JP2005185658A - 消臭剤及びそれを用いた消臭体並びに消臭方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の消臭剤は、過酸化水素及び/又はオゾンを溶解させた水性溶媒と、前記水性溶媒に分散された枯草菌及び/又は納豆菌と、を含有する。
【選択図】なし
Description
このような生物的作用を利用した消臭剤として、例えば、(特許文献1)に「バチルス・サブチリス・クボタを水に含有させた消臭剤」が開示されている。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、バチルス・サブチリスに属する特定の菌を水に含有させて消臭剤として用いるものであり、菌が悪臭源を分解して消臭効果を得るものなので、消臭効果の持続性には優れているものの即効性がなく、使用直後に良好な消臭効果が得られないという課題を有していた。
(2)このように消臭作用において、即効性と持続性を同時に満足する消臭剤が得られないという課題を有していた。
(3)消臭剤の保存中に、バチルス・サブチリスに属する菌が発芽し増殖してしまうことがあり、この場合は消臭剤が悪臭源と接触しても悪臭源を分解したり変質させたりする作用が小さく、保存性に欠けるという課題を有していた。
また、本発明は、悪臭の発生を最小限にして長期間に渡り抑制することができる持続性に優れた消臭体を提供することを目的とする。
また、本発明は、消臭剤を悪臭源に接触させることで高い消臭効果を得ることができるとともに、悪臭源の状態に応じて適宜の手段を選択して用いることができ汎用性に優れた消臭方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の消臭剤は、過酸化水素及び/又はオゾンを溶解させた水性溶媒と、前記水性溶媒に分散された枯草菌及び/又は納豆菌と、を含有した構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)水性溶媒に枯草菌や納豆菌とともに過酸化水素やオゾンを含有させているので、消臭剤を悪臭源に接触させた際に、過酸化水素等の作用で硫化水素,チオール類等の硫黄系臭気成分等と素早く反応しこれらを分解するので即効性に優れる。
(2)悪臭源と接触した枯草菌や納豆菌が、発芽し増殖する際に悪臭源を分解したり変質させるので消臭効果の持続性にも優れる。
(3)グラム陽性菌であり芽胞菌である枯草菌や納豆菌を用いているので、過酸化水素やオゾンが枯草菌や納豆菌へ作用する殺菌力が弱いため、水性溶媒中でこれらを死滅させることがなく、しかも枯草菌等を休眠状態に保つことができるので保存性に優れる。なお、悪臭源に接触した際には水性溶媒中の過酸化水素やオゾンは分解されるため、枯草菌や納豆菌の発芽や増殖を妨げることなく消臭効果を高めることができる。
(4)枯草菌や納豆菌、過酸化水素やオゾンを用いているので、環境が破壊される等の悪影響が生じることがなく環境保全性に優れるとともに、食品工場等においても用いることができ汎用性に優れる。
(5)枯草菌や納豆菌は水質浄化作用を有するため、工場等で用いられる浄化槽等に添加して消臭と同時に水質を浄化させることもでき応用性に優れる。
オゾンは、悪臭源に存在するほとんどのグラム陰性菌等に作用し強力な殺菌作用と消臭作用を示すとともに、経時的に酸素に分解されるため低濃度であれば食品にも使用することができ汎用性に優れる。但し、経時的に分解し易く保存性に欠けるため、使用する都度、溶存させるのが好ましい。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)消臭剤が悪臭源に接触した際には、枯草菌や納豆菌が悪臭源に含まれる糖類やアミノ酸等の代謝可能な物質によって生理的発芽をして増殖していくとともに、水性溶媒に含有された非代謝物質であるCa2+,Mg2+,K+の金属イオンによって化学的発芽を引き起こさせて増殖させることができ、悪臭源に含まれる代謝物質と水性溶媒に含まれる非代謝物質との相乗効果によって、枯草菌等を飛躍的に増殖させ高い消臭効果を得ることができる。
(2)水性溶媒がCa2+,Mg2+,K+の金属イオンの1種以上を0.5〜100ppmの所定量含有しているので、保存中にオゾンや過酸化水素の一部が還元され酸化力がわずかに失われるため、オゾンや過酸化水素による枯草菌や納豆菌の生菌に対する殺菌力が低下し枯草菌や納豆菌を生菌の状態で長期間維持することができ保存性に優れる。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ニトロソモナス属、ニトロバクター属、シュードモナス属の微生物は、悪臭源から発生するアンモニア等の窒素系臭気成分の分解に寄与するので、種々の種類の臭気を効果的に除去することができる。即ち、ニトロソモナス属の微生物はアンモニアをNO2に、ニトロバクター属の微生物はNO2をNO3に、シュードモナス属の微生物はNO3をN2に変換するといわれており、これらの相互作用によって消臭できるのである。
ニトロバクター属の微生物としては、ニトロバクター・アギリス等を用いることができる。
シュードモナス属の微生物としては、シュードモナス・キャリオフィリ、シュードモナス・スタッチェリ等を用いることができる。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)水性溶媒が所定量のアルコール類を含有しているので、悪臭源の内の枯草菌や納豆菌が未分解の残留タンパク質をアルコール類が凝固するとともにカビ類等を殺菌し高い消臭効果を得ることができる。
(2)芽胞菌である枯草菌や納豆菌を用いているので、アルコール類が枯草菌や納豆菌へ作用する殺菌力が弱いため、水性溶媒中でこれらを死滅させることがなく、しかも枯草菌等を休眠状態に保つことができるので保存性に優れる。また、悪臭源の残留タンパク質の凝固に用いられなかった過剰なアルコール類は揮発するので、枯草菌や納豆菌の発芽や増殖を妨げることなく消臭効果を高めることができる。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)消臭剤を担持した担持部材を室内や建屋内等の悪臭源の近くの所定の空間や箇所に配置したり、担持部材で室内や建屋内等の悪臭が発生した所定の箇所を拭き取ることにより、悪臭の発生を抑制することができる。
(2)担持部材を悪臭源の近くに配置しておくことにより、悪臭の発生を長期間防止することができる。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)消臭剤を悪臭源に接触させることで高い消臭効果を得ることができるとともに、悪臭源の状態に応じて適宜の手段を選択して用いることができ汎用性に優れる。
(2)枯草菌や納豆菌は水質浄化作用を有するため、浄化槽等に流れる水に接触させることにより水質浄化も行うことができ応用性に優れる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)水性溶媒に枯草菌や納豆菌とともに過酸化水素やオゾンを含有させているので、消臭剤を悪臭源に接触させた際に、過酸化水素等の作用で硫化水素,チオール類等の硫黄系臭気成分等と素早く反応しこれらを分解するので即効性に優れた消臭剤を提供することができる。
(2)悪臭源と接触した枯草菌や納豆菌が、発芽し増殖する際に悪臭源を分解したり変質させるので消臭効果の持続性にも優れた消臭剤を提供することができる。
(3)グラム陽性菌であり芽胞菌である枯草菌や納豆菌を用いているので、過酸化水素やオゾンが枯草菌や納豆菌へ作用する殺菌力が弱いため、水性溶媒中でこれらを死滅させることがなく、しかも枯草菌等を休眠状態に保つことができるので保存性に優れた消臭剤を提供することができる。
(4)枯草菌や納豆菌、過酸化水素やオゾンを用いているので、環境が破壊される等の悪影響が生じることがなく環境保全性に優れるとともに、食品工場等においても用いることができ汎用性に優れた消臭剤を提供することができる。
(5)枯草菌や納豆菌は水質浄化作用を有するため、工場等で用いられる浄化槽等に添加して消臭と同時に水質を浄化させることもでき応用性に優れた消臭剤を提供することができる。
(1)消臭剤が悪臭源に接触した際には、枯草菌や納豆菌が悪臭源に含まれる糖類やアミノ酸等の代謝可能な物質によって生理的発芽をして増殖していくとともに、水性溶媒に含有された非代謝物質であるCa2+,Mg2+,K+の金属イオンによって化学的発芽を引き起こさせて増殖させることができ、悪臭源に含まれる代謝物質と水性溶媒に含まれる非代謝物質との相乗効果によって、枯草菌等を飛躍的に増殖させ高い消臭効果を得ることができる消臭剤を提供することができる。
(2)水性溶媒がCa2+,Mg2+,K+の金属イオンの1種以上を0.5〜100ppmの所定量含有しているので、保存中にオゾンや過酸化水素の一部が還元され酸化力がわずかに失われるため、オゾンや過酸化水素による枯草菌や納豆菌の生菌に対する殺菌力が低下し枯草菌や納豆菌を生菌の状態で長期間維持することができ保存性に優れた消臭剤を提供することができる。
(1)ニトロソモナス属、ニトロバクター属、シュードモナス属の微生物は、悪臭源から発生するアンモニア等の窒素系臭気成分の分解に寄与するので、種々の種類の臭気を効果的に除去することができる消臭剤を提供することができる。
(1)水性溶媒が所定量のアルコール類を含有しているので、悪臭源の内の枯草菌や納豆菌が未分解の残留タンパク質をアルコール類が凝固するとともにカビ類等を殺菌し消臭効果に優れた消臭剤を提供することができる。
(2)芽胞菌である枯草菌や納豆菌を用いているので、アルコール類が枯草菌や納豆菌へ作用する殺菌力が弱いため、水性溶媒中でこれらを死滅させることがなく、しかも枯草菌等を休眠状態に保つことができるので保存性に優れた消臭剤を提供することができる。
(1)消臭剤を担持した担持部材を室内や建屋内等の悪臭源の近くの所定の空間や箇所に配置したり、担持部材で室内や建屋内等の悪臭が発生した所定の箇所を拭き取ることにより、悪臭の発生を抑制することができる消臭体を提供することができる。
(2)担持部材を悪臭源の近くに配置しておくことにより、悪臭の発生を長期間防止することができる持続性に優れた消臭剤を提供することができる。
(1)消臭剤を悪臭源に接触させることで高い消臭効果を得ることができるとともに、悪臭源の状態に応じて適宜の手段を選択して用いることができ汎用性に優れた消臭方法を提供することができる。
(2)枯草菌や納豆菌は水質浄化作用を有するため、浄化槽等に流れる水に接触させることにより水質浄化も行うことができ応用性に優れた消臭方法を提供することができる。
(実施例1)
本実施例では、実験例1〜22の消臭剤を調製し、これらの消臭剤について使用した直後の魚の餌箱(魚釣り用の餌を入れていた餌箱)に対する消臭効果を調べた。
消臭剤は、イオン交換水及びイソプロピルアルコール(日本薬局方)(以下、IPAという)を所定の割合で配合したものに、Ca2+,Mg2+,K+源としての苦汁と、枯草菌又は納豆菌が1×1015個/mLの割合で水に含有された枯草菌液又は納豆菌液とを加え、これに所定量のオゾンを溶存させる又は過酸化水素を溶解させることで調製した。必要に応じて、ニトロソモナス属、ニトロバクター属、シュードモナス属の微生物が各々1×1015個/mLの割合で水に含有されたニトロソモナス属微生物液(以下、N微生物液という)、ニトロバクター属微生物液(以下、B微生物液という)、シュードモナス属微生物液(以下、S微生物液という)も配合した。
なお、本実施例で用いた苦汁を消臭剤の全量100重量部に対して0.1重量部配合した場合のCa2+,Mg2+,K+の合計量は、分析の結果、9.1ppmであった。
実験例1〜22の消臭剤について、各々の配合量(重量部)及びオゾンの溶存量(ppm)を(表1)〜(表3)に示す。
その結果を(表4)〜(表6)に示す。なお、(表4)〜(表6)に示す臭気の強度は、以下のとおりである。「0」:無臭、「1」:やっと感知できる臭い、「2」:臭いの種類を判定できる程度、「3」:よく感知できる臭い、「4」:強い臭い、「5」:強烈な臭い。
なお、消臭剤を噴霧しなかった魚の餌箱の臭気の強度は、10分後も「5」:強烈な臭いであった。
実験例3の消臭剤は、10秒後の臭気の強度が「3」、1分後が「2」であったが10分後には「1」になった。実験例1に比べて苦汁の量が多いため、オゾンの強力な酸化力が若干低下し即効性が若干劣ったのではないかと推察している。
実験例4の消臭剤は、10秒後の臭気の強度が「3」、1分後が「2」であったが10分後には「1」になった。実験例1に比べてオゾンの溶存量が少ないため、オゾンの強力な酸化力が小さく即効性が若干劣ったのではないかと推察している。
実験例5の消臭剤は、10秒後の臭気の強度が「3」、1分後が「2」、10分後も「2」であった。実験例1に比べてオゾンの量が多いため、オゾンの強力な酸化力により枯草菌の作用が低下し持続性が若干劣ったのではないかと推察している。
実験例6〜8の消臭剤は、臭気の強度が10分後には「0」になった。実験例1の配合に加えニトロバクター属等の微生物が配合されているので、オゾンと枯草菌だけでは除去できなかった残臭を除去することができたのではないかと推察している。
実験例10の消臭剤は、10秒後の臭気の強度が「3」、1分後が「2」であったが10分後には「1」になった。実験例9に比べて過酸化水素の量が少ないため、過酸化水素による酸化力が若干低下し即効性が若干劣ったのではないかと推察している。
実験例11の消臭剤は、10秒後の臭気の強度が「3」、1分後が「2」、10分後も「2」であった。実験例9に比べて過酸化水素の量が多いため、過酸化水素の酸化力により枯草菌の作用が低下し持続性が若干劣ったのではないかと推察している。
実験例12の消臭剤は、オゾンと過酸化水素を両方加えたものであるが、実験例1、実験例9と同様の消臭効果が得られた。
実験例13、実験例14の消臭剤は、枯草菌の代わりに納豆菌を加えたものであるが、実験例1、実験例9と同様の消臭効果が得られた。
実験例19の消臭剤は、10秒後の臭気の強度が「4」であり、10分後も「3」であった。実験例10の消臭剤に比べさらに過酸化水素の量が少なく、過酸化水素による酸化力が低下し即効性が劣り、それに伴って枯草菌による消臭効果も目立たなかったのではないかと推察している。
実験例20の消臭剤は、10秒後の臭気の強度が「3」であり、10分後もそのままであった。過酸化水素の量が多いため枯草菌の増殖に影響を与えたのではないかと推察している。
実験例21の消臭剤は、オゾンも過酸化水素も加えていないため、オゾンや過酸化水素による酸化分解作用が得られず即効性が劣り、それに伴って枯草菌による消臭効果も目立たなかったのではないかと推察している。
実験例22の消臭剤は、苦汁を加えていないため、オゾンによる即効性はみられたが、枯草菌の増殖速度が緩慢で消臭効果が劣ったのではないかと推察している。
以上のように本実施例によれば、本発明の消臭剤は、非常に優れた消臭効果を有していることが明らかになった。
灰皿内でもみ消した直後の煙草の吸殻に、実施例1で説明した実験例1の消臭剤0.3mLを噴霧したところ、臭気の強度「5」のものが、噴霧10秒後には臭気の強度が「1」、1分後には「0」になったことから、非常に優れた消臭効果を有していることが明らかになった。
また、自動車の室内の煙草の臭いも実験例1の消臭剤0.6mLを噴霧したところ、10分後には臭気の強度が「0」になった。
中型の猫の一食分の猫用ドライフードに、実施例1で説明した実験例1の消臭剤0.45mLを噴霧したところ、臭気の強度「5」のものが、噴霧10秒後には臭気の強度が「2」、1分後には「1」、10分後には「0」になった。
これらの実施例に示すように、多種多様な臭気に対して、本発明の消臭剤は優れた消臭効果を示すことが明らかになった。
Claims (6)
- 過酸化水素及び/又はオゾンを溶解させた水性溶媒と、前記水性溶媒に分散された枯草菌及び/又は納豆菌と、を含有していることを特徴とする消臭剤。
- 前記水性溶媒が、Ca2+,Mg2+,K+の1種以上を0.5〜100ppm含有していることを特徴とする請求項1に記載の消臭剤。
- 前記水性溶媒が、ニトロソモナス属、ニトロバクター属、シュードモナス属の内のいずれか1種以上の微生物を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の消臭剤。
- 前記水性溶媒が、20〜50重量%のアルコール類を含有していることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の消臭剤。
- 請求項1乃至4の内いずれか1に記載の消臭剤を担持した担持部材を備えていることを特徴とする消臭体。
- 請求項1乃至4の内いずれか1に記載の消臭剤を散布、塗布、噴霧等の手段によって悪臭源に接触させることを特徴とする消臭方法。
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