JP3989668B2 - 機能性部材の製造方法 - Google Patents

機能性部材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3989668B2
JP3989668B2 JP2000165610A JP2000165610A JP3989668B2 JP 3989668 B2 JP3989668 B2 JP 3989668B2 JP 2000165610 A JP2000165610 A JP 2000165610A JP 2000165610 A JP2000165610 A JP 2000165610A JP 3989668 B2 JP3989668 B2 JP 3989668B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
coating film
layer
resin coating
functional
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000165610A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001340803A (ja
Inventor
信幸 番匠
英夫 福井
信之 中田
貴志 今井
年将 米屋
敏次 佐藤
和仁 橋本
昭 藤嶋
Original Assignee
昭 藤嶋
和仁 橋本
Ykk Ap株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 昭 藤嶋, 和仁 橋本, Ykk Ap株式会社 filed Critical 昭 藤嶋
Priority to JP2000165610A priority Critical patent/JP3989668B2/ja
Publication of JP2001340803A publication Critical patent/JP2001340803A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3989668B2 publication Critical patent/JP3989668B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光、蛍光、光反射、熱線吸収、紫外線遮断等の光学的機能、電気絶縁、帯電防止、導電、電波吸収、電磁波遮断、電界緩和、磁性等の電気・電子的機能、発熱、耐熱、防火、示温、熱反射等の熱的機能、その他、親水性、結氷・着雪防止、結露防止、滑り止め、防音・防振、防食、放射線遮蔽、自己洗浄、防汚、防黴、抗菌、脱臭、空気浄化、殺虫・防虫、防藻などの機能を発揮する機能性部材の製造方法に関する。特に、防汚、防黴、抗菌、脱臭、空気浄化などの作用を長期に亘って発揮でき、屋外などの過酷な使用環境下でも充分適用できる光触媒性機能部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基材表層部に光触媒性半導体材料、抗菌剤、蓄光顔料、蛍光顔料、磁性フィラー等の各種機能性材料あるいはそれを含む層を形成することにより、所望の機能を発揮せしめるようにした機能性部品もしくは機能性製品(以下、これらを含めて機能性部材と総称する)が開発されている(例えば、国際公開WO96/29375号、国際公開WO96/13327号、国際公開WO97/00134号、特開平10−146251号、特開平6−198796号、特開平6−358769号等)。
特に、TiOに代表される光触媒作用を有する半導体が、防汚、抗菌、抗黴、脱臭、空気浄化などの作用を有することは従来から知られており、最近ではこれらの作用を利用した様々な材料が研究、開発されている。
【0003】
このような機能性膜、特に光触媒膜を種々の基材上にコーティングする場合、基材上に直接機能性膜(光触媒膜)をコーティングする方法、もしくは基材/中間層/機能性材料層(光触媒層)の3層構造、もしくはそれ以上の多層構造にする場合が多い。特に、基材と機能性材料層(光触媒層)との密着性を高めたり、基材が有機塗膜のような光触媒作用等によって侵され易い有機物あるいは有機物を含む構造である場合、後者のような中間層を介在させた膜構造にするのが一般的である。また有機塗膜上に機能性材料層(光触媒層)をコーティングする場合、色、光沢などの有機塗膜のもつ意匠性をそのまま活かすため、機能性膜、特に光触媒膜は透明性のある膜を使用するのが一般的である。
【0004】
例えば、光触媒膜を樹脂皮膜層/中間層/光触媒層の3層構造でコーティングする際の製造方法としては、次のような方法が知られている。すなわち、図に示されるように、基材1上に樹脂皮膜層2を成膜した後焼付し(あるいは既に成膜、焼付された樹脂皮膜層2を有する基材1を用い)、次いで中間層3を成膜した後焼付し、最後に光触媒層4を成膜した後焼付を行なう、所謂3コート−3ベーク法である。樹脂皮膜層2、中間層3、及び光触媒層4は、それぞれスプレー法等の様々な成膜方法により成膜されている。
一方、ラミネートなどで機能性膜を有機塗膜上に成膜する場合、機能性膜と有機塗膜との密着性を向上させる方法として、ブラスト処理、火炎処理などの物理的処理法や、コロナ放電処理、プラズマ処理などの高いエネルギーを表面に照射する方法などによって塗膜表面を改質させる方法も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
有機塗膜表面に光触媒膜等の機能性膜をコーティングする際、有機塗膜と機能性材料層(光触媒層)との密着性を強くするために中間層を用いたとしても、有機塗膜は一般に高温で焼付されて完全硬化しているため、中間層と有機塗膜間に強い密着性を得ることができなかった。その結果、屋外などの過酷な環境下での長期使用により密着性が低下してしまい、膜が剥離し易くなるという問題があった。
【0006】
また、有機塗膜上での密着性を向上させる方法として、従来、前記したような幾つかの方法が知られているが、有機塗膜上に透明性のある光触媒膜等の機能性膜をコーティングする場合には、ブラスト処理等の物理的処理では塗膜表面に付いた傷や変色が透明な機能性膜を通して見えてしまうため、外観を損ない、有効面として使用できなくなってしまうという問題があった。また、コロナ放電処理などの高いエネルギーを塗膜表面に照射する処理法でも、大面積や様々な形状に対して外観を変化させることなく均一に処理することは困難なため、使いずらく(実用的でなく)、またコスト的にも高くなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決し、有機塗膜表面に、防汚、抗菌、抗黴、脱臭、空気浄化等、機能性膜の本来の作用を阻害することなく、さらには光触媒膜等の機能性膜の本来の耐久性能を低下させることなく、また有機塗膜の外観、意匠を維持したまま、有機塗膜との密着性に優れた光触媒膜等の機能性膜をコーティングすることができる機能性部材、特に光触媒性機能部材の製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の基本的な態様によれば、基材上に、アクリル樹脂塗膜、電着塗装されたアクリルメラミン系樹脂塗膜又は中温焼付タイプのフッ素樹脂塗膜のうちのいずれかの熱硬化性樹脂塗料の皮膜を形成し、該熱硬化性樹脂塗膜を硬化不充分に予備加熱した後、中間層及び機能性材料層を順次成膜し、次いで最終焼付を行なうことを特徴とする機能性部材の製造方法が提供される。特に上記機能性材料層を光触媒層とすることにより、光触媒性機能部材の製造方法が提供される。
好適な態様においては、上記熱硬化性樹脂塗膜の予備加熱処理温度を、その樹脂の架橋開始温度より高くする。また、上記熱硬化性樹脂塗膜の予備加熱処理を、塗膜の最終焼付温度より10〜60℃低い温度で行なう。さらに、上記熱硬化性樹脂塗膜としては、アクリル樹脂塗膜又は電着塗装されたアクリルメラミン系樹脂塗膜であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、有機塗膜表面に光触媒作用によって侵されない材料の中間層を介して機能性膜を形成した機能性部材の製造において、特に光触媒層が形成された光触媒性機能部材の製造において、基材上に熱硬化性樹脂塗料の皮膜を形成し、外観を変化させることなく該熱硬化性樹脂塗膜を硬化不充分に予備加熱した後、中間層及び機能性材料を含む層を成膜し、次いで最終焼付を行なうことを特徴とするものである。このような方法とすることにより、樹脂塗膜表面に、塗膜の外観、意匠を維持したまま、樹脂塗膜との密着性に優れた光触媒膜等の機能性膜を成膜することができる。
【0010】
前記のような方法により樹脂塗膜と機能性膜との密着性が向上する理由としては、未だ充分に解明されているとは言い難いが、以下のように推定される。即ち、熱硬化性樹脂塗膜を硬化不充分(架橋不充分)に予備加熱することにより、その後、中間層を成膜した際、樹脂塗膜と中間層の界面が混ざり合うような状態になり、この状態が最終焼付によって固定されることにより、密着性が大きく向上すると考えられる。即ち、架橋不充分な状態(架橋密度が低く、架橋を緩めたような状態)の樹脂塗膜は、溶剤や液状バインダー等により膨潤し易くなつているため、中間層を成膜することで、樹脂塗膜が膨潤して塗膜表面の架橋構造の間に中間層に含まれる成分が染み込み、この状態で焼き付けると、樹脂塗膜と中間層の界面が混ざり合った状態で架橋が進むため、密着性が大きく向上すると考えられる。また、樹脂塗膜の膨潤以外にも、樹脂塗膜中の未反応のまま残存している反応基の架橋反応あるいは中間層に含まれる成分との反応により、密着性が向上していることも考えられる。
【0011】
前記のような作用を奏するためには、樹脂塗膜の予備加熱処理を、用いる樹脂塗膜について推奨される焼付条件(一般に熱硬化性樹脂の硬化条件もしくは架橋条件)より緩やかな条件とする必要がある。例えば、焼付時間と同じ処理時間の場合、採用する焼付温度よりも低い温度、好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜50℃、さらに好ましくは20〜40℃低い温度で行なう。樹脂塗膜の予備加熱処理温度を焼付温度より低く、好ましくは10℃以上(より好ましくは20℃以上)低くしないと、充分な密着性向上効果が得られない。一方、樹脂塗膜の予備加熱処理温度を低くしすぎると樹脂塗膜がほとんど硬化しないため、その上に中間層を成膜した際に容易に溶解して、ムラ、ピンホールなどの外観異常を発生する問題が生じる。
【0012】
なお、本発明では、樹脂塗膜形成後は硬化(架橋)不充分なような条件で予備加熱処理を行ない、樹脂塗膜の最終焼付を中間層と機能性材料層の成膜後に行なうことを特徴としており、中間層と機能性材料層は最終焼付の際に既に硬化していてもよい(各層形成後に硬化処理してもよい)。また、中間層と機能性材料層の硬化処理温度は、樹脂塗膜の最終焼付処理温度よりも低くてもよい。さらに、有機塗膜が形成されていない部品あるいは製品はもとより、既に有機塗膜が形成された部品あるいは製品に対しても、本発明の方法(熱硬化性樹脂塗料の塗布、該熱硬化性樹脂塗膜の予備加熱処理、中間層成膜後の機能性材料層成膜、及び最終焼付)を適用することができる。
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る機能性部材の製造方法について説明する。
まず、図1は本発明の方法により製造した機能性部材の一例の概略構成を示しており、基材1上に樹脂皮膜層2、中間層3、及び光触媒層等の機能性材料層(光触媒層)4が順次成膜された構造を示している。
【0014】
図1に示すような機能性部材の製造においては、まず、図に示すように基材1上に樹脂塗膜を成膜し、樹脂塗膜が硬化(架橋)不充分なような条件で予備加熱処理を行ない、溶剤等によって表面が膨潤し易いような樹脂皮膜層2を得、次いで該樹脂皮膜層2の表面に中間層3を形成し、必要に応じて乾燥もしくは硬化させた後、光触媒層等の機能性材料層4を成膜した後、最終焼付を行なう。これによって、樹脂皮膜層2と中間層3との密着性を向上させることができ、また外観を変化させることなく樹脂皮膜の外観、意匠はそのまま維持することができる。また、最終焼付により、硬化不充分あるいは架橋不充分であった樹脂塗膜が完全硬化して従来の塗膜が持つ強度、耐食性などの性能を得ることができると共に、中間層3及び機能性材料層4も充分な硬度に硬化する。
【0015】
なお、機能性材料微粒子5が表面部に多く存在するように構成された機能性材料層の形成は、例えば、樹脂皮膜層2の表面に中間層3を形成し、乾燥もしくは硬化させることなく、引き続き光触媒層等の機能性材料層4を成膜することによつて中間層3と機能性材料層を一体的に形成する方法などによつて行なうことができる。機能性材料微粒子5が機能性材料層中に均一に存在するように構成することが一般的であるが、一般に表面部に存在する機能性材料が専ら所望の機能を発揮するため、樹脂皮膜層との界面部に存在する機能性材料は無駄となっており、経済的でなく、また、光触媒層のように樹脂皮膜層を光触媒作用によって侵すような機能性材料層の場合、機能性材料と樹脂皮膜層との間にバインダー成分が介在することが望ましい。
【0016】
前記したように、樹脂塗膜の予備加熱処理は、用いる樹脂塗膜について推奨される焼付条件(一般に熱硬化性樹脂の硬化条件もしくは架橋条件)より緩やかな条件とする必要がある。樹脂塗膜の標準焼付条件としては、例えば、アルキド樹脂塗膜については約120〜140℃×30分、アミノアルキド樹脂塗膜については約130℃×30分、アクリル樹脂塗膜については約170〜190℃×30分、中温焼付タイプのフッ素樹脂塗膜については約160〜180℃×30分程度であることが知られており、焼付温度が低いほど焼付時間としては長時間必要となる。本発明による予備加熱処理は、同じ加熱時間の場合、採用する焼付温度よりも低い温度、好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜50℃、さらに好ましくは20〜40℃低い温度で行なう。また、加熱時間としては、製造に適した通常の焼付と同程度の時間、例えば25〜55分程度が適当である。例えば、アクリル樹脂塗料(アクリル電着塗料についても同様)の焼付条件範囲を図に示す。図において、符号Aは通常の焼付条件を示し、一方、符号Bは本発明による予備加熱処理の好適な条件範囲、符号Cはより好ましい条件範囲を示している。熱硬化性樹脂塗膜の予備加熱処理を通常の焼付温度(硬化温度もしくは架橋温度)より低い温度で行なうことにより、樹脂塗膜が硬化不充分あるいは架橋不充分な状態になり、前記したように外観を変化させることなく密着性を大幅に向上させることができる。
【0017】
本発明の方法を適用できる基材としては、アルミニウム、鉄等の各種金属もしくは陽極酸化処理等の表面処理を施した各種金属、各種セラミックス、各種有機材料、ガラス、石材などが用いられ、特定のものに限定されない。
また、基材の形態も、形材、パネル、シート、フィルム、各種形状の成形物などの製品、部品もしくは部材であってよく、特定のものに限定されない。
【0018】
熱硬化性樹脂塗料としては、前記したようなアクリル樹脂塗料、中温焼付タイプのフッ素樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料などの塗料を用いることができる。これらの中でもアクリルメラミン樹脂電着塗料、アクリル樹脂塗料などを用いることが好ましい。
【0019】
前記したように、機能性材料層が光触媒膜の場合、有機基材又は基材表面に形成された樹脂皮膜は光触媒作用により侵され易いが、有機基材又は樹脂皮膜の表面と光触媒膜との間に、光触媒作用により侵されない材料からなる膜厚3.2μm以上の中間層を介在させることにより、長期間の使用によっても概ね有機基材や樹脂皮膜の表面部が分解されることはなく、中間層及びその上の光触媒膜を安定に保持でき、防汚、防曇、抗菌、防黴、脱臭、空気浄化などの作用を長期間に亘って安定的に発揮させることが可能となる。ただし、屋外での使用の場合、使用場所や使用形態により、日射量、降雨量、気温、湿度などの環境条件が最悪に重なり合う場合もあり、・OHラジカルの移動距離も変動する可能性があるため、有機基材又は樹脂皮膜の表面と光触媒膜下端の間の距離は、より好ましくは約3.5μm以上とすることが望ましい。
一方、この距離の上限は特に限定されるものではなく、例えば数十μm程度、あるいは適用対象物によってはそれ以上でもよいが、生産性や経済性、さらには適用対象物がシート状物の場合にはその可撓性、などを考慮すると、約10μm以下が適当である。
【0020】
光触媒作用により空気中の水分が酸化されて発生した・OHラジカルや、空気中の酸素が還元されて発生したO などの活性物質は、それらの移動可能距離範囲内にある有機物を分解する作用がある。その臨界的移動距離は、屋外使用環境下では、概ね3.2μm以下であることを本発明者らは既に確認している。ただし、ここでいう移動距離は必ずしも中間層の膜厚を意味しない。例えば、中間層の表面は凹凸状であってもよく、その場合には中間層の最低膜厚が3.2μm以上あればよい。また、中間層は光触媒作用により侵されない材料から形成する必要はあるが、有機基材の表面部が侵されるか否かはそれと光触媒層との間の距離に依存するものであるため、この距離を一定に保持できる構造の中間層であればよい。従って、中間層に多数の亀裂やピンホールがあってもよく、また多孔質構造のものでもよい。
【0021】
光触媒作用により侵されない中間層としては、シリカ、アルミナ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、SiO+MO(MOはP、B、ZrO、Ta等の少なくとも1種の金属酸化物)あるいは窒化物、酸窒化物、硫化物、炭化物、カーボン等のセラミックス、金属などの各種無機材料の薄膜を好適に用いることができる。また、光触媒作用により侵されない、もしくは非常に侵され難いシリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどの有機材料の薄膜も用いることができる。なお、これらの材料は光触媒微粒子の分散塗料の基剤(バインダー)としても使用できる。
【0022】
上記のような中間層を形成する方法としては、従来公知の種々の方法が適用でき、特定の方法に限定されない。例えば、中間層をセラミックスから形成する場合には、有機溶剤中にセラミックス微粒子又はそれらの前駆体(金属アルコキシド、金属ハロゲン化物等)を分散させた塗料を、その粘度に応じてスプレーコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法など適宜の方法で樹脂塗膜表面にコーティングし、加熱して溶剤を蒸散させると共に硬化させる方法が、生産性やコストの点から有利である。一方、中間層を金属から形成する場合には、金属箔のラミネート法やメッキ法などを採用でき、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどの有機材料の場合には種々の塗装方法を採用できる。
【0023】
基材又は中間層の上にコーティングされる光触媒微粒子を含有する光触媒層の膜厚は、10nm〜10μmが適当である。膜厚が厚いと光触媒活性を長期間に亘って高く維持できるなどの利点があるが、10μmを超える膜厚になると、光触媒層が基材から剥離し易くなり、また生産性やコストの面からも好ましくない。特に、光触媒膜をコーティングした後、組立時や施工時に剥離が起き易くなる。なお、この程度の膜厚であれば、光触媒層に白化等の問題を生ずることなく充分に高い透明性を保持できる。特に屋外で使用する場合は、耐摩耗性も考慮し、平均膜厚を0.5μm以上とすることが好ましい。
【0024】
光触媒作用を有する半導体としては、電子−正孔移動度が比較的大きく、光触媒作用を有する半導体であればいずれも使用可能であり、例えばTiO、SrTiO、ZnO、CdS、SnO等が挙げられるが、これらの中でも特にTiOが好ましい。
また、このような光触媒作用を有する半導体と共に銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を共存させれば、例えば光触媒層中に分散させたり、光触媒層の表面に付着させたりすれば、夜間であっても抗菌・防黴性が維持されるようになる。
【0025】
機能性材料層に含有させる機能性材料としては、前記のような光触媒微粒子や抗菌剤に限定されるものではなく、蓄光顔料、蛍光顔料、磁性フィラー等の各種機能性材料の微粒子を用いることができ、それによって、用いた機能性材料に応じた所望の機能を発揮せしめることができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明の効果について具体的に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことはもとよりである。
各試料の作成は以下の方法で行なった。すなわち、アルミ基材表面に通常推奨される焼付温度(硬化温度)190℃のアクリル樹脂塗料(大日本塗料製、デュラクロン)をスプレー法でコーティングし、90〜190℃の温度範囲の種々の予備加熱処理温度で30分加熱処理し、膜厚30μmのアクリル樹脂塗膜を形成した。この上にシリコン系コーティング剤(日本曹達(株)製、ビストレーターL NSC−200A)をスプレー法でコーティングし、120℃で30分加熱処理して硬化させ、膜厚5μmの中間層を形成した。さらにその上に光触媒酸化チタンコーティング剤(日本曹達(株)製、ビストレーターL NSC−200C)をスプレー法でコーティングし、190℃で30分加熱処理して完全に硬化させ(アクリル樹脂塗膜も同時に焼付)、光触媒層を形成した。
【0027】
得られた各試料について、表面状態の外観観察及びアクリル樹脂塗膜と中間層との密着性について評価を行った。
なお、外観観察については目視で行ない、ムラやピンホールなどの異常がないかどうかを、以下の基準で評価した。
○:良好。
△:外観異常が若干発生するものがあった。
×:外観異常が発生した。
また、密着性評価の手法としては、碁盤目状にクロスカットを入れた試料を、恒温槽を用いて40℃に保温したイオン交換水中に浸漬し、24時間毎に試料を取り出し、粘着テープを貼り付けてから引き剥がすことによりアクリル樹脂塗膜と中間層との界面で剥離があるかどうかを調べ、何時間の40℃イオン交換水浸漬で剥離が発生するか、以下の基準で評価した。
○:40℃水浸漬で1,000時間以上テープ剥離なし。(密着性5倍以上アップ)
△:40℃水浸漬で500時間以下でテープ剥離発生。(密着性2倍以上アップ)
×:40℃水浸漬で200時間以下でテープ剥離発生。
アクリル樹脂塗膜の予備加熱処理温度と外観、密着性との関係を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003989668
表1に示す結果から明らかなように、樹脂塗膜の予備加熱処理温度を焼付温度(硬化温度)より60℃以上低くすると、樹脂塗膜がほとんど硬化していないため、その上に中間層を成膜した際に容易に溶解してムラ、ピンホールなどの外観異常を発生する問題が生じた。また、樹脂塗膜の予備加熱処理温度を樹脂塗膜の焼付温度(完全硬化温度)より10℃以上低くしないと、充分な密着性向上効果が得られなかった。このため、樹脂塗膜の予備加熱処理は、熱硬化性樹脂塗膜の焼付温度(完全硬化温度)より10〜60℃低い温度で行なうことが適正であるといえる。特に、20〜40℃低い温度範囲で行なうことが、外観と密着性の関係から最も好ましいことがわかる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明の方法によれば、樹脂塗膜表面に、樹脂塗膜の外観、意匠を維持したまま、樹脂塗膜との密着性に優れた光触媒膜等の機能性材料層をコーティングすることができる。従って、本発明の製造方法により製造した機能性部材は、機能性材料層の剥離を生じることなくその所望の機能を長期間に亘って有効に発揮でき、特に光触媒性機能部材は、防汚、防曇、抗菌、防黴、脱臭、空気浄化などを目的としてアルミ外装パネル、アルミ内装パネル、アルミサッシ、アルミサイディング、窯業系サイディング、タイル、石材、防音壁、ブラインド、ドア、門扉、車庫、フェンス、ポスト、外灯、ベンチ、ベランダ、サンルーム、屋根材、便器、浴槽、洗面台、台所用品、流し、換気扇、キッチンフード、照明器具など、太陽光や蛍光灯などの光が当たる部分であれば、屋内外を問わずあらゆる部品や製品に有利に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法によって製造された機能性部材の構造の一例を示す概略部分断面図である。
図2】 本発明の機能性部材の製造方法の一つの工程例を示す概略説明図である。
図3】 アクリル樹脂塗膜の焼付条件を示すグラフである。
図4】 従来の機能性部材の製造方法の工程例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 基材
2 樹脂皮膜層
3 中間層
機能性材料層(光触媒層)
5 機能性材料微粒子

Claims (4)

  1. 基材の有機塗膜表面上に機能性膜を形成した機能性部材の製造方法において、基材上に、アクリル樹脂塗膜、電着塗装されたアクリルメラミン系樹脂塗膜又は中温焼付タイプのフッ素樹脂塗膜のうちのいずれかの熱硬化性樹脂塗料の皮膜を形成し、該熱硬化性樹脂塗膜を硬化不充分に予備加熱した後、中間層及び機能性材料層を順次成膜し、次いで最終焼付を行なうことを特徴とする機能性部材の製造方法。
  2. 前記熱硬化性樹脂塗膜の予備加熱処理温度を、その樹脂の架橋開始温度より高くすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記熱硬化性樹脂塗膜の予備加熱処理を、塗膜の最終焼付温度より10〜60℃低い温度で行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記機能性材料層が光触媒層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
JP2000165610A 2000-06-02 2000-06-02 機能性部材の製造方法 Expired - Fee Related JP3989668B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000165610A JP3989668B2 (ja) 2000-06-02 2000-06-02 機能性部材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000165610A JP3989668B2 (ja) 2000-06-02 2000-06-02 機能性部材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001340803A JP2001340803A (ja) 2001-12-11
JP3989668B2 true JP3989668B2 (ja) 2007-10-10

Family

ID=18669059

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000165610A Expired - Fee Related JP3989668B2 (ja) 2000-06-02 2000-06-02 機能性部材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3989668B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4907410B2 (ja) * 2007-04-06 2012-03-28 ケイミュー株式会社 建築板
JP7442175B2 (ja) * 2019-02-28 2024-03-04 学校法人東京理科大学 積層体、積層体の製造方法、及び二酸化チタン担持体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001340803A (ja) 2001-12-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3773087B2 (ja) 光触媒性機能部材
CN1263695C (zh) 光活性涂层,涂覆制品,和其制备方法
US6337129B1 (en) Antifouling member and antifouling coating composition
EP2128214B1 (en) Antifouling member and antifouling coating composition
CZ295546B6 (cs) Způsob výroby materiálu s fotokatalytickým účinkem a zařízení k jeho provádění
TWI280920B (en) High durable photocatalyst film and structure having surface exhibiting photocatalytic function
CN104085165A (zh) 一种二氧化钛光触媒涂层的制备方法
US20080026161A1 (en) Photocatalytically Active Coating of a Substrate
JPH10237431A (ja) 超撥水性表面を有する部材
JP3523787B2 (ja) 光触媒層を有する屋外で使用される建築用材料
JPH10316820A (ja) 超撥水性表面を有する部材及び超撥水性コ−ティング組成物
JP3989668B2 (ja) 機能性部材の製造方法
EP2617864A2 (en) Method for improving hydrophilicity of a coating film through treatment on a surface morphology and super hydrophilic glass coating layer produced by the method
JPH09313948A (ja) 光触媒表面を有する樹脂または樹脂被覆材料およびその製造方法
KR101142369B1 (ko) 무기 실리카 바인더로 고정된 광촉매층을 갖는 플라스틱 성형체 및 그의 제조방법
JP2000170078A (ja) 光触媒担持構造体の製造方法及びその方法により得られた光触媒担持構造体
JP3717736B2 (ja) 光触媒層を有する積層構造体
JP2000071360A (ja) 多機能材およびその製造方法
JP3384930B2 (ja) 光触媒被覆金属板の製造方法
TWI433895B (zh) 在無光線照射或光線不充足照射下有良好的親水特性之複合二氧化鈦光觸媒溶膠塗料組成物及其塗布方法
JP4207413B2 (ja) 光触媒製品用の金属材とその金属材および製品の製造方法
JP2001261378A (ja) 鏡及びその製造方法
JPH10237380A (ja) 転水性表面を有する部材及び転水性コ−ティング組成物
JP2000072570A (ja) 窯業系多機能建材の製造方法
JPH10102722A (ja) 防汚性外壁用建材

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051025

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060516

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060713

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070717

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070718

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100727

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100727

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110727

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110727

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120727

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130727

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees