JPH08107022A - 高珪素鋼板を用いた低騒音の積層鉄心および巻鉄心 - Google Patents

高珪素鋼板を用いた低騒音の積層鉄心および巻鉄心

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JPH08107022A
JPH08107022A JP26177294A JP26177294A JPH08107022A JP H08107022 A JPH08107022 A JP H08107022A JP 26177294 A JP26177294 A JP 26177294A JP 26177294 A JP26177294 A JP 26177294A JP H08107022 A JPH08107022 A JP H08107022A
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iron core
high silicon
core
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JP26177294A
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Hironori Ninomiya
弘憲 二宮
Tsunehiro Yamaji
常弘 山路
Yoshihiko Yasue
良彦 安江
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Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
    • H01F41/0206Manufacturing of magnetic cores by mechanical means
    • H01F41/0233Manufacturing of magnetic circuits made from sheets

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低磁歪材料である高珪素鋼板の特性を最大
限に発揮させて騒音が十分に抑えられ、しかも簡単且つ
低コストに製造できる積層鉄心及び巻鉄心を提供するこ
と 【構成】 Si:4.5〜7wt%を含有し、残部が実
質的に鉄からなる高珪素鋼板を、複数枚積層することで
構成された積層鉄心またはコイル状に巻成型することで
構成された巻鉄心であって、高珪素鋼板はその表面に接
着型絶縁皮膜を有し、積層されて隣り合う高珪素鋼板ど
うしまたは巻成型されて隣り合う高珪素鋼板部どうしが
前記接着型絶縁皮膜により接着されており、鉄心材料の
磁歪が小さく且つ鋼板間の電磁吸引力を接着型絶縁皮膜
が吸収するため鋼板間の振動が効果的に抑えらる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器のトランスや
リアクトルの鉄心、モーターや発電機等の回転機の鉄
心、交流磁場を発生させる際に用いられるヨーク等に用
いられる積層鉄心及び巻鉄心に関する。
【0002】
【従来の技術】電気機器の低騒音化のニーズは、近年の
電源装置の小型化、高効率化に伴う高周波化によってよ
り一層高まりつつあり、その中でもトランスやリアクト
ル或いはモータなどの鉄心から発生する騒音の低減化が
大きな課題となっている。従来、これらの鉄心材料には
珪素鋼板が広く用いられているが、その中でも珪素を
6.5wt%程度含有する高珪素鋼板は軟磁気特性に優
れ、磁歪がほぼ零で且つ低鉄損であることから、最近、
低騒音用鉄心材料として注目されている。しかしなが
ら、実際には騒音の発生原因は鉄心材料の磁歪振動だけ
ではなく、むしろ鉄心材料間の電磁吸引力による振動が
大きな比重を占めており、したがって、このような電磁
吸引力による振動対策がなされて初めて低騒音化が達成
できる。
【0003】鉄心材料間の電磁吸引力による振動を抑制
するための対策として、鉄心をボルトやバンドで締め付
ける方法が知られており、また、他に以下のような提案
がなされている。 特開平3−135007号公報や特開平4−612
11号公報では、鉄心の一部に磁歪の小さい材料を使用
することが提案されている。 特開平5−291053号公報では、中心部に方向
性珪素鋼板を配置し、その両側に6.5%珪素鋼板のよ
うな低磁歪材料を配置した鉄心が提案されている。 特開平5−251244号公報では、中央部に低磁
歪材料を配置し、その内、外周に例えばフェライトのよ
うな高周波用磁性材料を配置して高周波鉄損を考慮した
低騒音鉄心が提案されている。
【0004】しかし、これらの提案による鉄心では、騒
音の発生をある程度は抑えられるもののその効果は十分
でなく、騒音を十分に抑えるためには吸音材や遮音箱で
トランスやリアクトルを覆う必要がある。また、特開平
5−251244号公報で提案されている鉄心などは実
際の製造自体が困難である。一方、特開平4−3615
08号公報では、鉄心材料として高珪素鋼板を用い、鋼
板の絶縁皮膜の表面粗さをRmaxで3.5μm以上と
するとともに、鋼板間に接着機能を兼ねた含浸剤(樹脂
系接着剤)を挿入することによって板間に発生する振動
騒音を抑えるようにした鉄心が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この特開平4
−361508号公報のように鋼板間の全体に樹脂系接
着剤を含浸させることは実際には極めて困難であり、こ
のため同公報に示されるような低騒音を達成することは
難しい。すなわち、同公報では絶縁皮膜の表面粗さが大
きいほど騒音が小さくなると述べられ、実施例では表面
粗さがRmaxで12.5μmのものが示されている
が、実際には表面粗さがRmaxで10〜20μm程度
では、真空含浸を数時間程度行ったとしても樹脂系接着
剤は積層鉄心の端部から10mm程度までしか含浸しな
い。したがって、同公報に示されるような鉄心の実際の
製造は極めて困難であり、また、製造できたとしても多
大な手間とコストを要することになる。
【0006】本発明はこのような従来の問題に鑑み、低
磁歪材料である高珪素鋼板の特性を最大限に発揮させて
騒音が十分に抑えられ、しかも簡単且つ低コストに製造
できる積層鉄心及び巻鉄心の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明の特徴とする構成は以下の通りであ
る。 (1) Si:4.5〜7wt%を含有し、残部が実質的に
鉄からなる高珪素鋼板を複数枚積層することで構成され
た積層鉄心であって、各高珪素鋼板はその表面に接着型
絶縁皮膜を有し、積層されて隣り合う高珪素鋼板どうし
が前記接着型絶縁皮膜により接着されている、高珪素鋼
板を用いた低騒音の積層鉄心。 (2) Si:4.5〜7wt%を含有し、残部が実質的に
鉄からなる高珪素鋼板をコイル状に巻成型することで構
成された巻鉄心であって、高珪素鋼板はその表面に接着
型絶縁皮膜を有し、巻成型されて隣り合う高珪素鋼板部
どうしが前記接着型絶縁皮膜により接着されている、高
珪素鋼板を用いた低騒音の巻鉄心。
【0008】
【作用】本発明の積層鉄心及び巻鉄心は、Si:4.5
〜7%を含有する高珪素鋼板を鉄心材料とするが、この
鉄心材料たる高珪素鋼板は表面に接着型絶縁皮膜を有し
ており、このような接着型絶縁皮膜を有する高珪素鋼板
が積層または巻成型され、且つ隣り合う高珪素鋼板どう
しが接着型絶縁皮膜により接着されることで鉄心が構成
されている。したがって、このような積層鉄心及び巻鉄
心は製造が極めて容易であるとともに、鉄心材料の磁歪
が小さく且つ鋼板間の電磁吸引力を接着型絶縁皮膜が吸
収するため鋼板間の振動が効果的に抑えられ、騒音が極
めて小さい。
【0009】以下に本発明の詳細を説明する。本発明で
は、鉄心材料としてSi:4.5〜7wt%の高珪素鋼
板を用いる。Siが4.5wt未満では十分な低磁歪を
得ることができない。磁歪はSi含有量が6.6wt%
付近で最小となり、Siがさらに増加すると再び増大す
るが、まだ十分に低い値である。しかし、Si含有量が
7wt%を超えると鋼板が非常に脆くなるため薄板の製
造が不可能となる。
【0010】また、このような高珪素鋼板としては、
C:100ppm以下、Mn:50ppm〜0.5wt
%を含有させることができる。Mnは、磁歪の小さい高
珪素鋼板を製造する上でSによる脆化を防ぐ作用があ
り、このため50ppm以上添加することが有効である
が、その添加量が0.5wt%を超えると鋼の脆化を促
進するため好ましくない。また、Cの添加量が100p
pmを超えると加工性が劣化するとともに、鉄損の増大
を招くため好ましくない。
【0011】本発明では、鉄心を構成する高珪素鋼板が
表面に接着型絶縁皮膜を有し、積層鉄心または巻鉄心の
隣り合う鋼板どうしが上記接着型絶縁皮膜により接着さ
れた構成を有する。Siを6.5wt%含有する板厚
0.3mmの高珪素鋼板を素材とし、鋼板をEI型(E
I−54)に打抜き加工したものを30枚積層し、この
積層体を鉄心に組み立てるという方法で下記製造例(1)
〜(4)のEI型積層鉄心を作製し、それらの騒音測定を
行った。
【0012】製造例(1):鋼板の表面に熱可塑性樹脂か
らなる接着型絶縁皮膜を施し、この鋼板を打抜き加工し
たものを積層し、鋼板積層方向に加圧力10kg/cm
2で加圧しつつ240℃で加熱処理することで積層鋼板
間を接着させた積層鉄心 製造例(2):鋼板の表面に公知の無機有機系絶縁皮膜を
施し、この鋼板を打抜き加工したものを積層し、端面の
計6箇所を鋼板積層方向で溶接した積層鉄心 製造例(3):上記製造例(2)の鉄心にH種の絶縁ワニスを
含浸させた積層鉄心 製造例(4):上記製造例(2)の鉄心に接着機能を兼ねた樹
脂系接着剤(エポキシ樹脂)を含浸させた積層鉄心 なお、上記製造例(4)の積層鉄心は、無機有機系絶縁皮
膜塗付後の鋼板の表面粗さRmaxが12μmであり、
また、樹脂系接着剤の含浸処理は真空中で3時間行っ
た。
【0013】これら積層鉄心の騒音(Aスケール)の測
定は、1kHz、B=1Tの条件で励磁した状態で鉄心
の正面から10cm離れた位置で行った。その結果を表
1に示す。同表によれば、接着型絶縁皮膜を有する鋼板
を積層させた本発明例の積層鉄心では、公知の無機有機
系絶縁皮膜を有する高珪素鋼板を積層させた積層鉄心に
比べて騒音が15dBも減少し、また、公知の無機有機
系絶縁皮膜を有する鋼板を積層させ、積層後に絶縁ワニ
スや樹脂系接着剤を含浸させた積層鉄心に比べても騒音
が4〜7dB減少している。
【0014】また、上記の試験の後、製造例(3)及び(4)
の積層鉄心を分解して調べた結果、これらの鉄心では絶
縁ワニスや樹脂系接着剤が鉄心中央部まで十分に浸透し
ていないことが判明した。特に、製造例(4)の鉄心では
含浸処理を真空中にて3時間行ったにも拘らず、樹脂系
接着剤が鉄心中央部まで十分に浸透しておらず、したが
って、この方式では含浸剤を鉄心中央部まで完全に浸透
させることは極めて困難であることが判った。そして、
このように含浸が不十分であることが、上記製造例(3)
及び(4)の鉄心の騒音低減効果が劣る原因であると考え
られる。
【0015】次に、本発明の接着型絶縁皮膜による効果
を確認するため、磁歪の大きい3%Si無方向性珪素鋼
板を材料として上記製造例(1)〜(4)と全く同じ方法でE
I型積層鉄心を製造し、同様の騒音測定試験を行った。
表2はその結果を示すもので、製造例(1)〜(4)の製造条
件は素材鋼板が異るだけで表1の製造例(1)〜(4)と全く
同じである。これによれば、3%珪素鋼板のような磁歪
の大きい鉄心材料を使用した場合には、鋼板表面に接着
型絶縁皮膜を施し、これを積層させることによる騒音低
減効果は極めて小さいことが判る。これは、接着型絶縁
皮膜の粘弾性力が板間の振動摩擦を吸収する以上に、磁
歪により鋼板自体から発生する振動騒音が大きいためで
あると考えられる。したがって、磁歪の小さい鉄心材料
を用いることが低騒音を達成する上で非常に重要であ
る。
【0016】さらに、先に述べた特開平4−36150
8号公報の鉄心との作用効果の違いを確認するため、高
珪素鋼板の接着型絶縁皮膜の表面粗さRmaxと鉄心の
騒音(Aスケール)との関係を調べた。この試験に用い
た積層鉄心は、Siを6.5wt%含有する板厚0.3
mmの高珪素鋼板の表面に熱可塑性樹脂からなる接着型
絶縁皮膜を5μmの厚さで施し、この鋼板をEI型(E
I−54)に打抜き加工したものを70枚積層し、この
積層体を鋼板積層方向に加圧力10kg/cm2で加圧
しつつ240℃で加熱処理することで積層鋼板を接着さ
せた。
【0017】積層鉄心の騒音(Aスケール)の測定は、
1kHz、B=1Tの条件で励磁した状態で鉄心の正面
から10cm離れた位置で行った。図1はその結果を示
すもので、積層前の接着型絶縁皮膜の表面粗さRmax
と鉄心の騒音には相関は全く見られない。本発明の積層
鉄芯及び巻鉄芯では、熱可塑性の接着型絶縁皮膜が鉄心
成形時の加圧加熱処理により鋼板表面の凹凸によって生
じている鋼板間の空隙を効果的に埋め、これによって層
間が強固に固定される。したがって、積層前の接着型絶
縁皮膜の表面粗さは、発明の作用効果とは何ら関係しな
い。
【0018】次に、図1の試験と同様の積層鉄心を用い
て、鉄心に成形された後の鋼板間の接着型絶縁皮膜の膜
厚と鉄心の騒音との関係を調べた。この試験では、Si
を6.5wt%含有する板厚0.3mmの高珪素鋼板
(鋼板素地の表面粗さRmaxが7μm)の表面に熱可
塑性樹脂からなる接着型絶縁皮膜を種々の厚さで施し、
これら鋼板を材料として図1の試験と同様の工程で鉄心
を作製し、騒音測定に用いた。また、騒音測定は図1の
試験と同様の条件で行った。
【0019】図2はその結果を示すもので、鉄心に成形
した鋼板間の接着型絶縁皮膜の膜厚が0.3μm以上で
あれば十分な騒音低減効果が得られている。しかし、膜
厚が過度に大きくなると鉄心の占積率を下げるととも
に、皮膜の凝集剥離や発粉などの問題を生じるため、膜
厚は10μm以下とすることが望ましい。なお、鋼板の
板厚の騒音に対する影響も調査したが、板厚が0.5m
m以下の範囲では略同等の効果が得られることが判っ
た。
【0020】また、鋼板素地の表面粗さが接着型絶縁皮
膜の性質に影響することで鉄心の騒音発生に影響を及ぼ
す可能性を考慮し、鋼板素地の表面粗さ及び接着型絶縁
皮膜の膜厚(鉄心に成形した後の膜厚)と鉄心の騒音発
生との関係を調べた。この試験では、種々の表面粗さR
maxを有する高珪素鋼板(Si含有量:6.5wt
%、板厚0.3mm)の表面に熱可塑性樹脂からなる接
着型絶縁皮膜を種々の厚さで施し、これら鋼板を材料と
して図1の試験と同様の工程で鉄心を作成し、騒音測定
に用いた。また、騒音測定は図1の試験と同様の条件で
行った。
【0021】図3はその結果を示すもので、鋼板の表面
粗さRmaxは騒音発生にはあまり大きな影響を与えな
いことが判る。すなわち、鋼板の表面粗さが比較的小さ
い場合は接着型絶縁皮膜が薄くても十分な騒音低減効果
が得られ、また、鋼板の表面粗さが比較的大きい場合に
はその粗さに応じて皮膜の厚みを大きくすればよく、し
たがって、実質的に鋼板の表面粗さに拘りなく接着型絶
縁皮膜による騒音低減効果が得られることが判る。
【0022】接着型絶縁皮膜は、鉄心とした場合の発熱
を考慮して140℃程度で所定の接着強度を有し、且つ
必要な絶縁抵抗を有する熱可塑性樹脂を主成分とする皮
膜である。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタ
ン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、メラニン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、
酢酸ビニル樹脂、珪素樹脂、ポリイミド樹脂の1種また
は2種以上を用いることができ、また、耐熱性が要求さ
れる場合は、上記樹脂中に酸化物微粒子等の無機微粒子
を添加してもよい。本発明が対象とする鉄心は、打抜
き、放電加工、レーザー加工、エッチング等の加工によ
って切り出された鋼板を重ねた積層鉄心、カットコアや
トロイダルのような巻鉄心であり、また、鉄心の大きさ
は問わない。
【0023】本発明の積層鉄心を製造するには、Si:
4.5〜7wt%を含有する高珪素鋼板の表面に熱可塑
性樹脂を主成分とする接着型絶縁皮膜を塗布・乾燥させ
て施し、この高珪素鋼板を所定の形状に切り出したもの
を複数枚積層させる。そして、その積層体を鋼板積層方
向で加圧しつつ、接着型絶縁皮膜の熱可塑性樹脂が軟化
する温度に加熱処理することで、積層されて隣り合う高
珪素鋼板どうしを接着型絶縁皮膜により接着する。
【0024】また、巻鉄心を製造するには、上記のよう
に接着型絶縁皮膜を施した高珪素鋼板をコイル状に巻成
型し、この成形体を加熱処理する。巻鉄心の場合には、
鋼板をコイル状に巻成型した際の張力により鋼板の積層
方向にある程度の加圧力が加わっているため、加熱処理
の際の外部からの加圧力の付与は必要ない場合もあり、
したがって、鋼板積層方向での加圧力の付与は必要に応
じて行われる。
【0025】また、鉄心を成形した後に巻鉄心の形状固
定や磁気特性改善を目的として歪取り焼鈍を行うことが
でき、この歪取り焼鈍により磁気特性が改善され、これ
に伴って騒音低減効果も若干向上する。この歪取り焼鈍
は700〜850℃で行うことが好ましく、歪取り焼鈍
を行う場合は接着型絶縁皮膜には耐熱性のある熱可塑性
樹脂を用いることが好ましい。なお、接着型絶縁皮膜は
歪取り焼鈍により若干劣化するが、層間に固定されてい
るため騒音低減効果はあまり損なわれない。また、本発
明の積層鉄心及び巻鉄芯は、層間全体が接着型絶縁皮膜
により確実に固定され、絶縁ワニスや樹脂系接着剤を含
浸させる方式のようにワニスや接着剤が鉄心の内部が行
き渡らないという欠点がなく、このためEIコアやカッ
トコアなど磁気ギャップを有する鉄心についても鋼板の
層間に磁束が横切るためその効果は十分に大きい。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕Si含有量がそれぞれ3.0wt%、5.
9wt%、6.5wt%の珪素鋼板(板厚0.3mm)
を素材として、下記製造例(1)〜(3)のEI積層鉄心を作
製した。 製造例(1):熱可塑性樹脂(アクリル樹脂)からなる接
着型絶縁皮膜を塗布、乾燥させた上記各鋼板を所定の形
状(EI−65)に打ち抜き、これを積層して、加熱温
度200℃、加圧力15kg/cm2で加圧加熱処理す
ることで接着型絶縁皮膜により積層鋼板間を接着し、鉄
心に成形した積層鉄心 製造例(2):公知の無機有機系絶縁皮膜を塗布、乾燥さ
せた上記各鋼板を所定の形状(EI−65)に打ち抜
き、これを積層して締め付け及び成形した積層鉄心 製造例(3):公知の無機有機系絶縁皮膜を塗布、乾燥さ
せた上記各鋼板を所定の形状(EI−65)に打ち抜
き、これを積層して締め付け及び成形した後、真空中に
て樹脂系接着剤を含浸(含浸時間:3時間)させた積層
鉄心
【0029】このようにして得られた積層鉄心を1kH
z、B=1Tの条件で励磁し、騒音計により鉄心から1
0cm離れた位置でAスケールで騒音を測定した。その
結果を表3に示す。これによれば、接着型絶縁皮膜を有
する高珪素鋼板(Si:6.5wt%、5.9wt%)
を積層させた本発明例の積層鉄心では、公知の無機有機
系絶縁皮膜を有する高珪素鋼板を積層させた積層鉄心に
比べて騒音が15〜16dBも減少し、また、公知の無
機有機系絶縁皮膜を有する高珪素鋼板を積層させた後、
樹脂系接着剤を含浸させた積層鉄心に比べても騒音が4
〜5dBも減少している。一方、3%珪素鋼板を用いた
積層鉄心はいずれも全体の騒音レベルが高く、また、本
発明のように接着型絶縁皮膜を有する鋼板を積層させる
ことによる効果も小さい。
【0030】〔実施例2〕Si含有量がそれぞれ3.5
wt%、5.7wt%、6.6wt%の珪素鋼板(板厚
0.1mm)を素材として、下記製造例(1)〜(4)のカッ
トコア(CS200)を作製した。 製造例(1):無機系接着剤からなる接着型絶縁皮膜を塗
付、乾燥させた上記各鋼板を巻成型し、これを350℃
で加熱処理することで接着型絶縁皮膜により積層鋼板間
を接着したカットコア 製造例(2):公知の無機有機系絶縁皮膜を塗布、乾燥さ
せた上記各鋼板を巻成型し、これに800℃、2時間の
歪取り焼鈍を施した後、絶縁ワニスを含浸させたカット
コア 製造例(3):公知の無機有機系絶縁皮膜を塗布、乾燥さ
せた上記各鋼板を巻成型し、これに800℃、2時間の
歪取り焼鈍を施した後、真空中にて樹脂系接着剤を含浸
(含浸時間:3時間)させたカットコア 製造例(4):無機系接着剤からなる接着型絶縁皮膜を塗
付、乾燥させた上記各鋼板を巻成型し、これを250℃
で加熱処理をすることで接着型絶縁皮膜により積層鋼板
間を接着し、これに800℃で歪取り焼鈍を施したカッ
トコア
【0031】このようにして得られた巻鉄心(カットコ
ア)を2kHz、B=0.5Tの条件で励磁し、騒音計
により鉄心から10cm離れた位置でAスケールで騒音
を測定した。その結果を表4に示す。これによれば、接
着型絶縁皮膜を有する高珪素鋼板(Si:6.6wt
%、5.7wt%)を巻成型した本発明例の巻鉄心で
は、公知の無機有機系絶縁皮膜を有する高珪素鋼板を積
層させた後、絶縁ワニスを含浸させた巻鉄心に比べて5
〜6dB程度騒音が減少し、また、同じく樹脂系接着剤
を含浸させた巻鉄心に比べても3dB程度騒音が減少し
ている。一方、3.5%珪素鋼板を用いた巻鉄心はいず
れも全体の騒音レベルが高く、また、本発明のように接
着型絶縁皮膜を有する鋼板を巻成型することによる効果
も小さい。
【0032】〔実施例3〕Si含有量がそれぞれ0.5
wt%、5.0wt%、6.5wt%の珪素鋼板(板厚
0.3mm)を素材として、下記製造例(1)〜(3)のステ
ータを作製した。 製造例(1):熱可塑性樹脂(アクリル樹脂)からなる接
着型絶縁皮膜を塗布、乾燥させた上記各鋼板を所定の形
状に打ち抜き、これを積層して、加熱温度280℃、加
圧力20kg/cm2で加熱加圧処理することで接着型
絶縁皮膜により積層鋼板間を接着したステータ 製造例(2):公知の無機有機系絶縁皮膜を塗布、乾燥さ
せた上記各鋼板を所定の形状に打ち抜き、これを積層し
てかしめ成形したステータ 製造例(3):公知の無機有機系絶縁皮膜を塗布、乾燥さ
せた上記各鋼板を所定の形状に打ち抜き、これを積層し
てかしめ成形した後、真空中にて樹脂系接着剤を含浸
(含浸時間:3時間)させたステータ
【0033】このようにして得られた積層鉄心(ステー
タ)を用いて作製した高速誘導電動機を無負荷、300
00rpmで回転させ、モータから10cm離れたとこ
ろで騒音計によりAスケールで騒音測定した。その結果
を表5に示す。これによれば、接着型絶縁皮膜を有する
高珪素鋼板(Si:6.5wt%、5.0wt%)を積
層させた本発明例の積層鉄心では、公知の無機有機系絶
縁皮膜を有する高珪素鋼板を積層させた積層鉄心に比べ
て騒音が12〜13dBも減少し、また、公知の無機有
機系絶縁皮膜を有する高珪素鋼板を積層させた後、樹脂
系接着剤を含浸させた積層鉄心に比べても騒音が2〜3
dB減少している。一方、0.5%珪素鋼板を用いた積
層鉄心はいずれも全体の騒音レベルが高く、また、本発
明のように接着型絶縁皮膜を有する鋼板を積層させるこ
とによる効果も小さい。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【発明の効果】以上述べた本発明の積層鉄心及び巻鉄心
によれば、製造が極めて容易であるとともに、鉄心材料
の磁歪が小さく且つ鋼板間の電磁吸引力を接着型絶縁皮
膜が吸収するため鋼板間の振動が効果的に抑えられ、従
来の積層鉄心及び巻鉄心に比べて騒音をより低減化する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄心に成形する前の接着型絶縁皮膜の表面粗さ
Rmaxと鉄心の騒音との関係を示すグラフ
【図2】鉄心に成形した後の鋼板間の接着型絶縁皮膜の
膜厚と鉄心の騒音との関係を示すグラフ
【図3】接着型絶縁皮膜が設けられる鋼板素地の表面粗
さRmax及び鉄心に成形した後の鋼板間の接着型絶縁
皮膜の膜厚と鉄心の騒音との関係を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 27/25 27/33 7522−5E 27/34 7522−5E

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:4.5〜7wt%を含有する高珪
    素鋼板を複数枚積層することで構成された積層鉄心であ
    って、各高珪素鋼板はその表面に接着型絶縁皮膜を有
    し、積層されて隣り合う高珪素鋼板どうしが前記接着型
    絶縁皮膜により接着されている、高珪素鋼板を用いた低
    騒音の積層鉄心。
  2. 【請求項2】 Si:4.5〜7wt%を含有する高珪
    素鋼板をコイル状に巻成型することで構成された巻鉄心
    であって、高珪素鋼板はその表面に接着型絶縁皮膜を有
    し、巻成型されて隣り合う高珪素鋼板部どうしが前記接
    着型絶縁皮膜により接着されている、高珪素鋼板を用い
    た低騒音の巻鉄心。
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