JP2005191475A - 珪素鋼板磁性材料および磁性基材 - Google Patents

珪素鋼板磁性材料および磁性基材 Download PDF

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Abstract

【課題】 珪素鋼板を主材とし、樹脂層によって珪素鋼板を積層した磁性基材であって、機械的強度および耐熱性が高く、軟磁気特性に優れ、磁歪および鉄損が著しく少なく、長期的な使用によっても珪素鋼板の剥離などが生じることのない磁性基材を提供する。
【解決手段】 珪素鋼板の片面または両面の一部または全面に、耐熱性熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層を形成する。耐熱性熱可塑性樹脂としては、特定の熱可塑性ポリイミド系樹脂が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、珪素鋼板磁性材料および磁性基材に関する。
珪素鋼板は、透磁率、保磁力などの軟磁気特性に優れ、磁歪、鉄損(エネルギー損失)などが少ないので、たとえば、変圧機、発電機、電動機、モータ、トランス、回転機などの各種電気・電子機器における磁性部材の材料として汎用される。珪素鋼板は、その特性が、電気・電子機器のエネルギー効率、電力消費量などを左右する非常に重要な材料である。
ところで、上記のような電気・電子機器にも、最近における省エネルギーおよび省資源の意識の高まりとともに、電気・電子機器の小型化および高効率化が求められる。したがって、珪素鋼板にも、軟磁気特性のさらなる向上ならびに一層の低磁歪化および低鉄損化が要求される。このため、たとえば、珪素鋼板における珪素含有量を珪素鋼板全量の6〜7重量%程度まで高めることが提案されている。珪素含有量をこのような範囲まで高めると、透磁性が著しく向上しかつ鉄損も小さくなるが、その一方で鋼板の延性が低下し、通常の冷間圧延を実施することができず、工業的規模での製造が困難になるという問題がある。
一方、従来汎用される、板厚が300〜500μm程度の珪素鋼板に代えて、板厚100〜200μm程度の薄板化珪素鋼板を用いることによって、透磁率などを高め、鉄損などを低下させ、電気機器を高効率化および小型化することが試みられている。しかしながら、薄板化珪素鋼板は充分な機械的強度を有しておらず、それに起因して種々の問題が発生する。たとえば、一般的には、珪素鋼板に打抜き加工を施すことによって磁気鉄心などの磁性部材が製造される。しかしながら、薄板化珪素鋼板に打抜き加工を施すと、割れ、欠けなどが生じ易く、不良品率が顕著に増加する。割れ、欠けなどが生じなくても、磁気鉄心などの磁性部材として用いられる際に、破損し易く、電気・電子機器の長期的な信頼性を損なうという問題がある。反りが起こり易いという欠点もある。さらに、薄板化珪素鋼板を製造するには、従来よりも多い工程数が必要になり、製造コストが高騰するという問題がある。
また、珪素鋼板の表面に絶縁性樹脂層を被覆した磁性材料を製造し、この磁性材料を複数枚積層して圧着した磁性基材が知られている。絶縁性樹脂層は、鉄損のうちの動的なエネルギー損失である渦電流損失を減少させ、これによって磁性材料の鉄損を減少させることができる。
具体的には、たとえば、珪素鋼板と、ガラス転移温度60℃以上の熱可塑性アクリル樹脂およびエポキシ樹脂を含む樹脂層とをそれぞれ複数層ずつ積層した磁性基材が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、このような磁性基材は、樹脂層に含まれるアクリル樹脂とエポキシ樹脂とが充分な相溶性を有しないことなどに起因して、樹脂粒子の凝集によるブロッキングが起こり易く、長期的な使用により樹脂層の接着力が低下し易い。さらに、電気機器内では高温に晒されることから、樹脂層の接着力の低下とも相俟って、珪素鋼板の部分的な剥離などを生じる可能性もある。
また、珪素含有量が4.5〜7重量%でありかつ板厚が500μm以下である珪素鋼板と熱可塑性樹脂を主成分とする接着型絶縁性樹脂層とが交互に複数層ずつ積層された磁性基材が提案されている(たとえば、特許文献2、特許文献3参照)。そして、特許文献2には、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、珪素樹脂、ポリイミド樹脂なども例示される。この磁性基材を電気機器の鉄心として用いれば、その回転などに伴う騒音を低減化できる効果が得られる。しかしながら、これらの特許文献に具体的に開示されるのはアクリル樹脂のみである。アクリル樹脂のみからなる樹脂層は耐熱性が充分ではなく、接着力の低下などが起こり易い。さらに、特許文献2には、ポリイミド樹脂としてどのようなものを用いれば、騒音の低減効果とともに磁性基材に要求される他の特性を向上させ得るかについて、記すところはない。
さらに、珪素鋼板とアクリル樹脂、エポキシ樹脂などを含む樹脂層を積層した上記のような磁性基材には、該磁性基材を磁気鉄心などの磁性部材に形成加工する際のかしめ工程において、該磁性基材に加えられる応力によって、樹脂層が一部破壊され、珪素鋼板と樹脂層との接着性、密着性などが損なわれ、得られる磁性部材の機械的強度、耐熱性、軟磁気特性などが低下し、磁性部材の長期的な耐久性能が不充分になるという問題もある。この問題は、鉄損を減少させるために、珪素を高濃度(通常3.5重量%以上)で含有させた高珪素鋼板において、特に顕著である。またかしめ工程により一体化された積層体は、樹脂層を介してかしめられているため、樹脂層の圧縮弾性率が低いとかしめ部がゆるみ易くなり、その結果、積層体の剛性が低下し、機械的強度の低下、発音などが生じ易くなる。
このように、珪素鋼板の表面に樹脂層を付与する従来技術では、専ら、アクリル樹脂および/またはエポキシ樹脂を使用することによって、樹脂層の珪素鋼板との接着密着性ひいては機械的強度、耐熱性などを向上させ、珪素鋼板に絶縁性、耐食性、耐熱性、耐水性などを付与し、珪素鋼板の磁性特性を向上させ、低磁歪化および低鉄損化を図ろうとしている。しかしながら、その効果は、珪素鋼板の薄板化が進む現状においては、充分満足できるものではない。
一方、Fe系非晶質鋼板、Co系非晶質鋼板、珪素鋼板などの表面に、耐熱性樹脂を含む樹脂層が形成された磁気コアが提案されている(たとえば、特許文献4参照)。そして、耐熱性樹脂は、熱重量測定における室温からの重量減少が5%になる温度が空気中において300℃以上である耐熱性樹脂と定義され、その具体例としては、珪素含有樹脂、ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、液晶ポリマー、ニトリル系樹脂、チオエーテル系樹脂、アリレート系樹脂、サルホン系樹脂、イミド系樹脂、アミドイミド系樹脂などが挙げられる。しかしながら、特許文献4に具体的に開示されるのは、Fe系非晶質鋼板に、特定のポリイミド樹脂を被覆した磁気コアのみであり、珪素鋼板に耐熱性樹脂を被覆した例は認められない。すなわち、特許文献4には、珪素鋼板の軟磁気特性を向上させ、低磁歪化および低鉄損化を図り、珪素鋼板に絶縁性、耐食性、耐熱性、耐水性、機械的強度などを付与する上で、珪素鋼板にどのような耐熱性樹脂を含む樹脂層を形成すればよいのかという点について、記すところはない。
特開平2−208034号公報 特開2003−100523号公報 特開2003−168603号公報 国際公開第01/13386号パンフレット
本発明の目的は、良好な絶縁性、耐食性、耐水性などが付与され、反りが起こり難く、打抜き加工を行っても割れ、欠けなどが発生し難くい珪素鋼板磁性材料を提供することである。
本発明の他の目的は、磁性部材を形成する際のかしめ工程において、樹脂層の破壊による珪素鋼板と樹脂層との接着性、密着性などの低下が起こらず、機械的強度および耐熱性が高く、良好な機械的強度、耐久性能などを長期にわたって保持し、軟磁気特性に優れ、磁歪および鉄損が著しく少なく、長期的な使用によっても軟磁気特性およびエネルギー効率の低下、珪素鋼板の剥離などが生じることのない磁性基材を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、珪素鋼板に特定範囲の圧縮弾性率を有する熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層を形成する場合には、板厚が50〜250μm程度の薄板化珪素鋼板であっても、所望の珪素鋼板磁性材料が得られ、さらにこの珪素鋼板磁性材料を用いれば、各種電気・電子機器の小型化および高効率化に大きく寄与し得る磁性基材が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、珪素鋼板の片面または両面の一部または全面に、圧縮弾性率1〜10GPa(1GPa以上、10GPa以下)の熱可塑性樹脂を含む樹脂層が形成されてなることを特徴とする珪素鋼板磁性材料である。
また本発明の珪素鋼板磁性材料は、前述の珪素鋼板の板厚が50〜250μm(50μm以上、250μm以下)であることを特徴とする。
さらに本発明の珪素鋼板磁性材料は、前述の熱可塑性樹脂が、該熱可塑性樹脂を120℃で4時間乾燥し、次いで窒素雰囲気下、300℃で1時間加熱した後の重量減少率が1重量%以下である耐熱性を有することを特徴とする。
さらに本発明の珪素鋼板磁性材料は、前述の熱可塑性樹脂が、該熱可塑性樹脂を窒素雰囲気下、300℃で2時間加熱した後の引張強度が30MPa以上である耐熱性を有することを特徴とする。
さらに本発明の珪素鋼板磁性材料は、前述の熱可塑性樹脂が下記(a)〜(c)の結晶性を有することを特徴とする。
(a)ガラス転移温度が120〜250℃(120℃以上、250℃以下)である。
(b)溶融粘度が10Pa・sになる温度が250〜400℃(250℃以上、400℃以下)の温度範囲の中にある。
(c)400℃から120℃まで0.5℃/分の割合で降温させたときに樹脂中に生成する結晶物による融解熱が10J/g以下である。
さらに本発明の珪素鋼板磁性材料は、前述の熱可塑性樹脂が珪素含有樹脂、ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、液晶ポリマー、ニトリル系樹脂、チオエーテル系樹脂、アリレート系樹脂、サルホン系樹脂、イミド系樹脂およびアミドイミド系樹脂から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
さらに本発明の珪素鋼板磁性材料は、前述の樹脂層の層厚が1〜10μm(1μm以上、10μm以下)であることを特徴とする。
また本発明は、前述のいずれか1つの珪素鋼板磁性材料の複数を加熱加圧下に積層してなることを特徴とする磁性基材である。
本発明によれば、珪素鋼板の片面または両面の一部または全面に、特定の圧縮弾性率を有する熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層を形成することによって、珪素鋼板の板厚が50〜250μm程度であっても、機械的強度が高く、良好な絶縁性、耐食性、耐水性などが付与され、反りが起こり難く、打抜き加工を行っても割れ、欠けなどが発生し難い珪素鋼板磁性材料が提供される。
また本発明によれば、前記の珪素鋼板磁性材料を複数積層した磁性基材が提供される。
本発明の磁性基材は、複数の珪素鋼板が、特定の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層を介して接着される構成を有し、透磁性などの軟磁気特性に優れ、磁歪および鉄損が少ない。また本発明の磁性基材は、磁性部材への成形加工の際のかしめ工程における樹脂層の破壊による、珪素鋼板と樹脂層との接着性および密着性の低下がなく、機械的強度および耐熱性が高い。しかも、本発明の磁性基材は、機械的強度、耐熱性、珪素鋼板と樹脂層との接着性などが長期にわたって高い水準で維持されるので、長期使用による軟磁気特性の低下、磁歪、鉄損などのエネルギーロスの増大、珪素鋼板の剥離などが防止され、耐用性が非常に高い。加えて、また、耐ブロッキング性に優れるので、その点からも、珪素鋼板と樹脂層との接着性が長期的に高水準で維持される。また、樹脂層の圧縮弾性率を本発明の範囲とすることで、かしめ後積層一体化された積層体の樹脂層の変形に伴う、かしめ部の緩みも低減でき、積層体の変位量も極めて小さく抑えることにより、積層体としての機械的強度の向上、発音量の低減を実現することが可能となる。
さらに、薄板化珪素鋼板を用いても前記のような特性が保持され、さらに樹脂層の薄層化も可能なので、磁性基材における薄板化珪素鋼板の占積率を高め、磁歪、鉄損などのエネルギーロスをさらに低下させることができ、電気・電子機器の小型化、高効率化に有効である。
本発明の珪素鋼板磁性材料は、珪素鋼板の片面または両面の一部または全面に、圧縮弾性率が特定の範囲にある熱可塑性樹脂を含む樹脂層が形成されてなる。
珪素鋼板としては特に制限されず、従来から知られているものを使用でき、たとえば、珪素含有量が珪素鋼板全量の1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%であるものが挙げられる。また、一方向性珪素鋼板、鏡面方向性珪素鋼板、無方向性珪素鋼板などのいずれであってもよいが、一方向性珪素鋼板が好ましい。珪素鋼板の板厚は特に制限されないが、通常50〜500μm、好ましくは50〜250μm、さらに好ましくは100〜200μmである。さらに、珪素鋼板は、磁性体としての特性を向上させるための公知の熱処理を施したものであってもよい。この熱処理は、樹脂層を形成する前に実施してもよく、また樹脂層を形成した後に実施してもよい。
熱可塑性樹脂としては、圧縮弾性率が1〜10GPa、好ましくは1.5〜5GPaである熱可塑性樹脂を使用する。圧縮弾性率が1GPa未満では、最終的に得られる磁性基材から磁性部材を形成する際のかしめ工程における、樹脂層の破壊による、珪素鋼板と樹脂層との接着性、密着性などの低下を防止することができず、機械的強度および耐熱性の高い磁性基材を得ることができない。一方10GPaを超えると、樹脂が珪素鋼板に与える応力が大きくなり、磁歪効果による珪素鋼板の磁気特性が劣化の度合いが大きくなる。本明細書において、圧縮弾性率は、ASTM D695に規定される特性であり、オリエンテック製の万能引張試験機UCT−5Tにより測定される値である。
このような特定の圧縮弾性率を有する熱可塑性樹脂の中でも、120℃で4時間乾燥し、さらに窒素雰囲気下、300℃で1時間加熱した後の重量減少率が1重量%以下、好ましくは0.3重量%以下である耐熱特性を有する熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の重量減少率が1重量%を大幅に超えると、樹脂層の剥がれ、膨れなどが発生する頻度が高くなるおそれがある。なお、本明細書において、重量減少率は、示差熱および熱重量分析計DTA−TG(商品名:DTA−40M、(株)島津製作所製)を用いて測定した値である。
このような特定の圧縮弾性率および耐熱特性を有する熱可塑性樹脂の中でも、窒素雰囲気下、300℃で2時間加熱した後の引張強度が30MPa以上、好ましくは50MPa以上である耐熱特性を有する熱可塑性樹脂が好ましい。引張強度が30MPaを著しく下回ると、本発明の珪素鋼板磁性材料を積層して得られる磁性基材の機械的強度などが低下し、電気機器の鉄心として用いられる場合に、外部から負荷される応力によって変形などを起こし、結果的に軟磁気特性が低下するおそれがある。なお、本明細書において、引張強度はASTM D−638に従って測定される値である。すなわち、ASTM D−638に規定の試験片を耐熱性熱可塑性樹脂によって作成し、この試験片に窒素雰囲気下で300℃×2時間の熱処理を施した後、ASTM D−638に従って30℃の温度下に引張試験を実施して測定した値である。
さらに、上記のような特定の圧縮弾性率および耐熱性をする熱可塑性樹脂の中でも、次の(a)〜(c)の結晶性を有するものが好ましい。
(a)ガラス転移温度が120〜250℃、好ましくは120〜220℃である。ガラス転移温度が120℃未満では、得られる珪素鋼板材料の機械的強度および樹脂層の接着強度が低下する可能性がある。一方、250℃を超えると、磁気特性が不充分になるおそれがある。なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(商品名:DSC−60、(株)島津製作所製)により測定される吸熱ピークから、ガラス転移を示す変曲点の温度として求められる。
(b)溶融粘度が10Pa・sになる温度が250〜400℃、好ましくは250〜350℃、さらに好ましくは250〜300℃の温度範囲の中にある。250℃を下回る温度で溶融粘度が10Pa・sになる熱可塑性樹脂は耐熱性が不充分であり、長期的な使用によって接着力が低下し、珪素鋼板の剥離などが生じ易い。400℃を超える温度で溶融粘度が10Pa・sになる熱可塑性樹脂は、珪素樹脂に樹脂層を形成する際の作業性を損ない可能性がある。なお、本明細書において、溶融粘度は高化式フローテスターを用いて測定された値である。
(c)400℃から120℃まで0.5℃/分の割合で降温させたときに樹脂中に生成する結晶物による融解熱が10J/g以下、好ましくは5J/g以下、さらに好ましくは1J/g以下である。融解熱が10J/gを超えると、接着性が不充分になるおそれがある。なお、本明細書において、融解熱は、示差走査熱量計(商品名:DSC−60、(株)島津製作所製)測定される値である。
本発明において使用する熱可塑性樹脂の具体例としては、たとえば、珪素含有樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、液晶ポリマー、ニトリル系樹脂、チオエーテル系樹脂、アリレート系樹脂、サルホン系樹脂、イミド系樹脂、アミドイミド系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、珪素含有樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、サルホン系樹脂などが好ましく、熱可塑性ポリイミド系樹脂が特に好ましい。これらの熱可塑性樹脂の中から、上記の圧縮弾性率またはそれとともに上記2種の耐熱特性のいずれか一方または両方、さらに必要に応じて上記の結晶性を備える熱可塑性樹脂を適宜選択して用いるのが好ましい。熱可塑性樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
熱可塑性ポリイミド系樹脂としては公知のものを使用できるが、その中でも、下記一般式(1)〜(4)で表わされる繰り返し単位から選ばれる1種または2種以上を主鎖骨格に有し、全繰り返し単位中における全芳香環に対するメタ結合位の芳香環の割合が20〜70モル%である芳香族ポリイミド樹脂が好ましい。なお、芳香環の結合位置は、当該ポリイミド系樹脂の核磁気共鳴スペクトル、赤外線吸収スペクトルなどから確認することができる。
Figure 2005191475
〔式中、Xは直接結合するか或は基−O−、基−CO−O−、基−C(CH−および基−CO−から選ばれる2価基を示す。Rは一般式(5)〜(10)
Figure 2005191475
で表わされる4価の結合基を示す。〕
上記の熱可塑性ポリイミド系樹脂が、同じ繰り返し単位を2個以上含む場合、該繰り返し単位中の符号XおよびRで示される基は、同一でもよくまたは異なっていてもよい。
上記一般式(1)、一般式(3)および一般式(4)で表される繰り返し単位においては、符号Xで示される2価基は、基−O−であることが好ましい。符号Rで示される4価の結合基は、一般式(6)〜(8)で表わされる結合基であることが好ましい。
上記一般式(2)で表される繰り返し単位においては、符号Xで示される2価基は、基−O−であることが好ましい。符号Rで示される4価の結合基は、一般式(7)〜(8)で表わされる結合基であることが好ましい。
このような熱可塑性ポリイミド系樹脂の中でも、下記の一般式(1a)および一般式(2a)で表される繰り返し単位の1種または2種以上を含むものが好ましい。
Figure 2005191475
なお、一般式(1a)で表される繰り返し単位において、符号Rで示される4価の結合基は、一般式(6)〜(8)で表わされる結合基であることが好ましい。また、一般式(2a)で表される繰り返し単位において、符号Rで示される4価の結合基は、一般式(7)〜(8)で表わされる結合基であることが好ましい。
また、本発明では、下記一般式(11)で表される熱可塑性ポリイミド系樹脂を好ましく使用できる。
Figure 2005191475
〔式中、Xは上記に同じ。aおよびbは、a+b=1、0<a<1、0<b<1を満たす数である。〕
本発明の熱可塑性ポリイミド系樹脂は、繰返し単位が交互構造、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造などのいずれの構造で結合したものであってもよい。さらに、線状および分岐状のいずれでもよい。
上記の熱可塑性ポリイミド系樹脂は、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸との重縮合させてポリアミド酸を合成し、このポリアミド酸をイミド化することにより製造される。
芳香族ジアミンとしては、一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリイミドを得るためには芳香環1つからなる1核体、一般式(2)で表される繰り返し単位を含むポリイミドを得るためには芳香環2つからなる2核体、一般式(3)で表される繰り返し単位を含むポリイミドを得るためには芳香環3つからなる3核体、一般式(4)で表される繰り返し単位を含むポリイミドを得るためには芳香環4つからなる4核体が用いられる。
1核体の芳香族ジアミンとしては公知のものを使用でき、たとえば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
2核体の芳香族ジアミンとしては公知のものを使用でき、たとえば、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジベンゾフェノン、3,4’−ジアミノジベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
3核体の芳香族ジアミンとしては公知のものを使用でき、たとえば、1,1−ビス(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジンなどが挙げられる。
4核体の芳香族ジアミンとしては公知のものを使用でき、たとえば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2’−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
2核体および3核体の芳香族ジアミンにおいては、芳香環の間の結合は、エーテル結合であることが好ましい。
これらの芳香族ジアミンの中でも、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどが特に好ましい。
芳香族ジアミンは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
一方、芳香族テトラカルボン酸としては公知のものを使用でき、たとえば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらの中でも、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物などが好ましい。
芳香族テトラカルボン酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン酸の使用割合は特に制限されないけれども、これらのモル比が理論等量程度になるように用いればよい。また、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸のモル比を理論等量からずらすことで、得られる熱可塑性ポリイミド系樹脂の分子量を適宜調節することができる。この場合には、過剰のアミノ基または酸無水物基を、過剰のアミノ基または酸無水物基の理論等量以上の芳香族ジカルボン酸無水物または芳香族モノアミンと反応させて不活性化してもよい。
芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸との開環重付加反応は、好ましくは、有機溶媒中で実施される。有機溶媒としては、芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン酸を溶解または分散させることができかつ反応に不活性なものを使用でき、たとえば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クロロフェーノール、アニソ−ル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。有機溶媒は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。有機溶媒の使用量は、反応が円滑に進行する量を適宜選択すればよい。
芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸との開環重付加反応は、撹拌下または無撹拌下で、通常0〜100℃程度、好ましくは20〜100℃程度の温度下に行われ、通常1〜24時間程度、好ましくは1〜6時間程度で終了する。
この反応により、ポリアミド酸が生成する。このポリアミド酸をイミド化することによって、本発明で使用する熱可塑性ポリイミド系樹脂が得られる。イミド化は公知の方法に従って実施できる。たとえば、ポリアミド酸を100〜300℃程度に加熱すればよい。これによって生成する熱可塑性ポリイミド系樹脂は、一般的な単離・精製方法に従って、反応系から容易に分離できる。
このようにして得られる熱可塑性ポリイミド系樹脂の分子量および分子量分布は特に制限されないが、作業性、樹脂層の物性などを考慮すると、該樹脂を溶解可能な有機溶媒に、該樹脂を0.5g/100mlの割合で溶解した溶液の対数粘度(35℃)が0.2〜2.0dl/gであることが好ましい。
なお、本発明では、ポリアミド酸を含む溶液を調製し、この溶液を珪素鋼板の表面に塗布して加熱することによって、ポリアミド酸をイミド化して上記の熱可塑性ポリイミド系樹脂を生成させ、珪素鋼板表面に熱可塑性ポリイミド系樹脂を含む樹脂層を形成することができる。このとき、珪素鋼板の磁性体としての特性を向上させる熱処理を同時に行ってもよい。この場合、ポリアミド酸をイミド化し得る温度範囲および珪素鋼板の磁性体としての特性を向上させ得る温度範囲を考慮し、適切な加熱温度を適宜選択すればよい。
さらに本発明では、上記特定の圧縮弾性率を有する熱可塑性樹脂とともに、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂、および、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ユリア・メラミン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種または2種以上の合成樹脂を用いることができる。
珪素鋼板に、特定の圧縮弾性率を有する熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層を形成するに際しては、液状、ペースト状、粉末状などの樹脂の形態に応じて固形物の表面に樹脂層を形成するための公知の方法を採用できる。
たとえば、液状樹脂である場合は、該液状樹脂を珪素鋼板に塗布し、加熱することにより、樹脂層を形成することができる。このような塗布は、単層でもよく、または多層でもよい。塗布方法としては公知の方法を採用でき、たとえば、ロ−ルコ−タ法、グラビアコ−タ法、エアドクタコ−タ法、ブレ−ドコ−タ法、ナイフコ−タ法、ロッドコ−タ法、キスコ−タ法、ビ−ドコ−タ法、キャストコ−タ法、ロ−タリ−スクリ−ン法などのコータを用いる方法、浸漬コ−テング方法、液状樹脂を珪素鋼板にオリフィスから落下させてコ−テイングするスロットオリフィスコ−タ法、バーコード法、スプレ−コ−ティング法、スピンコ−テング法などが挙げられる。このとき、液状樹脂の粘度(25℃)は、樹脂層の塗膜均一性、作業性などを考慮すると0.005〜200Pa・s程度、好ましくは0.01〜50Pa・s、より好ましくは0.05〜5Pa・sである。0.005Pa・s未満では、粘性が低くなり過ぎ、珪素鋼板上から流れ落ち、適正な層厚を有する樹脂層を形成できない。200Pa・sを超えると、層厚の制御が極めて難しくなる。
ペ−スト状樹脂を用いる場合も、ペースト状樹脂を珪素鋼板に塗布し、加熱することによって樹脂層を形成できる。ペースト状樹脂の粘度などに応じて塗布方法を適宜選択すればよい。たとえば、粘度が5Pa・s以上であれば、ポッティング、刷毛塗りなどによって塗布することができる。
なお、液状樹脂またはペースト状樹脂を用いて、珪素鋼板の一部に樹脂層を形成するには、樹脂層のパターンの溝を加工したグラビアヘッドを用い、グラビアコータ法に従って実施することができる。
粉末状樹脂を用いる場合は、たとえば、熱プレス成形法などを利用して珪素鋼板の表面に樹脂層を形成できる。具体的には、金型に粉末状・ペレット状の樹脂を充填または散布し、その上に珪素鋼板を載置して熱プレスを行うことによって、本発明の珪素鋼板磁性材料を得ることができる。
なお、上記方法に加えて、電着コ−テング法、スパッタ法などの物理的な蒸着法、CVD法などの気相法などを採用することもできる。
さらには、耐熱性熱可塑性樹脂を含むシートまたはフィルムを作成し、このシートまたはフィルムを珪素鋼板と積層し、得られる積層体を加熱加圧することによっても、本発明の珪素鋼板磁性材料を得ることができる。加熱加圧は、たとえば、熱プレス、熱ロールなどによって行うことができる。加熱温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上で、耐熱性熱可塑性樹脂が軟化または溶融する温度とすればよい。
このようにして得られる本発明の珪素鋼板磁性材料は、珪素鋼板の片面または両面の一部または全面に、特定の圧縮弾性率を有する熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層が形成されたものである。樹脂層の層厚は特に制限されないが、樹脂層の接着性およびこの珪素鋼板磁性材料を積層して得られる磁性基材の占積性の両方を高い水準に保つことを考慮すると、通常0.1〜20μm程度、好ましくは0.3〜10μm、より好ましくは0.5〜6μmである。
本発明の磁性基板は、珪素鋼板磁性材料の2またはそれ以上を、珪素鋼板と樹脂層とが交互に位置するように積層し、必要に応じて加熱しながら、加圧することによって製造できる。加熱温度および加圧圧力は特に制限されず、樹脂層に含まれる特定の圧縮弾性率を有する熱可塑性樹脂の種類などに応じて広い範囲から適宜選択できるが、加圧温度は通常200〜400℃、好ましくは250〜300℃であり、加圧圧力は通常0.1〜50MPa、好ましくは0.5〜10MPaである。このような加圧および加熱加圧は、たとえば、プレス、熱プレス、熱ロールなどを用いて行われる。レーザ加熱を行うこともできる。この際に、樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂の種類、珪素鋼板の組成などを考慮して加熱温度を適宜選択し、珪素鋼板の磁性体としての特性を高める熱処理を同時に行うこともできる。また、珪素鋼板磁性材料を積層した後に、珪素鋼板の磁性体としての特性を高める熱処理を行うこともできる。この熱処理は、複数回実施してもよい。
さらに、本発明の磁性基板は、多層コーティング法、高周波溶着などによっても製造できる。
本発明の磁性基板は、その厚みが通常50〜500μm、好ましくは100〜350μmになるように形成される。
本発明の磁性基板を用途に応じて任意の形状に加工するに際しては、従来からの電磁鋼板の加工方法が採用できる。加工方法の具体例としては、たとえば、シャーリング切断、金型打抜き加工、フォトエッチング加工、打抜き加工、レーザ切断加工、放電ワイヤ切断加工などが挙げられる。これらの中でも、磁性基材の幅方向の加工にはシャーリング切断が好ましく、磁性基材から任意形状の部材を得るには、打抜き加工、金型打抜き加工などが好ましい。なお、珪素鋼板の表面に樹脂層を付与した珪素鋼板磁性材料に、形状加工を施した後、その複数枚を積層して本発明の磁性基材とすることもできる。
本発明の磁性基板は、各種電気・電子機器において磁気特性を要求される用途に特に好適に使用できる。その具体例としては、たとえば、インダクタンス、チョークコイル、高周波トランス、低周波トランス、リアクトル、パルストランス、昇圧トランス、ノイズフィルタ、変圧器用トランス、磁気インピーダンス素子、磁歪振動子、磁気センサ、磁気ヘッド、電磁気シールド、シールドコネクタ、シールドパッケージ、電波吸収体、モータ、発電機用コア、アンテナ用コア、磁気ディスク、磁気応用搬送システム、マグネット、電磁ソレノイド、アクチュエータ用コア、プリント配線基板などで用いられる磁気部材または磁気部品が挙げられる。
また、薄型化、小型化、省エネルギーなどの観点から、電波を電気信号に変化する素子として利用できる。その具体例としては、たとえば、電波時計用アンテナ、RFID用アンテナ、車載用イモビライザー用アンテナ、ラジオ・携帯機器用アンテナなどの各種アンテナが挙げられる。また、DCブラシ付きモータ、ブラシレスモータ、ステッピングモータ、ACインダクションモータ、ACシンクロナスモータ、電動機、発電機などのロータ、ステータなどの磁性部材として使用できる。
以下に実施例、比較例および試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
珪素鋼板(厚さ200μm、珪素含有量3重量%、商品名:薄手ハイライトコア20HTH1500、新日本製鉄(株)製)の両面全面に、約0.3Pa・sの粘度のポリアミド酸溶液をロールコータにより塗布し、150℃で加熱して溶媒を揮発させた後、250℃に加熱してイミド化を行い、両面に、ポリイミド樹脂からなる厚さ約2μmの樹脂層を形成した本発明の珪素鋼板磁性材料を作成した。
なお、ポリアミド酸溶液は、3,3’−ジアミノジフェニルエーテルとビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物とを開環付加重合させて得られるポリアミド酸を、ジメチルアセトアミドに溶解させた溶液である。
また、ポリアミド酸のイミド化により得られるポリイミド樹脂は、下記一般式(12)で表される基本構造単位を有するものである。
Figure 2005191475
この珪素鋼板磁性材料を外径50mm、内径25mmの円環状に打抜き加工して30枚積層し、これを加圧治具に挟み、270℃に加熱して熱圧着し、本発明の磁性基材を作成した。さらに、この磁性基材を加圧治具に挟んだ状態で、400℃、2時間の熱処理を行った。
なお、打抜き加工の際に、割れ、欠けなどは認められなかった。
(実施例2〜12)
樹脂層を形成するポリイミド樹脂を、下記一般式(13)〜(23)のものに変更する以外は、実施例1と同様にして、本発明の磁性基材を作成した。
下記一般式(13)〜(23)のポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸溶液の粘度を表1に示す。
また、打抜き加工の際には、実施例1と同様に、割れ、欠けなどは認められなかった。
Figure 2005191475
Figure 2005191475
(比較例1)
樹脂層を形成するポリイミド樹脂を、下記一般式(24)のものに変更する以外は、実施例1と同様にして、比較例の磁性材料を作成した。
Figure 2005191475
(試験例1)
実施例1〜12で得られた磁性基材を、−30℃・120℃・500回のヒートサイクル試験に供したところ(サンプル数20)、実用上問題になるような剥がれなどは認められなかった。
これに対し、比較例1の磁性基材を同じヒートサイクル試験に供したところ、剥がれ、変形、膨れなどが認められた。
(試験例2)
実施例1〜12および比較例1の磁性基材について、樹脂層の重量減少率(%、120℃で4時間および窒素雰囲気下300℃で1時間加熱後の重量減少率)、引張強度(窒素雰囲気下300℃で2時間加熱後の引張強度)、ガラス転移温度(℃、Tg)、溶融粘度が10Pa・sになる温度(℃)および400℃から120℃まで0.5℃/分の割合で降温させた時に樹脂中に生成する結晶物による融解熱(J/g)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2005191475
また、実施例1〜12および比較例1で得られる珪素鋼板磁性材料を、それぞれ、外径
28mm、内径20mmの円環状に打抜き、この円環片を珪素鋼板と樹脂層とが交互に現れるように同じ向きに5枚積層し、熱プレス機(商品名:ミニテストプレスタイプ、東洋精機(株)製)を用いて、圧力1MPa、温度400℃で1時間加熱加圧し、積層接着および珪素鋼板の磁気特性を向上させる熱処理を同時に行った。
なお、一連の操作を、寸法25×25×4cmのボディーフレーム(タンケンシールセーコウ(株)製)中にて、0.5リットル/分の割合で窒素を通流しながら実施した。
得られた磁性基材について、比透磁率およびコア損失を測定したところ、実施例1〜12の磁性基材は、比較例1の磁性基材に比べ、比透磁率が高く、コア損失が少なかった。同様に、実施例1〜12の磁性基材は、珪素鋼板にアクリル樹脂またはエポキシ樹脂からなる樹脂層を形成した従来の珪素鋼板材料よりも、比透磁率が高く、コア損失が少なかった。
(試験例3)
実施例1〜12および比較例1で得られる珪素鋼板磁性材料を、それぞれ、外径28mm、内径20mmの円環状に打抜き、この円環片を珪素鋼板と樹脂層とが交互に現れるように同じ向きに5枚積層し、この積層体の4点を4mmφ丸平型、切り起し量:板厚の80%、押込量:板厚の90%の条件でかしめた。得られた磁性基材を150℃の温度下に時間放置した後、その状態を目視で観察した。その結果、実施例1〜12の磁性基材はかしめ終了時点から変化が認められなかったのに対し、比較例1の磁性基材は樹脂層の微細な剥がれが認められた。

Claims (8)

  1. 珪素鋼板の片面または両面の一部または全面に、圧縮弾性率1〜10GPaの熱可塑性樹脂を含む樹脂層が形成されてなることを特徴とする珪素鋼板磁性材料。
  2. 珪素鋼板の板厚が50〜250μmであることを特徴とする請求項1記載の珪素鋼板磁性材料。
  3. 熱可塑性樹脂が、該熱可塑性樹脂を120℃で4時間乾燥し、次いで窒素雰囲気下、300℃で1時間加熱した後の重量減少率が1重量%以下である耐熱性を有することを特徴とする請求項1または2記載の珪素鋼板磁性材料。
  4. 熱可塑性樹脂が、該熱可塑性樹脂を窒素雰囲気下、300℃で2時間加熱した後の引張強度が30MPa以上である耐熱性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の珪素鋼板磁性材料。
  5. 熱可塑性樹脂が下記(a)〜(c)の結晶性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の珪素鋼板磁性材料。
    (a)ガラス転移温度が120〜250℃である。
    (b)溶融粘度が10Pa・sになる温度が250〜400℃の温度範囲の中にある。
    (c)400℃から120℃まで0.5℃/分の割合で降温させたときに樹脂中に生成する結晶物による融解熱が10J/g以下である。
  6. 熱可塑性樹脂が珪素含有樹脂、ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、液晶ポリマー、ニトリル系樹脂、チオエーテル系樹脂、アリレート系樹脂、サルホン系樹脂、イミド系樹脂およびアミドイミド系樹脂から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の珪素鋼板磁性材料。
  7. 樹脂層の層厚が1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の珪素鋼板磁性材料。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つの珪素鋼板磁性材料の複数を加熱加圧下に積層してなることを特徴とする磁性基材。
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