JP2005186593A - 液晶ポリマーの射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 液晶ポリマーの射出成形を行う際に、材料供給用ホッパから射出ノズル側に順番に、ホッパゾーン17、フィードゾーン16、コンプレッションゾーン15およびメータリングゾーン14からなる加熱筒2を有し、該加熱筒2の各対応ゾーンにはホッパゾーン温度調節手段7、フィードゾーン温度調節手段6、コンプレッションゾーン温度調節手段5およびメータリングゾーン温度調節手段4が設けられた射出成形装置を用い、フィードゾーン16の温度をTF(℃)、コンプレッションゾーン15の温度をTC(℃)として、式(1)を満足させる。
TC≦TF≦TC+15 (1)
【選択図】 図2
Description
図1に、インラインスクリュタイプの可塑化装置を有する一般的な射出成形機の構成を示す。該射出成形機の可塑化装置においては、固体の熱可塑性材料が、ホッパ1に投入され、ホッパ1から加熱筒2内に供給される。加熱筒2内にはスクリュ(以下、便宜上スクリュで説明するが、本発明ではプランジャタイプの場合のプランジャも含む。)3が収納される。加熱筒2は、ホッパ1側からホッパゾーン(投入部)、フィードゾーン(供給部)、コンプレッションゾーン(圧縮部)およびメータリングゾーン(計量部)からなる。加熱筒2の外側にはバンドヒータのような発熱体が複数個巻装され、各ゾーンごとに温度制御される。
一方、加熱筒2のホッパ1の下部には冷却用装置のようなホッパゾーン温度調節手段7が設けられており、冷却水などを通して冷却される。
ホッパから供給された熱可塑性材料は、発熱体からの外部加熱と、スクリュの回転による樹脂のせん断摩擦による内部発熱により溶融され、熱可塑性材料の渦流により混練され、可塑化された後、加熱筒内をスクリュの先端方向に送られる。
このとき、スクリュの溝が深くなっている位置に相当するフィードゾーンの温度は、スクリュ溝が次第に浅くなってゆくコンプレッションゾーンの温度よりも低くすることが一般的である。
可塑化と射出とを同軸上で行うインラインスクリュタイプの可塑化装置では、メータリングゾーン内に計量された樹脂を、スクリュを前進させることによって、射出ノズル10から射出する。
特に液晶ポリマーは材料の特性として、流動開始温度以上の温度になると急速に溶融し、低粘度の液体状態となる。従って、スクリュと加熱筒間でのせん断摩擦が少ないため、内部発熱による可塑化の効果が少なく、スクリュ回転による溶融促進効果が少ない。
また、計量時にはスクリュがコンプレッションゾーンからフィードゾーンの方向へ後退して、メータリングゾーンに溶融樹脂が貯留、計量されるのであるが、計量ストロークが長い場合は、加熱筒温度がスクリュ温度よりも低くなる位置にまでスクリュ位置が後退するため、温度の高いコンプレッションゾーンにあった樹脂が温度の低いフィードゾーンまで後退することで、樹脂の加熱筒との摩擦係数が樹脂のスクリュとの摩擦係数よりも小さくなるという摩擦係数の逆転が発生する。このため溶融した液晶ポリマーはスクリュと共周りしてしまい、溶融した樹脂が前方へ移送されないため計量がばらつき、安定した品質が得られなくなってしまう。
液晶ポリマー射出成形品の品質のばらつきを少なくするために、成形機並びに成形方法の検討がこれまでにも行われており、例えば、ホッパゾーンの温度を特定温度範囲に制御可能な成形機を用い、ホッパゾーンの温度を特定の範囲に温調する成形方法が記載されている。(特許文献1参照。)
しかし、この技術では、大型射出成形品および多数個同時成形品を得るため等の場合に、可塑化における計量ストロークを長くして、多量の材料を可塑化する場合には、計量ばらつきを十分に小さくすることは難しい。
しかし、該技術は、ホッパ下部の樹脂がフィード部の加熱ヒータからの熱により軟らかくならないようにするためのものであり、フィードゾーンの温度をコンプレッションゾーンの温度よりも高くするという技術思想は示されていない。
本発明において、各ゾーンの温度は、特に断りがない限り、設定温度を示す。
フィードゾーン16の温度をTF(℃)、コンプレッションゾーン15の温度をTC(℃)として、
TC≦TF≦TC+15 (1)
とすることを特徴とする液晶ポリマーの射出成形方法を提供する。
本発明の第2は、ホッパゾーン17の温度をTH(℃)、液晶ポリマーのガラス転移温度をTg(℃)、熱変形温度をTf(℃)として、
Tg−20≦TH≦Tf−20 (2)
とすることを特徴とする本発明の第1に記載の液晶ポリマーの射出成形方法を提供する。
本発明の第3は、フィードゾーン16の温度変動幅を±5℃以内に制御することを特徴とする本発明の第1又は2に記載の液晶ポリマーの射出成形方法を提供する。
本発明の第4は、射出成形装置のホッパゾーン17とフィードゾーン16との間に断熱手段8が設けられていることを特徴とする本発明の第1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマーの射出成形方法を提供する。
本発明の第5は、射出成形装置のホッパゾーン17と加熱筒固定部12との間に断熱手段9が設けられていることを特徴とする本発明の第1〜4のいずれかに記載の液晶ポリマーの射出成形方法を提供する。
本発明に適用できる液晶ポリマーは直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
また、液晶ポリマーと添加剤を別個に溶融混合機に供給してペレット化し、ペレット状態でこれらを組み合わせて混合し、所望の配合量とすることもできる。
温度調節手段4〜6としては、バンドヒータなどのヒータが挙げられる。
温度調節手段7としては、加熱筒固定部12に熱媒体流通用の穴を開け、ジャケットにしてもよい。熱媒体としては、温度調節された水、蒸気、油などが挙げられる。
本発明に係る射出成形装置は、各温度調節手段の温度制御をマニュアルで行ってもよいが、通常、各ゾーンの温度調節手段を温度調節するために、温度制御部位が設けられ、該温度制御部位に取り付けられた温度センサからの信号に基づいて制御プログラムによって当該部位における所定温度の制御をなすようにコンピュータ制御される。
本発明に係る射出成形装置は、インラインスクリュタイプでもスクリュプリプラ式プランジャタイプでもよい。
TC≦TF≦TC+15 (1)
とすることを特徴とする。
フィードゾーン16の温度をコンプレッションゾーン15の温度より低くするという従来のやり方では、計量時にスクリュが後退する際に、溶融した液晶ポリマーはスクリュと共周りしてしまい、溶融した樹脂が前方へ移送されないため計量がばらつき安定した品質が得られない。
15℃より高い温度にした場合、コンプレッションゾーン15に移送される前に外部からのフィードゾーン温度調節手段6のみで、短時間で液晶ポリマーが溶融してしまう。このため溶融した樹脂はスクリュと共周りしてしまい、前方へ移送されないため、計量がばらつき、安定した品質が得られない。
Tg−20≦TH≦Tf−20 (2)
とすることを特徴とする。
ホッパゾーン17の温度THが、液晶ポリマーの熱変形温度より20℃低い温度より高い温度では、ホッパ下部の加熱筒もしくはスクリュバレル部分からフィードゾーン部分において樹脂が溶融してしまい、スクリュの先端部分に向かって樹脂を送ることができないため、成形すること自体が困難となる。
さらには、フィードゾーン16及び/又はホッパゾーン17の温度変動幅は±5℃以内に制御することが重要である。温度変動幅がこれ以上に大きいと、計量時間のばらつき大きくなり、安定した製品を得るための成形条件設定は難しくなる。
断熱手段8としては、切り欠き構造、真空構造、断熱材などが挙げられる。
断熱手段9としては、切り欠き構造、真空構造、断熱材などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
射出成形機は、一般の射出成形機の加熱筒部分の一部を、図2に示すように、変更したものを使用した。
試験材料として、下記のものを使用した。
材料:ポリプラスチックス(株)製、ベクトラ(登録商標)E130i、ガラス転移温度100℃(JlSK7121に従って測定)、熱変形温度270℃(ASTM-D648,荷重1.82MPa)
ホッパゾーンとフィードゾーンの間に断熱手段8として切り欠きを設けた加熱筒を備えたインラインスクリュ式射出成形機(スクリュ径φ36、型締め力100トン)を用いた。
メータリングゾーン温度:350℃
コンプレッションゾーン温度:350℃
フィードゾーン温度:355℃
ホッパゾーン温度:100℃
スクリュ回転数:120rpm
その際、成形金型は計量ストロークを40mmとしてフルショット出来るものを選び、連続して20ショット成形して、その際の全可塑化時間(計量開始から計量完了までの時間)を計測し、可塑化時間のばらつきとして標準偏差(σ)を求めた。
また、成形中のコンプレッションゾーン並びにフィードゾーンに設けられた温度センサーの示す温度を測定し、温度の下限値と上限値を記録する。
結果は、表1に示すように、温度変動域が狭く、良好な温度制御が行われており、計量時間並びに計量ばらつきも小さな値となった。
フィードゾーンの温度を365℃とする以外は、実施例1と同じとした。
結果は、表1に示すように、フィードゾーン温度が±5℃の制御幅に収まっており、計量時間並びに計量ばらつきも小さくなった。
フィードゾーンの温度を365℃とし、ホッパゾーンの温度を60℃とする以外は、実施例1と同じとした。
結果は、表1に示すように、従来に比べて計量時間並びに計量ばらつきも小さくなったが、ホッパゾーン温度がガラス転移温度100℃より20℃低い温度(即ち80℃)より低く、ペレットの予熱が十分行われていないため、実施例1に比較して、温度制御幅が大きくなり、計量時間並びに計量ばらつきも大きな値となった。
フィードゾーンの温度を365℃とし、断熱手段8が無い以外は、実施例1と同じとした。
表1に示すように、比較例に比べて計量ばらつきは小さくなったが、フィードゾーンの温度が365℃と高いにもかかわらず、断熱手段8が無いため、隣にあるホッパゾーン温度が100℃と低いため、温度差が大きいせいで、フィードゾーンの大きな温度降下を示す。そのため計量時間並びに計量ばらつきも、実施例1〜3と比べて、大きな値となる。
フィードゾーンの温度を300℃とした以外は、実施例1と同じとした。
表1に示すように、フィードゾーン温度が±5℃に制御されているにもかかわらず、液晶ポリマーを長い計量ストロークにて成形する場合には、計量時間、特に計量ばらつきは大きな値を示した。
ホッパーゾーンの温度を270℃とする以外は、実施例1と同じとした。この場合、樹脂の溶着が発生するため、計量ができない。
実施例1〜4、比較例1〜2の実施条件並びに値を表1に示す。
2 加熱筒
3 スクリュ
4 メータリングゾーン温度調節手段
5 コンプレッションゾーン温度調節手段
6 フィードゾーン温度調節手段
7 ホッパゾーン温度調節手段
8 断熱手段
9 断熱手段
10 射出ノズル
12 加熱筒固定部
13 射出駆動機構
14 メータリングゾーン
15 コンプレッションゾーン
16 フィードゾーン
17 ホッパゾーン
Claims (5)
- 材料供給用ホッパ1から射出ノズル10側の方向に順番に、ホッパゾーン17、フィードゾーン16、コンプレッションゾーン15およびメータリングゾーン14からなる加熱筒2を有し、該加熱筒2の各対応ゾーンにはホッパゾーン温度調節手段7、フィードゾーン温度調節手段6、コンプレッションゾーン温度調節手段5およびメータリングゾーン温度調節手段4が設けられた射出成形装置を用い、
フィードゾーン16の温度をTF(℃)、コンプレッションゾーン15の温度をTC(℃)として、
TC≦TF≦TC+15 (1)
とすることを特徴とする液晶ポリマーの射出成形方法。 - ホッパゾーン17の温度をTH(℃)、液晶ポリマーのガラス転移温度をTg(℃)、熱変形温度をTf(℃)として、
Tg−20≦TH≦Tf−20 (2)
とすることを特徴とする請求項1記載の液晶ポリマーの射出成形方法。 - フィードゾーン16の温度変動幅を±5℃以内に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶ポリマーの射出成形方法。
- 射出成形装置のホッパゾーン17とフィードゾーン16との間に断熱手段8が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリマーの射出成形方法。
- 射出成形装置のホッパゾーン17と加熱筒固定部12との間に断熱手段9が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリマーの射出成形方法。
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JP2013184387A (ja) * | 2012-03-08 | 2013-09-19 | Sumitomo Heavy Ind Ltd | 射出成形機 |
WO2020044642A1 (ja) * | 2018-08-29 | 2020-03-05 | 日精樹脂工業株式会社 | 射出装置 |
CN114953383A (zh) * | 2021-02-26 | 2022-08-30 | 住友重机械工业株式会社 | 注射成型机 |
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2003
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