以下に、本発明に係る文書管理装置をデジタル複合機(以下、MFP:Multi Function Printerという)に適用した場合の実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る文書管理装置をMFPに適用した場合のネットワーク構成例を示す模式図であり、図中1は本発明の文書管理装置としてのMFPを示している。
MFP1は、LAN(Local Area Network)を介して複数のコンピュータ(以下、PCという)2,2と接続されている。また、MFP1は、公衆電話交換網PSTNを介して外部のMFP3及びファクシミリ装置4とも接続されている。なお、LANには図示されている他にも多数のPCが接続されており、公衆電話交換網PSTNには図示されている他にも多数のMFP及びファクシミリ装置が接続されていることは言うまでもない。従って、MFP1は、LANを介して複数のPC2,2と、公衆電話交換網PSTNを介して他の多数のMFP3及びファクシミリ装置4と通信可能である。
図2は本発明に係る文書管理装置としてのMFP1の内部構成例を示すブロック図である。MFP1は、CPU(Central Processing Unit )又はMPU(Micro Processor Unit)等で構成された制御部10を備えている。制御部10は、バスを介して、ROM11、RAM12、NCU(Network Control Unit)13、モデム14、読取部15、画像メモリ16、記録部17、操作部18、表示部19、LANに接続するためのLANインタフェース20、蓄積部21、画像データの符号化/復号化処理を行なうコーデック(CODEC)22等と接続されている。
制御部10は、上述したようなハードウェア各部を制御すると共に、ROM11に予め格納されている制御プログラム11aに従って、種々のソフトウェア的機能を実現する。
ROM11に格納されている制御プログラム11aとしては、MFP1としての一般的な動作に必要な種々のプログラム,及びLANインターフェイス20を介してPC2とデータ通信を行なうためのプログラム,モデム14を介して外部のMFP3,ファクシミリ装置4との間でファクシミリ通信を行なうためのファクシミリ通信プログラム等が含まれる他、本発明の文書管理装置としての動作に必要なプログラムも含まれる。また、RAM12は、SRAM又はフラッシュメモリ等で構成されており、制御部10による制御プログラム11aの実行時に発生するデータを一時的に記憶する。
モデム14は、ファクシミリ通信が可能なファックスモデムで構成されており、NCU13とも直接的に接続されている。NCU13は、公衆電話交換網PSTNと接続されており、必要に応じてモデム14を公衆電話交換網PSTNと接続し、公衆電話交換網PSTNを介して外部のMFP3及びファクシミリ装置4との間でのファクシミリ通信を可能としている。
読取部15は、CCD(Charge Coupled Device) を利用したスキャナで構成されており、原稿を読み取ることにより画像データを取得し、取得した画像データを画像メモリ16に記憶させる。画像メモリ16は、DRAMにより構成されており、モデム14及びNCU13を介したファクシミリ通信により受信した画像データ、及び読取部15により読み取った画像データを一時的に記憶する。
記録部17は、例えば電子写真方式のプリンタ装置であって、画像メモリ16に記憶させてある画像データを、A3縦,B4縦,A4縦,B5横及びA5横等の各サイズの記録紙又はOHP(Over Head Projector) シート等から最適なサイズのものを選択してハードコピーする。
操作部18は、MFP1を操作するために必要なテンキー、短縮ダイヤルキー及び各種のファンクションキー等を備えている。表示部19は、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置であり、MFP1の動作状態、操作部18から入力された文字、ユーザに通知すべき情報等の表示を行なう。
上述した構成により、MFP1は、図示しない所定の原稿載置台にユーザが載置した原稿を読取部15により読み取って得られた画像データを画像メモリ16に一旦記憶した後、コーデック22によってファクシミリ画像データに符号化してNCU13及びモデム14を介して公衆電話回線網PSTNに接続されている他のMFP3及びファクシミリ装置4へ送信し、また、外部のMFP3及びファクシミリ装置4がファクシミリ通信にて送信したファクシミリ画像データを公衆電話回線網PSTNを介して受信し、画像メモリ16に一旦記憶した後、コーデック22により通常の画像データ、たとえばビットマップ,MPEG,TIFF等の形式に復号するファクシミリ装置として機能する。
また、MFP1は、読取部15により原稿を読み取って得られた画像データを記録部17で記録用紙にハードコピーすることにより複写する複写装置としても機能し、更にLANインタフェース20を介してLANに接続されているPC2,2から受信したデータに基づく画像を記録部17で記録用紙にハードコピーして記録するネットワークプリンタとしても機能する。更に、MFP1は、読取部15により原稿を読み取って得られた画像データをLANインタフェース20を介してLANに接続されているPC2,2へ送信するネットワークスキャナとしても機能する。
ところで、MFP1は、不揮発性で大記憶容量の記憶手段としてハードディスク又はフラッシュメモリ等からなる蓄積部21を備えている。この蓄積部21にはファイルデータベース(DB)21aが適宜の領域に設定されている。このファイルDB21aには上述したようなファクシミリ通信により外部から受信した画像データ、読取部15により原稿から読み取った画像データ、及びLANを介して外部のPC2,2から受信した画像データ,テキストデータ等がファイルとして適宜登録されている。また、MFP1は、上述したように、各種の画像データ,テキストデータをユーザが再利用できるように蓄積部21のファイルDB21aにファイルとして蓄積させておくことにより、ファイルサーバとしても機能する。
MFP1はまた、蓄積部21にウェブサーバ装置としての動作に必要な制御プログラムであるウェブサーバプログラム21b,上述したような各機能により取得したファイルへのリンクを設定した複数のウェブページ21c等を記憶させている。これにより、MFP1は、蓄積部21のファイルDB21aに登録されているファイルをウェブページ21c上からPC2,2に提供するウェブサーバ装置としても動作する。
従って、MFP1とLAN接続されていてウェブブラウザを備えたPC2において、図示しないCPUがウェブブラウザを立ち上げて、MFP1により提供されるウェブページ21cを指定した場合、MFP1の制御部10は、蓄積部21のファイルDB21aに登録されているファイルをPC2へ提供する。これにより、PC2のユーザは、LANを介してMFP1から所望のファイルを取得して閲覧したり、所望の処理、たとえばファクシミリ送信等の処理を行なったりすることができると共に、新たにファイルをファイルDB21aに登録することもできる。
更に、蓄積部21には、担当者情報DB21d及び担当者リストDB21eが適宜の記憶領域に設定されている。担当者情報DB21dは、図3の模式図にその登録内容を示すように、ファイルDB21aに登録されているファイルの処理を担当するPC2のユーザに関する情報を登録したものである。具体的には、個々の担当者を特定する担当者ID,氏名,それぞれがユーザとして専用に使用しているPC2のメールアドレス等が登録されている。
担当者リストDB21eは、図4の模式図にその登録内容を示すように、ワークフローとして処理されるファイルが選択された場合に、その対象ファイル名,セキュリティフラグの値,起点担当者(ユーザ),以降の各担当者(ユーザ)が登録される。ここで、セキュリティフラグとは、詳細は後述するが、ワークフローの処理対象とされたファイルに所定のセキュリティ処理を行なうか否かを示すフラグであり、「1」にセットされている場合にはセキュリティ処理が行なわれ、「0」にリセットされている場合はセキュリティ処理は行なわれない。また、起点担当者とは、詳細は後述するが、未処理のあるファイルをワークフロー処理するための指定をする担当者(PC2のユーザ)のことであり、以降の担当者とは起点担当者から処理を依頼された担当者(PC2のユーザ)、この担当者から次に処理を依頼された担当者(PC2のユーザ)・・・のことである。
なお、この担当者リストDB21eの登録内容は、ワークフロー処理が終了した場合には削除される。
図5及び図6は本発明に係る文書管理装置としてのMFP1が提供するウェブページ21cの画面構成例を示す模式図である。図5は、LANを介してMFP1からウェブページ21cを提供されるPC2において、ユーザがログイン画面(図示せず)に従って、例えばユーザID及びパスワード等を入力してログインした場合に提供される初期画面の構成例を示している。
MFP1は、各種の処理により取得した画像データ,テキストデータを、それぞれの送信者又は送信先等に基づいて、それぞれ蓄積部21のファイルDB21aに設けられた共有フォルダ又は個人フォルダにファイルとして記憶させている。共有フォルダには、掲示板フォルダ、受信フォルダ及び処理済フォルダが設けられており、個人フォルダには、受信フォルダ、送信フォルダ及び保存フォルダが設けられている。従って、PC2に表示される画面には、図5に示すように、それぞれのフォルダ内のファイルを閲覧する際に用いるために、共有フォルダの選択ボタンとしての掲示板ボタン30a、受信ボックスボタン30b及び処理済ボックスボタン30cと、個人フォルダの選択ボタンとしての受信ボックスボタン31a、送信ボックスボタン31b及び保存ボックスボタン31cとが表示される。
なお、図5に示すように、初期画面は、共有フォルダの掲示板ボタン30aが選択された場合の表示画面であり、上述した各ボタン30a,30b…31b,31cと、掲示板画面32とを表示する。掲示板画面32は、現在ログイン中のユーザID及び当該掲示板画面32における最終更新時間等を表示すると共に、掲示板上での閲覧が可能に設定された各ファイルのファイル情報一覧32aを表示する。
ファイル情報一覧32aには、各ファイルの件名(ファイル名)、ページ数、送信元及び受信日時等のファイル情報が表示されている。PC2のユーザは各ファイル情報の先頭位置に表示してあるチェックボックスを選択することにより、LANを介してMFP1から、選択したファイルの提供を受けることができる。また、MFP1からファイルを提供されたPC2は、掲示板画面32の下部に画像表示画面33としてファイルの内容を表示させる。これにより、ユーザは、所望のファイルを掲示板上で閲覧することができる。
また、掲示板画面32は、上述したようなファイル情報一覧32aから選択したファイルに対して行なうべき処理を選択するためのプルダウンメニュー32b及び選択した処理の実行を指示するための実行ボタン32cを表示する。なお、プルダウンメニュー32bは、「送信する」、「コピーする」、「 移動する」 、「プリントする」、「削除する」等の各処理を選択できるように構成されている。
このような掲示板画面32に従って、PC2のユーザが、所望のファイルを選択してプルダウンメニュー32bにて所望の処理を選択して実行ボタン32cをオンした場合、PC2のCPUは、選択された処理に応じた信号をPC2のユーザを示すユーザIDと共にLANを介してMFP1へ送信する。MFP1の制御部10は、PC2が送信した信号及びユーザIDを受信することにより、PC2のユーザにより選択されたファイルに対して行なうべき処理の実行指示、及びこの実行指示を行なったユーザのユーザIDを受け付ける受付手段として動作する。また、MFP1の制御部10は、PC2から受信した信号に従った処理を行なう処理手段として動作する。
具体的には、PC2のユーザが、掲示板画面32に従って、所望のファイルを選択してプルダウンメニュー32bにて「送信する」を選択した場合、MFP1の制御部10は、選択されたファイルをファクシミリ通信又はLANを介したデータ通信により、設定された送信先へ送信する送信処理を行なう。
また、PC2のユーザが、掲示板画面32に従って、所望のファイルを選択してプルダウンメニュー32b中の「コピーする」を選択した場合、MFP1の制御部10は、選択されたファイルを設定されたフォルダにコピーするコピー処理を行なう。
同様にPC2のユーザが「移動する」を選択した場合、MFP1の制御部10は、選択されたファイルを設定されたフォルダに移動させる移動処理を行なう。また、PC2のユーザが「プリントする」を選択した場合、MFP1の制御部10は、選択されたファイルのデータを蓄積部21のファイルDB21aから画像メモリ16に読み出して画像データに展開して記録部17に与えることにより、記録用紙にハードコピーさせるプリント処理を行なう。更に、ユーザが「削除する」を選択した場合、MFP1の制御部10は、選択されたファイルを掲示板から、具体的にはファイルDB21aの掲示板フォルダから削除する削除処理を行なう。
図6は共有フォルダの受信ボックスボタン30bが選択された場合に、MFP1から提供されるウェブページ21cに基づいてPC2が表示する受信ボックス画面34の構成例を示している。図6に示すように、受信ボックス画面34は、共有フォルダ内の受信フォルダに格納されているファイルのファイル情報一覧34aを表示すると共に、図5に示す掲示板画面32と同様に、ファイル情報一覧34aから選択したファイルに対して行なうべき処理を選択するためのプルダウンメニュー34b及び選択した処理の実行を指示するための実行ボタン34cを表示する。なお、受信ボックス画面34のプルダウンメニュー34bは、「送信する」、「コピーする」、「 移動する」 、「プリントする」、「削除する」、「処理を依頼する」の他、「処理依頼を処理する」を選択できるように構成されている。
従って、掲示板画面32(図5参照)と同様に、受信ボックス画面34において、PC2のユーザは各ファイル情報の先頭位置に表示しているチェックボックスを選択することにより、LANを介してMFP1から所望するファイルの提供を受けることができる。また、受信ボックス画面34に従って、PC2のユーザが、所望のファイルを選択してプルダウンメニュー34bにて「処理を依頼する」を選択した場合、MFP1の制御部10は、選択されたファイルを、処理の依頼先のPC2において受信ボックスボタン31aを選択した場合に表示される受信ボックス画面から閲覧できるように設定する。具体的には、MFP1の制御部10は、PC2において選択されたファイルを、処理の依頼先のPC2の受信フォルダへ移動させる。これにより、そのファイルに関するファイル情報は、処理の依頼先のPC2の初期画面上で受信ボックスボタン31aを選択した場合に表示される受信ボックス画面のファイル情報一覧に表示されるようになる。
以上のような機能を利用することにより、共有フォルダの受信フォルダに格納されているファイルを選択し、その選択されたファイルに対する処理として図6に示されているように「処理を依頼する」を指定し、処理の依頼先を設定することにより、選択されたファイルをワークフロー処理の対象とすることができる。なお、ワークフロー処理の対象とされたファイルを以下においてはワークフローファイルまたは依頼文書という。このようにして「処理を依頼する」が指定された場合には、MFP1が提供するウェブページ21cが切り替えられ、PC2の表示画面も図6の状態から図7に示すような処理依頼画面35に切り替わる。
この処理依頼画面35においては、ワークフローファイルの「件名」を入力することができる欄35aと、「コメント」を入力することができる欄35bと、「依頼先」を入力する欄35cと、セキュリティをかけるか否かを選択するためのチェックボックス35dと、依頼後の処理を選択するためのプルダウンメニュー35eと、ワークフローファイルの本来の情報を表示する欄35fと等が表示される。
この処理依頼画面において、PC2のユーザが各入力欄35a、35bに必要な事項を入力し、依頼先の入力欄35cに処理を依頼すべきユーザ名を担当者情報DB21dを参照して入力し、セキュリティをかけるか否かをチェックボックス35dで選択し、依頼後の処理をプルダウンメニュー35eで選択して送信ボタン35gをオンすると、依頼先として指定されたユーザ(実際にはそのユーザに割り当てられているPC2)へ電子メールによる通知が発行される。またこれと同時に、ワークフローファイルは共有フォルダの受信フォルダから依頼先のPC2のユーザの個人フォルダの受信フォルダへ移される。
図8は、上述のようにして依頼先として指定されたPC2へ電子メールによる通知が着信した場合に予めインストールされているメーラーにより依頼先のPC2の画面に表示されるポップアップ画面36を示す模式図であり、新着文書が存在する場所(この場合は個人の受信ボックス)が表示欄36aに表示される。依頼先のPC2のユーザがこのポップアップ画面36が表示された場合に確認ボタン36bをオンすると前述の図5に示した初期画面が表示されるので、この画面上で個人フォルダの受信ボックスボタン31aを選択すると、図9に示すような受信ボックス画面37がMFP1から提供されるウェブページ21cに基づいて表示される。
図9に示す受信ボックス画面37では、依頼先のPC2のユーザの個人フォルダ内の受信フォルダに格納されたファイルのファイル情報一覧37aを表示すると共に、ファイル情報一覧37aから選択したファイルに対して行なうべき処理を選択するためのプルダウンメニュー37b及び選択した処理の実行を指示するための実行ボタン37cを表示する。なお、受信ボックス画面37のプルダウンメニュー34bは、「送信する」、「コピーする」、「 移動する」 、「プリントする」、「削除する」、「処理を依頼する」の他、「処理依頼を処理する」を選択できるように構成されている。
従って、受信ボックス画面37において、依頼先のPC2のユーザは各ファイル情報の先頭位置に表示しているチェックボックスを選択することにより、LANを介してMFP1から所望するファイルの提供を受けることができる。また、受信ボックス画面37に従って、PC2のユーザが、図9に示されているように、所望のファイルを選択してプルダウンメニュー37bにて「処理依頼を処理する」を選択した場合、MFP1の制御部10は、選択されて依頼先のPC2に表示されているファイルに対する処理を受け付けるための処理実行画面をウェブページ21cに基づいて表示する。
図10は上述した処理実行画面38を例示する模式図である。この処理実行画面38には処理を依頼したPC2において入力された「件名」、「コメント」等が表示されると共に、画像表示画面33にはワークフローファイルも表示される。依頼先のPC2のユーザは画像表示画面33に表示されているワークフローファイルに対して所定の処理を行ない、処理が完了すれば処理完了ボタン38aをオンする。なお、ワークフローファイルにセキュリティが掛けられている場合には、この処理実行画面38においてセキュリティを解除することが可能である。具体的には、図10に示されているセキュリティ解除チェックボックス38cをチェックすることにより、後述するようにセキュリティが解除される。
図11は、上述のようにして処理完了ボタン38aがオンされた場合に表示されるポップアップ画面39を示す模式図であり、次の処理を依頼するための依頼先を入力するための依頼先入力欄39aが表示されるので、PC2のユーザがこの依頼先入力欄39aに次の処理の依頼先のユーザ名を担当者情報DB21dを参照して入力して「依頼する」ボタン39bをオンすると、前述同様にして次の依頼先として指定されたユーザ(実際にはそのユーザに割り当てられているPC2)へ電子メールによる通知が発行される。またこれと同時に、ワークフローファイルは次の依頼先のPC2のユーザの個人フォルダの受信フォルダへ移される。
以上のようにして、ワークフローファイルが順次的に依頼先のPC2で処理されてゆくが、最初にファイルを共有フォルダの受信フォルダから選択してワークフローファイルとしたPC2のユーザ、即ち起点担当者(起点ユーザ)がチェックボックス35dでセキュリティをかけることを選択していた場合には、後述するようなセキュリティがかけられるが、ここではまず図12のフローチャートを参照してワークフローファイルのMFP1による全般的な処理手順を説明する。
まず、図6に示すように、起点ユーザが共有フォルダの受信フォルダから未処理のファイルを選択し、そのファイルに対する処理として処理依頼を選択する(ステップS11でYES)。これにより、選択されたファイルはワークフローファイルとして担当者リストDB21eに登録される。処理依頼が選択されない場合は他の処理が行なわれる(ステップS12)。起点ユーザが処理依頼を選択し、図7に示すように、次にセキュリティをかけることをチェックボックス35dのチェックで選択すると(ステップS13でYES)、制御部10は担当者リストDB21eの当該ワークフローファイルに対応するセキュリティフラグをセット(=1)し(ステップS14)、セキュリティをかけない選択が行なわれた場合(ステップS13でNO)、制御部10は担当者リストDB21eの当該ワークフローファイルのセキュリティフラグをリセット(=0)する(ステップS16)。いずれにしろ、制御部10はセキュリティフラグをセットまたはリセットした後は担当者リストDB21eの当該ワークフローファイルに対応して起点ユーザを登録する(ステップS15)。これにより、起点ユーザは当該文書を印刷したり、転送したりすることが可能になる。
次に、起点ユーザが依頼先ユーザを入力し(ステップS17でYES)、処理依頼を実行すると(ステップS18でYES)、制御部10は依頼先へ電子メールを送信し(ステップS19)、ワークフローファイルを共有フォルダの受信フォルダから依頼先ユーザの個人フォルダの受信フォルダへ転送する(ステップS20)。これにより、制御部10は担当者リストDB21eの当該ワークフローファイルに対応する担当者2のフィールドに依頼先ユーザを登録する(ステップS21)。
電子メールを受信した依頼先のPC2のユーザは処理を依頼されたワークフローファイルを前述したように処理する。そして、依頼先ユーザがワークフローファイルに対する処理を完了すると、具体的には処理完了ボタン38aをオンした場合に表示されるポップアップ画面39上で「依頼する」ボタン39bをオンすると(ステップS22でYES)、制御部10は次の依頼者があることを判断して(ステップS23でYES)、前述したステップS19へ処理を戻す。
従って、一つのワークフローファイルに対して順次的に処理依頼が行なわれると、担当者リストDB21eの当該ワークフローファイルに対応する担当者のフィールドには順次的に処理を行なったユーザ(担当者)が登録されてゆく。なお、一つのワークフローファイルの処理が終了した場合、たとえば外部の取引先の会社から依頼された見積書であればその見積書が完成して依頼元の会社へ送信されたような場合、にはステップS23において次の依頼先が無いことになり、制御部10は上述の処理を終了する。
ところで、上述の一連の処理中のステップS13において、起点ユーザがセキュリティをかけることをチェックボックス35dのチェックで選択した場合には、制御部10は図13のフローチャートに示すような処理を行なう。但し、この図13のフローチャートに示す処理はワークフローファイル、即ち起点ユーザが処理依頼を行なってワークフロー処理の対照と従ってファイルに対して何らかの処理が要求された場合に割り込み処理として実行される。
即ち、ワークフローファイルに対して印刷、転送の処理がいずれかのPC2から要求された場合(ステップS31でYES)、制御部10は処理が要求されたワークフローファイルのセキュリティフラグをチェックし、具体的には当該ワークフローファイルが担当者リストDB21eに登録されているか否かを調べ、登録されていなければセキュリティフラグがセットされていないので(=0)(ステップS32でNO)、要求された処理を実行する(ステップS34)。セキュリティフラグがセットされていれば(=1)(ステップS32でYES)、即ち当該ワークフローファイルが担当者リストDB21eに登録されていれば制御部10は次に処理を要求したユーザ(PC2)が担当者リストDB21eの当該ワークフローファイルに対応する担当者のフィールドに登録されているか否かをチェックする(ステップS33)。処理を要求した担当者が担当者リストDB21eに登録されていれば(ステップS33でYES)、制御部10は要求された処理を実行する(ステップS34)。しかし、処理を要求したユーザ(PC2)が担当者リストDB21eに登録されていなければ(ステップS33でNO)、制御部10は要求された処理を拒否する(ステップS35)。
また、ワークフローファイルに対して要求された処理がセキュリティの解除である場合は(ステップS31でNO,S41でYES)、制御部10はワークフローファイルのセキュリティフラグをチェックし、セキュリティフラグがセットされていなければ(=0)(ステップS32でNO)、ステップS34で要求された処理を実行する(但し、この場合にはもともとセキュリティがかけれていないので、実際には制御部10は何らの処理もしない)。セキュリティフラグがセットされていれば(=1)(ステップS32でYES)、次に制御部10はセキュリティの解除を要求したユーザ(PC2)が担当者リストDB21eの当該ワークフローファイルに対応する担当者のフィールドに登録されているか否かをチェックする(ステップS33)。処理を要求した担当者が担当者リストDB21eに登録されていれば(ステップS33でYES)、制御部10は要求された処理、即ちセキュリティの解除(セキュリティフラグ=0)を行なう(ステップS34)。しかし、セキュリティの解除を要求したユーザ(PC2)が担当者リストDB21eに登録されていなければ(ステップS33でNO)、制御部10は要求された処理を拒否する(ステップS35)。
なお、ワークフローファイルに対して要求された処理が削除である場合は(ステップS31でNO,S41でNO,S42でYES)、削除の要求を行なったユーザ(PC2)が管理者であれば(ステップS43でYES)、制御部10は削除を要求されたワークフローファイルを削除、具体的にはファイル情報DB21dから削除する(ステップS44)。一方、削除の要求を行なったユーザ(PC2)が管理者でない場合は(ステップS43でNO)、制御部10は削除の要求を拒否する(ステップS35)。なお、上述の印刷、転送、セキュリティの解除,削除以外の処理が要求された場合には、制御部10は要求された処理に対して予め定められている手順に従って処理を実行する(ステップS45)。
以上のように本発明によれば、無関係な外部装置による印刷,転送処理からワークフローファイルを保護することが可能になる。また本発明に係る文書管理装置によれば、どのPCがどのような順でワークフローファイルを処理したか、またどのPCがセキュリティフラグを設定したかが判明する。更に、本発明に係る文書管理装置によれば、ワークフローファイルの処理に関与していないPCがセキュリティフラグの設定を変更することはできず、従ってワークフローファイルの処理に関与していないPCからのワークフローファイルの印刷,転送処理の要求が受け付けられることもなく、無関係なPCによる印刷,転送処理からワークフローファイルを保護することが可能になる。