JP2012041406A - ダイヤモンド - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性が高く、かつ、可視から近赤外の波長領域の蛍光を安定して発することが可能なダイヤモンドを提供する。
【解決手段】本発明に係るダイヤモンドは、カラーセンター、第1の希土類イオン、及び、当該第1の希土類イオンとは異なる第2の希土類イオンを含有し、光照射により励起された第1の希土類イオンからのエネルギー移動によって第2の希土類イオンにおいて2光子吸収が生じて第1の光が出力され、第1の光によりカラーセンターが励起されて第2の光が出力される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ダイヤモンドに関し、特に、蛍光を発するダイヤモンドに関する。
近年、質の高い生活の維持・向上を図るため、がんや脳梗塞のような疾病を早期発見し、早期治療を施すことが求められており、例えば、がん組織を早期発見し、がん組織を早期に生体内から摘出することが求められている。がんの治療方法としては、術中に光を患部に照射し、発生する蛍光等によってがん組織の位置を確認しつつ、がん組織を生体内から摘出する方法が期待されている。
また、がんの治療方法として、医薬抗体を治療薬として用いる方法が知られている(例えば下記特許文献1,2)。医薬抗体は、抗原・抗体反応によって特異的な抗原を認識し、がん細胞を攻撃するものであり、生体内における医薬抗体の動きを知ることは医薬抗体自体の評価に重要である。また、医薬抗体を利用してがん細胞を可視化することで、生体内における微小ながん組織を特定できる可能性もある。医薬抗体を用いるがんの治療方法としては、高エネルギー加速器によるポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)法等が用いられているが、当該治療方法は利用機関が限定されている。
一方、緑色蛍光タンパク質(GFP)のような光プローブ(蛍光標識)を用いる方法が検討されているが、生体内においてGFPの蛍光はヘモグロビンに吸収されてしまう等の問題がある。ヘモグロビンは、550nmを中心とした光吸収を示すが、600nm以上の光に対しては透明である。そのため、ヘモグロビン等により吸収されることなく生体内を透過し、がん組織の診断・治療に有用となる波長領域600〜1400nmの可視から近赤外の波長領域の光が注目を集めている。
生体内での抗体・抗原反応の蛍光標識に利用される蛍光体としては、有機蛍光分子、CdSやテルライド等の半導体ナノ粒子(半導体量子ドット)が知られている(例えば下記特許文献3,4)。しかし、いずれの物質も生体毒性やちらつき等の問題を解決しきれておらず、生体への適用には、より安全性が高く安定な蛍光体が必要である。
特開昭61−41966号公報 特開昭58−222035号公報 特開2006−291175号公報 特開2006−282977号公報
上記問題を解決する蛍光体として、有機蛍光分子や半導体ナノ粒子が検討対象となっている。ここで、有機蛍光分子は、蛍光が弱く、退色するといった欠点がある。このような欠点を克服し得ると考えられる半導体ナノ粒子は、量子収率が高く、鋭い発光スペクトルピークを有する。そのため、半導体ナノ粒子は蛍光標識として期待されているが、発光状態と非発光状態とが安定しない「ブリンキング」と呼ばれる現象や、生体毒性があるという問題がある。ブリンキングについては、温度やサイズ、シェルの厚み、表面状態等のように、周囲の環境に依存する種々の発生要因があり、ブリンキングの発生を制御し抑制することは容易ではない。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、安全性が高く、かつ、可視から近赤外の波長領域の蛍光を安定して発することが可能なダイヤモンドを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは、ダイヤモンドを母体としてカラーセンターと希土類イオンとを共存させることにより、両者の光学的特性に基づき上記課題を解決可能であることを見出した。すなわち、本発明に係るダイヤモンドは、カラーセンター、第1の希土類イオン、及び、当該第1の希土類イオンとは異なる第2の希土類イオンを含有し、光照射により励起された第1の希土類イオンからのエネルギー移動によって第2の希土類イオンにおいて2光子吸収が生じて第1の光が出力され、第1の光によりカラーセンターが励起されて第2の光が出力される。
本発明に係るダイヤモンドでは、光照射により励起された第1の希土類イオンからのエネルギー移動によって第2の希土類イオンにおいて2光子吸収が生じる。これにより、2光子吸収が生じた第2の希土類イオンから第1の光が出力され、当該第1の光がカラーセンターに照射されることとなる。そして、第1の光によりカラーセンターが励起されてカラーセンターから第2の光が出力される。本発明に係るダイヤモンドでは、第2の光として、可視から近赤外の波長領域(例えば600〜1400nm)の光がカラーセンターから出力される。このような波長領域の光は、生体組織に対する透過性が高く、生体組織に吸収されることなく生体組織の外部に容易に透過し放出される。また、本発明に係るダイヤモンドは、生体毒性が低く安全性が高いものであり、さらには、生体内や薬品中において安定状態を保持することができる。これらに基づき、本発明に係るダイヤモンドは、光を用いた低侵襲な診断・治療の医療分野に好適である。
本発明に係るダイヤモンドは、第1の希土類イオンとしてYbイオンを含有し、第2の希土類イオンとしてErイオンを含有することが好ましい。この場合、生体外からの励起光(例えば1064nmの光)の入射によって、532nmの発光を伴う励起発光過程が生体内部で生じ、当該532nmの光がカラーセンターに照射されることで、可視から近赤外の波長領域の光を良好に得ることができる。また、本発明に係るダイヤモンドは、これらの希土類イオンを含む化合物として、Yb及びErを含有することが好ましい。この場合、532nmの発光を伴う励起発光過程を生体内部で更に良好に行うことができる。
本発明に係るダイヤモンドは、第1の希土類イオンとしてYbイオンを含有し、第2の希土類イオンとしてTmイオンを含有することが好ましい。この場合、赤外励起光(例えば980nmの光)を入射することで、490〜550nmの緑色発光を伴う励起発光過程が生体内部で生じ、当該緑色光がカラーセンターに照射されることで、可視から近赤外の波長領域の光を良好に得ることができる。また、本発明に係るダイヤモンドは、これらの希土類イオンを含む化合物として、Yb及びTmを含有することが好ましい。この場合、発光に寄与する3価のイオンとしてYb3+及びTm3+をダイヤモンド中に内包することができ、490〜550nmの緑色発光を伴う励起発光過程を生体内部で更に良好に行うことができる。
本発明に係るダイヤモンドは、第1の希土類イオンの含有量が0.1〜10,000質量ppmであり、且つ、第2の希土類イオンの含有量が0.1〜10,000質量ppmであることが好ましい。この場合、第1の希土類イオンからのエネルギー移動によって第2の希土類イオンにおいて2光子吸収が生じ易く、第2の希土類イオンからの蛍光を更に安定して得ることができる。
本発明に係るダイヤモンドは、カラーセンターとしてNVセンターを含有することが好ましい。この場合、第2の希土類イオンが放出した発光のエネルギーをNVセンターが吸収し、生体外に容易に取り出すことのできる光として、NVセンターに固有の発光を得ることができる。
また、本発明に係るダイヤモンドは、カラーセンターとして遷移金属イオンを含有することが好ましい。遷移金属イオンとしては、Niイオンが好ましい。これらの場合、第2の希土類イオンが放出した光のエネルギーを、生体外に容易に取り出せる波長(例えば850nm程度)の光に変換することができる。
本発明に係るダイヤモンドは、安全性が高く、かつ、可視から近赤外の波長領域の蛍光を安定して発することができる。このような本発明に係るダイヤモンドは、光を用いた低侵襲な診断・治療の医療分野に好適である。
以下、本実施形態に係るダイヤモンドについて説明する。
本実施形態に係るダイヤモンドは、生体内及び薬品中において安定状態を保持することが可能なダイヤモンドであり、天然のダイヤモンド結晶であっても、人工的に得られたダイヤモンド結晶であってもよい。ダイヤモンド結晶を人工的に得る方法としては、周知の高圧合成法や気相合成法が挙げられる。
ダイヤモンド結晶は、単結晶や多結晶のいずれでもよい。単結晶である場合、結晶をナノサイズまで粉砕したものが好ましい。多結晶である場合、希土類イオンを取り込む割合が向上する観点から、ナノサイズの結晶粒界を有するものが好ましい。
ダイヤモンド結晶は、含有される不純物やその濃度等により分類される。製造方法によっては結晶の色が問題になることがあるものの、本実施形態では、不純物として窒素を含有するIIa型やIb型と呼ばれるダイヤモンド結晶や、これらの中間の窒素不純物濃度のダイヤモンド結晶が好ましい。
本実施形態に係るダイヤモンドの窒素含有量は、0.1〜10,000質量ppmが好ましく、100〜10,000質量ppmがより好ましい。窒素含有量は、電子スピン共鳴法(ESR法)により測定することが可能であり、炭素源(原料炭素)又は合成溶媒へ窒素ゲッター又はNaNを添加することやこれらの添加量を増減させることにより調整することができる。
本実施形態に係るダイヤモンドは、カラーセンター、第1の希土類イオン、及び、当該第1の希土類イオンとは異なる第2の希土類イオンを少なくとも一つのダイヤモンド結晶中に含有する。以下、カラーセンター及び希土類イオンについて説明する。
(カラーセンター)
本実施形態に係るダイヤモンドは、カラーセンターとしてNVセンター又は遷移金属イオンの少なくとも一方を含有する。ここで、NVセンターとは、ダイヤモンド中の空光子欠陥Vと当該空光子欠陥Vに隣接した置換位置にある窒素Nとで構成される中性のNVセンターに一つの電子が入り込み負に帯電した窒素−空孔中心をいう。NVセンターは、S=1のスピン状態を有している。ダイヤモンド結晶中にNVセンターを導入する方法としては、電子線等を照射してダイヤモンド結晶中に欠陥を生じさせた後にアニールする方法等が挙げられる。
遷移金属イオンとしては、例えばNiイオンが挙げられる。ダイヤモンド結晶中に遷移金属イオンを導入する方法としては、高圧合成時に原料(合成溶媒)に混入する方法、イオン注入する方法等が挙げられる。イオン注入する方法では、例えば300keV〜10MeVの加圧電圧でダイヤモンド結晶の厚さ方向に遷移金属イオンを注入する。なお、NVセンターと遷移金属イオンとは、カラーセンターとしてダイヤモンド結晶中に同時に含有されていてもよい。
上記カラーセンターの含有量は、用途等に応じて適宜調整されるが、例えばダイヤモンド結晶中において0.1〜10,000質量ppmが好ましく、10〜1,000質量ppmがより好ましい。上記カラーセンターの含有量が0.1質量ppm未満であると、使用可能なダイヤモンドの大きさが制限され易くなる傾向があり、上記含有量が10,000質量ppmを超えると、カラーセンターから放出される光に対する結晶中での吸光度が大きくなり、発光が弱くなる傾向がある。上記カラーセンターの含有量は、ESR法により測定することができる。なお、NVセンターと遷移金属イオンとがダイヤモンド結晶中に同時に含有されている場合、NVセンターの含有量と遷移金属イオンの含有量との合計が上記範囲であることが好ましい。
(希土類イオン)
第1の希土類イオンとしては、3価のランタノイド系希土類イオンが好ましく、Ybイオン(Yb3+)がより好ましい。第2の希土類イオンとしては、第1の希土類イオンに対して2光子吸収が生じてアップコンバージョン発光が可能なイオンであればよく、3価のランタノイド系希土類イオンが好ましく、Erイオン(Er3+)、Tmイオン(Tm3+)がより好ましい。第1の希土類イオン及び第2の希土類イオンの組み合わせとしては、Ybイオン及びErイオンの併用、Ybイオン及びTmイオンの併用が好ましい。なお、第1の希土類イオン及び第2の希土類イオンのそれぞれは、1種単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
本実施形態に係るダイヤモンドにおいて、上記希土類イオンは希土類酸化物として含有されていることが好ましい。希土類酸化物は、例えば、Yb、Er、Tmが好ましい。希土類酸化物は、Ybイオン及びErイオンが併用されている場合には、Yb及びErが好ましく、Ybイオン及びTmイオンが併用されている場合には、Yb及びTmが好ましい。
ダイヤモンド結晶中に希土類イオンを導入する方法としては、高圧合成時に原料(合成溶媒)に混入する方法、イオン注入する方法等が挙げられる。イオン注入する方法では、例えば、200keV〜3MeVの加圧電圧でダイヤモンドの厚さ方向に希土類イオンを注入する。なお、希土類イオンをイオン注入する場合、NVセンターの作製及び希土類イオンの注入の相互の順序は特に限定されない。
第1の希土類イオンの含有量は、用途等に応じて適宜調整されるが、例えばダイヤモンド結晶中において0.1〜10,000質量ppmが好ましく、10〜1,000質量ppmがより好ましい。第1の希土類イオンの含有量が0.1質量ppm未満であると、2光子吸収が生じにくくなる傾向があり、上記含有量が10,000質量ppmを超えると、カラーセンターから放出される光に対する結晶中での吸光が大きくなり発光が弱くなると共に、結晶を合成しづらくなる傾向がある。
第2の希土類イオンの含有量は、用途等に応じて適宜調整されるが、例えばダイヤモンド結晶中において0.1〜10,000質量ppmが好ましく、10〜1,000質量ppmがより好ましい。第2の希土類イオンの含有量が0.1質量ppm未満であると、2光子吸収が生じにくくなる傾向があり、上記含有量が10,000質量ppmを超えると、カラーセンターから放出される光に対する結晶中での吸光が大きくなり、発光が弱くなる傾向がある。なお、第1の希土類イオン及び第2の希土類イオンの含有量は、ESR法、ICP法及びSIMSといった元素分析法により測定することができる。
本実施形態に係るダイヤモンドは、カラーセンター及び希土類イオンの光学的特性に基づき、600〜1400nmの可視から近赤外の波長領域の光を放出することが可能である。すなわち、ダイヤモンドに励起光(例えば980nmや1064nmの近赤外光)が入射すると、第1の希土類イオンが励起されて、第1の希土類イオンから第2の希土類イオンへ光が出力される等してエネルギー移動が生じる。第2の希土類イオンでは、第1の希土類イオンからのエネルギーに基づき2光子吸収が生じ、550nm以下のアップコンバージョン光(第1の光、例えば532nm付近の緑色光)が出力され、当該アップコンバージョン光がカラーセンター(NVセンターや遷移金属イオン)に照射される。そして、アップコンバージョン光により上記カラーセンターが励起されて、上記カラーセンターに固有の波長領域の光、及び、それに付随するサブバンドからの光が上記600〜1400nmの波長領域の光(第2の光)として放出される。
上記2光子吸収とは、2光子吸収材料(イオン)が光の2つの光子を同時に吸収することによって、照射した光のエネルギーの2倍に相当する吸収が生じる現象である。本実施形態では、例えば、ダイヤモンドが希土類イオンとしてYb3+イオン及びEr3+イオンを含有する場合、1064nmの近赤外光をダイヤモンドに照射すると、Yb3+は当該近赤外光を吸収し、Yb3+イオンの4f電子が基底準位7/2から励起準位5/2に励起される。そして、励起されたYb3+イオンからEr3+イオンへエネルギー移動が生じ、Er3+イオンは2光子分のエネルギーを吸収する。これにより、Er3+イオンは基底状態15/2から励起状態11/2に励起され、無輻射遷移を経て、532nm付近の緑色光が放出されることとなる。
本実施形態に係るダイヤモンドは、生体内で無毒な蛍光体(蛍光粒子)として有用である。生体内に投与されたダイヤモンドに皮膚やヘモグロビンを透過可能な光が照射されると、ダイヤモンド中のカラーセンターは上述のとおり蛍光を発する。当該光は生体内から生体外部へ透過可能であることから、当該光を検出することで生体内における蛍光体の存在部位を特定することができる。また、希土類イオンやNVセンターからの蛍光はちらつきの発生が抑制されている。
本実施形態に係るダイヤモンドの平均粒子径は、100nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。平均粒子径が100nm以下であると、ダイヤモンド粒子をたんぱく質等に溶け込ませることが容易となる。この場合、本実施形態に係るダイヤモンドが溶け込んだたんぱく質を生体内に投与することで、生体内を透過可能な励起光を用いて生体内におけるダイヤモンドの存在部位を特定することが容易となる。
本実施形態に係るダイヤモンドは、細胞特異性のある化学修飾をダイヤモンドの表面に行うことで、特定の病巣をマーキングし診断に用いることができる。これにより、特異的な異常細胞を検出することが可能となり、生体内から異常細胞を摘出除去することが容易となる。化学修飾としては、例えばニトロフェニル基やカルボキシル基をダイヤモンドの表面に導入する方法が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下「%」とは「質量%」を意味するものとする。
(実施例1)
Yb粉末、Er粉末、Fe粉末及びCo粉末をそれぞれ1%、1%、49%、49%で混合し、充分に混ぜ合わせて粉末混合物を得た。粉末混合物をプレス機によってペレット化し、合成溶媒を作製した。その後、合成溶媒を真空中、1000℃で30分間加熱し、脱ガスを行った。この合成溶媒と炭素源とを用いて、ベルト型高温高圧合成法によって、1350℃、5.5GPaでダイヤモンド結晶の合成を行った。ダイヤモンド結晶は、インクルージョンは入っているがIb型結晶に近く、黄色透明となった。作製したダイヤモンドに電子線を3MeVで50kGy照射した後、800℃で60分間の真空アニールを行い、ダイヤモンド中にNVセンターを作製した。得られたダイヤモンドの平均粒子径は30nmであった。また、Ybイオン、Erイオン及びNVセンターの含有量は、それぞれ100質量ppm、100質量ppm、20質量ppmであった。
波長532nmの緑色のレーザ照射に対して、ダイヤモンドの発光ピークは637nmであり、700nm付近にはサブバンドからと考えられる蛍光が見られた。980nmのレーザ照射に対して、NV及びそのサブバンドからと考えられる600〜700nm付近の広い範囲での発光が得られた。波長1064nmのレーザ照射に対しても、NV及びそのサブバンドからと考えられる600〜700nm付近の広い範囲での発光が得られた。
(実施例2)
実施例1と同様に作製したIb型ダイヤモンド結晶に、加圧電圧200keV〜3MeVの範囲においてErイオンとYbイオンを200keV刻みで多段に分けて注入した。ドーズは各段において1×1014cm−2とした。このダイヤモンド結晶に電子線を3MeVで50kGy照射した後、800℃で60分間の真空アニールを行い、ダイヤモンド結晶中にNVセンターを作製した。得られたダイヤモンドの平均粒子径は30nmであった。また、Ybイオン、Erイオン及びNVセンターの含有量は、それぞれ100質量ppm、100質量ppm、20質量ppmであった。
波長532nmの緑色のレーザ照射に対して、ダイヤモンドの発光ピークは637nmであり、700nm付近にはサブバンドからと考えられる蛍光が見られた。980nmのレーザ照射に対して、NV及びそのサブバンドからと考えられる600〜700nm付近の広い範囲での発光が得られた。波長1064nmのレーザ照射に対しても、NV及びそのサブバンドからと考えられる600〜700nm付近の広い範囲での発光が得られた。
(実施例3)
Yb粉末、Er粉末及びNi粉末をそれぞれ1%、1%、98%で混合し、充分に混ぜ合わせて粉末混合物を得た。粉末混合物をプレス機によってペレット化し、合成溶媒を作製した。その後、合成溶媒を真空中、1000℃で30分間加熱し、脱ガスを行った。この合成溶媒と炭素源とを用いて、ベルト型高温高圧合成法によって、1350℃、5.5GPaでダイヤモンドの合成を行った。得られたダイヤモンドの平均粒子径は100nmであった。また、Ybイオン、Erイオン及びNiイオンの含有量は、それぞれ100質量ppm、100質量ppm、20質量ppmであった。
波長532nmの緑色のレーザ照射に対して、ダイヤモンドの発光ピークは790nmであった。980nmのレーザ照射に対して、内部で658nmの発光が発生したことにより、その吸収を元に、Niイオン及びNi−N欠陥由来と考えられる800〜880nm付近の広い範囲での発光が得られた。波長1064nmのレーザ照射に対しても、Niイオン及びNi−N欠陥由来と考えられる800〜880nm付近の広い範囲での発光が得られた。

Claims (9)

  1. カラーセンター、第1の希土類イオン、及び、当該第1の希土類イオンとは異なる第2の希土類イオンを含有し、
    光照射により励起された前記第1の希土類イオンからのエネルギー移動によって前記第2の希土類イオンにおいて2光子吸収が生じて第1の光が出力され、
    前記第1の光により前記カラーセンターが励起されて第2の光が出力される、ダイヤモンド。
  2. 前記第1の希土類イオンとしてYbイオンを含有し、前記第2の希土類イオンとしてErイオンを含有する、請求項1に記載のダイヤモンド。
  3. Yb及びErを含有する、請求項2に記載のダイヤモンド。
  4. 前記第1の希土類イオンとしてYbイオンを含有し、前記第2の希土類イオンとしてTmイオンを含有する、請求項1に記載のダイヤモンド。
  5. Yb及びTmを含有する、請求項4に記載のダイヤモンド。
  6. 前記第1の希土類イオンの含有量が0.1〜10,000質量ppmであり、前記第2の希土類イオンの含有量が0.1〜10,000質量ppmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のダイヤモンド。
  7. 前記カラーセンターとしてNVセンターを含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のダイヤモンド。
  8. 前記カラーセンターとして遷移金属イオンを含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のダイヤモンド。
  9. 前記遷移金属イオンがNiイオンである、請求項8に記載のダイヤモンド。

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