JP2005194904A - 触媒用保持マット及びその製造工程に用いられる成形装置。 - Google Patents
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Abstract
【課題】バインダーの使用量を最小限に抑えても、引張強度、折り曲げ強度が高く、かつ焼成後の復元率が高く触媒担体の保持力の高い触媒保持マットを提供すること。及びそのため繊維方向が三次元的にランダムに配列され、かつシートの坪量が均一化された触媒保持マットを提供すること、及びその作製方法を提供すること。
【解決手段】排気用触媒担体60とケーシング50との間隙に装着されて排気用触媒担体60を保持する触媒用保持マット10であって、主成分をなすアルミナ繊維と、0.1〜1.0wt%の無機バインダー又は/及び有機バインダーと、0.5〜1.5wt%の天然繊維からなる有機バインダーとからなり、アルミナ繊維の配列は、三次元ランダム構造とした。
【選択図】図11
【解決手段】排気用触媒担体60とケーシング50との間隙に装着されて排気用触媒担体60を保持する触媒用保持マット10であって、主成分をなすアルミナ繊維と、0.1〜1.0wt%の無機バインダー又は/及び有機バインダーと、0.5〜1.5wt%の天然繊維からなる有機バインダーとからなり、アルミナ繊維の配列は、三次元ランダム構造とした。
【選択図】図11
Description
本発明は、自動車の排気用マフラー用で触媒担体の位置を保持するため、触媒担体に巻回されて使用される触媒用保持マット及びその製造工程に用いられる成形装置に関する。
従来、自動車の排気マフラー用の触媒担体に巻回して使用される触媒用保持マットは、次のようにして作製されていた。
まず、乾式タイプの製造方法としては、ニードルパンチ方式によるものがある。これは、アルミナ繊維をカードにて分散して、それを積層してフェルトを作製し、このフェルトをニードルパンチによって縫製して強度のある不織布シートとする。その後、有機樹脂を表面塗布して表面の粉塵発生を防止して触媒マットとする。しかし、この方式で作られたマットは、ニードルによって繊維が強固に交絡されるため復元率が悪く、触媒担体と金属カバーとの密着性が不足し、触媒担体の落下、破損という大きな問題が発生した。また、ニードル方式は、カードによって繊維方向が一定の方向に揃えられ、縦、横高さに極端な繊維の方向性が生じてしまうという問題点があった。特に、また高さ方向の繊維はほとんど存在しない。ニードルパンチ方式は、一方向に繊維の方向性が偏るため、方向による強度差が非常に大きいという問題点があった。また、カードによる分散方式を採用しているため、均一な坪量のシートを作製することは困難であり、シートの坪量は不均一となり、同じ方向であっても各場所によって強度が異なるという問題点があった。
また、湿式タイプの製造方法としては、以下の方法がある。まず、パルパー内に触媒用保持マットの主成分であるアルミナ繊維、その他必要なバインダー等と水とを導入した後混合攪拌し、アルミナ繊維が均等に分散したスラリーを作製する。そして、スラリーをパイプライン等を通じて抄紙工程における貯留槽に転送する。この貯留槽に貯留されたアルミナ繊維は分散性の低下を防止するために、さらに攪拌が維持される。均等に分散されたスラリーは、長網抄紙機の抄紙用バット内にパイプラインを通して供給され、定量のアルミナ繊維を網の上に乗せ、紙状の厚いシートに抄紙する。この抄紙を長網から毛布に移し連続的に抄紙される。この抄紙されたシートは脱水されて、円筒状に巻き取られる。この巻き採られたシートは、別の装置である乾燥機へと送られ、乾燥されたシート状の触媒マットが得られる。
この湿式タイプは、連続抄紙であるためシートの坪量の変更が大変であり、小ロットのシート生産の対応は困難であるという問題があった。また網から毛布へ転写するとき、相当量のバインダーがないと移動を行うことさえ不可能であるという問題があった。また、安定的なシートを得るためには多量の原料ロスが発生し、コスト的にも問題があった。また、回転している長網にてシートを形成するため繊維方向が一方向となり、シートの引張強度は低くなるという欠点があった。そのため、必要な引張強度を得るためには、有機バインダーを多量に使用しなければならず、特に触媒マットとしては環境面において問題であった。このように従来の方式による触媒用保持マットは種々の問題点があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、バインダーの使用量を最小限に抑えても、引張強度、折り曲げ強度が高く、かつ焼成後の復元率が高く触媒担体の保持力の高い触媒保持マットを提供することにある。そのため繊維方向が三次元的にランダムに配列され、かつシートの坪量が均一化された触媒保持マットを提供すること、及びその作製方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本請求項1に係る発明が採った手段は、排気用触媒担体60とケーシング50との間隙に装着されて排気用触媒担体60を保持する触媒用保持マット10であって、主成分をなすアルミナ繊維と、0.1〜1.0wt%の無機バインダー又は/及び有機バインダーと、0.5〜1.5wt%の天然繊維からなる有機バインダーとからなり、アルミナ繊維の配列は、三次元ランダム構造をなしていることを特徴とする触媒用保持マット10、とするものである。
本発明は、主成分たるアルミナ繊維の配列を三次元ランダム構造とすることで、各方向の引張強度をほぼ同等にすることができる。これにより、少ないバインダーであっても必要な引張強度を確保することができるようにしたものである。これに天然繊維からなる有機繊維バインダーを用いることで、さらに無機又は有機の樹脂系バインダーを減少させることができる。
その結果、本請求項1に係る発明では、無機又は/有機バインダーは0.1〜1.0wt%というごく少量混入するだけで使用に耐えうる触媒保持マット10を作製することができる。この0.1〜1.0wt%の無機バインダー又は/及び有機バインダーと、0.5〜1.5wt%の天然繊維からなる有機バインダーという混入量は、発明者の実験の結果、最も少量で触媒用保持マット10の使用に耐えうる最小限の臨界使用量であると考えられる。また、この少量のバインダーの使用と三次元ランダム構造の採用により、触媒用保持マット10の焼成後の復元率が非常に高いものとすることができる。なお、本明細書又は特許請求の範囲において、有機繊維の形態を有するバインダーの含有量が重要であるので、有機繊維の形態を有するバインダーを「有機繊維バインダー」と呼び、それ以外の塊状、無機繊維タイプ、樹脂タイプなどのバインダーは単に「無機バインダー」又は「有機バインダー」と呼ぶ。
さらに、本請求項2に係る発明が採った手段は、排気用触媒とケーシング50との間隙に装着されて触媒担体60を保持する触媒用保持マット10であって、主成分をなすアルミナ繊維と、0.1〜1.0wt%の無機バインダー又は/及び有機バインダーと、0.5〜1.5wt%の天然繊維からなる有機バインダーとからなり、アルミナ繊維の配列は、三次元ランダム構造をなし、マットに平行方向の繊維に対して、マットの垂直方向の繊維占有率が20%以上有することを特徴とする触媒用保持マット10、とするものである。
マットの垂直方向の繊維占有率を20%以上とすることで、高い復元率を有し、より触媒用担体の保持率が向上させたものである。なお、復元率とは、触媒保持マットが、エンジンの熱と同等の熱でバインダーが焼成されたときにアルミナ繊維の体積が増加する。このときの増加率のことをいう。従来の乾式、湿式タイプの製造方法によっては垂直方向の繊維占有率を20%以上有する繊維マットを作製することは困難であったが、以下に説明する成形装置を用いて作製することにより、垂直方向の繊維占有率20%以上有するものを作製することができるようになった。三次元ランダム構造を採用して、垂直方向の繊維占有率を20%以上とすることで、触媒用保持マット10の復元率が高いものとすることができる。
さらに本請求項3に係る発明が採った手段は、排気用触媒とケーシング50との間隙に装着されて触媒担体60を保持する触媒用保持マット10であって、主成分をなすアルミナ繊維と、0.1〜1.0wt%の無機バインダー又は/及び有機バインダーと、0.5〜1.5wt%の天然繊維からなる有機繊維バインダーとからなり、アルミナ繊維の配列は、三次元ランダム構造をなし、有機繊維バインダーが焼成した場合の復元率が200%以上であることを特徴とする触媒用保持マット10、とするものである。
これは触媒用保持マット10を復元率によって特定したものであり、従来の触媒用保持マット10は、焼成後の復元率が低いため、マフラー内で触媒担体60を完全に保持することが困難であったのであるが、三次元ランダム構造を採用することによって、復元率200%以上を確保することができ、より確実に触媒担体60を保持することができるようになる。
さらに、請求項4に係る発明が採った手段は、排気用触媒担体60とケーシング50との間隙に装着されて触媒担体60を保持する触媒用保持マット10の成形工程の一部に配置される成形装置100であって、側面21にアルミナ繊維を水に混合したスラリー11を供給するスラリー供給部30を有する成形槽20と、該成形槽20に供給されたスラリー11の水分を前記底面23から吸水する吸水装置40とを備え、前記成形槽20の底面23が枠体と別体に形成され、かつアルミナ繊維を通すことなく水を排水可能な細孔24が形成されてなることを特徴とするアルミナ繊維ウェブの成形装置100、とするものである。
従来の湿式タイプの触媒用保持マット10の成形装置100は、連続抄紙方式を採用していた。これに対して、請求項1に係る発明は、貯留槽を省略し、パルパーで分散されたアルミナ繊維のスラリー11を直接成形型として機能する成形槽20に流入し、一度で必要な量のアルミナ繊維を導入した後、水分を吸水して成形槽20内に直接アルミナ繊維ウェブ12を形成できるようにしたものである。しかも、連続抄紙方式ではないため、小ロットによる様々な坪量の設定にも迅速に対応することができる。
また、この成形装置は、従来の湿式タイプと異なり、抄紙機を利用した連続シート作製方法を採用していないため、できあがったアルミナ繊維ウェブの繊維に方向性はなく、三次元ランダム構造の繊維ウェブを作製することができる。
なお、本発明に係る成形装置及び成形方法を用いたアルミナ繊維を主成分とする触媒用保持マット10を作製する製造工程は概説すると以下の工程からなる。すなわち、a)アルミナ繊維及びバインダー等の原料を配合して、水内に均等に分散させてアルミナ繊維のスラリーを作製するスラリー作製工程、b)該スラリーを一定の形状のアルミナ繊維ウェブに成形する工程、c)アルミナ繊維ウェブをプレスして脱水する工程、d)熱圧プレスによって乾燥させ、かつバインダー等によって形状を固定化する工程、e)使用される触媒担体に併せて裁断する裁断工程、である。
b)からd)の工程に進むにしたがって、アルミナ繊維の塊は、水分の含有量は減少していき、薄く硬く成形されていくものである。よって、現実には、a)からd)の工程全体においてアルミナ繊維の成形が順次なされて最終のd)の工程が終了して初めて成形が完成するので、全行程が成形工程とも呼べるものではあるが、本明細書においては、b)で行われる工程のみを指して成形と呼ぶことがある。また、b)の工程で成形された成形物を最終製品と区別するためアルミナ繊維ウェブと呼ぶ。本発明の成形装置は、主としてb)に用いられる成形装置に関するものである。
さらに、請求項5に係る発明が採った手段は、スラリー供給部30は、成形槽20の側面に設けられてなることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ繊維ウェブの成形装置100、とするものである。これはアルミナ繊維のスラリー11を成形槽20に供給する供給部を成形槽22自体、かつ成形槽の側面21に設けたものである。このように側面に設けることによって導入されたスラリー11の分散状態がもっと均一な分散状態が保たれ、最終的に作製された触媒用保持マット10の坪量の平均性が高く、かつ最適な三次元ランダム構造を採ることができる。また、アルミナ繊維の交絡のバラツキも少ないものとなる。
さらに、請求項6に係る発明が採った手段は、前記底面23は、水分を吸水して形成されたアルミナ繊維ウェブ12を脱水工程へ搬送するため、底面23のみ独立してスライド自在に設けられてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミナ繊維ウェブ12の成形装置100、とするものである。すなわち、成形槽20に流入したスラリー11の水分を底面23の細孔24からバキュームによって吸水した後、アルミナ繊維ウェブ12を底面23から移動することなく載置した状態のまま、脱水工程にアルミナ繊維ウェブ12を搬送することができるようにしたものである。このように脱水工程に底面23に載置された状態のままスライドして搬送させることによって、アルミナ繊維の方向性が保たれる。また、脱水工程におけるプレス脱水によって排出された余分な水も底面23の細孔24から吸水装置に排出されることになり、プレスして溢れた水が装置の周囲に飛び散ることがない。
本発明に係る触媒保持マットによれば、繊維方向が三次元的にランダムに配列され、かつシートの坪量を一定であるので、バインダーの使用量を最小限に抑えても、引張強度、折り曲げ強度の高く、かつマフラー内での復元率が高く触媒担体の保持力の強い触媒用保持マット、を提供することができる。
また、本発明の触媒保持マットの成型装置によれば、一回のスラリー供給により必要な厚さのアルミナ繊維マットを形成することができ、作業時間を大幅に短縮することができるのみならず、上述した触媒用保持マットを容易かつ確実に作製することができる。
本発明は、三次元ランダム構造、天然繊維からなる有機繊維バインダーの特性を利用して、無機又は有機バインダーの使用量を最小限に抑えつつ、坪量の均一化及びマフラー内に挿入されたときに、実際にエンジンによる高温の排気によって焼成された後の復元率の向上を図ったアルミナ繊維からなる触媒用保持マット10である。三次元ランダム構造の提供については、成型装置による恩恵が大きいので、まず、天然繊維及び無機バインダー及び有機バインダーについて説明する。
有機繊維バインダーは、天然繊維からなるパルプが用いられる。本発明に用いられる天然繊維は特に限定するものではなく、木材パルプ、靭皮パルプ、綿パルプ等が用いられる。天然繊維は、以下のような方法によりバインダーとして生成される。
まず、リフィーナ等により、繊維を切断する。そして、濾水度300〜700ml(カナデイアンフリーネス)の条件で、パルプを特殊な叩解機で長時間処理し、0.005〜1mm程度までフィブリル化するとともに、繊維長を0.05mm〜2.0mmにする。なお、本発明においては、単一のパルプのみを用いても構わないが、繊維径や繊維長の特性も利用して、複数のパルプを混合して使用することも可能である。好ましくは「木材パルプ」と「靭皮パルプ」を組み合わせたものを使用すると良い。さらに好ましくは木材パルプと靭皮パルプの重量比が20:80〜80:20の範囲で混合したものを叩解機に投入し、長時間処理して繊維長を一定の長さに調整したものを使用するとよい。このようにして、水性スラリーの状態のバインダーが生成される。
なお、水性スラリーの固形分濃度は、特に限定しないが、取り扱いの容易さ、脱水成形の効率等を考慮すると、0.5〜5.0重量%程度で作製するのが好ましい。
一方、無機バインダーとしては、ムライト粉末、シリカ粉末、SiC粉末、活性炭粉末等が挙げられる。有機バインダーとしては、ラテックスなどが用いられる。
主成分となるアルミナ繊維は、平均繊維径が2〜6μm、平均繊維長が1mm〜100mmのものが用いられる。なお、ここで、アルミナ繊維とは、ムライト繊維(シリカ20%程度含むアルミナ繊維)を含むものである。
以上のようなバインダー及びアルミナ繊維を使用して以下な成形装置を使用してアルミナ繊維からなる触媒用保持マット10が作製される。
図1は、実施例1に係る成形装置が備え付けられた製造ラインの一部を表した斜視図である。図2は、実施例1に係る成形装置である。実施例1に係る成形装置100は、アルミナ繊維のスラリー11を流入して、一定の形状のアルミナ繊維ウェブ12を作製する成形槽20と、成形槽20の側面21に取り付けられてなるスラリー供給部30と、スラリー供給部30によって供給されたスラリー11の水分を吸水する吸水装置40とからなる。
成形槽20は1辺が1m程度の箱状に形成されており、底面23は上方の枠体22と別体に設けられている。枠体22の側面21に設けられているスラリー供給部30は、パルパーにおいてアルミナ繊維とバインダーと水等を混合して分散処理したスラリー11を成形槽20内に供給する。ここでスラリー供給部30が側面21に設けられているのは、スラリー11を成形槽20に流入したときに、成形槽20内のスラリー11が最もよい分散状態で導入されるからである。
一方、底面23は、図3に示すように細孔24が設けられている。細孔24の形状は特に限定するものではないが、アルミナ繊維やバインダー等は通過せず水分のみを通過させる程度の孔に形成される。これは底面23からアルミナ繊維のスラリー11のうち不必要な水分のみを吸水して、底面23の上面に最終的に製品となるアルミナ繊維ウェブ12を形成する。また、この底面23は、両側に平行に設けられた支柱をスライド自在に設けられており、枠体22とは独立して平行に移動できるように設けられている。
次に、吸水装置40は、底面23に設けられた細孔24から水分を強制的に吸水するためのものであり、バキューム機能を有するものである。吸水装置40は、底面23の全体に形成された細孔24を通してスラリー11の水を吸水することができるように取り付けられている。吸水装置の機構については、特に限定するものではなく、従来からある装置を用いればよい。
さて、以上のように形成された成形装置100を用いて以下のようにしてアルミナ繊維は成形される。まず、図4に示すようにパルパーで分散されたアルミナ繊維のスラリー11をスラリー供給部30を介して成形槽20にスラリー11を流入する。そして、必要量のスラリー11が貯まったら(成形槽20にスラリー11が貯まった状態が図5に示されている。)、スラリー11の供給を停止し、図6に示すように底面23から吸水装置40によって水分を吸水する。この吸水装置40による吸水によって、大方の水分がスラリー11から排水され、スラリー11は供給された量の4分の1〜5分の1程度の嵩まで減少する。スラリーはアルミナ繊維同士が近接し一定の公絡状態にされたアルミナ繊維ウェブ12が成形槽20内に形成されることになる。このように成形槽20は、いわば成形型としての役割も有する。また、スラリー11が導入された後、均一な分散状態が保たれた状態のまま直ちにスラリー11からの吸水が始まるので、成形槽20に導入されたスラリー11の分散状態を確保するために成形槽20内で攪拌作業を行う必要はない。また、スラリー供給及び吸水は一回でよいので、本工程に係る所要時間も従来と比較して非常に短縮することができる。
その後、型枠22が上昇して、アルミナ繊維ウェブ12は成形枠から外される(図7)。このときアルミナ繊維ウェブ12は、型枠22が外されても、繊維の交絡により、一定の形状を保ち形状が壊れることはない。
そして、アルミナ繊維ウェブ12は、底面23に載置された状態のまま、プレス工程へスライドして搬送される。まだウェブ状で坪量が低く、しかも交絡状態も低い上、水分もまだ乾燥工程に送るには多量の水分が含まれることから、プレス工程でプレス機によってアルミナ繊維ウェブ12に圧力をかけ、アルミナ繊維ウェブ12内の水分を脱水させるとともに、1cm程度の厚さまで圧縮させて成形を完成させる(図8,9)。このときプレス脱水によって発生した水は、底面23に形成された細孔24を介して吸水装置40に吸い取られる。したがって、水が周囲に飛び散ることがない。その後、さらに製品として使用できる程度まで熱圧乾燥により、乾燥し触媒用保持マット10を得る。そして、図10に示すように使用される触媒担体60に適合するように裁断されて完成する。
このようにして完成した触媒用保持マット10は、アルミナ繊維の分散状態の均一性が高く、かつ交絡状態も平均している。また三次元ランダム構造をなしているので、面圧強度が低いにもかかわらず、折り曲げても破断することがなく、非常に品質のよいものとすることができる。
触媒保持マット10は、図11に示すように触媒担体60に巻き付けられた後、ケーシング50内に挿入されて使用される。
上記の工程によって、以下の条件によりそれぞれ触媒用保持マット10を得た。
(実施例1)
アルミナ繊維(品名 アルセン 電気化学)10Kgと麻パルプ 0.1Kgを2m3の水にて均一に分散し、ポリアクリルアマイド樹脂を0.05Kg配合して、均一な分散液を得た。これに水を2m3追加して、タンクに送り原料液を得た。この原料液を約235lの成形槽に送り、上記実施の形態において説明した成形装置を用いてアルミナ繊維ウェブを得、これを吸引脱水して900×600のシートを得た。これを150℃の熱プレスにおいて7分乾燥処理した後、縦600mm、横900mm、厚さ7mm、重量580gの均一な触媒用保持マット10を得た。
アルミナ繊維(品名 アルセン 電気化学)10Kgと麻パルプ 0.1Kgを2m3の水にて均一に分散し、ポリアクリルアマイド樹脂を0.05Kg配合して、均一な分散液を得た。これに水を2m3追加して、タンクに送り原料液を得た。この原料液を約235lの成形槽に送り、上記実施の形態において説明した成形装置を用いてアルミナ繊維ウェブを得、これを吸引脱水して900×600のシートを得た。これを150℃の熱プレスにおいて7分乾燥処理した後、縦600mm、横900mm、厚さ7mm、重量580gの均一な触媒用保持マット10を得た。
(実施例2)
実施例2のアルミナ繊維10Kgのところをアルミナ繊維9Kg、シリカ繊維(平均繊維長50mm)1Kgを水2m3に分散して、上記実施の形態において説明した成形装置を用いてアルミナ繊維ウェブを得、シートを作成した。これを吸引脱水して900×600のシートを得た。これを150℃の熱プレスにおいて7分乾燥処理した後、縦600mm、横900mm、厚さ7mm、重量580gの均一な触媒用保持マット10を得た。
実施例2のアルミナ繊維10Kgのところをアルミナ繊維9Kg、シリカ繊維(平均繊維長50mm)1Kgを水2m3に分散して、上記実施の形態において説明した成形装置を用いてアルミナ繊維ウェブを得、シートを作成した。これを吸引脱水して900×600のシートを得た。これを150℃の熱プレスにおいて7分乾燥処理した後、縦600mm、横900mm、厚さ7mm、重量580gの均一な触媒用保持マット10を得た。
(実施例3)
アルミナ繊維(品名LDM サフィル社製)10Kgを2m3の水にて1分間分散を行い、ラテックス2000ml(品名 LX852 日本ゼオン社製)と硫酸バンド1Kgを配合して、均一な分散液を得た。これに水2m3を追加してタンクに送り原料液とした。この原料液を約235l成形槽に送り、吸水脱水して、900mm×600mmのシートを得た。これを180℃の熱プレスにおいて、8分乾燥処理した後、縦600mm・横900mm厚さ7mm、重量650gの均一な触媒用保持マット10を得た。これは、以下の従来の製造方法(比較例1)で作成していたときのバインダーの配分量を用いて本発明による成形装置を用いて作製したものである。
アルミナ繊維(品名LDM サフィル社製)10Kgを2m3の水にて1分間分散を行い、ラテックス2000ml(品名 LX852 日本ゼオン社製)と硫酸バンド1Kgを配合して、均一な分散液を得た。これに水2m3を追加してタンクに送り原料液とした。この原料液を約235l成形槽に送り、吸水脱水して、900mm×600mmのシートを得た。これを180℃の熱プレスにおいて、8分乾燥処理した後、縦600mm・横900mm厚さ7mm、重量650gの均一な触媒用保持マット10を得た。これは、以下の従来の製造方法(比較例1)で作成していたときのバインダーの配分量を用いて本発明による成形装置を用いて作製したものである。
(比較例1)
実施例3と同様の配分量で、従来からある湿式方式で作製したものである。
実施例3と同様の配分量で、従来からある湿式方式で作製したものである。
(比較例2)
実施例2と同様のバインダー配分量において、短網抄紙機において湿式方式により、シートの作成を試みた。しかし短網部までは従来通りうまくいったが、バインダーの量が少ないため、網より、毛布への移行のとき、シートの強度不足により移行ができず、シートの作成は不可能であった。
実施例2と同様のバインダー配分量において、短網抄紙機において湿式方式により、シートの作成を試みた。しかし短網部までは従来通りうまくいったが、バインダーの量が少ないため、網より、毛布への移行のとき、シートの強度不足により移行ができず、シートの作成は不可能であった。
以下実施例及び比較例の試験結果を表に示す。
10 触媒用保持マット
11 スラリー
12 アルミナ繊維ウェブ
20 成形槽
21 側面
23 底面
24 細孔
30 スラリー供給部
40 吸水装置
50 ケーシング
60 触媒担体
100 成形装置
11 スラリー
12 アルミナ繊維ウェブ
20 成形槽
21 側面
23 底面
24 細孔
30 スラリー供給部
40 吸水装置
50 ケーシング
60 触媒担体
100 成形装置
Claims (6)
- 排気用触媒担体とケーシングとの間隙に装着されて触媒担体を保持する触媒用保持マットであって、
主成分をなすアルミナ繊維と、0.1〜1.0wt%の無機バインダー又は/及び有機バインダーと、0.5〜1.5wt%の天然繊維からなる有機バインダーとからなり、
アルミナ繊維の配列は、三次元ランダム構造をなしていることを特徴とする触媒用保持マット。 - 排気用触媒とケーシングとの間隙に装着されて触媒担体を保持する触媒用保持マットであって、
主成分をなすアルミナ繊維と、0.1〜1.0wt%の無機バインダー又は/及び有機バインダーと、0.5〜1.5wt%の天然繊維からなる有機バインダーとからなり、
アルミナ繊維の配列は、三次元ランダム構造をなし、マットに平行方向の繊維に対して、マットの垂直方向の繊維占有率が20%以上有することを特徴とする触媒用保持マット。 - 排気用触媒とケーシングとの間隙に装着されて触媒担体を保持する触媒用保持マットであって、
主成分をなすアルミナ繊維と、0.1〜1.0wt%の無機バインダー又は/及び有機バインダーと、0.5〜1.5wt%の天然繊維からなる有機繊維バインダーとからなり、
アルミナ繊維の配列は、三次元ランダム構造をなし、有機繊維バインダーが焼成した場合の復元率が200%以上であることを特徴とする触媒用保持マット。 - 排気用触媒とケーシングとの間隙に装着されて触媒担体を保持する触媒用保持マットの成形工程の一部に配置される成形装置であって、
アルミナ繊維を水に混合したスラリーを供給するスラリー供給部を有する成形槽と、該成形槽内に供給されたスラリーの水分を前記底面から吸水する吸水装置とを備え、
前記成形槽の底面は枠体と別体に形成され、かつアルミナ繊維を通すことなく水を排水可能な細孔が形成されてなることを特徴とするアルミナ繊維ウェブの成形装置。 - スラリー供給部は、成形槽の側面に設けられてなることを特徴とする請求項4に記載のアルミナ繊維ウェブの成形装置。
- 底面は、水分を吸水して形成されたアルミナ繊維ウェブを脱水工程へ搬送するため、底面のみ独立してスライド自在に設けられてなることを特徴とする請求項4又は5に記載のアルミナ繊維ウェブの成形装置。
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-
2004
- 2004-01-05 JP JP2004000214A patent/JP2005194904A/ja active Pending
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