JP2004292599A - アップコンバージョン蛍光体微粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば蛍光プローブ等に用いた場合に、励起光が紫外光等の被分析物に悪影響を及ぼすものでなく、かつ安定して発光し、十分な発光効率を示す蛍光体微粒子を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、一般式が(R1−x,Er(ただし、Rは、Y、La、Gd、およびLuのうちの少なくとも1種を示す。また、xはモル量を示し、0.001≦x≦0.20の範囲内である。)の組成式で表され、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することを特徴とするアップコンバージョン蛍光体微粒子を提供する。
【選択図】 無し

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アップコンバージョン蛍光体微粒子に関するものであり、特に赤色光や赤外光により励起されてアップコンバージョン発光することにより、遺伝子診断分野、免疫診断分野、医薬開発分野、環境試験分野、バイオテクノロジー分野、蛍光検査などにおいて好適に用いることができるアップコンバージョン蛍光体微粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、医学・生物学分野では、ウイルスや酵素の反応の研究あるいは臨床検査に、有機物分子からなる蛍光物質を標識として用い、紫外線照射したときに発する蛍光を光学顕微鏡あるいは光検出器で測定する方法がとられている。このような方法としては、例えば、抗原−抗体蛍光法がよく知られている。この方法では、蛍光を発する有機蛍光体が結合した抗体が用いられる。抗原−抗体反応は、鍵穴−鍵の関係に例えられるように非常に選択性が高い。このため、蛍光強度分布から抗原の位置を知ることができる。もう1つの例としていわゆるDNAチップを用いた蛍光検査法がある。未知のDNAの塩基配列を決めることを目的として本検査法を用いる場合、その概略は次のようなものである。すなわち、既知の塩基配列を有するDNA(DNA断片)を多数基板上にスポット状に配列した、いわゆるDNAチップと、有機蛍光体でラベルされた被検査物である未知の塩基配列を有するDNAを反応させることにより、被検査物の塩基配列を、DNAチップ上の蛍光スポットの位置や強度などを解析することにより決定する。
【0003】
ところで、このように蛍光標識として有用な有機蛍光体には従来から問題点があった。すなわち、保存時や蛍光測定時の安定性に欠け、劣化を生じる恐れがある等の問題があった。
【0004】
このような問題を解決したものとして、CdSeナノ粒子を用いる方法が提案されている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、励起光が青色光もしくは紫外光であることから、分析または検出対象が生細胞や生組織である場合等においては、分析または検出対象に対して損傷を与えてしまうといった問題があった。また、分析または検出対象がDNAやたんぱく質などである場合においても、紫外光により分子に損傷が加えられる可能性があり、塩基配列の決定や活性サイトの決定などを精度良く行うに際しての妨げとなる場合があった。
【0005】
また、励起光が長波長側で発光するものとしては、二光子励起を起こすSiナノ粒子が提案されている(非特許文献2参照)。しかしながら、この方法は二光子吸収により発光するメカニズムであることから、発光効率が悪く、検出精度が低下するといった問題の他に、1nm以下の超微粒子とする必要があることから、加工が煩雑である等の問題があった。
【0006】
【非特許文献1】
”Semiconductor Nanocrystals as Fluorescent Biological Labels” Marcel Bruchez Jr, et al., p2013−2016, SCIENCE Vol. 281, 25 September 1998” ; ”Quantum Dot Bioconjugates for Ultrasensitive Nonisotopic Detection” Warren C. W. Chan and Shuming Nie, p2016−2018, SCIENCE Vol. 281, 25 September 1998
【非特許文献2】
”Second harmonic generation in microcrystallite films of ultra small Si nanoparticles” APPLIED PHYSICS LETTERS VOLUME 77, NUMBER 25 18 DECEMBER 2000”
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、例えば蛍光プローブ等に用いた場合に、励起光が紫外光等の被分析物に悪影響を及ぼすものでなく、かつ安定して発光し、十分な発光効率を示す蛍光体微粒子を提供することを主目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、一般式が(R1−x,Er(ただし、Rは、Y、La、Gd、およびLuのうちの少なくとも1種を示す。また、xはモル量を示し、0.001≦x≦0.20の範囲内である。)の組成式で表され、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することを特徴とするアップコンバージョン蛍光体微粒子を提供する。
【0009】
本発明のアップコンバージョン蛍光体微粒子は、上述したような組成の希土類元素を含有する微粒子であるので、安定して発光し、かつ十分な発光効率を示すものであり、さらに、これを例えば蛍光プローブとして用いた場合に、紫外光や青色光を励起光として用いる必要がないことから、生体高分子などの被分析物に対して損傷を与えることがなく、また有機蛍光体のように保存時の安定性に欠けるといった問題もないといった利点を有するものである。
【0010】
また、本発明はさらに、一般式が(R1−x―y,Er,Yb(ただし、Rは、Y、La、Gd、およびLuのうちの少なくとも1種を示す。また、xおよびyはモル量を示し、0.001≦x≦0.20、0<y≦0.20の範囲内である。)の組成式で表され、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することを特徴とするアップコンバージョン蛍光体微粒子を提供する。
【0011】
本発明は、上述したような組成の希土類元素を含有する微粒子であるので、さらに高い発光効率を示すものであり、安定して発光すると共に、これを例えば蛍光プローブとして用いた場合に、紫外光や青色光を励起光として用いる必要がないことから、生体高分子などの被分析物に対して損傷を与えることがなく、また有機蛍光体のように保存時の安定性に欠けるといった問題もないといった利点を有するものである。
【0012】
上述した発明においては、さらに、上記微粒子の平均粒子径が、1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
【0013】
蛍光体は、ほとんどの場合、粉末の形で用いられ、その平均粒子径は3〜12μm程度である。粒子径を小さくしていくと、ある粒子径(物質によって異なるが、1〜2μm程度)以下で発光効率が低下し始める。これは、結晶の表面層の発光効率が低いためと考えられている。1994年、粒子径数十〜数nmの蛍光体粒子で高い発光効率が得られることが報じられ、注目された(”Optical Properties of Manganese−Doped Nanocrystals of ZnS” APPLIED PHYSICS LETTERS, VOLUME 72, NUMBER 317, JANUARY, 1994 )。この現象は、励起子の閉じ込め効果によって説明された。したがって、希土類元素含有微粒子の粒子径を概ね100nm以下にすることにより、当該希土類元素含有微粒子によるアップコンバージョン発光の発光効率を更に高めることが期待できるからである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアップコンバージョン蛍光体微粒子について詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明に用いられるアップコンバージョン発光について、図1を用いて説明する。図1においては、希土類元素として、イッテルビウム(Yb)とエルビウム(Er)の2種類を用いた系であり、励起光として1000nmの赤外光を照射した例が示されている。まず、図1(a)に示すように、1000nmの励起光によりイッテルビウムが励起されて7/2からよりエネルギー準位の高い5/2に移動する。そして、このエネルギーが、エネルギー移動1により、エルビウムのエネルギー準位を、15/2から11/2に押し上げる。そして、図1(b)に示すように、同様に1000nmの励起光によりイッテルビウムが励起され、このエネルギーがエネルギー移動2により、さらにエルビウムのエネルギー準位を11/2から11/2に押し上げる。そして、図1(c)に示すように、上記励起されたエルビウムが基底状態に戻る際に、550nmの光を発光する。
【0016】
このように、1000nmの光で励起されたものが、よりエネルギーの高い550nmの光を発するような場合、すなわち励起光より高いエネルギーを発光するような場合をアップコンバージョン発光というのである。
【0017】
なお、上記従来技術において説明した二光子励起を起すSiナノ粒子は、図2に示すように、二つの光子が同時に吸収された際にはじめて励起するものであり、上記アップコンバージョン発光とは原理的に異なるものである。また、この二光子励起は二つの光子が同時に存在する必要があることから発光効率が悪いのに対し、上記アップコンバージョン発光はそのような必要性がなく、二光子励起を起すSiナノ粒子と比較すると極めて高い発光効率を有するものである。
【0018】
本発明は、このようなアップコンバージョン発光を生じる希土類元素を用いるものであるので、エネルギーの高い光、例えば紫外光等で励起する必要がない。すなわち、発光の際の光の波長は、分析または検出の容易さから通常は可視光であることが好ましい。したがって、アップコンバージョン発光の場合はこれより波長の長い光が励起光として用いられる。このため、生体高分子に対して損傷を与える可能性の高い紫外光や青色光は励起光としては用いられないのである。さらに励起光波長と発光波長が重なることがほとんど無いため、分析または検出を著しく容易にさせるのである。
【0019】
以下、このような本発明のアップコンバージョン蛍光体微粒子について詳細に説明する。本発明のアップコンバージョン蛍光体微粒子は、その組成により二つの態様がある。それぞれを第1実施態様および第2実施態様として説明する。
【0020】
1.第1実施態様
本発明のアップコンバージョン蛍光体微粒子の第1実施態様は、一般式が(R1−x,Er(ただし、Rは、Y、La、Gd、およびLuのうちの少なくとも1種を示す。また、xはモル量を示し、0.001≦x≦0.20の範囲内である。)の組成式で表され、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することを特徴とするものである。
【0021】
本実施態様のアップコンバージョン蛍光体微粒子は、上記組成を有するものであるので、良好な発光効率を有するものであり、かつ、これを例えば蛍光プローブとして用いた場合に、紫外光や青色光を励起光として用いる必要がないことから、生体高分子などの被分析物に対して損傷を与えることがなく、また有機蛍光体のように保存時の安定性に欠けるといった問題もないといった利点を有するものである。
【0022】
このようなアップコンバージョン蛍光体微粒子の組成としては、上述したように、一般式が(R1−x,Erで示されるものである。
【0023】
ここで、Er(エルビウム)のモル量は、上述したように、0.1モル%から20モル%の範囲内であれば特に限定されるものではないが、1モル%〜20モル%の範囲内が好ましく、特に5モル%〜15モル%の範囲内が好ましい。Erがこの範囲内であれば、さらに発光強度の高いアップコンバージョン蛍光体微粒子とすることができるからである。
【0024】
また、上記Rで示される母材として用いられる希土類元素としてはY(イットリウム)、La(ランタン)、Gd(ガドリニウム)、およびLu(ルテチウム)からなる群より選択することができ、その数は1種であっても2種以上の複数種であってもよい。
【0025】
本実施態様においては、発光効率を良好とすることができる点から、上記母材として用いられるのはYを含むものであることが好ましく、特にYのみからなるものが好ましい。
【0026】
本実施態様のアップコンバージョン蛍光体微粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、1nm〜100nmの範囲内が好ましく、より好ましくは1nm〜50nmの範囲内である。本実施態様における平均粒子径は、電子顕微鏡写真より100個の粒子を抽出し、それぞれの粒子径から求めた平均の粒子径を用いるもとする。
【0027】
また、本実施態様のアップコンバージョン蛍光体微粒子を励起する励起光の波長の範囲としては、通常500nm〜2000nmの範囲内の波長であり、中でも700nm〜2000nmの範囲内、特に800nm〜1600nmの範囲内の波長であることが好ましい。
【0028】
このようなアップコンバージョン蛍光体微粒子の製造方法としては、高周波プラズマ法を含むガス中蒸発法、スパッタリング法、ガラス結晶化法、化学析出法、逆ミセル法、ゾル−ゲル法、水熱合成法や共沈法を含む沈殿法またはスプレー法等を挙げることができる。
【0029】
一例としては、Erが付活された塩基性炭酸塩を得、この塩基性炭酸塩を焼成し、その後、必要に応じて所定の粒子径に調整することによって得ることができる。
【0030】
上記の塩基性炭酸塩は、塩基性炭酸イットリウム、塩基性炭酸ガドリニウム、塩基性炭酸ルテチウム、および塩基性炭酸ランタンからなる群より選択することができ、その数は1種であっても2種以上の複数種であってもよい。
【0031】
平均粒子径が1〜100nmであるアップコンバージョン蛍光体微粒子を得るためには、上記Erが付活された塩基性炭酸塩を、液相反応によって得ることが好ましい。当該塩基性炭酸塩は、例えば、Erで付活しようとする塩基性炭酸塩の構成元素である金属の硝酸塩と、Erの硝酸塩と、炭酸ナトリウムとを反応させることによって得ることができる。
【0032】
所望の希土類元素が付活された塩基性炭酸塩を焼成するにあたっては急速加熱することが好ましく、その後、急速冷却することが好ましい。この急速加熱および急速冷却によって粒子の成長を防ぎ、平均粒子径を容易に100nm以下にすることができる。
【0033】
ここで、本実施態様における急速加熱とは、300℃〜1700℃、好ましくは500℃〜1100℃に設定されたオーブンに少なくとも10分以上、好ましくは30分〜180分の範囲内で投入することをいう。また、急速冷却とは、上記オーブンから取り出し、オーブン内の温度より200℃以上低い、好ましくは500℃〜1100℃低い温度条件下におくことをいう。
【0034】
上述した各工程を経ることにより、上記アップコンバージョン蛍光体微粒子を得ることができる。
【0035】
2.第2実施態様
本発明のアップコンバージョン蛍光体微粒子の第2実施態様は、一般式が(R1−x―y,Er,Yb(ただし、Rは、Y、La、Gd、およびLuのうちの少なくとも1種を示す。また、xおよびyはモル量を示し、0.001≦x≦0.20、0<y≦0.20の範囲内である。)の組成式で表され、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することを特徴とする。
【0036】
本実施態様のアップコンバージョン蛍光体微粒子は、上記第1実施態様よりさらに発光効率が高く、かつ、上記第1実施態様と同様に、これを例えば蛍光プローブとして用いた場合に、紫外光や青色光を励起光として用いる必要がないことから、生体高分子などの被分析物に対して損傷を与えることがなく、また有機蛍光体のように保存時の安定性に欠けるといった問題もないといった利点を有するものである。
【0037】
本実施態様と、上記第1実施態様との相違点は、付活される希土類元素をEr(エルビウム)およびYb(イッテルビウム)とした点のみである。したがって、本実施態様の説明は、上記付活される希土類元素の組成の点のみ行い、他の点については、上記第1実施態様の記載と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0038】
本実施態様においては、このようにErおよびYbを含むものであり、Erは0.1モル%〜20モル%の範囲内であり、Ybは0モル%を超える値から20モル%の範囲内である。
【0039】
本実施態様においては、特に高い発光強度を得たい場合、すなわち発光効率を重視する場合は、Erを0.1モル%〜15モル%、好ましくは0.1モル%〜10モル%の範囲内とし、Ybを0.1モル%〜20モル%、中でも0.1モル%〜10モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0040】
一方、この系において、フィルター等を用いずに目視にて識別することができるような赤色発光を得ようとする場合は、Erを0.1モル%〜15モル%、好ましくは0.1モル%〜10モル%の範囲内とし、Ybを1モル%〜20モル%、中でも3モル%〜15モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0041】
また、同様に、フィルター等を用いずに目視にて識別することができるような緑色発光を得ようとする場合は、Erを0.1モル%〜15モル%、好ましくは0.1モル%〜5モル%の範囲内とし、Ybを0.1モル%〜20モル%、中でも0.1モル%〜10モル%の範囲内とすることが好ましい。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
【0044】
(実施例1)
1.(Y1−x,Er微粒子の作成
液相反応にてErをドープした前駆体を得、当該前駆体を焼成することにより(Y1− ,Er微粒子を作製した。以下に製造工程を示す。
【0045】
まず硝酸イットリウムを(0.02−x) molと、硝酸エルビウムx molとを蒸留水に溶解させて100mlとし、Y、Erイオン混合溶液を作製した。また、炭酸ナトリウム水溶液(0.3mol/l)100mlを上記のY、Erイオン混合溶液に添加し2時間攪拌した。
【0046】
次に遠心分離機を用い、3000rpm、30分間の遠心分離を三回繰り返し行った。その後、沈殿物を真空中で45℃、5時間乾燥し、前駆体であるErがドープされた塩基性炭酸イットリウムを得た。
【0047】
この前駆体を、空気中900℃の電気炉に入れて急熱し、30分保持した後、取り出して急冷した。このようにして、(Y1−x,Er微粒子を合成した。SEMおよびXDRの測定結果より、平均粒子径は約40nmであることが確認された。
【0048】
2.評価
このようにして得られた(Y1−x,Er微粒子(x=0.01、0.05、0.07、0.10、0.15、0.20)における、半導体レーザー(980nm)の光励起による発光スペクトルを図3に示す。Er3+の550nm付近の緑色発光と、660nm付近の赤色発光が観測された。
【0049】
Er濃度(mol%)に対する緑色発光、赤色発光および全発光(緑色+赤色)の発光強度を、それぞれ図4、図5および図6に示す。
【0050】
(実施例2)
1.(Y0.99 −x,Yb,Er0.01微粒子の作成
液相反応にてYbとErとをドープした前駆体を得、当該前駆体を焼成することにより(Y0.99 −x,Yb,Er0.01微粒子を作製した。以下に製造工程を示す。
【0051】
まず、硝酸イットリウムを(0.0198−x)molと、硝酸イッテルビウムx mol、硝酸エルビウム0.0002molとを蒸留水に溶解させて100mlとし、Y、Yb、Erイオン混合溶液を作製した。また、炭酸ナトリウム水溶液(0.3mol/l)100mlを上記Y、Yb、Erイオン混合溶液に添加し2時間攪拌した。
【0052】
次に、遠心分離機を用い、3000rpm、30分間の遠心分離を三回繰り返し行った。その後、沈殿物を真空中で45℃、5時間乾燥し、前駆体であるYbとErとが付活された塩基性炭酸イットリウムを得た。
【0053】
この前駆体を空気中900℃の電気炉に入れて急熱し、30分保持した後、取り出して急冷した。このようにして、(Y0.99 −x,Yb,Er0.01微粒子を合成した。SEMおよびXDRの測定結果より、平均粒子径は約40nmであることが確認された。
【0054】
2.評価
このようにして得られた(Y0.99 −x,Yb,Er0.01微粒子(x=0、0.01、0.02、0.03、0.05、0.07、0.10、0.20)の半導体レーザー(980nm)の光励起による発光スペクトルを図7示す。Er3+の550nm付近の緑色発光と、660nm付近の赤色発光が観測された。Yb濃度(mol%)に対する緑色発光、赤色発光および全発光(緑色+赤色)の発光強度を図8、図9および図10に示す。
【0055】
【発明の効果】
本発明においては、所定の組成の希土類元素を用いたアップコンバージョン蛍光体微粒子であるので、発光効率が高いという利点を有する。さらに、紫外光や青色光を励起光として用いる必要がないことから、例えば蛍光プローブ等に用いた際に生体高分子などの被分析物に対して損傷を与えることがなく、また有機蛍光体のように保存時の安定性に欠けるといった問題も有さないといった効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】アップコンバージョン発光を説明するための説明図である。
【図2】2光子発光を説明するための説明図である。
【図3】(Y1− ,Er微粒子の半導体レーザーの光励起による発光スペクトルを示すグラフである。
【図4】モル量を変化させて製造した(Y1− ,Er微粒子の緑色発光の発光強度を示すグラフである。
【図5】モル量xを変化させて製造した(Y1− ,Er微粒子の赤色発光の発光強度を示すグラフである。
【図6】モル量xを変化させて製造した(Y1− ,Er微粒子の全発光(緑色+赤色の発光強度を示すグラフである。
【図7】(Y0.99 −x,Yb,Er0.01微粒子の半導体レーザーの光励起による発光スペクトルを示すグラフである。
【図8】モル量xを変化させて製造した(Y0.99 −x,Yb,Er0.01微粒子の緑色発光の発光強度を示すグラフである。
【図9】モル量xを変化して製造した(Y0.99 −x,Yb,Er0.01微粒子の赤色発光の発光強度を示すグラフである。
【図10】モル量xを変化して製造した(Y0.99 −x,Yb,Er0.01微粒子の全発光(緑色+赤色)の発光強度を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 一般式が(R1−x,Er(ただし、Rは、Y、La、Gd、およびLuのうちの少なくとも1種を示す。また、xはモル量を示し、0.001≦x≦0.20の範囲内である。)の組成式で表され、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することを特徴とするアップコンバージョン蛍光体微粒子。
  2. 一般式が(R1−x―y,Er,Yb(ただし、Rは、Y、La、Gd、およびLuのうちの少なくとも1種を示す。また、xおよびyはモル量を示し、0.001≦x≦0.20、0<y≦0.20の範囲内である。)の組成式で表され、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することを特徴とするアップコンバージョン蛍光体微粒子。
  3. 前記微粒子の平均粒子径が、1nm〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアップコンバージョン蛍光体微粒子。
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