JP2005194652A - 光触媒を担持した、消臭機能を有する繊維布帛。 - Google Patents

光触媒を担持した、消臭機能を有する繊維布帛。 Download PDF

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Abstract

【課題】
繊維布帛の柔らかな風合いを維持し、光触媒の酸化作用による繊維布帛の変色や劣化を防ぎ、消臭、抗菌および防汚に優れた機能を有する繊維布帛を提供する。
【解決手段】
アクリルシリコン系バインダー樹脂を用い、光触媒と吸水性無機多孔質物質を繊維布帛に担持させることによって、光触媒の酸化作用による繊維布帛やバインダー樹脂の変色や劣化を防ぎつつ、吸水性無機多孔質物質によって水分が確保されるため、光触媒による消臭、抗菌および防汚に優れた機能を得ることができ、しかも柔らかな風合いを維持した繊維布帛が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、衣料や、カーテン、カーペット、壁紙等のインテリア用品、衛生材料などに広く応用でき、消臭、抗菌および防汚機能を有するようにした繊維布帛に関する技術である。
従来技術として、消臭、抗菌および防汚等の機能に関する技術は良く知られている。例えば、活性炭の優れた吸着作用を利用した消臭剤が知られているが、これらは悪臭成分を吸着し、周辺の臭気濃度を短期的に低下さす働きには優れているが、悪臭成分の量が減少するわけではなく、有効期間に限りのある消臭方法である。
また、消臭スプレーを、直接臭気を発するものに吹きつけ消臭するものもあるが、この方法は、芳香剤の働きにより、一時的に臭いは消えるものの時間がたてば再び臭気が発生し、根本的な解決にはつながらない。
次ぎに、悪臭成分を分解して消臭する方法としては、フタロシアニンが良く知られているが、全ての悪臭に有効なものではなく、タバコ臭や、人体の汗が分解されて発生する臭いであるイソ吉草酸等の悪臭に対しては有効な消臭方法とは言いがたいものである。
フタロシアニンの他では、悪臭成分を分解して消臭する方法として、酸化チタン光触媒が良く知られている。酸化チタン光触媒に太陽光、ブラックライト等の光を照射すると、有機物を炭酸ガスと水等に分解したり、たばこ臭や、人体の汗が雑菌によって分解されて発生する臭いであるイソ吉草酸等の悪臭を消臭したり、布に付着したたばこのヤニ等の着色物質を分解して防汚効果のあることが知られている。
また、酸化チタン光触媒は、その強力な酸化力によって、大腸菌などを殺す機能もあることも確認されており、抗菌効果のあることが知られている。
しかしながら、光触媒はそのような有益な機能を有する反面、光触媒を直接繊維布帛にバインダー樹脂によって担持させると、光触媒の強い酸化分解力によって、バインダー樹脂や繊維布帛が有機質の炭化水素を含む樹脂であるため分解したり、変色したり、異臭が発生するなどの諸問題が生じるため、使用が限定され、酸化に強いタイルやガラス等の無機の担持素材へ応用されることが多かった。
これを改善するため特許文献1においては、繊維布帛に酸化チタン光触媒をシリコーン架橋型樹脂で固定することにより、使用に際して繊維布帛に変色や劣化がなく、持続性のある優れた消臭、抗菌および防汚機能を有する繊維布帛の技術を開示している。
また、特許文献2においても、繊維布帛の表面にフッ素樹脂からなる耐食性皮膜を形成し、この耐食性被膜の上に光触媒皮膜を形成することにより、繊維布帛に変色や劣化がない消臭性布帛の技術を開示している。
また、特許文献3においては、シリカゲルの微粒子の多孔質表面に酸化チタンをコーティングし、多孔質光触媒を製造する技術が開示されている。
特開平10−1879 特開平10−216210 特許第2775399号
しかし、上記方法では、繊維布帛の風合いが硬くなり、また、光触媒の酸化作用から完全に繊維布帛を保護することが不可能で、繊維布帛やバインダー樹脂の変色や劣化を防ぐことに満足のできるものは出来ていない。また、光触媒の消臭速度は遅く、より効率的な消臭効果のあるものが求められていた。本発明の課題は、上述の事情に鑑み、繊維布帛の柔らかな風合いを維持し、光触媒の酸化作用による変色や劣化を完全に防いだ消臭、抗菌および防汚機能を有する繊維布帛を提供することと、光触媒による消臭効果を飛躍的に向上させることにある。
本発明は、光触媒の消臭速度を速め、より効率的な消臭効果のある繊維布帛を得るために検討を行なった結果、光触媒の近くに水を存在させることにより光触媒の消臭速度が飛躍的に向上し、より効率的な消臭効果が得られることと、繊維布帛の柔らかな風合いを維持し、変色や劣化を完全に防ぐためには、アクリルシリコン系バインダー樹脂を用い、一定の粒径の酸化チタン光触媒と吸水性無機多孔質物質を繊維布帛に担持させることによって得られることを見出したものである。
すなわち第1の発明は、繊維布帛に吸水性無機多孔質物質と光触媒がアクリルシリコン系バインダー樹脂により固着されてなる、消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛である。
本発明は衣料用や、カーテン、カーペット、壁紙等のインテリア用品、衛生材料などに広く有用な繊維布帛として使用することができる。また、繊維布帛の繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、アクリルなどの合成繊維、アセテート、レーヨンなどの半合成繊維、羊毛、絹、木綿、麻などの天然繊維などから選ばれる、1種または複数の繊維を使用することができる。
本発明のメカニズムは十分解明されていないが、光触媒は水と反応して・OHと・O を発現し、有機物を効率よく分解することは確認されており、吸水性無機多孔質物質に吸着した水と、光触媒が反応して臭気物質を効率的に水とニ酸化炭素等に分解するものである。
また、光触媒は、アクリルシリコン系バインダー樹脂のシリコン部分とシラノール結合で接合し、又アクリルシリコン系バインダー樹脂のアクリル部分は、繊維布帛と強力に接合する。このように、光触媒が繊維布帛に直接結合するのではなく、シリコン部分と光触媒、アクリル部分と繊維布帛がそれぞれ選択的に結合することから、光触媒の強い酸化作用から繊維布帛の変色や劣化を防ぐことができ、アクリル部分を介して繊維布帛と光触媒が間接的に接合することから、繊維の柔らかい風合いが守られるものである。
また、吸水性無機多孔質物質は空気中の水分と臭気を吸着するもので、アクリルシリコン系バインダー樹脂を介して、繊維布帛に固定される。光触媒によって繊維やバインダー樹脂が直接侵されない状態を確保したうえで、吸水性無機多孔質物質に吸着したタバコ臭、汗臭などの悪臭を、水分の存在下で光触媒は簡単に消臭することができ、また付着したタバコのヤニなどの着色物質をも分解して、防汚効果も得ることができるものである。また、吸水性無機多孔質物質は、空中の水分を吸収し水分を確実に光触媒に供給することから、光触媒が反応して悪臭を効率的に分解しやすくするものである。
さらに、光触媒は、その酸化力により、黄色ブドウ球菌などに殺菌力があることも知られており、菌が人体代謝物などを分解する時に発生する悪臭を抑制し、抗菌効果も得ることができる。
第2の発明は、前記吸水性無機多孔質物質はゼオライト、シリカゲル、アルミナ、及び珪藻土から選ばれる一種または複数の吸水性無機多孔質物質で、粒径が5μm〜20μmである請求項1記載の消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛である。
吸水性無機多孔質物質の粒径が20μmを越えると繊維布帛表面にざらつき感が発現し好ましくない。また、5μmを下回る粒径とすることは技術的に製造することは困難で、コスト的にも採算が合わず好ましくない。より好ましくは7μm〜15μmがよい。
第3の発明は、前記光触媒は酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる一種または複数の光触媒で、粒径が5nm〜20μmである請求項1又は2記載の消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛である。
光触媒の粒径が20μmを越えると悪臭の分解速度が遅くなり好ましくない。また、5nmを下回る粒径とすることは技術的に製造することは困難で、コスト的にも採算が合わず好ましくない。より好ましくは7nm〜5μmがよい。
第4の発明は、前記吸水性無機多孔質物質と光触媒の繊維布帛への付着量が、0.5〜25g/mであって、吸水性無機多孔質物質と光触媒の配合割合が1:9から9:1である請求項1乃至3記載の消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛である。
吸水性無機多孔質物質と光触媒の繊維布帛への付着量が25g/mを越えると風合いが硬くなり、また繊維布帛が白化して好ましくない。また、0.5g/mを下回ると悪臭の分解速度が遅く、消臭効果が弱くなり好ましくない。より好ましくは0.7〜10g/mである。また、吸水性無機多孔質物質と光触媒の割合は、悪臭ガスの濃度や種類によって1:9から9:1に比率をかえてやればよい。
本発明によれば、吸水性無機多孔質物質に吸着した水の存在のもとに、臭気は光触媒の強い酸化作用によって水やニ酸化炭素等に効率的に分解される。また、アクリルシリコン系バインダー樹脂のシリコン部分とアクリル部分が選択的に光触媒と繊維布帛に強く結合することから、光触媒の強い酸化作用の繊維布帛への影響が回避され、使用に際して繊維布帛の変色や劣化がなく、かつ持続性のある優れた消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛を得ることができる。本発明の繊維布帛は、衣料、カーテン、カーペット、壁紙等のインテリア用品、衛生材料などに広く有用な繊維布帛として用いられる。
請求項2の発明によれば、吸水性無機多孔質物質の粒径が5μm〜20μmであるので手触り感のよい繊維布帛を得ることができる。
請求項3の発明によれば、光触媒の粒径が5nm〜20μmであるであるので風合いのよい消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛を得ることができる。
請求項4の発明によれば、前記吸水性無機多孔質物質と光触媒の繊維布帛への付着量が、繊維布帛100重量部に対し、0.5〜25g/mで、吸水性無機多孔質物質と光触媒の割合は1:9から9:1と混合比率を変化させることができるので、付着させる繊維の種類や臭気の濃度、種類に応じて優れた消臭、抗菌、および防汚機能を発揮することができ、しかも効果が持続する繊維布帛を得ることができる。
本発明の消臭、抗菌および防汚機能を有する繊維布帛について詳細に説明する。
図1は繊維布帛1の表面にアクリルシリコン系バインダー樹脂2によって担持された、光触媒3と吸水性無機多孔質物質4を示す模式図である。
模式図では表現できていないが、光触媒3はアクリルシリコン系バインダー樹脂2のシリコン部分とシラノール結合で接合し、又アクリルシリコン系バインダー樹脂2のアクリル部分は繊維布帛1とそれぞれ選択的に強力に接合する。
このように、選択的にシリコン部分が光触媒3とシラノール結合するため、アクリルシリコン系バインダー樹脂2と光触媒3と吸水性無機多孔質物質4の混合液をつくる時に、優先してシリコン部分は光触媒3と結合を完了している。また、吸水性無機多孔質物質4は光触媒3の周辺に、アクリルシリコン系バインダー樹脂により接合される。その後繊維布帛に浸漬・塗布することにより、アクリルシリコン系バインダー樹脂のアクリル部分が繊維と直接接合することから、光触媒3が繊維と直接接合するのが防がれ、繊維布帛1の柔軟性を保ちながら、光触媒3及び吸水性無機多孔質物質4が繊維布帛1に担持される。
アクリルシリコン系バインダー樹脂2によって光触媒3及び吸水性無機多孔質物質4とを繊維布帛1に担持させる方法は、浸漬法とコーティング法を例示できる。アクリルシリコン系バインダー樹脂は水分散体として供給されるので、容易に光触媒3と吸水性無機多孔質物質4との混合液を得ることができる。
浸漬法は、繊維布帛1をアクリルシリコン系バインダー樹脂2と光触媒3と吸水性無機多孔質物質4の混合液に浸漬した後マングルで絞り、これを乾燥させることによって繊維布帛1に光触媒3と吸水性無機多孔質物質4を担持させるもので均一に担持することができる。
コーティング法は、繊維布帛1にアクリルシリコン系バインダー樹脂2と光触媒3と吸水性無機多孔質物質4の混合液をコーティングした後乾燥させることによって繊維布帛1に光触媒3と吸水性無機多孔質物質4を担持させるもので、生産性を顕著に向上でき、担持量も精度高く制御できる。前記コーティング方法は、特に限定されるものではないが、例えばグラビアロール加工、スプレー加工、ロールコーター加工、ジェットプリント加工、転写プリント加工、スクリーンプリント加工等を例示することができる。
コーティング法は、アクリルシリコン系バインダー樹脂を繊維布帛上に皮膜状に層となって全面接着するよりも、網目状に接着させることが可能な加工方法として有用な加工である。これは、バインダー樹脂が層となって全面接着するのではなく、網目状に接着させることにより、繊維布帛を構成する糸が相対的に動きうることから、繊維布帛の柔軟性が確保されることと、繊維布帛に消臭、抗菌、防汚以外の機能性を付与する部分としての空間を残すことができ、難燃、撥水、撥油等の機能をさらに付与することができる。
光触媒は酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる一種または複数の光触媒で、中でも酸化チタン光触媒がよく使われる。酸化チタン光触媒はアナターゼ型酸化チタン光触媒、ルチル型酸化チタン光触媒、ブルカイト型酸化チタン光触媒が好ましく、中でも、アナターゼ型酸化チタン光触媒が特に好適である。酸化チタン光触媒は、紫外線により励起されて水や酸素が・OHや・O となり、強い酸化作用で有機物を、水とニ酸化炭素等に分解し、消臭するものである。また、酸化チタン光触媒の触媒活性を高めるため、白金、パラジウム、ロジウムなどの白金族金属を担持させたものや、銀、銅、亜鉛などの殺菌性のある金属を担持させたものを使用することもできる。
また、本発明においては、酸化チタン光触媒としてアパタイト被覆酸化チタン光触媒を用いることもできる。アパタイト被覆酸化チタン光触媒は、酸化チタン光触媒の表面がリン酸カルシウムアパタイトにより被覆された複合材料である。アパタイト被覆酸化チタン光触媒は、酸化チタン光触媒が直接繊維布帛やバインダー樹脂と接合するのを防ぎ、強い酸化作用によって繊維布帛やバインダー樹脂が侵されることから守るものである。
また、酸化チタンの一部に、Nドープ等を行なった可視光域で励起する可視光応答型酸化チタン光触媒も知られており、これらも本発明において使うことができる。例えばNやSで酸化チタンのOの一部を置換したアニオンドープ型や、Tiの一部を別の原子で置換したカチオンドープ型が挙げられる。
酸化チタン光触媒と吸水性無機多孔質物質の粒径は、酸化作用の効果から小さいほど好ましく、また繊維径の10分の1以下の粒径のものが、脱落のし易さの面から好ましく、20μm以下が推奨される。
吸水性無機多孔質物質はゼオライト、シリカゲル、アルミナ及び珪藻土から選ばれる一種または複数の吸水性無機多孔質物質で、粒径が5μm〜20μmである。中でもシリカゲルが好適で、非晶質のニ酸化ケイ素で次のように製造することができる。まず、可溶性ケイ素を水酸化ナトリウム等で溶解しケイ素アルカリを調製し、これの水溶液と硫酸のような鉱酸とでシリカゾルを調製する。次に温度、PH等を調節しながらゾルをゲル化させる。得られたヒドロゲルを水洗し、硫酸ナトリウムなどの水溶性の塩類を除去した後、乾燥により脱水し、賦活処理を行ない多孔質構造のシリカゲルを得る。なお、国内においては各種粒度のシリカゲルが市販されており、5μm〜20μmのものを選択し使用することができる。
また、本発明に使用されるアクリルシリコン系バインダー樹脂は、共栄社化学製S−60NFEを使用した。
アクリルシリコン系バインダー樹脂においてシリコン部分の末端が
Figure 2005194652
であるため、酸化チタン光触媒と優先的にシラノール結合で強く接合する。
また、アクリルシリコン系バインダー樹脂のアクリル部分は繊維との密着性に富み、物理的に強く結合する。特に、有機繊維であるアクリル、ナイロン、ポリエステル等の繊維との結合力は非常に強く、アクリル部分が優先的に繊維布帛に結合し、接着部の柔軟性が確保され、耐久性も十分なものとなる。
酸化チタン光触媒とアクリルシリコン系バインダー樹脂の配合割合は特に限定しないが、酸化チタン光触媒の配合量が増えると、酸化チタン光触媒の繊維布帛に結合する確率が増え、繊維布帛を劣化させる原因となる。また、アクリルシリコン系バインダー樹脂配合量が増えると、酸化チタン光触媒とアクリルシリコン系バインダー樹脂と結合する割合が増加し、酸化チタン光触媒の表面を覆ってしまうようになり、消臭、抗菌、防汚の機能性が低下する。
酸化チタン光触媒が無駄なくその消臭能力を十分発揮するために、繊維布帛へ担持する工程を2工程に分けて加工することも可能である。まず、第1の工程において、繊維布帛へアクリルシリコン系バインダー樹脂のみを担持させる。次に第2の工程において、酸化チタン光触媒を第1の工程で得た繊維布帛上に塗布することによって、酸化チタン光触媒を無駄なく均一に塗布することができる。
吸水性無機多孔質物質と光触媒の繊維布帛への付着量は、0.5〜25g/mであることが好ましい。吸水性無機多孔質物質と光触媒の繊維布帛への付着量が25g/mを越えると風合いが硬くなり、また、白化して好ましくない。また、0.5g/mを下回ると悪臭の分解速度が遅く、消臭効果が弱くなり好ましくない。さらに好ましくは、0.7〜10g/mである。
次ぎに実施例により、本発明を具体的に説明する。なお実施例における各種消臭性能の測定は次のように行った。
(アンモニア消臭性能)
酸化チタン光触媒5g/mと、吸水性無機多孔質物質5g/mをアクリルシリコン系バインダー樹脂により繊維に担持した繊維布帛(10×10cm角)を内容量2リットルのテトラバッグ袋内に入れた後、袋内において濃度が100ppmとなるようにアンモニアガスを注入し、この袋を紫外線ランプ(東芝ブラックライト・FL10BLB−A・10ワット)の直下5cmに設置し、紫外線照射強度が1.2mW/cmになるように微調整を行なった。20分経過後にアンモニアガスの残存濃度を測定し、この測定値よりアンモニアガスを除去した総量を算出し、これよりアンモニアガスの除去率(%)を算出した。
(硫化水素消臭性能)
アンモニアガスに代えて硫化水素ガスを用いて袋内において濃度が10ppmとなるように注入し、20分経過後の残存濃度を測定した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にして硫化水素ガスの除去率(%)を算出した。
(メチルメルカプタン消臭性能)
アンモニアガスに代えてメチルメルカプタンガスを用いて袋内において濃度が10ppmとなるように注入し、120分経過後の残存濃度を測定した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にしてメチルメルカプタンガスの除去率(%)を算出した。
(酢酸消臭性能)
アンモニアガスに代えて酢酸ガスを用いて袋内において濃度が10ppmとなるように注入し、60分経過後の残存濃度を測定した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にして酢酸ガスの除去率(%)を算出した。
(アセトアルデヒド消臭性能)
アンモニアガスに代えてアセトアルデヒドガスを用いて袋内において濃度が10ppmとなるように注入し、240分経過後の残存濃度を測定した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にしてアセトアルデヒドの除去率(%)を算出した。
(ホルムアルデヒド消臭性能)
アンモニアガスに代えてホルムアルデヒドガスを用いて袋内において濃度が10ppmとなるように注入し、240分経過後の残存濃度を測定した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にしてホルムアルデヒドの除去率(%)を算出した。
(トルエン消臭性能)
アンモニアガスに代えてトルエンガスを用いて袋内において濃度が10ppmとなるように注入し、24時間経過後の残存濃度を測定した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にしてトルエンの除去率(%)を算出した。
そして、除去率が95%以上であるものを「◎」、除去率が90%以上95%未満であるものを「○」、除去率が85%以上90%未満であるものを「△」、除去率が85%未満であるものを「×」と評価した。
<実施例1>
粒径10nmの酸化チタン光触媒1重量部を78重量部の水に加えた後、攪拌機により攪拌を行ない、分散液を得た。この分散液にさらに20重量部のアクリルシリコン系バインダー樹脂(固形分30%)と粒径10μmのシリカゲル1重量部を加え、良く攪拌して均一な分散液(処理液)を得た。この処理液に、ポリエステル製のスパンボンド不織布(目付40g/m) を浸漬した後、取り出してマングルで絞って乾燥させて、消臭繊維布帛を得た。酸化チタン光触媒とシリカゲルのスパンボンド不織布への付着量は1.5g/mであった。この酸化チタン光触媒をスパンボンド不織布へ担持させた繊維布帛を、上記の各種ガスの消臭試験をおこない除去率を表に記載した。
<実施例2>
次に、実施例1において、粒径20nm酸化チタン光触媒2重量部を76重量部の水に加え、粒径10μmのシリカゲル2重量部を加えた以外は実施例1と同様にして、消臭繊維布帛を得た。酸化チタン光触媒とシリカゲルのスパンボンド不織布への付着量は3.0g/mであった。
<実施例3>
次に、実施例1において、粒径10nmの酸化チタン光触媒を粒径5μmとした以外は実施例1と同様にして、消臭繊維布帛を得た。酸化チタン光触媒とシリカゲルのスパンボンド不織布への付着量は1.5g/mであった。
<比較例1>
実施例1において、アクリルシリコン系バインダー樹脂(固形分30%)をアクリル樹脂(固形分30%) とした以外は実施例1と同様にして、消臭繊維布帛を得た。酸化チタン光触媒とシリカゲルのスパンボンド不織布への付着量は1.5g/mであった。
<比較例2>
実施例1において、粒径10nmの酸化チタン光触媒を粒径50μmとした以外は実施例1と同様にして、消臭繊維布帛を得た。酸化チタン光触媒とシリカゲルのスパンボンド不織布への付着量は1.5g/mであった。
<比較例3>
実施例1において、酸化チタン光触媒を2重量部としシリカゲルを加えなかった以外は実施例1と同様にして、消臭繊維布帛を得た。酸化チタン光触媒のスパンボンド不織布への付着量は1.5g/mであった。
<比較例4>
実施例1において、粒径10μmのシリカゲルを粒径50μmとした以外は実施例1と同様にして、消臭繊維布帛を得た。酸化チタン光触媒とシリカゲルのスパンボンド不織布への付着量は1.5g/mであった。
各例における各種ガスの除去率を表1にまとめる。
Figure 2005194652
本発明の技術は、酸化チタン光触媒を繊維と結合させるもので、利用される分野は広く、衣料や、カーテン、カーペット、壁紙等のインテリア用品、車両等のシート地、天井材、衛生材料などに広く利用され、特に、ポリプロピレン繊維等吸水特性のない繊維布帛には有効に活用される。
は光触媒3と吸水性無機多孔質物質4がバインダー樹脂2によって担持される様子を示す模式図。
符号の説明
1…繊維布帛
2…アクリルシリコン系バインダー樹脂
3…光触媒
4…吸水性無機多孔質物質

Claims (4)

  1. 繊維布帛に吸水性無機多孔質物質と光触媒がアクリルシリコン系バインダー樹脂により固着されてなる、消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛。
  2. 前記吸水性無機多孔質物質はゼオライト、シリカゲル、アルミナ、及び珪藻土から選ばれる一種または複数の吸水性無機多孔質物質で、粒径が5μm〜20μmである請求項1記載の消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛。
  3. 前記光触媒は酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる一種または複数の光触媒で、粒径が5nm〜20μmである請求項1又は2記載の消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛。
  4. 前記吸水性無機多孔質物質と光触媒の繊維布帛への付着量が、0.5〜25g/mであって、吸水性無機多孔質物質と光触媒の配合割合が1:9から9:1である請求項1乃至3記載の消臭、抗菌、および防汚機能を有する繊維布帛。
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