JP2005190138A - 電子回路基板の設計システム及びそれを用いた電子回路基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 基板の凹凸プロファイルを設計情報に系統的に反映させることができ、凹凸発生の設計上の要因を確実かつ簡単に突き止めることができ、ひいては試行錯誤を経ずとも所期の平坦度を有した基板を容易に設計することができる電子回路基板の設計システムを提供する。
【解決手段】 設計情報として必須入力されるエレメント図形の情報に基づき、予め定められた凹凸情報発生面の凹凸情報も作成・発生させるようにした。また、エレメント図形の少なくとも導体図形に対し、導体図形入力手段による入力データに反映された、該エレメント図形の厚さ、平面形状及び導体レイヤ上の配置位置の少なくともいずれかに、予め定められた内容の補正処理を行なう。これにより、基板の凹凸プロファイルを設計情報に系統的に反映させることができ、ひいては凹凸発生の設計上の要因を確実かつ簡単に突き止めることができるようになる。
【選択図】 図20
【解決手段】 設計情報として必須入力されるエレメント図形の情報に基づき、予め定められた凹凸情報発生面の凹凸情報も作成・発生させるようにした。また、エレメント図形の少なくとも導体図形に対し、導体図形入力手段による入力データに反映された、該エレメント図形の厚さ、平面形状及び導体レイヤ上の配置位置の少なくともいずれかに、予め定められた内容の補正処理を行なう。これにより、基板の凹凸プロファイルを設計情報に系統的に反映させることができ、ひいては凹凸発生の設計上の要因を確実かつ簡単に突き止めることができるようになる。
【選択図】 図20
Description
この発明は、電子回路基板の設計システム及びそれを用いた電子回路基板の製造方法に関する。
ICやマイクロプロセッサ等の半導体チップは、近年高集積化が急速に進んでいることから、チップの入出力部の端子数も大幅に増大しつつある。これを受けて、そのようなチップを接続するための電子回路基板も線路導体の数が急増しており、高分子材料やセラミック等の誘電体層(上下の隣接する導体層同士を電気的に接続するビアが形成される層なので、ビア層とも称される)を介して多層の線路導体を作り込んだ積層型のパッケージ基板が増えてきている。最近では、このような電子回路基板の設計を効率よく行なうために、コンピュータ作図処理を用いた設計システムが使用されている(特許文献1)。これは、表示装置上に作図画面を開き、配線部、面導体(電源層、グランド層、パッド、ランドなど)及びビアなどの基板要素(エレメント)の図形を、導体層ないしビア層のレイヤ毎にマウス等の入力装置を用いて入力して基板設計図を得るものである。
ところで、上記従来の基板設計システムは、当然のことながら、レイヤ面内のエレメントの二次元的なレイアウトを作図することに主眼が置かれており、完成基板の厚さ方向プロファイルに影響を及ぼす設計情報は反映できないようになっている。図26は、セラミック電子回路基板の積層構造の一例を分解形態で示すものであり、セラミック誘電体層50と金属導体層51とが交互に積層されており、最上層の領域FAは半導体部品の実装領域をなす。該領域は、半導体部品をフリップチップ接続するために一定以上の平坦度が確保されている必要がある。しかし、領域FA内の各層の導体パターンの分布は層によってまちまちであり、導体パターンの存在領域と非存在領域との間では、導体パターンに相当する分だけ厚さの差を生ずる。従って、多数の導体層を、誘電体層を介して積層したとき、図27左に示すように、実装領域FA内にて、導体パターンの重なり数が多い領域と少ない領域との間で大きな凹凸差が生じ、実装領域FAの平坦性を確保できなくなって部品実装の信頼性が低下する不具合につながる。
こうした基板の凹凸解消のためには、単純な手法としては次のようなものが考えられる。まず、各層に所期の配線パターンを形成して積層体の試作品を製造し、実装領域など具体的に平坦性の要求される領域の平坦度を形状プロファイラなどで測定して、凹凸の発生状況を確認する。そして、極端に凹となっている領域については、当該の領域が空白領域となっている導体層を探して絶縁ペーストなどで補正層を挿入し、再度積層体を試作して再度凹凸形状を測定する。しかし、補正層の挿入は、積層体の再試作後の凹凸改善状況をフィードバックしながら試行錯誤的に行なわれるため、凹凸解消の精度も低く、また、満足できる凹凸プロファイルを得るまでに、補正層形成のための設計図面作成、ペースト塗布マスクの設計及びその加工と検査とを何度も繰り返す必要があり、製品出荷までの納期遅れや製造能率低下による数量不足など、さまざまな弊害を生ずることにつながる。
本発明の課題は、基板の凹凸プロファイルを設計情報に系統的に反映させることができ、凹凸発生の設計上の要因を確実かつ簡単に突き止めることができ、ひいては試行錯誤を経ずとも所期の平坦度を有した基板を容易に設計することができる電子回路基板の設計システムと、それを用いた電子回路基板の製造方法とを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の電子回路基板の設計システムは、
複数の導体層が誘電体よりなるビア層を介して積層された電子回路基板の設計システムであって、
電子回路基板に形成すべき導体層に対応する複数の導体レイヤと、ビア層に対応する複数のビアレイヤとを設定するレイヤ設定手段と、
導体レイヤに、導体図形を含むエレメント図形を、該エレメント図形の厚さ、平面形状及び導体レイヤ上の配置位置が反映された図形データとして入力する導体図形入力手段と、
ビアレイヤに、該ビア層を挟んで隣接する導体図形同士を連結するビアの図形を入力するビア図形入力手段と、
エレメント図形の少なくとも導体図形に対し、導体図形入力手段による入力データに反映された、該エレメント図形の厚さ、平面形状及び導体レイヤ上の配置位置の少なくともいずれかに、予め定められた内容の補正処理を行なうエレメント補正手段と、
個々の導体レイヤに入力され、かつ補正処理を行なった後のエレメント図形の分布情報に基づいて、導体層とビア層との積層体よりなる電子回路基板の、厚さ方向の予め定められた位置に設定された凹凸情報発生面における凹凸情報を発生させる凹凸情報発生手段と、
凹凸情報を出力する凹凸情報出力手段と、
を備えたことを特徴とする電子回路基板の設計システム。
複数の導体層が誘電体よりなるビア層を介して積層された電子回路基板の設計システムであって、
電子回路基板に形成すべき導体層に対応する複数の導体レイヤと、ビア層に対応する複数のビアレイヤとを設定するレイヤ設定手段と、
導体レイヤに、導体図形を含むエレメント図形を、該エレメント図形の厚さ、平面形状及び導体レイヤ上の配置位置が反映された図形データとして入力する導体図形入力手段と、
ビアレイヤに、該ビア層を挟んで隣接する導体図形同士を連結するビアの図形を入力するビア図形入力手段と、
エレメント図形の少なくとも導体図形に対し、導体図形入力手段による入力データに反映された、該エレメント図形の厚さ、平面形状及び導体レイヤ上の配置位置の少なくともいずれかに、予め定められた内容の補正処理を行なうエレメント補正手段と、
個々の導体レイヤに入力され、かつ補正処理を行なった後のエレメント図形の分布情報に基づいて、導体層とビア層との積層体よりなる電子回路基板の、厚さ方向の予め定められた位置に設定された凹凸情報発生面における凹凸情報を発生させる凹凸情報発生手段と、
凹凸情報を出力する凹凸情報出力手段と、
を備えたことを特徴とする電子回路基板の設計システム。
また、本発明の電子回路基板の製造方法は、上記本発明の電子回路基板の設計システムにより、所期の電子回路基板の設計情報を作成し、該設計情報に基づいて電子回路基板を製造することを特徴とする。
なお、導体図形入力手段とビア図形入力手段とは、該システム内で導体図形とビア図形とを作図入力する作図入力手段を含むものとしてもよいし、外部の別システムで作成された図形データを単に各レイヤに流し込むだけのデータ挿入手段を含むものとしてもよく、本発明においては、いずれも導体図形入力手段とビア図形入力手段の概念に属するものとみなす。
上記本発明の電子回路基板の設計システムによると、個々の導体レイヤに入力されたエレメント図形(後述するごとく、導体図形だけでなく、絶縁体で形成される補正層がエレメント図形として入力されることもある)の分布情報に基づいて、導体層とビア層との積層体よりなる電子回路基板の、厚さ方向の予め定められた位置に設定された凹凸情報発生面における凹凸情報を発生させる凹凸情報発生手段を設けた。つまり、設計情報として必須入力される図形情報に基づき、予め定められた凹凸情報発生面の凹凸情報も作成・発生させるようにしたから、基板の凹凸プロファイルを設計情報に系統的に反映させることができ、ひいては凹凸発生の設計上の要因を確実かつ簡単に突き止めることができるようになる。
また、電子回路基板の設計システム(いわゆるCADシステム)においては、設計入力処理の利便性を考慮して、導体図形は多かれ少なかれ理想化された図形として入力がなされる。しかし、その設計情報に基づいて実際に製造される基板においては、導体エレメントの形状や寸法(特に厚さ)及び導体層層内の配置位置が、製造上の種々の要因により、設計上の数値から隔たることがある。これは、その図形情報に基づいて作成される凹凸情報の誤差要因となり、基板の凹凸プロファイル評価を正確に行なえなくなることがある。そこで、上記本発明の電子回路基板の設計システムにおいては、エレメント図形の少なくとも導体図形に対し、導体図形入力手段による入力データに反映された、該エレメント図形の厚さ、平面形状及び導体レイヤ上の配置位置の少なくともいずれかに、予め定められた内容の補正処理を行なうようにし、その補正処理後のエレメント図形に基づいて凹凸情報を発生させるようにしたから、製造上の要因により導体エレメントの厚さ、形状及び配置位置の変動が生じても、作成される凹凸情報に該変動の影響が及ぶことを効果的に防止ないし抑制でき、ひいては基板の凹凸プロファイル評価を正確に行なうことができるようになる。
電子回路基板における導体図形の主要なものには配線部図形と面導体図形(例えば電源層やグランド層として用いられるものである)がある。配線部と面導体とは形成幅も形成面積も互いに大きく相違し、また、製造上の要因による寸法、形状あるいは厚さの変動挙動も異なるものとなることが多い。そこで、エレメント補正手段は、補正対象となる導体図形が配線部図形であるか、又は面導体図形であるかによって、補正内容が互いに異なるものとなるように補正処理を行なうように構成することで、より信頼性の高い凹凸情報を得ることができる。
導体エレメントや後述の補正層エレメントは、エレメント間にて厚さが相違する場合もあるが、同じエレメント内で厚さのバラツキを生ずることがある。このようなエレメントは、一律に厚さ補正しても部位間の厚さ分布は解消できないので、信頼性の高い凹凸情報を得ることはできない。この場合は、エレメント補正手段は、エレメント図形の補正後の厚さが該エレメント図形の平面形態上の部位に応じて異なるものとなるように補正処理を行なうものとすることができ、同一エレメント内の厚さ分布解消を図る上で有利となる。
エレメント内の厚さ分布は種々の要因によって生じ、例えば、設計対象となる電子回路基板がオーガニック基板の場合、配線部や面導体などの導体エレメントを化学めっきにより形成すると、エレメント内のエレメントのエッジは電位集中しやすいため、該エッジ部分でメッキ層が厚くなる傾向にあり、同一エレメント内の厚さ分布発生の要因となる。他方、設計対象となる電子回路基板が、導体エレメントを金属ペーストを用いた印刷工程にて形成したセラミック配線基板である場合、導体エレメントの印刷パターンは、これに対応した形状の開口を有する印刷マスクをセラミックグリーンシート上に重ね、金属ペーストをマスク上に配置し、開口内へ金属ペーストをスキージで擦り切り充填することにより形成されるが、パターンのエッジ部分はペーストダレにより、傾斜面状に薄肉化する傾向にある。そこで、エレメント補正手段は、導体図形に、該導体図形のエッジに近づくほど厚さが減少する傾斜断面部がエッジに沿って形成されるように補正処理を行なうものとすれば、ペーストダレによる導体エレメントのエッジ部の厚さプロファイルを良好に再現でき、ひいてはこれを用いて作成する凹凸情報の信頼性を高めることができる。
導体図形が配線部図形である場合、配線部幅が狭くなると、ペーストの表面張力が強く作用するので、エッジ側面の傾斜は急となる傾向にある。そこで、エレメント補正手段は、該配線部図形の幅が小さくなるほどエッジに向けた傾斜が急となるように、傾斜断面部を形成することが、配線部のエッジ部の厚さプロファイルを良好に補正・再現する観点において望ましい。
一方、導体図形は面導体図形である場合は、エレメント補正手段は、該面導体図形のエッジに沿って傾斜断面部が形成され、傾斜断面部よりも面導体内側に隣接する形でエッジに沿うリブ状の厚肉部が形成され、さらに該厚肉部よりも内側に位置する面導体領域に、厚肉部よりも小さな厚さを有する平坦部が形成されるように補正処理を行なうことが望ましい。配線部よりも面的な形状広がりが大きい面導体は、エッジ側に傾斜断面部が形成される点においては配線部と何ら変わりはないが、面導体の内側領域はマスク開口内で撓んだスキージにより、ペースト塗付層の最表面部がこそぎとられ、エッジ部よりも相対的に厚さが小さくなる傾向にある。その結果、傾斜断面部に対し面導体内側に隣接する形でリブ状の厚肉部が形成され、そのさらに内側に隣接して該厚肉部よりも小さな厚さを有する平坦部が形成されることになるのである。このような面導体特有の断面プロファイルが反映されるように補正処理を行なうことで、面導体に対応した領域の凹凸情報の信頼性を高めることができる。なお、配線部も、配線幅が増加すれば面導体と同じ振る舞いをするので、エレメント補正手段は、導体図形が配線部図形である場合も、該配線部図形の幅が閾幅以上のものであるとき、該配線部図形に対し面導体図形と同じ補正処理を行なうものとして構成しておけば、広幅の配線部の厚さプロファイルを良好に補正・再現できる。
また、エレメント補正手段は、導体図形の直下に位置する誘電体層にビア図形が入力されているとき、該ビア図形の中心から層面内において一定距離以内にある導体図形領域の厚さが、該領域の周囲領域よりも大きくなるように補正処理を行なうものとして構成できる。オーガニック基板の場合は、高分子材料からなる誘電体層が硬化・収縮する際に、また、セラミック基板の場合は、セラミックグリーンシートとビア金属ペーストパターンとの焼成収縮の差により、取り残されたビア導体の先端部が誘電体層(ビア層)の主表面から突出する場合がある。従って、ビア導体上に導体エレメントを形成すると、ビア導体の先端部が突出するに伴い、導体エレメントが持ち上げられて凹凸情報発生面に凸部を形成する要因となりうる。この場合、ビア導体上の導体エレメントは(実厚さには変動はなくとも)見かけ上は厚さが増大したのと同じことになるので、ビア図形の中心から層面内において一定距離以内にある導体図形領域の厚さを、該領域の周囲領域よりも大きくなるように補正処理すれば、ビアの周辺においても凹凸情報を正確に作成することができる。
導体図形は、印刷及びメッキのいずれで形成する場合においても、印刷マスクないしメッキマスクの位置合わせ精度には一定の限界があり、設計情報が示す導体図形の配置位置に対し、一定の公差の範囲内で位置ずれが生ずる。この場合、設計上は導体が存在しない図形周囲領域にも、実際に製造される基板においては、上記公差内の位置ずれに起因して導体が一定の確率で存在することになる。そこで、エレメント補正手段を、導体図形入力手段による入力データにおいて、設計位置に入力された導体図形の占有領域を、導体図形の位置ずれ分布に応じて外側に拡張するように構成すれば、上記の位置ずれ分布の影響も考慮した形で、凹凸情報をより正確に作成することができる。拡張された導体図形のエッジ領域では、導体が常に存在するとは限らないので、該エッジ領域の厚さプロファイル形状を、上記の存在確率が反映された形状となるように減厚すれば、さらに正確な凹凸情報を作成できる。具体的には、その拡張された導体図形のエッジ領域を減厚形態の傾斜断面部とする補正処理を行なえばよい。
凹凸情報発生手段は、具体的には、各導体レイヤにおいて、エレメント図形の存在する領域と存在しない領域との間で該導体レイヤの占有厚さに差が生ずるように、レイヤ別厚さ分布情報を発生させるレイヤ別厚さ分布情報発生手段と、レイヤ別厚さ分布情報を複数の導体レイヤ間で合成することにより、凹凸情報を生成するレイヤ別厚さ分布情報合成手段とを有するものとして構成できる。つまり、同一導体レイヤにおいてエレメント図形の存在する領域は、エレメントの分だけ積層体の厚さが増加するから、該導体レイヤ内のエレメントの分布状態は、該レイヤ一層に限った見方をすれば、そのレイヤの厚さ分布も反映した情報を与えることになる。従って、各レイヤのエレメントの分布状態に基づくレイヤ単位の厚さ分布情報を、複数の導体レイヤ間で合成すれば、凹凸情報発生面の凹凸情報を簡単に作成することができる。この場合、全てのレイヤについてエレメントの厚さが同じであれば、凹凸情報発生面の各位置にて、その位置にエレメントが存在するレイヤの数を単純に合計することで、各位置の相対的な高さ情報、すなわち凹凸情報を得ることができる。他方、レイヤ間でエレメントの厚さが違っていれば、厚さ変換用の重み係数をレイヤ毎に設定し、エレメントが存在するレイヤの数を、レイヤ毎に重み係数を乗じた形で合計すればよい。なお、この重み係数は、同一エレメント内で異なる値に設定することも可能である。
具体的には、レイヤ別厚さ分布情報発生手段は、各導体レイヤの凹凸情報発生面に対応する領域を厚さ分布演算用のセルに分割するセル分割手段と、セル毎にエレメント図形の存在を判定するセル別エレメント図形判定手段と、エレメント図形が存在すると判定されたセルと非存在と判定されたセルとの間で厚さパラメータ値に差が生ずるように、各セルに厚さパラメータ値を設定するセル別厚さパラメータ設定手段とを備えたものとして構成できる。この場合、レイヤ別厚さ分布情報合成手段は、対応するセル毎に複数の導体レイヤ間で厚さパラメータ値を加算し、各セルの厚さパラメータ加算値に基づいて凹凸情報を生成する厚さパラメータ加算手段を有するものとして構成できる。凹凸情報発生面および各レイヤの対応する領域を上記のようにセルに区切り、各レイヤにおいてセル毎にエレメント図形の存在を判定するようにすれば、レイヤ毎のエレメントの分布状態を厚さ分布に変換する処理を、セル毎の厚さパラメータ値を決定することでデジタル演算処理化でき、凹凸情報の作成処理を、セル毎の簡便な加算処理にて実現できる。
次に、凹凸情報出力手段は、凹凸情報発生面における三次元的な凹凸分布情報を凹凸情報として視覚表示する凹凸分布情報表示手段を有するものとして構成できる。この構成によると、基板のどの部分に凹凸が強く生じているかを一目で把握することができ、凹凸解消のための設計修正ないし変更をより的確に行なうことができる。
また、凹凸情報発生手段による凹凸情報に基づいて、凹凸情報発生面における凹凸差が縮小するように、導体レイヤの図形入力状態を補正する凹凸補正手段を設けることができる。この場合、本発明の電子回路基板の製造方法は、該構成の電子回路基板の設計システムを用い、導体レイヤに導体図形入力手段により導体図形を含むエレメント図形を入力し、ビア図形入力手段によりビアレイヤに、該ビア層を挟んで隣接する導体図形同士を連結するビアの図形を入力することにより補正前設計情報を作成し、凹凸補正手段により、該補正前設計情報における導体レイヤの図形入力状態を補正し、その補正後の設計情報に基づいて電子回路基板を製造するものとされる。上記システム及びそれを用いた製造法によれば、修正が必要な凹部を、作成した凹凸情報に基づいて的確に特定でき、この凹部が解消されるように導体レイヤの図形入力状態を補正することで、凹凸情報に基づいて設計段階で凹凸を最適化補正することが可能となる。その結果、補正層や導体のパターンを形成するためのマスク等の治工具作成回数を大幅に削減でき、試行錯誤を経ずとも所期の平坦度を有した基板を容易に設計・製造することができる。
凹凸補正手段は、導体レイヤに、凹凸情報発生面における凹凸差を縮小するための、エレメント図形をなす補正層図形を入力する補正層図形入力手段を有するものとして構成できる。補正前の状態で入力されていた導体図形とは別に補正層図形を入力することで、基板性能(特に、導体図形が構築する導体要素のインピーダンスやその他の電気的パラメータ)に大きな影響を与えることなく凹凸補正を簡便に行なうことができる。補正層図形は、導体レイヤにおいて、補正前の状態にて導体図形が非配置となる領域に配置すれば、例えば基板製造時に導体図形と補正層図形とが同一面内で重ならず、形成される導体パターン(特にセラミック基板製造時の金属ペーストによる導体パターン)が補正層パターンの重なりによって損傷する等の不具合が生じにくい。
補正層図形は絶縁体層又は補正用面導体層の図形として入力することができる。補正用面導体層は、例えば電源層やグランド層の一部を形成するものとして形成すれば、基板性能に与える影響も小さいが、他の電源層やグランド層とのビア接続等を別途考慮する必要がある。他方、補正層を絶縁体層とすれば、下地をなすビア層の誘電体(絶縁体)と電気的には一体に扱えるので、基板性能に与える影響はより小さく、補正層を配置する上での制約や設計修正も少なくて済む。特に、電子回路基板が、ビア層をなす誘電体がセラミックであるセラミック基板である場合、補正層図形は、セラミック粉末ペースト塗付層又は/及び金属ペースト塗付層(ダミー導体層となる)の図形として入力でき、補正層の形成も単純な印刷工程に置き換えることができるので工程上非常に簡便である。この場合、補正層エレメントは、金属ペーストに代えてセラミック粉末ペーストが用いられる点を除けば、面導体エレメントと同じパターン印刷により形成される。従って、面導体エレメントに適用される前述の厚さ形状補正、すなわち、補正層図形のエッジに沿って傾斜断面部が形成され、傾斜断面部よりも補正層内側に隣接する形でエッジに沿うリブ状の厚肉部が形成され、さらに該厚肉部よりも内側に位置する補正層領域に、厚肉部よりも小さな厚さを有する平坦部が形成されるように補正処理を行なうことができ、より正確な凹凸情報を作成することができる。
導体レイヤを前述のごときセルに分割する場合、補正層図形入力手段は、導体図形が非配置となるセルに補正層図形をセル単位にて入力するものとして構成することができる。この方法により、セル毎に補正層図形の厚さを、既存の導体図形の厚さに対し一元的に加算処理することが可能となり、凹凸補正処理を一層簡便に行なうことができる。具体的には、補正層図形入力手段は、セル毎の厚さパラメータ加算値のうち、予め定められた厚さ基準値に対し規定値を超えて不足するパラメータ加算値を検索し、その検索されたパラメータ加算値に対応するセルのうち、エレメント図形が非配置となっているレイヤのセルである空きレイヤセルを見出し、該空きレイヤセルに補正層図形を自動入力する自動補正手段を有するものとして構成できる。これにより、厚さ補正の必要なセル位置にて、どのレイヤに補正層図形入力が可能なセルが存在しているかを容易に判定することができ、凹凸補正を的確かつ能率よく行なうことができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図2は本発明の電子回路基板設計システム100(以下、単に電子回路基板設計システムともいう)の一実施例の全体構成を示すブロック図である。電子回路基板設計システム100は、CPU103と、ROM104、RAM105、入出力インターフェース102等からなるコンピュータ本体112を備え、これに周辺機器として、キーボード106あるいはマウス107等の入力手段、CD−ROMドライブ108あるいはフレキシブルディスクドライブ(以下、FDDと記す)109等の記録媒体読取手段、ハードディスクドライブ(以下、HDDと記す)110、モニタ制御部111を介して接続されるモニタ113、プリンタ114等が接続されたコンピュータシステムとして、全体が構築されている。
図2は本発明の電子回路基板設計システム100(以下、単に電子回路基板設計システムともいう)の一実施例の全体構成を示すブロック図である。電子回路基板設計システム100は、CPU103と、ROM104、RAM105、入出力インターフェース102等からなるコンピュータ本体112を備え、これに周辺機器として、キーボード106あるいはマウス107等の入力手段、CD−ROMドライブ108あるいはフレキシブルディスクドライブ(以下、FDDと記す)109等の記録媒体読取手段、ハードディスクドライブ(以下、HDDと記す)110、モニタ制御部111を介して接続されるモニタ113、プリンタ114等が接続されたコンピュータシステムとして、全体が構築されている。
なお、CPU103は、レイヤ設定手段、導体図形入力手段、ビア図形入力手段、エレメント補正手段、凹凸情報発生手段、及び凹凸情報出力手段等の主体をなすものである。また、キーボード106あるいはマウス107は、CPU103とともに導体図形入力手段、ビア図形入力手段の主体をなすものである。なお、導体図形あるいはビア図形を含む別途作成された図面データをレイヤに流し込んで使用する場合は、その図面データの転送手段(例えばFDD109やHDD110、さらには入出力インターフェース102に接続された通信手段など)が、導体図形入力手段やビア図形入力手段の主体をなすこととなる。また、入出力インターフェース102は、プリンタ114やモニタ113とともに、作図が終了した電子回路基板の設計図面を印刷出力する図面出力手段あるいは凹凸情報出力手段として機能する。
HDD110には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)161及びアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという)162が格納されている。アプリケーション162は、電子回路基板設計システム100の機能を実現するためのコンピュータプログラムであり、OS161上にてアプリケーションワークメモリ152を作業領域とする形で作動するものである。これは、例えばCD−ROM120等にコンピュータ読み取り可能な状態で記憶され、HDD110上の所定の記憶領域にインストールされる。また、HDD110には、作成済の図面データファイル163と、レイヤ別厚さデータファイル164、凹凸マッピング用厚さカウンタデータファイル165、及び補正層図形の作図を禁止するエリアやレイヤを規定する禁止設定データファイル166が記憶されている。また、補正データファイル167には、導体図形ないし後述の補正層図形に対し、厚さ、平面形状及び導体レイヤ上の配置位置の少なくともいずれかに、後述の補正処理を施すために参照する補正データが格納されている。一方、RAM105には、OS161のワークメモリ151、及びアプリケーションのワークメモリ152がそれぞれ形成される。さらに、HDD110に記憶された上記データのうち、作業を行なう図面に使用するデータを格納するための、図面データメモリ152g、レイヤ別厚さデータメモリ152i、凹凸マッピング用厚さカウンタデータメモリ152j、凹凸マッピング表示メモリ152k、禁止設定データメモリ152l及び補正データメモリ152mが形成されている。
図1は、上記電子回路基板設計システム100の適用対象となる電子回路基板40の一例を断面構造にて示している(この電子回路基板2はセラミック配線基板として構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、オーガニック基板への適用も可能である)。セラミック配線基板2は、複数のセラミック誘電体層(以下、ビア層ともいう)50と、配線部30、面導体56又はパッド154からなる導体エレメントをそれぞれ有する複数の金属導体層51とが交互に積層された積層体を有する。その積層体の第一主表面MP1には、集積回路部品として構成された電子部品としての半導体部品1を接続するための端子接続パッドアレイ155が形成されている。他方、半導体部品1は部品側端子パッド101を有し、基板側の端子接続パッドアレイ155にこれら部品側端子パッド101が半田接続部102を介してフリップチップ接続されることにより面実装され、基板2とともに電子回路基板40を構成する。一方、セラミック配線基板2は、セラミック誘電体層50にて隔てられた2つの金属導体層51にそれぞれ含まれる層状導体要素30同士が、セラミック誘電体層50を厚さ方向に貫通して形成されたビアホール内部を充填するビア導体35により互いに導通接続された構造を有する。ビア導体35は、金属導体層51に形成されたビア受け用のパッド154、ないしグランド層ないし電源層として機能する面導体56に結合される。また、セラミック配線基板2の第二主表面MP2には、該基板2自身をマザーボード等の接続先基板に実装するためのパッドアレイ156(例えばBGAパッドあるいはPGAパッドからなる)が形成されている。
上記のセラミック配線基板2は、例えば以下のような方法により製造できる。まず、ビア層(セラミック誘電体層50)となるべきセラミックグリーンシートを用意する。該セラミックグリーンシートは、セラミック誘電体層の原料セラミック粉末に、溶剤、結合剤、可塑剤、解膠剤、湿潤剤などの周知の添加剤を配合して混練し、ドクターブレード法等によりシート状に成形したものである。このセラミックグリーンシート上に印刷マスクを重ね、配線部や面導体などの導体エレメントのパターンを、マスク開口に金属粉末ペーストをスキージを用いて擦り切り充填することにより印刷形成する。このとき、この導体エレメントが非占有となっている領域に、後述のごとく、基板の対象エリア(凹凸情報発生面)における凹凸が縮小方向に最適化されるように補正層の配置位置をレイヤ毎に定め、セラミックペーストを用いて該補正層のパターンを同様に印刷形成する。これらの導体パターン及び補正層パターンを形成したら、その上に別のセラミックグリーンシートを重ね、さらにパターン印刷/セラミックグリーンシート積層の工程を繰り返し、これらを積層してグリーン積層体を得る。なお、ビアのパターンは、セラミックグリーンシートのビア形成位置にドリル等を用いてビアホールを穿孔しておき、ここに金属粉末ペーストを充填して形成する。上記のグリーン積層体を焼成することにより、セラミック配線基板2を得ることができる。
なお、適用対象となる基板がオーガニック基板である場合は、ビア層(誘電体層)は高分子材料からなるビルドアップ層とされる。この場合、補正層は金属層又は高分子材料で形成され、前者の場合はメッキ工程により、後者の場合はセラミックペースト印刷に代えて塗料印刷や感光性フィルムを用いたフォトリソグラフィー工程により形成することができる。
さて、電子回路基板設計システム100は、上記のような基板を設計・作図するために、従来の電子回路基板設計システムとほぼ同様の作図処理機能を有している。アプリケーションプログラム162を起動させると、モニタ113(図2)には、図3に示すように、作図画面440が表示される。アプリケーションプログラム162の作図処理部分は、公知のCADシステムと同様にドロー系グラフィックソフトウェアとして構築されており、作図画面440上にて、マウス107の操作により、電子回路基板40の導体(配線や面導体)エレメントの図形を、CADデータとして個別に入力しながら作図作業を進めるものである。形成すべき導体層とビア層に対応する複数の作図レイヤが作図画面440に対して設定される。これら作図レイヤ(以下、単にレイヤともいう)は、図3においては重なっているため視覚的には判別できない。また、各レイヤに書き込まれた図形は作図画面440上では重ね表示されるが、特定のレイヤ上の図形のみを表示させたり、あるいは色彩、明るさ、濃淡、塗りつぶしパターンの変更等により、他のレイヤ上の図形とは表示状態を異ならせることが可能である。
図9は、作図処理の流れを示すフローチャートである。まずS1では、エレメントを書き込みたいレイヤを選択する。このレイヤ選択は、例えばマウス107(図2)により、画面上に表示されたレイヤ選択のためのソフトボタン(図示せず)をクリックすることで行なうことができる。図形として入力できるのは上記した導体エレメントと、異レイヤ間の導体エレメント同士を接続するためのビアの図形であり、S2及びS8では、そのどちらを選択するかがコマンド入力により決定される。このコマンド入力も、エレメント入力あるいはビア入力を選択するソフトボタン(図示せず)のマウスクリックにより行なうことができる。また、後述の補正層図形をマニュアル入力作図できるようにすることもできる。
エレメント入力が選択されたらS2からS3に進み、エレメント描画を行なう。エレメントの描画に際しては、公知のCADシステムソフトウェアと同様に、配線部描画、パッドやランドあるいは面導体の描画など、描きたいエレメントの種別毎に描画ツールが用意されている。描画ツールも、画面上にソフトボタンとして形成された描画ツール選択ボタン(図示せず)のマウスクリックにより選択できる。そして、所望の描画ツールを選択したら、作図位置を示すポインタPをマウス操作により移動させつつ、マウスクリックあるいはドラッグ(マウスボタンを押したままマウスを移動させること)等の操作を組み合せながらエレメントを描いてゆく。
図4に示すように、エレメントは1つ描き終わる毎に、その図形データであるエレメント記述データが、エレメント特定データ(例えばエレメントコード)及びレイヤ特定データ(例えばレイヤ番号)と対応付けた形で、図2の図面データメモリ152gに記憶されてゆく。エレメント記述データは、例えば図4に示すように、エレメントOB11,OB12,OB13,OB14等の形状、大きさ及び描画位置を、作図画面440(図3)上に設定される座標平面上で規定するためのベクトルデータ、関数式データあるいは特定の基準点の座標及び半径や長さ等の寸法規定データの組として表される。例えば、エレメントOB11は面導体であり、外径輪郭(外形線)の特定により、当該外形線の内側の面領域を規定する面データとして記述され、基準点A11(x0,y0)を起点として所定の向き(例えば右回り)に周回しながら、A11(x1,y1)、A11(x2,y2)、A11(x3,y3)、A11(x0,y0)の順でベクトルを連ねることによりエレメントの外形輪郭を描いた場合の、各ベクトル(線分)の終点位置の座標のデータ組として表わされている。エレメントOB12も同じである。また、パッドやランド等を表す円形のエレメントOB13は、その中心座標C13と半径r13とのデータ組として表わされている。さらに、例えば幅Wが一定した配線部の図形であるエレメントOB14などは、その起点位置B14(x0,y0)及び終点位置B14(x1,y1)の座標と線幅W14のデータ組として表わすことができる。なお、図3では、4つのエレメントOB11,OB12,OB13,OB14が全て同じレイヤ(M1)に描かれている。
一方、図9においてビア入力が選択された場合には、S9に進んでビア入力処理となる。具体的には、ビアを入力すべきレイヤを指定しながら、所期の位置にビアを個別に入力することができる。なお、3つ以上のビア層が設けられ、3つ以上のビア層にまたがるビアを入力する場合は、ビア開始層とビア終了層とを指定することにより、中間層のビアを自動発生させるようにしてもよい。そして、このビア図形(これも基板要素の一つである)のデータは、ビア位置データと、ビア層に対応したレイヤの特定情報(ビア形成レイヤVLY##)との組として、ビア特定データ(例えばビアコード)と対応付けた形で図面データメモリ152gに記憶される。上記の処理を繰り返して所望の電子回路基板の設計図を作成してゆく。上記のようなエレメントやビアの入力の作図入力を繰り返した後、作図作業を終了する場合は、図面データメモリ152g内に蓄積されている図形のデータ、すなわち図面データを、ファイル名を付与して、HDD110(図2)の図面データファイル163に書き込み、保存する。なお、電子回路基板用の設計システムでは導体間の導通情報の作成も行なわれるが、周知の事項なので詳細な説明は省略する。
なお、上記の態様では、ビア層用のレイヤと導体層用のレイヤとを独立したレイヤとして設定していたが、これを見かけ上1つのレイヤに集約することもできる。しかし、この場合も、見かけ上は同一レイヤ上のエレメントして扱われていても、ビアと導体とは種別の異なるエレメントとして互いに識別可能なインデックスが付与されるので、実質的にビアレイヤと導体レイヤとを個別に設定する概念に属するものとみなす。
次に、電子回路基板設計システム100は、上記の作図処理機能のほかに、本発明特有の機能である凹凸情報発生及びその表示出力機能と、その凹凸情報に基づいて基板に発生している凹凸を補正する凹凸補正処理機能を有している。該機能は、アプリケーションプログラム162(図2)のうち、図10の凹凸マッピング主処理によって実現される。まず、凹凸情報の作成対象となる図面データ(補正前設計情報)を読み込む。この図面データは、本システムで作成されたものであってもよいし、他のシステムで作成されたものであってもいずれでもよい。
回路基板設計時には、凹凸情報をその都度フィードバックし、対象エリアに凹凸が極力生じないように、初めから導体パターンのレイアウトを考慮しながら図形入力する方法も原理的には可能であるが、設計上の制約が非常に大きくなるので、図面完成までに多大な時間を要し現実的ではない。従って、部分的に凹凸調整を考慮することはあっても、基本的には凹凸プロファイルの制約を受けない形で、要求される基板仕様を充足する導体レイアウトが得られるように導体図形およびビア図形の入力を行なって仮図面データ(補正前設計情報)の形でまず完成させておき、その後、補正層を適宜挿入して凹凸補正し、最終的な図面データを得る方法が最も能率的であるといえる。仮図面データは、基板製造者が製造受注するクライアント側から、希望仕様という形で予め準備されていることもある。
このような仮図面データは、基板本来の電気的な仕様を優先させて作成されているから、通常は、対象エリアの凹凸プロファイルは適正化されたものになっていない。さしあたっては、仮図面データの状態で対象エリアにどの程度の凹凸を生じているかを、客観的かつ定量的に評価・確認することが重要である。そこで、仮図面データを、HDD、CD−ROM、あるいは通信回線などを介して読み取り、これに含まれている導体図形及びビア図形のデータを、システム内に設定された各レイヤに流し込むことができる(データ挿入手段:この読取り及びレイヤ流し込みの処理が、導体図形入力手段及びビア図形入力手段の機能を実現していると見ることもできる)。
次に、T1では基本情報設定処理が行なわれる。図11はその詳細を示すものである。T101では導体層厚さをレイヤ別に設定する。全てのレイヤで導体層厚さが同じであれば、その値をデフォルト設定しておけばよい。他方、レイヤによって異なる導体層厚さで基板設計したい場合は、レイヤ毎に所望の導体層厚さを設定する。この設定した厚さが、凹凸情報作成時に使用する、当該レイヤのレイヤセルに設定する厚さパラメータ値(あるいは、前述の重み係数)となる。
T102では、凹凸マッピング用データ(凹凸情報)を作成する対象エリア(凹凸情報発生面)の設定を行なう。該対象エリアは、基板の第一主表面、例えば図1の基板2の場合は、半導体部品1がフリップチップ接続される基板側パッドアレイ155のエリアに設定できる。また、基板の第二主表面、例えば図1の基板2の場合は、基板2自身をマザーボード等の接続先基板に実装するためのパッドアレイ156のエリアにも設定できる。さらに、基板側パッドアレイ155の周囲を取り囲む形で部品密封用の壁部(スティフナ)が半導体部品1の第一主表面側に形成され、該壁部内側の形成される凹部内に半導体部品1が実装される場合は、その凹部底に形成された部品実装面を対象エリアとして設定することができる。
T103では、レイヤ別厚さ分布情報発生手段の一部機能を担うセル分割手段、すなわち、導体レイヤの凹凸情報発生面に対応する領域を厚さ分布演算用のセルに分割する手段が機能実現される。具体的には、各導体レイヤの対象エリア(凹凸情報発生面)に対応する領域を、厚さ分布演算用のセル(レイヤセル)に分割するための予備処理として、対象エリアのセル分割数、例えば図5に示すごとく格子状にセル分割する場合は、その縦横のセル分割数の設定を行なう。
レイヤセルは、図5に示すように、凹凸情報の発生の要求される解像度に合わせて分割数が設定されている。このうち、導体エレメント(図では配線部を描いている)CLが占有しているセルを、占有済みセル(図中では記号「×」で表している:また、セルにセットするフラグ値は「1」である)として設定する。なお、導体エレメントに完全に占有されたセルが占有済みセルとして設定されるのはもちろんであるが、部分的にしか占有されていないセルの取り扱いにはいくつかの選択肢がある。例えば、占有面積率が閾面積率を超えたときに占有済みとして設定することが可能であるが、セル毎の占有面積率が煩雑になる可能性がある。他方、部分的にしか占有されていないセルは、占有面積率とは無関係に占有済み又は非占有のいずれかに設定する方法もある。この方法は占有/非占有の判定が容易である。また、金属ペーストによる印刷にて形成される導体エレメントが後述の補正層との重なりにより損傷する不具合を回避する観点においては、部分的にしか占有されていないセルは占有面積率とは無関係に占有済みとすることがより有利であり、本実施形態でも該方式を採用する(以上、セル毎にエレメント図形の存在を判定するセル別エレメント図形判定手段が機能実現されていることが明らかである)。
また、後述の補正層が配置されたセル(図中ではハッチングを施したセルで表している:また、セルにセットするフラグ値も同じ「1」)も一種の占有済みセルである。他方、導体エレメントも補正層も配置されていないセルは非占有セル(図中では空白セルで表している:また、セルにセットするフラグ値は「0」(デフォルト値))である。一方、後述する禁止エリアに設定されたセル(図中には表示なし:セルにセットするフラグ値は「2」)は、占有済みセルではないが、補正層の配置は禁止される。なお、補正層図形の入力はセル単位で、マニュアルで行なってもよいが、本実施形態では後述するごとく、凹凸補正処理の形で自動入力される(以上は、補正層図形入力手段の機能である)。
各導体レイヤにおいて各セルには、厚さパラメータ値(以下、単に「厚さ値」ともいう)が設定される。該厚さ値は、占有済みセル(エレメント図形が存在すると判定された)と、非占有セル(エレメント図形が非存在と判定されたセル)との間で値に差が生ずるように各セルに設定される。具体的には、エレメント図形が非存在のセルには厚さ値としてゼロを設定し、エレメント図形が存在するセルには、レイヤ別に定められたゼロでない有限の厚さ値を設定することができる。
仮図面データ(補正前設計情報)においては、どのエレメントの断面も矩形状であり、一様な厚さを有するものとして設定されている。本実施形態では、エレメントの種別(配線部エレメントと面導体エレメント)、エレメントのレイヤ内の位置(例えば、ビアの直上に導体エレメントが位置したり、あるいは面導体に近接して補正層が配置されている場合など)、エレメントの寸法(配線部の場合、その配線幅)及び形状(配線部と面導体との区別など)、さらには同一エレメント内の部位の違い、等に応じて厚さ補正が行なわれる。従って、図16に示すように、同一エレメント内であっても、レイヤセルの位置によって異なる厚さ値が設定される場合がある。詳細は後述する。以上、セル別厚さパラメータ設定手段の機能が実現されている。
各導体レイヤは、対象エリアの直下に位置するエリアにて幾何学的に等価にセル分割される。そして、レイヤ間で面内位置が共通する全てのレイヤセルに共通に対応して、凹凸マッピング用のセルであるマッピングセルを概念的に考えることができる。このマッピングセルには、それぞれ、各導体レイヤのセルの厚さ値(厚さパラメータ値)が加算される凹凸マッピング用厚さカウンタ(以下、単に「カウンタ」ともいう)が格納され、それらカウンタの集合が凹凸マッピング用厚さカウンタデータファイル165(図2)に記憶されている。該カウンタの集合により、レイヤ別厚さ分布情報合成手段、すなわち、レイヤ別厚さ分布情報を複数の導体レイヤ間で合成することにより、凹凸情報を生成する手段が、対応するセル毎に複数の導体レイヤ間で厚さパラメータ値を加算し、各セルの厚さパラメータ加算値に基づいて凹凸情報を生成する厚さパラメータ加算手段を有するものとして機能実現されていることは明らかである。
次に、T104に進み、各導体レイヤの一部の領域に、(補正層図形入力手段による)補正層図形の入力が禁止された禁止エリアを設定する処理が行なわれる(禁止エリア設定手段の機能である)。このような禁止エリアを設定することで、補正層が配置されると不都合なエリアを予め禁止エリアとして設定しておくことで、該エリアに補正層が誤って配置されることに基づく不良等を効果的に回避することができる。
具体的には、図6に示すように、導体図形をなす配線図形LNが一定密度以上に密集した配線密集領域B1を禁止エリアとして設定することができる。このような配線密集領域B1においては、狭い配線間スペースに無理に補正層を配置しようとすると、補正層パターンが配線パターンと重なって、配線パターンに損傷を与え、断線や導通不良あるいは短絡等の原因になったり、あるいはパターン重なりによる異常凸部を生じたりすることがある。特に、セラミック基板のように、配線パターンが金属ペーストの印刷により形成され、補正層をセラミックペーストの印刷で形成する場合、狭い配線間スペースに補正層をペースト印刷により形成しようとすると、マスク精度等の影響により補正層印刷パターンが配線印刷パターンに重なり、配線印刷パターンが崩れたり、滲んだりして断線や導通不良あるいは短絡等の不具合が特に生じやすい。従って、該配線密集領域B1を禁止エリアとして設定することは、これらの不良を低減する意味で非常に効果的である。
また、図6に示すように、面導体PLの占有エリアに関しては、その周囲に一定のマージン部ΔPLが生ずるように禁止エリアB2を設定することができる。このようなマージン部ΔPLを設けておくことにより、図17に示すように、面導体エレメントと、これに隣接配置される補正層エレメントとの間には、設定したマージン部ΔPLに相当する隙間を形成でき、面導体PLに補正層が重なって面導体PLのエッジ部を損傷させたり、異常凸部を生じたりする不具合を効果的に回避することができる。なお、禁止エリアB2はマージン部ΔPLが包含されていれば、その内部領域が特に禁止エリアB2に属していなくとも、面導体PLの存在により補正層配置はいずれにしろ禁止される。しかし、面導体PL全体を包含するように禁止エリアB2を設定するほうが、エリア設定入力は明らかに簡便である。
なお、禁止エリアの設定は、配線密度(占有面積率)を演算して自動設定することも可能であるが、熟練した設計者であれば、不具合を生じそうな配線密集領域はだいたい判別できるので、レイヤ毎の配線レイアウトを目視確認しながらマウス等で手動入力する方式を採用するほうが、機能的には簡便で扱いやすい。
また、禁止エリアの概念に属するものであるが、特定の導体レイヤの全体を禁止レイヤとして設定することもできる。補正層が配置されると不都合なレイヤを予め禁止レイヤとして設定しておくことで、該レイヤに補正層が誤って配置されることに基づく不良等を効果的に回避することができる。この場合も、禁止エリアの場合と同様に、導体図形をなす面導体図形又は配線図形が一定面積率以上に密集入力された導体密集レイヤを、禁止レイヤとして設定すると、パターン重なりによる断線、導通不良、短絡、異常凸部等の不良回避を図る上で効果的である。
図11に戻り、T104にて補正禁止エリアないし補正禁止レイヤの入力設定が終了すれば、図10のT2に進み、凹凸データ作成処理に移る。詳細を図12に示している。図12の凹凸データ作成処理では、T201において、対象エリアが存在するマッピング対象面(つまり、基板の第一主表面及び第二主表面のいずれに存在するか)を特定する。T202〜T204では、マッピング対象面と反対側の主表面を、凹凸算出の基準面として設定し、T205ではその基準面に近い側から、各導体レイヤにナンバリングを行なう。なお、T201Aで基準面のマニュアル設定が選択された場合はT201Bに進み、厚さ方向の任意の所望位置に基準面を設定することができる。そして、T206でレイヤ番号LNを初期化する。T207ではレイヤ番号LNの導体レイヤを前述のレイヤセルに分割する。レイヤセルの各フラグ値は、全て非占有(0)に設定しておく。また、同時に、対応するマッピングセルの各セルに対応するカウンタを発生させる。各カウンタの初期値は、凹凸算出の基準面が完全に平坦ならば全て一定値(例えばゼロ)に設定し、不可避的に基準面の変形が生ずる(例えば焼成時に生ずる基板の反りなど)場合は、その変形を反映した凹凸情報を与えるカウンタ値を各セルにデフォルト設定する。
次に、T208に進み、レイヤ内の各エレメントに対し、後述の位置ずれ分布補正を行ない、T209で、そのレイヤのセル番号CNを初期値に設定する。T210では、番号CNのセルに導体エレメント(予め補正層が挿入されている場合は、補正層エレメント)の図形が重なっていないかどうかを、周知のグラフィック処理により判定し、YesであればT211に進んで、その導体エレメントの厚さ値を対応するカウンタに加算する。また、T212では、そのレイヤセルのフラグ値を導体占有済(1)に設定する。他方、T210でNo(導体エレメントの重なりなし)ならば、カウンタへの加算を行なわずにT213へ進み、そのセルが禁止エリアに属しているか否かを判定し、禁止エリアに属していれば、そのセルのフラグ値を禁止セル(2)に設定する。
次に、T214に進み、次のレイヤセルがあればT215でセル番号CNをインクリメントしてT209に戻り、以降の処理をそのレイヤの全てのセルについて繰り返し行なう。そして、T216では、エレメント補正処理を行なう。
エレメント補正処理としては、次のようなものが行なわれる。まず、図16に示すようなエレメントの部位別厚さ補正である。図20に示すように、配線部の場合は、幅方向の位置に応じて厚さが異なるものとなるように補正が行なわれる。具体的には、実験的に求めた配線部の断面形状を元に、標準幅(W0:図23)の配線部の断面形状を反映した第一種補正厚さプロファイルが作成され、補正データファイル167(図2)に記憶されている。図20の(1)〜(2)に示す第一種補正厚さプロファイルにおいては、基準線OJからの距離xの関数として厚さデータが与えられており、該第一種補正厚さプロファイルを用いて配線部の幅方向厚さ分布が補正される。配線部も含めた導体エレメントの印刷パターンは、開口を有する印刷マスクをセラミックグリーンシート上に重ね、金属ペーストをマスク上に配置し、開口内へ金属ペーストをスキージで擦り切り充填することにより形成される。ここで、パターンのエッジ部分はペーストダレによりに傾斜面状に薄肉化するので、エッジに近づくほど厚さが減少する傾斜断面部が第一種補正厚さプロファイルに反映されている。この事情はパターンが面導体や補正層であっても同じである。
配線部の場合、配線部幅が狭くなると、ペーストの表面張力が強く作用するので、エッジ側面の傾斜は急となりやすい。そこで、図20の(1)及び(2)に示すように、配線部図形の幅が小さくなるほどエッジに向けた傾斜が急となるように、傾斜断面部の形状は調整されることとなる。一方、面導体については、図20の(4)に示すように、面導体のエッジに沿って傾斜断面部が形成され、傾斜断面部よりも面導体内側に隣接する形でエッジに沿うリブ状の厚肉部が形成され、さらに該厚肉部よりも内側に位置する面導体領域に、厚肉部よりも小さな厚さを有する平坦部が形成された第二種補正厚さプロファイルが作成され、補正データファイル167(図2)に記憶される。該第二種補正厚さプロファイルを用いて面導体のエッジ領域の厚さ分布が補正される。このような補正厚さプロファイルが使用されるのは、面導体の内側領域はマスク開口内で撓んだスキージにより、ペースト塗付層の最表面部がこそぎとられ、エッジ部よりも相対的に厚さが小さくなる傾向にあるためである。なお、上記の補正の傾向は、使用するペーストの種別によっても異なり(例えば、ペーストに含まれる粉末の粒径など)、同じ基板内で複数種類のペーストが使用される場合は、ペーストの種類に応じて補正プロファイルデータを個別に用意しておき、適宜選択して用いるようにしておくとよい。
また、図21に示すように、導体図形の直下に位置する誘電体層にビア図形が入力されているとき、該ビア図形の中心から層面内において一定距離以内にある導体図形領域の厚さを、該領域の周囲領域よりも大きくなるように補正処理を行なう。図18に示すように、セラミックグリーンシートとビア金属ペーストパターンとではセラミックの方が収縮量が大きく、焼成後は、取り残されたビア導体の先端部が誘電体層(ビア層)50の主表面から突出し、突出部を形成する。従って、図21に示すように、ビア導体上に導体エレメントを形成すると、ビア導体の先端部が突出するに伴い、導体エレメントが持ち上げられる。この場合、ビア導体上の導体エレメントは(実厚さには変動はなくとも)見かけ上は厚さが増大したのと同じことになる。そこで、本実施形態では、ビアの中心に関して半径方向の突出プロファイルをビア補正プロファイルデータとして用意しておき、ビア周辺の導体層を該ビア補正プロファイルデータに基づいて増厚補正するようにしている。ビア補正プロファイルデータは、具体的には入力された基板設計厚さを100%として、導体層の面内各位置の相対的な補正厚さデータを、ビアの中心からの距離の関数として与えている。
また、導体パターン形成のための印刷マスクの位置合わせ精度には一定の限界があり、設計情報が示す導体図形の配置位置に対し、一定の公差の範囲内で位置ずれが生ずる。図25に示すように、位置ずれ量をλとすれば、λだけシフトした図形周囲領域には設計上は導体が存在しないにもかかわらず、位置ずれの結果として該領域にも導体が存在することになる。従って、図19に示すように、設計情報に反映された導体図形の占有領域を、導体図形の位置ずれ分布に応じて外側に拡張する補正を行なうことが有効である。この位置ずれ分布補正は、図12のT208で行なう。
導体パターンの位置ずれは、その位置ずれ量に応じて発生確率が異なるので、多数の製品を製造したときの位置ずれ量を測定し、位置ずれ時の厚さプロファイルを確率分布を利用して平均化処理することで、位置ずれ分布を吸収する拡張量を合理的に決定することができる。図25には、その補正方法の一例を概念的に示している。まず、理解を容易にするために、一方向の位置ずれのみを考えて説明を行なう。導体パターンの厚さプロファイルを、基準線からの距離xの関数としてf(x)により表わすと、x方向にλだけ位置ずれを起せば、厚さプロファイルf(x)はλだけ平行移動し、f(x−λ)となる。他方、距離λの位置ずれを起す確率が、確率密度関数p(λ)(例えば、位置ずれが統計的にランダムに生ずる場合は、例えば正規分布の密度関数を考えればよい:なお、p(λ)は規格化されているものとする)に従って変化する場合、位置ずれ量が微小区間[λ,λ+dλ]内に落ちる確率はp(λ)dλであるから、位置ずれ分布を考慮した平均的な厚さプロファイルF(x)への、位置ずれ量λとなるプロファイルf(x−λ)の確率的な寄与は、f(x−λ)・p(λ)dλとなる。
位置ずれ量が公差範囲±αに収まる確率が十分に高ければ(例えば99%以上)、該公差範囲を積分区間としてf(x−λ)・p(λ)dλを積分することにより、位置ずれ分布を考慮した平均的な厚さプロファイル(つまり、位置ずれ分布補正後のプロファイル)F(x)を、図25の(4)式のように算出することができる。このプロファイルF(x)は、エッジに近づくほど導体パターンの存在確率が減少するので、エッジ領域にて上記の存在確率が反映された減厚形状(つまり傾斜断面形状となる)。厚さプロファイルf(x)、は、製造工程でのサンプリング等により、導体パターンの印刷形成工程を複数回繰り返して行なったときの厚さプロファイルを、周知の形状プロファイラ(レーザープロファイラや表面粗さ計など)にて測定することにより決定できる。例えば、この測定結果から位置ずれ量λの標準偏差σを求めることができ、p(λ)として正規分布を採用する場合は、位置ずれ公差±αを該標準偏差σから推定できる(例えば3σ値)。(4)式の積分は、f(x)を関数点の集合として定義し、次に、公差区間[−α,+α]にてλを一定間隔Δλの離散値に分解し、予め用意した確率分布表(例えば正規分布表)から種々のλに対応するp(λ)の値を求め、f(x−λ)・p(λ)・Δλを、全てのλの離散値について重ね合わせることで、数値的に求めることができる。
なお、位置ずれ分布補正後のプロファイルF(x)の形状は、図19に示すように、エッジ部分だけが特有の傾斜形状を示し、中央部分は一様な平坦形状となる場合が多い。従って、パターン厚さが一定であれば面積が多少変わってもエッジ形態はほぼ同じであるといえる。そして、パターン厚さ変化に応じて相似則によりエッジ形態が変化する場合は、基準厚さのエッジ形態を予め上記の演算により求めて基本データとして記憶しておき、実パターン厚さに対応するパターンに相似的に変換して補正プロファイルを発生させるようにすれば、(4)式の積分のような複雑な演算をシステム内で行なう必要がなくなり、システムの軽量化と補正演算の迅速化に寄与する。
以上の説明は、位置ずれが一方向にのみ生ずる場合を考えていたが、パターンの厚さプロファイルはレイヤ面内に二次元的な広がりを持っており、位置ずれも独立した2方向(x、y方向)に生ずる。この場合、厚さプロファイルは2変数関数f(x,y)で表され、位置ずれ量もx,yの各方向に発生する。そして、x,yの各方向の位置ずれ量がλ,νとなる確率が、二次元確率密度関数p(λ,ν)で与えられ、かつ、λとνの各公差範囲が±α1、±α2であるならば、図25の(5)式を用いて置ずれ分布補正後のプロファイルF(x,y)を同様に計算できる。なお、f(x,y)がx,yの両方向に、同一公差±αの独立した位置ずれ確率分布p(λ),p(ν)を有しており、かつ、f(x,y)が変数分離できる場合は、(5)’式を用いるとよい。
図12のT208では、各エレメントの外形線を上記位置ずれ分布の計算結果を受けて拡張するとともに、減厚補正すべき領域にかかっているレイヤセルには、該セル位置における補正後プロファイルの減厚された相対厚さ値(例えば平坦部での値を1とする)を補正係数としてセットし、後述のエレメント補正等を経て該セルにセットされる厚さ値が、該補正係数が規定する比率により減じられるようにしておく。
図15にエレメント補正処理の詳細を示す。導体レイヤ内の各エレメントはナンバリングしておき、T601ではエレメント番号を初期化する。T602では番号ENのエレメントを読み出し、T603でエレメント基準線を設定する。図22に示すように、配線部エレメントの場合は、例えば配線の幅方向中心線を基準線OJとして設定する。面導体(及び後述の補正層)の場合は、矩形の面導体であれば短辺方向と長辺方向のそれぞれの中心線を基準線として設定する。また、複数の矩形体部分が複合化した形状を有している場合は、各矩形体部分毎に基準線を設定すればよい。この基準線設定を全てのエレメントについて繰り返す。
T606に進み、セル番号CNを初期化し、T607で、そのセルがどれかのエレメント内に属しているかどうかを判定する。属していなければCNをインクリメントしてT607に戻り、次のセルについて同じ判定を行なう。他方、属していると判定された場合はT609に進み、そのエレメントが配線部かどうかをチェックする。配線部であればT610に進み、配線幅が閾幅以下であればT611に進んで、第一種補正厚さプロファイルを読み出す。第一種補正厚さプロファイルは、図2の補正データファイル167内に標準データの形で記憶されている。図23に示すように、該標準データは、予め定められた基準厚v0及び基準幅w0の配線部の補正厚さプロファイルを表わすもので、その幅方向LPの各位置xにおける厚さ値f0(x)を、基準厚v0に対する相対厚さの形で表している。
基準厚v0及び基準幅w0のデータは、最終的には設計厚さv及び設計幅wのデータに変換しなければならない。基準幅w0内の各位置xが、設計幅w内の各位置x’に対応し、基準厚v0及び基準幅w0での補正厚さプロファイルがf0(x)に、設計厚さv及び設計幅wでの補正厚さプロファイルがf(x’)に対応すると考えると、幅及び厚さの双方に相似則が成り立つとすれば、
x’=x・(w/w0) ‥(1)
f(x’)/f0(x)=v/v0 ‥(2)
であるから、
f(x’)=(v/v0)f0(x)=(v/v0)f0(x’・(w0/w)) ‥(3)
である。つまり、基準厚v0及び基準幅w0の補正厚さプロファイルf0(x)が与えられていれば、任意の設計厚さv及び設計幅wの補正厚さプロファイルf(x’)に変換することができる。
x’=x・(w/w0) ‥(1)
f(x’)/f0(x)=v/v0 ‥(2)
であるから、
f(x’)=(v/v0)f0(x)=(v/v0)f0(x’・(w0/w)) ‥(3)
である。つまり、基準厚v0及び基準幅w0の補正厚さプロファイルf0(x)が与えられていれば、任意の設計厚さv及び設計幅wの補正厚さプロファイルf(x’)に変換することができる。
他方、T609、T610で、エレメントが面導体又は閾幅を超える配線部であればT612に進み、第二種補正厚さプロファイルを読み出す。第二種補正厚さプロファイルは、図20下の(4)に示すごとく、面導体(又は広幅の配線部)のエッジに沿って傾斜断面部が形成され、傾斜断面部よりも面導体内側にリブ状の厚肉部が形成され、さらに該厚肉部よりも内側はそれよりも小厚の平坦部が形成されたドッグボーン状の形態を有する。該プロファイルは、幅方向中心線すなわち基準線OJに関して左右対称であり、かつ、基準線OJと直交する向きの幅が変化したとき、中央の平坦部の幅が変化するのみで、傾斜断面部と厚肉部の形状は基本的に変化しない。また、幅がさらに縮小すると、平坦部が消滅するとともに両側の厚肉部は中央側が食い合う形で合体し、図20下の(3)のような頂部が平坦な形状へと変化する。そこで、本実施形態では、図24に示すように、第二種補正厚さプロファイルは、基準厚v0での、基準線OJに関する片側形状のみ平坦部を延長したデータの形で与え、エレメント幅をwとして該片側プロファイルを、1/2wの位置を基準線OJの位置として切り取り、その切り取ったプロファイルを正置プロファイルとする一方、OJに関してこれを左右反転した反転プロファイルを作り、OJの位置で正置プロファイルと結合して、エレメント幅wに対する第二種補正厚さプロファイルf0(x)とする。この場合、厚さ方向に相似側が成り立つと考えれば、任意の設計厚さvの第二種補正厚さプロファイルは、(v/v0)f0(x)にて得ることができる。
図15に戻り、以上のようにして補正厚さプロファイルのデータが準備できれば、次のようにしてセル別の厚さ値に変換してゆく。図22も参照しながら、その処理の流れを説明する。まず、T613では、番号CNのセルの代表点(例えば幾何学的重心点とすることができるが、これに限定されない:図22、CO1,CO2‥)と基準線OJとの距離x(図22、x1,x2‥)を算出する。そして、T614では、その距離xに対応する補正厚さ値hを、補正厚さプロファイルのデータから読み取る。次に、T615では、セル代表点が、最近接(直下)のビアの中心から補正が必要な臨界距離(図22のビア補正プロファイルデータにおいて、補正後の相対厚さが100%となる距離)内に入っているかどうかを判定する。入っていれば、T616に進み、セル代表点とビアの中心との距離rを算出し、rに2対応する相対厚さ値をビア補正プロファイルデータにて読み取り、上記算出した補正厚さhに該相対厚さ値を乗じて、ビア導体の突出の影響による補正を行なう。
以上で番号CNのセルに対する厚さ値の設定処理が終わり、T617で次のセルがあればT608に進んでセル番号CNをインクリメントし、T607以下の処理を以降のセルに対して繰り返す。そして、T617でセルが尽きていれば、図12の凹凸データ作成処理に戻り、T217に進む。ここでは、補正処理後の各セルの厚さ値を、対応するマッピングセルのカウンタに加算する。こうして、1レイヤ分の処理が終了し、T218で次のレイヤがあればT219に進み、レイヤ番号LNをインクリメントしてT207に戻り、以降の処理を全てのレイヤについて繰り返し行ない、処理を終了する。
該処理を終了した状態を図8の工程1に示している。メモリ152j内の各マッピングセルのカウンタには、占有済みセルとなっている各レイヤの厚さ値が加算されている。導体エレメントが少数しか存在していない(つまり凹部となる)セルのカウンタ値は小さく表れ、導体エレメントが多数存在している(つまり凸部となる)セルのカウンタ値は大きく表れて、相対的な凹凸分布がカウンタ値により定量化されている。なお、図ではマッピングセルを、理解を容易にするため、便宜的に横一列のセルの集合として描いているが、実際には図5に対応する格子状に配置されるものである。
図10に戻り、T3に進んで凹凸マッピング表示処理となる。ここでは、凹凸情報発生面における三次元的な凹凸分布情報を凹凸情報として視覚表示する凹凸分布情報表示手段の機能が実現されることとなる。図13にその詳細を示している。該処理は、3次元マッピング処理として周知の手法を流用して行なうことができる。本実施形態では、その凹凸マッピングを、表示メモリ152kを利用して行なう。最も簡便な方法としては、各マッピングセルのカウンタ値を、表示装置(あるいは印刷装置)のピクセル(表示メモリ152kのアドレスにて特定される)に対応させ、各カウンタ値に一義的に対応した表示状態(色、濃度、パターン、あるいは等高線マーキングなど)に各ピクセルを設定して、マッピングを行なう方法を例示できる。T301ではマッピングセル番号CNを初期化し、T302で番号CNのカウンタをリードし、T303でそのカウンタに対応するピクセルを、カウンタ値に応じた表示状態に設定する。T305で次のマッピングセルがあれば、T306でセル番号CNをインクリメントしてT302に戻り、以降の処理を全てのセル(カウンタ)について繰り返し行なう。こうしての表示メモリ152kにおいて、全てのカウンタに対応するピクセルの表示状態を設定し終わったらT307に進み、その表示メモリ152kの記憶内容に従ってマッピング画像をモニタ113ないしプリンタ114に出力する。
なお、対象エリア上のマッピングセルの位置座標にカウンタ値の座標を加えた3次元座標を用いると、上記の凹凸マッピングを3次元的に行なうこともできる。具体的には、該3次元座標のプロット空間を、表示画面(ないし印刷画面)上に所望の角度で二次元投影したときの、上記3次元座標点の2次元投影を周知のアフィン変換処理により求め、該2次元投影点を表示ないし印刷出力すればよい。この場合、投影されるプロット点に、そのプロット点のカウンタ値に一義的に対応した表示状態(色、濃度、パターン、あるいは等高線マーキングなど)を設定すれば、凹凸プロファイルを視覚的に把握しやすくすることができる。さらに、プロット点を用いて凹凸プロファイルの近似曲面データを、周知の3次元グラフィックスの手法により発生させ、さらに必要に応じてシェーディング等を施せば、よりリアルな凹凸プロファイルの表示が可能である。図7は、そのような凹凸プロファイルの表示出力例を示すものである。
図10に戻り、凹凸プロファイルの表示が終了すれば、T4で直ちに凹凸補正処理に移行するか、とりあえず凹凸プロファイルの確認だけで処理を終了するかを選択する。そして、凹凸補正処理に移行する場合はT5に進む。本実施形態の凹凸補正処理では、自動補正手段、すなわち、セル毎の厚さパラメータ加算値のうち、予め定められた厚さ基準値に対し規定値を超えて不足するパラメータ加算値を検索し、その検索されたパラメータ加算値に対応するセルのうち、エレメント図形が非配置となっているレイヤのセルである空きレイヤセルを見出し、該空きレイヤセルに補正層図形を自動入力する手段の機能が実現される。具体的には、共通の不足パラメータ加算値(マッピングセル)に対応する複数の空きレイヤセルが存在するとき、厚さ基準値に対する不足偏差が解消されるのに必要な数の空きレイヤセルを選んで、それら空きレイヤセルに補正層図形を自動入力するようにする。これにより、マッピングセル毎に必要十分な空きレイヤセルを見出して、これに補正層図形を(セル単位で)挿入することにより、各マッピングセルにおける厚さ基準値に対する不足偏差を容易に解消でき、ひいては対象エリアの凹凸解消効果を高めることができる。
この場合、図8の工程2及び工程3のように、補正層図形を自動入力する空きレイヤセルのうち、対象エリア(凹凸情報発生面)に近い導体レイヤのセルから補正層図形を優先的に入力すると、挿入される補正層が対象エリアに近いため、個々の補正層による対象エリアの凹凸プロファイルへの寄与も大きく現れ、ひいては凹凸補正効果を高めることができる。また、厚さパラメータ加算値の厚さ基準値としては、セル毎の厚さパラメータ加算値のうち最大値となるものを選択するとよい。つまり、最大値となる厚さパラメータ加算値を目標値とすれば、補正前の状態にて該最大値よりも突出した部分が存在しないため、補正層挿入により各厚さパラメータ加算値を目標値に接近させて凹凸プロファイルを最適化したとき、残留する凸部の数を少なくすることができる利点がある。特に、厚さパラメータ加算値が最大値よりも小さくなっている各セルについて、それぞれの厚さパラメータ加算値が最大値と一致する方向に、空きレイヤセルへの補正層図形の入力を繰り返すようにすると、(各マッピングセルの)厚さパラメータ加算値を一律に上記最大値に一致させることができ、対象エリアの平坦性を極めて高めることができる。図8では、補正前の厚さパラメータ値(カウンタ値)の最大値は「2」であり、補正後には厚さパラメータ値(カウンタ値)が全て最大値「2」となるように、空きレイヤセルに補正層51が挿入されている。
図14は、凹凸補正処理の詳細を示すものである。まず、T501では、全てのマッピングセルを検索し、最大となっているカウンタ値Hmaxを見出す。T502、T504で、そのカウンタ値が許容範囲内のものであれば該Hmaxを補正目標値HAとして設定する。他方、許容範囲外であればそのHmaxを採用除外設定し(T503)、T501に戻って再度検索を行なう。次に、T505では、補正目標値HAに対する許容偏差(不足値)ΔHOKを設定する。これは、対象エリアをなるべく平坦化する目的からすれば、全てのカウンタ値が補正目標値HAに一致するように補正層挿入を行なうことが望ましいが、マッピングセルの全てについて空きレイヤセルが常に十分な数だけ存在する保証はないので、補正目標値HAへのカウント値がΔHOKまでなら不足していても許容できるようにするためである。
次に、T506に進んでマッピングセル番号CNを初期化し、T507で番号CNのカウンタ値Hをリードし、T508で該カウンタ値Hの補正目標値HAからの不足値ΔHを算出する。この不足値ΔHが解消されるように、その番号CNに対応するレイヤセルのうち空きレイヤセルとなっているものに補正層を配置する。具体的にはT509でレイヤ番号LNを初期化する。LN=1は、図12の凹凸データ作成処理の流れから明らかな通り対象エリアに最も近いレイヤであり、LNがインクリメントされるに従い対象エリアからだんだん遠くなるようにレイヤ選択がされることになる。
T510では、番号LNのレイヤセルのフラグの設定状態をチェックする。フラグが「0」(非占有)となっていれば補正層配置が可能であり、「1」(占有)又は「2」(禁止)となっていれば配置不能である。前者の場合はT511からT512に進み、そのセルに補正層を配置し、T513で対応するマッピングセルのカウンタHを、そのレイヤに設定された補正層厚分だけ加算し、T514でΔH=HA−Hを再演算する。ΔHがゼロになっていなければT518に進んで次のレイヤがあるかどうかを調べ、レイヤがあればT519でレイヤ番号をインクリメントしてT510に戻り、以降の処理を繰り返す。こうして、対象エリアに最も近い空きレイヤセルから順に補正層が挿入されてゆく。そして、ΔHがゼロになれば、そのマッピングセルの処理は正常完了となりT516に進む。
しかし、該処理の繰り返し途中でΔHがゼロに到達しないまま空きレイヤセルのあるレイヤがなくなってしまったときは、T520に進み、そのときのΔHが許容偏差ΔHOK以下になっているかどうかを調べる。許容偏差ΔHOK以下になっていれば、そのマッピングセルの処理を正常完了としてT516に進む。しかし、許容偏差ΔHOKを超えている場合は、そのマッピングセルについては空きレイヤセルが始めから不足していたのであり、補正層の挿入だけでは凹凸解消できないことを意味する。従って、T526に進んでエラー表示を行なう。この場合、導体図形のレイアウト変更など、補正層配置以外の方法で凹凸解消することを試みることになる。ただし、許容偏差ΔHOKを超えているセルと判定された場合でも、対象エリア内での部品接続等にも影響を及ぼさない位置であって、一定の凹部残留が許される場合は正常終了としたり、許容偏差ΔHOKを超えているセルが一定数密集している場合に限って異常(エラー)と判定する、といった方法ももちろん可能である。
次に、T516でマッピングセルがあれば、T517でセル番号CNをインクリメントしてT507に戻り、以降の処理を全てのセル(カウンタ)について繰り返し行なう。そして、全てのマッピングセルについて正常終了となればT521以下に進み、レイヤ毎の補正層図形をマージする処理(T522)を行なう。マージされた図形の外形線は、最終的に補正ペースト塗布マスク製造等に使用するための補正層エレメント(補正ペーストパターン)図形として図面データに登録する(T523)。こうして、1レイヤ分の処理が終了し、T524で次のレイヤがあればT2525に進み、レイヤ番号LNをインクリメントしてT522に戻り、補正層マージ処理を全てのレイヤについて繰り返し行なう。
T524で次のレイヤがない場合、マージ後に得られる各補正層エレメントについては、図15のエレメント補正処理が終わっていないので、T527に進み、補正層エレメントについてのみ図15のエレメント補正処理を再度行なう。この場合、基板の対象エリアの凹凸分布も該エレメント補正処理により変化するため、T528で凹凸データ作成処理を再度実行して、各カウンタの厚さ値を更新する。また、補正層をエレメント補正処理すれば、直前の凹凸補正処理で最適化された対象エリアの凹凸プロファイルは多少悪化するので、T529からT501に戻って再度凹凸補正処理を行なう。このように、補正層を用いて凹凸補正を行なう場合、補正層自体のエレメント補正処理と基板の凹凸補正処理とを、凹凸データ作成処理で確認しながら交互に繰り返すことで、基板の対象エリアの凹凸プロファイルは段階的に最適化されてゆくことになる。しかし、通常は、T527のエレメント補正処理と、その後のT501以下の凹凸補正処理は1回だけ追加実施すれば十分であり、T529では、2度目の凹凸補正処理を行なった時点で処理終了となる。そして、図10に戻り、T6にて再度凹凸マッピング表示処理を行ない、補正の結果を確認すれば凹凸マッピング主処理を終了する。
50 導体層
51 ビア層
100 電子回路基板の設計システム
103 CPU(レイヤ設定手段、導体図形入力手段、ビア図形入力手段、凹凸情報発生手段、エレメント補正手段、凹凸情報出力手段、レイヤ別厚さ分布情報発生手段、レイヤ別厚さ分布情報合成手段、凹凸補正手段、補正層図形入力手段、自動補正手段)
106 キーボード(導体図形入力手段、ビア図形入力手段)
107 マウス(導体図形入力手段、ビア図形入力手段)
114 プリンタ(凹凸情報出力手段)
113 モニタ(凹凸情報出力手段)
152i レイヤ別厚さデータメモリ(セル分割手段、セル別厚さパラメータ設定手段)
152j 凹凸マッピング用厚さカウンタメモリ(レイヤ別厚さ分布情報合成手段、厚さパラメータ加算手段)
152m 補正データメモリ
51 ビア層
100 電子回路基板の設計システム
103 CPU(レイヤ設定手段、導体図形入力手段、ビア図形入力手段、凹凸情報発生手段、エレメント補正手段、凹凸情報出力手段、レイヤ別厚さ分布情報発生手段、レイヤ別厚さ分布情報合成手段、凹凸補正手段、補正層図形入力手段、自動補正手段)
106 キーボード(導体図形入力手段、ビア図形入力手段)
107 マウス(導体図形入力手段、ビア図形入力手段)
114 プリンタ(凹凸情報出力手段)
113 モニタ(凹凸情報出力手段)
152i レイヤ別厚さデータメモリ(セル分割手段、セル別厚さパラメータ設定手段)
152j 凹凸マッピング用厚さカウンタメモリ(レイヤ別厚さ分布情報合成手段、厚さパラメータ加算手段)
152m 補正データメモリ
Claims (16)
- 複数の導体層が誘電体よりなるビア層を介して積層された電子回路基板の設計システムであって、
電子回路基板に形成すべき導体層に対応する複数の導体レイヤと、前記ビア層に対応する複数のビアレイヤとを設定するレイヤ設定手段と、
前記導体レイヤに、導体図形を含むエレメント図形を、該エレメント図形の厚さ、平面形状及び前記導体レイヤ上の配置位置が反映された図形データとして入力する導体図形入力手段と、
前記ビアレイヤに、該ビア層を挟んで隣接する導体図形同士を連結するビアの図形を入力するビア図形入力手段と、
前記エレメント図形の少なくとも前記導体図形に対し、前記導体図形入力手段による入力データに反映された、該エレメント図形の厚さ、平面形状及び前記導体レイヤ上の配置位置の少なくともいずれかに、予め定められた内容の補正処理を行なうエレメント補正手段と、
個々の前記導体レイヤに入力され、かつ前記補正処理を行なった後のエレメント図形の分布情報に基づいて、前記導体層と前記ビア層との積層体よりなる前記電子回路基板の、厚さ方向の予め定められた位置に設定された凹凸情報発生面における凹凸情報を発生させる凹凸情報発生手段と、
前記凹凸情報を出力する凹凸情報出力手段と、
を備えたことを特徴とする電子回路基板の設計システム。 - 前記エレメント補正手段は、補正対象となる前記導体図形が配線部図形であるか、又は面導体図形であるかによって、補正内容が互いに異なるものとなるように前記補正処理を行なうものである請求項1記載の電子回路基板の設計システム。
- 前記エレメント補正手段は、前記エレメント図形の補正後の厚さが、該エレメント図形の平面形態上の部位に応じて異なるものとなるように前記補正処理を行なうものである請求項1又は請求項2に記載の電子回路基板の設計システム。
- 設計対象となる前記電子回路基板が、前記導体層を金属ペーストを用いた印刷工程にて形成したセラミック配線基板であり、
前記エレメント補正手段は、前記導体図形に、該導体図形のエッジに近づくほど厚さが減少する傾斜断面部が前記エッジに沿って形成されるように前記補正処理を行なう請求項3記載の電子回路基板の設計システム。 - 前記導体図形が配線部図形であり、前記エレメント補正手段は、該配線部図形の幅が小さくなるほど前記エッジに向けた傾斜が急となるように、前記傾斜断面部を形成する請求項4記載の電子回路基板の設計システム。
- 前記導体図形は面導体図形であり、前記エレメント補正手段は、該面導体図形のエッジに沿って前記傾斜断面部が形成され、前記傾斜断面部よりも面導体内側に隣接する形で前記エッジに沿うリブ状の厚肉部が形成され、さらに該厚肉部よりも内側に位置する面導体領域に、前記厚肉部よりも小さな厚さを有する平坦部が形成されるように前記補正処理を行なう請求項4又は請求項5に記載の電子回路基板の設計システム。
- 前記導体図形が配線部図形であり、前記エレメント補正手段は、該配線部図形の幅が閾幅以上のものであるとき、該配線部図形に対し前記面導体図形と同じ補正処理を行なう請求項6記載の電子回路基板の設計システム。
- 前記エレメント補正手段は、前記導体図形の直下に位置する前記誘電体層にビア図形が入力されているとき、該ビア図形の中心から層面内において一定距離以内にある導体図形領域の厚さが、該領域の周囲領域よりも大きくなるように前記補正処理を行なう請求項3ないし請求項7のいずれか1項に記載の電子回路基板の設計システム。
- 前記エレメント補正手段は、前記導体図形入力手段による入力データにおいて、設計位置に入力された前記導体図形の占有領域を、前記導体図形の位置ずれ分布に応じて外側に拡張するとともに、その拡張された導体図形のエッジ領域を減厚形態の傾斜断面部とする補正処理を行なう請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の電子回路基板の設計システム。
- 前記凹凸情報発生手段は、
各前記導体レイヤにおいて、前記エレメント図形の存在する領域と存在しない領域との間で該導体レイヤの占有厚さに差が生ずるように、レイヤ別厚さ分布情報を発生させるレイヤ別厚さ分布情報発生手段と、
前記レイヤ別厚さ分布情報を複数の導体レイヤ間で合成することにより、前記凹凸情報を生成するレイヤ別厚さ分布情報合成手段と、を有する請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の電子回路基板の設計システム。 - 前記レイヤ別厚さ分布情報発生手段は、各前記導体レイヤの凹凸情報発生面に対応する領域を厚さ分布演算用のセルに分割するセル分割手段と、前記セル毎に前記エレメント図形の存在を判定するセル別エレメント図形判定手段と、エレメント図形が存在すると判定されたセルと非存在と判定されたセルとの間で厚さパラメータ値に差が生ずるように、各セルに厚さパラメータ値を設定するセル別厚さパラメータ設定手段と、を備え、
前記レイヤ別厚さ分布情報合成手段は、対応するセル毎に複数の前記導体レイヤ間で前記厚さパラメータ値を加算し、各セルの厚さパラメータ加算値に基づいて前記凹凸情報を生成する厚さパラメータ加算手段を有する請求項10記載の電子回路基板の設計システム。 - 前記凹凸情報出力手段は、前記凹凸情報発生面における三次元的な凹凸分布情報を前記凹凸情報として視覚表示する凹凸分布情報表示手段を有する請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の電子回路基板の設計システム。
- 前記凹凸情報発生手段による凹凸情報に基づいて、前記凹凸情報発生面における凹凸差が縮小するように、前記導体レイヤの図形入力状態を補正する凹凸補正手段を有する請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の電子回路基板の設計システム。
- 請求項10記載の要件を備え、前記凹凸補正手段は、前記導体レイヤに、前記凹凸情報発生面における凹凸差を縮小するための、前記エレメント図形をなす補正層図形を入力する補正層図形入力手段を有する請求項13記載の電子回路基板の設計システム。
- 前記電子回路基板は前記ビア層をなす前記誘電体がセラミックであるセラミック基板であり、前記補正層図形が印刷によるセラミック粉末ペースト塗付層又は/及び金属ペースト塗付層の図形として入力され、
前記エレメント補正手段は、前記補正層図形に対し前記面導体図形に対する請求項6に記載の補正処理を同様に行なう請求項6ないし請求項14のいずれか1項に記載の電子回路基板の設計システム。 - 請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の電子回路基板の設計システムにより、所期の電子回路基板の設計情報を作成し、該設計情報に基づいて前記電子回路基板を製造することを特徴とする電子回路基板の製造方法。
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JP2003430133A JP2005190138A (ja) | 2003-12-25 | 2003-12-25 | 電子回路基板の設計システム及びそれを用いた電子回路基板の製造方法 |
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JP2003430133A JP2005190138A (ja) | 2003-12-25 | 2003-12-25 | 電子回路基板の設計システム及びそれを用いた電子回路基板の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109002613A (zh) * | 2017-10-27 | 2018-12-14 | 江西理工大学 | 一种基于统计力学规律的半自磨机衬板结构优化设计方法 |
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2003
- 2003-12-25 JP JP2003430133A patent/JP2005190138A/ja active Pending
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