JP2005200232A - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

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Keisuke Itakura
圭助 板倉
Norimasa Sakamoto
典正 坂本
Masayoshi Inoue
正良 井上
Kazuo Miyabe
和夫 宮部
Shigeki Yanagida
茂樹 柳田
Tomohiro Sogabe
智浩 曽我部
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Abstract


【課題】 広範な主組成範囲において誘電体磁器組成物の比誘電率εr、Q値及び比誘電率の温度係数τεという3つの誘電特性を兼備させる。
【解決手段】 (BaSrCa1−x−yTiOの主組成(ただし、0≦x<0.25、0≦y≦1.0、0.94≦a≦1.06)を有し、この主組成に対して、MgO:10mol%以下(ただし、0を含まず)及びR(ただし、RはY、Sc及びランタノイド元素のグループから選ばれる1種又は2種以上の元素):10mol%以下(ただし、0を含まず)含有することを特徴とする誘電体磁器組成物
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体共振器、フィルタ又はコンデンサ等に適用するのに好適な誘電体磁器組成物に関し、特に(Ba、Sr、Ca)TiO系の誘電体磁器組成物に関する。
誘電体共振器、フィルタ又はコンデンサ等に用いる誘電体磁器組成物としては、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分としたものが知られている。この誘電体磁器組成物に要求される主な特性としては、以下のものが掲げられる。
(1)比誘電率(εr)が大きいこと:真空中の電磁波の波長をλとすると、誘電体中の波長λはλ=λ/εr1/2となる。εrの大きな誘電体を用いれば共振器の寸法を1/εr1/2にすることができるため、比誘電率εrを大きくすることにより機器の小型化を図ることができる。
(2)品質係数(Qf)が大きいこと:誘電体中を電磁波が通過するときにエネルギ損失があり、この誘電損失をtanδで表す。いわゆるQ値はQ=1/tanδで与えられるから、誘電損失が小さいものはQ値が大きくなる。このQ値は共振周波数fに依存し、Qf=一定の関係が成立している。このQfを品質係数と呼び、Qf値が大きいほど高品質である。
(3)比誘電率の温度係数(τε)が小さいこと:デバイスが使用される環境下、特に温度の変化に対して比誘電率εrの変動が小さいことが安定した特性を発揮するために重要である。
しかしながら、チタン酸バリウム(BaTiO)はQ値が小さい。これに対して、(Sr,Ca)TiO系、あるいは(Ba,Sr,Ca)TiO系(例えば、特許文献1)の磁器組成物は比誘電率εr及びQ値が高く、かつ比誘電率の温度係数τεが小さいことが知られている。
特開2000−264729号公報
比誘電率εr、Q値及び比誘電率の温度係数τεを所望の値にしたい場合、例えば(Ba,Sr,Ca)TiO系磁器組成物であれば、強誘電体であるBaTiOの量と、常誘電体であるSrTiO及びCaTiOの量、つまり構成組成物(主組成)の量比を調整することが行われている。これは、(Sr,Ca)TiO系磁器組成物においても同様であり、SrTiO及びCaTiOの量比を調整して誘電特性を制御することができる。
また、主組成の量比を調整する以外に、主組成以外の組成物(添加物)を添加することにより、誘電特性を制御することも行われている。主組成の調整による誘電特性の制御には限界があることから、添加物により誘電特性を向上できることは有効である。例えば、前述した(Sr,Ca)TiO系磁器組成物は、(Sr0.6Ca0.4)TiOの組成を有する場合に、比誘電率εr=210、Qf=2000、−40〜85℃における比誘電率の温度係数τεの絶対値|τε|=800ppm/℃という特性を特異的に備えるものの、近似する他の組成であっても誘電特性、特に比誘電率の温度係数τεの劣化が激しくなる。したがって、主組成が変動した場合であっても、比誘電率の温度係数τεを低く、かつQ値を高くすることのできる添加物の出現が望まれている。
本発明は、このような技術的背景に基づいてなされたもので、広範な主組成範囲において誘電体磁器組成物の比誘電率εr、Q値及び比誘電率の温度係数τεの3つの誘電特性を兼備させることのできる添加物を提案し、ひいては優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明者は種々検討したところ、MgOと希土類酸化物(以下、R)を複合して添加することにより、広範な主組成範囲において比誘電率εr、Q値及び比誘電率の温度係数τεという3つの誘電特性を兼備させることができることを確認した。つまり、MgO単独又はRを単独で添加した場合には得ることのできない誘電特性をMgOとRを複合して添加することが3つの誘電特性を兼備させるという顕著な効果を発揮させるのである。
本発明は、以上の知見に基づくものであり、(BaSrCa1−x−yTiOの主組成(ただし、0≦x<0.25、0≦y≦1.0、0.94≦a≦1.06)を有し、この主組成に対して、MgO:10mol%以下(ただし、0を含まず)及びR(ただし、RはY、Sc及びランタノイド元素のグループから選ばれる1種又は2種以上の元素):10mol%以下(ただし、0を含まず)含有することを特徴とする誘電体磁器組成物である。
本発明の誘電体磁器組成物は、いくつかの望ましい形態を包含している。この望ましい形態は、以下に示すように主組成の構成によって区別することができる。
主組成が、(SrTiO(ただし、0.94≦a≦1.06)
主組成が、(CaTiO(ただし、0.94≦a≦1.06)
主組成が、(SrCa1−yTiO(ただし、0<y<1.0、0.94≦a≦1.06)
主組成が、(Sr1−xBaTiO(ただし、0<x<0.25、0.94≦a≦1.06)
主組成が、(Ca1−xBaTiO(ただし、0<x<0.25、0.94≦a≦1.06)
主組成が、(BaSrCa1−x−yTiO(ただし、0<x<0.25、0<y<1.0、0.94≦a≦1.06)
本発明の誘電体磁器組成物において、MgO:1〜7mol%及びR:1〜7mol%以下とすることが望ましい。
さらに本発明の誘電体磁器組成物は、Zr、Mn、Co、Cr、Sn、V、Nb、Ta、Bi、W及びSiの中から選ばれる1種又は2種以上の酸化物(M酸化物)を10mol%以下の範囲で含有することが望ましい。
以上の本発明によれば、MgO及びRが10mol%以下の範囲で含有することにより、広範な主組成範囲において誘電体磁器組成物の比誘電率εr、Q値及び比誘電率の温度係数τεの3つの誘電特性を兼備させることができる。
以下本発明の誘電体磁器組成物について詳しく説明する。
<主組成>
本発明の誘電体磁器組成物は、(BaSrCa1−x−yTiOの主組成(ただし、0≦x<0.25、0≦y≦1.0、0.94≦a≦1.06)を有し、この主組成に対して、MgO:10mol%以下(ただし、0を含まず)及びR(ただし、RはY、Sc及びランタノイド元素のグループから選ばれる1種又は2種以上の元素):10mol%以下(ただし、0を含まず)含有している。
ここで、0≦x<0.25、0≦y≦1.0の範囲で設定されるから、本発明の誘電体磁器組成物は、主組成として以下の形態を包含している。以下の形態の中では、誘電特性のバランスの観点から(c)及び(f)が望ましい。
(a)…(SrTiO
(b)…(CaTiO
(c)…(SrCa1−yTiO
(d)…(Sr1−xBaTiO
(e)…(Ca1−xBaTiO
(f)…(BaSrCa1−x−yTiO
<x,y>
上記主組成において、xが0.25以上になると、後述する実施例に示すように、Qfが低くなる。そこで本発明はxを0.25未満とする。望ましいxは0.23以下、さらに望ましいxは0.21以下である。
また、上記主組成において、yは0〜1.0の範囲から適宜選択することができる。ただし、xが本発明の範囲内において一定の場合、yを低めに設定することにより高いQf及び低い比誘電率の温度係数τεを実現することができるので、この点を考慮しつつ得たい誘電特性に合わせてyの値を設定すればよい。また、このことは、yを低めに設定することにより少量のMgO及びRの含有量で高いQf及び低い比誘電率の温度係数τεが得られることを意味している。以上の観点からすると、yは0.05〜0.5の範囲、さらには0.1〜0.3の範囲とすることが望ましい。
<a>
上記主組成において、aは0.94〜1.06の範囲とする。0.94未満又は1.06を超えると比誘電率εrの低下が激しくなるからである。望ましいaは0.95〜1.05、さらに望ましいaは0.97〜1.04である。
<MgO及びR
本発明の誘電体磁器組成物は、MgO:10mol%以下(ただし、0を含まず)及びR(ただし、RはY、Sc及びランタノイド元素のグループから選ばれる1種又は2種以上の元素):10mol%以下(ただし、0を含まず)を含有する。このようにMgO及びRを複合して添加するところに本発明の最大の特徴がある。後述する実施例に説明するように、MgO又はRを単独で添加したのでは、その量を増やしたとしても得られない誘電特性の向上効果を、MgO及びRを複合して添加することにより得ることができる。なお、ランタノイド元素とは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuである。
MgO及びRは、主組成を100とした場合に、各々10mol%以下の範囲で含有される。各々10mol%を超える量を含有せしめると、比誘電率εrの低下が無視できなくなるためである。MgO及びRの量は主組成におけるBa、Sr、Caの量比によっても異なるが、概ね望ましいMgO及びRの量は1〜7mol%、さらに望ましいMgO及びRの量は1〜5mol%である。
本発明の誘電体磁器組成物は、さらに添加物としてZr、Mn、Co、Cr、Sn、V、Nb、Ta、Bi、W及びSiの中から選ばれる1種又は2種以上の酸化物(M酸化物:ZrO、MnO、Co、Cr、SnO、V、Nb、Ta、Bi、WO、SiO)を10mol%以下の範囲で含有することができる。M酸化物を含有することにより、誘電特性(比誘電率εr、Q値及び比誘電率の温度特性)のいずれかを向上させることができるとともに、焼結性を向上させることができる。M酸化物の望ましい含有量は1種又は2種以上で0.5〜5mol%、さらに望ましい含有量は0.5〜3mol%である。
以上の本発明による誘電体磁器組成物によれば、100以上の比誘電率εr(測定周波数2GHz)、1000GHz以上のQf及び1500ppm/K以下の比誘電率の温度係数τε(−30〜85℃における係数)という特性を得ることができる。この特性は、主組成及び添加物量によって変動することはいうまでもない。BaTiOを含む誘電体磁器組成物においては、比誘電率εrを200あるいは250以上とすることができ、その場合のQfも2000あるいは3000を超えることができる。
以下本発明の誘電体磁器組成物の望ましい製造方法について説明する。
<原料粉末、秤量>
主組成の原料として、酸化物または加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的にはBaCO粉末,SrCO粉末,CaCO粉末,TiO粉末を用いることができる。また、MgOについてはMgCO粉末、RについてはR粉末を、さらにM酸化物についてはZrO粉末、MnCO粉末等を用いることができる。以上の原料粉末を本発明による所定の組成となるように、それぞれ秤量する。各原料粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択すればよい。なお、上述した原料粉末に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を原料粉末としてもよい。
<仮焼>
原料粉末を例えばボールミルにより湿式混合した後、900〜1300℃の範囲内で所定時間保持する仮焼を行う。このときの雰囲気はNまたは大気とすればよい。仮焼の保持時間は0.5〜5.0時間の範囲で適宜選択すればよい。仮焼後、仮焼体を例えば平均粒径0.2〜2.0μm程度まで粉砕する。
なお、上記では主組成の原料粉末とともにMgO、R及びM酸化物の原料粉末を混合した後に、仮焼に供する場合について示したが、MgO、R及びM酸化物の原料粉末を添加するタイミングは上述したものに限定されるものではない。例えば、まず主組成の原料粉末のみを秤量、混合、仮焼および粉砕する。そして、仮焼粉砕後に得られた主組成の粉末に、MgO、R及びM酸化物の原料粉末を所定量添加し混合するようにしてもよい。
<造粒・成形>
粉砕粉末は、後の成形工程を円滑に実行するために顆粒に造粒される。この際、粉砕粉末に適当なバインダ、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加することが望ましい。得られる顆粒の粒径は80〜200μm程度とすることが望ましい。
造粒粉末を200〜300MPaの圧力で加圧成形し、所望の形状の成形体を得る。
<焼成>
成形時に添加したバインダを除去した後、1300〜1500℃の範囲内で所定時間成形体を加熱保持し焼結体を得る。このときの雰囲気はNまたは大気とすればよい。加熱保持時間は2〜10時間の範囲で適宜選択すればよい。
<第1実施例>
以下、本発明を具体的な誘電体磁器組成物に基づいて説明する。
原料粉末として、SrCO粉末、CaCO粉末、MgCO粉末、Y粉末およびTiO粉末を準備した。なお、各原料粉末の平均粒径は0.1〜1.0μmである。この原料粉末を表1に示す組成となるように秤量した後、ボールミルを用いて湿式混合を16時間行った。得られたスラリーを十分に乾燥させた後、大気中、1200℃で2時間保持する仮焼を行い、仮焼体を得た。仮焼体をボールミルにより16時間湿式粉砕した後、バインダとしてPVA(ポリビニルアルコール)を適量加えて造粒し、100〜400MPaの圧力でプレス成形を行った。得られた成形体(直径12mm、厚さ6〜8mm)を表1に示す温度で4時間保持する焼成を行った後に、直径10mm、厚さ5mmに加工して誘電体磁器組成物からなる試料を得た。この試料について、Hakki-Colemann法により比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεを求めた。その結果を表1にあわせて示す。また、MgO及びYの添加量と比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεの関係を図1〜図3に示す。なお、図1〜図3の横軸の添加量は、MgO又はYの各々の添加量を示している(以下、同様)。また、図1〜図3において、MgOを単にMgと、Yを単にYと記している。
Figure 2005200232
表1及び図1〜図3より以下のことがわかる。まず、Qfについてみると、MgO又はYを単独添加した場合には値が低下するのに対して、MgO及びYを複合添加するとQfを向上させることができる。また、比誘電率の温度係数τεについてみると、MgO又はYを単独添加した場合では得ることができないであろう値をMgO及びYを複合添加することにより得ることができる。このように、MgO及びYを複合添加することにより、MgO又はYの単独添加では得ることのできない優れた誘電特性が得られることがわかった。表1に示す組成では、100以上、さらには150以上の比誘電率εr(測定周波数2GHz)、8000GHz以上、さらには9000以上のQf、1500ppm/K(絶対値)以下、さらには1000ppm/K(絶対値)の比誘電率の温度係数τεという優れた誘電特性を得ることができる。
また表1より、単独又は複合添加に関わらず、MgO及び/又はYを添加することにより、結晶粒を極めて微細にできることが確認された。このように結晶粒を微細化することは、誘電体磁器組成物の強度向上にとって有効である。
<第2実施例>
原料粉末を表2に示す組成となるように秤量した以外は第1実施例と同様にして誘電体磁器組成物を作製し、やはり第1実施例と同様にして比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεを求めた。その結果を表2にあわせて示す。また、MgO及びYの添加量と比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεの関係を図4〜図6に示す。なお、図4〜図6には、第1実施例でMgO及びYを複合添加した誘電体磁器組成物の結果も併せて示している。また、図4〜図6には、Sr及びCaのモル比のみを記している。
Figure 2005200232
第2実施例は、第1実施例に対して主組成を変更してMgO及びYの添加効果を確認したものである。表2及び図4〜図6に示すように、主組成がSrTiO及びCaTiOの如何にかかわらず、MgO及びYの複合添加による誘電特性向上の効果を享受できることが確認された。具体的には、主組成がSrTiOの場合(試料No.11〜13)には、100以上、さらには200以上の比誘電率εr(測定周波数2GHz)、2000GHz以上、さらには3000以上のQf、1500ppm/K(絶対値)以下、さらには1000ppm/K(絶対値)の比誘電率の温度係数τεという優れた誘電特性を得ることができる。また、主組成がCaTiOの場合(試料No.14〜16)には、100以上、さらには120以上の比誘電率εr(測定周波数2GHz)、14000GHz以上、さらには16000GHz以上のQf、1100ppm/K(絶対値)以下、さらには900ppm/K(絶対値)の比誘電率の温度係数τεという優れた誘電特性を得ることができる。
<第3実施例>
原料粉末を表3〜表5に示す組成となるように秤量した以外は第1実施例と同様にして誘電体磁器組成物を作製し、やはり第1実施例と同様にして比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεを求めた。その結果を表3〜表5にあわせて示す。また、MgO及びYの添加量と比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεの関係を図7〜図9に示す。なお、図7〜図9には、Ba、Sr及びCaのモル比のみを記している。
Figure 2005200232
Figure 2005200232
Figure 2005200232
第3実施例は、第1実施例及び第2実施例が含んでいなかったBaTiOを含む誘電体磁器組成物について、MgO及びYの複合添加の効果を確認するものである。表3〜表5及び図7〜図9に示すように、BaTiOを含む誘電体磁器組成物についても、MgO及びYの複合添加による誘電特性向上の基本的な効果を享受できることが確認された。
誘電特性の絶対的な値を比較すると、BaTiOの量(x)が15mol%及び20mol%の誘電体磁器組成物の方が25mol%の誘電体磁器組成物よりも高い値を示している。例えば、100以上の比誘電率εr、1000GHz以上のQf及び1500以下のτεを基準に考えると、BaTiOの量が20mol%の場合にはMgO及びYの添加量を調整することによりこの基準を超えることができるのに対して、BaTiOの量が25mol%の場合にはこの基準を超えることができない。したがって、誘電特性の絶対的な値を考慮するとBaTiOの量は25mol%未満とすることが望ましい。さらにBaTiOの量は23mol%以下とすることが望ましい。
表4及び図7〜図9において、SrTiOの量が少ない(CaTiOの量が多い)ほうが、より少ない量のMgO及びYの添加により、前述の基準をクリアできることがわかる。したがって、本発明では、BaTiOの量が25mol%未満の場合において、SrTiOの量(y)を0.05〜0.5(モル比)の範囲、さらには0.1〜0.3の範囲とすることが望ましい。
<第4実施例>
原料粉末を表6に示す組成となるように秤量した以外は第1実施例と同様にして誘電体磁器組成物を作製し、やはり第1実施例と同様にして比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεを求めた。その結果を表6にあわせて示す。また、MgO及びRの添加量と比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεの関係を図10〜図12(試料No.74〜85についてのみ)に示す。
Figure 2005200232
第4実施例は、Yの代わりに表6に示すR(希土類元素)を用いた場合のMgOとの複合添加の効果を確認するものである。表6及び図10〜図12に示すように、Yの代わりに他のR酸化物を用いた誘電体磁器組成物についても、MgOとの複合添加による誘電特性向上の基本的な効果を享受できることが確認された。
ここで、Qfの向上という観点からはLa、Ndが有効である。ただし、比誘電率の温度係数τεを低減するためには、3mol%を超えて添加する必要がある。また、比誘電率の温度係数τεの観点からはDy、Ho、Ybが有効である。
<第5実施例>
原料粉末を表7〜表9に示す組成となるように秤量した以外は第1実施例と同様にして誘電体磁器組成物を作製し、やはり第1実施例と同様にして比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεを求めた。その結果を表7〜表9にあわせて示す。
Figure 2005200232
Figure 2005200232
Figure 2005200232
第5実施例は、本発明のM酸化物を添加した場合の効果を確認するものである。表7〜表9に示すように、M酸化物を添加した誘電体磁器組成物についても、MgOとYの複合添加による誘電特性向上の基本的な効果を享受できることが確認された。また、M酸化物のうち、比誘電率εrの向上に寄与するのはSnO、V、Nb、Bi、SiO、Crであり、Qfの向上に寄与するのはZrO、MnO、Coである。
<第6実施例>
原料粉末を表10に示す組成となるように秤量した以外は第1実施例と同様にして誘電体磁器組成物を作製し、やはり第1実施例と同様にして比誘電率εr、Qf及び−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεを求めた。その結果を表10にあわせて示す。
Figure 2005200232
第6実施例は、本発明のa値を変動したときの特性変動を確認するものである。表10に示すように、a値が0.930、1.070では比誘電率εrが100未満となることから、a値は0.94〜1.06の範囲にすることが望ましい。
第1実施例におけるMgO及びYの添加量と比誘電率εrの関係を示すグラフである。 第1実施例におけるMgO及びYの添加量とQfの関係を示すグラフである。 第1実施例におけるMgO及びYの添加量と−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεの関係を示すグラフである。 第2実施例におけるMgO及びYの添加量と比誘電率εrの関係を示すグラフである。 第2実施例におけるMgO及びYの添加量とQfの関係を示すグラフである。 第2実施例におけるMgO及びYの添加量と−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεの関係を示すグラフである。 第3実施例におけるMgO及びYの添加量と比誘電率εrの関係を示すグラフである。 第3実施例におけるMgO及びYの添加量とQfの関係を示すグラフである。 第3実施例におけるMgO及びYの添加量と−30〜85℃における比誘電率の温度係数τεの関係を示すグラフである。 第4実施例におけるMgO及びRの添加量と比誘電率εrの関係を示すグラフである。 第4実施例におけるMgO及びRの添加量とQfの関係を示すグラフである。 第4実施例におけるMgO及びRの添加量と比誘電率εrの関係を示すグラフである。

Claims (9)

  1. (BaSrCa1−x−yTiOの主組成(ただし、0≦x<0.25、0≦y≦1.0、0.94≦a≦1.06)を有し、
    この主組成に対して、MgO:10mol%以下(ただし、0を含まず)及びR(ただし、RはY、Sc及びランタノイド元素のグループから選ばれる1種又は2種以上の元素):10mol%以下(ただし、0を含まず)含有することを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 前記主組成が、(SrTiO(ただし、0.94≦a≦1.06)であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記主組成が、(CaTiO(ただし、0.94≦a≦1.06)であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 前記主組成が、(SrCa1−yTiO(ただし、0<y<1.0、0.94≦a≦1.06)であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  5. 前記主組成が、(Sr1−xBaTiO(ただし、0<x<0.25、0.94≦a≦1.06)であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  6. 前記主組成が、(Ca1−xBaTiO(ただし、0<x<0.25、0.94≦a≦1.06)であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  7. 前記主組成が、(BaSrCa1−x−yTiOの主組成(ただし、0<x<0.25、0<y<1.0、0.94≦a≦1.06)であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  8. MgO:1〜7mol%及びR:1〜7mol%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  9. Zr、Mn、Co、Cr、Sn、V、Nb、Ta、Bi、W及びSiの中から選ばれる1種又は2種以上の酸化物(M酸化物)を10mol%以下の範囲で含有する請求項1〜8のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
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