JP2005192373A - スロットレスモータ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高性能、小サイズで低コストなスロットレスモータを実現するための巻線構造を提供する。
【解決手段】 ロータはシャフト上に固定したコア及び巻線を有し、該コアは界磁マグネットに対峙する円周面状の側面部及びシャフト軸方向両側に両端部面を有して、このコアの側面部上及び端部面上に複数セグメントからなる巻線を巻回してなる。この巻線の各セグメントを構成する複数ターンの巻線を、シャフトを中心として両側に対称的に、各ターンが互いに交差しないように整列巻きする。巻線の各セグメントは、少なくともコアの側面部上では、対称的に配置した両側の巻線間に隙間を生じないようにしてシャフト軸と平行方向に整列配置し、かつ、コアの両端部面上のそれぞれでは、該端部面の中央部でシャフトを避けるように径方向外側に膨らませて整列配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロータのシャフト上に固定したコアの外表面上に、複数セグメントからなる巻線を巻回してなるスロットレスモータ及びその製造方法に関する。
図12(a)はスロットレスモータを、また、図12(b)はコアドモータ(スロットモータとも称される)をそれぞれ示す概念図であり、一般的なスロットレスモータの利害得失をコアドモータに対比して説明するための図である。
基本的に、図12(b)に示すコアドモータは、コア11のスロット内に巻線を巻回するものであるのに対して、図12(a)に示すスロットレスモータは、コア11と界磁マグネット2の間のギャップに巻線を配置しなければならない構造になっている。このため、スロットレスモータのギャップは、コアドモータにおけるギャップに比べ大きく取らなければならないことから、ギャップ部分の磁気抵抗が大きくなる。また、スロットレスモータは巻線のターン数を増やせば増やすほどギャップに配置する巻線が増えることにより更に大きなギャップを設けなければならず、コアドモータに比べ、効率的に逆誘起電圧を得難い構造となっている。但し、スロットレスモータは、コアドモータに対比して、低インダクタンス、低コギングトルクなどの特性において優れている。
従来、スロットレスモータは、モータサイズ一定で考えた場合には、大きな逆誘起電圧を得るために、高エネルギー積マグネットの使用が必須となる。しかし、このような従来技術では、高グレードマグネットを使用するために、モータコストが非常に高くなる。このコスト上昇を抑えるためには、ロータでの性能向上対策が必要となるが、そのためには、有効磁束を大きく(コイルを鎖交する磁束を大きく)取るためにコイル断面積を大きくし、また、ターン数を増やし、若しくはコアとマグネットとのギャップを小さく(磁気抵抗低減)するなどの必要がある。
従来のスロットレスモータの巻線構造には大きく、図13(a)〜(e)にあるような一般的な分布巻き(分散巻き)と呼ばれる巻線構造と、図14にあるように集中巻き(部分巻き)と呼ばれる巻線構造に大別できる。これら巻線構造は、巻線4が形成するコイルが鎖交する磁束を大きく取ることができないためマグネットの磁束を有効に活用することができないという不具合があった。図中、5は、コイルが形成する面を示している。
また、図15は従来技術による巻線構造を説明する図であり、(a)はロータ斜視図、(b)は端面図、(c)は側面から見た図である。図15にあるような巻線構造は、コア側面部での巻線12を垂直(シャフト平行方向)として断面積5を大きく取り、界磁マグネット磁束を極力大きく取れるように工夫したものである。しかし、この巻線構造においては、コア端部面上での巻線6(コイルエンド部ということがある)が、特にシャフト近くで順次積み重なる構造であるために、巻崩れやすく整列化が困難となる。また、巻進めるに連れてコア端部面上で積み重なって巻線山を形成してしまうために、シャフト軸方向に肥大化し、ロータ全長が長くなる不具合が生じる。このため、性能に寄与しないコア端部面の巻線山部分の寸法が大きくなり、高性能化と小型化の両立が不可能であった。
このようなコア端部面での巻線の積み重ねを避けるため、図16に示すような巻線方法が公知である(特許文献1参照)。図16(a)及び(b)は、それぞれ側板30が挿入される前後を示す図である。この巻線方法は、コアに巻回する巻線コイルにおいてコア側面部での巻線12を垂直とし、コイルが形成する断面積5を大きく取りながらも、1層巻き終わる毎にロータ両端部のそれぞれに巻線径の2倍分直径を大きくした側板30を挿入する。これによって、整列巻線しやすく、かつ生産性を向上する工夫を施したものである。
しかし、このような巻線方法では、中央に位置するシャフト部分で巻線することができないため、コア端部面に巻回される巻線6の間に、隙間14ができてしまい、無駄無く巻線ターン数を増やすことが難しい。また、この方法は、巻線1層毎に側板30を挿入するため必要以上にロータ端部がシャフト方向に高くなり、またロータ径方向の寸法が大きくなってしまい、モータサイズが大きくなる不具合があった。
実開昭49−87002号公報
図15を参照して前述したように、単純にコイル断面積を大きく取る巻線構造でターン数を増加させていくと、コア端部に巻回される巻線が巻進めるに連れて順次積み重なっていくために、コア端部に巻回された巻線部分が肥大化してモータが大きくなってしまったり、巻崩れるなどの生産性の低下を生じることになる。
また、図16にあるように、整列巻きと側板を併用する巻線構造では、巻線の巻いていない巻線間の隙間部分に巻線を巻くことができず、ロータは、シャフト軸方向に長くなるだけでなく、ロータ径方向の寸法が大きくなって、界磁マグネットとの間のギャップの増加を伴ってしまう。
そこで、本発明は、かかる問題点を解決して、高性能、小サイズで低コストなスロットレスモータを実現するための巻線構造の提供を目的としている。
本発明のスロットレスモータは、界磁マグネットとロータを有し、該ロータはシャフト上に固定したコア及び巻線を有し、このコアは界磁マグネットに対峙する円周面状の側面部及びシャフト軸方向両側に両端部面を有して、このコアの側面部上及び端部面上に複数セグメントからなる巻線を巻回してなる。この巻線の各セグメントを構成する複数ターンの巻線を、シャフトを中心として両側に対称的に、各ターンが互いに交差しないように整列巻きする。巻線の各セグメントは、少なくともコアの側面部上では、対称的に配置した両側の巻線間に隙間を生じないようにしてシャフト軸と平行方向に整列配置し、かつ、コアの両端部面上のそれぞれでは、該端部面の中央部でシャフトを避けるように径方向外側に膨らませて整列配置する。
また、本発明のスロットレスモータの製造方法は、巻線の各セグメントを構成する複数ターンの巻線を、シャフトを中心として両側に対称的に、各ターンが互いに交差しないように整列巻きするに際し、巻線の各セグメントは、少なくともコアの側面部上では、巻線をコア上の適所に位置決めする位置決め治具を用いて、対称的に配置した両側の巻線間に隙間を生じないようにしてシャフト軸と平行方向に整列配置する。かつ、コアの両端部面上のそれぞれでは、巻線を所定の形状に位置決めして配置するためのフォーミング治具を用いて、該端部面の中央部でシャフトを避けるように径方向外側に膨らませて整列配置する。そして、この位置決め治具及びフォーミング治具は、巻線を行う巻線機と同期して移動し、かつ停止するよう制御される。
本発明によると、界磁マグネットの磁束を大きく有効活用できるようにコイル断面積を大きく取りながら、さらにコイルエンド部分の巻線をくの字状に曲げ、かつなおコア側面を隙間無く巻線を整列巻きすることで、ロータサイズを大きくすることなく巻線ターン数を増やすことが可能となる。
また、コイルエンド部分に側板などを配置することなく、くの字状に曲げつつ整列巻きすることで、コイルエンド部分を低くすることができるため、最終的なモータサイズを小さくすることができる。
また、コイル断面積を大きく取り、なおかつロータサイズを大きくすることなく(コアとマグネット間のギャップを小さく維持したまま)ターン数を増やすことによる逆誘起電圧の増加により、高価(高特性)なマグネットを使用すること無く、高性能を得られることから、小サイズで低コストなスロットレスモータを製作することができる。
加えて巻線がランダムになることなく、整列に巻線を行うことができるため、融着電線を使用したときの接着強度をより効果的に得ることができる。
以下、例示に基づき本発明を説明する。図1及び図2は、本発明の巻線を説明する図であり、図1は斜視図、図2は端面図である。例示のスロットレスモータは、ロータ構成を除いて、従来公知のモータと同一構成にすることができるので、ロータ構成以外の詳細な説明は省略する。図示したように、固定子側には2極として例示した一般的には複数極の磁極を構成する界磁マグネット2が備えられる一方、ロータは、回転可能に支持したシャフト1上にケイ素鋼板等を通常に積層して構成したコア11と、図示省略した整流子などから通常に構成される。本明細書において、コア端部面とは、全体的に円筒形状に例示したコアのシャフト軸方向両側のそれぞれの面を、また、コア側面部とは、マグネット2に対峙するコアの外周面部分を意味する用語として用いる。
ロータ巻線は、ロータ磁極数に相当する複数セグメント数の巻線から構成され、各セグメントは、複数ターン数の巻線から構成される。なお、本明細書において、コイルという用語は、主として「巻線の1ターン」を表す場合に用いているが、基本的に巻線と同じ意味で用いている。
図1に示すように、巻線は、コア側面部では、シャフト軸平行方向に配置される。この巻線は、コア端部面では、図2(a)に示すように、シャフト1を避けるように、コア端部面の中央部で径方向外側に膨らませた、くの字状に配置する。コア端部面上の巻線6の次のターンは、第1のターンと交差しないように併置して、各ターンの間に隙間を生じないように、複数ターン数整列配置される。図2(a)には、2ターンの巻線6を例示しているが、実際にはさらに多数ターン数の巻線が整列配置される。なお、本明細書において、「整列巻き」とは、連続する巻線ターンが相互に交差しないように併置して巻線することを意味する用語として用いている。
次に、図2(b)に示すように、シャフト1の径方向反対側にも対称的に巻線して、両側の巻線を連続させた(シリースに接続した)1つの巻線セグメントを構成する。この際、シャフトの両側に位置する巻線は、少なくともコア側面部では隙間を開けずに配置するが、さらに、コア端部面上でも外周に近い部分、即ち、コア側面部上の巻線に繋がる部分では、隙間を生じない直線状部を構成するように、直線方向に配置することが望ましい。くの字状に整列したコア端部面に巻回される巻線6の端部を部分的に直線状にすることで、コア側面部における巻線占積をさらに向上させることが可能となる。このことについて、さらに図17を参照して説明する。図17(a)に示す点線円は、巻回される巻線のコア端部面外周近くの巻線端部を示している。この巻線端部を拡大して示す図が(b)(c)であり、(b)は巻線端部を、それに相対する巻線端部方向に向かう直線状部を構成するように配置したものであり、また、(c)は相対する巻線端部に向かう方向よりも、シャフトから離れるように配置したものである。(c)に示す配置では、巻線間にデッドスペースが生じるが、(b)に示すような配置ではデッドスペースが構造的に存在しない。
本発明は、ロータのコア端部面上で、シャフト1を避けて、それを回り込むように、巻線6をくの字状に湾曲させることにより、少なくともコア側面部上では1つのセグメントの巻線の各ターン間に隙間が無いように、整列して巻線する。これにより、界磁マグネット2からの有効磁束を大きく活用できるようにコイルが形成する断面積5を大きく取りながらも、ロータサイズを大きくすることなくターン数を多くして逆誘起電圧をさらに大きくすることが可能となり、コイルエンド部の省スペース化、高ターン数化を図ることができる。
また、シャフト1を避けるように、コア端部面の中央部で径方向外側に膨らませる配置をするために、径方向外側寄り部分に直線状部を設けつつ、図3(a)に示すように中央部で台形にした形状、(b)に示すように中央部で三角形にした形状、(c)に示すように中央部で円形にした形状にすることができる。さらには、径方向外方向に直線状部を設けることなく、台形形状(d)、三角形形状(e)、或いは円形形状(f)のような構成でも可能である。
次に、前述した構成の巻線を行う方法を例に基づき説明を行う。図4は、巻線方法の一例を説明するための図であり、(a)〜(e)は、各巻線製造ステップを示している。図中、ストッパー20、21、22、23は、巻線をコア上の適所に位置決めするための治具であり、また、フォーマー24、25、26、27は、巻線をコア端部面上でくの字状に位置決めして配置するためのフォーミング治具である。これらストッパー及びフォーマーの位置は、巻線の各ターンに対応した最適位置に移動させる必要があるので、コアの両端部面のそれぞれに対称的に備えられて、巻線を行う巻線機と連動して移動し、かつ停止するよう制御される。
まず、図4(a)にあるように、コミテータ片足部(巻線の端部が接続されるコミテータ片接続部)や巻線設備などのフックに巻線4をからげ(図示は省略)、次に巻線4を引き回し、最初のストッパー20に引っ掛ける。このストッパー20は、図示したように、コア側面部の(図中で)上側エッジの位置決めをする。
次に図4(b)にあるように、巻線4をストッパー20に引っ掛けたまま、コア側面部上をシャフト1と平行にして、図中垂直に降ろす。
次に図4(c)にあるように、ストッパー21に引っ掛け、引っ掛けたまま、次に引っ掛けるストッパー22の方向に巻線を引き回す。この際、コア端部面上での巻線(コイルエンド部)をくの字状に曲げられるように、ピッチ送りできるフォーマー24に引っ掛け、次にフォーマー25に引っ掛け、これらフォーマー24、25に引っ掛けた状態のまま、ストッパー22に引っ掛けることにより、コイルエンド部をくの字状に湾曲させる。
次に、図4(d)にあるように、ストッパー22に引っ掛けた巻線4は、ストッパー22に引っ掛けたまま、コア側面部上をシャフト1と平行になるように、垂直に引き上げる。
次に、図4(e)にあるように、巻線4をストッパー23に引っ掛け、そのまま既に図4(a)でストッパー20に引っ掛けた巻線始端の内側(シャフトに近い側)に整列して巻かれるように引き回す。この際、巻線のコイルエンド部をくの字に曲げられるように、ピッチ送りできるフォーマー26に引っ掛け、次にフォーマー27に引っ掛け、これらフォーマー26,27に引っ掛けた状態のまま、巻線始端をストッパー代わりとしてそこに引っ掛ける。以下同様に、既に巻き終えている巻線をストッパー代わりとして順次巻進め、コイルエンド部分ではフォーマー24,25,26,27を巻回スピードに合わせて巻線ピッチにてシャフト方向に引き戻す形でピッチ送りすることで、コイルエンド部分の巻線をくの字状に曲げるようにする。このように、巻線を順次内側に整列させる場合、ストッパーを必要とするのは、最初の巻線ターンのみである。
必要なターン数まで巻進めたら、ロータを180度回転させ、先ほどと同様に連続してストッパーからシャフトに向かって巻進め、コア側面に巻線を垂直に敷き詰め、かつコイルエンド部分をくの字状に湾曲させながら巻回する。そして巻き終えたところで、コミテータ片足部や、巻線設備などのフックにからげて、1セグメント目の巻線を終了する。巻回するターン数は、必要とするモータ仕様に応じて設計により決める。そして、多層構造にする場合は、この巻線動作を層数分繰り返すことで、多層構造とし、第1セグメントを完成させる。ここで、ストッパー20,21,22,23の形状を適切に定める(例えば、ストッパー20,21,22,23を、それらの一部分がコア端部面上に沿って張り出す形状にする)ことにより、コア端部面上の巻線(コイルエンド部)が、径方向外側の外周に近い位置で直線状部(図2(a)参照)を構成することができる。このように直線状部を形成することで、コアに巻回する巻線の占積をより高める効果を得ることができる。
図5は、第2セグメントの巻線を説明する図である。(a)は第1セグメントの巻線を完了した状態を示し、(b)はその上に第2セグメントを巻線した状態を示している。第2セグメントは、図5(b)にあるように、既に巻回し終えた第1セグメントを巻いた位置より角度θ分(5セグメントの場合、θ=360度/5=72度)ずらした位置に、第1セグメントの端部を始端として第1セグメントと同様に巻回することで、第2セグメントを形成させる。この際、既に巻き終えている第1セグメントの巻線の端部がストッパーの代わりとなるが、コア径や巻線径などの関係で巻き難い場合は、ストッパー20,23などを設置する。
次に、第3セグメントも同様の手順にて巻回するが、巻線スペースは、シャフトを中心とした両側面部上で、それぞれθのスペースが必要である。しかし、図6(a)にあるように、必要とする角度スペースθの半分のθ/2づつが、シャフトを中心とした両側の側面部上に残っているに過ぎない。そこで、残っている半分のスペースに第3セグメントの半分を巻き、残りの半分は、既に巻き終わっている第1セグメント或いは第2セグメントの上に巻くことになる。このように、分割して巻かれるセグメントは、5セグメントの場合は、上述したように、第3セグメントとなるが、7セグメントの場合は、第4セグメントとなり、基本的に奇数セグメントの場合は、真ん中のセグメントを分割して巻くことになる。
なお、図6(a)に示した巻線方法は、第3セグメントの1つの巻線ターンについていえば、例えばシャフトの右側でコア側面部上の空白スペースに巻けば、左側では既に巻かれた巻線の上に巻かれることになる。このような左右非対称を避けて、左右対称にするためには、図6(b)のように、1セグメントの半分の角度θ/2だけ空いているスペースに、半分のターン数を、シャフトの両側に分割して巻回してから、θ/2ずれた位置において連続して残りの半分のターン数を、既に巻かれている巻線上で巻線する方法も可能である。
残りの第4,第5セグメントは、既に巻き終わっている巻線の上に巻かれることになるのを除いて、第1、第2セグメントと同様に巻線することで、セグメントを形成する。これにより、巻線が完了する。巻線が完了後、個々の巻線ターンは接着剤により一体に固定する。この巻線の固定方法として、巻線に融着電線を使用して、巻線しながら巻線時に加熱処理することにより巻線を固定することができる。或いは既に巻き終えた巻線層に対して巻線後に、整形治具を用いてロータ径方向外側から押さえつつ加熱することにより整形固定することもできる。このように、融着電線を使用することにより、巻線性を向上させることができる。なお、融着電線とは、銅線に絶縁皮膜を被覆した巻線用電線のさらにその外表面上に、接着剤からなるセメント層を被覆したそれ自体周知の電線である。
このようにして巻線を完成したロータの断面図を図9(a)に、端面図を図9(b)に例示している。前述したように、第3セグメントが、上下層に分割されている。なお、第4,第5セグメントの表示は省略している。
図10は、完成したロータを別の方向から見た図であり、図10(a)はシャフトを横方向に配置したロータ正面図を、また図10(b)は端面図をそれぞれ示している。最後に巻線された第5セグメントが(b)の端面図上で最上位に示され、そのすぐ下に示されているのが第4セグメントである。また、(a)に示すロータ正面図上では、各セグメントの境界を図示しているが、巻線完成後のコア側面部上のロータ外表面において、1つのセグメントの中央或いは各セグメントの間に隙間とか段差が存在することなく、巻線が整列配置されることは上述した通りである。
図11は、図10に示すロータに整流子を取り付け、さらにモータケース内に取り付けて完成させた小型モータの一例を示す断面図である。金属材料により有底中空筒状に形成されたケース7の内周面に、界磁マグネット2が取り付けられている。このケース7の開口部は、ケース蓋14が嵌着されて、それによって閉じられている。ケース蓋14の中央部には、シャフト1のための軸受け15が収容される。シャフト1の他端は、有底中空筒状のケース7の底部中央に設けられた軸受け16によって支持されている。シャフト1上にはコアと、前述したようにしてそのコア上に巻回した巻線と、整流子19とが備えられて、ロータを構成している。各セグメントの巻線端部(図示省略)はそれぞれ対応する整流子片に整流子片足部18を介して通常に接続されている。整流子19に接触するブラシ13は、また通常のように、ケース蓋14に支持されると共に、ブラシ13に接続された入力端子17が電気的接続のためにケース蓋14を貫通して外部に突出している。
図7は、巻線構造の別の例を説明する図であり、(a)は図4,図5及び図6を参照して説明したのと同じ方法による例であり、(b)が別の例を示している。前述した巻線方法は、図7(a)の矢印により示すように、ロータ外周側から内周側に向かって(シャフトに近づく方向に)巻進めるとき、最初にストッパー20に巻線を引っ掛けるときの引き回し線9がその後の巻線の下になる。これを避けるために、図7(b)に示す別の例は、矢印に示すように、まずロータ内周側から外周側に向かって(シャフトから遠ざかる方向に)巻進め、続いて矢印と反対方向にロータ外周側からロータ内周側に向かって、すでに巻回した巻線の上に載せる形で巻き戻し、同様の巻線手順でシャフト1を挟んだ反対側にも巻線を巻くことで、巻線始端及び終端までの引き回し線9がコア端部面に巻回される巻線の下敷きとならずに、コイルエンド部の高さをさらに低くすることを可能としたものである。
図8は、図7(b)に例示した別の例の巻線構造を製造する方法を説明する図であり、(a)〜(c)は、各巻線製造ステップを示している。図8(a)にあるように、まずコミテータ片足部や巻線設備などのフックに巻線4をからげ(図示は省略)、次に、端部面エッジ部に設けたピッチ送り可能なストッパー20に引っ掛ける。このストッパー20は、ロータ中心位置に最も近い配線をするところに位置決めされている。次に巻線4は、ストッパー20に引っ掛けたまま、コア側面上をシャフト1と平行になるように垂直に降ろし、ピッチ送りの可能なストッパー21に引っ掛け、ピッチ送り可能なストッパー22に向けて引き回す。この際、フォーマー24,25の順に、巻線を引っ掛けてくの字状に湾曲させる。次に、ストッパー22に引っ掛け、ストッパー22に引っ掛けたまま、コア側面上をシャフト1と平行になるように、垂直に引き上げ、ピッチ送り可能なストッパー23に引っ掛ける。
次に、図8(b)にあるように、巻線をストッパー20に向けて引き回す際に、フォーマー26、27へ順に巻線を引っ掛けて、くの字状に湾曲させ、ストッパー20に引っ掛ける。このストッパー20に引っ掛ける際に、次に巻く巻線を滑り込ませるだけストッパー20を矢印にしめすように内周側から外周側方向にピッチ送りする。このピッチ送りしたことで空くスペースに巻線を滑り込ませ、整列して巻くことができるように、ストッパー20の動作を調整する。このような方法で、順次巻線を巻進める。
次に、図8(c)のように必要なターン数まで巻き進めたら、今度はストッパー20、21、22、23を固定し、図4を参照して説明したのと同じ巻線方法で、外周側から内周側に向けて重ねて巻き進める。そして、同様に、シャフト1を挟んだ反対側にも巻線を行い、最後にコミテータ片足部や巻線設備などのフックに巻線をからげて、第1セグメントの巻線を終了する。巻回するターン数は、モータ仕様に応じて設計により決める。この後は、図5の場合と同様に、巻線位置を角度θだけずらして他所に巻くために、ロータを角度θだけ回転させ、第2セグメントの巻線を行い、このように順次巻線を必要なセグメント分だけ行い、巻線を終了する。この方法にて、巻線始端及び終端までの引き回し線をコイルエンド部の巻線の下に這わせること無く、巻線を行うことが可能である。
この際、ピッチ送り可能なストッパー20と23,及びストッパー21と22の最初の位置関係は、コア端部面の円中心に対してほぼ対角関係に配置されている。
本発明の巻線を説明するためのロータ及び界磁マグネットの斜視図である。 本発明の巻線を説明するためのロータ端面図である。 コア端部面の中央部で径方向外側に膨らませた巻線配置を例示する図である。 巻線方法の一例を説明するための図である。 第2セグメントの巻線を説明する図である。 第3セグメントの巻線を説明する図である。 巻線構造の別の例を説明する図であり、(a)は図4、図5及び図6を参照して説明したのと同じ方法による例であり、(b)が別の例を示している。 図7(b)に例示した別の例の巻線構造を製造する方法を説明する図である。 巻線を完成したロータの断面図(a)、及び端面図(b)を例示する図である。 完成したロータを別の方向から見た図であり、(a)はシャフトを横方向に配置したロータ正面図を、また(b)は端面図をそれぞれ示している。 図10に示すロータに整流子を取り付け、さらにモータケース内に取り付けて完成させた小型モータの一例を示す断面図である。 (a)はスロットレスモータを、また(b)はコアドモータをそれぞれ示す概念図である。 従来のスロットレスモータの一般的な分布巻き(分散巻き)と呼ばれる巻線構造を示す図である。 従来のスロットレスモータの集中巻き(部分巻き)と呼ばれる巻線構造を示す図である。 従来技術による巻線構造を説明する図である。 従来公知の巻線方法を説明する図である。 コア端部面に巻回される巻線の端部を部分的に直線状にすることで、コア側面部における巻線占積をさらに向上させることについて説明する図である。
符号の説明
1 シャフト
2 界磁マグネット
4 巻線
5 コイルが形成する面
6 コア端部面に巻回される巻線
7 ケース
9 引き回し線
11 コア
12 コア側面部での巻線
13 ブラシ
14 ケース蓋
15,16 軸受け
17 入力端子
18 整流子片足部
19 整流子
20〜23 ストッパー
24〜27 フォーマー
30 側板

Claims (4)

  1. 界磁マグネットとロータを有し、該ロータはシャフト上に固定したコア及び巻線を有し、前記コアは前記界磁マグネットに対峙する円周面状の側面部及びシャフト軸方向両側に両端部面を有して、このコアの前記側面部上及び前記端部面上に複数セグメントからなる前記巻線を巻回してなるスロットレスモータにおいて、
    前記巻線の各セグメントを構成する複数ターンの巻線を、シャフトを中心として両側に対称的に、各ターンが互いに交差しないように整列巻きし、
    前記巻線の各セグメントは、少なくとも前記コアの側面部上では、対称的に配置した両側の巻線間に隙間を生じないようにしてシャフト軸と平行方向に整列配置し、かつ、前記コアの両端部面上のそれぞれでは、該端部面の中央部でシャフトを避けるように径方向外側に膨らませて整列配置した、
    ことから成るスロットレスモータ。
  2. 前記対称的に配置した両側の巻線のそれぞれは、シャフトに近い側から遠い側へ整列して巻回し、続いてこの巻回した巻線に重なるようにシャフトに遠い側から近い側へ整列して巻回した1往復を1セットとし、この1セット或いは複数セットの巻線により各セグメントの巻線が構成される請求項1に記載のスロットレスモータ。
  3. 界磁マグネットとロータを有し、該ロータはシャフト上に固定したコア及び巻線を有し、前記コアは前記界磁マグネットに対峙する円周面状の側面部及びシャフト軸方向両側に両端部面を有して、このコアの前記側面部上及び前記端部面上に複数セグメントからなる前記巻線を巻回してなるスロットレスモータの製造方法において、
    前記巻線の各セグメントを構成する複数ターンの巻線を、シャフトを中心として両側に対称的に、各ターンが互いに交差しないように整列巻きするに際し、
    前記巻線の各セグメントは、少なくとも前記コアの側面部上では、巻線をコア上の適所に位置決めする位置決め治具を用いて、対称的に配置した両側の巻線間に隙間を生じないようにしてシャフト軸と平行方向に整列配置し、かつ、前記コアの両端部面上のそれぞれでは、巻線を所定の形状に位置決めして配置するためのフォーミング治具を用いて、該端部面の中央部でシャフトを避けるように径方向外側に膨らませて整列配置し、そして、
    前記位置決め治具及び前記フォーミング治具は、巻線を行う巻線機と同期して移動し、かつ停止するよう制御される、
    ことから成るスロットレスモータの製造方法。
  4. 前記対称的に配置した両側の巻線のそれぞれは、シャフトに近い側から遠い側へ整列して巻回し、続いてこの巻回した巻線に重なるようにシャフトに遠い側から近い側へ整列して巻回した1往復を1セットとし、この1セット或いは複数セットを巻線して各セグメントの巻線を構成した請求項3に記載のスロットレスモータの製造方法。
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