JP2006117864A - 蛍光体微粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛍光体微粒子の色の種類や光量をさらに充実させ、さらに、例えば蛍光プローブ等に用いた場合に、励起光が紫外光等の被分析物に悪影響を及ぼさず、かつ安定して発光し、十分な発光効率を示す蛍光体微粒子を提供する。
【解決手段】希土類元素を含有し、アップコンバージョン発光する蛍光体微粒子であって、上記アップコンバージョン発光の発光スペクトルが、赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有することを特徴とする蛍光体微粒子を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体微粒子に関するものであり、特に赤色光や赤外光により励起されてアップコンバージョン発光することにより、遺伝子診断分野、免疫診断分野、医薬開発分野、環境試験分野、バイオテクノロジー分野、蛍光検査等において好適に用いることができる蛍光体微粒子に関するものである。
従来、医学・生物学分野では、ウイルスや酵素の反応の研究あるいは臨床検査に、有機物分子からなる蛍光物質を標識として用い、紫外線照射したときに発する蛍光を光学顕微鏡あるいは光検出器で測定する方法がとられている。このような方法としては、例えば、抗原−抗体蛍光法がよく知られている。この方法では、蛍光を発する有機蛍光体が結合した抗体が用いられる。抗原−抗体反応は、鍵穴−鍵の関係に例えられるように非常に選択性が高い。このため、蛍光強度分布から抗原の位置を知ることができる。もう1つの例としていわゆるDNAチップを用いた蛍光検査法がある。未知のDNAの塩基配列を決めることを目的として本検査法を用いる場合、その概略は次のようなものである。すなわち、既知の塩基配列を有するDNA(DNA断片)を多数基板上にスポット状に配列した、いわゆるDNAチップと、有機蛍光体でラベルされた被検査物である未知の塩基配列を有するDNAを反応させることにより、被検査物の塩基配列を、DNAチップ上の蛍光スポットの位置や強度等を解析することにより決定する。
ところで、このように蛍光標識として有用な有機蛍光体には従来から問題点があった。すなわち、保存時や蛍光測定時の安定性に欠け、劣化を生じる恐れがある等の問題があった。
このような問題を解決したものとして、CdSeナノ粒子を用いる方法が提案されている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、励起光が青色光もしくは紫外光であることから、分析または検出対象が生細胞や生組織である場合等においては、分析または検出対象に対して損傷を与えてしまうといった問題があった。また、分析または検出対象がDNAやたんぱく質等である場合においても、紫外光により分子に損傷が加えられる可能性があり、塩基配列の決定や活性サイトの決定等を精度良く行うに際しての妨げとなる場合があった。
また、励起光が長波長側で発光するものとしては、二光子励起を起こすSiナノ粒子が提案されている(非特許文献2参照)。しかしながら、この方法は二光子吸収により発光するメカニズムであることから、発光効率が悪く、検出精度が低下するといった問題の他に、1nm以下の超微粒子とする必要があることから、加工が煩雑である等の問題があった。
このような問題に対して、特定範囲内の波長の光により励起されて、アップコンバージョン発光する蛍光体微粒子を用いる方法が提案されている(特許文献1)。このような蛍光体微粒子を例えば蛍光プローブ等に用いると、励起光として波長の長い光をしようすることができるため、紫外線等のように被分析物に悪影響を及ぼさず、安定した発光を維持することができる。そのため、アップコンバージョン発光する蛍光体微粒子は非常に有効な手段として注目されている。また一方で、現在の医学・生物学分野においては、検査対象が多岐に渡ることから、蛍光体微粒子の色の種類や光量をさらに充実させることが望まれている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、蛍光体微粒子の色の種類や光量をさらに充実させ、さらに、例えば蛍光プローブ等に用いた場合に、励起光が紫外光等の被分析物に悪影響を及ぼさず、かつ安定して発光し、十分な発光効率を示す蛍光体微粒子を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、希土類元素を含有し、アップコンバージョン発光する蛍光体微粒子であって、上記アップコンバージョン発光の発光スペクトルが、赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有することを特徴とする蛍光体微粒子を提供する。
本発明によれば、上記アップコンバージョン発光の発光スペクトルが、赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有することから、含有される希土類元素の導入量(ドープ量)を適宜選択することによって、任意の色のアップコンバージョン発光を得ることができ、さらには各領域にピークを有することから、蛍光体微粒子全体として充分な光量を有する蛍光体を得ることができるという利点を有する。また、本発明の蛍光体微粒子は希土類元素を用いたものであるので、発光効率が高く、なおかつ有機蛍光体のように保存時の安定性に欠けるといった問題も有さず、さらには紫外光や青色光を励起光として用いる必要がないことから、例えば蛍光プローブ等に用いた際に生体高分子等の被分析物に対して損傷を与えることがないという利点を有する。
また、上記発明においては、上記アップコンバージョン発光が白色であることが好ましい。上記アップコンバージョン発光の発光スペクトルが、赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有することから、含有される希土類元素の種類やドープ量を適宜選択することによって、単一微粒子であって、白色のアップコンバージョン発光をする蛍光体微粒子を得ることができ、蛍光体微粒子の用途を拡げることができる。
また、上記発明においては、上記希土類元素が、エルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも2つ以上の希土類元素であることが好ましい。これらの希土類元素を選択的に使用することにより、上記目的に適う蛍光体微粒子を得ることができるからである。
また、上記発明においては、上記蛍光体微粒子の母材が、ハロゲン化物または酸化物であることが好ましい。ハロゲン化物を母材として用いた場合は、発光効率が良好であるという利点を有し、酸化物を母材として用いた場合は耐水性等の耐環境性が高いという利点を有するからである。
また、上記発明においては、上記蛍光体微粒子の平均粒子径が、1nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。
なお、蛍光体は、ほとんどの場合、粉末の形で用いられ、その平均粒子径は3〜12μm程度である。粒子径を小さくしていくと、ある粒子径(物質によって異なるが、1〜2μm程度)以下で発光効率が低下し始める。これは、結晶の表面層の発光効率が低いためと考えられている。1994年、粒子径数十〜数nmの蛍光体微粒子で高い発光効率が得られることが報じられ、注目された("Optical Properties of Manganese-Doped Nanocrystals of ZnS" APPLIED PHYSICS LETTERS, VOLUME 72, NUMBER 317, JANUARY, 1994 )。この現象は、励起子の閉じ込め効果によって説明された。したがって、蛍光体微粒子の粒子径を概ね500nm以下にすることにより、アップコンバージョン発光の発光効率を更に高めることが期待できる。
本発明においては、所定の組成の希土類元素を用い、発光スペクトルが赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有することから、含有される希土類元素のドープ量を適宜選択することによって任意の色のアップコンバージョン発光を得ることができ、さらには各領域にピークを有することから、蛍光体微粒子全体として充分な光量を有する蛍光体を得ることができるという効果を奏する。
以下、本発明の蛍光体微粒子について詳細に説明する。
A.蛍光体微粒子
本発明の蛍光体微粒子は、希土類元素を含有し、アップコンバージョン発光する蛍光体微粒子であって、上記アップコンバージョン発光の発光スペクトルが、赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有することを特徴とするものである。
本発明においては、上記アップコンバージョン発光の発光スペクトルが、赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有することから、含有される希土類元素の導入量(ドープ量)を適宜選択することによって、任意の色のアップコンバージョン発光を得ることができ、さらには各領域にピークを有することから、蛍光体微粒子全体として充分な光量を有する蛍光体を得ることができるという利点を有する。また、本発明の蛍光体微粒子は希土類元素を用いたものであるので、発光効率が高く、なおかつ有機蛍光体のように保存時の安定性に欠けるといった問題も有さず、さらには紫外光や青色光を励起光として用いる必要がないことから、例えば蛍光プローブ等に用いた際に生体高分子等の被分析物に対して損傷を与えることがないという利点を有する。
なお、本明細書において、赤色領域とは600〜800nm、緑色領域とは500〜600nm、青色領域とは400〜500nmの光の波長領域を意味するものである。また、本発明において、上記発光スペクトルは蛍光体微粒子に波長980nmの半導体レーザーを照射することにより得られるものであり、本発明において、「赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有する」とは、赤色領域、緑色領域、および青色領域の中で最大の発光強度を示すピークを1としたときに、他の2つの領域における最大の発光強度を示すピークが0.01以上であることをいい、本発明においては、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.1以上である。
また、本発明においては、上記アップコンバージョン発光が白色であることが好ましい。上記アップコンバージョン発光の発光スペクトルが、赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有することから、含有される希土類元素のドープ量を適宜選択することによって、単一微粒子であって、白色のアップコンバージョン発光をする蛍光体微粒子を得ることができる。
なお、本明細書において、白色とは、XYZ表色系色度図(国際照明委員会(CIE)編)において、0.2≦X≦0.5および0.2≦Y≦0.44の範囲に属する色を意味するものである。
次に、一般的なアップコンバージョン発光について説明する。例えば、図1においては、希土類元素として、イッテルビウム(Yb)とエルビウム(Er)の2種類を用いた系であり、励起光として1000nmの赤外光を照射した例が示されている。まず、図1(a)に示すように、1000nmの励起光によりイッテルビウムが励起されて7/2からよりエネルギー準位の高い5/2に移動する。そして、このエネルギーが、エネルギー移動1により、エルビウムのエネルギー準位を、15/2から11/2に押し上げる。そして、図1(b)に示すように、同様に1000nmの励起光によりイッテルビウムが励起され、このエネルギーがエネルギー移動2により、さらにエルビウムのエネルギー準位を11/2から11/2に押し上げる。そして、図1(c)に示すように、上記励起されたエルビウムが基底状態に戻る際に、550nmの光を発光する。
このように、1000nmの光で励起されたものが、よりエネルギーの高い550nmの光を発するような場合、すなわち励起光より高いエネルギーを発光するような場合をアップコンバージョン発光というのである。
なお、上記背景技術において説明した二光子励起を起すSiナノ粒子は、図2に示すように、二つの光子が同時に吸収された際にはじめて励起するものであり、上記アップコンバージョン発光とは原理的に異なるものである。また、この二光子励起は二つの光子が同時に存在する必要があることから発光効率が悪いのに対し、上記アップコンバージョン発光はそのような必要性がなく、二光子励起を起すSiナノ粒子と比較すると極めて高い発光効率を有するものである。
また、本発明は、このようなアップコンバージョン発光を生じる希土類元素を用いるものであるので、エネルギーの高い光、例えば紫外光等で励起する必要がない。すなわち、発光の際の光の波長は、分析または検出の容易さから通常は可視光であることが好ましい。したがって、アップコンバージョン発光の場合はこれより波長の長い光が励起光として用いられる。このため、生体高分子に対して損傷を与える可能性の高い紫外光や青色光は励起光としては用いられないのである。さらに励起光波長と発光波長が重なることがほとんど無いため、分析または検出を著しく容易にさせるのである。
次に、本発明の蛍光体微粒子の構成成分について説明する。本発明の蛍光体微粒子は、通常、希土類元素と、希土類元素を担持する母材とを有するものである。まず、本発明に用いられる希土類元素について説明し、次いで母材について説明する。
1.希土類元素
本発明に用いられる希土類元素は、アップコンバージョン発光することが可能であって、赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有する蛍光体微粒子を得ることができる希土類元素であれば特に限定されるものではなく、希土類元素単独で上記領域にピークを有するものであっても良く、希土類元素の組合せによって上記領域にピークを有するものであってもよい。
このような希土類元素としては、上記性質を有する希土類元素であれば特に限定されるものではないが、一般的には3価のイオンとなる希土類元素を挙げることができる。中でもエルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも2つ以上の希土類元素を使用することが好ましい。これらの希土類元素を選択的に使用することにより、本発明の目的に適う蛍光体微粒子を得ることができるからである。
また、上記希土類元素の組合せとしては、例えば、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)およびツリウム(Tm)の組合せ、プラセオジウム(Pr)、エルビウム(Er)およびツリウム(Tm)の組合せ、エルビウム(Er)およびツリウム(Tm)の組合せ、等を挙げることができ、中でもイッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)およびツリウム(Tm)の組合せが好ましい。
このような希土類元素をアップコンバージョン発光させる励起光の波長の範囲としては、励起光が生体高分子に損傷を与えないことが好ましいことから、700nm〜2000nmの範囲内の波長であることが好ましく、700nm〜1600nmの範囲内であることがより好ましく、800nm〜1100nmの範囲内であることが特に好ましい。
2.母材
次に、本発明に用いられる母材について説明する。本発明に用いられる母材は、希土類元素を担持するものであって、上記希土類元素をアップコンバージョン発光可能な状態で担持するものであれば特に限定されるものではなく、希土類元素と反応し、錯体、デンドリマー等を形成する有機物であっても良く、無機物であっても良い。中でも、本発明においては、無機物を使用することが好ましい。上記希土類元素を発光可能な状態で含有させることが容易だからである。
このような無機物の母材としては、励起光に対して透明性を有する材料が、発光効率の観点から好ましく、具体的には中でもフッ化物、塩化物等のハロゲン化物、酸化物、硫化物等が好適に用いられる。
本発明においては、発光効率の観点からは、ハロゲン化物が好適に用いられる。このようなハロゲン化物としては、具体的には、塩化バリウム(BaCl)、塩化鉛(PbCl)、フッ化鉛(PbF)、フッ化カドミニウム(CdF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化イットリウム(YF)等を挙げることができ、中でも塩化バリウム(BaCl)、塩化鉛(PbCl)およびフッ化イットリウム(YF)が好ましい。
一方、耐水性等の耐環境性の高い母材としては、酸化物を挙げることができる。このような酸化物としては、具体的には、酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、酸化シリコン(SiO)、酸化タンタル(Ta)等を挙げることができ、中でも酸化イットリウム(Y)が好ましい。
なお、ハロゲン化物を本発明の蛍光体微粒子の母材として用いた場合は、周囲に保護層を形成することが好ましい。すなわち、ハロゲン化物は一般的には水等に対して不安定であり、そのまま蛍光体微粒子として用いると正確に分析ができない場合があり、このような場合は、ハロゲン化物を母材とする蛍光体微粒子の周囲に耐水性等を有する被覆材が形成された複合核部にするとよい。この被覆材としては、上に挙げたような酸化物を好適に用いることができる。
3.蛍光体微粒子の平均粒子系
本発明の蛍光体微粒子の平均粒子系は、1nm〜500nmが好ましく、中でも1nm〜100nmがより好ましい。上記平均粒子径が1nm未満の微粒子は合成が極めて困難であり好ましくない。また、上記平均粒子径が500nmを超える微粒子は被標識物の反応を妨げたりしてデータの精度を低下させるので好ましくない。
4.蛍光体微粒子の製造方法
次に、本発明の蛍光体微粒子の製造方法について説明する。本発明の蛍光体微粒子の製造方法としては、本発明の目的に適う蛍光体微粒子を得ることができれば特に限定されるものではないが、例えば高周波プラズマ法を含むガス中蒸発法、スパッタリング法、ガラス結晶化法、化学析出法、逆ミセル法、ゾル−ゲル法およびそれに類する方法、水熱合成法や共沈法を含む沈殿法またはスプレー法等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる母材への希土類元素の導入方法としては、例えば、母材がハロゲン化物の場合、例えば塩化バリウム(BaCl)については、特開平9−208947号公報もしくは文献("Efficient 1.5mm to Visible Upconversion in Er3+ Doped Halide Phoshors" Junichi Ohwaki, et al., p.1334-1337, JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, Vol.31 part 2 No.3A, 1March 1994)に記載の方法を挙げることができる。また、母材が酸化物の場合、特開平7−3261号公報もしくは文献("Green Upconversion Fluorescence in Er3+ Doped Ta2O5 Heated Gel" Kazuo Kojima et al., Vol.67(23), 4 December 1995 ; "Relationship Between Optical Properties and Crystallinity of Nanometer Y2O3:Eu Phoshor" APPLIED PHYSICS LETTERS, Vol.76, No.12, p.1549-1551, 20 March 2000)に記載の方法を挙げることができる。また、上記母材中における希土類元素のドープ量としては、希土類元素の種類や母材の種類、および必要とされる発光の程度によって大幅に異なるものであり、種々の条件に応じて適宜決定されるものである。
B.蛍光プローブ
本発明の蛍光体微粒子は、蛍光体微粒子の表面上に特異的結合物質結合部位を有する機能性殻部を設けることにより、蛍光プローブとして使用することができる。以下、本発明の蛍光体微粒子を用いた蛍光プローブついて説明する。
1.特異的結合物質結合部位
上記特異的結合物質結合部位は、蛍光体微粒子表面上の機能性殻部に設けられるものであり、物理的結合性または化学的結合性を付与させるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、イオン解離能を有する部位、イオン配位能を有する部位、金属と結合する機能を有する部位、縮合反応性を有する部位、付加反応性を有する部位、置換反応性を有する部位、水素結合能を有する部位、特異的相互作用能を有する部位等を挙げることができ、中でも、縮合反応性を有する部位、付加反応性を有する部位、置換反応性を有する部位および特異的相互作用を有する部位のうちの少なくとも一つの部位であることが好ましい。
このような部位としては、具体的には、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、アルデヒド基(−CHO)、ビニル基(CH=CH−)、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、アセタール基((CHCHO)CH−)、イミド部位、ビオチン部位等を挙げることができる。
2.特異的結合物質
上述した特異的結合物質結合部位と結合する特異的結合物質としては、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド核酸(PNA)等の合成核酸、ホルモン、たんぱく質、ペプチド、細胞、組織、抗原、抗体、レセプター、ハプテン、酵素、核酸、薬剤、化学物質、ポリマー、病原体、毒素、アデニン誘導体、グアニン誘導体、シトシン誘導体、チミン誘導体、ウラシル誘導体等を挙げることができる。中でもデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド核酸(PNA)等の合成核酸、ホルモン、たんぱく質、抗原、抗体、ペプチド、細胞を特異的結合物質として用いることが好ましい。本発明においては、上述したように励起光が生体高分子に対して損傷を与えないところに特徴を有するものであり、上記DNA、RNA、合成核酸、ホルモン、たんぱく質、抗原、抗体、ペプチド、細胞は、励起光によるわずかな損傷が生じた場合でも、分析結果に大きな影響を及ぼす可能性があることから、本発明の利点を有効に活かすことができるからである。
3.検出方法
上記蛍光プローブを用いた検出方法としては、例えば、下記に示すような抗原抗体反応を利用した方法を挙げることができる。
すなわち、細胞や細胞内にある物質(抗原)に作用させた抗体は抗原抗体反応によって抗原と強く結合するので、その結合部位を頼りに抗原の所在を探すことができる。しかしながら、一般に抗体分子そのものを顕微鏡下に観察することはできないので、抗原の検出に用いる抗体はあらかじめ観察可能なマーカーで標識しておく必要がある。そこで抗体にあらかじめ可視的マーカーを結合させておくことにより抗原の存在部位を知ることができる。このような蛍光抗体法(fluorescent antibody method(蛍光色素標識抗体法fluorescent-labeled antibody method))は免疫組織化学的方法の一つであって、抗体のマーカーに蛍光色素を用い、蛍光顕微鏡下に励起された蛍光を観察することによって抗原の所在を探る方法である。この方法は免疫組織化学的方法の中でもっとも早く確立されたもので、1940年代の初めCoonsらが開発に着手し、1950年代にほぼ確立した方法である。その後、Riggsらによる標識法の改良やMcDvittらによる標識抗体の精製法が導入されて応用領域は拡がり、今日では免疫組織化学の代表的方法の一つとなっている。本発明の蛍光体微粒子を用いた場合、抗体を上記特異的結合物質として上記特異的結合物質結合部位と結合させることにより、このような方法に応用することが可能となるのである。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
(Y0.93,Yb0.05,Er0.01,Tm)微粒子の合成
液相反応にてYb、Er、およびTmをドープした前駆体を得、当該前駆体を焼成することにより(Y0.93,Yb0.05,Er0.01,Tm)微粒子を作製した。以下に製造工程を示す。
まず、硝酸イットリウムを0.0186molと、硝酸イッテルビウム0.0010 mol、硝酸エルビウム0.0002mol、硝酸ツリウム0.0002molとを蒸留水に溶解させて100mlとし、Y、Yb、Er、Tmイオン混合溶液を作製した。また、炭酸ナトリウム水溶液(0.3mol/l)100mlを上記Y、Yb、Er、Tmイオン混合溶液に添加し2時間攪拌した。
次に、遠心分離機を用い、3000rpm、30分間の遠心分離を三回繰り返し行った。その後、沈殿物を真空中で45℃、5時間乾燥し、前駆体である、Yb、Er、およびTmが付活された塩基性炭酸イットリウムを得た。
この前駆体を空気中900℃の電気炉に入れて急熱し、30分保持した後、取り出して急冷した。このようにして、(Y0.93,Yb0.05,Er0.01,Tm)微粒子を合成した。SEMおよびXDRの測定結果より、平均粒子径は約40nmであることが確認された。
2.評価
このようにして得られた(Y0.93,Yb0.05,Er0.01,Tm)微粒子の半導体レーザー(980nm)の光励起による発光スペクトルを図3示す。Tm3+の480nm付近の青色発光、Er3+の550nm付近の緑色発光と、660nm付近の赤色発光が観測された。
アップコンバージョン発光を説明するための説明図である。 2光子発光を説明するための説明図である。 (Y0.93,Yb0.05,Er0.01,Tm)微粒子の半導体レーザーの光励起による発光スペクトルを示すグラフである。

Claims (5)

  1. 希土類元素を含有し、アップコンバージョン発光する蛍光体微粒子であって、
    前記アップコンバージョン発光の発光スペクトルが、赤色領域、緑色領域、および青色領域のいずれの領域においてもピークを有することを特徴とする蛍光体微粒子。
  2. 前記アップコンバージョン発光が白色であることを特徴とするとする請求項1に記載の蛍光体微粒子。
  3. 前記希土類元素が、エルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも2つ以上の希土類元素であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蛍光体微粒子。
  4. 前記蛍光体微粒子の母材が、ハロゲン化物または酸化物であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の蛍光体微粒子。
  5. 前記蛍光体微粒子の平均粒子径が、1nm〜500nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の蛍光体微粒子。
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