JP2005200465A - ポリオレフィン樹脂フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 廃棄時における環境への悪影響のない樹脂を基材とし、優れた耐磨耗性および耐滑り性を有する床材用に好適なポリオレフィン樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】 ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維0.5〜30重量部を含み、エンボス面の表面粗さが15〜25μmの範囲にあり、光線透過率が60%以上である、厚さ50〜500μmのポリオレフィン樹脂フィルムおよびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐磨耗性および耐滑り性に優れ、透明度の高いポリオレフィン樹脂フィルムであって、特に、床材として好適に用いることができるポリオレフィン樹脂フィルムに関する。
充填材を配合した樹脂シートとしては、従来、種々のものが知られている。なかでもポリ塩化ビニルを樹脂成分とする所謂PVCフィルム製品は、その良好な成型性や柔軟性から様々な用途に用いられてきた。
例えば、特開昭56−69158号公報(特許文献1)には、シリカやゼオライトなどのような微粒状の無機質充填剤を配合した軟質又は半硬質塩化ビニルシートを用いた表面保護シートが開示されているが、耐磨耗性が充分でないため、床材のような耐磨耗性が要求される用途には不向きであった。特開平6−79835号公報(特許文献2)には、ガラス短繊維を分散させた樹脂フィルムと内部可塑化樹脂フィルムを基材とした内装用化粧材が開示されているが、床材として用いるに必要な耐滑り性については考慮されていない。一方、特許第2753697号公報(特許文献3)には、ガラス短繊維をPVC樹脂組成物に配合することにより、床材に適したフィルムを得ることが提案されている。
また、コンクリートやアスファルト等の屋外面への取り付けを目的とした屋外広告システムが、特表2002−505453(WO099/44840)(特許文献4)に開示されている。同文献は、屋外での使用に際しては足を滑らせることなく歩行者がグラフィック製品上を安全に歩行できることが求められ、グラフィック表面が一定以上の滑り抵抗(耐滑り性)を有することが必要であると教示している。滑り抵抗を高めるために、画像保護層の表面にエンボス加工或いは荒加工を施すこと、結合剤層の露出面に研磨粒子を埋め込んで付着させることが行われている。
ところで、現在、種々のフィルム製品には廃棄時における環境への影響を出来る限り低減させる事が要求されており、特にポリ塩化ビニルを樹脂成分とする所謂PVCフィルム製品に関しては非PVC化の要求が後を絶たない。
このPVCに代わる素材としては種々のものが挙げられるが、材料価格や加工性、製品特性などを考えるとポリオレフィン樹脂フィルムが好適であり、実際に建築内装材やラベル、ステッカー、マーキングフィルム、各種テープ、医療など様々な製品に用いられている。例えば、特開2002−194155号公報(特許文献5)には、ポリプロピレン樹脂に炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルクなどを配合した樹脂組成物をカレンダー加工して装飾、表示用などに適したフィルムを製造することが開示されている。しかし、同フィルムは裁断性の向上を目的としたものであって、耐磨耗性、耐滑り性などにおいて充分ではないため、床材としては適するものではなかった。また、特開平9−52209号公報(特許文献6)には、短繊維含有表面層を積層した床材について開示されている。しかし、同文献では、PVCを合成樹脂基材中にガラス繊維を練り込んで寸法安定性と摩耗性の改善を図ろうとしているものの、特定のガラス繊維を含有するポリオレフィン樹脂を基材としエンボス面の表面粗さが精密に制御された床材に適するフィルムに関しては何ら具体的な開示がなされていない。
特開昭56−69158号公報 特開平6−79835号公報 特許第2753697号公報 特表2002−505453(WO099/44840)号公報 特開2002−194155号公報 特開平9−52209号公報
本発明は、PVCフィルム製品のような廃棄時における環境への悪影響のない樹脂を基材とし、従来技術に見られたように本来床材に適さないと考えられていたポリオレフィン樹脂フィルムに床材適用性を持たせ、優れた耐磨耗性および耐滑り性を有するポリオレフィン樹脂フィルムを提供することを目的とする。
上記本発明の課題は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維0.5〜30重量部を含み、エンボス面の表面粗さが15〜25μmの範囲にあり、光線透過率が60%以上である、厚さ50〜500μmのポリオレフィン樹脂フィルムによって解決される。
また、本発明は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維0.5〜30重量部を混合混練して配合物を調製し、これをカレンダー成型して、樹脂フィルムとし、これに連続して、樹脂フィルムの表面を艶消し梨地とするためのエンボスロールと圧ロールとからなるエンボス装置によって、樹脂フィルムの表面をエンボス処理するに際して、最終のカレンダーロールに対するエンボスロールの周速比を1.1〜1.7として、樹脂フィルムのエンボス面の表面粗さが15〜25μmの範囲にあり、光線透過率が60%以上である厚さ50〜500μmのポリオレフィン樹脂フィルムを得ることを特徴とするポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法をも提供するものである。
ポリオレフィン樹脂に対して所定の割合でガラス短繊維を混合している配合物を圧延、エンボス加工を施すことにより、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維を0.5〜30重量部含み、エンボス面の表面粗さが15〜25μmの範囲にあるフィルムが得られる。このフィルムは耐滑り性が良く、またガラス短繊維が均一に分散されているため耐磨耗性に優れるなど特に床材用フィルムとして好適であることに加えて、光線透過率60%以上が達成できるため図柄、模様にある素材に貼りあわせた場合にその図柄、模様が鮮明に認識できるため、意匠性を有する床材として好適に用いることができる。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムの基材であるポリオレフィン樹脂は、特に限定されるものではなく、フィルム成型に適したものであれば通常の市販品を用いてよい。ポリオレフィン樹脂の種類は特に限定されず、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられ、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂も本発明のポリオレフィン樹脂に含まれる。また、これら各樹脂の混合物でもよいが、光線透過率が高いポリプロピレン樹脂が好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、床材に適した耐磨耗性および耐滑り性を発現するために特定のガラス短繊維を含有する。本発明のポリオレフィン樹脂フィルムが、通常の艶消し梨地とするためのエンボス処理後に、エンボス面が所望の表面粗さを有するように、ガラス短繊維は直径6〜16μm、平均長さ0.1〜1.0mmの範囲にあるものがポリオレフィン樹脂と好ましく混合される。このようなガラス短繊維としては、通常、収束材であるシランカップリング剤によって、200〜300本が収束されたもの、すなわちチョップドストランドが好ましく用いられ、これがポリオレフィン樹脂に混合され、混練されて、個々の短繊維に分離されて樹脂中に分散される。
ガラス短繊維の含有量は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.5〜30重量部である。ガラス短繊維の含有量が0.5重量部より少ないと、耐磨耗性、耐滑り性が得られない。一方、30重量部を超えると、透明性が不充分になるとともに、成型加工が困難になる。ガラス短繊維の含有量は、1〜25重量部であることが好ましく、3〜20重量部であることがより好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムには、前記のガラス短繊維以外の配合剤として、例えば酸化防止剤、金属石鹸、滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤など、ポリオレフィン用の添加剤を用いることができる。
本発明においては、ガラス短繊維は予め少量のポリオレフィン樹脂や酸化防止剤などと共に、加熱下で均一に混合混練してバッチとすることで、ガラス短繊維をポリオレフィン配合物に容易に均一に分散させることができるほか、ガラス短繊維が飛散しないので、成型ならびに環境保護の観点から有利である。このようなバッチ材料は例えば、ガラス短繊維10〜80重量%、ポリオレフィン樹脂15〜90重量%、酸化防止剤などの添加剤0.1〜10重量%から形成することができる。
フィルム成型方法も特に限定されず、例えばTダイス法やインフレーション法、カレンダー法などが用いられるが、フィルムのタルミやコブを小さくし更に材料の切り替えが容易なカレンダー法が特に好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂フィルムを製造する方法の一例について説明する。まず、ポリオレフィン樹脂、ガラス短繊維を含む種々の原料を混合、混練して配合物を調製し、これをカレンダー成型して樹脂フィルムとする。カレンダー成型に連続して、樹脂フィルムの表面を艶消し梨地とするためのエンボスロールと圧ロールとからなるエンボス装置によって、樹脂フィルム表面にエンボス処理を施して、エンボス面に所定の表面粗さを有せしめた樹脂フィルムを得る。
本発明において用いるカレンダー成型機は、特に、限定されるものではないが、通常、逆L形の4本ロール式が好ましく用いられる。本発明によれば、カレンダー成型機の最終ロールから引き取られた樹脂フィルムは、引き続いて、テイクオフロールを経て、必要に応じて、加熱した後、金属製エンボスロールとゴム製圧ロールとからなるエンボス装置に導かれて、エンボス加工されて、厚さ50〜500μmの樹脂フィルムとされる。即ち、エンボス装置は、カレンダー装置からの樹脂フィルムに引続き、その表面を軽度にエンボス加工して、所要の艶消し梨地とするために設けられている。
上記エンボスロールは金属、例えば、鋼製の表面を有し、本発明に従って、カレンダー成型機の最終ロールから引取られた樹脂フィルムに引張り力を加えながら、エンボス加工して、エンボス面に15〜25μm、好ましくは、16〜24μmの範囲の表面粗さを与えるために、その表面粗さが3〜6μmの範囲にあるのが好ましい。ゴム製圧ロールは、通常、7〜13μmの表面粗さを有する。
上述したように、カレンダー装置の最終ロールから引き取られた樹脂フィルムは、エンボス装置の金属製エンボスロールとゴム製圧ロールとの間に供給され、その表面がエンボスされる。ここに、本発明によれば、樹脂フィルムをカレンダー装置の最終ロールから引取り、エンボス装置に供給して、樹脂フィルムの表面をエンボス加工して、艶消し梨地とするに際して、最終のカレンダーロールに対するエンボスロールの周速比を1.1〜1.7として、樹脂フィルムに引張り力を加えることによって、樹脂フィルムのエンボス面の表面粗さを上記範囲とすると共に、光線透過率が60%以上である厚さ50〜500μmの範囲のポリオレフィン樹脂フィルムを得ることができる。なお、本発明において、表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で表わすものとする。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。また、実施例における樹脂フィルムの特性は、以下の方法により評価した。
(評価−1)耐磨耗性
テーバー式磨耗試験法(磨耗輪CS−17、荷重1kg)の条件で評価を行い、下地が露出するまでの回転数を計測した。
(評価−2)耐滑り性
ASTM D 2047に準じ、静摩擦係数を測定した。静摩擦係数が0.5以上の場合、床材として要求される耐滑り性を有するとされる。
(評価−3)透明性
JIS K 7105に準じて光線透過率を測定した。光線透過率が60%以上であれば床材適用性を有しているが、75%以上の場合、図柄や模様を有する素材の上に貼りあわせた場合にも、当フィルムを通して図柄、模様が鮮明に認識できるため良好となる。
(評価−4)エンボス面の表面粗さ
JIS B 0601に準じ、エンボス面の表面粗さを十点平均粗さ(Rz)として測定した。
実施例1
直径6μm、長さ8mmのガラス短繊維のチョップドストランド(旭ファイバーグラス(株)製グラスロンチョップドストランド06−IE−830A)5重量部、ポリプロピレン樹脂(日本ポリオレフィン社製ジェイアロマーPM620A)100重量部、酸化防止剤スミライザーGA80(住友化学(株)製)0.2重量部、滑剤ステアリン酸カルシウム0.2重量部を混合し、得られた樹脂組成物を150〜180℃の温度で混練溶融した。
この混練物を、4本逆L字ロール型24インチカレンダーに供給し、ロール温度160〜190℃、最終カレンダーの周速を12m/分、エンボスロールの周速を15m/分、(最終のカレンダーロールに対するエンボスロールの周速比を1.25として圧延し、厚さ200μmの樹脂シートを得た。上記艶消し梨地のための軽度のエンボス加工のためのエンボスロールの表面粗さは4.5μm、圧ゴムロールの表面粗さは10.5μmであった。
表1に示したように、得られたフィルム中のガラス短繊維の平均長さは0.6mm、フィルムの表面粗さは18μm、であった。
実施例2〜3
ガラス短繊維量を変量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムを作成した。
実施例4
実施例1に対して、加工時のフィルム延伸率(カレンダーNo.4ロールとエンボスロールとの周速の比率)を1.6に上げ、表面粗さ24μmのフィルムを得た。
実施例5〜6
ガラス短繊維量を変量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムを作成した。
比較例1
ガラス短繊維を用いていないことを除いては、実施例1と同様の方法でフィルムを作成した。
比較例2
ポリプロピレン樹脂に代えて、平均重合度700のポリ塩化ビニル100重量部に対して、エチルヘキシルフタレート24重量部、バリウム−亜鉛系安定剤2.5重量部、エポキシ化大豆油3重量部、加工助剤1.5重量部に実施例1と同一のガラス繊維を5重量部加え、その他の加工条件は実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
比較例3〜4
ガラス短繊維量を変量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムを作成した。
各実施例のフィルムは、耐磨耗性、耐滑り性、透明性はいずれも良好で、床材に適したフィルムであったが、各比較例のフィルムは、耐磨耗性を更に向上させたいとする近年の要請を満足するものではなかった。
Figure 2005200465
Figure 2005200465

Claims (9)

  1. ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維0.5〜30重量部を含み、エンボス面の表面粗さが15〜25μmの範囲にあり、光線透過率が60%以上である、厚さ50〜500μmのポリオレフィン樹脂フィルム。
  2. ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維1〜25重量部を含む請求項1に記載のポリオレフィン樹脂フィルム。
  3. ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維3〜20重量部を含む請求項1に記載のポリオレフィン樹脂フィルム。
  4. 光線透過率が75%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂フィルム。
  5. エンボス面の表面粗さが16〜24μmの範囲にある請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂フィルム。
  6. ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維0.5〜30重量部を混合混練して配合物を調製し、これをカレンダー成型して、樹脂フィルムとし、これに連続して、樹脂フィルムの表面を艶消し梨地とするためのエンボスロールと圧ロールとからなるエンボス装置によって、樹脂フィルムの表面をエンボス処理するに際して、最終のカレンダーロールに対するエンボスロールの周速比を1.1〜1.7として、樹脂フィルムのエンボス面の表面粗さが15〜25μmの範囲にあり、光線透過率が60%以上である厚さ50〜500μmのポリオレフィン樹脂フィルムを得ることを特徴とするポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法。
  7. エンボスロールが3〜6μmの表面粗さを有する請求項6に記載のポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法。
  8. ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維を1〜25重量部の範囲で用いる請求項6または7に記載のポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法。
  9. ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ガラス短繊維を3〜20重量部の範囲で用いて、光線透過率が75%以上であるポリオレフィン樹脂フィルムを得る請求項6〜8のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法。
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