JP2005194566A - タングステン−銅複合粉末およびその製造方法ならびにこれを用いた焼結合金の製造方法 - Google Patents

タングステン−銅複合粉末およびその製造方法ならびにこれを用いた焼結合金の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡単な工程で焼結合金を製造することができ、タングステンの分散性が良好で組織の緻密性に優れた焼結合金を得ることができるタングステン−銅複合粉末を提供する。
【解決手段】銅からなる中心相1と、中心相1の表面の50%以上を覆うタングステン相2とからなる粒塊3を1個以上含み、粒塊3の表面の90%以上が銅または銅合金(銅被覆相4)で覆われている複合金属粉末粒子5からなることを特徴とするタングステン−銅複合粉末。
【選択図】 図1



Description

本発明は、金属粉末を用いて形成した成型体を焼結して焼結合金を製造するのに好適なタングステン−銅複合粉末およびその製造方法、ならびにこれを用いた焼結合金の製造方法に関する。
例えば、半導体レーザモジュール用パッケージなど、放熱性と強度が要求される部材を製造するのに、タングステン粉末と銅粉末の混合粉末やタングステン−銅複合粉末等を用いて、金属射出成型法(MIM法)により、焼結合金からなる成型体を製造する方法が知られている。
ところで、タングステンと銅とでは、銅の方が融点は低いが、両者が溶融している状態にあっても互いに溶け合わないという性質があり、これらの焼結合金にあっては、溶融した銅が固相のタングステン粒子を被覆することによって両者が一体化された組織が形成されている。したがって、銅のタングステンに対する濡れ性が不足すると、銅がタングステンを完全に被覆できず、空孔が生じることがある。
下記特許文献1には、例えば図8(a)〜(c)に示すような、銅相12がタングステン相10で被覆された複合粒子が開示されている。このようなタングステン被覆銅複合粒子を形成する好適な方法としては、CuWO4 およびWO3を含有するW−Cu複合酸化物粉末を水素還元する方法があり、そのような複合酸化物は、パラタングステン酸アンモニウム(APT)又はメタタングステン酸アンモニウム(AMT)のようなタングステン酸アンモニウムと、銅の酸化物又は水酸化物とを反応させることによって得られることが知られている(下記、特許文献2,3)。
特開平9−143501号公報 特開平8−333119号公報 特開平8−239219号公報
このようにして得られたタングステン被覆銅複合粒子を用いて金属射出成型法により焼結合金を製造する際は、銅に酸素が含まれているため、焼結時には、まず水素雰囲気中において950℃(銅の融点よりも低い温度)で加熱して固相還元を行った後、1100℃(銅の融点よりも高い温度)で1時間加熱して液相還元を行うことによって、銅のタングステンに対する濡れ性を向上させ、その後に1200℃以上に加熱して焼結を行う、といった3段階の加熱が必要であり、工程が煩雑であった。また、焼結後は、タングステン被覆銅複合粒子において銅を被覆していたタングステン相が破壊され、溶融した銅からなるマトリクス中に、溶けたタングステン相の破片が表面張力により凝集して球状となった粒子が分散した状態となるので、焼結合金におけるタングステンの分散性が悪く、焼結合金の組織を緻密化することが困難であった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、簡単な工程で焼結合金を製造することができるとともに、タングステンの分散性が良好で組織の緻密性に優れた焼結合金を得ることができるタングステン−銅複合粉末、そのようなタングステン−銅複合粉末の製造方法、および該タングステン−銅複合粉末を用いて焼結合金を製造する方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のタングステン−銅複合粉末は、銅からなる中心相と、該中心相の表面の50%以上を覆うタングステン相とからなる粒塊を1個以上含み、該粒塊の表面の90%以上が銅または銅合金で覆われている複合金属粉末粒子からなることを特徴とする。
前記複合金属粉末粒子における銅の含有率は、10〜60重量%の範囲が好ましい。
前記複合金属粉末粒子のD50は、1.5〜4.9μmの範囲が好ましい。
本発明のタングステン−銅複合粉末の製造方法は、本発明のタングステン−銅複合粉末を製造する方法であって、銅からなる中心相と、該中心相の表面の50%以上を覆うタングステン相とからなるタングステン被覆銅複合粒子の表面に、銅または銅合金を被覆することを特徴とする。
本発明において、粒塊の表面が銅または銅合金で覆われているとは、粒塊の表面が、単に銅または銅合金で物理的に覆われているのではなく、粒塊の表面に化学的結合力をもって銅または銅合金が分子レベルで密着した状態をいう。したがって前記タングステン被覆銅複合粒子の表面に銅または銅合金を被覆する方法としては、めっき法や蒸着法を好ましく用いることができる。
本発明の焼結合金の製造方法は、本発明のタングステン−銅複合粉末にバインダーを加えて成型用組成物を得、該成型用組成物を射出成型した後、焼結することを特徴とする。
本発明においては、前記焼結を行う際の焼結温度を1200℃未満とすることができる。
ここで、本明細書におけるD50とは、一般に中位径、メディアン径、50%径などと呼ばれるもので、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数または質量が全粉体のそれ(個数または質量)の50%を占めるときの粒子径の意である。
本発明のタングステン−銅複合粉末は、銅からなる中心相の表面がタングステン相で覆われ、さらにその表面が銅または銅合金で覆われた複合金属粉末粒子からなるので、これを用いて焼結合金を製造することによって、銅マトリクス中にタングステン相が均一性良く分散した焼結合金が得られる。また本発明のタングステン−銅複合粉末は、タングステン相の周りに銅相が存在しているので、焼結時に銅のタングステンに対する濡れ性を向上させるための液相還元工程を省略または短縮しても、タングステン相の良好な分散性が得られる。したがって、これにより製造工程の簡略化、製造時間の短縮、製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明のタングステン−銅複合粉末は、これを構成する複合金属粉末粒子の最表面の90%以上が銅または銅合金からなるので、従来の銅相がタングステン相で被覆されただけのタングステン被覆銅複合粒子に比べて低い温度で焼結可能である。したがって、焼結時に高温領域で生じるタングステン相の凝集を抑えることができ、銅マトリクス中に細かいタングステン相が均一性良く分散した、緻密性に優れた焼結合金を得ることができる。また、従来より低い温度で焼結することにより、焼結合金の製造コストの低減を図ることができる。
本発明のタングステン−銅複合粉末の製造方法によれば、緻密性に優れた焼結合金を製造することができ、しかも製造工程の簡略化、製造時間の短縮、製造コストの低減を図ることができるタングステン−銅複合粉末が得られる。
また、本発明の焼結合金の製造方法によれば、タングステン及び銅を主成分としてなり、タングステンの分散均一性が良好で組織の緻密性に優れ、したがって熱伝導率が高く、熱膨張率が低い焼結合金を得ることができる。かかる焼結合金は、例えば半導体レーザモジュール用パッケージなど、放熱性と強度が要求される部材を製造するのに好適である。また、従来は必要であった液相還元工程を省略または短縮することができるので、製造工程の簡略化、製造時間の短縮、製造コストの低減を図ることができる。
また、特に焼結温度を1200℃未満とすれば、銅マトリクス中により細かいタングステンが分散した組織を形成することができ、さらなる緻密性の向上、熱伝導率の向上、熱膨張率の低減を図るとともに、製造コストの低減を実現することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
図1〜4は、本発明のタングステン−銅複合粉末における複合金属粉末粒子の例を示したものである。
符号1は銅からなる中心相を示し、符号2は中心相1の表面を覆うタングステン相を示し、符号3は中心相1とタングステン相2とからなる粒塊を示し、符号4は粒塊3の表面に形成された銅被覆相を示し、符号5は複合金属粉末粒子を示す。
中心相1は、銅を主成分とするものであり、銅以外の成分を50重量%以下の範囲で含んでいてもよい。
タングステン相2は、タングステンを主成分とするものであり、タングステン以外の成分を5重量%以下の範囲で含んでいてもよい。
粒塊3は、銅からなる中心相1の表面の50〜100%、より好ましくは75〜100%がタングステン相2で覆われたものである。したがって、図1に示す例のように、中心相1の表面の一部にタングステン相2で覆われていない部分があってもよく、図2〜図4に示す例のように中心相1の表面の全部がタングステン相2で覆われていてもよい。また図3に示す例のように、複数の中心相1,1…が連続した共通のタングステン相2で覆われていてもよい。中心相1の表面のうちタングステン相2で覆われる面積が50%未満であると中心相1の流出または流動量が多くなり保形性が劣る。
粒塊3における銅の含有率が多すぎると、後述するように複合金属粉末粒子の銅含有量を10〜60重量%にするために、粒塊3を覆う銅被覆相を薄くする必要があり、そのために被覆効果が不十分となる。一方、粒塊3における銅の含有率が少なすぎると、逆に粒塊3を覆う銅被覆相を厚くする必要があり、そのために流動性が増し過ぎ変形が生じる。したがって、粒塊3における銅の含有率は5〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜10重量%である。
また粒塊3の粒径が小さすぎると、上記と同様の理由で被覆を薄くする必要があり被覆効果が小さくなる。一方、粒塊3の粒径が大きすぎると成形性が劣るとともに、上記と同様の理由で被覆も厚くする必要があるので、そのために流動性が増し過ぎ変形が生じる。したがって、粒塊3の粒径は0.5〜10μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1〜4.7μmの範囲内である。
粒塊3を覆う銅被覆相4は、銅または銅合金からなる。銅合金の具体例としては銅−ニッケル合金、銅−銀合金が挙げられる。
中でも銅−ニッケル合金は、ニッケルを含有することにより銅のタングステンへの濡れ性が向上するので好ましい。ただし、銅被覆相4におけるニッケルの含有量が多すぎると熱伝導率の低下が著しいので、該ニッケル含有量は20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下とする。
また銅−銀合金は焼結温度低下、高熱伝導率の点で好ましい。ただし、銅被覆相4における銀の含有量が多すぎると線膨張率が大きくなるので、該銀含有量は20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは15重量%以下とする。
複合金属粉末粒子5は、図1〜3に示す例のように、個々の粒塊3がそれぞれ銅被覆相4で被覆された構成でもよく、図4に示す例のように、複数の粒塊3,3…が連続した共通の銅被覆相4で被覆されていてもよい。
複合金属粉末粒子5において、粒塊3の表面のうち80〜100%、より好ましくは90〜100%が銅被覆相4で覆われている。1個の複合金属粉末粒子5に2以上の粒塊3が含まれている場合、それぞれの粒塊3の表面の80%以上、より好ましくは90%以上が銅被覆相4で覆われた構成とする。粒塊3の表面のうち、銅被覆相4で覆われずに露出している部分の面積が20%を超えるとタングステンどうしの接触点が増えて銅の濡れ性が阻害され欠陥となり易い。
複合金属粉末粒子5における銅の含有率は多すぎると線膨張率が大きく、少なすぎると熱伝導率が小さくなるので、10〜60重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。
また複合金属粉末粒子5の粒径は、小さすぎると被覆の効果が小さく、大きすぎると成形性が劣る。したがって、本発明のタングステン−銅複合粉末を構成する複合金属粉末粒子5のD50は0.5〜10μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.5〜4.9μmの範囲内である。
このような複合金属粉末粒子5は、粒塊3となり得る粒子、すなわち銅からなる中心相と、中心相の表面の50%以上を覆うタングステン相とからなるタングステン被覆銅複合粒子を用い、その表面に、銅または銅合金を被覆することによって製造することができる。
かかる構成のタングステン被覆銅複合粒子(粒塊3)は既知の製法により製造することができ、市販のタングステン被覆銅複合粒子を用いてもよい。
また、タングステン被覆銅複合粒子(粒塊3)の表面に銅または銅合金を被覆する方法は、タングステン被覆銅複合粒子(粒塊3)の表面に対して、銅または銅合金からなる銅被覆相4を化学的結合力により密着させることができる方法であればよく、特に限定はされないが、例えばめっき法や蒸着法を好ましく用いることができる。
銅被覆相4の形成をめっき法で行う場合、具体的には、電解めっき、無電解めっき、バレルめっき等の手法を用い、青化銅浴、硫酸銅浴中等で行う。例えば硫酸銅めっきを行う場合の処理条件例を下記に示す。
硫酸銅(g/L) 200〜250
硫酸(g/L) 45〜65
塩素イオン(g/L) 10〜15
光沢剤 適量
陽極 含りん銅
電流密度(A/dm2) 1〜5
温度(℃) 20〜30
空気撹拌、めっき液ろ過実施。
また、銅被覆相4の形成を蒸着法で行う場合、具体的には、高周波スパッタ装置、直流スパッタ装置等を用いたスパッタリングを用いることができる。
図7は高周波スパッタ装置の例を示した概略構成図である。図中符号31はターゲット(Cu)、32は粉体を入れた容器、33はシャッター、34は真空容器、35は加振機をそれぞれ示す。
この図の例の高周波スパッタ装置を用いて銅被覆相4を形成する場合、例えば、以下のような手順および処理条件で行うことができる。
(1)粉体が飛散しないように真空容器34内をゆっくり排気して、真空容器34内の圧力を0.13×10-6kPa以下にする。
(2)Arガスを導入して、真空容器34内の圧力を3×10-4kPaにする。
(3)シャッター33を閉じたままターゲット31表面の酸化物を除去するためにプレスパッタリングを行う。
(4)シャッター33を開いてコーティングを行う。このとき加振機35を駆動させて容器32に振動を与え、容器32内の粉体を回転運動させることによって粉体の表面全体に銅をコーティングする。
(5)目標膜厚になる所定の時間後シャッター33を閉じる。
(6)高周波電源を切り、装置内の温度が室温付近になったところで窒素ガス、または大気を真空容器34内に導入し、銅がコーティングされた粉体を回収する。
次に、本発明の焼結合金の製造方法の実施形態について説明する。
本発明に係るタングステン−銅複合粉末を用いて焼結合金を製造する方法としては、金属粉末射出成型法(MIM法)を好ましく用いることができる。すなわち、まず、本発明に係るタングステン−銅複合粉末にバインダーを加え、これらを混練して成型用組成物を得る。
バインダーとしては、(1)ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレングリコール、樟脳などの有機系樹脂、(2)パラフィンワックス、カルナウバワックス、蜜蝋などのワックス類、(3)前掲の有機系樹脂およびワックス類からなる群から選ばれる2種以上の混合物、(4)寒天(アガロースを主成分とする海草からの抽出物)などが好ましく用いられる。
バインダーの添加量は、少なすぎると射出成型時に粘度が不足して成形機内のスクリューが摩耗したり、成形機内で材料詰まりが生じ易くなる。一方、バインダーが多すぎると後述の脱バインダー工程において膨れや亀裂が生じ易くなって、成型体にヒケが生じることがある。したがってバインダーの添加量は、タングステン−銅複合粉末に対して40〜60体積%の範囲内が好ましく、より好ましくは45〜55体積%の範囲内とする。
次いで、上記で得られた成型用組成物を金型を用いた射出成型により成型してグリーン体を得る。このとき、成型用組成物を造粒してペレット化したものを射出成形機に供給することが好ましい。
射出成型時の温度条件は、射出時の成型用組成物の温度が80〜250℃、金型温度が20〜100℃の範囲内であることが好ましい。
次に、上記で得られたグリーン体から、水分およびバインダーを除去して(脱バインダー工程)ブラウン体を得る。
水分の除去は真空乾燥により、含水率が0.5重量%以下となる程度まで乾燥させることが好ましい。真空乾燥を行う際の条件は、乾燥温度80〜120℃、圧力100〜150Paで、乾燥時間2〜6時間とすることが好ましい。
また、バインダーの除去(脱バインダー)は、不活性ガス雰囲気中で加熱することにより行うのが好ましい。脱バインダーのための加熱条件は、昇温速度1〜30℃/分、加熱温度250〜600℃とし、1〜100L/分の気流中で行うことが好ましい。
次いで、上記で得られたブラウン体を焼結することによって焼結合金からなる成型体を得る。
本発明の焼結合金の製造方法において、焼結に用いるタングステン−銅複合粉末は、個々の複合金属粉末粒子5の表面の90%以上が銅または銅合金からなる銅被覆相4で覆われているので、銅単体または銅合金単体の溶融温度である1100℃程度で焼結可能である。すなわち、1050℃以上1200℃未満で焼結すれば、中心相1および銅被覆相4が溶融し、タングステン相2が破壊されるので、その結果、溶融した中心相1および銅被覆相4からなるマトリクス中にタングステン相2の細かい破片が分散した状態の焼結体が得られる。
1200℃以上の高温で焼結する場合にはタングステン相2の破片が溶け、表面張力により凝集して球状の粒子を生成するので、1200℃未満で焼結した場合に比べれば合金組織の緻密性は劣る。
また、焼結温度が1050℃より低いと、中心相1および銅被覆相4の溶融、結合一体化が充分に行われず、強度が不足したり、特性が悪化するので好ましくない。
焼結時の昇温速度は1〜600℃/分、焼結時間は1.5〜3時間の範囲内とするのが好ましい。焼結は、水素雰囲気下、またはアルゴンと水素の混合雰囲気下(好ましくはH2濃度0.1〜100%)で、1〜100L/分の気流中で行うことが好ましい。
また、粒塊3として用いるタングステン被覆銅複合粒子を製造する過程で、中心相(銅)1に酸素が含有される場合は、焼結に先立って、水素雰囲気中において銅の融点よりも低い温度、好ましくは750〜950℃で加熱することによって固相還元を行うことが好ましい。
このような焼結合金の製造方法によれば、銅からなる中心相1と銅被覆相4との間にタングステン相2を有する複合金属粉末粒子5からなるタングステン−銅複合粉末を用いるので、銅マトリクス中におけるタングステンの分散性が良好で、緻密な組織からなる焼結合金を得ることができる。また複合金属粉末粒子5の表面の90%以上が銅被覆相4で覆われているので、1200℃未満の焼結温度で焼結可能であり、1200℃未満で焼結することによりタングステン相2の破片が凝集するのを抑えて合金組織の緻密性をより向上させることができる。焼結合金の組成が同じであれば、タングステンの分散均一性が高くて組織が緻密であるほど熱伝導率は高くなり、熱膨張率は低くなるので、特に半導体レーザモジュール用パッケージなど、放熱性と強度が要求される部材を製造するのに好適である。
また、複合金属粉末粒子5において、タングステン相2は、銅からなる中心相1と銅被覆相4とで既に囲まれているので、銅のタングステンに対する濡れ性が不足すると銅がタングステンを完全に被覆できないという心配がない。したがって、図8に示すような、銅相がタングステン相で被覆されただけの従来のタングステン被覆銅複合粒子を用いる場合には必要であった1100℃(銅の融点よりも高い温度)での液相還元工程を省略または短縮することができ、これによって焼結合金の製造時間を短縮することができる。また、従来のタングステン被覆銅複合粒子を用いる場合より低い温度で焼結可能であるので、これにより製造コストの低減を図ることができる。
(実施例1)
粒塊3として、銅の含有率が5重量%で、D50が3μmのタングステン被覆銅複合粒子を用意し、その表面に、液中バレル装置を用いて銅をめっきして複合金属粉末粒子5を得た。めっきにより形成した銅被覆相4の厚さの平均値(以下、めっき厚という)は0.1μmとした。
得られた複合金属粉末粒子5における銅およびタングステンの含有率は、銅が14重量%でタングステンが86重量%であった。
次に、得られた複合金属粉末粒子5に、ゲル強度が寒天濃度4%で425g/cm2であって平均分子量が82500の寒天25重量部と防腐剤0.1重量部を温水100重量部に溶解したバインダーを加えてニーダーで混練して成型用組成物を得た。複合金属粉末粒子5とバインダーの配合量は体積比で1:1とした。
次に、得られた成型用組成物をペレタイザーを用いてペレット化した。
次いで、得られたペレットを射出成形機で板状に成型してグリーン体を得た。
このグリーン体を真空乾燥装置内に収容し、乾燥温度80℃、圧力1.33×102Paで、乾燥時間4時間の条件で真空乾燥して含水率を0.5重量%とした。この後、常圧の窒素雰囲気下、1L/分の気流中にて、昇温速度1℃/分で、加熱温度450℃まで加熱して脱バインダー工程を行ってブラウン体を得た。
続いて、得られたブラウン体を焼結炉内に入れ、昇温速度5℃/分で950℃まで昇温し、この温度で2時間保持することによって中心相1の固相還元を行った後、昇温速度5℃/分で1100℃まで昇温し、この温度で2時間保持することにより焼結を行って焼結合金を得た。これらの焼結炉内での工程は水素雰囲気下で、1L/分の気流中で行った。
図5は、本実施例で得られた焼結合金の断面構造を模式的に示したもので、図中符号21はタングステンからなる相を示し、22は銅からなる相を示す。この図に示されるように、銅22からなるマトリクス中に細かいタングステン21が均一性良く分散した組織が形成されていた。
また、得られた焼結合金の熱伝導率は201W/mKで、熱膨張係数は5.7ppm/Kであった。
(実施例2〜6)
前記実施例1において、粒塊3として用いるタングステン被覆銅複合粒子の、D50および銅の含有率を下記表1の通りに変化させるとともに、その表面に形成した銅被覆相4におけるニッケル含有率およびめっき厚を下記表1の通りに変化させた。得られた複合金属粉末粒子5における銅、タングステン、およびニッケルの含有率は、それぞれ下記表1に示す通りであった。
これらの複合金属粉末粒子5をそれぞれ用い、実施例1と同様にして焼結合金を製造したところ、実施例1と組成は異なるものの、実施例1とほぼ同様に、銅マトリクス中に細かいタングステンが均一性良く分散した状態の焼結合金が得られた。
Figure 2005194566
(比較例)
従来の、銅相がタングステン相で被覆されただけのを用いて焼結合金を製造した。
ここでは、市販のタングステン被覆銅複合粒子であって、銅の含有率が15重量%で、タングステンの含有率が85重量%と、実施例1における複合金属粉末粒子5と組成がほぼ同じものを用いた。このタングステン被覆銅複合粒子のD50は3μmであった。
そして、用意したタングステン被覆銅複合粒子に、実施例1と同じバインダーを同じ配合割合で加え、ニーダーで混練して成型用組成物を得た後、これをペレタイザーを用いてペレット化した。
次いで、実施例1と同様にして、得られたペレットを射出成形機で成型してグリーン体を得た後、真空乾燥装置内で乾燥させ、さらに脱バインダー工程を行ってブラウン体を得た。
続いて、得られたブラウン体を焼結炉内に入れ、実施例1と同様の水素雰囲気下で、昇温速度5℃/分で950℃まで昇温し、この温度で2時間保持することによって銅相の固相還元を行った後、昇温速度5℃/分で1100℃まで昇温し、この温度で2時間保持することによって液相還元を行い、しかる後に、昇温速度5℃/分で1200℃まで昇温し、この温度で2時間保持して焼結することによって焼結合金を得た。
図6は、本比較例で得られた焼結合金の断面構造を模式的に示したもので、図中符号21はタングステンからなる相を示し、22は銅からなる相を示す。この図に示されるように、実施例1に比べて、銅22からなるマトリクス中に分散しているタングステン21の粒子が大きく、分散性も劣っていた。
また得られた焼結合金の熱伝導率197W/mKで、熱膨張係数は6.2ppm/Kであった。
本発明のタングステン−銅複合粉末に係る複合金属粉末粒子の一例を示した断面図である。 本発明のタングステン−銅複合粉末に係る複合金属粉末粒子の他の例を示した断面図である。 本発明のタングステン−銅複合粉末に係る複合金属粉末粒子の他の例を示した断面図である。 本発明のタングステン−銅複合粉末に係る複合金属粉末粒子の他の例を示した断面図である。 本発明に係る実施例で得られた焼結合金の断面構造を模式的に示した図である。 比較例で得られた焼結合金の断面構造を模式的に示した図である。 高周波スパッタ装置の例を示した概略構成図である。 (a)〜(c)はそれぞれ従来のタングステン被覆銅複合粒子の例を示した断面図である。
符号の説明
1…中心相、2…タングステン相、3…粒塊、4…銅被覆相、5…複合金属粉末粒子、
21…タングステン、22…銅。

Claims (7)

  1. 銅からなる中心相と、該中心相の表面の50%以上を覆うタングステン相とからなる粒塊を1個以上含み、該粒塊の表面の90%以上が銅または銅合金で覆われている複合金属粉末粒子からなることを特徴とするタングステン−銅複合粉末。
  2. 前記複合金属粉末粒子における銅の含有率が10〜60重量%であることを特徴とする請求項1記載のタングステン−銅複合粉末。
  3. 前記複合金属粉末粒子のD50が1.5〜4.9μmであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のタングステン−銅複合粉末。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のタングステン−銅複合粉末を製造する方法であって、銅からなる中心相と、該中心相の表面の50%以上を覆うタングステン相とからなるタングステン被覆銅複合粒子の表面に、銅または銅合金を被覆することを特徴とするタングステン−銅複合粉末の製造方法。
  5. 前記タングステン被覆銅複合粒子の表面に、銅または銅合金をめっき法または蒸着により被覆することを特徴とする請求項4記載のタングステン−銅複合粉末の製造方法。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載のタングステン−銅複合粉末にバインダーを加えて成型用組成物を得、該成型用組成物を射出成型した後、焼結することを特徴とする焼結合金の製造方法。
  7. 前記焼結する際の焼結温度が1200℃未満であることを特徴とする請求項6記載の焼結合金の製造方法。

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