示した親水性微粒子1は、疎水化物質2が疎水化工程3にて吸着被覆され疎水性微粒子4となり、この疎水性微子4は有機溶媒6中に分散され、図2(b)に模式的に示す懸濁液7となる。この懸濁液7は親水化物質9を含有した水10に混合され超音波振動11が加えられて微細に乳化され、図2(c)に模式的に示した乳化液12となる。この乳化液12の乳化粒子12Aは、疎水性微粒子4が有機溶媒6に懸濁した懸濁液7の液滴の表面を親水化物質が覆うことによって形成されており、その粒子サイズは微細でよく揃っている。この乳化粒子12Aの粒子サイズを細かくして疎性微粒子3を1個ずつ含むようにしてもよいし、また粒子サイズを疎水性微粒子3に比べ相対的に大きくして疎水性微粒子3が複数個含まれるようにしてもよい。いずれにしても乳化粒子12Aとして微細で粒子サイズのよく揃ったものを得ることができる。この乳化粒子12Aの有機溶媒6を十分に時間をかけて徐々に蒸発除去することにより、図2(d)に模式的に示した微細で粒子サイズのよく揃った親水化微粒子15の懸濁液となる。
この親水化物質吸着微細粒子15は、懸濁・モノマー吸収・再乳化工程16にて、モノマーおよび疎水性開始剤18が水17とともに加えられると、モノマーおよび疎水性開始剤18は親水化微粒子15の疎水性層に吸収されて再乳化粒子19Aが形成され、図2(e)に模式的に示した再乳化液19となる。この再乳化液19に親水性開始剤21を含有させ、加熱20を行なってモノマーを重合させることにより、図2(f)に模式的に示したように、微細で粒子サイズがよく揃い、粒子間の凝集が回避されたポリマー被覆微粒子23を得る。なお、この図2(f)では、洗浄工程により、親水化物質9が除かれたものを図示した。
図3は、図2において疎水化物質2および親水化物質9として共に疎水基にビニル基を有するものを用い、また親水化微粒子15にモノマーおよび疎水性開始剤18を吸収させずに、微粒子表面の疎水化物質2と親水化物質9からなる層のビニル基を重合させてポリマー24を形成させ、このポリマー被覆微粒子23を得るものである。即ち、図3において(a)〜(d)までは図2と同じであり、図3(d)の親水化微粒子15にはモノマーを吸収させず、疎水化物質2と親水化物質9を重合させ、図3(e)に模式的に示したポリマー被覆微粒子23を得る。
図4は、図2において親水性微粒子1を疎水化する代わりに、疎水性微粒子4から出発し、図2と同様の工程を経て疎水性微粒子のポリマー被覆微粒子を得るものである。即ち、図4の(a)に模式的に示した疎水性微粒子4を有機溶媒6に懸濁した懸濁液7を乳化し、図4の(b)に模式的に示した乳化液12を得て、有機溶媒6を十分に時間をかけて徐々に蒸発除去することにより、図4(c)に模式的に示した親水化微粒子15の懸濁液を得る。この親水化物質吸着微細粒子15に、水17とモノマーおよび疎水性開始剤18を加え、モノマーおよび疎水性開始剤18を親水化微粒子15の疎水性層に吸収させて再乳化し、図4(d)に模式的に示した再乳化液19を得る。この再乳化液19に親水性開始剤21を含有させ、加熱20を行なってモノマーを重合させることにより、図4(e)に模式的に示した微細で粒子サイズのよく揃ったポリマー被覆微粒子23を得る。なお、この図2(e)でも、洗浄工程により親水化物質9が除かれたものを図示した。
(実施の形態2)[疎水化物質]
上記ポリマー被覆微粒子の製造方法において、親水性微粒子1を疎水化する疎水化物質2には、親水基と疎水基とを有し、親水基が親水性微粒子1の表面に吸着する一方で疎水基が外面に存在して微粒子を疎水化する物質が用いられる。疎水化物質2の親水基としては、カルボキシル基が親水性微粒子、例えばフェライト微粒子に対し吸着が良好であり特に好ましい。
疎水化物質2の親水基としては、このほかにスルホン酸基、硫酸基、リン酸基、およびメルカプト基が親水性微粒子の表面への吸着が良好であることから好ましく、またアミノ基および水酸基も親水性を有し親水性微粒子の表面への吸着が得られるので好ましい。
他方で疎水化物質2が有する疎水基として、直鎖の長鎖アルキル基(C8〜C20)、分岐鎖の長鎖アルキル基(C8〜C20)、長鎖アルキル基(C8〜C15)とアルキルベンゼン残基は、親水性微粒子を疎水化することができるので好ましい。
また疎水化物質2としては、疎水基にビニル基を有するもの、すなわち疎水基の末端に炭素原子の二重結合を有するものが好ましい。疎水基にビニル基を有する疎水化物質2は、親水基により親水性の微粒子に吸着する一方で、疎水基のビニル基は疎水性層に吸収されるモノマーと、乳化重合工程20にて付加重合し、ポリマーと一体化する。この結果、加重合によって形成されるポリマー被覆は、親水性微粒子に対し安定な被覆を形成する。
このような疎水基にビニル基を有する疎水化物質として、親水性微粒子に吸着し親水性微粒子を疎水化する脂肪酸またはその塩が好ましい。このような脂肪酸として、ビニル基の他に二重結合を持たない場合には、炭素数が6から18の範囲が親水性微粒子を容易に疎水化する上で好ましく、また同じ理由により、炭素数が8から15の範囲がより好ましく、炭素数が10から15の範囲がさらに好ましい。他方でこのような脂肪酸がビニル基の他に二重結合を持つ場合には、同じ理由から炭素数が6から20の範囲が好ましく、炭素数が10から20の範囲がより好ましく、炭素数が12から18の範囲がさらに好ましい。
その中でもCH=CH(CH−COOHの示性式で示される10−ウンデセン酸またはその塩を特に好ましく用いることができる。このような脂肪酸またはその塩を用いることにより、親水性微粒子、例えばフェライトや半導体量子ドットなどの安定なポリマー被覆を形成することができる。
また、上記の疎水化物質として、アルコールと脂肪酸とリン酸残基を含む脂質で生
理的に重要な脂質である各種のリン脂質、例えばレシチンを用いることができる。また同様に各種の糖脂質を用いることができる。
(実施の形態3)[親水化物質]
上記親水化物質9としては、親水基と疎水基を有し、疎水性微粒子4に吸着し微粒子を親水化する各種の物質を用いることができる。この親水化物質9の親水基としては、カルボキシル基のほか、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、メルカプト基、アミノ基、水酸基およびポリオキシエチレン鎖などの基が好ましい。他方で上記親水性物質の疎水基としては、直鎖の長鎖アルキル基(C8〜C20)、分岐鎖の長鎖アルキル基(C8〜C20)、長鎖アルキル基(C8〜C15)とアルキルベンゼン残基が好ましい。
また上記親水化物質として、疎水基にビニル基を有する界面活性物質すなわち疎水基の末端に炭素原子の二重結合を有するものを用いることができる。このような親水化物質を用いた場合には、親水化物質のビニル基により親水化物質はモノマーと共重合してポリマーと一体化して固定されるので、この親水化物質の親水基、例えばカルボキシル基をポリマー被覆微粒子の表面に残存させることにより、これにアミノ基を持つ生体物質などを結合させることができる。また上記親水化物質として二次胆汁酸であるデオキシコール酸を用いることもできる。
またポリマーと共重合しないポリマー被覆微粒子の表面の親水化物質は、洗浄によって除去することができる。
(実施の形態4)[モノマー]
微粒子のポリマー被覆に用いるモノマー8は、微粒子を被覆し重合によってポリマーを形成するものであれば特に限定されない。ビニル基を有し、ラジカル重合によって付加重合し、ポリマーを形成する疎水性のモノマーは、上記疎水性層に吸収され微粒子をよく被覆するので、本発明において用いるモノマーとして好ましい。そのようなモノマーとして、ビニル基と疎水基とからなるモノマー、例えばスチレン、クリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アクリロニトリルなどがある。
また微粒子のポリマー被覆に用いるモノマーとして、例えばスチレンにグリシジルメタクリレートを加えたものを用いることができる。これらが共重合したポリマーは、微粒子を被覆し安定な被覆層を形成するとともに、グリシジルメタクリレートが有するエポキシ基をポリマー被覆微粒子の表面に存在させ、このエポキシ基に生物学的分子または化学的分子を結合することができる。
なお、これらのモノマーをラジカル重合によって付加重合し、ポリマーを形成するための開始剤としては、疎水性のアゾ化合物であるアゾビスイソプチロニトリル(AIBN)のほか、和光純薬工業(株)製品名VA−080(2,2'-Azobis{2-methyl-N-[1,1-bis(hydroxymethyl)-2-hydroxyethyl]propionamide)、同VA−085(2,2'-Azobis{2-methyl-N-[2-(1-hydroxybuthyl)]-propionamide})、同VA−086(2,2'-Azobis{2-methyl-N-(2-hydroxyethyl)-propionamide])、同V−50(2,2'-Azobis(2-methylpropionamidine)dihydrochloride, (2,2'-Azobis(2-amidinopropane) dihydrochloride))、同VA−057(2,2'-Azobis(N-(2-carboxyethyl)-2-methyl-propionamidine, (2,2'-Azobis{2-[N-(2-carboxyethyl)amidino]propane})、同V−501(4,4'-Azobis(4-cyanovaleric acid), (4,4'-Azobis(4-cyanopentanoic acid))、同VPE−0201、および同VPE−0601などのアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)、およびペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)などの過酸化物を用いることができる。また架橋剤としてジビニルベンゼン、トリアリルアミン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリメシン酸トリアリル、およびエチレングリコールジメタクリレートなどの各親水性の開始剤を用いることができる。
またポリマー被覆には、モノエチレングリコールジグリシジルエーテルや、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル分子をスペーサーとして設けることができる。このようなスペーサーを設けることにより、生物学的分子または化学的分子の結合が容易になるので、アフィニティークロマトグラフィーの担体など、分子の特異的相互作用による特定の生体物質の検出や分離精製などに応用する際により好都合である。
(実施の形態5)[親水性微粒子]
本発明によれば、磁性体微粒子をポリマーで被覆することができる。磁性体微粒子を被覆したポリマー被覆微粒子は、磁力を用いて操作することが可能であり、磁気分離による水相からの迅速な分離や、磁力による誘導が可能である。しかも本発明によれば被覆は良好であるとともに安定である。このため、磁性体微粒子を被覆したポリマー被覆微粒子は、生物学や医学の分野における有用な物質担体として、幅広く用いることができる。
このようにポリマーで被覆する磁性体微粒子は、金属または酸化物の磁性体微粒子であり、これら磁性体微粒子の中で、鉄酸化物のフェライト微粒子は化学的に安定であることから、ポリマーで被覆する磁性体微粒子として特に好ましい。このフェライト微粒子には、Li、Mg、Fe、Mn、Co、Ni、CuおよびZnなどの元素を含有させることにより、その特性を目的に応じて適正に制御することができる。
ポリマーで被覆されるこれら磁性体微粒子の大きさは、磁性を確保する上で直径3nm以上であることが好ましく、他方で粒子間の強い磁気的な凝集を回避する上で100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。
また本発明によれば、ポリマーで被覆される上記微粒子として、光マーカーとして用いる半導体の量子ドットの微粒子を選ぶことができる。光マーカーとして用いる半導体の量子ドットの微粒子は、粒子サイズを選ぶことによって光マーカーとしての蛍光の色を定めることができ、検出に適した蛍光波長を得るために、微粒子の直径として2〜15nmの範囲の値を選ぶことが好ましい。また検出に適した蛍光を得るために、量子ドットとして用いられる半導体としては、例えばCdSやCdSe、ZnOあるいはZnSなどのZnのカルコゲン化物などを選択することができる。
(実施の形態6)[ポリマー被覆微粒子]
図5は本発明のポリマー被覆微粒子の実施形態を模式的に示した図である。図5において(a)は親水性微粒子であるフェライト微粒子1に吸着した疎水化物質である10−ウンデセン酸がスチレンと共重合しポリマー24を形成してフェライト微粒子1を被覆したものである。
図5の(b)は親水性微粒子であるフェライト微粒子1に吸着した疎水化物質である10−ウンデセン酸が、スチレンおよびグリシジルメタクリレートと共重合しポリマー20Aを形成しフェライト微粒子1を被覆したもので、その表面にエポキシ基31が存在するようにしたものである。なお粒子表面にはエポキシ基31が多数存在しているが、記載を簡単にするために、この図では1個だけを示している。同図の(c)は、この粒子をアンモニアで処理し、エポキシ基を開環して水酸基とアミノ基32を形成したものである。同図の(d)は、このアミノ基にモノエチレングリコールジグリシジルエーテルやポリエチレングリコールジグリシジルエーテル分子を結合させてスペーサー33を形成させたものである。こうすることによってスペーサー33の先端にエポキシ基31を存在させ、これに生体物質などの物質を結合することで、結合した物質が粒子による立体的な障害を受けるのを避けることができる。
このようなポリマー被覆微粒子は、粒子サイズを10〜300nmとすることにより、さまざまな用途に用いることができる。例えば磁性体微粒子がポリマーによって被覆されたポリマー被覆微粒子が生体物質の磁気分離に用られる場合には、ポリマー被覆微粒子の直径が50〜300nmであり、磁性体微粒子の体積率が10%以上、より好ましくは20%以上と大きいことが、生体物質を結合するとともに磁気的な吸引力を確保する上から好ましい。また同様の理由により、磁性体微粒子がポリマーで被覆されたポリマー被覆微粒子を、薬物などの搬送担体として用いる場合には、ポリマー被覆微粒子の直径は10〜100nmであることが好ましい。さらに磁性体微粒子をポリマーで被覆したポリマー被覆微粒子を、磁界検出を用いた磁気マーカー、磁気共鳴診断装置(MRI)の造影剤、あるいはモレキュラーイメージングのマーカーとして用いる場合にもポリマー被覆微粒子の直径は10nm以上であることが好ましく、また500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリマー被覆微粒子は、微細な粒子でありながら、耐有機溶剤性が非常に優れており、有機溶剤に浸漬してもポリマー被覆は溶解せず、その形状が維持されることがわかった。この耐溶性は、架橋剤を用いて被覆ポリマーを架橋することにより強化される。また、ポリマー被覆磁性体微粒子の表面修飾として、例えばEGDEなどのスペーサーを設けることにより、さらに耐有機溶剤性の向上が得られることがわかった。
このような構成のポリマー被覆微粒子は、水溶液中での使用だけでなく、有機溶剤中での使用も可能なポリマー被覆微粒子として、有機溶剤中で使用されるさまざまな用途に用いることができる。例えば親水性微粒子として磁性体微粒子を用いたものは、たんぱく質、ペプチド、核酸 および薬剤などの化学物質のアフィニティークロマトグラフィー用磁性担体や、コンビナトリアルケミストリー用の磁性固相担体、核酸またはペプチドの化学合成用の磁性固相担体としての使用など、多くの用途に用いることができる。
(親水性微粒子作製)
濃度が1MのNaOH水溶液200mLを50℃に保ち、この液にFe+/Fe+=1/2で濃度が1Mの塩化第1鉄と塩化第2鉄との混合水溶液を添加し、10分の間定温保持して平均粒径(重量換算分布における粒径の平均値、以下に記載の平均粒径も同じ)が約8nmの親水性のフェライト微粒子を析出させた。なお、粒子サイズの測定には、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた。
(疎水化物質吸着、疎水化)
このフェライト微粒子の析出した液に、10−ウンデセン酸7.0mLを添加し、5分間定温保持した。
次にこの液に1MのHClを100mL添加し、フェライト微粒子の表面に10−ウンデセン酸を吸着させることにより、フェライト微粒子の表面を10−ウンデセン酸で被覆して疎水化した。
(親水化物質吸着、二重層膜形成)
こうして得た10−ウンデセン酸で被覆され疎水化されたフェライト微粒子を水で洗浄した後、水を分離した。この10−ウンデセン酸で被覆されたフェライト微粒子をエーテル50mLに浸漬して懸濁液とし、30分間定温保持した。
次にこの懸濁液に10−ウンデセン酸を7.0mL、濃度1MのNaOH、および水53mLを添加して乳化し、超音波振動を加えて乳化粒子を微細化する処理を6時間行ない、この間に時間をかけて少しずつ乳化粒子のエーテルを蒸発させ、10−ウンデセン酸で二重に被覆されたフェライトの微粒子を得た。こうして得られた10−ウンデセン酸で二重に被覆されたフェライト微粒子について、粒径分布を測定した結果を図6に示す。この10−ウンデセン酸で二重に被覆されたフェライト微粒子は平均径が25.0nmで標準偏差が5.2nmであって、微細で粒径がよく揃っていることがわかった。
(ポリマー被覆)
次にモノマーとして、ジビニルベンゼン(DVB)0.04g、スチレン(St)1.2g、およびグリシジルメタクリレート(GMA)1.8g、開始剤として疎水性の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)59mgに、上記10−ウンデセン酸で二重に被覆されたフェライト微粒子10gを添加し、これに水110gを添加した。
この液を70℃にて毎分350回転にて攪拌しながら10時間の乳化重合を行なうことにより、ポリマー被覆フェライト微粒子を得た。このときのモノマーの転化率は71.8%であった。得られたポリマー被覆フェライト微粒子のTEM写真を図7に示す。図7のTEM写真に示されているように、得られたポリマー被覆フェライト微粒子は大きさがよく揃った球形微粒子であって、1個ずつポリマーによって良好な被覆がなされていることがわかった。
図8はこのポリマー被覆フェライト微粒子について粒径分布を測定した結果を示した図である。その平均粒径は77.8nmであり、その標準偏差は13.5nmと、粒径がよく揃っていることが確認された。このようにして大きさがよく揃い、1個ずつポリマーによって良好な被覆のなされた球形微粒子は、10−ウンデセン酸で二重に被覆されたフェライト微粒子にモノマーを吸収させ、重合することによってはじめて実現できたものである。
実施例1と同様の工程にて、フェライト微粒子の各々に10−ウンデセン酸の二重層を被覆した単分散のフェライト微粒子を作製した。図9の(a)は、この10−ウンデセン酸の二重層で被覆されたフェライト微粒子の粒径分布を示す。この二重層被覆微粒子は、平均粒径が14.4nmであり、その標準偏差は3.3であった。
この10−ウンデセン酸の二重層で被覆されたフェライト微粒子を、水110gに浸し、これにスチレンを0.6g、GMAを0.9g、ジビニルベンゼン(DVB)を0.02g添加し、さらにAIBNを0.015g、V−50を0.015g加えて混合攪拌して再乳化し、200rpmで攪拌しながら、温度を70℃にて24時間保持して乳化重合することにより、ポリマー被覆フェライト微粒子を得た。
図9の(b)は、こうして得られたポリマー被覆フェライト微粒子の粒度分布を示す図である。このポリマー被覆フェライト微粒子は平均粒径が120.1nmであり、その標準偏差は40.8であった。こうして得られたポリマー被覆フェライト微粒子を、透過型電子顕微鏡により観察をした結果、フェライト微粒子が1個ずつポリマーで被覆された単分散のポリマー被覆フェライト微粒子が形成されていることを確認することができた。
実施例1と同様の工程にて、フェライト微粒子が10−ウンデセン酸とSDS(Sodium Dodecyl Sulfate,ラウリル硫酸ナトリウム)との二重層によって1個ずつ被覆された単分散フェライト微粒子を作製した。この二重層被覆は、まずフェライト微粒子に10−ウンデセン酸を吸着させて疎水化し、この疎水化微粒子に実施例1の場合と同じ方法により、SDSを吸着させることにより、10−ウンデセン酸層とSDS層との二重層で被覆されたフェライト微粒子を得たものである。図10の(a)は、こうして得た10−ウンデセン酸とSDSとの二重層の被覆を有するフェライト微粒子の粒径分布を示した図である。この二重層被覆微粒子は平均粒径が9.4nmであり、その標準偏差は1.3であった。
この10−ウンデセン酸とSDSとの二重層被覆を有するフェライト微粒子を、水110gに浸漬し、スチレンを2.7g、GMAを0.3g、ジビニルベンゼン(DVB)を0.04g、およびAIBN0.05gを加えて混合攪拌して乳化し、攪拌(350rpm)を行ないながら、温度を70℃にて24時間保持して乳化重合することにより、ポリマー被覆フェライト微粒子を得た。
図10の(b)は、こうして得られたポリマー被覆フェライト微粒子の粒度分布を示す図である。このポリマー被覆フェライト微粒子は平均粒径が49.0nmであり、その標準偏差は10.4であった。こうして得られたポリマー被覆フェライト微粒子について、透過型電子顕微鏡による観察を行なった結果、フェライト微粒子が1個ずつポリマーで被覆された単分散のポリマー被覆フェライト微粒子が形成されていることを確認することができた。
実施例2および3で示されたように、親水性微粒子を分散させ微粒子1個ずつ疎水化物質を吸着させて疎水化し、この微粒子にさらに親水化物質を吸着させて二重層で被覆された単分散微粒子を作製し、この微粒子それぞれの疎水性の層にモノマーを吸収させ、モノマーの重合反応を行なわせれば、親水性微粒子が1個ずつポリマーで被覆されたポリマー被覆微粒子を得ることができる。
実施例1と同様の工程にて、フェライトにオレイン酸を吸着させて疎水化し、これにオレイルアミンを吸着させ、フェライト微粒子がオレイン酸層とオレイルアミン層との二重層によって1個ずつ被覆された単分散フェライト微粒子を作製した。図11は、この10−ウンデセン酸の二重層で被覆されたフェライト微粒子の粒径分布を示す。この二重層被覆微粒子は平均粒径が23.8nmであり、その標準偏差は9.2nmであった。
実施例1と同様の工程にて、平均粒径が約30nmと粒径が比較的大きいフェライト微粒子を10−ウンデセン酸とSDSとの二重層で被覆した微粒子を作製した。この微粒子の二重層被覆は、まずフェライト微粒子に10−ウンデセン酸を吸着させて疎水化し、この疎水化微粒子に実施例1の場合と同じ方法を用い、10−ウンデセン酸を吸着させることにより形成した。図12の(a)は、こうして得た10−ウンデセン酸とSDSとの二重層で被覆されたフェライト微粒子の粒径分布を示す。この二重層被覆微粒子は平均粒径が62.8nmであり、その標準偏差は32.8nmであった。
この10−ウンデセン酸とSDSとの二重層で被覆されたフェライト微粒子を水110gに浸漬し、スチレンを2.7g、GMAを0.3g、およびAIBN0.05gを加えて混合攪拌して乳化し、攪拌(350rpm)を行ないながら、温度を70℃にて18時間保持して乳化重合することにより、ポリマー被覆フェライト微粒子を得た。
図12の(b)は、得られたポリマー被覆フェライト微粒子の粒度分布を示す図である。このポリマー被覆フェライト微粒子は平均粒径が108.5nmであり、その標準偏差は21.0であった。このように比較的大きなポリマー被覆フェライト微粒子を作製することができることを確認した。
実施例1に記載の条件で作製したポリマー被覆フェライト粒子について、耐有機溶剤性を試験した。具体的には各有機溶剤に浸漬し、ミキサーにより16時間振動処理した後の粒子の状況を透過型電子顕微鏡およびレーザー光の散乱を用いた粒度分布計を用いて調べた。その結果、メタノール、1,4−ジオキサン、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、アセトン、ジエチルエーテル、トルエン、クロロホルムおよびヘキサンのいずれの有機溶剤に浸漬した場合にもポリマー被覆が保たれており、これらの有機溶剤に対し、耐有機溶剤性を有していることがわかった。
本発明によれば、ポリマーによる被覆が十分に良好であるとともに被覆の安定したポリマー被覆微粒子を得ることができ、またポリマーにより均等に被覆されているとともに粒子サイズのよく揃ったポリマー被覆微粒子を得ることができる。このため被覆が良好で微細なポリマー被覆磁性体微粒子として、生物及び医学用の担体粒子として有望である。またポリマー被覆された蛍光体や量子ドットは、生体中の新しいマーカーとしての応用が期待される。
本発明のポリマー被覆微粒子の製造方法の一実施形態における工程の流れ図を示した図である。 親水性微粒子からポリマー被覆微粒子の生成までの工程における親水性微粒子と疎水化物質、親水化物質、有機溶媒、モノマーおよびポリマーとの関係を模式的に示した図である。 図2において親水化微粒子にモノマーを吸収させずに、疎水化物質および親水化物質9として疎水基にビニル基を有するものを用い、微粒子表面のこれらの二重層を重合させてポリマーを形成させてポリマー被覆微粒子を得る様子を模式的に示した図である。 図2において親水性微粒子1を疎水化する代わりに、疎水性微粒子4から出発し、図2と同様の工程を経て疎水性微粒子のポリマー被覆微粒子を得る様子を模式的に示した図である。 本発明のポリマー被覆微粒子の実施形態について模式的に示した図である。 実施例1における10−ウンデセン酸で二重に被覆されたフェライト微粒子の粒径分布の測定結果を示す図である。 実施例1におけるポリマー被覆フェライト微粒子のTEM写真である。 実施例1におけるポリマー被覆フェライト微粒子の粒径分布の測定結果を示す図である。 (a)は、実施例2における10−ウンデセン酸の二重層で被覆されたフェライト微粒子の粒径分布を示す図であり、(b)はこの実施例におけるポリマー被覆フェライト微粒子の粒度分布を示す図である。 (a)は、実施例3における10−ウンデセン酸の二重層で被覆されたフェライト微粒子の粒径分布を示す図であり、(b)はこの実施例におけるポリマー被覆フェライト微粒子の粒度分布を示す図である。 実施例4における10−ウンデセン酸の二重層で被覆されたフェライト微粒子の粒径分布を示す図である。 (a)は、実施例5における10−ウンデセン酸の二重層で被覆されたフェライト微粒子の粒径分布を示す図であり、(b)はこの実施例におけるポリマー被覆フェライト微粒子の粒度分布を示す図である。
符号の説明
1…親水性微粒子、2…疎水化物質、3…疎水化工程、4…疎水性微粒子、5…懸濁工程、6…有機溶媒、7…懸濁液、8…乳化工程、9…親水化物質、10…水、11…超音波振動、12…乳化液、12A…乳化粒子、13…有機溶媒蒸発工程、14…超音波振動、15…親水化微粒子、16…懸濁・モノマー吸収・再乳化工程、17…水、18…モノマーおよび疎水性開始剤、19…再乳化液、19A…再乳化粒子、20…乳化重合工程、21…親水性開始剤、22…加熱、23…ポリマー被覆微粒子、24…ポリマー、31…エポキシ基、32…アミノ基、33…エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)。

Claims (29)

  1. 親水基と疎水基とを有する疎水化物質の親水基を親水性微粒子の表面に吸着させて疎水化物質の層を形成し疎水基を外面に存在させて前記親水性微粒子を疎水化して疎水性微粒子を得る疎水化工程と、
    前記疎水性微粒子を有機溶媒に懸濁させて懸濁液を得る懸濁工程と、
    疎水基と親水基とを有する親水化物質を含有する水に前記懸濁液を混合して混合液とし、この混合液に超音波振動を与えることにより、前記親水化物質が前記懸濁液を取り囲んだ乳化粒子が水に分散した乳化液を得る乳化工程と、
    前記乳化液に超音波振動を与えながら前記乳化粒子の含有する有機溶媒を蒸発させ、前記親水化物質を前記疎水性微粒子表面に吸着させて前記親水性微粒子の層を形成することにより前記疎水性微粒子を親水化し、前記疎水化物質の層とこれに吸着した前記親水化物質の層との間に疎水性層の形成された親水化微粒子を得る有機溶媒蒸発工程と、
    前記親水化微粒子を水に懸濁させるとともにこの水にモノマーを含有させ、前記親水化微粒子の前記疎水性層にモノマーを吸収させ再乳化させて再乳化液を得るモノマー吸収・再乳化工程と、
    前記再乳化液の前記親水化微粒子によって吸収された前記モノマーを重合させることによりポリマー被覆微粒子を得るモノマー重合工程と
    を備えたことを特徴とするポリマー被覆微粒子の製造方法。
  2. 前記モノマーは、付加重合によって重合しポリマーを形成するモノマーであることを特徴とする請求項1記載のポリマー被覆微粒子の製造方法。
  3. 前記疎水化物質は、前記親水基としてカルボキシル基を備えていることを特徴とする請求項1または2記載のポリマー被覆微粒子の製造方法。
  4. 前記疎水化物質は、前記疎水基にビニル基を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリマー被覆微粒子の製造方法。
  5. 前記疎水化物質は、親水性微粒子に吸着してこの親水性微粒子を疎水化する脂肪酸またはその塩であることを特徴とする請求項4記載のポリマー被覆微粒子の製造方法。
  6. 前記脂肪酸は、CH=CH(CH−COOHの示性式で示される10−ウンデセン酸またはその塩であることを特徴とする請求項5記載のポリマー被覆微粒子の製造方法。
  7. 疎水性微粒子を有機溶媒に懸濁させて懸濁液を得る懸濁工程と、
    疎水基と親水基とを有する親水化物質を含有する水に前記懸濁液を混合して混合液とし、この混合液に超音波振動を与えることにより、前記親水化物質が前記懸濁液を取り囲んだ乳化粒子が水に分散した乳化液を得る乳化工程と、
    前記乳化液に超音波振動を与えながら前記乳化粒子の含有する有機溶媒を蒸発させ、前記親水化物質を前記疎水性微粒子表面に吸着させて前記親水性微粒子の層を形成することにより前記疎水性微粒子を親水化し、前記疎水性微粒子の表面とこれに吸着した前記親水化物質の層との間に疎水性層の形成された親水化微粒子を得る有機溶媒蒸発工程と、
    前記親水化微粒子を水に懸濁させるとともにこの水にモノマーを含有させ、前記親水化微粒子の前記疎水性層にモノマーを吸収させて再乳化し再乳化液を得るモノマー吸収・再乳化工程と、
    前記再乳化液の前記親水化微粒子によって吸収された前記モノマーを重合させることによりポリマー被覆微粒子を得るモノマー重合工程と
    を備えたことを特徴とするポリマー被覆微粒子の製造方法。
  8. 親水基と疎水基とを有する疎水化物質の親水基が表面に吸着して形成された疎水化物質の層とこの疎水化物質の層に疎水基と親水基とを有する親水化物質が吸着して形成された親水化物質の層との二重層を有し前記疎水化物質の層と前記親水化物質の層との間に疎水性層を有する親水性微粒子を、水に懸濁させるとともにこの水にモノマーを含有させ、前記疎水性層にモノマーを吸収させるモノマー吸収工程と、
    前記モノマーを吸収した前記親水化微粒子のモノマーを重合させることによりポリマー被覆微粒子を得るモノマー重合工程と
    を備えたことを特徴とするポリマー被覆微粒子の製造方法。
  9. 前記請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするポリマー被覆微粒子。
  10. 親水基と疎水基とを有する疎水化物質の親水基を親水性微粒子の表面に吸着させることによりこの疎水化物質の層を形成してこの疎水化物質の疎水基が外面に存在する疎水性微粒子とし、この疎水性微粒子を有機溶媒に懸濁させて懸濁液とし、この懸濁液を疎水基と親水基とを有する親水化物質を含有する水に混合して混合液とし、この混合液に超音波振動を与えることにより前記親水化物質が前記懸濁液を取り囲んだ乳化粒子が水に分散した乳化液とし、この乳化液に超音波振動を与えて前記乳化粒子を微細化し、超音波振動を与えて前記乳化粒子の微細化された状態を保ちながら乳化粒子の含有する有機溶媒を蒸発させてこの疎水性微粒子を親水性微粒子の層で被覆することにより形成され、疎水化物質の層と親水化物質の層との二重層によって親水性微粒子が被覆されていることを特徴とする二重層被覆微粒子。
  11. 親水性微粒子が疎水基の端部にビニル基を有する疎水化物質の層と疎水基の端部にビニル基を有する親水化物質の層との二重層で被覆され、前記二重層のこれらビニル基の重合反応によりポリマー被覆を形成していることを特徴とするポリマー被覆微粒子。
  12. 親水性の微粒子と、
    前記微粒子を被覆するポリマー被覆とを備えており、
    前記ポリマー被覆は、ビニル基を持つモノマーと、疎水基にビニル基を有し親水基が前記親水性の微粒子に吸着した疎水化物質との共重合を形成していることを特徴とするポリマー被覆微粒子。
  13. 前記ポリマー被覆は、ビニル基を持つモノマーと、疎水基にビニル基を有し親水基が前記親水性の微粒子に吸着した疎水化物質と、疎水基にビニル基を有し親水基がポリマー被覆の外面に存在しこのポリマー被覆を親水化する親水化物質との共重合を形成していることを特徴とする請求項12記載のポリマー被覆微粒子。
  14. 前記疎水化物質は、親水基としてカルボキシル基を備えていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項記載のポリマー被覆微粒子。
  15. 前記ポリマーを構成する疎水化物質は脂肪酸であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項記載のポリマー被覆微粒子。
  16. 前記脂肪酸は、CH=CH(CH−COOHの示性式で示される10−ウンデセン酸であることを特徴とする請求項15記載のポリマー被覆微粒子。
  17. 前記ポリマーはスチレンまたはグリシジルメタクリレートと前記疎水化物質との共重合体であることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項記載のポリマー被覆微粒子。
  18. 前記ポリマーはスチレンとグリシジルメタクリレートと前記疎水化物質との共重合体であることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項記載のポリマー被覆微粒子。
  19. モノエチレングリコールジグリシジルエーテルまたはポリエチレングリコールジグリシジルエーテルをスペーサーとして有することを特徴とする請求項18記載のポリマー被覆微粒子。
  20. 前記親水性微粒子は、磁性体微粒子であることを特徴とする請求項11〜19のいずれか1項記載のポリマー被覆微粒子。
  21. 前記磁性体微粒子は、Li、Mg、Fe、Mn、Co、Ni、CuおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するフェライト微粒子であることを特徴とする請求項20記載のポリマー被覆微粒子。
  22. 前記微粒子は、蛍光体または量子ドットであることを特徴とする請求項11〜19のいずれか1項記載のポリマー被覆微粒子。
  23. 請求項11〜22のいずれか1項記載のポリマー被覆微粒子で構成され、耐有機溶剤性を備えていることを特徴とする有機溶剤中で使用されるポリマー被覆微粒子。
  24. 架橋により耐有機溶剤性を高めたことを特徴とする請求項23記載の有機溶剤中で使用されるポリマー被覆微粒子。
  25. 表面修飾により耐有機溶剤性を高めたことを特徴とする請求項23または24記載の有機溶剤中で使用されるポリマー被覆微粒子。
  26. 前記有機溶剤として、メタノール、1,4−ジオキサン、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、アセトン、ジエチルエーテル、トルエン、クロロホルムおよびヘキサンからなる群から選ばれる少なくともいずれか1種を用いることを特徴とする請求項23〜25のいずれか1項記載の有機溶剤中で使用されるポリマー被覆微粒子。
  27. 請求項23〜26のいずれか1項記載の有機溶剤中使用のポリマー被覆微粒子であり、前記親水性微粒子が磁性体微粒子、蛍光体および量子ドットからなる群の少なくともいずれかであることを特徴とするアフィニティークロマトグラフィー用固相担体。
  28. 請求項23〜26のいずれか1項記載の有機溶剤中で使用されるポリマー被覆微粒子であり、前記親水性微粒子が磁性体微粒子、蛍光体および量子ドットからなる群の少なくともいずれかであることを特徴とするコンビナトリアルケミストリー用固相担体。
  29. 請求項23〜26のいずれか1項記載の有機溶剤中で使用されるポリマー被覆微粒子であり、前記親水性微粒子が磁性体微粒子、蛍光体および量子ドットからなる群の少なくともいずれかであることを特徴とするペプチドまたは核酸の化学合成用固相担体
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