JP2005185132A - 弱酸性低粘度乳性飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間保存しても安定性が損なわれず、良好な風味が持続する新規な弱酸性低粘度乳性飲料の提供。
【解決手段】安定剤としてペクチン0.01〜1重量%とアラビアガム0.05〜3重量%とクエン酸塩0.01〜1重量%を併用してあり、pHが4.6〜5.4で、粘度が20mPa・s以下であり、乳タンパク質の固形分濃度が0.1〜8重量%である弱酸性低粘度乳性飲料。上記配合・性状であって、加熱殺菌してあり、タンパク質の凝集が生じていない弱酸性低粘度乳性飲料。
【選択図】 なし
【解決手段】安定剤としてペクチン0.01〜1重量%とアラビアガム0.05〜3重量%とクエン酸塩0.01〜1重量%を併用してあり、pHが4.6〜5.4で、粘度が20mPa・s以下であり、乳タンパク質の固形分濃度が0.1〜8重量%である弱酸性低粘度乳性飲料。上記配合・性状であって、加熱殺菌してあり、タンパク質の凝集が生じていない弱酸性低粘度乳性飲料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、保存安定性が高い新規な弱酸性低粘度乳性飲料に関する。詳しくは、加熱殺菌しても、また、長期間保存しても、安定性が損なわれることがない新規な弱酸性低粘度乳性飲料に関する。本発明の弱酸性低粘度乳性飲料としては、果汁入りミルク飲料やヨーグルトドリンクなどを挙げることができる。
一般に、果汁入りミルク飲料やヨーグルトドリンクなどの酸性乳性飲料は、需要が大きい。なかでも、pH4.6から5.4の弱酸性域のものは、ほどよい酸味に乳タンパク質の旨味がマッチして飲みやすく、子供にも好まれている。しかし、このような弱酸性域で乳性飲料を加熱すると、安定剤を添加したものであっても、乳タンパク質が凝集し、保存中に乳タンパク質固形分の沈殿が生じやすくなるという問題がある。
すなわち、乳性飲料については、酸性域よりも弱酸性域の方がタンパク質の凝集を生じやすい。その理由は以下のように説明できる。乳タンパク質は、プラスとマイナスの両方の電荷を有するが、pH4.6以下になるとプラスの電荷が増えるため、乳タンパク質はペクチンのようなマイナスの電荷を有する増粘多糖類などと結合しやすい状態になる。しかし、乳タンパク質は、pHが4.6を超えるとマイナスの電荷が増えるため、マイナスの電荷を有する増粘多糖類などとの結合が難しくなり、乳タンパク質の凝集を生じやすい状態となる。特に乳タンパク質を固形分濃度で0.1重量%以上含有し、20mPa・s以下の低粘度に仕上げた乳性飲料については、その傾向が強い。
本発明者らは、保存安定性が高く、商品価値の高い弱酸性低粘度乳性飲料を作ることを志向して、まず、従来技術を調査したところ、以下の公知文献を確認することができた。
特開2002−281895号公報
特開2003−289795号公報
特開2003−289830号公報
特開平11−206351号公報
特開平10−313781号公報
すなわち、特開2002−281895号公報(特許文献1)には、リン酸塩とクエン酸塩と共に低メトキシルペクチンなどのカルシウムに対する反応性が高い多糖類を配合してある熱安定性良好な弱酸性乳飲料(pH5.4〜6.1)について開示されている。また、特開2003−289795号公報(特許文献2)には、リン酸塩、陰イオン性有機酸モノグリセリド、クエン酸塩を配合してある熱安定性良好な弱酸性乳飲料(pH5.4〜6.3)について開示されている。しかし、これらの弱酸性乳飲料は、リン酸塩を使用するものであるため風味の点において好ましくない上、弱酸性飲料と謳っているものの、pH域が5.4から6.3の乳性飲料、すなわち、ミルクコーヒーのような飲料が対象であり、果汁入りミルク飲料のように、ほどよい酸味を有する乳性飲料を対象とするものではない。なお、上記両文献には、弱酸性乳飲料の粘度範囲は開示されていない。
特開平10−313781号公報(特許文献5)には、安定剤としてペクチンとアラビアガムを併用し、クエン酸や乳酸などの酸を含むが、加熱殺菌後においても安定な酸性乳飲料(pH3.5〜4.5)の製造方法について開示されている。しかし、この酸性乳飲料は、pH域が低く、弱酸性のものとは言いがたい。また、本発明者らが試験したところでは、ペクチンとアラビアガムとを併用した酸性乳性飲料は、pH3.5から4.5の酸性域ではそれなりの安定性を示すものの、pH4.6から5.4の弱酸性域では、安定性が維持できるとは言いがたい。
なお、特開2003−289830号公報(特許文献3)には、食物繊維にアラビアガム、ペクチンなどの増粘多糖類を配合して均質化させた濃厚流動食(pHは不明)とその製造方法が開示されている。しかし、この濃厚流動食は、高タンパク質含量のものであるが、酸性飲料ではない。また、特開平11−206351号公報(特許文献4)には、低メトキシルペクチンとクエン酸ナトリウムを併用し、粘度が800〜3000mPa・sであるゲル状飲料(pH3.6〜5.2)が開示されている。しかし、このゲル状の飲料は、上記公報によれば、柔らかいゲル状又はゲルとゾルとの混在状態であると説明されているので、明らかに低粘度の飲料ではない。
上記のとおり、保存安定性が高い弱酸性低粘度乳性飲料については、公知文献によっても技術的な問題点が解決されておらず、そのため、製品としても見るべきものがない。本発明者らは、このような現状に鑑み、保存安定性がすぐれた弱酸性低粘度乳性飲料を独自に開発して提供すべく、鋭意研究をおこない、本発明を完成するに至った。
本発明は、長期間保存しても安定性が損なわれず、良好な風味が持続する新規な弱酸性低粘度乳性飲料を提供することを第1の課題とする。また、本発明は、乳タンパク質を固形分濃度にして0.1重量%以上含有し、20mPa・s以下の低粘度であり、pH4.6から5.4の弱酸性であって、長期間保存しても安定性が損なわれず、良好な風味が持続する新規な弱酸性低粘度乳性飲料を提供することを第2の課題とするものである。
上記の課題を達成するための本発明のうち、特許請求の範囲・請求項1に記載する発明(以下、単に「請求項1に記載の発明」などという。)は、安定剤としてペクチンとアラビアガムとクエン酸塩を併用してあり、保存安定性が高い弱酸性低粘度乳性飲料である。
また、請求項2に記載する発明は、請求項1に記載の弱酸性低粘度乳性飲料を好ましい配合量のものに限定した発明であって、安定剤としてペクチン0.01〜1重量%とアラビアガム0.05〜3重量%とクエン酸塩0.01〜1重量%を併用してあり、保存安定性が高い弱酸性低粘度乳性飲料である。
また、請求項3に記載する発明は、請求項1又は2に記載の弱酸性低粘度乳飲性料を好ましいpH域のものに限定した発明であって、pHが4.6〜5.4である請求項1又は2に記載の弱酸性低粘度乳性飲料である。
また、請求項4に記載する発明は、請求項1から3のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料を好ましい粘度のものに限定した発明であって、粘度が20mPa・s以下である請求項1から3のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料である。
また、請求項5に記載する発明は、請求項1から4のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料を好ましい乳タンパク質含量のものに限定した発明であって、乳タンパク質の固形分濃度が0.1〜8重量%である請求項1から4のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料である。
また、請求項6に記載する発明は、クエン酸塩として、クエン酸ナトリウムを用いる請求項1から5のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料である。
また、請求項7に記載する発明は、加熱殺菌してあり、タンパク質の凝集が生じていない請求項1から6のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料である。
本発明に係る弱酸性低粘度乳性飲料は、加熱殺菌しても安定であり、長期保存しても、風味が良好に持続される上、安定性が損なわれるおそれがない。すなわち、本発明によって、加熱安定性と保存安定性とを備えた風味のよい弱酸性低粘度乳性飲料の量産が、初めて可能となる。
本発明に係る弱酸性低粘度乳性飲料は、安定剤としてペクチンとアラビアガムとクエン酸塩を併用してある。これら安定剤の添加量は特に限定はないが、製品の粘度や製造工程や製造コストなどを勘案すると、ペクチン0.01〜1重量%、アラビアガム0.05〜3重量%、クエン酸塩0.01〜1重量%の範囲とするのが好ましい。ペクチン、アラビアガム及びクエン酸塩の添加量がそれぞれ上記の範囲から外れると、安定性が十分な弱酸性乳性飲料が得られないことがある。なお、製品である弱酸性低粘度乳性飲料の乳タンパク質の固形分濃度が高くなるほど、これら安定剤の添加量を多くすることが好ましい。
本発明に係る弱酸性低粘度乳性飲料は、pH4.6から5.4の範囲のものである。なお、本発明に係る弱酸性低粘度乳性飲料は、乳タンパク質を固形分濃度(すなわち、無脂乳固形分濃度)換算で0.1〜8重量%以上含有し、20mPa・s以下の低粘度に仕上げたものであることが好ましい。乳性飲料のpHや粘度や乳タンパク質濃度がそれぞれ上記の範囲であると、ほどよい酸味と共に乳タンパク質の旨味が感じられ、あっさりとして飲みやすい状態となる。
本発明において使用するペクチンは、低メトキシルペクチン(LMペクチン)でも高メトキシルペクチン(HMペクチン)でも、どちらでも差し支えないが、高メトキシルペクチンを用いる方が、より低粘度の乳性飲料とすることができるので好ましい。
本発明において使用するアラビアガムは、特に限定はない。食品添加用として市販されているものを使用することでよい。
本発明において使用するクエン酸塩は、特に限定はないが、クエン酸ナトリウムであることが好ましい。クエン酸ナトリウムは、食品添加用として市販されているものを使用することでよい。
本発明において「乳性飲料」とは、乳成分を含有する飲料のことであり、「乳飲料」を含む。なお、「乳飲料」とは、食品衛生法によって、無脂乳固形分が3.0%以上で、乳成分を主原料とする飲料として定められている。
また、本発明の説明において、「%」の表示は、特に断らない限り、重量%である。
また、本発明の説明において、「%」の表示は、特に断らない限り、重量%である。
本発明の説明において、弱酸性低粘度乳性飲料が「安定である」ないし「安定な状態」であるというのは、タンパク質の凝集も沈殿も生じておらず、液にざらつきが生じていない状態のことをいう。したがって、「保存安定性が高い」とか「安定性が損なわれない」という意味は、保存中にタンパク質の凝集も沈殿も生じることがなく、液にざらつきが生じていないことを示す。また、「不安定である」ないし「不安定な性状」であるというのは、タンパク質の凝集ないし沈殿が少なくとも部分的に生じている状態をいう。タンパク質が凝集すると、タンパク質粒子どうしが集まってくるので、製品にざらつきが生じ、細かい粒子が目視によって確認できる状態となる。すなわち、「タンパク質の安定性が損なわれる」と、時間の経過に伴い、凝集物は大きくなり、白い粒子状のものが集合した層と透明な液体の層とに分離する。小さい粒子の凝集でも、白濁の濃い層と薄い層に分離することがある。凝集の結果、タンパク質の粒度が液の粘度や浮力を越える大きさになったとき、容器の底に沈殿を生ずる。なお、凝集の状態を目視で確認できない場合は、レーザー回析法によって粒度を測定することにより確認できる。
以下、試験例をもって本発明をさらに説明する。
以下、試験例をもって本発明をさらに説明する。
<安定剤の組み合わせによる保存安定性の確認試験>
(1)試験方法
表1に示す8通りの安定剤(ペクチン、アラビアガム、クエン酸ナトリウム又はこれらを組み合わせたもの)をそれぞれ水に混合攪拌し、加熱処理して完全に溶解させる。この8種類の安定剤溶液をそれぞれ30℃まで冷却し、牛乳を無脂乳固形分が1%になるように混合する。その後、クエン酸20%溶液を混合してpH5.0に調整し、それぞれ、90℃達温後5分保持の条件で殺菌をおこなう。10℃で一晩保存した後、それぞれの性状を観察して安定性の評価をおこなった。その結果を表1に示す。なお、ペクチンはHMペクチンを用い、アラビアガムは市販品を使用した。
(1)試験方法
表1に示す8通りの安定剤(ペクチン、アラビアガム、クエン酸ナトリウム又はこれらを組み合わせたもの)をそれぞれ水に混合攪拌し、加熱処理して完全に溶解させる。この8種類の安定剤溶液をそれぞれ30℃まで冷却し、牛乳を無脂乳固形分が1%になるように混合する。その後、クエン酸20%溶液を混合してpH5.0に調整し、それぞれ、90℃達温後5分保持の条件で殺菌をおこなう。10℃で一晩保存した後、それぞれの性状を観察して安定性の評価をおこなった。その結果を表1に示す。なお、ペクチンはHMペクチンを用い、アラビアガムは市販品を使用した。
(2)試験結果
(注)表1において、「×」は安定剤無添加を、「○」は安定剤を添加したことを示す。例えば、C1は、ペクチンとアラビアガムを全量に対してそれぞれ0.5%になるように添加混合したことを示す。
また、AからC3までは、凝集しているか、不安定な状態であるため粘度は測定できなかった。なお、Dの粘度は、4.66mPa・sであった。
また、AからC3までは、凝集しているか、不安定な状態であるため粘度は測定できなかった。なお、Dの粘度は、4.66mPa・sであった。
(3)所見
表1から、弱酸性乳性飲料については、ペクチン、アラビアガム及びクエン酸塩を、それぞれ単体又は2種混合して添加するのでは安定性が得られないが、これら3種を混合して添加することによって、安定な弱酸性乳性飲料が得られることが確認された。
表1から、弱酸性乳性飲料については、ペクチン、アラビアガム及びクエン酸塩を、それぞれ単体又は2種混合して添加するのでは安定性が得られないが、これら3種を混合して添加することによって、安定な弱酸性乳性飲料が得られることが確認された。
<弱酸性域での保存安定性の確認試験>
(1)試験方法
安定剤としてペクチン0.5%、アラビアガム0.5%、クエン酸ナトリウム0.5%を秤量して水に混合攪拌し、加熱処理して完全に溶解させる。この安定剤溶液を30℃まで冷却し、牛乳を無脂乳固形分が1%になるように混合する。その後、クエン酸20%溶液を添加して、表2に示す12通りのpHに調整し、それぞれ、90℃達温後5分保持の条件で殺菌をおこなう。10℃で一晩保存した後、それぞれの性状を観察して安定性の評価をおこなった。その結果を表2に示す。ペクチンはHMペクチンを用い、アラビアガムは市販品を使用した。
(1)試験方法
安定剤としてペクチン0.5%、アラビアガム0.5%、クエン酸ナトリウム0.5%を秤量して水に混合攪拌し、加熱処理して完全に溶解させる。この安定剤溶液を30℃まで冷却し、牛乳を無脂乳固形分が1%になるように混合する。その後、クエン酸20%溶液を添加して、表2に示す12通りのpHに調整し、それぞれ、90℃達温後5分保持の条件で殺菌をおこなう。10℃で一晩保存した後、それぞれの性状を観察して安定性の評価をおこなった。その結果を表2に示す。ペクチンはHMペクチンを用い、アラビアガムは市販品を使用した。
(2)試験結果
(注)表2において、「×」は不安定な性状を、「△」はやや不安定な性状を、「○」は 安定な性状であることを示す。(これらの記号の意味は、以下の試験例及び実施例においても同様である。)
なお、本試験例で評価「×」のものは、凝集しているため、粘度を測定きなかった。
なお、本試験例で評価「×」のものは、凝集しているため、粘度を測定きなかった。
(3)所見
表2から、本発明の弱酸性低粘度乳性飲料は、pH4.2以上で安定化することが確認された。一般に、安定剤としてペクチン単体を使用するときは、乳性飲料のpHが4.6以上になると不安定になるが、ペクチンにアラビアガムとクエン酸塩を併用することによって、pH4.6以上でも安定化することが確認された。
表2から、本発明の弱酸性低粘度乳性飲料は、pH4.2以上で安定化することが確認された。一般に、安定剤としてペクチン単体を使用するときは、乳性飲料のpHが4.6以上になると不安定になるが、ペクチンにアラビアガムとクエン酸塩を併用することによって、pH4.6以上でも安定化することが確認された。
<クエン酸塩による保存安定性の確認試験>
(1)試験方法
ペクチン0.5%とアラビアガム0.5%を秤量し、これに表3に示す7種類の塩をいずれも0.05%宛秤量してそれぞれ添加した7種類の安定剤を、それぞれ水に混合攪拌し、加熱処理して完全に溶解させる。この7種類の安定剤溶液をそれぞれ30℃まで冷却し、牛乳を無脂乳固形分が1%になるように混合する。その後、クエン酸20%溶液を混合してpH5.0に調整し、それぞれ、90℃達温後5分保持の条件で殺菌をおこない、7種類の弱酸性ミルク飲料を作った。10℃で一晩保存した後、それぞれの性状を観察すると共に味見をして安定性と風味の評価をおこなった。その結果を表3に示す。なお、ペクチンはHMペクチンを用い、アラビアガムは市販品を使用した。
(1)試験方法
ペクチン0.5%とアラビアガム0.5%を秤量し、これに表3に示す7種類の塩をいずれも0.05%宛秤量してそれぞれ添加した7種類の安定剤を、それぞれ水に混合攪拌し、加熱処理して完全に溶解させる。この7種類の安定剤溶液をそれぞれ30℃まで冷却し、牛乳を無脂乳固形分が1%になるように混合する。その後、クエン酸20%溶液を混合してpH5.0に調整し、それぞれ、90℃達温後5分保持の条件で殺菌をおこない、7種類の弱酸性ミルク飲料を作った。10℃で一晩保存した後、それぞれの性状を観察すると共に味見をして安定性と風味の評価をおこなった。その結果を表3に示す。なお、ペクチンはHMペクチンを用い、アラビアガムは市販品を使用した。
(3)所見
表3から、リン酸塩とクエン酸塩のどちらも、弱酸性乳性飲料を安定化できることが確認された。しかし、リン酸塩は、風味の点で劣るので好ましくないことが判明した。すなわち、クエン酸塩では、クエン酸ナトリウムとクエン酸カリウムのどちらでも、安定化に有用であること、クエン酸ナトリウム・クエン酸カリウムとも、安定性も風味の点も問題がなく、よって、クエン酸塩の使用が最も好ましいことが確認された。
表3から、リン酸塩とクエン酸塩のどちらも、弱酸性乳性飲料を安定化できることが確認された。しかし、リン酸塩は、風味の点で劣るので好ましくないことが判明した。すなわち、クエン酸塩では、クエン酸ナトリウムとクエン酸カリウムのどちらでも、安定化に有用であること、クエン酸ナトリウム・クエン酸カリウムとも、安定性も風味の点も問題がなく、よって、クエン酸塩の使用が最も好ましいことが確認された。
<長期保存後の安定性確認試験>
(1)試験方法
試験例3で試作した7種類の弱酸性ミルク飲料を、それぞれ目盛り付きの試験管に秤取し、10℃の冷蔵庫に静置保存して、定期的に試験管底の沈殿量の高さを目視にて測定した。その結果を表4に示す。
(1)試験方法
試験例3で試作した7種類の弱酸性ミルク飲料を、それぞれ目盛り付きの試験管に秤取し、10℃の冷蔵庫に静置保存して、定期的に試験管底の沈殿量の高さを目視にて測定した。その結果を表4に示す。
(3)所見
クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムをそれぞれ添加した試料については、3箇月間保存してもほとんど沈殿が見られなかった。よって、これら4種の塩をそれぞれ添加した弱酸性低粘度乳性飲料は、3箇月以降保存を続けても、沈殿量が急激に増加しないものと認められる。
しかし、結局、飲料としての風味の点から、本発明では、クエン酸塩を採択することにした。
以下、実施例をもって本発明をさらに説明する。
クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムをそれぞれ添加した試料については、3箇月間保存してもほとんど沈殿が見られなかった。よって、これら4種の塩をそれぞれ添加した弱酸性低粘度乳性飲料は、3箇月以降保存を続けても、沈殿量が急激に増加しないものと認められる。
しかし、結局、飲料としての風味の点から、本発明では、クエン酸塩を採択することにした。
以下、実施例をもって本発明をさらに説明する。
<果汁入りミルク飲料の製造例>
(1)原料の配合割合
(2)製法
イ.清水に、所定量のHMペクチン、アラビアガム、クエン酸ナトリウムを秤取して混合 攪拌し、加熱溶解させた後、30℃に冷却する。
ロ.この安定剤溶液の中に、所定量の牛乳を少しづつ添加して攪拌混合する。
ハ.この混合液に、ピーチ果汁(又はバナナ果汁)を添加し、クエン酸20%溶液を加え てpHを5.0に調整する。
ニ.次いで60℃まで加温し、高圧ホモミキサー(APV社製:150kg/cm3)に かけて均質化する。
ホ.均質化したものを、90℃で5分間保持して殺菌した後、冷却してピーチ果汁入りミ ルク飲料(ピーチミルク)又はバナナ果汁入りミルク飲料(バナナミルク)として製了 する。でき上がった果汁入りミルク飲料は、以下の性状のものであった。
pH 乳タンパク質固形分含量
ピーチミルク 5.0 1%
バナナミルク 5.0 1%
(3)安定性試験
できあがったピーチミルクとバナナミルクを、それぞれ目盛り付き試験管に入れ、10℃で静置保存し、目視にて沈殿量の高さ(cm)を確認した。表5にその結果を示す。
(1)原料の配合割合
イ.清水に、所定量のHMペクチン、アラビアガム、クエン酸ナトリウムを秤取して混合 攪拌し、加熱溶解させた後、30℃に冷却する。
ロ.この安定剤溶液の中に、所定量の牛乳を少しづつ添加して攪拌混合する。
ハ.この混合液に、ピーチ果汁(又はバナナ果汁)を添加し、クエン酸20%溶液を加え てpHを5.0に調整する。
ニ.次いで60℃まで加温し、高圧ホモミキサー(APV社製:150kg/cm3)に かけて均質化する。
ホ.均質化したものを、90℃で5分間保持して殺菌した後、冷却してピーチ果汁入りミ ルク飲料(ピーチミルク)又はバナナ果汁入りミルク飲料(バナナミルク)として製了 する。でき上がった果汁入りミルク飲料は、以下の性状のものであった。
pH 乳タンパク質固形分含量
ピーチミルク 5.0 1%
バナナミルク 5.0 1%
(3)安定性試験
できあがったピーチミルクとバナナミルクを、それぞれ目盛り付き試験管に入れ、10℃で静置保存し、目視にて沈殿量の高さ(cm)を確認した。表5にその結果を示す。
<ヨーグルトドリンクの製造例>
(1)原料の配合割合
(2)製法
イ.清水に、所定量のHMペクチン、アラビアガム、クエン酸ナトリウムを秤取して混合 攪拌し、加熱溶解させた後、30℃に冷却する。
ロ.この安定剤溶液の中に、所定量のヨーグルトを添加して攪拌混合する。
ハ.この混合液に、クエン酸20%溶液を加えてpHを5.0に調整する。
ニ.次いで60℃まで加温し、高圧ホモミキサー(APV社製:150kg/cm3)に かけて均質化する。
ホ.均質化したものを、90℃で5分間保持して殺菌した後、冷却してヨーグルトドリン クとして製了する。でき上がったヨーグルトドリンクの性状は、pH5.0で乳タンパ ク質固形分含量は3%のものであった。
(3)安定性試験
できあがったヨーグルトドリンクを、目盛り付き試験管に入れ、10℃で静置保存し、目視にて沈殿量の高さ(cm)を確認した。表6にその結果を示す。
(1)原料の配合割合
イ.清水に、所定量のHMペクチン、アラビアガム、クエン酸ナトリウムを秤取して混合 攪拌し、加熱溶解させた後、30℃に冷却する。
ロ.この安定剤溶液の中に、所定量のヨーグルトを添加して攪拌混合する。
ハ.この混合液に、クエン酸20%溶液を加えてpHを5.0に調整する。
ニ.次いで60℃まで加温し、高圧ホモミキサー(APV社製:150kg/cm3)に かけて均質化する。
ホ.均質化したものを、90℃で5分間保持して殺菌した後、冷却してヨーグルトドリン クとして製了する。でき上がったヨーグルトドリンクの性状は、pH5.0で乳タンパ ク質固形分含量は3%のものであった。
(3)安定性試験
できあがったヨーグルトドリンクを、目盛り付き試験管に入れ、10℃で静置保存し、目視にて沈殿量の高さ(cm)を確認した。表6にその結果を示す。
以上、詳しく説明したとおり、本発明によって、加熱安定性と保存安定性とを備えた弱酸性低粘度乳性飲料の量産が初めて可能となる。すなわち、本発明によって、風味良好であり、保存安定性の高い果汁入りミルク飲料やヨーグルトドリンクなどの商品化が初めて可能となる。
Claims (7)
- 安定剤としてペクチンとアラビアガムとクエン酸塩を併用してあり、保存安定性が高い弱酸性低粘度乳性飲料。
- 安定剤としてペクチン0.01〜1重量%とアラビアガム0.05〜3重量%とクエン酸塩0.01〜1重量%を併用してあり、保存安定性が高い弱酸性低粘度乳性飲料。
- pHが4.6〜5.4である請求項1又は2に記載の弱酸性低粘度乳性飲料。
- 粘度が20mPa・s以下である請求項1から3のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料。
- 乳タンパク質の固形分濃度が0.1〜8重量%である請求項1から4のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料。
- クエン酸塩として、クエン酸ナトリウムを用いる請求項1から5のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料。
- 加熱殺菌してあり、タンパク質の凝集が生じていない請求項1から6のいずれかに記載の弱酸性低粘度乳性飲料。
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2003
- 2003-12-25 JP JP2003428700A patent/JP2005185132A/ja not_active Withdrawn
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