JP2005186034A - 電解式水素水生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高濃度の水素水を長時間安定供給でき、活性炭多孔質体への炭酸カルシウムの付着がほとんどなくなる電解式水素水生成装置を提供する。
【解決手段】 貯水容器5と、電解用電極11と、同電極に電解電圧を印加する電解電源14と、電解用電極11とは離間して電解用電極11の上端より上方まで延びるように収納された、前記電解電圧の印加されない活性炭多孔質体12と、給水部6と、取水部8とを含む。電解用電極11と活性炭多孔質体12との離間距離が最短部で左右方向には100mmを超えないように且つ上下方向には100mmを超えないように両者を接近させる。取水部8に貯水容器5の内部を加圧状態に保持する圧力弁20を設ける。電解電源14を、電解用電極11に10-4〜10-1Hzの矩形波交流電圧を出力する電解用定電流電源とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気分解により発生した水素ガスを原水に溶解させて水素水を生成する電解式水素水生成装置に関するものである。
従来、図4に示すような電解式水素水生成装置が知られている。この従来装置51は水電解部52と給電部53とから構成されている。水電解部52は原水50を貯留する電解容器54を備えている。電解容器54の内部には、円筒状の金属電極55と円柱状の活性炭多孔質体56とが数mmの環状隙間57を介して同軸に収納されている。そして、金属電極55を陰極とし、導電性の活性炭多孔質体56を陽極とし、或いは、両者の極性を逆にして、両電極に給電部53から直流の電解電圧が印加される。
この電解電圧により、環状隙間57の原水50が電気分解され、陽極に酸素ガス58が発生し、陰極に水素ガス59が発生し、これらの電解ガスが電解容器54の上部に滞留する。電解ガスの圧力によって電解容器54の内圧が上昇すると、原水50及び電解ガスが活性炭多孔質体56の外から内に浸透し、中心部の貫通穴60に浸み出す。このとき、余剰の原水50及び電解ガスが吐出口69から器外に吐出され、電解容器54の内部がほぼ大気圧に維持される。
活性炭多孔質体56は、図5に示すように、活性炭粒子61をバインダ62で結合することで、中空円柱状に成形されている。この多孔質体56には、活性炭粒子61の細孔(ミクロ孔)63や隣接する活性炭粒子61の間隙64からなる無数の小空間が存在する。電気分解を継続すると、電解容器54の内部に電解ガスが充満し、このガス圧によって電解ガスが活性炭多孔質体56の内部に充填され、無数の小空間に貯蔵される。
この状態で、給水用バルブ65を開放すると、原水50が電解容器54の内部に導入され、活性炭多孔質体56の水路66を流れる過程で、電解ガスの気泡67を巻き込み、水素ガスを混合・溶解して、水素水68を生成する。この水素水68は原水50の給水圧によって吐出口69から電解容器54の外部に取り出され、飲料水又はスキンケア水等として使用される。
従来の電解式水素水生成装置の多くは上記の従来装置51の基本技術を踏襲しており、例えば、特許文献1には、導電性の筒状体の内側に活性炭多孔質体を環状隙間を介して収納し、筒状体を陰極とし、多孔質体を陽極として、両電極間に直流電圧を印加し、環状隙間の原水を電気分解する技術が記載されている。特許文献2には、内外一対の活性炭多孔質体の間に環状隙間を形成し、両多孔質体に50〜60Hzの交流電圧を印加して、環状隙間の原水を電気分解する技術が記載されている。
特開2001−187382公報 特開2003−113488公報
ところが、従来装置51によると、次のような問題点があった。
(1)電解容器54の内部は、金属電極55及び活性炭多孔質体56を電極とする電解室と、活性炭多孔質体56による浄化室とを兼ねており、また、特に活性炭多孔質体56を電極としていることに起因して、次の問題があった。
・電極に表面積の大きな金属電極55と活性炭多孔質体56を使用しているので、原水50の抵抗による電圧降下が大きく、電解効率が悪い。
・電解効率を上げるために、電流密度を上昇させると、活性炭多孔質体56の表面に改質が生じ、電気特性が変化しやすくなる。
・電解電圧に直流電圧を用いているので、原水50中に溶解しているカルシウムから炭酸カルシウムが生成し、陰極の表面に析出して、電解効率に悪影響を及ぼしたり、活性炭多孔質体56に付着して濾過性能に悪影響を及ぼしたりする。
・このため、定期的に酸性薬剤(例えば、クエン酸等)を使用し、電極を洗浄し、炭酸カルシウムを取り除く保守作業が必要である。
・また、電解電流値を上げると、炭酸カルシウムが生成しやすくなるため、200mA以下の弱い電流で長時間をかけて電気分解を行う必要があり、短時間に多量の水素ガスを生成することが困難である。
(2)電極への電圧のかけ方を工夫した例であっても、次の問題があった。
・原水供給時のみ電気分解を行う方式の水素水生成装置では、原水を供給する都度に電極の極性を入れ替える対策を講じることもできるが、この場合、供給時間が毎回異なるため、どちらかの電極に極性が偏り、炭酸カルシウムの生成を免れることができない。
・特許文献2の技術によれば、一対の活性炭多孔質体に交流電圧を印加するので、電極の極性を周期的に変化させて、炭酸カルシウムの生成を抑えることができる。しかし、50〜60Hzの商用周波数では、極性が短時間に変わるため、直流電圧と比較し、電解効率が低下する(同文献段落0032参照)。
・直流にしても交流にしても定電圧電源を採用していたため、原水の水質、例えば硬度、塩素濃度、塩分等の変化で電解電流が大幅に変動し、電気分解の安定性に問題があった。
(3)電解容器54の内部がほぼ常圧(大気圧)に維持されているので、活性炭多孔質体56への電解ガスの貯蔵量が少く、水素水の溶存水素濃度が低く、水素水68として供給できる時間が短い。
(4)原水浄化機能の点では、一般に、微生物の大きさは数μm以下であるのに対し、活性炭多孔質体56の細孔径は数10μmであるため、従来装置51によっては充分な微生物除去性能が得られない。また、活性炭多孔質体56に吸着した有機物が微生物の繁殖を促進し、水素水68中に多量の微生物が混入するおそれもある。
本発明の主要な目的は、上記課題を解決し、高濃度の水素水を長時間安定供給でき、活性炭多孔質体への炭酸カルシウムの付着がほとんどなくなる電解式水素水生成装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の電解式水素水生成装置は、電気分解により発生した水素ガスを原水中に溶解させて水素水を生成する装置であって、貯水容器と、前記貯水容器に収納された電解用電極と、前記電解用電極に電解電圧を印加する給電部と、前記貯水容器に前記電解用電極とは離間して前記電解用電極の上端より上方まで延びるように収納された、前記電解電圧の印加されない活性炭多孔質体と、前記貯水容器に所定水圧の原水を供給する給水部と、前記貯水容器から水素水を取り出す取水部とを含むことを特徴とする。
ここで、電解用電極と活性炭多孔質体(より詳しくは吸着・吸蔵に有効な表面)との離間距離が最短部で左右方向には100mmを超えないように(さらに好ましくは50mmを超えないように)且つ上下方向には100mmを超えないように(さらに好ましくは50mmを超えないように)両者を接近させ、電解用電極で生じた水素ガスが浮上し始めて直ぐに活性炭多孔質体の表面に接しうるようにすることが好ましい。また、離間距離が最短部で左右方向に10〜100mmになるときは、水素ガスを電解用電極から活性炭多孔質体へと斜め上方向にガイドする斜状ガイド板を設けることが好ましい。
電解用電極で生じた水素ガスは、浮上し始める時には非常に微細であるため活性炭多孔質体に吸着されやすいが、それが浮上の途中で合体して大きな気泡になると活性炭多孔質体に吸着されにくくなる。そこで、電解用電極と活性炭多孔質体とを前記離間距離となるように接近させると、浮上し始めの非常に微細な水素ガスを活性炭多孔質体に多く吸着させることができる。
また、貯水容器に、電解用電極が収納される電解室を下側に、活性炭多孔質体が収納される浄水室を上側に、それぞれ区分して設けることができる。この場合、電解用電極の略真上に活性炭多孔質体の表面を縦方向に位置させることにより、浮上する水素ガスが活性炭多孔質体の表面に接しやすくなる。あるいは、電解用電極が収納される電解室を活性炭多孔質体が収納される浄水室の下部に重複して配置し、電解用電極と活性炭多孔質体とを前記のとおり接近させることもできる。
電解室に対(正負の対(後述する通り極低周波数で切替わる場合も含む))の電解用電極を収納して、貯水容器を一方の電極としても使用しない場合には、貯水容器の材質は、特に限定されず、ステンレス鋼系又はアルミ系等の金属でもよく、合成樹脂でもよい。貯水容器の構造は、特に限定されないが、原水の給水圧に充分に耐え得る耐圧構造が望ましい。
電解用電極には、例えば、白金系の耐食性に優れた金属メッキを施した電極を使用できる。本発明では、活性炭多孔質体を電解用電極として使用せず、電解室において専用の電解用電極により原水の電気分解を行う。このため、活性炭多孔質体と比較して表面積の小さい電解用電極を使用して電流密度を高め、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。従って、従来と比較し、水素ガスの貯蔵に要する時間が大幅に短縮され、高濃度の水素水を長時間安定供給できる。また、活性炭多孔質体の表面に炭酸カルシウムがほとんど付着しなくなり、細孔の閉塞を防止して、安定した濾過性能を確保できる。
次に、取水部に貯水容器の内部を加圧状態に保持する圧力弁を設けることが好ましい。これにより、貯水容器の内部が圧力弁の設定圧と同じ圧力に保持される。このため、電気分解により発生した電解ガスは容器の内部で加圧され、活性炭多孔質体の内部に強制充填され、無数の小空間に貯蔵される。この状態で、給水を開始すると、貯水容器の内部に原水の給水圧と圧力弁の設定圧との差圧によって水流が生じ、活性炭多孔質体中に貯蔵された電解ガスが水流に巻き込まれ、加圧条件下で水素ガスの気泡が原水中に強制溶解される。従って、常圧条件下で電解ガスを貯蔵・溶解していた従来と比較し、より多量の電解ガスを活性炭多孔質体に貯蔵し、より高濃度の水素水を長時間にわたり安定的に供給することができる。
すなわち、下記の数式1に表されるように、ガスの溶解度は気液接触圧力に比例するため、貯水容器の内圧を圧力弁で加圧状態に保持することで、原水中への水素ガスの溶解度を高めて、水素水の溶存水素濃度を向上させることができる。
(数1)
C=kP
ここで、C:ガスの溶解度
k:ヘンリー定数
P:圧力
また、水素ガスの気泡を加圧縮小することで、気泡の浮上速度が低下し、気泡を長期間水中に滞留させることができるため、単位面積当たりの水に含まれる水素ガスの気泡が飛躍的に増加し、すなわち、下記の数式2に表すaの増加により、原水中への水素ガスの溶解速度を加速することができる。
(数2)
dCAL/dt=Ka(CA−CAL)
ここで、CAL:溶存ガス濃度
t:時間
K:液側総括物質移動係数
a:単位体積あたりの気液接触面積
CA:飽和溶存ガス濃度
圧力弁の種類は、特に限定されず、例えば、設定圧を一定値に固定した定圧弁、設定圧を調整可能な圧力調整弁、リリーフ圧を調整可能な逃し弁等を使用できる。なお、圧力弁の設定圧は、給水圧が0.3MPa・G(G:ゲージ圧)程度の水道水を原水とする場合、0.2MPa・G前後が好ましい。
次に、電解用電極への炭酸カルシウムの付着を防止するためには、電解電圧に極低周波数の交流電圧を用いるのが望ましい。特に、電解効率が高く、電解反応が安定する点で、給電部は、電解用電極に10-4〜10-1Hzの矩形波交流電圧を出力する電解電源であることが好ましい。電解電圧の周波数が10-1Hzを超過すると、電気分解反応の効率が低下し、水素ガスの発生率が減少する。また、周波数が10-4Hzを下回る領域では、陰極に炭酸カルシウムが析出しやすく、これを逆電位で消失させることはできても、析出・消失の繰り返しで電気分解反応が不安定となる。
また、給電部は、電解電流を一定に保つように矩形波交流電圧を自動可変する電解用定電流電源であることが好ましい。原水の水質に関わらず、電解電流が一定に保たれ、水素ガスの発生を安定化することが可能になるからである。この矩形波交流電圧は、特に限定されないが、1〜40Vが好ましい。
活性炭多孔質体は、例えば活性炭粒子をバインダーで結合してなる導電性の成形体であって、原水中の塩素成分やトリハロメタン等の有機物を除去する浄水機能と、電解ガスを貯蔵するスペース機能とを備える。浄水機能に関しては、pHが中性域の水中で微生物の細胞が負極性に帯電していることから、活性炭多孔質体を正極性に帯電させることで、多孔質体の表面に炭酸カルシウムを析出させることなく、微生物の捕集性能を高めることができる。具体的には、活性炭多孔質体に1V以上で且つ電解が発生しない電圧範囲の正電圧を印加する直流電源を備えることが好ましい。また、水素ガスも負極性に帯電していることもあり、水素の吸着・吸蔵にも効果がある。なお、印加電圧が1V未満になると、微生物の捕集性能が不充分になる。
なお、給水部の構成は、特に限定されず、例えば、水道管の蛇口や井戸水の給水源にホースを介して接続される給水口を備えた構成を採用できる。取水部の構成も、特に限定されず、例えば、水素水を吐出する吐出口の前段(上流側)に圧力弁を設けた構成を採用できる。
さらに、給水部より上流に、前置浄水室を備えた前置貯水容器と、前置浄水室に収納された前置活性炭部材と、前置浄水室に所定水圧の原水を供給する前置給水部と、前置浄水室から前置浄化された水を取り出して給水部に送る前置取水部とからなる前置浄水装置を設けることもできる。活性炭部材としては、特に限定されないが、多孔質体、粉末状、粒状等を例示することができる。前置浄水室では、前置浄化として水道原水等のろ過(遊離塩素、ゴミ、有機物、鉛等)を主に行うことにより、後の電解室での電気分解を安定化させると同時に、電解による有害物質(主に有機塩素系化合物)の生成を抑制し、また、後の浄水室の活性炭多孔質体の負荷を軽減して浄化吸着の寿命を延長させることができ、より清浄で安全な水素水を大量に成形させることができる。すなわち、後の浄水室の活性炭多孔質体は水素ガスの吸蔵を主に行うことができる。
以上詳述したように、本発明に係る電解式水素水生成装置によれば、高濃度の水素水を長時間安定供給でき、活性炭多孔質体への炭酸カルシウムの付着がほとんどなくなるという優れた効果を奏する。また、電解用電極に10-4〜10-1Hzの矩形波交流電圧を供給することにより、電極への炭酸カルシウムの付着を防止し、電解効率を高め、電解反応を安定化できる効果がある。さらに、活性炭多孔質体に1V以上で且つ電解が発生しない電圧範囲の正電圧を印加することにより、多孔質体の表面に炭酸カルシウムを析出させることなく、微生物の捕集性能を向上できる効果がある。
電気分解により発生した水素ガスを原水中に溶解させて水素水を生成する装置であって、貯水容器と、前記貯水容器に収納された電解用電極と、前記電解用電極に電解電圧を印加する給電部と、前記貯水容器に前記電解用電極とは離間して前記電解用電極の上端より上方まで延びるように収納された、前記電解電圧の印加されない活性炭多孔質体と、前記貯水容器に所定水圧の原水を供給する給水部と、前記貯水容器から水素水を取り出す取水部とを含む。電解用電極と活性炭多孔質体との離間距離が最短部で左右方向には100mmを超えないように且つ上下方向には100mmを超えないように両者を接近させ、電解用電極で生じた水素ガスが浮上し始めて直ぐに活性炭多孔質体の表面に接しうるようにする。取水部に貯水容器の内部を加圧状態に保持する圧力弁を設ける。給電部を、電解用電極に10-4〜10-1Hzの矩形波交流電圧を出力し、且つ、電解電流を一定に保つように矩形波交流電圧を自動可変する電解用定電流電源とする。
図1に示す実施例1の電解式水素水生成装置1は、水電解部2と給電装置3とから構成されている。水電解部2には、水道水を原水4として貯留する貯水容器5と、原水4を貯水容器5に供給する給水部6と、貯水容器5から水素水7を取り出す取水部8とが設けられている。貯水容器5は、樹脂系材料によって上下2室構造に一体成形され、上流側である小容積の電解室9を下側に、下流側である大容積の浄水室10を上側に、区分してそれぞれ備えている。両室9,10は連通口23を介して連通している。
電解室9には原水4を電気分解する一対(又は複数対)の電解用電極11が収納されている。電解用電極11は白金系の金属材料により小形に形成され、所定の隙間を介して電解室9内に対向配置されている。浄水室10には電解後の原水4を浄化する活性炭多孔質体12が、電解用電極11とは離間して、また、(前記浄水質10の配置からして当然のことであるが)電解用電極11の上端より上方まで延びるように収納されている。活性炭多孔質体12は円柱状に成形され、中心部に縦長の貫通穴13を備えている。また、活性炭多孔質体12の円柱外周面24は、電解用電極11の略真上に位置しているが、電解用電極11の略真上よりやや内側又は外側に位置していてもよい。
電解用電極11と活性炭多孔質体12と円柱外周面24との離間距離は最短部で左右方向には実質的に0(なお、図1で左方向(円柱外周面24の外側方向)又は右方向(円柱外周面24の内側方向)に30〜50mm程度離間していてもよい。)、且つ上下方向には15mmである。このように両者を接近させることで、電解用電極11で生じた水素ガスが浮上し始めて直ぐに活性炭多孔質体11の円柱外周面24に接しうる。そして、給電装置3には、電解用電極11に例えば約10-3Hzの極低周波数の矩形波交流電圧を連続的に供給する給電部としての電解電源14と、活性炭多孔質体12に1V以上で且つ電解が発生しない電圧範囲の正電圧を印加する直流電源15とが設けられている。電解電源14は、電解電流を一定に保つように矩形波交流電圧を自動可変する電解用定電流電源であり、矩形波交流電圧は1〜40Vの範囲内で可変される。
給水部6は、給水源に接続される給水バルブ16と、電解室9の底に開口する給水口17とを備え、原水4を0.3MPa・G程度の水圧で電解室9に供給するように構成されている。取水部8は、活性炭多孔質体12の貫通穴13に接続された取水パイプ18と、水素水7を吐出する吐出口19と、貯水容器5の内部を加圧状態に保持する圧力弁20とを備え、圧力弁20が吐出口19より上流側に設けられている。圧力弁20には、設定圧を0.05〜0.2MPa・Gの範囲で調整可能な圧力調整弁が用いられている。
この実施例の電解式水素水生成装置1において、電解用電極11に矩形波交流電圧を印加すると、電解室9の原水4が例えば200〜500mAの範囲内から定められる定電流で電気分解され、矩形波交流電圧は12V前後で自動可変され、陽極に酸素ガス21が発生し、陰極に水素ガス22が発生する。電解用電極11の極性は比較的長い時間(例えば10分)をおいて周期的に変化し、酸素ガス21及び水素ガス22が両方の電解用電極11から交互に発生する。そして、これらの電解ガスは連通口23から浄水室10内を浮上するが、前記のとおり電解用電極11と活性炭多孔質体12と円柱外周面24とが接近しているため、浮上し始めの非常に微細な水素ガスを活性炭多孔質体12に多く吸着させることができる。
また、このとき、貯水容器5の内部は圧力弁20により例えば0.2MPa・Gの加圧状態に保持されている。このため、電解ガスは容器5の内圧により加圧され、活性炭多孔質体12の内部に強制充填され、無数の小空間(図5参照)に貯蔵される。この状態で、給水バルブ16を開いて0.3MPa・Gの原水4を給水すると、貯水容器5の内部に給水圧と圧力弁設定圧との差圧(0.1MPa・G)による水流が生じ、活性炭多孔質体12中に貯蔵された電解ガスが水流に巻き込まれる。そして、0.2MPa・Gの加圧条件下で、水素ガスの気泡が、従来と比較し、気泡径約1/3、表面積約1/9、体積約1/27に圧縮された状態で原水4中に強制溶解される。
従って、この実施例の電解式水素水生成装置1によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)活性炭多孔質体12を電解用電極として使用せず、浄水室10とは区分した電解室9において専用の電解用電極11により原水の電気分解を行うので、多孔質体12の表面に炭酸カルシウムが析出するおそれがほとんどなく、活性炭の濾過機能を長期間良好に維持できる。また、電解電極11に表面積の小さい金属電極を使用することができるので、原水4の抵抗による電圧降下が小さくなり、また、電解電流値を200〜500mA程度にまで上げて電流密度を高めることも可能で、電解効率をよくして短時間に多量の水素ガスを発生できる。
(2)活性炭多孔質体12が電解用電極11の上端より上方まで延びており、また、電解用電極11と活性炭多孔質体12と円柱外周面24とが接近しているため、浮上し始めの非常に微細な水素ガスを活性炭多孔質体12に多く吸着させることができる。
(3)貯水容器5の内部を圧力弁20で加圧状態に保持したので、活性炭多孔質体12への電解ガスの貯蔵量及び水素水7の溶存水素濃度を共に従来の約3倍に増やすことができ、高濃度の水素水7を長時間にわたり安定的に供給できる。
(4)電解電極11に極低周波数の矩形波交流電圧を印加するので、電極11への炭酸カルシウムの付着を防止し、電解効率を高め、電解反応を安定化できるとともに、保守作業を省くことが可能となる。
(5)活性炭多孔質体12に1V以上の正電圧を常時印加するので、負極性に帯電した原水4中の微生物を効率よく捕集し、微生物の漏洩を抑制でき、水素水7の衛生度を向上できる。正電圧を印加するので、活性炭多孔質体12の表面に炭酸カルシウムが析出するおそれがない。
図2に示す実施例2の電解式水素水生成装置1は、電解室9を浄水室10の下部に重複して配置するとともに、電解用電極11を活性炭多孔質体12の下部に並べて配置し、もって活性炭多孔質体12が電解用電極11の上端より上方まで延びているようにした点において、実施例1と相違するものである。電解用電極11と活性炭多孔質体12と円柱外周面24との離間距離は最短部で左右方向には5mm、且つ上下方向には実質的に0であり、このように両者を接近させることで、電解用電極11で生じた水素ガスが浮上し始めて直ぐに活性炭多孔質体11の円柱外周面24に接しうる。従って、この実施例2によっても実施例1と同様の作用効果が得られる。
図3に示す実施例3の電解式水素水生成装置1は、給水部6より上流に、前置浄水室32を備えた前置貯水容器31と、前置浄水室32に収納された前置活性炭多孔質体33と、前置浄水室32に所定水圧の原水を供給する前置給水部34と、前置浄水室32から前置浄化された水を取り出して給水部6に送る前置取水部35とからなる前置浄水装置30を設けた点においてのみ、実施例1と相違するものである。
前置活性炭多孔質体33の形状は活性炭多孔質体12と類似したものであり、電圧は印加されないが、活性炭多孔質体12と同様に1V以上で且つ電解が発生しない電圧範囲の正電圧が印加されてもよい。前置給水部34は前置活性炭多孔質体33の外周側に設けられ、前記取水部35は前記活性炭多孔質体33の貫通穴側に設けられる。
前置浄水室32では、前置浄化として水道原水等のろ過(遊離塩素、ゴミ、有機物、鉛等)を主に行うことにより、後の電解室9での電気分解を安定化させると同時に、電解による有害物質(主に有機塩素系化合物)の生成を抑制し、また、後の浄水室10の活性炭多孔質体12の負荷を軽減して浄化吸着の寿命を延長させることができ、より清浄で安全な水素水を大量に成形させることができる。すなわち、後の浄水室10の活性炭多孔質体12は水素ガスの吸蔵をを主に行うことができる。
本発明に係る実施例1の電解式水素水生成装置を示す概略図である。 本発明に係る実施例2の電解式水素水生成装置を示す概略図である。 本発明に係る実施例3の電解式水素水生成装置を示す概略図である。 従来の電解式水素水生成装置を示す概略図である。 活性炭多孔質体の組成を示す概略図である。
符号の説明
1 電解式水素水生成装置
4 原水
5 貯水容器
6 給水部
7 水素水
8 取水部
9 電解室
10 浄水室
11 電解用電極
12 活性炭多孔質体
14 給電部としての電解電源
15 直流電源
20 圧力弁
23 連通口
24 円柱外周面
30 前置浄水装置

Claims (9)

  1. 電気分解により発生した水素ガスを原水中に溶解させて水素水を生成する装置であって、貯水容器と、前記貯水容器に収納された電解用電極と、前記電解用電極に電解電圧を印加する給電部と、前記貯水容器に前記電解用電極とは離間して前記電解用電極の上端より上方まで延びるように収納された、前記電解電圧の印加されない活性炭多孔質体と、前記貯水容器に所定水圧の原水を供給する給水部と、前記貯水容器から水素水を取り出す取水部とを含むことを特徴とする電解式水素水生成装置。
  2. 前記電解用電極と前記活性炭多孔質体との離間距離が最短部で左右方向には100mmを超えないように且つ上下方向には100mmを超えないように両者を接近させ、前記電解用電極で生じた水素ガスが浮上し始めて直ぐに前記活性炭多孔質体の表面に接しうるようにした請求項1記載の電解式水素水生成装置。
  3. 前記貯水容器に、前記電解用電極が収納される電解室を下側に、前記活性炭多孔質体が収納される浄水室を上側に、それぞれ区分して設けた請求項1又は2記載の電解式水素水生成装置。
  4. 前記取水部に前記貯水容器の内部を加圧状態に保持する圧力弁を設けた請求項1、2又は3記載の電解式水素水生成装置。
  5. 前記給電部が、前記電解用電極に10-4〜10-1Hzの矩形波交流電圧を出力する請求項1、2、3又は4記載の電解式水素水生成装置。
  6. 前記給電部が、電解電流を一定に保つように前記矩形波交流電圧を自動可変する電解用定電流電源である請求項5記載の電解式水素水生成装置。
  7. 前記矩形波交流電圧が1〜40Vである請求項6記載の電解式水素水生成装置。
  8. 前記活性炭多孔質体に1V以上で且つ電解が発生しない電圧範囲の正電圧を印加する直流電源を備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の電解式水素水生成装置。
  9. 前記給水部より上流に、前置浄水室を備えた前置貯水容器と、前記前置浄水室に収納された前置活性炭部材と、前記前置浄水室に所定水圧の原水を供給する前置給水部と、前記前置浄水室から前置浄化された水を取り出して前記給水部に送る前置取水部とからなる前置浄水装置を設けた請求項1〜8のいずれか一項に記載の電解式水素水生成装置。
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