JP2005191434A - トランジスタ、トランジスタの特性変動モデル式特定方法、及びトランジスタの良否判定方法 - Google Patents

トランジスタ、トランジスタの特性変動モデル式特定方法、及びトランジスタの良否判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ランジスタの良否判定を短時間に行う。
【解決手段】 トランジスタ12は、N型シリコン層22、P型シリコン層20を備えており、P型シリコン層20には、ベース電極12B、エミッター電極12Eが配置され、N型シリコン層22には、コレクター電極12Cが設けられている。ベース電極12B、エミッター電極12E、およびコレクター電極12Cは、層間絶縁膜18を介して離間して配置されている。電極16は、少なくともベース電極12Bとエミッター電極12Eとの間のP型シリコン層20内を電流が流れる経路を少なくとも層感絶縁膜18を介して覆うように配置されている。この電極16に電圧を印加することにより、層間絶縁膜18中に電荷を積極的に移動させる。よって、電極16に電圧を印加しない状態のときに判定するのに必要であた時間より短い時間で、トランジスタの良否を判定することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、トランジスタにかかり、電圧が印加されかつ絶縁膜を介して離間する第1の電極から第2の電極に向って所定シリコン層内を電流が流れるトランジスタトランジスタに関する。
従来、トランジスタは、種々の回路例えば集積回路などに用いられ、重要な役割を有している。従って、トランジスタの動作に不具合が生じると、集積回路が正常に動作しないので、トランジスタの良否の判定が重要になっていた。従来、トランジスタの良否判定は、トランジスタに所定時間、例えば、1000時間(40日以上)連続して電流を流し、トランジスタからの出力電流の判定開始時からの変動量が、所定の許容範囲を越えているか否か判断することによって、行なわれている。
なお、関連する背景技術としは以下の特許文献1〜3がある。
特開平06-204234号公報 特開2001-332598号公報 特開2003-142613号公報
しかしながら、従来のトランジスタの良否判定は、上記のように長時間トランジスタに電流を流さなければ判定する事ができないので、早期に判定をしたいという要請にこたえることはできない。
本発明は、長期事実に鑑みなされたもので、トランジスタの良否判定を短時間に行うことのできるトランジスタ、トランジスタの良否判定、及びトランジスタの特性変動モデル式特定方法を提供する事を目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明にかかるトランジスタは、電圧が印加されかつ絶縁膜を介して離間する第1の電極から第2の電極に向って所定シリコン層内を電流が流れるトランジスタであって、前記電流の流れを制御する第3の電極を有し、前記所定シリコン層内の前記電流が流れる経路を少なくとも前記絶縁膜を介して覆うように配置された第4の電極を更に備えたことを特徴とする。
即ち、本発明のトランジスタは、電圧が印加されかつ絶縁膜を介して離間する第1の電極から第2の電極に向って所定シリコン層内を電流が流れるものである。第3の電極は、前記電流の流れを制御する。
そして、本発明にかかるトランジスタは、前記所定シリコン層内の前記電流が流れる経路を少なくとも前記絶縁膜を介して覆うように配置された第4の電極を備えている。
この第4の電極には電圧が印加可能である。
なお、第4の電極は、金属電極、例えば、アルミニウム、ポリシリコン、クロムシリコン等を用いることができる。
例えば、バイポーラトランジスタの場合には、ベース電極に電流が流れると、第1の電極(例えば、コレクタ電極)から第2の電極(例えば、エミッタ電極)に向って流れる電流が流れるが、この場合、第4の電極は、ベース電極とエミッタ電極との間の所定シリコン層内を電流が流れる経路を少なくとも絶縁膜を介して覆うように配置する。
また、例えば、電界効果トランジスタの場合には、ドレイン電極とソース電極との間の所定シリコン層内を電流が流れる経路を少なくとも絶縁膜を介して覆うように第4の電極を配置するものである。
ところで、第1の電極及び第2の電極間の絶縁膜中の電荷移動状態が変動する原因は、トランジスタを稼動させたときに、絶縁膜中に電荷が移動することであると考えられる。即ち、絶縁膜中への電荷の移動により、第1の電極から第2の電極に向って所定シリコン層内を流れる電流の大きさが変動すると考えられる。
そこで、本発明者は、この考えに基づいて、今回、第1の電極及び第2の電極間の電荷移動状態を表す特性変動モデル式を、上記第4の電極に印加する電圧を考慮して、実験により発見した。この特性変動モデル式は、所定の係数により規定される。この係数としては、上記第4の電極に印加する電圧に対する電界加速係数、雰囲気温度に対する活性化エネルギー、及び時間に依存する特徴パラメータである。
そこで、請求項2記載の発明にかかるトランジスタの特性変動モデル式特定方法は、複数の雰囲気温度各々の状態で、請求項1に記載のトランジスタの前記第4の電極に複数の電圧各々を印加しかつ前記トランジスタを稼動させながら、所定時間毎に、前記トランジスタ内の第1の電極及び第2の電極間の絶縁膜中の電荷移動状態を表す物理量を測定する。
そして、前記電荷移動状態を表す予め定められた特性変動モデル式と、前記測定された物理量と、に基づいて、該特性変動モデル式を規定する係数を特定することにより、トランジスタの特性変動モデル式を特定する。
請求項4記載の発明にかかるトランジスタ良否判定方法は、請求項2又は請求項3記載のトランジスタの特性変動モデル式特定方法により特定された特性変動モデル式に基づいて定まりかつ前記第4の電極に電圧を印加せずに、所定の雰囲気温度で第1の時間稼動させる基準状態のときの前記トランジスタが良好と判断される電荷移動状態を表す良好物理量に基づいて、前記前記第4の電極に電圧を印加した場合の前記物理量が該良好物理量になるまでの第1の時間より短い第2の時間を求め、前記トランジスタを前記求めた第2の時間稼動させ、前記良好物理量と、前記トランジスタを前記第2の時間稼動させた後の前記物理量と、に基づいて、前記トランジスタの良否を判定するものである。
即ち、本発明にかかるトランジスタ良否判定方法では、まず、請求項2又は請求項3記載のトランジスタの特性変動モデル式特定方法により特定された特性変動モデル式に基づいて定まりかつ前記第4の電極に電圧を印加せずに、所定の雰囲気温度で第1の時間稼動させる基準状態のときの前記トランジスタが良好と判断される電荷移動状態を表す良好物理量に基づいて、前記第4の電極に電圧を印加した場合の前記物理量が該良好物理量になるまでの第1の時間より短い第2の時間を求める。
従来、トランジスタの良否を判定する場合には、所定の雰囲気温度で第1の時間稼動させる基準状態のときの前記トランジスタが良好と判断される電荷移動状態を表す物理量を定めている。例えば、第1の時間として1000時間、トランジスタを稼動させ、トランジスタが良好と判断される電荷移動状態を表す物理量として、第1の電極(例えば、コレクタ電極)から第2の電極(例えば、エミッタ電極)に向って流れる電流の変動量を、0.21μAと定めている。したがって、従来では、1000時間、トランジスタを稼動させて始めてその良否を判定することができていた。
しかし、上記のように、特性変動モデル式が特定されると、基準状態のときのトランジスタが良好と判断される電荷移動状態を表す良好物理量に基づいて、第4の電極に電圧を印加した場合の前記物理量が該良好物理量になるまでの第1の時間より短い第2の時間を求めることができる。
即ち、上記のように第1の電極及び第2の絶縁膜中の電極間の電荷移動状態が変動する原因は、トランジスタを稼動させたときに、絶縁膜中の電荷が移動することであると考えられるので、前記第4の電極に電圧を印加することにより、絶縁膜中の電荷を積極的に移動させ、即ち、電荷の移動を加速させることができ、よって、第1の時間より短い第2の時間を求めることができる。
そこで、本発明では、上記トランジスタを、上記のように求めた第2の時間稼動させ、上記良好物理量と、トランジスタを第2の時間稼動させた後の上記物理量と、に基づいて、トランジスタの良否を判定する。
以上説明したように、前記トランジスタ内の第1の電極及び第2の電極間の電荷移動状態を表す特性変動モデル式を特定し、基準状態のときのトランジスタが良好と判断される電荷移動状態を表す良好物理量に基づいて、第4の電極に電圧を印加した場合の物理量が該良好物理量になるまでの第1の時間より短い第2の時間を求め、トランジスタを、求めた第2の時間稼動させ、上記良好物理量と、トランジスタを第2の時間稼動させた後の上記物理量と、に基づいて、トランジスタの良否を判定する。よって、トランジスタの良否を早く判定することができる。
以上説明したように本発明は、トランジスタに所定シリコン層内の電流が流れる経路を少なくとも絶縁膜を介して覆うように第4の電極を配置され、この第4の電極に電圧を印加することにより、この絶縁膜中に、積極的に電荷を移動させることができ、よって、第4の電極に電圧を印加しない第1の時間より短い第2の時間を求めることができ、トランジスタの良否を早く判定することができる、という効果がある。
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。
図1に示すように、本実施の形態では、2つのトランジスタ、すなわち、第1のトランジスタ12及び第2のトランジスタ14を備えている。第1のトランジスタ12及び第2のトランジスタ14は、ベース電極12B、14Bに電流が流れると第1の電極としてのエミッタ電極12E、14Eから第2の電極としてのコレクター電極12C、14Cに向かって電流が流れるトランジスターである。本実施の形態では、第1のトランジスタ12及び第2のトランジスタ14は、バイポーラトランジスタである。
そして、第1のトランジスタ12は、さらに、第4の電極としての電極16を備えている。この電極16は、アルミニウム、ポリシリコン、クロムシリコンなどの金属電極で構成することができる。なお、以下は、電極16は、アルミニウム電極を用いた例を説明する。
第1のトランジスタ12及び第2のトランジスタ14は、第1のトランジスタ12が電極16を備えている以外は同様の構成であるので、以下、第1のトランジスタ12のみを説明し、第2のトランジスタ14の構成の説明を省略する。
図2に示すように、第1のトランジスタ12は、所定のシリコン層としてのN型シリコン層22、P型シリコン層20を備えており、P型シリコン層20には、ベース電極12B、エミッター電極12Eが配置され、N型シリコン層22には、コレクター電極12Cが設けられている。ベース電極12B、エミッター電極12E、およびコレクター電極12Cは、層間絶縁膜18を介して離間して配置されている。電極16は、少なくともベース電極12Bとエミッター電極12Eとの間のP型シリコン層20内を電流が流れる経路を少なくとも層間絶縁膜18を介して覆うように配置されている。本実施の形態では、電極16は、電流が流れる全ての経路を層間絶縁膜18を介して覆うように配置されている。
図3に示すように、本実施の形態にかかるトランジスタの良否判定装置は、前述した第1のトランジスタ12および第2のトランジスタ14をミラー回路で接続している。また、トランジスタの良否判定装置は、第1のトランジスタ12のコレクター電流を計測する電流計26、第1のトランジスタ12および第2のトランジスタ14の雰囲気温度を制御するヒーター28を備えている。電流計26およびヒーター28は計測装置30に接続され、計測装置30には、表示装置32が接続されている。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
図4には、本実施の形態にかかるトランジスタの特性変動モデル式の特定処理プログラムを示したフローチャートが示されている。第1のトランジスタ12のコレクタ電極12Cおよび第2のトランジスタ14のコレクタ電極14Cに電圧を印加し、図示しない所定のスタートボタンがONされると、本プログラムがスタートし、ステップ42で、コレクター電流の変化量を測定し、ステップ44で、特性変動モデル式の各係数を計算する。
ここで、特性変動モデル式を説明する。特性変動モデル式は以下の式により与えられる。
Figure 2005191434
上記式で、βは、電極16に印加する電圧に対する電界加速係数である。Eaは、雰囲気温度に対する活性化エネルギーである。α(t)は、層間絶縁膜18に移動する電荷量に比例し、時間に依存する係数である。α0、t0は、時間に依存する特徴パラメメーターである。
この特性変動モデル式は、今回発明者が多数の実験により新しく見出した式である。
上記ステップ42のコレクター電流の変化量の測定処理を、図5を参照して説明する。まず、ステップ52で、本処理で使用する変数を初期化する。すなわち、雰囲気温度TをT0に初期化し、電極16に印加する電圧V2AlをV0に初期化し、時間tを0に初期化する。たとえば、雰囲気温度Tを、100℃に設定し、電極16に印加する電圧V2Alを、5Vに初期化する。
ステップ54で、雰囲気温度Tを制御する。すなわちヒーター28を制御して雰囲気温度をT℃に制御する。なお、温度検出センサーを備え、フィードバック制御するようにしても良い。
ステップ56で、電極16に電圧V2Alを印加する。ステップ58で、所定時間、例えば、3秒経過したか否かを判断する。T0経過したと判断した場合に、ステップ60で、電流計26を介して、第1のトランジスタ12のコレクター電流の変化量ΔICを測定する。すなわち、本プログラムがスタートした時からのコレクター電流ICの大きさからの変化量を測定する。なお、本プログラムがスタートした時は、第1のトランジスタ12及び第2のトランジスタ14のコレクタ電流IC、IBは等しい。
ステップ62で、時間tに所定時間t0を加算したものを時間tと設定し、ステップ64で、時間tがあらかじめ定めた最大測定時間tmaxより大きいか否かを判断し、時間tが最大測定時間tmaxより大きくないと判断された場合には、いまだ、予め定めた測定時間コレクター電流の変化量ΔICを測定していないので、ステップ58に戻って以上の処理(ステップ58〜ステップ64)を実行する。一方、時間tが最大測定時間tmaxより大きいと判断された場合には、ステップ66で、電圧V2AlにΔV(たとえば、5V)を加算したものを電圧V2Alと設定し、ステップ68で、電圧V2Alが、予め定めた電圧の最大値Vmaxより大きいか否かを判断する。電圧V2Alが最大電圧Vmaxより大きくないと判断された場合には、ステップ56に戻って、以上の処理(ステップ56〜ステップ68)を実行する。一方、電圧V2Alが最大電圧Vmaxを超えていると判断された場合には、ステップ70で温度TにΔT(25℃)を加算したものを温度Tと設定し、ステップ72で、温度Tが、予め定めた最大温度Tmaxを超えているか否かを判断する。温度Tが最大温度Tmaxを超えていないと判断された場合には、ステップ54に戻って、以上の処理(ステップ54〜ステップ72)を実行し、温度Tが温度Tが最大温度Tmaxを超えていると判断された場合には、本処理を終了する。
以上説明したコレクター電流の変化量の測定処理により、複数の雰囲気温度各々の状態で、第1のトランジスタ12の電極16に複数の電圧各々を印加しかつ第1のトランジスタ12を稼動させながら、所定時間ごとに、第1のトランジスタ12内のエミッター電極12Eおよびコレクター電極12C間の電荷移動状態を表す物理量、本実施の形態では、コレクター電流の変化量を測定することができる。
このように処理することによって、図6(A)〜図6(D)に示すように、各雰囲気温度ごと、すなわち、100℃(図6(D))、125℃(図6(C))、150℃(図6(B))、および175℃(図6(A))の電極16に印加する電圧V2Alを5V、10V、15V、20Vに変えた各々の場合の所定時間ごとのコレクター電流の変化を測定することができる。
次に、ステップ44の特性変動モデル式の係数計算処理を、図7に示したフローチャートを参照して説明する。
ステップ82で、上記ステップ42で測定したコレクター電流の変化量ΔICのサンプルを抽出し、ステップ84で、コレクター電流の変化量ΔICと電圧V2Alとの関係を、図8に示すように、時間および温度を定数としてプロットする。すなわち、これは、数1で示したコレクター電流の変化量ΔICを、以下の式でフィッテングすることである。
Figure 2005191434
このように時間および温度を定数として、コレクター電流の変化量ΔICと電圧V2Alとの関係をプロットする。これより、実際には図9に示すように、コレクター電流の変化量ΔICと電圧V2Alとの関係が1次式として得られる。次のステップ86で、このコレクター電流の変化量ΔICと電圧V2Alとの1次式の関係から傾きを計算し、ステップ88で、各関係の切片Aを計算する。切片Aは以下の式により定まる。
Figure 2005191434
ステップ90で、切片Aと温度Tとの関係を、図10に示すように時間を定数としてフィッテングしてプロットする。これより、実際には図11に示すように、切片Aと温度Tとの関係が1次式として得られる。ステップ92で、切片Aと温度Tとの関係の傾き(Ea/k)を計算し、ステップ94で、傾き(Ea/k)にkをかけることにより係数Eaを計算する。
ステップ96で、切片αを計算する。切片αは以下の式により定まる。
Figure 2005191434
ステップ98で、切片αと時間との関係を、図12に示すようにプロットする。これにより実際には、例えば、図13に示すように、切片αと時間との関係が得られる。そして、ステップ100で、係数α0、t0を計算する。
以上説明した特性変動モデル式の特定処理により、上記数1で示した各係数が定まる。これにより、特性変動モデル式を特定することができる。具体的には、例えば、図15に示すように、Ea=0.3、β=0.15、α0=7.9×e-5、t0=177が得られる。
次に、図14を参照して、トランジスタの良否判定処理を説明する。図示しない所定のスタートボタンがONされると、本プログラムがスタートし、ステップ112で、上記特性変動モデル式にもとづいて、基準状態(電圧V2Al=0)の時のコレクター電流の変動量が所定の許容値になるまでの第1の時間を特定する。具体的には、図15に示すように、電圧V2Al=0、温度(temp)=150℃の基準状態で、コレクター電流の変動量ΔICが許容値=2.21064×e-7:0.21μA(変動率ΔIC/IC%は4.24%)になるまでの時間(time)=3,600,000(秒)(1000時間)が求められる。なお、α(t)=7.9×e-5、t0=177も得られる。
ステップ114で、特性変動モデル式にもとづいて、電圧V2Alを所定値印可した時のコレクター電流の変動量が上記所定の許容値になるまでの第2の時間を特定する。例えば、図15に示すように、電圧V2Alを20(V)印加し、温度(temp)=150℃、コレクター電流の変動量が上記所定の許容値(2.21064×e-7;0.21μA)になるまでの第2の時間は、1.13×e2:100秒となる。よって、第1の時間(1000時間)より第2の時間(100秒)が短い。
ステップ116で、上記電極16に、電圧V2Al(所定値)を印可し、第2の時間、トランジスタを稼動する。ステップ118で、第2の時間トランジスタを稼動した後のコレクター電流の変動量を測定する。ステップ120で、ステップ118で測定されたコレクター電流の変動量が上記許容値より大きいか否かを判断することにより、トランジスタの良否を判定する。すなわち、ステップ118で測定されたコレクター電流の変動量が許容値より大きい場合には、ステップ124で、表示装置32に不良品と表示し、ステップ118で測定されたコレクター電流の変動量が許容値以下である場合には、ステップ122で、表示装置32に良品と表示する。
以上説明したように第1の実施の形態では、エミッタ電極からコレクタ電極へのコレクタ電流が変動する原因は、トランジスタを稼動させたときに、層間絶縁膜中の電荷が移動し、これによりコレクタ電流が変動すると考えられ、この場合、層間絶縁膜中の電荷の移動が多い場合には、トランジスタが不良品と判定している。即ち、従来では、自然状態(基準状態(電極16に電圧を印加しない状態))のときにトランジスタを所定時間動させた後のコレクタ電流の変動量をみていた。
しかし、本実施の形態では、ベース電極とエミッタ電極との間のシリコン層を電流がながれる経路を、層間絶縁膜を介して覆うように配置した電極16に電圧を印加することにより、層間絶縁膜中の電荷を積極的に移動させ、即ち、自然状態よりも電荷の移動を加速させることができる。よって、自然状態(基準状態(電極16に電圧を印加しない状態))のときに判定するのに必要であた時間より短い時間で、トランジスタの良否を判定することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図16に示すように、本実施の形態にかかるトランジスタの良否判定装置は、トランジスタ150、本実施の形態では、フィールドMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)を備えている。また、トランジスタの良否判定装置は、前述した電流計26、ヒーター28を備えるとともに、フィールドMOSFET150のゲート電圧VGを測定する電圧計31を備えている。電流計26、ヒーター28、電圧計31は、計測装置30に接続され、計測装置30には表示装置32が接続されている。
図17に示すように、MOSFET150は、ドレイン電極154およびソース電極156を備えている。ドレイン電極154およびソース電極156は、P型シリコン層160に形成され、層間絶縁膜158を介して離間している。ドレイン電極154およびソース電極156の間のP型シリコン層160に電流が流れる経路を層間絶縁膜158を介して覆うように電極152が設けられている。
尚、電極152は、金属電極であればよく、第1の実施の形態のように、たとえば、アルミニウム電極、ポリシリコン電極、クロムシリコン電極などを用いることができる。
次に、本実施例の作用を説明する。
図18には、フィールドMOSFET150のしきい値電圧の測定処理ルーティンが示されている。フィールドMOSFET150のドレイン電極154に所定の電圧VDを印加して図示しないスタートボタンがONされると、本プログラムがスタートし、ステップ172で、本処理により使用される変数を初期化する。すなわち、雰囲気温度TをT0(たとえば、100℃)に初期化し、電極152に印加する電圧V2AlをV0(たとえば、100V)に初期化し、時間tを0に初期化する。
ステップ174で、雰囲気温度Tをヒーター28を介して制御する。尚、第1の実施の形態のようにフィードバック制御するようにしても良い。
ステップ176で、ドレイン電圧VD(たとえば、0.5V)を印加し、ステップ178で電極152に電圧V2Alを印加する。
ステップ180で、ドレイン電流IDと電圧V2Alとの関係を測定する。ステップ182で、上記ステップ182で測定されたドレイン電流IDと電圧V2Alとの関係にもとづいて、ドレイン電流IDが所定値であるときの電圧であるしきい値電圧を導出する。
ステップ184で、ドレイン電圧VDの印加を停止し、ステップ186で所定時間t0経過するのを待ち、ステップ188で、時間tに所定時間t0を加算したものを時間tとして設定し、ステップ190で、時間tが予め定められた最大測定時間tmaxより大きいか否かを判断しする。時間tが最大測定時間tmaxより大きいくないと判断されたが場合には、ステップ176に戻って、以上の処理(ステップ176〜ステップ190)を実行する。
これにより、図19に示すように、所定時間毎に、複数のゲート電圧とゲート電流との関係K1、K2、K3、、、を測定することができかつしきい値電圧を導出することができる。
一方、時間tが最大測定時間tmaxより大きいと判断された場合には、ステップ192で、電圧V2Alに所定ボルトΔV(たとえば、5V)を加算したものを電圧V2Alと設定し、ステップ194で、電圧V2Alが最大電圧Vmaxを超えているか否かを判断し、電圧V2Alが最大電圧Vmaxを超えていないと判断された場合には、ステップ176に戻って、以上の処理(ステップ176〜ステップ194)を実行する。一方、電圧V2Alが最大電圧Vmaxより大きいと判断された場合には、ステップ196で、温度Tに所定温度ΔT(たとえば、25℃)を加算したものを温度Tと設定し、ステップ198で、温度Tが最大温度Tmaxより大きいか否かを判断し、温度Tが最大温度Tmaxより大きくないと判断された場合には、ステップ174に戻って、以上の処理(ステップ174〜ステップ198)を実行し、温度Tが最大温度Tmaxより大きいと判断された場合には本処理を終了する。
以上説明したようにフィールドMOSFET150のしきい値電圧が測定された場合には、測定したしきい値電圧から、しきい値電圧の特性変動モデル式を特定する。なお、しきい値電圧の特性変動モデル式は、以下の式から得られる。
Figure 2005191434
なお、図21に示すように、しきいち電圧の変動量は、コレクター電流の変動量と比例関係を有するので、しきい値電圧の特性変動モデル式は、コレクター電流の変化量の特性変動モデル式と同様な式となっている。よって、第2の実施の形態におけるしきい値電圧の特性変動モデル式の特定方法も、コレクター電流の変化量の特性変動モデル式の特定方法と同様に行う。即ち、コレクター電流の変化量に代えて上記しきい値電圧を用いて、上記ステップ44(図7参照)を実行する。
そして、このように、しきい値電圧の特性変動モデル式を特定することができた場合には、フィールドMOSFETの良否判定は、前述した第1の実施の形態と同様に行う。即ち、自然状態(基準状態(電極153に電圧を印加しない状態))のときに判定するのに必要であった時間、フィールドMOSFETを稼動させたときのしきいち電圧の変動量の許容値を定め、特性変動モデル式を用いて、電極153に電圧を印加する場合の、フィールドMOSFETの良否を判定するための、フィールドMOSFETに電流を流す時間(自然状態より短い時間)を定め、この時間、フィールドMOSFETを稼動させた後のしきち電圧の変動量が、上記許容値より大きいか否かにより、フィールドMOSFETの良否を判定する。
なお、図21に示すように、しきいち電圧の変動量は、電流の変動量と比例関係を有するので、第2の実施の形態のようにしきい値電圧を用いても、電流変動に基づくバイポーラトランジスタの良否判定と実質的には同一である。
即ち、コレクタ電流が5%変化するときのしきい値電圧の変化量は3(V)である。従って、例えば、温度150℃で、電極152に印加する電圧V2Alを、20(V)にした場合には、200秒(第2の時間)が定まり、200秒、フィールドMOSFETを稼動したときのしきい値電圧の変動量が3(V)以下であると、このフィールドMOSFETは良品と判定する。
第1のトランジスタおよび第2のトランジスタを示した図である。 第1のトランジスタの断面図である。 トランジスタの良否判定装置のブロック図である。 特性変動モデル式の特定処理プログラムを示すフローチャートである。 ステップ42のコレクター電流の変化量の測定処理プログラムを示したフローチャートである。 (A)〜(D)は、長時間トランジスタを動作させた時の雰囲気温度および電圧V2Alを変えたときのコレクター電流の実測値を示すグラフである。 ステップ44の特定変動モデル式の係数計算処理プログラムを示すフローチャートである。 コレクター電流の変化量ΔICと電圧V2Alとの関係をプロットすることを説明する説明図である。 コレクター電流の変化量ΔICと電圧V2Alとの関係を実測したグラフである。 ステップ84で求められたコレクター電流の変化量ΔICと電圧V2Alとの関係のグラフの切片Aと温度Tとの関係をプロットすることを説明する説明図である。 切片Aと温度Tとの関係の実測値を示すグラフである。 ステップ90で求められた切片Aと温度Tとの関係を示すグラフの切片Aと時間との関係をプロットすることを説明する説明図である。 切片αと時間との関係の実測値を示すグラフである。 トランジスタの良否判定処理プログラムを示すフローチャートである。 第1の実施の形態の実測値を示す表である。 第2の実施の形態にかかるトランジスタの良否判定処理装置のブロック図である。 フィールドMOSFETの断面図である。 フィールドMOSFETのしきい値電圧の測定処理プログラムを示すフローチャートである。 ドレイン電流とゲート電圧との関係を示すグラフである。 フィールドMOSFETを長時間動作させた時の雰囲気温度およびゲート電圧V2Alを変えたときのしきい値電圧の変化を示すグラフである。 電荷移動量(ΔIC)としきい値電圧(ΔVth)との関係を示すグラフである。
符号の説明
12 第1のトランジスタ
14 第2のトランジスタ
12B ベース電極
12E エミッター電極
12C コレクター電極
16 電極
20 P型シリコン層
22 N型シリコン層
18 層間絶縁膜
26 電流計
28 ヒーター
30 計算装置
32 表示装置
150 フィールドMOSFET
152 電極
154 ドレイン電極
156 ソース電極
158 層間絶縁膜
160 P型シリコン層

Claims (4)

  1. 電圧が印加されかつ絶縁膜を介して離間する第1の電極から第2の電極に向って所定シリコン層内を電流が流れるトランジスタであって、
    前記電流の流れを制御する第3の電極を有し、
    前記所定シリコン層内の電流が流れる経路を少なくとも前記絶縁膜を介して覆うように配置された第4の電極を更に備えたことを特徴とするトランジスタ。
  2. 複数の雰囲気温度各々の状態で、請求項1に記載のトランジスタの前記第4の電極に複数の電圧各々を印加しかつ前記トランジスタを稼動させながら、所定時間毎に、前記トランジスタ内の第1の電極及び第2の電極間の前記絶縁膜中の電荷移動状態を表す物理量を測定し、
    前記電荷移動状態を表す予め定められた特性変動モデル式と、前記測定された物理量と、に基づいて、該特性変動モデル式を規定する係数を特定することにより、トランジスタの特性変動モデル式を特定する、
    トランジスタの特性変動モデル式特定方法。
  3. 前記係数は、前記第4の電極に印加する電圧に対する電界加速係数、前記温度に対する活性化エネルギー、及び前記時間に依存する特徴パラメータであることを特徴とする請求項2記載のトランジスタの特性変動モデル式特定方法。
  4. 請求項2又は請求項3記載のトランジスタの特性変動モデル式特定方法により特定された特性変動モデル式に基づいて定まりかつ前記第4の電極に電圧を印加せずに、所定の雰囲気温度で第1の時間稼動させる基準状態のときの前記トランジスタが良好と判断される電荷移動状態を表す良好物理量に基づいて、前記前記第4の電極に電圧を印加した場合の前記物理量が該良好物理量になるまでの第1の時間より短い第2の時間を求め、
    前記トランジスタを前記求めた第2の時間稼動させ、
    前記良好物理量と、前記トランジスタを前記第2の時間稼動させた後の前記物理量と、に基づいて、前記トランジスタの良否を判定する、
    トランジスタ良否判定方法。
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