JP2005194160A - 触媒電極式オゾン発生方法および発生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電極間に高電圧を印加してオゾンを生成する無声放電によるオゾン生成装置であって、電極にオゾン生成を促進する触媒を配設した触媒電極式オゾン発生装置であって、オゾン生成に過剰なエネルギーを吸収してオゾン生成を促進する触媒と、該触媒を表面に有する電極と、導入した酸素へ該電極により放電を行うイオン化室と、純酸素もしくは高濃度の酸素を供給する酸素供給手段と、により構成され、放電後の酸素を第三物質を含む電極に接触させることによりオゾンを生成する。
【選択図】 図2
Description
オゾン発生器の原理としては、空気または酸素ガス中での電気放電および紫外線ランプを用いたものが大部分を占める。そして、電気放電を活用した方式において放電の制御方法が各種考案されてきた。電極形状によりオゾン生成率を向上させる技術も知られている。例えば、高電圧電極を接地電極の反りや曲がりに順応させてオゾン発生効率を向上させるものが知られている(特許文献1を参照)。
これは、低圧下において酸素分子を解離させて酸素原子を生成した後に、この酸素原子を含むガスに空気を供給してオゾンを生成するものである。
そして、特許文献2においては、低圧条件下において酸素原子を発生させるため、酸素原子の供給量を増大させることが困難である。
電気放電による酸素気体中の放電生成物としては、図1に示すように、O2 +、O2(W)、O(1D)、O、O2(b1Σg+)、O−、O2(a1Δg)、O2 −が揚げられる。この内、オゾンの生成エネルギーに近い生成エネルギーを有するO2(b)、O−、O2(a)等の粒子が主にオゾンの生成に関与すると考えられている。
例えば、O2(b)の酸素分子よりの生成エネルギーを1.63、O2(a)の酸素分子よりの生成エネルギーを0.93、O−の酸素分子よりの生成エネルギーを、4.08とすると、O2(b)とO−もしくは、O2(a)とO−によりオゾンが生成されると、そのエネルギーは5.73、5.01となり、オゾンの生成に必要なエネルギー4.1を上回り、円滑なオゾン生成が阻害されてしまう。
ここで、酸素分子と酸素原子のエネルギーとオゾン分子のエネルギー差を調整する第三の物資として窒素分子等の作用を考え、反応室において窒素分子を接触させることとした。
酸素ガスに放電などによりエネルギーを与え、窒素ガス等の第三に物質を作用させてエネルギーの調節を行い、オゾンを効率的に生成するものである。
しかし、窒素のような電子付着性のない気体中では負イオンが生成されないため、電化の流れはイオンではなく電子が大半を占めることになる。つまり、電子親和力の差からは窒素を添加しなくても、放電状態に変化がないと考えられる。よって、純酸素ガス中の放電現象においては印加電圧を下げることができ、オゾン収率を改善できる可能性があると考えられる。
この酸素原子生成のため放電部に供給するガスとしては純酸素もしくは高濃度の酸素ガスを用いるものである。酸素が高濃度であるほど、放電による酸素へのエネルギー伝達効率が向上する。実施例においては99.5%酸素ガスを使用した。
そして、放電により酸素原子を生成させた後に、窒素等を吸着させた金属体に接触させることにより、オゾンの生成を効率的に行うものである。
酸素の放電により生成する物質に対して、第三物質として窒素等を作用させて、この窒素のエネルギーの一部を伝達させることにより、イオン化もしくは励起された放電後の酸素ガスのエネルギー状態をオゾン生成のために適した状態に調整したのちに、オゾンを生成するものである。これは、放電時に窒素が存在しないので、放電によるエネルギーが窒素に吸収されることがなく、放電による酸素へのエネルギー伝達効率が向上するとともに、励起された窒素の反応による酸化窒素などの副産物の生成を抑制することができる等の特徴を有するものである。
本発明においては、吸着体に吸着した窒素を用いて、オゾンを効率的に生成するものである。吸着体に窒素を供給し、窒素を吸着体に吸着させる。酸素に放電を行った後に、吸着体に供給する。放電により高いエネルギー状態となった酸素原子と酸素分子との反応において、吸着された窒素を用いることにより、オゾンを発生させるものである。吸着した窒素は、オゾンの発生において余剰するエネルギーを吸収するものであり、これによりオゾン生成反応を促進するものである。
窒素を吸着体に吸着させることにより、電極表面上の窒素濃度の制御を容易に行うことができるとともに、オゾン生成反応の制御を簡便に行うことができるものである。
さらに、オゾン生成を促進する窒素等を吸着体に保持させた状態で用いるので、オゾン生成反応の制御を容易に行うことが可能となるとともに、生成するオゾン濃度の低減を抑制でき、オゾンの効率的な生成が可能となる。
実験装置は酸素ガスボンベ1、ガス流量制御装置2・3、窒素ガスボンベ4、イオン化室5、反応室6、イオン化用高電圧源7、オゾン濃度計8、温度計9により構成される。
酸素ガスボンベ1はガス流量制御装置2を介してイオン化室5に接続されており、イオン化室5に酸素ガスを供給可能に構成している。窒素ガスボンベ4はガス流量制御装置3を介して反応室6に接続され、反応室6に窒素を供給可能に構成している。
イオン室5にはイオン化電圧源7が接続されており、イオン化室5に導入された酸素ガスをイオン化可能に構成している。そして、イオン化室5は反応室6に接続しており、イオン化した酸素原子を反応室6に排出可能に構成されている。
反応室6にはオゾン濃度計8が接続されており、反応室6におけるオゾン濃度を測定可能に構成している。
イオン化室5は、筒体29、針電極28、平板電極31、ガス供給管27、高圧ケーブル26により構成されている。筒体29は内側にガラス製容器を装着したステンレス製筒により構成されており、通気孔30が設けられている。筒体29の一端には高圧ケーブル26が接続されており、この高圧ケーブル26に接続する針電極28が配設されている。そして、筒体29の他端には通気孔30が設けられており、通気孔30より針電極28側に平板電極31が配設されている。さらに、筒体29にはガス供給管27が貫通しており、筒体29内部に酸素ガスを供給可能にしている。
そして、さらに酸素ガスを筒体29内に供給することにより、放電を受けたガスが通気孔30より筒体29の外へ排出される。イオン化室5より排出されたガスは、反応室6内に導入される。
反応室6内には、窒素ガス注入管34より窒素ガスが供給される。窒素ガスの供給量は調節可能である。
イオン化室5よりイオン化した酸素原子を含む酸素ガスが導入される。励起状態にある酸素ガスに供給された窒素が接触して、該窒素が過剰なエネルギーを吸収して、効率的にオゾンが生成されるものである。
99.5%酸素中での放電によるオゾン生成状況を長期間観測した結果、約半年間酸素を流しオゾンを造り続けるとオゾンが生成しなくなった。その状態で1日放置した後、酸素流量を400mL/分一定とし、直流高圧定電流源の放電電流1μAによってオゾンを生成した。そのオゾン濃度は図4に示すように変化し、データロガーにより10秒間隔でコンピュータに記録した。ここで測定データが重複しているのはオゾン濃度計の測定間隔が30秒間隔のためである。
この測定データから分かるように、一定時間放置した電極を用い純酸素中で電気放電を行うと、一時的にオゾンは生成されるがすぐにオゾンが生成されない状態になった。
図7は反応室に窒素ガスを供給した時のオゾンの生成結果を示す図である。
このグラフから、酸素から励起酸素分子、酸素原子を造っただけではオゾンにならず、第三物質(この実験例では窒素)の効果によりオゾンが生成されることが分かる。
実験装置は酸素ガスボンベ1、ガス流量制御装置2・3、窒素ガスボンベ4、アルゴンガスボンベ4b、イオン化室5、ガス貯留室6、イオン化用高電圧7、オゾン濃度計8、温度計9により構成される。
酸素ガスボンベ1はガス流量制御装置2を介してイオン化室5に接続されており、イオン化室5に酸素ガスを供給可能に構成している。窒素ガスボンベ4およびアルゴンガスボンベ4bはガス流量制御装置3を介してイオン化室5に接続され、イオン化室5に窒素およびアルゴンをそれぞれ単独もしくは混合して供給可能に構成している。
イオン室5にはイオン化電圧源7が接続されており、イオン化室5に導入された酸素ガスをイオン化可能に構成している。そして、イオン化室5はガス貯留室6に接続しており、イオン化した酸素原子をガス貯留室6に排出可能に構成されている。
ガス貯留室6にはオゾン濃度計8が接続されており、ガス貯留室6におけるオゾン濃度を測定可能に構成している。
イオン化室5の電極は窒素もしくはアルゴンが吸着可能となっている。イオン化室5に窒素等を一定時間に渡り供給することにより、電極表面に窒素もしくはアルゴンを吸着させるものである。
まず、実施例1の結果について説明する。
オゾン濃度の変化として、放電開始直後にオゾンが生成されその後ゼロになるのは実験開始前に放電部に付着した窒素によりオゾンが生成され、放電の継続により当該部分の窒素がなくなったためオゾンが生成されなくなったためと考えられる。
このため、他の方法として電極表面の窒素濃度を増加させる方法として加熱が考えられるので、1kWのドライヤーによりイオン化室を加熱した。
実施例2における窒素の結果について説明する。
図9は加熱放熱を繰り返したオゾン濃度の変化を示す図である。
ここで5回目の加熱時においてオゾン濃度の上昇が見られないのは、供給されるべき窒素が無くなったためと考えられる。
図10は窒素ガスを流し12時間放置した場合のオゾン濃度変化を示す図である。
イオン化室・ガス貯留室を対象に真空引き装置を用い20kPaの真空度を6時間保ち、その後窒素ガスを流し12時間放置した。
そして、純酸素ガスを400mL/分の流量を保ち流し、1μAの電流で放電を行った。
オゾン濃度の変化としては、最初1.48ppmまで上昇しその後急激に低下した。その後、イオン化室を加熱すると4.97ppmまで上昇した。加熱はオゾン濃度の変化を観測し、濃度が低下しだした時をもって冷風に切り替えた。その後、オゾン濃度が充分低下したことを観測した後再度過熱冷却過程を繰り返した。二回目の加熱では少しだけオゾン濃度が上昇したが、三度目ではオゾン濃度の変化は見られなかった。
上記の実験後、窒素ガスを流し24時間放置した。
そして、純酸素ガスを400mL/分の流量を保ち流し、1μAの電流で放電を行った。この時のオゾン濃度の変化を見た。
オゾン濃度の変化としては、最初1.86ppmまで上昇しその後急激に低下した。その後、イオン化室を加熱すると5.25ppmまで上昇しその状態が長く続いた。二回目の加熱ではほんの少しだけオゾン濃度が上昇したが、三度目ではオゾン濃度の変化は見られなかった。
次に純酸素ガスを400mL/分の流量を保ち流し、1μAの電流で放電を行った。
窒素ガスを流し72時間放置した場合のオゾン濃度変化を示す図である。
オゾン濃度の変化としては、前二回同様、最初3.90ppmまで上昇しその後急激に低下した。その後、イオン化室を加熱すると2.73ppmまで上昇したが、冷却時に二瘤らくだ状態になり3.59ppmまでオゾン濃度が上昇した。
二回目の加熱では0.78ppmまでオゾン濃度が上昇したが、三度目ではオゾン濃度の変化は見られなかった。
オゾン発生を直流定電流による電気放電を用い観測した。
99.5%酸素ガス中での電気放電だけではオゾンが生成されないことを確認し、窒素の第三物質としての効果を電気放電後の酸素ガスに窒素ガスを添加し混合するとオゾンが製造できることにより確認した。
電極表面に付着した窒素を第三物質としてオゾン生成反応が進行することを確認した。また、この電極表面の窒素濃度を適正化することによりオゾン収率が向上することを確認し、コンピュータ・シミュレーションによりそのメカニズムの解析を試みた。
窒素暴露後の加熱冷却時のオゾン濃度をシミュレーションした。温度変化は単純化するためノコギリ歯状に30℃〜45℃の間で、単一割合で変化するものとした。そして、電極表面の窒素濃度を、温度上昇時は2%ずつ、冷却時は4%ずつ変化するものとした。電極表面窒素濃度とオゾン発生濃度の間の関係は窒素濃度20%以下では閾値がありゼロとなり、それ以上では60%を最適値として放物線を描くものと仮定した。これを、図13に示したものである。
最初の表面窒素の割合を25%としてシミュレーションを行った。
このグラフから最初の加熱によりオゾン濃度が上昇した後、急激に減少している状態、および二回目の加熱により少しオゾン生成が発生する状態が再現できたと考えられる。
図15は表面窒素の割合を33%としてシミュレーションした結果を示す図である。
最初の表面窒素の割合を33%としてシミュレーションを行った。図15に示すごとく、このグラフから最初の加熱によりオゾン濃度が上昇した後、少しの間高い濃度を保ちその後減少している状態、および二回目の加熱により少しオゾン生成が発生する状態を再現できていると考える。
すなわち、シミュレーションにより電極表面の窒素濃度が、オゾンの生成に大きく影響を与えるものと考えられる。
電極の物体表面に吸着した窒素によりオゾンの生成を促進するので、窒素を簡便に取り扱うことができ、窒素量の制御を容易に行うことができる。また、過剰な窒素成分の供給による酸化窒素の生成を抑制し、オゾン生成装置の耐久性を向上できる。
オゾンの反応を促進する窒素としては、窒素成分を含む触媒を利用することもできる。窒素成分を含む触媒に、放電などにより高いエネルギー状態となった酸素を接触させることにより、オゾンの生成を効率的に行うことができるものである。
この他に、窒素吸蔵体などもオゾン生成を促進するものとして利用することも可能である。
オゾン生成反応を促進する窒素を電極に吸着させて、電極近傍において窒素によるオゾン生成促進を行うものである。そして、吸着体に保持された窒素もしくは吸着体より供給される窒素と、イオン化した酸素とを接触させることにより、オゾンの生成を効率的に行えるものである。
また、オゾン生成に対して、窒素と同様の挙動を示す金属を利用することも可能である。窒素吸蔵金属などにより電極を構成し、酸素に放電させることにより、オゾンを効率的に生成することができると考えられるものである。
次に、窒素にかえてアルゴンを用いた実施例2の結果について説明する。
図17は電極表面のアルゴンによるオゾン生成結果を示す図である。
イオン化室にアルゴンを約1分間流し、その後酸素ガスにより掃気を行うとともに電圧を印加してオゾンを生成した。これを5回繰り返したものである。
図6の純酸素によるオゾン生成と比較して、電極表面に吸着したアルゴンを第三物質としてオゾン生成反応が進行することを確認した。また、単に窒素やアルゴンだけがオゾン生成における第三物質(触媒)作用を持つばかりでなく、オゾン生成に必要なエネルギー生成状態を調節可能となるものであれば、オゾン生成の触媒として利用することができる。
2・3 ガス流量制御装置
4 窒素ガスボンベ
5 イオン化室
6 反応室
7 イオン化用高電圧源
8 オゾン濃度計
Claims (4)
- 電極間に高電圧を印加してオゾンを生成する無声放電によるオゾン生成装置であって、電極にオゾン生成を促進する触媒を配設した触媒電極式オゾン発生装置であって、オゾン生成に過剰なエネルギーを吸収してオゾン生成を促進する触媒と、該触媒を表面に有する電極と、導入した酸素へ該電極により放電を行うイオン化室と、純酸素もしくは高濃度の酸素を供給する酸素供給手段と、により構成されることを特徴とする触媒電極式オゾン発生装置。
- 電極に窒素もしくはアルゴンを吸着させた電極を用い、前記イオン化室に配設して導入された酸素に放電を行うことを特徴とする触媒電極式オゾン発生装置。
- 電極もしくは電極の周囲にオゾン生成を促進する触媒を配設する触媒電極式オゾン発生方法であって、純酸素もしくは高濃度の酸素に放電を行い、酸素をイオン化した後に、該酸素ガスを、オゾン生成に過剰なエネルギーを吸収する物質に接触させることを特徴とする触媒電極式オゾン発生方法。
- 電極もしくは電極の周囲にオゾン生成を促進する触媒を配設する触媒電極式オゾン発生方法であって、無声放電を行う電極を窒素もしくはアルゴンに曝して、該電極に窒素もしくはアルゴンを吸着させた後に、該電極により純酸素もしくは高濃度の酸素への放電を行うことを特徴とする触媒電極式オゾン発生方法。
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