(第1実施形態)
以下、本発明をスマートイグニッション機能を備える車両に搭載される車両盗難防止システムに具体化した第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、車両盗難防止システム1は、携帯機11と、車両に配設された車両盗難防止装置12とを備えている。
携帯機11は、ユーザ(運転者)によって所持され、車両盗難防止装置12から送信されるリクエスト信号を受信すると、携帯機毎に予め設定されたIDコードを含むID信号を送信する。
車両盗難防止装置12は、スマート照合部20、エンジン制御部25、操作手段としての操作部30、機能管理手段としてのHMI制御部40、車両装備品を作動させる駆動部41、情報取得手段としての照合センサ部47、そして、検出手段としてのドアハンドルスイッチ(ドアハンドルSW)48を備えている。
スマート照合部20は、送信回路21、受信回路22、及び照合制御部23を備えている。照合制御部23には、エンジン制御部25が接続されている。
送信回路21は、照合制御部23から入力されるリクエスト信号を所定の周波数に変調して送信アンテナ21aを介して送信する。
受信回路22は、リクエスト信号に対する応答として携帯機11から送信されるID信号を受信アンテナ22aを介して受信可能となっている。受信回路22は、ID信号を受信すると、同ID信号をパルス信号に復調して照合制御部23に出力する。
照合制御部23は、図示しないCPU、ROM、RAM等からなるCPUユニットである。ROMには、予め車両毎に設定されたIDコードが記録されている。照合制御部23は、ID信号の返信を要求する旨のリクエスト信号を、送信回路21に対して間欠的に出力する。また、照合制御部23は、ID信号が入力されると、ID信号中のIDコードと、ROMに予め記録されたIDコードとを比較する(ID照合)。両IDコードが一致することによりID照合が成立した場合、照合制御部23は、エンジン制御部25にID一致信号を出力する。また、照合制御部23は、HMI制御部40から入力された始動信号をエンジン制御部25に出力する。
エンジン制御部25は、ID一致信号が入力されるとエンジンの始動を許可するようになっている。このエンジンの始動が許可された状態において照合制御部23から始動信号が入力されると、エンジン制御部25は、燃料噴射制御や点火制御などを行いエンジンを始動させる。
操作部30は、車両室内に配設され、ワイパーやハザードランプ等の車両装備品を作動させるために操作される複数のスイッチから構成される。本実施形態において操作部30は、エンジン始動スイッチ(E/G始動SW)31、ハザードスイッチ(ハザードSW)32、レバーコンビネーションスイッチ(LCS)33、シフトポジションスイッチ(シフトポジションSW)34、アクセルスイッチ(アクセルSW)35、及びブレーキスイッチ(ブレーキSW)36を備えている。
E/G始動SW31は、例えばモーメンタリ式の押しボタンによって構成され、運転席近傍に設けられている。ハザードSW32は、例えばセンターコンソールに設けられたオルタネイト式の押しボタンによって構成される。
LCS33は、多段階接点を有するスイッチによって構成され、ステアリングコラムに向かって左側に設けられたレバー(ワイパーレバー)の位置を検出する。LCS33は、検出したワイパーレバーの位置に応じたワイパー位置信号を出力する。つまり、LCS33は、ワイパーレバーがワイパー停止ポジションに位置している旨のワイパー位置信号と、間欠ポジションに位置している旨のワイパー位置信号と、連続(低速)ポジションに位置している旨のワイパー位置信号と、連続(高速)ポジションに位置している旨のワイパー位置信号とをそれぞれ出力する。
シフトポジションSW34は、LCS33と同じく多段階接点を有するスイッチによって構成され、シフトレバーの位置を検出する。シフトポジションSW34は、検出したシフトレバーの位置に応じたシフト位置信号を出力する。つまり、シフトポジションSW34は、シフトレバーが駐車(P)ポジションに位置している旨のシフト位置信号と、後退(R)ポジションに位置している旨のシフト位置信号と、中立(N)ポジションに位置している旨のシフト位置信号と、走行(D)ポジションに位置している旨のシフト位置信号とをそれぞれ出力する。
アクセルSW35及びブレーキSW36は、ロータリーエンコーダを備えるスイッチユニットである。アクセルSW35のロータリーエンコーダは、アクセルペダルの踏込み量を検出できる位置、例えばアクセルペダルの回転支点に取付けられ、アクセルペダルの回転角度から間接的にアクセルペダルの踏込み量を検出する。アクセルSW35は、検出したアクセルペダルの踏込み量に応じたアクセル位置信号を出力する。ブレーキSW36のロータリーエンコーダは、ブレーキペダルの踏込み量を検出できる位置、例えばブレーキペダルの回転支点に取付けられ、ブレーキペダルの回転角度から間接的にブレーキペダルの踏込み量を検出する。ブレーキSW36は、検出したブレーキペダルの踏込み量に応じたブレーキ位置信号を出力する。なお、ロータリーエンコーダの代わりにリニアエンコーダを用いてアクセルペダルまたはブレーキペダルの踏込み量を検出するようにしてもよい。
駆動部41は、シフトチェンジ駆動部42、アクセル駆動部43、ブレーキ駆動部44、ワイパー駆動部45、及びハザードランプ駆動部46を備えている。
シフトチェンジ駆動部42は、変速機の接続状態を切り換えるアクチュエータとそのドライバ回路とを備えている。シフトチェンジ駆動部42は、HMI制御部40から入力されるシフト駆動信号に基づいて変速機の接続状態を切り換える。すなわち、本実施形態における自動変速機は、いわゆるシフトバイワイヤ方式の自動変速機となっている。詳しくは、シフトチェンジ駆動部42は、後退用の歯車列への切り換えを示すシフト駆動信号が入力された場合には変速機の接続状態を後退用の歯車列に切り換える。エンジンの動力を車輪に伝達しない中立用の歯車列への切り換えを示すシフト駆動信号が入力された場合には、シフトチェンジ駆動部42は、変速機の接続状態を中立用の歯車列に切り換える。走行用の歯車列への切り換えを示すシフト駆動信号が入力された場合には、シフトチェンジ駆動部42は、変速機の接続状態を走行用の歯車列に切り換える。また、駐車用の歯車列への切り換えを示すシフト駆動信号が入力された場合には、シフトチェンジ駆動部42は、変速機の接続状態を駐車用の歯車列に切り換える。
アクセル駆動部43は、スロットル開度を調整するアクチュエータとそのドライバ回路とを備えている。アクセル駆動部43は、HMI制御部40から入力されるアクセル駆動信号に基づいてスロットル開度を調整する。ブレーキ駆動部44は、ブレーキディスクを挟持する圧力(挟込力)を調整するアクチュエータとそのドライバ回路とを備えている。ブレーキ駆動部44は、HMI制御部40から入力されるブレーキ駆動信号に基づいてブレーキディスクの挟持力を調整する。
ワイパー駆動部45は、HMI制御部40から入力されるワイパー駆動信号に基づいてワイパーを作動させる。詳しくは、ワイパー駆動部45は、ワイパーを間欠作動させる旨のワイパー駆動信号が入力された場合には予め設定された時間毎にワイパーを作動させる。ワイパーを低速で連続作動させる旨のワイパー駆動信号が入力された場合、ワイパー駆動部45はワイパーを低速で連続的に作動させる。一方、ワイパーを高速で連続作動させる旨のワイパー駆動信号が入力された場合、ワイパー駆動部45はワイパーを高速で連続的に作動させる。また、ワイパー駆動部45は、ワイパーの作動を停止させる旨のワイパー駆動信号が入力された場合、ワイパーが作動しているときにはワイパーの作動を停止し、ワイパーが作動していないときにはワイパーの作動を行わない。
ハザードランプ駆動部46は、HMI制御部40から入力されるハザード駆動信号に基づいてハザードランプを点滅させる。
照合センサ部47は、指紋センサ(例えば電界式センサ)とその周辺回路から構成される。照合センサ部47は、図2(a)に示すように、運転席側ドア50のアウトサイドドアハンドル51に設けられている。照合センサ部47は、図2(b)に示すように、アウトサイドドアハンドル51(操作手段)において、ユーザがアウトサイドドアハンドル51を握って操作した際に親指52が触れる位置に設けられている。すなわち、照合センサ部47は、ユーザが車両を走行させるまでの一連の動作において必ず操作する部位に設けられている。このため、ユーザが乗車する際には、ユーザの親指52が毎回照合センサ部47に触れることになる。照合センサ部47は、ユーザの乗車の意志を検出した旨を示す照合開始信号がHMI制御部40から入力されることで作動する。そして、照合センサ部47は、指紋センサ上に載置された親指52の指紋を読み取り、該指紋の電気データをユーザ情報としてHMI制御部40に出力する。照合センサ部47は、ユーザ情報を出力してから所定時間経過後に不作動となる。
ドアハンドルSW48は、運転席側ドア50においてアウトサイドドアハンドル51の近傍に配設され、アウトサイドドアハンドル51がユーザにより操作されたか否かを検出する。本実施形態におけるドアハンドルSW48は、メカニカルスイッチにより構成され、図2(b)に示すようにアウトサイドドアハンドル51の端部51aと対向する位置に配設されている。本実施形態においてドアハンドルSW48は、アウトサイドドアハンドル51の端部51aが運転席側ドア50に接触している場合にLレベルの検出信号を出力し、端部51aが運転席側ドア50から離れた場合にHレベルの検出信号を出力する。すなわち、ドアハンドルSW48は、アウトサイドドアハンドル51が操作されない場合にはLレベルの検出信号を出力し、アウトサイドドアハンドル51が操作された場合にはHレベルの検出信号を出力する。なお、ドアハンドルSW48は、アウトサイドドアハンドル51が操作されたか否かを検出できるのであれば、光電スイッチやリードスイッチ等のスイッチで構成されてもよい。
HMI制御部40は、CPU、RAM、及び記録手段としてのROM40aを備えている。ROM40aには、車両の正規ユーザを識別するためのユーザ識別情報が予め記録されている。詳しくは、ROM40aには、ユーザの親指52の指紋情報がユーザ識別情報として予め記録されている。
また、HMI制御部40のROM40aには、図3に示すマップが記録されている。このマップには、後述するユーザ認証が成立した状態において操作部30の各スイッチ31〜36が操作された場合に、HMI制御部40が出力する信号が設定されている。また、マップには、ユーザ認証が不成立の状態において各スイッチ31〜36が操作された場合に、HMI制御部40が出力する信号が設定されている。すなわち、マップには、ユーザ認証が成立した状態において作動させる車両装備品(換言すれば、各スイッチ31〜36に本来対応して設定されている車両装備品)と、ユーザ認証が不成立の状態において作動させる車両装備品とが操作部30の各スイッチ毎に設定されている。しかも、ユーザ認証が成立した状態において作動させる車両装備品と、ユーザ認証が不成立の状態において作動させる車両装備品との種類が異なるように設定されている。
マップにおいて、ユーザ認証が成立した場合にHMI制御部40が作動させる車両装備品は車両毎に予め設定され、ROM40aに予め記録されている。一方、ユーザ認証が不成立の場合にHMI制御部40が作動させる車両装備品の種類は、ユーザにより設定されてROM40aに記録される。例えば、ディーラーにおいて、各スイッチ毎に作動する車両装備品を選択可能な専用の入力端末を用いてユーザが望む車両装備品に設定される。また、同入力端末を車両に装備するなどして、ユーザに操作されることによりユーザ認証が不成立の場合に作動させる車両装備品が設定されるようにしてもよい。
HMI制御部40は、操作部30の各スイッチ31〜36の操作に対して図3の「ユーザ認証成立」の欄に示す信号を出力する場合(機能維持モード)においては、E/G始動SW31が操作されると、照合制御部23に対して始動信号を出力する。よって、E/G始動SW31の操作に基づいてエンジンが始動される。同様に、機能維持モードにおいてHMI制御部40は、LCS33が操作されると、LCS33からのワイパー位置信号に対応するワイパー駆動信号をワイパー駆動部45に出力する。よって、LCS33の操作に基づいてワイパーが駆動または停止される。また、HMI制御部40は、シフトポジションSW34のシフト位置信号に対応するシフト駆動信号をシフトチェンジ駆動部42に出力する。よって、シフトポジションSW34の操作に基づいて変速機の接続状態が切り換えられる。更に、HMI制御部40は、機能維持モードにおいてアクセルペダルが踏み込まれると、アクセルSW35からのアクセル位置信号に対応するアクセル駆動信号を出力し、同モードにおいてブレーキペダルが踏み込まれると、ブレーキSW36からのブレーキ位置信号に対応するブレーキ駆動信号を出力する。よって、アクセルペダルが踏み込まれると、その踏み込み量に応じてスロットル開度が変化して車両が加速または減速する。一方、ブレーキペダルが踏み込まれると、その踏み込み量に応じてブレーキディスクに挟持力が働いて車両にブレーキが掛かる。このように、機能維持モードにおいて操作部30が操作されると、HMI制御部40は、操作部30に本来対応して設定されている車両装備品を作動させる。
HMI制御部40は、ドアハンドルSW48からHレベルの検出信号が入力されると、ユーザの乗車の意志を検出したと判断して照合センサ部47に照合開始信号を出力する。この照合開始信号は、照合センサ部47を不作動状態から作動状態に移行させるための信号である。つまり、照合センサ部47は、照合開始信号がHMI制御部40から出力されたことにより、指紋を検出可能な作動状態となる。そして、HMI制御部40は、照合開始信号に対する応答として照合センサ部47から入力されたユーザ情報とROM40aに記録されたユーザ識別情報とによる照合(ユーザ認証)を行う。
ユーザ認証の結果に基づいてHMI制御部40は、操作部30の各スイッチ31〜36が操作された場合に作動させる車両装備品を変更する機能変更モードと、作動させる車両装備品を変更しない機能維持モードとを択一的に選択する機能変更処理を行う。以下、HMI制御部40が機能変更処理を行うタイミングについて図4及び図5に従って説明する。
図4に示すように、HMI制御部40は、ドアハンドルSW48からHレベルの検出信号が入力されると(ポイントP1)、照合センサ部47に照合開始信号を出力する。照合開始信号が入力されることにより、照合センサ部47は不作動状態から作動状態に移行する(ポイントP2)。照合センサ部47からユーザ情報が入力されると、HMI制御部40はユーザ認証を行う。HMI制御部40は、ユーザ情報とユーザ識別情報とが不一致となりユーザ認証が不成立の場合、機能維持モードから機能変更モードへ切り換わる(ポイントP3)。このため、HMI制御部40は、ユーザ認証が不成立の状態において操作部30の各スイッチ31〜36が操作された場合(ポイントP4)、そのスイッチに本来対応した車両装備品を作動させず、この車両装備品とは別の種類の車両装備品を作動させる。
一方、図5に示すように、HMI制御部40は、機能維持モードにおいてユーザ認証が成立した場合には機能維持モードを維持する(ポイントP13)。一方、機能変更モードにおいて(同図に破線で示す)ユーザ認証が成立した場合には機能変更モードから機能維持モードへ切り換わる(同じくポイントP13)。このため、HMI制御部40は、ユーザ認証が成立の状態において操作部30の各スイッチ31〜36が操作された場合(ポイントP4)、そのスイッチに本来対応した車両装備品を作動させる。
次に、機能変更モードにおいてHMI制御部40が行う処理について説明する。HMI制御部40は、この処理を所定時間毎に行う。なお、ここでは、機能変更モードにおいてE/G始動SW31が押圧操作された場合を例にして説明する。
機能変更モードにおいてHMI制御部40は、E/G始動SW31が押圧操作されたか否かを判断する。E/G始動SW31が押圧操作されたと判断した場合、HMI制御部40は、ハザードランプ駆動部46にハザード駆動信号を出力する。E/G始動SW31が押圧操作されていないと判断した場合、HMI制御部40は処理を一旦終了する。このように、機能維持モードにおいてはE/G始動SW31を押圧操作するとエンジンが始動したのに対し、機能変更モードにおいてはE/G始動SW31を操作するとハザードランプが点滅する。すなわち、ユーザ認証が成立している状態においてE/G始動スイッチ31が押圧操作された場合にHMI制御部40が作動させる車両装備品と、ユーザ認証が不成立の状態においてE/G始動SW31が押圧操作された場合にHMI制御部40が作動させる車両装備品とは相違する。このため、車両を盗難した第三者は、車両に乗り込んでE/G始動SW31を押圧操作してもエンジンを始動させることができない。
なお、機能変更モードにおいては、操作部30におけるE/G始動SW31以外のスイッチについてもHMI制御部40が作動させる車両装備品が変更される。
詳しくは図3に示すように、機能変更モードにおいてハザードSW32が操作されると、HMI制御部40は、照合制御部23に対してE/G始動信号を出力する。つまり、ハザードSW32を押圧操作するとエンジンが始動する。
また、機能変更モードにおいてワイパーレバーが操作されると、HMI制御部40は、LCS33から出力されるワイパー位置信号に応じたシフト駆動信号をシフトチェンジ駆動部42に出力する。具体的には、HMI制御部40は、ワイパーレバーがワイパー停止ポジションに位置している旨のワイパー位置信号が入力された場合には変速機の歯車列を駐車用の歯車列へ切り換える旨を示すシフト駆動信号を出力する。HMI制御部40は、間欠ポジションに位置している旨のワイパー位置信号が入力された場合には、後退用の歯車列へ切り換える旨を示すシフト駆動信号を出力する。また、HMI制御部40は、連続(低速)ポジションに位置している旨のワイパー位置信号が入力された場合には中立用の歯車列へ切り換える旨を示すシフト駆動信号を出力し、連続(高速)ポジションに位置している旨のワイパー位置信号が入力された場合には、走行用の歯車列へ切り換える旨を示すシフト駆動信号をそれぞれ出力する。このため、ワイパーレバーを操作すると、その位置に応じて変速機の接続状態が切り換わる。
一方、機能変更モードにおいてシフトレバーが操作されると、HMI制御部40は、シフトポジションSW34から出力されるシフト位置信号に応じたワイパー駆動信号をワイパー駆動部45に出力する。具体的には、シフトレバーがPポジションに位置している旨のシフト位置信号が入力された場合にはワイパーの作動を停止させる旨のワイパー駆動信号を出力し、Rポジションに位置している旨のシフト位置信号が入力された場合にはワイパーを間欠的に作動させる旨のワイパー駆動信号をそれぞれ出力する。また、HMI制御部40は、Nポジションに位置している旨のシフト位置信号が入力された場合にはワイパーを低速で連続的に作動させる旨のワイパー駆動信号を出力し、Dポジションに位置している旨のシフト位置信号が入力された場合にはワイパーを高速で連続的に作動させる旨のワイパー駆動信号をそれぞれ出力する。このため、シフトレバーを操作すると、その位置に応じてワイパーの作動状態が切り換わる。
また、機能変更モードにおいてアクセルペダルが踏み込まれると、HMI制御部40は、アクセルSW35からのアクセル位置信号に対応するブレーキ駆動信号を出力する。つまり、アクセルペダルを踏み込むと、その踏み込み量に応じた挟込力により車両にブレーキが掛かる。一方、機能変更モードにおいてブレーキペダルが踏み込まれると、HMI制御部40は、ブレーキSW36からのブレーキ位置信号に対応するアクセル駆動信号を出力する。つまり、ブレーキペダルを踏み込むと、その踏み込み量に応じてスロットル開度が変化して車両が加速または減速する。
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)HMI制御部40は、指紋認証によるユーザ認証が不成立の場合には機能変更モードとなる。機能変更モードにおいてHMI制御部40は、操作部30の各スイッチ31〜36の操作によって作動される車両装備品の種類を変更する。つまり、機能維持モードにおいてはE/G始動SW31を押圧操作するとエンジンが始動したのに対し、機能変更モードにおいてはE/G始動SW31を操作するとハザードランプが点滅する。一方、ハザードSW32を押圧操作するとエンジンが始動する。また、ワイパーレバーを操作すると、その位置に応じて変速機の接続状態が切り換わり、シフトレバーを操作すると、その位置に応じてワイパーの作動状態が切り換わる。このため、正規のユーザでない第三者が車両を使用する場合にはユーザ認証が不成立となるため、第三者は、操作部30のいずれかのスイッチ31〜36を操作しても、本来対応して設定されている車両装備品を作動させることができない。つまり、第三者が車両を操作しようとする場合、意図した車両装備品を作動させることが非常に困難となる。よって、第三者による車両の盗難意欲を減退させることができる。また、ユーザに固有な指紋情報をユーザ情報としているため、従来の車両におけるイグニッションキーのように盗まれるおそれがない。従って、車両の盗難を抑止することができるとともに、車両のセキュリティレベルをより一層向上させることができる。
(2)ユーザ認証が成立している状態においてE/G始動スイッチ31が押圧操作された場合にHMI制御部40が作動させる車両装備品と、ユーザ認証が不成立の状態においてE/G始動SW31が押圧操作された場合にHMI制御部40が作動させる車両装備品とは相違する。このため、車両を盗難した第三者は、車両に乗り込んでE/G始動SW31を押圧操作してもエンジンを始動させることができない。しかも、ユーザ認証が不成立の場合にHMI制御部40が作動させる車両装備品はユーザにより設定されるため、第三者は、操作部30におけるどのスイッチを操作すればエンジンが始動するのかを判別するのは困難である。従って、車両のセキュリティレベルをより一層向上させることができる。
(3)HMI制御部40は、ドアハンドルSW48からHレベルの検出信号が入力されると、ユーザの乗車の意志を検出したと判断して照合センサ部47に照合開始信号を出力する。照合センサ部47は、照合開始信号がHMI制御部40から入力されることで作動する。そして、照合センサ部47は、取得した指紋の電気データをユーザ情報としてHMI制御部40に出力してから所定時間経過後に不作動となる。このように、照合センサ部47は、ユーザの乗車の意志を検出したことに基づいて一定時間だけ作動する。従って、ユーザが乗車しない場合における照合センサ部47の消費電力を抑制でき、車両盗難防止装置12の暗電流を低減できる。
(4)照合センサ部47は、アウトサイドドアハンドル51において、ユーザがアウトサイドドアハンドル51を握って操作した際に親指52が触れる位置に設けられている。すなわち、照合センサ部47は、ユーザが車両を走行させるまでの一連の動作において必ず操作する部位に設けられている。照合センサ部47は、ユーザがアウトサイドドアハンドル51を操作したことに基づいて作動して、アウトサイドドアハンドル51を操作したユーザの親指52の指紋を取得する。このため、ユーザは、車両を走行させるための一連の動作を行うことにより、照合センサ部47に指紋を取得させることができる。つまり、ユーザは、車両を走行させる際に、ユーザ情報としての指紋を照合センサ部47に取得させるための特別な動作を行う必要がない。従って、車両盗難防止装置の利便性を向上させることができる。
(5)ユーザ認証が不成立の状態において操作部30の各スイッチ31〜36が操作された場合にHMI制御部40が作動させる車両装備品は、ユーザ自身により予め設定される。このため、例えば照合センサ部47の指紋センサの故障等によってHMI制御部40がユーザの指紋情報を取得できず、機能維持モードから機能変更モードに切り換わったとしても、ユーザは、本来対応して設定されている車両装備品を作動させることができる。つまり、機能変更モードにおいてもユーザはエンジンを始動させることができる。一般に、ユーザに固有な情報として生体情報を適用した場合、生体情報の性質上(指紋についていえば、指の湿り具合等)、正規のユーザであるにも拘らず他人であると誤認識されるおそれがある。そのため、ユーザ認証の成立を条件としてエンジンの始動を許可する従来の車両盗難防止装置では、ユーザはE/G始動SW31を操作してもエンジンが始動しない場合には精神的な苦痛を感じていた。本実施形態では、ユーザ認証が不成立の場合でもユーザは意図した車両装備品を作動させることができるため、このような精神的な苦痛を解消することができる。従って、車両盗難防止装置の利便性を向上させることができる。
一方、指紋等の生体情報による照合の機能をスマート機能を有する車両に備えると、E/G始動SW31を操作してもエンジンの始動が許可されない場合には、スマート機能による照合と生体情報による照合とのどちらに不具合があるのか判別がつかないといった問題が生じる。この場合、不具合箇所を特定するのに時間を要し、エンジンを始動可能な状態にするまでに時間がかかってしまう。この場合もユーザは精神的な苦痛を感じる。本実施形態では、E/G始動SW31を操作した際にエンジンが始動せず、且つ、ハザードランプが点滅しない場合には、スマート機能による照合に不具合があると推定することができる。このため、例えば、携帯機11に不具合があると推定して、携帯機11を修理することにより早期にスマート機能による照合の不具合を解消できる。一方、E/G始動SW31を操作した際にエンジンが始動しないでハザードランプが点滅する場合には、HMI制御部40によるユーザ認証に不具合があると推定することができる。例えば、照合センサ部47による指紋の取得を失敗して、正規のユーザであるにも拘らず他人であるとHMI制御部40が誤認識していると推定できる。このため、照合センサ部47の指紋センサに親指52を再度載置して照合センサ部47に指紋を再度取得させたり、照合センサ部47を修理したりすることにより、早期にユーザ認証の不具合を解消することができる。従って、スマート機能による照合と生体情報による照合とのどちらに不具合があるのか早期に判別することができ、ユーザの精神的な苦痛を解消することができる。よって、車両盗難防止装置の利便性を向上させることができる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図6及び図7に従って説明する。本実施形態は、機能変更モードにおいてHMI制御部40が行う処理が主として前記第1実施形態と相違する。ここでは、前記第1実施形態と相違する点について主に述べ、共通する点については同一符号を付すのみとしてその説明を省略する。なお、本実施形態においてはHMI制御部40をHMI制御部60と読み替えるものとする。
本実施形態では、図1に示すように、一点鎖線で示すオーディオスイッチ(オーディオSW)61が新たに操作部30に追加され、同じく一点鎖線で示すカーオーディオ部62が駆動部41に追加される。オーディオSW61は、HMI制御部60に接続されている。オーディオSW61は、押圧操作されるとオーディオオン信号をHMI制御部60に出力する。また、カーオーディオ部62は、HMI制御部60に接続されている。
HMI制御部60のROM60aには、図6に示すマップが記録されている。図6に示すマップには、ユーザ認証が不成立の状態において操作部30の各スイッチ31〜36,61が操作された場合にHMI制御部60が作動させる車両装備品(HMI制御部60が出力する信号)が複数種類設定されている。本実施形態では、操作部30の各スイッチ31〜36,61に対して「変更1」の欄に示す車両装備品及び「変更2」の欄に示す車両装備品の2種類の車両装備品が設定されている。前記第1実施形態と同様に、ユーザ認証が不成立の場合にHMI制御部60が作動させる車両装備品は、ユーザにより設定されてROM60aに予め記録される。
HMI制御部60は、機能維持モードにおいてオーディオSW61からオーディオオン信号が入力されると、カーオーディオ部62に電源オン信号を出力する。
カーオーディオ部62は、電源制御用回路とカーオーディオ本体とを備えている。電源制御用回路は、HMI制御部60から電源オン信号が入力されると、カーオーディオ本体に電源を供給する。カーオーディオ本体は、ラジオやCDプレーヤー等の複数のオーディオ装置から構成される。カーオーディオ本体は、電源が供給されると、ラジオやCDプレーヤー等の使用を許可する。
HMI制御部60は、機能変更モードにおいて図7に示す処理を所定時間毎に行う。なお、ここでは、機能変更モードにおいてE/G始動SW31が押圧操作された場合を例にして説明する。
図7に示すように、機能変更モードにおけるHMI制御部60は、ステップ200においてE/G始動SW31が押圧操作されたか否かを判断する。E/G始動SW31が押圧操作されたと判断した場合、HMI制御部60は、ステップ201において切換FGの値が「0」であるか否かを判断する。切換FGは、E/G始動SW31が押される度にその値が「0」または「1」に設定されるフラグである。切換FGの値が「0」であると判断した場合、HMI制御部60は、ステップ202においてハザード駆動信号をハザードランプ駆動部46に出力する。そして、続くステップ203において、HMI制御部60は、切換FGの値を「1」に設定して処理を一旦終了する。
その後、E/G始動SW31が再び押圧操作された場合、HMI制御部60は、ステップ201において切換FGの値が「0」でないと判断してステップ204の処理を実行する。ステップ204においてHMI制御部60は、電源オン信号をカーオーディオ部62に出力する。このため、E/G始動SW31を押圧操作するとハザードランプが点灯し、その後更にE/G始動SW31を押圧操作するとカーオーディオ部62に電源が供給されて例えばラジオが鳴り出す。
このように、E/G始動SW31が押圧操作される度に切換FGの値が変更される。そして、ユーザ認証が不成立の状態においてE/G始動SW31が操作された場合には、HMI制御部40は、切換FGの値に基づいて、図7の「変更1」の欄に示される車両装備品または「変更2」の欄に示される車両装備品のいずれかを作動させる。換言すれば、HMI制御部60は、ユーザ認証が不成立の状態でE/G始動SW31が押圧操作された場合、ROM60aに記録された複数の車両装備品の中から1つを選択して作動させる。
従って、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1)〜(5)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(6)操作部30のいずれかのスイッチ31〜36,61が操作される度に各スイッチ31〜36,61の機能は変更される。例えば、ユーザ認証が不成立の場合にE/G始動SW31を押圧操作するとハザードランプが点灯し、その後更にE/G始動SW31を押圧操作するとカーオーディオ部62に電源が供給されてラジオが鳴り出す。このため、操作部30が操作された際に作動される車両装備品を予測することは非常に困難となる。つまり、第三者が車両を操作しようとする場合、意図した車両装備品を作動させることが非常に困難となる。よって、第三者による車両の盗難意欲を一層減退させることができる。従って、車両のセキュリティレベルを一層向上させることができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1実施形態においてHMI制御部40は、ユーザ認証が不成立となった時点で、操作部30が操作された際に作動させる車両装備品の種類を変更している。しかし、HMI制御部40は、ユーザ認証が不成立となった時点では作動させる車両装備品の種類を変更しないで、ユーザ認証が不成立の状態において操作部30が操作された時点で、作動させる車両装備品の種類を変更するようにしてもよい。つまり、機能維持モードから機能変更モードに切り換わるタイミングは、ユーザ認証が不成立となった時点に限定されない。
・前記第2実施形態においてHMI制御部60は、E/G始動SW31が押圧操作される度に、作動させる車両装備品の種類を変更している。しかし、HMI制御部60は、操作部30の他のスイッチ、例えば、ハザードSW32が押される度に、作動させる車両装備品の種類を変更するようにしてもよい。このようにしても、車両を盗難した第三者による車両の使用は困難となるため、車両の盗難を抑止することができ、車両のセキュリティレベルをより一層向上させることができる。
また、HMI制御部60は、ユーザ認証が不成立の場合、操作部30が操作された際に作動させる車両装備品の種類をエンジンが始動される毎に変更するようにしてもよい。このようにすれば、正規のユーザは、ユーザ認証不成立の状態でエンジンを始動させた場合でも、その後エンジンを停止させるまでの間、すなわち車両に乗っている間においては、操作部30の操作により作動させられる車両装備品が変更されないため、意図した車両装備品を作動させることができる。つまり、HMI制御部60により作動される車両装備品の種類が変更されるタイミングは、E/G始動SW31が押圧操作された時点に限定されない。
また、前記第1及び第2実施形態においてHMI制御部40(60)は、ユーザ認証が不成立の場合、操作部30が操作された際に作動させる車両装備品の種類を所定時間(例えば1時間)が経過する毎に変更するようにしてもよい。このようにしても、車両を盗難した第三者による車両の使用は困難となるため、車両の盗難を抑止することができ、車両のセキュリティレベルをより一層向上させることができる。要は、ユーザ認証が不成立であることに基づいて、HMI制御部40(60)により作動される車両装備品の種類が変更されるのであれば、その変更されるタイミングは限定されない。
・前記第2実施形態においてHMI制御部60は、ユーザ認証が不成立の状態において操作部30が操作された場合、図6の「変更1」の欄に示す車両装備品または「変更2」の欄に示す車両装備品のいずれかを作動させる。しかし、「変更1」の欄に示す車両装備品、「変更2」の欄に示す車両装備品に加えて、これら車両装備品とは別の車両装備品を「変更3」としてマップに新たに追加してもよい。そして、HMI制御部60は、ユーザ認証が不成立の状態において操作部30が操作された場合、「変更1」の欄に示す車両装備品、「変更2」の欄に示す車両装備品、及び「変更3」の欄に示す車両装備品のいずれかを作動させるように変更されてもよい。また、HMI制御部60は、ユーザ認証が不成立の状態において操作部30が操作された場合、「変更1」の欄に示す車両装備品、「変更2」の欄に示す車両装備品、及び「変更3」の欄に示す車両装備品のうちからランダムに選択した車両装備品を作動させるように変更されてもよい。すなわち、操作部30が操作される度に作動させる車両装備品の種類は、前記第2実施形態の2種類に限定されない。なお、この際、HMI制御部60が車両装備品の種類を変更するタイミングは、操作部30が操作された時点に限定されない。このように、ユーザ認証が不成立の場合にHMI制御部60により作動させられる車両装備品の種類が増えるにつれて、車両を盗難した第三者は、意図した車両装備品を作動させることが一層困難となる。従って、車両の盗難を一層抑止できるとともに、車両のセキュリティレベルをより一層向上させることができる。
・操作部30が備えるスイッチの種類及び数は、前記第1及び第2実施形態におけるスイッチ、すなわち、E/G始動SW31、ハザードSW32、LCS33、シフトポジションSW34、アクセルSW35、ブレーキSW36、及びオーディオSW61に限定されない。例えば、操作部30は、これらスイッチに加えて、パワーウインドウスイッチを備えてもよい。なお、ここで、パワーウインドウスイッチとは、車両室内に設けられ、操作されることによりウインドウの上昇または下降を行わせるスイッチを指す。そして、HMI制御部40(60)は、機能変更モードにおいてパワーウインドウスイッチが操作された場合にワイパーを作動させるように変更されてもよい。このようにすれば、操作部30が備えるスイッチ数が増加するにつれて、車両を盗難した第三者は、意図した車両装備品を作動させることが一層困難となる。従って、車両のセキュリティレベルをより一層向上させることができる。
・前記第1及び第2実施形態において照合センサ部47は、指紋センサ(例えば電界式センサ)とその周辺回路から構成されている。しかし、照合センサ部47は、例えば、車両内に配設されるマイクとその周辺回路から構成されてもよい。この場合、HMI制御部40(60)には、正規ユーザの声紋がユーザ識別情報として予め記録される。照合センサ部47は、車両内に乗り込んだユーザが発する声をマイクにより取得すると、その電気信号をユーザ情報としてHMI制御部40(60)に出力する。HMI制御部40(60)は、入力されたユーザ情報とユーザ識別情報とによりユーザ認証を行う。つまり、HMI制御部40(60)は、ユーザの声紋によって、正規ユーザとその他の第三者とを識別する。このようにしても、正規のユーザ以外の第三者が車両を利用することを防止できる。
また、照合センサ部47として、カメラを含むカメラユニットを適用してもよい。この場合、ユーザの乗車の有無を検出する荷重センサが運転席側シートに設けられてもよい。この荷重センサはHMI制御部40(60)に接続される。HMI制御部40(60)は、荷重センサによりユーザの乗車を検出した場合、照合センサ部47に照合開始信号を出力するように変更される。照合センサ部47は、照合開始信号がHMI制御部40(60)から入力された場合に作動し、乗車したユーザの顔画像を取得する。照合センサ部47は、取得した顔画像の輪郭から特徴点を抽出し、ユーザ情報としてHMI制御部40(60)に出力する。つまり、照合センサ部47は、荷重センサによりユーザの乗車が検出された場合に該ユーザのユーザ情報を取得する。そして、照合センサ部47は、ユーザ情報を出力してから所定時間経過後に不作動となる。HMI制御部40(60)のROM40a(60a)には、正規ユーザの顔の輪郭の特徴を示すユーザ識別情報が予め記録されている。HMI制御部40(60)は、照合センサ部47から入力されたユーザ情報とユーザ識別情報とによりユーザ認証を行って正規ユーザを特定する。このようにすれば、ユーザは、車両に乗車しさえすれば照合センサ部47にユーザ情報を取得させることができる。すなわち、ユーザは、車両を走行させる際に、ユーザ情報を照合センサ部47に取得させるための特別な動作を行う必要がない。従って、車両盗難防止装置の利便性を向上させることができる。しかも、照合センサ部47は、荷重センサによりユーザの乗車が検出された場合に一定時間だけ作動する。従って、ユーザが乗車しない場合における照合センサ部47の消費電力を抑制できる。なお、前記荷重センサは、乗車有無検出手段に相当する。しかし、乗車有無検出手段は、前記荷重センサに限定されない。例えば、シートベルトが装着されたこと検出するシートベルト装着センサでもよい。この場合、照合センサ部47は、シートベルト装着センサによりユーザの乗車が検出された場合に該ユーザのユーザ情報を取得する。要するに、ユーザが乗車したことを検出できるのであれば、乗車有無検出手段の構成は限定されない。また、照合センサ部47を常時作動させるようにしてもよい。作動中において照合センサ部47は、所定時間毎に画像を取得する。そして、照合センサ部47は、ユーザが撮影領域内に浸入して取得画像が変化した場合に該ユーザのユーザ情報を取得するように変更される。このようにすれば、照合センサ部47が乗車有無検出手段の機能を兼ねるため、前記荷重センサが不要となる。
更に、照合センサ部47は、暗証コードを入力する端末でもよい。この場合、HMI制御部40(60)は、ユーザが入力する暗証番号から正規ユーザを識別する。要するに、照合センサ部47は、指紋、声紋、虹彩などの生体情報や暗証番号などのユーザ情報を取得できる構成であればよい。
・前記第1及び第2実施形態において照合センサ部47は、運転席側ドア50のアウトサイドドアハンドル51に設けられている。しかし、照合センサ部47が設けられる位置はアウトサイドドアハンドル51に限定されない。例えば、ステアリングホイールにおいてユーザの指が触れる位置に設けられてもよい。また、エンジン始動用のプッシュボタンの押圧操作によってエンジンが始動する車両においては同プッシュボタン、ノブ式のエンジン始動用SWにおいては該エンジン始動用SWの把持部に設けられてもよい。このようにしてもユーザが車両を走行させる際に行う一連の動作によってユーザ認証が行われるため、ユーザはユーザ認証のための特別な動作を行う必要がない。よって、車両盗難防止装置の利便性を一層向上させることができる。
さらに、照合センサ部47は、車両内の特定の場所、例えばインストルメントパネルにおける運転席近傍に配設されてもよい。この場合、ユーザは、車両に乗り込む度に照合センサ部47に指を押し当てればよい。このようにしても、前記第1実施形態における(1)〜(3),(5)の効果や前記第2実施形態における(6)の効果を得ることができる。
・車両装備品を作動させる駆動部41は、シフトチェンジ駆動部42、アクセル駆動部43、ブレーキ駆動部44、ワイパー駆動部45、ハザードランプ駆動部46、及びカーオーディオ部62に限定されない。例えば、車両装備品としての電動パワーシートを作動させるパワーシート駆動部を備えてもよい。要するに、車両装備品は、電気的に制御可能なものであればよく、駆動部の数は限定されない。このように駆動部の数が増加するにつれて、車両を盗難した第三者は益々車両の利用が困難となる。従って、車両のセキュリティレベルを一層向上させることができる。
・前記第1及び第2実施形態において、ユーザ認証が不成立の状態において操作部30が操作された際にHMI制御部40(60)により作動させられる車両装備品の種類は、ユーザにより設定されてROM40a(60a)に記録される。しかし、ROM40a(60a)には、ユーザ認証が成立した状態においてHMI制御部40(60)により作動させられる車両装備品と、ユーザ認証が不成立の状態においてHMI制御部40(60)により作動させられる車両装備品とが予め記録されていてもよい。このようにすれば、ユーザ認証が不成立の状態においてHMI制御部40(60)により作動させられる車両装備品の種類を設定するユーザの手間が省ける。
・本発明はメカキーによりエンジンを始動させる車両に適用されてもよい。この場合、HMI制御部40(60)は、例えばメカキーがキーシリンダに差し込まれた時点で、操作部30の操作により作動させる車両装備品の種類を変更する。
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(1)請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両盗難防止装置において、前記記録手段には、前記操作手段が操作された際に前記機能管理手段が作動させる車両装備品の種類が予め正規のユーザによって設定されて記録されていること。
(2)請求項1〜5、技術的思想(1)のいずれか1項に記載の車両盗難防止装置において、前記機能管理手段は、エンジンを始動停止させるために操作される操作手段が少なくとも操作された場合に、エンジンとは別の車両装備品を作動させること。
(3)請求項1〜5、技術的思想(1),(2)のいずれか1項に記載の車両盗難防止装置において、前記機能管理手段は、前記ユーザ情報と前記ユーザ識別情報とが不一致であることに基づいて前記操作手段が操作された際に、作動させる車両装備品の種類を変更すること。
1…車両盗難防止システム、12…車両盗難防止装置、30…操作手段としての操作部、47…情報取得手段としての照合センサ部、48…検出手段としてのドアハンドルスイッチ(ドアハンドルSW)、40,60…機能管理手段としてのHMI制御部、40a,56a…記録手段としてのROM。