JP2007326900A - アップコンバージョン材料表面のポリマー被覆膜形成方法及びポリマー被覆アップコンバージョン材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アップコンバージョン材料10の表面に感光性ラジカル発生剤12、光重合性ポリマー前駆体を含有する液体が介在する領域で前記アップコンバージョン材料10を励起してアップコンバージョン発光を発現するに必要な波長の光(近赤外光14)を前記アップコンバージョン材料10に入射して前記アップコンバージョン材料のアップコンバージョン発光(可視光〜紫外光)によって前記光重合性ポリマー前駆体を重合させる。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、疎水性の微粒子を有機溶媒に懸濁させ、この懸濁液と親水化物含有溶液を混合して乳化液を得、この乳化液に超音波振動を与えて乳化粒子を微細化しながら有機溶媒を蒸発させて親水化物が吸着した粒子を得、この粒子を水に懸濁してモノマーを添加し、ラジカル重合させてポリマーを得ることが記載されている。また、得られたポリマーは、蛍光・磁性体の応用可能であることが記載されている。
また、特許文献2には、下地膜を形成した蛍光体(無機粒子)のスラリーにモノマー、オリゴマーを添加し、ラジカル重合開始剤の存在下に、重合させてポリマーを得る被覆形成することが記載されている。
さらに、特許文献3には、光活性を有する酸化物微粒子と光硬化性物質と光重合開始剤を含有し、酸化物微粒子は光触媒であって、この触媒からの発光によって光重合開始剤の存在下で、光硬化性物質は重合し、硬化性被膜を形成することが記載されている。
また、引用文献3に記載の方法は、酸化物粒子を得る方法ではなく、この酸化物粒子を含む組成物によって被膜対象物を被覆する方法である。
<1> アップコンバージョン材料表面に感光性ラジカル発生剤、光重合性ポリマー前駆体を含有する液体が介在する領域で前記アップコンバージョン材料を励起してアップコンバージョン発光を発現するに必要な波長の光を前記アップコンバージョン材料に入射して前記アップコンバージョン材料のアップコンバージョン発光によって前記光重合性ポリマー前駆体を重合させることを特徴とするアップコンバージョン材料表面のポリマー被覆膜形成方法である。
<2> 前記アップコンバージョン発光を発現するに必要な光が、600〜1600nmの波長の光であることを特徴とする上記<1>に記載のアップコンバージョン材料表面のポリマー被覆膜形成方法である。
<3> 前記アップコンバージョン材料が、微粒子であることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載のアップコンバージョン材料表面のポリマー被覆膜形成方法である。
本発明のポリマー被膜アップコンバージョン材料は、
<4> 前記アップコンバージョン材料が、上記<1>乃至<3>のいずれかに記載の方法によって形成されたポリマー被膜アップコンバージョン材料である。
また、アップコンバージョン発光は、アップコンバージョン材料によりそれぞれ異なる波長の可視光や紫外線からなる。
本発明のアップコンバージョン材料としては、Y2O3、YAlO3等の酸化物、LaF3、YF3等のフッ化物、フッ化物ガラス等が代表的であるが、硫化物、セレン化物、テルル化物、フッ化物、塩化物に代表されるハロゲン化物、例えば、臭化物、ヨウ化物等が挙げられる。アップコンバージョン現象を示すための発光源としても希土類イオンとしては、Erが最も一般的であるが、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Tm等も含まれる。
アップコンバージョン材料の形状としては、粒子状、塊状、その他の任意の形状とすることができる。
本発明の重合性ポリマー前駆体は、アップコンバージョン発光によって得られる光、望ましくは可視光、紫外光によって固化可能な固体、特にポリマー固体の液体状の前駆体としては、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、アクリルアミド化合物、ポリビニルアルコール等が挙げられ、これらの中で、アップコンバージョン材料の表面に形成される保護被膜の透明性及び膜の耐久性等の点から、アクリル酸エステルとしてのペンタエリスリトールテトラアクリレート、メタアクリル酸エステルとしてのメチルメタアクリレートが好ましいが、更に重合反応が速やかに進行する点からは、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが特に望ましい。
本発明の感光性ラジカル発生剤としては、チタノセン系、ベンゾフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンゾインアルキルケタール系などの芳香族カルボニル系やチオキサントン系、アントラキノン系が挙げられ、これらの中で、感光波長が最も長波長である点から
チタノセン系が特に好ましい。
重合性ポリマー前駆体に対する感光性ラジカル発生剤の混合比(重量比)は、最も効率的に重合が進行するような添加量を選定すべきであるが、重合性ポリマー前駆体:感光性ラジカル発生剤は1000:2〜3が好ましい。
これによって、アップコンバージョン材料を励起するに必要な光が入射させた平面状領域を分散液が順次移動し、この移動中に重合性ポリマー前駆体が重合した微粒子表面にのみポリマー保護膜が形成される。
[実施例1]
Y2O3及びEr(NO3)3/ EtOH溶液を混合比Y3+:Er3+=95:5となるように適量混合し乾燥後、焼結してErを5モル%ドープしたY2O3焼結体を得た。この焼結体へ980nm近赤外光を入射したときのアップコンバージョン材料発光を分光光度計により測定したところ、Erを5モル%ドープしたY2O3焼結体は、980nmの近赤外光を入射することによって、焼結体表面から555nmのアップコンバージョン発光を起こすことを確認した。
次にビーカ内にErを5モル%ドープしたY2O3焼結体を設置するとともにPETA(ポリマー前駆体:ペンタエリスリトールテトラアクリレート)に対して0.5質量%のIRGACUR784(チタノセン系感光性ラジカル発生剤:Chiba社製)を混合した混合溶液を入れた。
この状態でビーカの上部から980nmの近赤外光を入射したところ、Y2O3焼結体を中心として発光していることが確認された。980nmの近赤外光の入射を1分間継続したところ、Erを5モル%ドープしたY2O3焼結体の表面に厚み0.1mmのポリマー保護膜が形成されていた。
12 感光性ラジカル発生剤
14 近赤外光
16 可視光〜紫外光
Claims (4)
- アップコンバージョン材料表面に感光性ラジカル発生剤、光重合性ポリマー前駆体を含有する液体が介在する領域で前記アップコンバージョン材料を励起してアップコンバージョン発光を発現するに必要な波長の光を前記アップコンバージョン材料に入射して前記アップコンバージョン材料のアップコンバージョン発光によって前記光重合性ポリマー前駆体を重合させることを特徴とするアップコンバージョン材料表面のポリマー被覆膜形成方法。
- 前記アップコンバージョン発光を発現するに必要な光が、600〜1600nmの波長の光であることを特徴とする請求項1に記載のアップコンバージョン材料表面のポリマー被覆膜形成方法。
- 前記アップコンバージョン材料が、微粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアップコンバージョン材料表面のポリマー被覆膜形成方法。
- 前記アップコンバージョン材料が、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法によって形成されたポリマー被膜アップコンバージョン材料。
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