JP2005186035A - 耐汚染性塗装基材の製造方法 - Google Patents

耐汚染性塗装基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗膜の基材に対する密着性が良好であって、塗膜の耐汚染性も長期に亘って優れている耐汚染性塗装基材の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、シリカ、ガラス繊維の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機化合物2を配合してなる無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料5を基材3の表面に塗布し、これを硬化させることによって塗膜1を形成する。その後、この塗膜1の表面を加熱処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の外壁や屋根、その他の構造物等を形成する際に好適に用いることができる耐汚染性塗装基材の製造方法に関するものである。
近年、建築物の外壁や屋根、その他の構造物等を形成するための構造材料には、都市外観重視の観点から、耐汚染性を付与する処理が行われている。このような処理として、例えば、酸化チタン(TiO)を利用するものを挙げることができる。この処理は、酸化チタンを含有する塗料を構造材料の表面に塗布して塗膜1を形成し、この塗膜1によって耐汚染性を確保しようとするものである。そして、このようにして形成される塗膜1は、以下のような2つのタイプに分けることができる。
図8(a)は1層型と呼ばれるタイプの塗膜1の一例を示すものである。この塗膜1は、次のようにして形成されている。すなわち、基材3であるプレコート金属板(PCM)の表面に酸化チタンを含有する塗料を直接塗布して、厚みが約10μm以上の酸化チタン層を形成する。このようにして、酸化チタン層の1層からなる塗膜1をプレコート金属板に形成することができ、この酸化チタン層によって耐汚染性を得ることができる上に、窒素酸化物(NOx)等の有害ガスを分解することもできるものである(例えば、特許文献1参照。)。
一方、図8(b)は2層型と呼ばれるタイプの塗膜1の一例を示すものである。この塗膜1は、次のようにして形成されている。まず、基材3であるプレコート金属板の表面に有機変性シリカ樹脂等からなる塗料を塗布して、厚みが約1μmの保護層10を形成する。次に、酸化チタンを含有する塗料を保護層10の表面に塗布して、厚みが約1μmの酸化チタン層を形成する。このようにして、酸化チタン層と保護層10の2層からなる塗膜1をプレコート金属板に形成することができ、外側の酸化チタン層によって耐汚染性を得ることができるものである(例えば、特許文献2参照。)。
特開2001−81412号公報(特許請求の範囲) 特許第3038599号公報(特許請求の範囲、第1図)
酸化チタンは、太陽光の紫外線(UV)を受けて活性化されることにより、有機物等の汚れを分解するのであるが、図8(a)に示すように、基材3であるプレコート金属板の表面に直に酸化チタン層が形成されていると、プレコート金属板の表面が分解されて、酸化チタン層が剥離するおそれがある。そのため、上記の1層型の塗膜1においては、酸化チタン層を約10μmと厚く形成することにより、紫外線が、プレコート金属板の近傍に存在する酸化チタンにまで到達しないようにして、この酸化チタンの活性化を抑制している。しかしながら、酸化チタン層を厚く形成するとそれだけ酸化チタンの使用量が増加するので、結局、プレコート金属板に対する酸化チタン層の密着性を十分に確保することはできない。
一方、図8(b)に示すように、上記の2層型の塗膜1においては、保護層10として、酸化チタンで分解されず、かつ、基材3であるプレコート金属板に対する密着性が高いものを用い、これを酸化チタン層とプレコート金属板との間に介在させているので、プレコート金属板が酸化チタンで分解されないように保護層10でプレコート金属板を保護することができ、しかもこの保護層10を介してプレコート金属板に対する酸化チタン層の密着性を確保することができるものである。しかしながら、1層型の塗膜1に比べて2層型の塗膜1を形成する場合にはそれだけ工程数が増加すると共に製造コストも増加するものである。
また、いずれのタイプの塗膜1も、酸化チタンの使用量が多い割には十分な耐汚染性が得られず、それどころか酸化チタンの使用量が多いために塗膜1にクラックが発生しやすくなっている。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、塗膜の耐汚染性が長期に亘って良好であり、また塗膜の基材に対する密着性も長期に亘って高く得ることができる耐汚染性塗装基材の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る耐汚染性塗装基材の製造方法は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、シリカ、ガラス繊維の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機化合物2を配合してなる無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料5を基材3の表面に塗布し、これを硬化させることによって塗膜1を形成した後、この塗膜1の表面を加熱処理することを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る耐汚染性塗装基材の製造方法は、請求項1において、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機化合物2の含有量が塗膜1全量に対して10重量%以上であることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る耐汚染性塗装基材の製造方法は、請求項1又は2において、加熱処理として、フレーム処理、プラズマ処理、コロナ放電処理の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の処理を行うことを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係る耐汚染性塗装基材の製造方法は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、加熱処理として、5〜250kJ/m/分のフレーム処理を行うことを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係る耐汚染性塗装基材の製造方法は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、基材3として、金属材、プラスチック材、木材、モルタル、石材のいずれかを用いることを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係る耐汚染性塗装基材の製造方法によれば、塗膜の耐汚染性が長期に亘って良好であり、また塗膜の基材に対する密着性も長期に亘って高く得ることができるものである。しかも、複数種の無機化合物を組み合わせて用いることにより、各無機化合物が有する機能を塗膜に付与することができるものである。
本発明の請求項2に係る耐汚染性塗装基材の製造方法によれば、無機化合物が有する機能を塗膜に十分に付与することができると共に塗膜にクラックが発生するのを防止することができるものである。
本発明の請求項3に係る耐汚染性塗装基材の製造方法によれば、塗膜の表面に容易に親水性を付与することができるものである。しかも、酸化チタン等の無機化合物が塗膜に含有されている場合には、このような無機化合物を塗膜の表面において容易に露出させることができるものである。
本発明の請求項4に係る耐汚染性塗装基材の製造方法によれば、塗膜の表面にさらに容易に親水性を付与することができるものである。しかも、酸化チタン等の無機化合物が塗膜に含有されている場合には、このような無機化合物を塗膜の表面においてさらに容易にかつ大きく露出させることができるものである。
本発明の請求項5に係る耐汚染性塗装基材の製造方法によれば、基材の種類は豊富であるため、用途に応じて好適な耐汚染性塗装基材を得ることができるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において無機クリヤー塗料とは、後述する無機化合物2を配合して調製される塗料であって顔料を含まないものをいい、例えば、コロイダルシリカ塗料やコロイダルチタニア塗料等のほか、これらの前駆体等を挙げることができる。この前駆体とは、有機シリコンや有機チタン等をいい、塗膜1の形成時において、コロイダルシリカ塗料やコロイダルチタニア塗料を実質的に生成するものである。例えば、コロイダルシリカ塗料の前駆体としては、テトラアルコキシシラン類(さらに具体的には、テトラエトキシシラン類、テトラメトキシシラン類、テトライソプロポキシシラン類、テトラプトキシシラン類等)、シラノール類、シロキサン類等を挙げることができ、また、コロイダルチタニア塗料の前駆体としては、チタンのアルコキシド化合物、チタンのキレート化合物、チタンのアセテート化合物、塩化チタン(TiCl)、硫酸チタン(Ti(SO)等を挙げることができる。ここで、コロイダルシリカのみ又はコロイダルチタニアのみでは、塗膜1を形成するのが困難であるので、無機クリヤー塗料には、バインダーとして、アクリル樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂成分4が少量配合してある。
また、本発明において無機エナメル塗料とは、後述する無機化合物2を配合して調製される塗料であって顔料を含むものをいい、例えば、酸化クロム(Cr)や酸化鉄(Fe)等の顔料を、上述したコロイダルシリカ塗料やコロイダルチタニア塗料等に、また、これらの前駆体等に配合したものを挙げることができる。無機エナメル塗料にも、バインダーとして、アクリル樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂成分4が少量配合してある。
本発明における無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料5には、必要に応じて、アルミナ(Al)や炭酸カルシウム(CaCO)等の骨材を添加してもよい。なお、無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料5としては、市販されているものを用いることもできる。例えば、(株)トウペ製「ポーセリン#200」を挙げることができる。また、塗布しやすくするために、必要に応じて、水、メタノール、エタノール等の溶剤で無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料5を希釈してもよい。
本発明において無機化合物2としては、酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、シリカ、ガラス繊維の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上のものを用いる。これらの無機化合物2のうち、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫は光触媒とも呼ばれる。そして、このような無機化合物2を用いて無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料5を調製すると、無機化合物2が有する機能を塗膜1に付与することができるものである。特に、複数種の無機化合物2を組み合わせて用いると、複数種の無機化合物2が有する機能を塗膜1に付与することができるものである。ここで、無機化合物2が有する機能について具体的に説明すると、例えば、無機化合物2として上記の光触媒を用いる場合には、塗膜1の耐汚染性をさらに向上することができる上に、抗菌性や消臭性をも向上することができるものである。また、シリカを用いる場合には、塗膜1の耐摩耗性を向上することができるものである。また、ガラス繊維を用いる場合には、塗膜1の強度を向上することができるものである。さらに、これらの無機化合物2を組み合わせて用いると、相乗効果を得ることができるものである。また、本発明の目的から逸脱しない限り、銀化合物等の抗菌剤を用いて塗膜1の抗菌性を向上させたり、珪藻土等の消臭剤を用いて塗膜1の消臭性を向上させたりすることができる。なお、酸化チタンは、表面がアルミナでコーティングされている不活性酸化チタンと、表面がコーティングされていない活性酸化チタンとに大別することができるが、本発明においては、活性酸化チタンを用いるのが好ましい。
ここで、塗膜1(無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料5の固形分)全量に対して、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機化合物2の含有量は10〜95重量%であることが好ましい。この含有量が10重量%より少ないと、無機化合物2が有する機能を塗膜1に十分に付与することができないおそれがある。逆に、上記の含有量が95重量%より多いと、相対的に、バインダーとなるアクリル樹脂のような樹脂成分4の含有量が減少することにより、基材3に対する塗膜1の密着性が低下したり塗膜1にクラックが発生して割れやすくなったりするおそれがある。なお、無機化合物2として特に酸化チタンを用いる場合には、塗膜1(無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料5の固形分)全量に対して酸化チタンの含有量は10〜60重量%であることが好ましい。酸化チタンの含有量が10重量%より少ないと、酸化チタンによる耐汚染性を塗膜1に十分に付与するために後述する加熱処理の程度(例えば、フレーム処理の強度)を高めなければならず、エネルギーコストが増加するおそれがある。逆に酸化チタンの含有量が60重量%より多いと、基材3に対する塗膜1の密着性が低下したり塗膜1にクラックが発生して割れやすくなったりするおそれがある。
以下においては、無機クリヤー塗料であるコロイダルシリカ塗料を用いる場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、無機クリヤー塗料の代わりに無機エナメル塗料を用いてもよいことはいうまでもない。
上記のように、本発明においては、無機化合物2であるシリカ及び樹脂成分4であるアクリル樹脂からなる無機クリアー塗料5を用いることができる。このような無機クリヤー塗料5においては、シリカの配合割合が多いほど好ましい。その方が、塗膜1に十分な耐汚染性を付与することができると共に塗膜1の保護効果を高く得ることができるからである。しかし、既述のとおり、シリカのみでは塗膜1の形成は困難であるため、アクリル樹脂のような有機物をバインダーとして配合しているのである。このときアクリル樹脂の配合割合が多くなると、後述するように酸化チタンをさらに配合した場合に塗膜1が分解しやすくなるおそれがある。そのため、無機クリヤー塗料5として、シリカ及びアクリル樹脂からなる塗料を用いる場合には、これらの配合割合は重量比で95:5〜10:90であることが好ましい。
本発明において基材3としては、種々の材質のものを用いることができる。例えば、基材3としては、金属材、プラスチック材、木材、モルタル、石材等を挙げることができる。より具体的には、金属材としては、アルミ板、鉄板、亜鉛めっき鋼板、プレコート金属板(例えば、フッ素樹脂塗装鋼板、ポリエステル塗装鋼板等)等を例示することができる。また、プラスチック材としては、アクリル板等を例示することができる。また、木材としては、ベニヤ板等を例示することができる。このように、基材3の種類は豊富であるため、用途に応じて好適な耐汚染性塗装基材を得ることができるものである。なお、基材3としては、板状のもののみならず、種々の形状に加工されたものも用いることができる。
そして、耐汚染性塗装基材は次のようにして製造することができる。まず図1(a)に示すように基材3の表面に無機クリヤー塗料5(例えば、既述のシリカ及びアクリル樹脂からなる塗料)を塗布してこれを硬化させることによって塗膜1を形成する。その後、塗膜1の表面に加熱処理を行うことによって、図1(b)に示すような耐汚染性塗装基材を製造することができる。図1(a)(b)を対比すれば、加熱処理を行う前に比べて加熱処理を行った後の方が、塗膜1の表面において無機化合物2であるシリカの露出面積が大きく、逆に樹脂成分4であるアクリル樹脂の露出面積が小さいことが分かる。このように、有機物であるアクリル樹脂の露出面積が減少するので、有機物等の汚れが付着しにくくなるものである。しかも、加熱処理後の塗膜1の表面には多くのOH基が導入されて親水性が付与されるので、たとえ汚れが付着してもこの汚れは強固に付着しておらず容易に洗い流すことができ、塗膜1の耐汚染性を長期に亘って良好に維持することができるものである。また、本発明においては、酸化チタン等の無機化合物2が塗膜1に含有されていなくても良好な耐汚染性を得ることができるので、図8(a)に示す従来の1層型の塗膜1に比べて、塗膜1の基材3に対する密着性を長期に亘って良好に維持することができるものである。しかし、本発明は、酸化チタン等の無機化合物2の使用を排除するものではない。酸化チタン等の無機化合物2を使用すれば容易に耐汚染性等の特性を向上させることができるが、本発明は、従来よりも酸化チタン等の無機化合物2の使用量を大幅に減少させることができ、これにより、塗膜1の加工性を向上することができる点において技術上の意義があり、従来の技術に比べて有利である。
ここで、本発明においても、無機化合物2として酸化チタンを用いる場合には、従来と同様に2つのタイプの塗膜1を形成することができるが、その塗膜1は、従来よりも薄く形成することができる。すなわち、図8(a)に示す1層型と呼ばれるタイプの場合において、基材3としてプレコート金属板を用いるときは、塗膜1の厚みは6μmまで薄くすることが可能である。酸化チタンの使用量を減少させることができるからである。また、基材3としてプレコートされていない金属板を用いるときは、塗膜1の厚みは1μmまで薄くすることが可能である。金属自体は、酸化チタンによる光触媒作用で分解されないからである。一方、図8(b)に示す2層型と呼ばれるタイプの場合においては、保護層10の表面に形成される塗膜1の厚みは1μmよりも薄くすることが可能である。保護層10は、酸化チタンによる光触媒作用で分解されないからである。なお、いずれのタイプにおいても、塗膜1を厚く形成すれば密着性及び加工性が低下するおそれがあるものの、本発明において塗膜1の厚みの上限は特に限定されるものではない。
上記のような耐汚染性塗装基材は、連続方式でもバッチ方式でも製造することができる。図3は連続方式による耐汚染性塗装基材の製造設備の一例を示すものである。この製造設備を用いると、例えば、板状の基材3を用いる場合には、次のようにして耐汚染性塗装基材を製造することができる。基材3として長尺のプレコート金属板(板厚:0.16〜1.60mm、板幅:610〜1030mm)を用い、このプレコート金属板を長手方向に搬送しながら(搬送速度:30〜200m/分)、まず、塗工機6であるコーターで無機クリヤー塗料5をプレコート金属板の表面に塗布する。このとき無機クリヤー塗料5としては、シリカ2a及びアクリル樹脂からなる塗料に酸化チタン2bを配合したものを用いるようにしている。次に、乾燥機7であるオーブンに上記のような無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料5が塗布されたプレコート金属板を通すことによって無機クリヤー塗料5を硬化させて塗膜1を形成する。オーブンによるプレコート金属板の最高到達温度は例えば224℃に設定する。このときの塗膜1の断面を模式的に図2(a)に示す。その後、このように塗膜1が形成されたプレコート金属板を長手方向に搬送しながら、加熱手段8で塗膜1の表面に加熱処理を行う。加熱処理を行った後の塗膜1の断面を模式的に図2(b)に示す。このようにして連続方式で耐汚染性塗装基材を製造することができるものである。なお、図3中、9は搬送ロールである。
ここで、図2(b)に示すように、加熱処理によって、無機クリヤー塗料5に配合されている無機化合物2を塗膜1の表面において露出させることが好ましい。加熱処理前(図2(a))に比べて加熱処理後(図2(b))においては、有機物であるアクリル樹脂の露出面積が減少するので、有機物等の汚れが付着しにくくなるものである。しかも、加熱処理後の塗膜1の表面には多くのOH基が導入されて親水性が付与されるので、たとえ汚れが付着してもこの汚れは強固に付着しておらず容易に洗い流すことができ、塗膜1の耐汚染性を長期に亘って良好に維持することができるものである。さらに、図2(b)に示すように無機化合物2を塗膜1の表面において大きく露出させると、無機化合物2が有する機能を十分に塗膜1に付与することができるものである。具体的には、シリカ2aや酸化チタン2bが大きく露出することにより、樹脂成分4であるアクリル樹脂の露出面積を減少させることができ、有機物等の汚れが付着しにくくなるものであり、また、酸化チタン2bが大きく露出することにより、有機物等の汚れと接触する面積が増加し、酸化チタン2bの光触媒作用により、塗膜1の耐汚染性をさらに向上することができると共に、このように向上した耐汚染性をかなり長期間維持することができるものである。
本発明において加熱処理としては、フレーム処理(F処理)、プラズマ処理、コロナ放電処理の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の処理を行うことができる。いずれの処理を行う場合であっても、塗膜1の表面を加熱することができ、これにより塗膜1の表面に容易に親水性を付与することができるものである。しかも、酸化チタン等の無機化合物2が塗膜1に含有されている場合には、このような無機化合物2を塗膜1の表面において容易に露出させることができるものである。また、フレーム処理は、加熱手段8としてカーテンバーナーやスリットバーナー等のバーナーを用いて行うことができる。すなわち、図3に示すように、オーブンの下流側にバーナーを配置し、加熱手段8であるバーナーの開口を基材3の塗膜1に向けて、基材3を搬送しながらフレーム(火炎)を塗膜1の表面に当てることによって、フレーム処理を行うことができるものである。また、プラズマ処理は、加熱手段8としてプラズマジェットガンを用いて行うことができる。すなわち、図3に示すように、オーブンの下流側にプラズマジェットガンを配置し、このノズルを基材3の塗膜1に向けて、基材3を搬送しながらプラズマを塗膜1の表面に吹き付けることによって、プラズマ処理を行うことができるものである。
ここで、単位時間に加熱手段8が塗膜1に与える熱量を一定とすると、連続方式においては、基材3の搬送速度を速くすれば、基材3の塗膜1に与えられる熱量を小さくすることができ、逆に基材3の搬送速度を遅くすれば、基材3の塗膜1に与えられる熱量を大きくすることができる。これについて具体例を挙げて説明する。110.1kJ/分(26.3kcal/分)(一定)のバーナー(有効幅:100mm/トーチ)を加熱手段8として用いる場合において、塗膜1が形成された基材3の搬送速度を60m/分、30m/分、15m/分と変化させると、塗膜1に与えられる熱量はそれぞれ18.4kJ/m/分(4.4kcal/m/分)、36.8kJ/m/分(8.8kcal/m/分)、73.7kJ/m/分(17.6kcal/m/分)と変化する。つまり、基材3の搬送速度が速い場合には、1分間に1mの塗膜1に与えられる熱量が小さくなり、逆に基材3の搬送速度が遅い場合には、1分間に1mの塗膜1に与えられる熱量が大きくなる。
特に加熱処理としては、5〜250kJ/m/分のフレーム処理を行うことが好ましい。このようにフレーム処理の強度を設定すると、塗膜1の表面にさらに容易に親水性を付与することができるものである。しかも、酸化チタン等の無機化合物2が塗膜1に含有されている場合には、このような無機化合物2を塗膜1の表面においてさらに容易にかつ大きく露出させることができるものである。しかし、フレーム処理の強度が5kJ/m/分より小さいと、上記のような効果を十分に得ることができないおそれがある。逆にフレーム処理の強度が250kJ/m/分より大きいと、塗膜1が炭化したり、エネルギーコストが増加することにより耐汚染性塗装基材の製造コストが増加したりするおそれがある。
一方、バッチ方式によれば、例えば、次のようにして耐汚染性塗装基材を製造することができる。基材3としてあらかじめ所定の形状に切断されたプレコート金属板(板厚:0.16〜1.60mm、板幅:610〜1030mm)を用い、まず、塗工機6であるバーコーターやスプレーで無機クリヤー塗料5をプレコート金属板の表面に吹き付けて塗布する。このとき無機クリヤー塗料5としては、シリカ及びアクリル樹脂からなる塗料に酸化チタンを配合したものを用いることができる。次に、乾燥機7であるオーブンでプレコート金属板に塗布された無機クリヤー塗料5を硬化させて塗膜1を形成する。このときオーブンによるプレコート金属板の最高到達温度は例えば224℃に設定する。こうして得られる塗膜1の断面を模式的に図1(a)(又は図2(a))に示す。その後、このようにプレコート金属板に形成された塗膜1の表面にハンドバーナー等の加熱手段8で加熱処理を行う。このときの塗膜1の断面を模式的に図1(b)(又は図2(b))に示す。このようにしてバッチ方式で耐汚染性塗装基材を製造することができるものである。なお、バッチ方式であっても、加熱処理によって、無機クリヤー塗料5に配合されている無機化合物2を塗膜1の表面において露出させることが好ましい。
そして、上記のようにして製造される耐汚染性塗装基材は、塗膜1の耐汚染性が長期に亘って良好であり、また塗膜1の基材3に対する密着性も長期に亘って高く得ることができるため、建築物の外壁や屋根、その他の構造物等を形成する際に好適に用いることができるものである。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
[塗膜の耐汚染性]
本発明の実施品を所定期間屋外に曝露した後、塗膜1の耐汚染性を調査した。曝露期間は0.5ヶ月、4ヶ月、1ヶ月であり、この順に説明する。
(0.5ヶ月の汚れ)
無機クリヤー塗料5として、シリカ及びアクリル樹脂からなる塗料を用いた。シリカとアクリル樹脂の配合割合は重量比で95:5である。
また、上記の無機クリヤー塗料5の他に、上記の無機クリヤー塗料5に(活性)酸化チタンを配合したものも用いた。無機クリヤー塗料5の固形分(塗膜1)全量に対して酸化チタンの含有量は31重量%である。
つまり、無機クリヤー塗料5としては、酸化チタンの含有量が0重量%であるものと31重量%であるものの2種のものを用いた。
また基材3(原板)として、フッ素樹脂塗装鋼板である大洋製鋼(株)製「サンフロン」(TUV28)(板厚:0.5mm、板幅:1000mm)を用いた。
そして、図3に示すような連続方式による製造設備を用いて、耐汚染性塗装基材を製造した。すなわち、基材3を長手方向に搬送しながら、まずコーターで無機クリヤー塗料5を基材3の表面に塗布した。次に、無機クリヤー塗料5が塗布された基材3をオーブンに通すことによって無機クリヤー塗料5を硬化させて塗膜1を形成した。その後、このように塗膜1が形成された基材3を長手方向に搬送しながら、加熱手段8で塗膜1の表面に加熱処理を行った。
ここで、加熱手段8としては、110.1kJ/分(26.3kcal/分)(一定)のバーナー(有効幅:100mm/トーチ)を10個並設して用いた。そして、搬送速度を変化させることによって、レベル4〜8のフレーム処理を行った。レベル4〜8の内容を下記に示す。なお、下記においてレベル0とは、フレーム処理を行わなかったものである。また、「mpm」は「m/分」と同じ意味である。
レベル0(30mpm、0kJ/m/分(0kcal/m/分))
レベル4(30mpm、36.8kJ/m/分(8.8kcal/m/分))
レベル5(15mpm、73.7kJ/m/分(17.6kcal/m/分))
レベル6(7.5mpm、147.3kJ/m/分(35.2kcal/m/分))
レベル7(5mpm、221.0kJ/m/分(52.8kcal/m/分))
レベル8(5mpm、442.0kJ/m/分(105.6kcal/m/分))
レベル8のフレーム処理は、レベル7のフレーム処理を2回繰り返して行ったものである。
そして、上記のようにして得られた耐汚染性塗装基材を0.5ヶ月の間、屋外に曝露した後、汚れ具合を調査した。具体的には、まず、各耐汚染性塗装基材から曝露試験片(幅145mm×長さ200mm)及び曝露基板(幅145mm×長さ100mm)を切り出した。次に、屋外において南を向いて45°傾斜している曝露台の傾斜面に曝露試験片を取り付けて0.5ヶ月の間曝露する一方、曝露基板は同期間屋内の保管庫に保管した。曝露開始から0.5ヶ月後、曝露台から曝露試験片を取り外すと共に、保管庫から曝露基板を取り出した。そして、曝露試験片の表面は払拭しないで、日本工業規格(JIS):Z−8729に基づいてスガ試験機株式会社製SMカラーコンピューター「SM−5」で曝露基板と曝露試験片との色差(ΔL)を測定することにより、汚れ具合を調査した。なお、曝露試験片の表面の任意の5箇所を測定部位として選び、中央値を代表値とした。結果を図4に示す。図4中、横軸の原板とは、塗膜1を形成していないものである。ここで、ΔLが負の場合(−ΔLが正の場合)には、曝露試験片が曝露基板よりも黒っぽくなって汚れていることを示しており、逆に、ΔLが正の場合(−ΔLが負の場合)には、曝露試験片が曝露基板よりも白っぽくなって汚れていることを示している。よって、ΔLが0に近いほど曝露試験片が汚れていないことを示している。
図4にみられるように、フレーム処理を行うと耐汚染性が向上することが確認される。また、酸化チタンを配合すると耐汚染性がさらに向上することが確認される。
(4ヶ月の汚れ)
本発明の実施品として、フレーム処理、コロナ放電処理、プラズマ処理を行って得られたものを4ヶ月屋外に曝露することによって、各加熱処理によって得られた塗膜1の耐汚染性を調査した。フレーム処理、コロナ放電処理、プラズマ処理の順に説明する。
(4ヶ月の汚れ(その1))
無機クリヤー塗料5として、シリカ及びアクリル樹脂からなる塗料を用いた。シリカとアクリル樹脂の配合割合は重量比で95:5である。
また、上記の無機クリヤー塗料5の他に、上記の無機クリヤー塗料5に(活性)酸化チタンを配合したものを6種用いた。無機クリヤー塗料5の固形分(塗膜1)全量に対して酸化チタンの含有量はそれぞれ20重量%、37重量%、50重量%、61重量%、75重量%、88重量%である。
つまり、無機クリヤー塗料5としては、酸化チタンの含有量が0重量%であるものと上記6種のものとを合わせて、合計7種のものを用いた。
また基材3(原板)2として、フッ素樹脂塗装鋼板である大洋製鋼(株)製「サンフロン」(TUV28)(板厚:0.5mm、板幅:1000mm)を用いた。
そして、図3に示すような連続方式による製造設備を用いて、耐汚染性塗装基材を製造した。すなわち、基材3を長手方向に搬送しながら、まずコーターで無機クリヤー塗料5を基材3の表面に塗布した。次に、無機クリヤー塗料5が塗布された基材3をオーブンに通すことによって無機クリヤー塗料5を硬化させて塗膜1を形成した。その後、このように塗膜1が形成された基材3を長手方向に搬送しながら、加熱手段8で塗膜1の表面に加熱処理を行った。
ここで、加熱手段8としては、110.1kJ/分(26.3kcal/分)(一定)のバーナー(有効幅:100mm/トーチ)を10個並設して用いた。そして、レベル7のフレーム処理を行った。レベル7の内容を下記に示す。
レベル7(5mpm、221.0kJ/m/分(52.8kcal/m/分))
そして、上記のようにして得られた耐汚染性塗装基材(F処理あり)とフレーム処理を行わなかったもの(F処理なし)とを4ヶ月の間、屋外に曝露した後、汚れ具合を調査した。色差(ΔL)の測定は、上記と同様にスガ試験機株式会社製SMカラーコンピューター「SM−5」を用いて行った。結果を図5に示す。図5中、横軸の原板とは、塗膜1を形成していないものである。
図5にみられるように、フレーム処理を行うと耐汚染性が向上することが確認される。また、フレーム処理を行うと酸化チタンの使用量を大幅に低減できることが確認される。
(4ヶ月の汚れ(その2))
無機クリヤー塗料5として、シリカ及びアクリル樹脂からなる塗料に(活性)酸化チタンを配合したものを用いた。シリカとアクリル樹脂の配合割合は重量比で95:5である。酸化チタンの含有量は、無機クリヤー塗料5の固形分(塗膜1)全量に対して31重量%である。
また基材3として、ポリエステル樹脂塗装鋼板(200mm×300mm×板厚0.35mm)を用いた。
そして、バッチ方式により、耐汚染性塗装基材を製造した。すなわち、まずバーコーターで無機クリヤー塗料5を基材3の表面に塗布した。このとき無機クリヤー塗料5は、乾燥重量が15g/mとなるように調整して塗布した。次に、基材3に塗布された無機クリヤー塗料5を224℃まで加熱することによって無機クリヤー塗料5を硬化させて塗膜1を形成した。その後、このように塗膜1が形成された基材3を切断することにより、大きさが100mm×100mm×板厚0.35mmである基材3を2枚得た。こうして得た2枚の基材3のうち、一方の基材3の塗膜1には下記の条件でコロナ放電処理による加熱処理を行い、他方の基材3の塗膜1にはコロナ放電処理による加熱処理を行わなかった。コロナ放電処理は、13.3hPa(10mmHg)まで真空ポンプで減圧した空気中において、電極と上記の基板3との距離を50mmに設定して、これらの間に20秒間、40000Vの電圧を印加することにより行った。
そして、上記のようにして得られた耐汚染性塗装基材(コロナ放電処理あり)と加熱処理を行わなかったもの(コロナ放電処理なし)とを4ヶ月の間、屋外に曝露した後、汚れ具合を調査した。色差(ΔL)の測定は、上記と同様にスガ試験機株式会社製SMカラーコンピューター「SM−5」を用いて行った。結果は、「コロナ放電処理あり」が0.52であったのに対し、「コロナ放電処理なし」が7.71であった。
上記のように、コロナ放電処理を行うと耐汚染性が向上することが確認される。
(4ヶ月の汚れ(その3))
無機クリヤー塗料5として、シリカ及びアクリル樹脂からなる塗料に(活性)酸化チタンを配合したものを用いた。シリカとアクリル樹脂の配合割合は重量比で95:5である。酸化チタンの含有量は、無機クリヤー塗料5の固形分(塗膜1)全量に対して31重量%である。
また基材3として、ポリエステル樹脂塗装鋼板(200mm×300mm×板厚0.35mm)を用いた。
そして、バッチ方式により、耐汚染性塗装基材を製造した。すなわち、まずバーコーターで無機クリヤー塗料5を基材3の表面に塗布した。このとき無機クリヤー塗料5は、乾燥重量が15g/mとなるように調整して塗布した。次に、基材3に塗布された無機クリヤー塗料5を224℃まで加熱することによって無機クリヤー塗料5を硬化させて塗膜1を形成した。その後、このように塗膜1が形成された基材3を半分に切断することにより、大きさが150mm×200mm×板厚0.35mmである基材3を2枚得た。こうして得た2枚の基材3のうち、一方の基材3の塗膜1には下記の条件でプラズマ処理による加熱処理を行い、他方の基材3の塗膜1には加熱処理を行わなかった。プラズマ処理は、ノズル径:4mm、電極間距離:5mm、アルゴン流量:40L/min、電流:100Aに設定したプラズマジェットガンのノズルの先端を上記の基板2から20〜30mm離した上で、上記のプラズマジェットガンのノズルから基板2の塗膜1にプラズマを吹き付けることにより行った。
そして、上記のようにして得られた耐汚染性塗装基材(プラズマ処理あり)と加熱処理を行わなかったもの(プラズマ処理なし)とを4ヶ月の間、屋外に曝露した後、汚れ具合を調査した。色差(ΔL)の測定は、上記と同様にスガ試験機株式会社製SMカラーコンピューター「SM−5」を用いて行った。結果は、「プラズマ処理あり」が0.66であったのに対し、「プラズマ処理なし」が7.53であった。
上記のように、プラズマ処理を行うと耐汚染性が向上することが確認される。
(1ヶ月の汚れ)
無機クリヤー塗料5として、シリカ及びアクリル樹脂からなる塗料を用いた。シリカとアクリル樹脂の配合割合は重量比で95:5である。
また、上記の無機クリヤー塗料5の他に、上記の無機クリヤー塗料5に(活性)酸化チタンを配合したものを6種用いた。無機クリヤー塗料5の固形分(塗膜1)全量に対して酸化チタンの含有量はそれぞれ10重量%、20重量%、40重量%、60重量%、80重量%、90重量%である。
つまり、無機クリヤー塗料5としては、酸化チタンの含有量が0重量%であるものと上記6種のものとを合わせて、合計7種のものを用いた。
また基材3(原板)2として、フッ素樹脂塗装鋼板である大洋製鋼(株)製「サンフロン」(TUV28)(板厚:0.5mm、板幅:1000mm)を用いた。
そして、図3に示すような連続方式による製造設備を用いて、耐汚染性塗装基材を製造した。すなわち、基材3を長手方向に搬送しながら、まずコーターで無機クリヤー塗料5を基材3の表面に塗布した。次に、無機クリヤー塗料5が塗布された基材3をオーブンに通すことによって無機クリヤー塗料5を硬化させて塗膜1を形成した。この塗膜1の乾燥重量は15g/mであった。その後、このように塗膜1が形成された基材3を長手方向に搬送しながら、加熱手段8で塗膜1の表面に加熱処理を行った。
ここで、加熱手段8としては、110.1kJ/分(26.3kcal/分)(一定)のバーナー(有効幅:100mm/トーチ)を10個並設して用いた。そして、搬送速度を変化させることによって、レベル1〜5のフレーム処理を行った。レベル1〜5の内容を下記に示す。
レベル1(200mpm、5.5kJ/m/分(1.3kcal/m/分))
レベル2(90mpm、12.1kJ/m/分(2.9kcal/m/分))
レベル3(60mpm、18.4kJ/m/分(4.4kcal/m/分))
レベル4(30mpm、36.8kJ/m/分(8.8kcal/m/分))
レベル5(15mpm、73.7kJ/m/分(17.6kcal/m/分))
そして、上記のようにして得られた耐汚染性塗装基材とフレーム処理を行わなかったもの(F処理なし)とを1ヶ月の間、屋外に曝露した後、汚れ具合を調査した。色差(ΔL)の測定は、上記と同様にスガ試験機株式会社製SMカラーコンピューター「SM−5」を用いて行った。結果を図6に示す。
図6にみられるように、フレーム処理を行うと耐汚染性が向上することが確認される。また、酸化チタンを配合すると耐汚染性がさらに向上することが確認される。
[塗膜の密着性]
本発明の実施品を4ヶ月屋外に曝露する前に塗膜1の密着性を調査した。具体的には、既述の(4ヶ月の汚れ(その1))において得られた耐汚染性塗装基材(F処理あり)とフレーム処理を行わなかったもの(F処理なし)について、塗膜1の密着性を測定した。この測定は次のようにして行った。すなわち、まず、耐汚染性塗装基材において塗膜1が形成されている面を外側にして、板厚の2倍の曲率半径で耐汚染性塗装基材に密着曲げを行った。次に、この密着曲げにより生じた曲げ面にセロハン粘着テープであるニチバン(株)製「セロテープ(登録商標)」を貼着した。その後、上記のテープを剥がし、このテープに付着している塗膜1片及び上記のテープを貼着していた部分を10倍のルーペを用いて目視により観察し、塗膜1の剥離状況を調べた。この剥離状況の評価は、あらかじめ作成しておいた剥離標準写真と対比して0〜5点の点数を付けることにより行った。結果を図7に示す。ここで、「5点」は塗膜1の剥離もクラックも全くみられない状態、「4点」は塗膜1の剥離は全くみられないがクラックがみられる状態、「3点」はクラックのほか塗膜1の剥離が若干みられる状態、「2点」は3点よりも塗膜1の剥離がよくみられる状態、「1点」は2点よりもさらに塗膜1の剥離がよくみられる状態をそれぞれ示す。
図7にみられるように、フレーム処理を行った場合もフレーム処理を行わなかった場合も同程度の密着性が得られることが確認されるが、図5に示す結果も考慮に入れると、フレーム処理を行わなかった場合よりもフレーム処理を行った場合の方が、密着性に加えて耐汚染性も得られるという点において優れていることが確認される。
本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は加熱処理前の塗膜の概略断面図、(b)は加熱処理後の塗膜の概略断面図である。 本発明の実施の形態の他例を示すものであり、(a)は加熱処理前の塗膜の概略断面図、(b)は加熱処理後の塗膜の概略断面図である。 連続方式による耐汚染性塗装基材の製造設備の一例を示す概略図である。 耐汚染性塗装基材を0.5ヶ月間屋外に曝露した場合の塗膜の汚れ具合を示すグラフである。 耐汚染性塗装基材を4ヶ月間屋外に曝露した場合の塗膜の汚れ具合を示すグラフである。 耐汚染性塗装基材を1ヶ月間屋外に曝露した場合の塗膜の汚れ具合を示すグラフである。 耐汚染性塗装基材を4ヶ月間屋外に曝露した場合の塗膜の密着性を示すグラフである。 従来の技術を示すものであり、(a)は1層型の塗膜の概略断面図、(b)は2層型の塗膜の概略断面図である。
符号の説明
1 塗膜
2 無機化合物
3 基材
4 樹脂成分
5 無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料

Claims (5)

  1. 酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、シリカ、ガラス繊維の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機化合物を配合してなる無機クリヤー塗料又は無機エナメル塗料を基材の表面に塗布し、これを硬化させることによって塗膜を形成した後、この塗膜の表面を加熱処理することを特徴とする耐汚染性塗装基材の製造方法。
  2. 酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の無機化合物の含有量が塗膜全量に対して10重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性塗装基材の製造方法。
  3. 加熱処理として、フレーム処理、プラズマ処理、コロナ放電処理の中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐汚染性塗装基材の製造方法。
  4. 加熱処理として、5〜250kJ/m/分のフレーム処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の耐汚染性塗装基材の製造方法。
  5. 基材として、金属材、プラスチック材、木材、モルタル、石材のいずれかを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の耐汚染性塗装基材の製造方法。
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