JP2005194843A - 防食カバー及びそれを用いた被防食体の防食方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被防食体を長期間に亘って安定的に防食することが可能な防食カバーを提供すること。
【解決手段】 被防食体100を被覆する防食カバー1である。両端部に係合部11、12を有している。係合部11、12は、被防食体100を被覆したときに互いの外面がほぼ面一となるように設けられている。防食カバー1は、分割片からなり、複数の該分割片の係合部11、12どうしを互いに係合させることにより被防食体100を被覆するように設けられていることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、海洋や河川の腐食環境下に施工された鋼管杭や鋼管矢板等の被防食体の防食カバー及びそれを用いた被防食体の防食方法に関する。
従来、海洋や河川などに施工された鋼管杭等の被防食体の防食は、鋼管杭の外側にペトロラタム系等の防食材による防食層を形成した後、該防食層の外側に緩衝材を介在させて繊維強化樹脂製の防食カバーを配することにより行われている(例えば、下記特許文献1参照)。
ところで、上述の防食カバーは、分割片からなり、その端部に外側に張り出すフランジが設けられており、被防食体を被覆するときには、対向する分割片のフランジ部どうしを突き合わせ、該フランジに設けられた孔にボルトを挿入し、当該ボルトにナットを螺着して取り付けている。このため、張り出したフランジ部に漂流物、波浪、潮流の影響を繰り返し受けやすく、当該フランジ部が特に破損し易かった。また、張り出したフランジ部があるため、積荷としたときに嵩張ってしまい、搬送しづらかった。
特許第2511296号公報
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、被防食体を長期間に亘って安定的に防食することが可能な防食カバーを及びそれを用いた被防食体の防食方法を提供することにある。
本発明は、被防食体を被覆する防食カバーであって、両端部に係合部を有しており、該係合部は、前記被防食体を被覆したときに互いの外面がほぼ面一となるように設けられている防食カバーを提供することにより、前記目的を達成したものである。
また、本発明は、被防食体の防食面を防食材で被覆した後に、該防食材をさらに前記本発明の防食カバーで被覆する被防食体の防食方法を提供するものである。
本発明の防食カバー及び被防食体の防食方法によれば、被防食体を長期間に亘って安定的に防食することができる。
以下、本発明を、その好ましい実施の形態に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明の防食カバーを円筒状の鋼管杭(被防食体)の防食カバーに適用した一実施形態を示したものである。これらの図において、符号1は防食カバー、100は仮想線で表した鋼管杭を示している。
図1及び図2に示すように、防食カバー1は、両端部に係合部11、12を有しており、係合部11、12は、鋼管杭100を被覆したときに、互いの外面がほぼ面一となるように設けられている。
防食カバー1は、分割片からなり、一対の分割片(防食カバー1)のそれぞれの係合部11、12を係合させることにより、鋼管杭100の全周を被覆するように設けられている。
係合部11、12には、それぞれ先端部に向けて幅が広くなる係合凸部110、120が縦に所定間隔おきに設けられているとともに、これら係合凸部110、120の間に、組み合わされる別の防食カバー1の係合部11、12の係合凸部110、120が係合される係合凹部111、121が設けられている。
係合凸部の突出長さ(係合凹部の深さ)Lは、防食カバーの機械的強度、コスト等を考慮すると20〜100mm、特に20〜50mmとすることが好ましい。係合部11、12は、係合させたときの隙間が、狭くなるように設けられていることが好ましいが、係合させるときの操作性や、後述するような施工時の当て板の配置、係合部11、12の厚さ、係合部11、12の寸法精度等を考慮すると、2〜10mm、特に4〜6mmの隙間ができるように設けられていてもよい。
これら係合凸部110、120(係合凹部111、121)の形状、数、間隔は、鋼管杭や鋼管矢板の管径、防食カバーの材質、波浪の大小等の被防食体の施工環境に応じて適宜設定される。
係合凸部110、120の突出基部(係合凹部111、121の角部)112、122には、丸穴の切り欠き加工が施されている。防食カバー1は、このような切り欠き加工が施されているので、突出基部に発生する応力集中を緩和することができる。丸穴の大きさは、係合凸部110、120の寸法、突出基部の形態等に応じて設定される。丸穴の切り欠き加工のほか、所望の曲率の湾曲面に丸め加工(いわゆる角取り)を施して応力集中を緩和することもできる。
防食カバー1は、前記係合部11、12の近傍に係合部11、12どうしを係合させるときに用いる治具の固定手段を備えている。本実施形態の防食カバー1には、該固定手段として、防食カバー1の外側からボルトを螺着するためのナット113、123が縦に所定間隔おきに埋め込まれている。そして、これらのナット113、123に後述するようにボルト114、124を螺着させて防食カバー1どうしを係合するときに用いる治具(例えば、後述するアングル材、115、125)を固定できるようになっている(図3(e)及び(f)参照)。ナットの埋め込み位置(中心軸の位置)は、係合部どうしを係合させるときの操作性を考慮すると、係合凹部112又は122の端縁部から10〜100mmとすることが好ましい。
防食カバー1は、当該防食カバー1と鋼管杭100との間に配される後述する防食材2の厚み等を考慮して、係合部11、12を係合させた状態で、鋼管杭100の表面との間に8〜25mm、特に10〜20mmの隙間ができる大きさに設けることが好ましい。
防食カバー1は、カバー本体1Aと、その内面に接着剤で貼り付けられた緩衝材1Bとから構成されている。
カバー本体1Aには、従来からこの種の防食カバーに用いられている材質のものを特に制限なく用いることができる。カバー本体1Aの材質としては、プラスチックスを強化繊維で補強した繊維強化プラスチックス(FRP)、高強度プラスチックス、耐海水性ステンレス鋼、チタン等が挙げられる。機械的強度、柔軟性、カバーの取り付けの作業性を考慮すると、繊維強化プラスチックスが好ましい。
前記プラスチックスには、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。これらの樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、高強度ポリエチレン等が挙げられる。また、前記強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、有機繊維等が挙げられる。該強化繊維の形態は、所定の長さに切断されたもの、不織布状のシート、クロス状に編み込まれたシート、羽毛状のシート等の、従来からこの種の防食カバーに用いられている形態のものを特に制限なく用いることができる。
前記プラスチックスへの前記強化繊維の配合は、プラスチックスの種類、強化繊維の種類及び形態に応じて適宜設定される。前記プラスチックスへの前記強化繊維の配合は、機械的強度、衝撃強さ、生産性を考慮すると、前記プラスチックス100重量部に対し、前記強化繊維25〜80重量部、特に、40〜70重量部が好ましい。
前記プラスチックスには、重合用触媒として、当該プラスチックスの種類に応じて従来から用いられている硬化剤を適量含ませることができる。例えば、不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いる場合には、硬化剤として、有機過酸化物、酸無水物、変性脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン等を用いることができる。不飽和ポリエステルに有機過酸化物を添加する場合には、完全硬化、硬化の際の発熱を考慮すると、0.5〜2.0重量%配合することが好ましい。
前記プラスチックスに、飽和ポリエステル、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いる場合には、前記強化繊維との結合による強度向上を考慮してシラン化合物等のカップリング剤を適宜の量で含ませることが好ましい。
カバー本体1Aの厚みは、波浪の大小、漂流物の出現頻度などの被防食体の施工環境に応じて適宜設定することができる。カバー本体1Aの厚みは、機械的強度、衝撃強さ、コストを考慮すると、1〜10mm、特に1.5〜5mmが好ましい。特に、係合部及びその近傍は、他の部分よりも厚くすることが好ましく、3〜10mmとすることが好ましい。
緩衝材1Bには、従来からこの種の防食カバーに用いられている材質のものを特に制限なく用いることができる。緩衝材1Bとしては、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、合成ゴム等の発泡体からなるシート、疎水性の不織布が挙げられる。緩衝材1Bの厚みは、緩衝特性、成形性、加工のしやすさを考慮すると、3〜20mm、特に5〜15mmが好ましい。
前記接着剤には、従来からこの種の防食カバーに用いられている材質のものを特に制限なく用いることができるが、プラスチックスどうしの接着、緩衝材の表面が多孔質状であることを考慮するとゴム系、エポキシ樹脂系等の接着剤を用いることが好ましい。
次に、前記防食カバー1の製造方法について説明する。
まず、防食カバー1の外径に適合した半筒状の金属製の成形型を準備する。成形型の内面には、前記ナット113、123の配置位置に対応して当該ナット113、123を挿入して固定する凸部を設けておくことが好ましい。ナット113、123、成型体の脱型後に穴を設けて埋め込むこともできる。
次に、成形型の内面に離型剤を塗布する。離型剤には、パラフィンワックス、シリコンワックス、ポリビニルアルコールフィルム等を用いることができる。そして、成形型の所定箇所に、前記ナット113、123を配する。
次に、前記硬化剤を加えた前記プラスチックスと前記強化繊維とを前記成形型内に充填する。充填方法は、前記強化繊維の形態、配合割合、プラスチックスの原料、製造量等に応じて選択することができる。シート状の形態の場合には、例えば、前記プラスチックスの流し込みと前記強化繊維の前記成形型内への敷設とを交互に行う方法を用いることができる。前記強化繊維が所定長さに切断された形態である場合には、例えば、該強化繊維と前記プラスチックスとを予め混合した後に該混合物を前記成形型内に流し込む方法を用いることができる。前記強化繊維がシート状の形態の場合には、前記プラスチックスを塗工ローラー等で塗布して、該強化繊維内に該プラスチックスを浸透させることが好ましい。係合部となる部分は、他の部分に比べて高坪量のシート状の強化繊維で補強したり、複数枚のシート状の強化繊維で補強したり、所定長さの前記強化繊維の配合量を他の部分よりも多く配合して補強する等して強度を高めることが好ましい。
所望時間放置して前記プラスチックスを硬化させた後、前記緩衝材1Bを前記接着剤で貼り付ける。そして、得られた成形体を前記成形型から脱型し、切断加工機や電動工具によって両端部を切断加工し、所望の形状の係合部を設ける。
次に、本発明の被防食体の防食方法を、前記防食カバー1を用いた鋼管杭100の防食方法の実施形態に基づいてついて図面を参照しながら説明する。
まず、一対の防食カバー1の一方に埋設されたナット113及び他方のナット123にアングル材115、125に設けた挿通孔(図示せず)を合わせ、該挿通孔にボルト114、124を挿通させてナット113、123に螺着させ、それぞれの防食カバー1に1本ずつアングル材115、125を取り付ける(図3(e)及び(f)参照)。
防食を行う鋼管杭100の表面には、素地調整(下地処理)を施しておく。素地調整は、従来からこの種の防食方法に採用いられている素地調整の方法を特に制限なく採用することができる。
次に、図3(a)及び(b)に示すように、素地調整を行った鋼管杭100の表面を防食材2で被覆する。防食材2による鋼管杭100の被覆は、同図に示すように、食材2の形態に応じ、鋼管杭100の表面へ巻き付けたり、貼り付けたり、或いは防食材2を塗布する等して行う。
前記防食材2には、従来からこの種の防食方法に用いられているものを特に制限なく用いることができる。防食材2には、ペトロラタム系の防食材や、水中でも硬化する樹脂(以下、硬化性樹脂ともいう。)を用いることが好ましい。ペトロラタム系の防食材としては、ペトロラタムを主成分とし、腐食抑制剤等を含有するペースト及び該ペーストをナイロン等の不織布に含浸させたテープ(いわゆるペトロラタム系テープ)が挙げられる。硬化性樹脂としてはエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリサルファイド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
前記硬化性樹脂には、吸水性高分子を含ませることが好ましい。このように吸水性高分子を用いることによって、鋼管杭表面の水分は直ちに吸水性高分子により吸水され、鋼管杭の表面には樹脂接着に支障をきたすほどの水分はなくなり、硬化した樹脂の鋼管杭への接着が容易になされる。このような吸水性高分子としては、ポリアクリル酸塩系、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体ケン化物、ポリ酢酸ビニル・無水マレイン酸反応物、イソブチレン・マレイン酸共重合体架橋物、ポリエチレンオキシド系、デンプン・アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系、ポリビニルN−ビニルアセトアミド系等が挙げられ、上記硬化性樹脂100重量部に対して、1〜200重量部添加されることが好ましい。
また、前記硬化性樹脂には、水溶性腐食抑制剤や脱酸素剤が添加されていることが好ましく、このような水溶性腐食抑制剤としては正リン酸塩、ポリリン酸塩、亜硝酸塩、安息香酸塩、珪酸塩等が用いられ、脱酸素剤としては亜硝酸ナトリウム、ヒドラジン等が用いられる。
次に、図3(c)及び(d)に示すように、防食材2の表面における防食カバー1の係合部11、12が配される部分に、浸水防止用の当て板3を当てる。当て板3には、繊維強化プラスチックス、高強度プラスチックス等の材質からなり、厚さが1.0〜1.5mmのものを用いることが好ましい。
次に、防食材2の外側を防食カバー1で被覆する。防食材2の外側を防食カバー1で被覆する際には、まず、防食カバー1の前記アングル材115、125を取り付けていない係合部11、12どうしを係合させる。そして、アングル材115、125の張り出し部分に渡すように万力(図示せず)を掛け、該万力でアングル材115、125どうしを矢印Fの方向に引きつけ、係合部11、12どうしを係合させる。係合部11、12の係合状態を確認した後、ボルト114、124をゆるめてアングル材115、125を取り外す。そして、必要に応じて係合部11、12どうしの隙間に充填材を充填し、防食カバー1、1の被覆施工を完了する。充填材にはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を用いることが好ましい。
このようにして施工された防食カバーは、係合部11、12の外面がほぼ面一となるように係合されており、従来のように外側に張り出すフランジ部分を有していないため、漂流物、波浪、潮流の影響を繰り返し受けることがない。従って、鋼管杭100を長期間に亘って安定的に防食することができる。また、係合部11、12の近傍にアングル材115、125をボルト114、124で取り付けるためのナット113、123を備えているため、鋼管杭100の防食カバー1による被覆施工を簡便に行うことができる。また、フランジ部を有していないため、積荷としたときも嵩張らず、搬送にも支障をきたすことがない。
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
また、前記実施形態では、一対で被防食体である鋼管杭の全囲を被覆するような分割片としたが、鋼管杭の大きさによっては、三つ以上を連結することによって当該鋼管杭の全周を被覆するような分割片とすることもできる。
また、本発明の防食カバーは、前記実施形態のように分割片からなるものが好ましいが、図4に示すように、被防食体を被覆したときに互いの外面がほぼ面一となるように設けられている係合部11、12を両端部に有する一体成形体からなるものであってもよい。
また、本発明の防食カバーは、前記実施形態のように、前記係合部の近傍に当該係合部どうしを係合させるときに用いる治具の固定手段を備えていることが好ましいが、この固定手段は省略することもできる。このような場合には、被防食体の周りに防食カバーを配した後、該防食カバーにバンドなどを巻き付けて当該バンドを締め付けるときの力で係合部どうしを係合させて防食カバーの被覆施工を行うことが好ましい。
また、前記実施形態では、成形型による成形時には係合部を設けずに、その後の加工によって係合部を設けるようにしたが、成形型に係合部に対応する形状の充填空間を設けておき、成形時に係合部を設けることもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
直径500mm、高さ1000mmの鋼管を試験用の被防食体とし、この被防食体に対応する防食カバーとして、下記材料を用い、下記のようにして防食カバーを作製した。
<材料>
プラスチックス:イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂(JIS K6919)、三井東圧化学(株)製、「エスターP290K」
硬化剤:メチルエチルケトンパーオキサイド、日本油脂(株)製、「パーメックN(55%MEKPO)」
強化繊維A:ガラス繊維、日東紡績(株)製、「グラスファイバー・フィラメントマットMF30P−104LS」
強化繊維B:チョップドストランドマット(JIS R3411)、日東紡績(株)製、「チョップドストランドマットEM300」
強化繊維C:チョップドストランドマット(JIS R3411)、日東紡績(株)製、「チョップドストランドマットEM600」
強化繊維D:ロービングクロス(JIS R3417)、日東紡績(株)製、「ロービングクロスERC580」
離型剤:日本油脂(株)製、「ボンリース(L)」
緩衝材:発泡ポリエチレンシート、厚み10mm、見掛け密度95kg/m3、東レ(株)製、「トーレペフ」
接着剤:サイデン化学(株)製、「サイビノールEX−6E」
まず、防食カバーの外形に対応する充填空間を有する半筒状の成形型を準備し、当該成形型の充填空間を形成する面に前記離型剤を塗布した。そして、前記プラスチックス100重量部に対し、前記硬化剤を1重量部添加し、前記成形型の充填空間に所定量注入し、ローラーで一面に広げた。
次いで、前記強化繊維Aを前記充填空間に合わせた大きさに切り取り、広げたプラスチックス上に積層した。そして、その上から前記硬化剤を含むプラスチックスをローラーに含ませて塗工した。
次いで、前記強化繊維Bを前記充填空間に合わせた大きさに切り取り、塗工した前記プラスチックス上に積層した。そして、その上から前記硬化剤を含むプラスチックスをローラーに含ませて塗工した。
次いで、前記強化繊維Dを前記充填空間に合わせた大きさに切り取り、塗工した前記プラスチックス上に積層した。そして、その上から前記硬化剤を含むプラスチックスをローラーに含ませて塗工した。
次いで、前記強化繊維Bを前記充填空間に合わせた大きさに切り取り、塗工した前記プラスチックス上に積層した。そして、その上から前記硬化剤を含むプラスチックスをローラーに含ませて塗工して厚みを約2mmとした。
次いで、前記強化繊維Cを前記係合部の幅に合わせた大きさに切り取り、塗工した前記プラスチックス上に積層した。そして、その上から前記硬化剤を含むプラスチックスをローラーに含ませて塗工した。この操作を繰り返し6回行い、当該部分の厚みを焼く7.2mmとした。
次いで、前記プラスチックスが硬化するまで放置した後、前記緩衝材を前記接着剤で貼り付け、得られた成形体を脱型した。そして、電動工具で、所望の係合部を形成し、さらに一端側の係合部の凹部の端縁から3cmの位置に穴を設けてナットを埋設し、所望の防食カバーを得た。該ナットにアングル材の挿通孔を合わせ該ナットにボルトを螺着させて当該アングル材を防食カバーに固定した。
次に、得られた防食カバーを使用し、下記防食材及び当て板を用いて前記被防食体の防食を行った。
防食材A:ペトロラタム系ペースト、(株)ナカボーテック製「ナカボーペトペーストWA」
防食材B:ペトロラタム系テープ、(株)ナカボーテック製「ナカボーペトテープNo.100」幅200mm、長さ10m
当て板:日東紡績(株)製、幅150mm、長さ1000mm、厚み1.0mm
まず、前記防食材Aを被防食体の防食面に塗布した後、その上から前記防食材Bを110mmずつラップさせながら螺旋状に巻き付けた。そして、係合部が位置する部分に前記当て板を当てた後、一対の防食カバーのアングル材を取り付けていない側の係合部同士を係合し、前記アングル材の張り出し部分に渡すように万力を掛け、該万力でアングル材どうしを引きつけ、係合部を係合させた。係合部の係合状態を確認した後、ボルトをゆるめてアングル材を取り外し、鋼管杭の防食カバーによる被覆施工を完了した。
施工完了後5ヶ月経過した後でも、防食カバーの内側に隙間やゆるみがなく、十分に締め付けられていることが確認できた。
本発明は、海洋や河川等の腐食環境下において施工された鋼管杭や鋼管矢板等の被防食体の防食に好適に用いられる。
本発明の防食カバーの一実施形態を組み合わせた状態を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 図1の係合部分を拡大した図であり、(a)は部分拡大平面図、(b)は部分拡大側面図である。 本発明の防食カバーを用いた被防食体の防食方法の一実施形態の手順を示す図であり、(a)は被防食体を防食材で被覆した状態を示す平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は防食材の外側に当て板を配した状態を示す平面図、(d)は(c)の側面図、(e)は治具を取り付けた防食カバーを配した状態を示す平面図、(f)は(e)の側面図である。 本発明の防食カバーの他の実施形態を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
符号の説明
1 防食カバー
1A カバー本体
1B 緩衝材
11、12 係合部
110、120 係合凸部
111、121 係合凹部
112、122 突出基部
113、123 ナット(固定手段)
114、124 ボルト
115、125 アングル材(治具)
2 防食材
3 当て板
100 鋼管杭(被防食体)

Claims (6)

  1. 被防食体を被覆する防食カバーであって、両端部に係合部を有しており、該係合部は、前記被防食体を被覆したときに互いの外面がほぼ面一となるように設けられている防食カバー。
  2. 分割片からなり、複数の該分割片の前記係合部を互いに係合させることにより前記被防食体を被覆するように設けられている請求項1記載の防食カバー。
  3. 一体成形体からなり、その両端部の前記係合部どうしを互いに係合させることにより前記被防食体を被覆するように設けられている請求項1記載の防食カバー。
  4. 前記係合部の近傍に該係合部を係合させるときに用いる治具の固定手段を備えている請求項1〜3の何れかに記載の防食カバー。
  5. 内面に緩衝材が配されている請求項1〜4の何れかに記載の防食カバー。
  6. 被防食体の防食面を防食材で被覆した後に、該防食材をさらに請求項1〜5の何れかに記載の防食カバーで被覆する被防食体の防食方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013067971A (ja) * 2011-09-21 2013-04-18 Jfe Steel Corp 鋼矢板構造物、鋼矢板

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