JP2005187270A - グラウト材、グラウト材注入方法及びプレストレストコンクリート - Google Patents

グラウト材、グラウト材注入方法及びプレストレストコンクリート Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、特に、シースの長さが100m以上と長く且つシースの形状が湾曲している場合でも、シース内に未充填部分が無く充填でき、グラウト材が硬化した後のシース内にグラウト材の未充填部分が存在しないグラウト材、グラウト材注入方法、並びにプレストレストコンクリートを提供すること。
【解決手段】本発明は、少なくともセメント100重量部と水20〜100重量部を含有するグラウト材であって、JIS R 5201規定のフローコーンを用いた静置フローのフロー値が300mm以上であるグラウト材。更に、JSCE−F 531に規定されるJP漏斗の流下時間が2.8〜5秒であると好適である。全ての頂上部に空気抜き孔を設けたシースに、前記グラウト材を充填することを特徴とするグラウト材注入方法。前記のグラウト材注入方法によりシース内に、前記のグラウト材を充填することを特徴とするプレストレストコンクリート。
【選択図】なし

Description

本発明は、グラウト材に関し、詳しくはシース内に未充填部分が無く充填できるグラウト材及びその注入方法並びに該方法を用いて得られるプレストレストコンクリートに関する。
シース内の緊張材によりプレストレスを導入するプレストレストコンクリートにおいて、シース内の緊張材を保護する目的及び/又は部材コンクリートと緊張材を一体とさせる目的で、グラウト材を充填することが行われている。しかし、シースの形状が湾曲したものでは、グラウト材が硬化した後のシース内に、グラウト材の未充填部分が生じることがある。シース内にグラウト材の未充填部分が存在すると、前記の目的が充分に達せられず、特に、防食被覆を施されていない鋼製の緊張材を用いたプレストレストコンクリートの場合、長期的にはグラウト材の未充填部分の緊張材に錆が発生し、このために緊張材が破断することがある。シース内にグラウト材の未充填部分が存在することを防ぐ方法として、例えば、(ア)充填するシース内を真空にした後にグラウト材を充填する(例えば、特許文献1参照。)、(イ)グラウト材の注入に先だってこのグラウト材よりも高粘度の充填材をシース内に注入し、シース内の空気や異物をシースから押出しつつ高粘度の充填材に連続してグラウト材を注入する(例えば、特許文献2参照。)、(ウ)グラウト材の注入口及び/又は排出口に空気検出器を設け、グラウト材中に空気が検出されなくなるまで遅延剤を添加したグラウト材をシース内に循環させる(例えば、特許文献3参照。)、(エ)シース内にグラウト材を充填した後に該グラウト材に浸漬させながら緊張材をシース内に挿通しする(例えば、特許文献4参照。)等の方法が提案されている。
しかし充填するシース内を真空にした後にグラウト材を充填する方法(ア)は、シース内を真空にするための装置が必要となること及びシース内を真空にする作業に時間がかかること等から、作業効率や経済性が問題ある。また、シース内の空気や異物をシースから押出しつつ高粘度の充填材に連続してグラウト材を注入する方法(イ)では、グラウト材を注入するときに高圧で注入しなければならないので、注入用のホースや部材コンクリート等が破損し高アルカリ性のグラウト材が高圧で噴出す虞がある。更に、この方法は、シースの長さが数十メートル以上の場合には、グラウト材を注入するときの注入圧を高圧にしても高粘度の充填材をシース内から押出せないため、適用できない。また、グラウト材の注入口及び/又は排出口に空気検出器を設けて、遅延剤を添加したグラウト材をシース内に循環させる方法(ウ)では、グラウト材中の空気を検出しながら長時間グラウトポンプを駆動させ続けなければならず、作業効率が悪いとともに不経済である。またシース内にグラウト材を充填した後に該グラウト材に浸漬させながら緊張材をシース内に挿通しする方法(エ)は、使用されるグラウト材の流動性が不充分又はグラウト材充填中に孕む空気が抜けない等のために、シース内のグラウト材の未充填部分を全て無くすことは出来なかった。このように従来のグラウト材の充填方法では、シース内未充填部の解消効果には何れも一長一短があった。特に、シースの長さが100m以上と長く且つシースの形状が湾曲している場合には、従来のグラウト材及びグラウト材注入方法では、シース内にグラウト材の未充填部分が存在することを解消できず、或いはグラウト材の注入自体が行えなかった。
特開平8−184189号公報 特開2002−47802号公報 特開平7−189490号公報 特開2001−311311号公報
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、グラウト材が硬化した後のシース内にグラウト材の未充填部分が存在しないように、効率良く且つ安全にシース内にグラウト材を充填できるグラウト材及びグラウト材注入方法、並びにグラウト材が硬化した後のシース内にグラウト材の未充填部分が存在しないように、シース内の緊張材によりプレストレスを導入するプレストレストコンクリートを提供することを目的とする。特に、シースの長さが100m以上と長く且つシースの形状が一直線ではなく湾曲している場合においても、シース内のグラウト材の未充填部分が無くグラウト材を容易に充填することができ、グラウト材が硬化した後のシース内にグラウト材の未充填部分が存在しないように、効率良く且つ安全にシース内にグラウト材を充填できるグラウト材及びグラウト材注入方法、並びにグラウト材が硬化した後のシース内にグラウト材の未充填部分が存在せずにプレストレスが導入できるプレストレストコンクリートの提供を課題とする。
本発明者は前記課題解決のために検討を行った結果、以下の(1)又は(2)で表すグラウト材、(3)で表すグラウト材注入方法、並びに(4)で表すプレストレストコンクリートにより課題が解決させるという知見を得、本発明を完成するに至った。
(1)少なくともセメント100重量部と水20〜100重量部を含有するグラウト材であって、JIS R 5201規定のフローコーンを用いた静置フローのフロー値が300mm以上であるグラウト材。(2)更に、JSCE−F 531に規定されるJP漏斗の流下時間が2.8〜5秒である前記(1)のグラウト材。(3)プレストレストコンクリートの製造に用いるグラウト材注入方法であって、全ての頂上部に空気抜き孔を設けたシースに、前記(1)又は(2)のグラウト材を充填することを特徴とするグラウト材注入方法。(4)前記(3)のグラウト材注入方法によりシース内に、前記(1)又は(2)のグラウト材を充填することを特徴とするシース内の緊張材によりプレストレスを導入するプレストレストコンクリート。
本発明によれば、シースの長さ、形状に拘わらずシース内に未充填部分が生じること無く充填できるグラウト材及びグラウト材注入方法が得られ、またグラウト材が硬化した後のシース内にグラウト材の未充填部分が存在しないように、効率良く且つ安全にシース内にグラウト材を充填できるグラウト材及びグラウト材注入方法、並びにグラウト材が硬化した後のシース内にグラウト材の未充填部分が存在せずに、シース内の緊張材によってプレストレスを導入されたプレストレストコンクリートが得られる。
本発明のグラウト材は、プレストレストコンクリートの製造に用いることができるようなセメント及び水を含有成分とするグラウト材であって、JIS R 5201規定のフローコーンを用いた静置フローのフロー値が300mm以上であれば、何れのグラウト材でも良い。ここで云う静置フローのフロー値(以下「静置フロー値」と云う。)とは、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に規定されるフローコーンを用い、JIS R 5201に規定されるフロー試験においてフローテーブルとして直径300mmを超える水平の厚さ10mm以上のアクリル製平板を用い、落下運動をせずに測定したフロー値とする。静置フロー値が300mm以上のグラウト材にすることで、シース内でグラウト材の充填中にグラウト材に孕んでしまった空気、及びグラウト材の練りまぜ中にグラウト材に孕んでしまった空気(合わせて以下単に「空気」と云う。)がシースの頂上部に溜まるためにこのシースの頂上部に空気抜き孔を設けることで空気を全て排出することができるため、シース内に充填すると未充填部分が無くなる。静置フロー値が300mm未満であるグラウト材は、空気がシースの頂上部以外の部分にも溜まり、空気全てを排出できずにシース内に残るため、シース内に充填するとグラウト材の未充填部分が存在する虞があるので好ましくない。好ましくは作業性が良く及び硬化後の強度が高い点で、静置フロー値が300〜400mmのグラウト材とする。より好ましくは、静置フロー値が320〜400mmのグラウト材とする。
本発明のグラウト材が、更に、土木学会基準JSCE−F 531(PCグラウトの流動性試験方法)に規定されるJP漏斗を用いた流下時間(以下「JP漏斗流下時間」と云う。)が2.8〜5秒であると、シースの長さが100m以上と長く且つシースの形状が湾曲している場合においても、シース内にグラウト材の未充填部分が無くグラウト材を充填することが可能であるので好ましい。JP漏斗流下時間が5秒を超えるグラウト材では、シースの長さが100m以上と長く且つシースの形状が湾曲している場合に、充填が行えない又は充填に長い時間が掛かる、或いは、グラウト材を充填するときの注入圧を高くする必要があるために注入用のホースや部材コンクリート等が注入圧により破損しグラウト材が高圧で噴出す虞があるので好ましくない。グラウト材のJP漏斗流下時間が2.8秒未満であると、充填したグラウト材がブリーディング水を発生し易く、このブリーディング水が硬化後のグラウト材又は部材コンクリートに吸収されて空隙となるために、シース内にグラウト材の未充填部分ができるので好ましくない。ブリーディング水の発生し難さ及びシースの長さが100m以上と長く且つシースの形状が湾曲している場合においての充填の行い易さの点で好ましくはJP漏斗流下時間が2.8〜4.5秒のグラウト材とする。更に好ましくは、JP漏斗流下時間が3.0〜4秒のグラウト材とする。
本発明のグラウト材は、少なくともセメントと、セメント100重量部に対して20〜100重量部の水を含む混練物の中から、前記静置フロー値を測定して300mm以上のものを選定することで得られる。好ましくは、水の含有量がセメント100重量部に対して23〜35重量部である混練物から選定すると、ブリーディング水が発生し難く且つ流動性を得やすいので良い。本発明のグラウト材に使用するセメントは、何れのセメントでも使用できる。また、本発明のグラウト材は、セメント及び水以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、高性能減水剤,高性能AE減水剤,流動化剤,減水剤を含む分散剤、シリカヒューム,高炉スラグ微粉末,フライアッシュ等の無機質微粉末、骨材、硬化促進剤、硬化遅延剤、膨張材、発泡剤、防錆剤、顔料、増粘剤、収縮低減剤、繊維等の一種又は二種以上を用いたものでも良い。好ましくは、収縮低減剤、膨張材、発泡剤から選ばれる一種又は二種以上と、分散剤及び増粘剤を含むグラウト材が、ブリーディング水や自己収縮による未充填部分が生じ難いので好ましい。
本発明のグラウト材注入方法は、プレストレストコンクリートの製造に用いるグラウト材注入方法であって、全ての頂上部に空気抜き孔を設けたシースに、前記のグラウト材を充填することを特徴とするグラウト材注入方法である。ここで、頂上部とは、当該部分より注入口側が上り勾配で且つ当該部分より排出口側が下り勾配となっているシースの部分、注入口よりシースが下り勾配となっている場合の注入口、及び排出口までのシースが上り勾配となっている場合の排出口のことを云う。また、空気抜き孔とは、シースとプレストレストコンクリート外の外気とが貫通した孔のことを云う。この空気抜き孔により、空気を、シース内からプレストレストコンクリート外へ排出する。この空気抜き孔は、シースの頂上部に設けられていれば、材質、形状及び大きさは特に限定されない。シースに存在する頂上部全てに、少なくとも1つの空気抜き孔が必要である。シースに存在する頂上部が複数存在する場合は、全ての頂上部に、1又は2以上の空気抜き孔を設ける。空気抜き孔を設ける方法も限定されず、例えば各頂上部に空気抜き孔としてシース内に通ずる管を取り付けた後にコンクリートを打ち込む方法、コンクリートが硬化した後にドリルにより部材コンクリートの表面からシースの頂上部まで貫通する孔を空ける方法等が挙げられる。
注入口よりシースが上り勾配となっている場合の本発明のグラウト材注入方法について、模式的な図1を用いて説明する。なお、この模式図では、緊張材、排出口に設けた空気抜き孔、定着具、鉄筋、注入ホースやコック等は省略してある。本発明では、静置フロー値が300mm以上であるグラウト材を用いているので、注入口よりシースが上り勾配となっている場合には、まずシースの頂上部まではグラウト材の先端部の液面が略水平にシース内を上昇する。グラウト材がシースの頂上部に到達すると、グラウト材はシースの頂上部より先の下り勾配を流れ、シースの頂上部及び下り勾配部分に空隙を残したまま、シースの谷部にグラウト材が溜まる。次いで注入口より2番目のシースの上り勾配部分にグラウト材が溜まり、注入口より2番目のシースの頂上部までは、注入口より1番目のシースの頂上部及び注入口より1番目の下り勾配部分に空隙を残したまま、グラウト材先端面が略水平にシース内を上昇する。グラウト材がシースの注入口より2番目の頂上部に到達すると、グラウト材は2番目のシースの頂上部より先の下り勾配を流れ、注入口より1番目及び2番目のシースの頂上部並びに注入口より1番目及び2番目の下り勾配部分に空隙を残したまま、注入口より2番目のシースの谷部に溜まる。以降同様に、シースの各頂上部及び各下り勾配部分に空隙を残したまま、シース内にグラウト材が充填される。グラウト材が排出口より排出されると、排出口を閉じる。その結果、シースの下り勾配部分のグラウト材面が、略水平にシース内下り勾配部分を上昇し、この直ぐ手前側の上り勾配部分の液面とシースの頂上部で一つになり、更にグラウト材面が上昇することにより、シースの頂上部及び下り勾配部分の空隙にグラウト材が満たされ、空気抜き孔よりグラウト材が排出される。このとき、空気抜き孔より空気が排出されながらシースの頂上部及び下り勾配部分の空隙にもグラウト材が満たされる。グラウト材が排出された空気抜き孔は、順次閉める。全ての空気抜き孔を閉め終えることによって、シース内に隙間無くグラウト材が満たされる。
次ぎに、注入口よりシースが下り勾配となっている場合の本発明のグラウト材注入方法について、模式的な図2を用いて説明する。なお、この図2では図1と同様省略を行っている。注入口よりシースが下り勾配となっている場合には、注入口が注入口より1番目のシースの頂上部に当たる。この場合、まず下り勾配部分及び注入口に空隙を残したまま、シースの谷部にグラウト材が溜まる。次ぎに注入口より1番目のシースの上り勾配部分にグラウト材が溜まり、注入口の次ぎのシースの頂上部(注入口より2番目のシースの頂上部)までは、注入口より1番目のシースの頂上部(注入口)及び注入口より1番目の下り勾配部分に空隙を残したまま、グラウト材の先端面が略水平にシース内を上昇する。グラウト材がシースの注入口より2番目の頂上部に到達すると、グラウト材は2番目のシースの頂上部より先の下り勾配を流れ、注入口より1番目及び2番目のシースの頂上部並びに注入口より1番目及び2番目の下り勾配部分に空隙を残したまま、注入口より2番目のシースの谷部に溜まる。以降同様に、シースの各頂上部及び各下り勾配部分に空隙を残したまま、シース内にグラウト材が充填される。以降は注入口よりシースが上り勾配となっている場合も注入口よりシースが下り勾配となっている場合も同じである。
本発明の注入方法で用いるグラウト材は、前記のグラウト材とする。これ以外のグラウト材であると、シース内で溜まる空気の位置が必ずしも頂上部ではないのでシースの頂上部に設けた空気抜き孔から空気が抜けずに、シース内にグラウト材の未充填部分ができるので好ましくない。
グラウト材をシースの注入口より注入するときの注入圧力は、好ましくは2MPa以下のポンプ圧又はヘッド圧とする。注入圧が2MPaよりも大きいと、圧力によりグラウト材が分離する虞があるので好ましくない。本発明の注入方法では、静置フロー値が300mm以上であるグラウト材を用いるので、注入圧が0.3MPa以下でもシース内に未充填部分が無くグラウト材を充填することが可能である。このため、注入用のホースや部材コンクリート等が破損しグラウト材が高圧で噴出す虞は殆ど無い。
また、本発明のプレストレストコンクリートは、前記のグラウト材注入方法によりシース内に前記のグラウト材を充填することを特徴とする、シース内の緊張材によりプレストレスを導入したプレストレストコンクリートである。
本発明のプレストレストコンクリートは前記のグラウト材注入方法によりシース内にグラウト材を充填するため、本発明のプレストレストコンクリートのシース内にグラウト材の未充填部分は存在しない。このため、本発明のプレストレストコンクリートは、シース及びシース内の緊張材がグラウト材により保護されているので、防食被覆を施されていない鋼製の緊張材を用いたプレストレストコンクリートの場合においても、長期的にシース及び緊張材に錆が発生し難く、長期間充分な強度があり、且つシース又は緊張材の錆による破損が長期間無い。特に、無収縮のグラウト材を用いた場合は、シースとグラウト材及び緊張材とグラウト材が隙間無く一体となり、部材コンクリートと緊張材をより一体としたプレストレストコンクリートになるので好ましい。更に、最終ブリーディングが0%であるグラウト材を用いると、グラウト材が硬化した後のシース内にブリーディング水が原因のグラウト材の未充填部分が存在しないので、長期間充分な強度があり、且つシース又は緊張材の錆による破損が長期間無いプレストレストコンクリートになるため好ましい。
本発明のプレストレストコンクリートは、前記のグラウト材注入方法によりシース内にグラウト材を充填する以外は、製造方法、大きさ、形状、材質、用途等は特に限定されない。本発明のプレストレストコンクリートは、シース内の緊張材によりプレストレスを導入するプレストレストコンクリートの製造に用いることができる方法であれば、本発明の効果を損なわない限り、何れの方法でも製造することができる。
[実施例1]
表1に示す各種グラウト材をハンドミキサ(回転数;1100R.P.M.)で4分間練り混ぜて作製した。材料は、以下のものを用いた。
<材料>
セメント: 太平洋セメント社製低熱ポルトランドセメント(比重3.22,ブレーン比表面積3280cm/g)。
収縮低減剤:高性能収縮低減剤(太平洋マテリアル社製「太平洋テトラガードPW」(商品名))。
分散剤:特開2001−2788号公報に記載されている実施例3の処理方法で作製した粉末状セメント分散剤と同じ方法で作製した粉末状セメント分散剤。
無機質微粉末:シリカフューム(BET比表面積20.0m/g)。
増粘剤:水溶性セルロースエーテル(信越化学工業社製「メトローズSEB−04T」(商品名))。
水:水道水
Figure 2005187270
作製した表1の各種グラウト材を、流動性試験(静置フロー値)、流動性試験(JP漏斗流下時間測定)、ブリーディング率試験及び模擬シースによる注入試験を行った。流動性試験(静置フロー値)、流動性試験(JP漏斗流下時間測定)及びブリーディング率試験の結果を表2に、模擬シースによる注入試験の結果を表3にそれぞれ示す。各試験方法は、以下の通りである。
<流動性試験(静置フロー値)>
JIS R 5201(セメントの物理試験方法)規定のフローコーンを用い、JIS R 5201に規定されるフロー試験においてフローテーブルとして500mm×500mm×20mmの水平にしたアクリル製平板を使用し、落下運動をせずに静置フロー値を測定した。
<流動性試験(JP漏斗流下時間測定)>
土木学会基準JSCE−F 531(PCグラウトの流動性試験方法)に従って、JP漏斗流下時間を測定した。
<ブリーディング率試験>
土木学会基準JSCE−F 533(PCグラウトのブリーディング率及び膨張率試験方法(容器方法))に規定されるブリーディング率試験方法に従って、最終ブリーディング率を測定した。
<模擬シースによる注入試験>
内径80mmの無色透明の塩化ビニル樹脂製のシース(勾配5%、注入口より上り勾配、頂上部と谷部の高低差1000mm)に緊張材としてPC鋼より線(7本より15.2mm)を通し緊張させた後に、グラウト材を充填した。このときグラウト材の充填は、注入口よりグラウトポンプでグラウト材を圧入し、グラウト材が排出口より排出されたら直ぐに排出口に設置してある栓を閉じた。全ての頂上部に空気抜き孔として内径19mmのビニール製耐圧ホースを設置したシースは、更にグラウト材の圧入を続け、グラウト材が排出された空気抜き孔としてのビニール製ホースを針金により閉じた。全ての空気抜き孔を閉め終え、次いで注入口に設置してある栓を閉じグラウト材の注入を終了した。頂上部に空気抜き孔を設置していないシースは、グラウト材が排出口より排出されたら直ぐに排出口に設置してある栓を閉じ、次いで注入口に設置してある栓を閉じグラウト材の注入を終了した。グラウト材の注入作業終了時におけるシース内のグラウト材未充填部分の有無を目視により観察した。注入から7日後に、注入口から2番目のシースの谷部をダイヤモンドカッターにより切断し、緊張材の下部にブリーディング水の発生が原因と見られる空隙の有無を目視により確認した。
模擬シースA:シース長:100m,勾配5%,注入口より上り勾配,全てのシースの頂上部に空気抜き孔として内径19mmのビニール製耐圧ホースを設置した。
模擬シースB:シース長:10m,勾配5%,注入口より上り勾配,全てのシースの頂上部に空気抜き孔として内径19mmのビニール製耐圧ホースを設置した。
模擬シースC:シース長:10m,勾配5%,注入口より上り勾配,全てのシースの頂上部に空気抜き孔を設置しなかった。
Figure 2005187270
Figure 2005187270
表3より、本発明のグラウト材(本発明品1〜7)は、本発明のグラウト材注入方法により注入するとシース内に未充填部分が無く充填できたことがわかる。特に、JP漏斗流下時間が2.8〜5秒の本発明のグラウト材(本発明品1〜6)は、シース長が100mと長い場合においても、シース内に未充填部分が無く充填できたことがわかる。
[実施例2]
内径40mmの鉄製のスパイラルシース(勾配20%、注入口より上り勾配,、頂上部と谷部の高低差160mm)の全ての頂上部に空気抜き孔として内径15mmのビニール製耐圧ホースを取り付けた。空気抜き孔を取り付けたスパイラルシース及び鉄筋を設置した型枠(縦2000mm×横300mm×深さ300mm)に、コンクリートを打設した。このときのコンクリートの配合を表4に示す。この材齢28日の圧縮強度は、71.8N/mmであった。コンクリートを打設して28日後に、シース内に緊張材としてPC鋼より線(2.9mm2本より)を通し、当該PC鋼より線を緊張した上で、実施例1で用いた配合No.1のグラウト材を、ポンプ圧(最高値;0.2MPa)でシース内に注入した。グラウト材が排出口より排出されたら直ちにに排出口に設置してある栓を閉じ、更にグラウト材の注入を続けた。グラウト材が排出された空気抜き孔としてのビニール製耐圧ホースを針金により閉じた。全ての空気抜き孔を閉め終え、次いで注入口に設置してある栓を閉じグラウト材の注入を終了した。グラウト材の注入の7日後に、製造したプレストレストコンクリートのシースの頂上部に当たる位置及び谷部に当たる位置全てを、コンクリートカッターで切断した。切断面を目視で確認したところ、シース内にグラウト材の未充填箇所並びに緊張材の下部にブリーディング水の発生が原因と見られる空隙は、全く見られなかった。
Figure 2005187270
本発明によれば、シース内に未充填部分が無く充填できるグラウト材及びグラウト材注入方法、グラウト材が硬化した後のシース内にグラウト材の未充填部分が存在しないように、効率良く且つ安全にシース内にグラウト材を充填できるグラウト材及びグラウト材注入方法、並びにグラウト材が硬化した後のシース内にグラウト材の未充填部分が存在しない、シース内の緊張材によりプレストレスを導入するプレストレストコンクリートが得られるので、本発明はシースが長いプレストレストコンクリートを用いた橋梁、高架橋等の製造に好適に用いることができる。
注入口よりシースが上り勾配となっている場合の本発明のグラウト材注入方法を示す模式的な断面図である。 注入口よりシースが下り勾配となっている場合の本発明のグラウト材注入方法を示す模式的な断面図である。
符号の説明
1 部材コンクリート
2 シース
3 注入口
4 排出口
5 グラウト材
6 注入口より1番目のシースの頂上部
7 注入口より2番目のシースの頂上部
8 注入口より1番目のシースの谷部
9 注入口より2番目のシースの谷部
10 注入口より1番目の下り勾配部分
11 注入口より2番目の下り勾配部分
12 注入口より1番目の上り勾配部分
13 注入口より2番目の上り勾配部分
14 空隙
15 シース内の緊張材によりプレストレスを導入するプレストレストコンクリート
16 空気抜き孔
17 部材コンクリート
18 シース
19 注入口(注入口より1番目のシースの頂上部)
20 排出口
21 グラウト材
22 注入口の次ぎのシースの頂上部(注入口より2番目のシースの頂上部)
23 注入口より1番目のシースの谷部
24 注入口より2番目のシースの谷部
25 注入口より1番目の下り勾配部分
26 注入口より2番目の下り勾配部分
27 注入口より1番目の上り勾配部分
28 注入口より2番目の上り勾配部分
29 空隙
30 シース内の緊張材によりプレストレスを導入するプレストレストコンクリート
31 空気抜き孔
32 注入口より3番目のシースの頂上部

Claims (4)

  1. 少なくともセメント100重量部と水20〜100重量部を含有するグラウト材であって、JIS R 5201規定のフローコーンを用いた静置フローのフロー値が300mm以上であるグラウト材。
  2. 更に、JSCE−F 531に規定されるJP漏斗を用いた流下時間が2.8〜5秒である請求項1記載のグラウト材。
  3. プレストレストコンクリートの製造に用いるグラウト材注入方法であって、全ての頂上部に空気抜き孔を設けたシースに、請求項1又は2記載のグラウト材を充填することを特徴とするグラウト材注入方法。
  4. 請求項3記載のグラウト材注入方法により、シース内に請求項1又は2記載のグラウト材を充填することを特徴とするシース内の緊張材によりプレストレスを導入するプレストレストコンクリート。
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