JP2005185083A - 電動機、これに用いられる弾性部材、および電動機の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 弾性部材50はそれぞれ二つの挿入部51を有している。各挿入部51は、四つのマグネット40が形成する四つの隙間41に挿入される。挿入部51は、隙間41に挿入されることにより弾性変形し、四つのマグネット40がそれぞれ周方向へ離れる方向へ力を加える。これにより、四つのマグネット40は二つの弾性部材50によってハウジング11の内壁11aに押し付けられる。その結果、マグネット40は、弾性部材50により周方向だけでなく軸方向への移動も規制される。したがって、部品点数の増大を招くことなく簡単な構造でマグネット40をハウジング11に保持することができる。
【選択図】 図1
Description
そこで、本発明の目的は、部品点数の増大を招くことなく、簡単な構造でマグネットをハウジングに保持することにある。
また、本発明の他の目的は、弾性部材を確実にマグネットの間に形成される隙間に圧入する電動機製造装置を提供することにある。
請求項5記載の発明では、接続部は径方向においてマグネットの内側の端面よりも外側に位置する。そのため、マグネットとともに弾性部材をハウジングに設置したとき、弾性部材の接続部はマグネットの内周側には突出しない。したがって、例えば固定子であるマグネットの内周側に電機子などの可動子を設置するとき、弾性部材が可動子の作動を阻害することはない。
請求項7記載の発明では、溝部において弾性部材とマグネットとが接する接点はマグネットの周方向の端面よりも内側すなわち周方向の他端側に位置する。これにより、弾性部材はマグネットによって位置が決められる。また、溝部に収容された弾性部材は移動が規制される。したがって、マグネットおよび弾性部材の位置ずれを防止することができる。
請求項14記載の発明では、ガイド部材はマグネット支持部側の端部に傾斜面を有している。傾斜面は、マグネット支持部側から遠ざかるにつれて内径が縮小している。これにより、弾性部材は傾斜面に案内されて径方向外側への傾斜が規制される。したがって、弾性部材を確実にマグネットの間に形成される隙間に圧入することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による電動機(以下、電動機を「モータ」という。)を適用した燃料ポンプを図2に示す。燃料ポンプ10は、例えば車両などの図示しない燃料タンクの内部に設置されるインタンク式ポンプである。燃料ポンプ10は、吸入した燃料を加圧するポンプ部20と、ポンプ部を駆動するモータ部30とを備えている。ポンプ部20は、カバー21、ケーシング22および回転部材としてのインペラ23を有している。モータ部30は、直流モータを構成しており、固定子としてのマグネット40、ならびに可動子としての電機子31および整流子32を有している。
整流子32は、図2に示すように電機子31のインペラ23と反対側に組み付けられている。軸方向において電機子31の整流子32と反対側の軸方向の端部をカバー33が覆っている。電機子31の回転軸としてのシャフト12は、ケーシング22に支持されている軸受部材25とポンプカバー13に支持されている軸受部材16とにより軸受けされている。
整流子32は一体に形成されたカセット式である。整流子32は回転方向に設置された複数のセグメントを有している。本実施形態の場合、整流子32は六つの磁極コイル部35に対応して六つのセグメントを有している。周方向において隣接しているセグメント同士は電気的に絶縁されている。電機子31に回転によって各セグメントは順次ブラシ71と接触する。
マグネット40は、図1、図3および図4に示すように弾性部材50によりハウジング11に保持されている。弾性部材50は、図6および図7に示すようにハウジング11およびマグネット40の軸方向に伸びる二本の挿入部51、および二本の挿入部51を接続する接続部52を有している。弾性部材50は、針金状の一本の部材を折り曲げて略コの字形状に形成されている。
電動機製造装置60は、図8に示すようにマグネット支持部90を有する本体部61と、ガイド部材62と、圧入部材63とを備えている。本体部61のガイド部材62側には、マグネット支持部90が設置されている。マグネット支持部90は、図9に示すように略円環状の空間を形成する外側部材91および内側部材92を有している。外側部材91の内周壁と内側部材92の外周壁との間にはマグネット40を収容する収容空間部93が形成される。収容空間部93には、図10に示すように周方向へ4つに分割されたマグネット40が設置される。各マグネット40は周方向に所定の間隔で設置され、各マグネット40の周方向の両端部の間には弾性部材50の挿入部51が挿入される隙間94が形成される。隙間94に対応する位置において、外側部材91から突起911が突出し、内側部材92から突起921が突出している。これにより、収容空間部93にマグネット40を設置したとき、マグネット40の周方向の移動は突起911および突起921により規制される。
電動機製造装置60によって弾性部材50を圧入する場合、まずマグネット支持部90にマグネット40が設置される。マグネット40は、図10に示すようにマグネット支持部90の外側部材91と内側部材92との間に形成される収容空間部93に設置される。収容空間部93は、マグネット40よりもわずかに大きい。そのため、マグネット40は、傾斜することなく収容空間部93に整列して設置される。マグネット40が収容空間部93に設置されると、弾性部材50の挿入部51がマグネット40の周方向の端部間に形成される隙間94に挿入される。隙間94は挿入部51よりも大きいため、弾性部材50の挿入部51は隙間94に容易に挿入される。一方、弾性部材50は湾曲部53を有している。湾曲部53は隙間94からマグネット40側へ突出しているため、マグネット40と湾曲部53とが接することにより、弾性部材50のマグネット支持部90側への移動は規制される。すなわち、弾性部材50を各マグネット40の間に設置するためには、湾曲部53がマグネット40と接することにより移動が規制されている弾性部材50を下方へ圧入する必要がある。
弾性部材50がマグネット40の間に圧入されると、組み付けられた弾性部材50およびマグネット40は形状を保持したままハウジング11の内側に設置される。マグネット40は弾性部材50により周方向へ押し付けられている。そのため、マグネット40はハウジング11の内壁に押し付けられる。
上述した本発明の第1実施形態の変形例として、第2実施形態および第3実施形態について説明する。なお、上述の第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態または第3実施形態のマグネット40の溝部の形状は第1実施形態と異なる。図13に示す第2実施形態の場合、マグネット40の周方向の端部40cに形成されている溝部81は断面が略V字形状である。また、図14に示す第3実施形態の場合、マグネット40の周方向の端部40cに形成されている溝部82は断面が矩形状である。
なお、溝部の断面形状は、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態で説明した以外の形状としてもよい。
以上説明した複数の実施形態では、本発明のモータを燃料ポンプのモータ部に適用する例について説明した。しかし、本発明のモータは燃料ポンプに限らず、種々の産業機械あるいは家庭電化製品などのモータ部として適用することができる。
さらに、本発明の複数の実施形態では、ハウジングに周方向へ四つのマグネットを配置した四極モータを例に説明した。しかし、マグネットの数は、二つ以上であればいずれであってもよい。すなわち、二極モータあるいは三極モータなど、任意に磁極の数を選択することができる。この場合、本発明を適用すると、例えば二極モータであれば、一つの弾性部材により二つのマグネットをハウジングに保持することができる。
さらに、本発明の複数の実施形態では、弾性部材が二本の挿入部を有する例について説明した。しかし、弾性部材は三本以上の挿入部を有していてもよい。
また、上記各実施形態では、四つのマグネットを周方向に離間させるにあたり、二つの弾性部材を用い、これら各弾性部材の挿入部が四つの隙間全てに挿入される実施形態について説明した。しかし、これらの形態に限らず、例えば二つの隙間に一つの弾性部材を挿入し、残り二つの隙間については、別途他の弾性部材(例えば、板バネ等)をそれぞれ挿入することにより、各マグネットを周方向に離間させても良い。
また、上記各実施形態では、弾性部材50が針金状の一本の部材を折り曲げることによって形成されている。しかし、弾性部材50の構成としては、このように一部材のみで構成されるものだけでなく、複数の部材を一体的に繋ぎ合わせて構成されたものでも良い。例えば、各挿入部51および接続部52をそれぞれ針金状の三本の部材で形成し、これらを溶接等により一体的に構成しても良い。
Claims (16)
- 筒状のハウジングと、
前記ハウジングの内壁に沿って、前記ハウジングの周方向において少なくとも二つ形成される隙間を挟んで少なくとも二つ設置されているマグネットと、
一体で少なくとも二か所の前記隙間に挿入され、隣り合う前記マグネットにそれぞれ周方向において離れる方向の力を加える弾性部材と、
を備えることを特徴とする電動機。 - 前記弾性部材は、前記ハウジングの軸方向に伸び前記隙間に挿入される少なくとも二つの挿入部を有することを特徴とする請求項1記載の電動機。
- 前記弾性部材は、前記ハウジングの周方向に伸び前記挿入部を接続する接続部を有することを特徴とする請求項2記載の電動機。
- 前記弾性部材は、略コの字形状であることを特徴とする請求項3記載の電動機。
- 前記接続部は、径方向において前記マグネットの内側の端面よりも外側に位置することを特徴とする請求項3または4記載の電動機。
- 前記マグネットは、周方向の両端部に軸方向へ伸びる溝部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の電動機。
- 前記溝部は前記隙間に挿入される前記弾性部材を収容し、前記溝部において前記弾性部材と前記マグネットとが接する接点は前記マグネットの周方向の端面よりも内側に位置することを特徴とする請求項6記載の電動機。
- 前記弾性部材は、針金状であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の電動機。
- 筒状のハウジングの内壁に沿って、前記ハウジングの周方向において少なくとも二つ形成される隙間を挟んで少なくとも二つ設置されているマグネットを前記ハウジングに保持し、一体で前記ハウジングの周方向において前記マグネットの間に形成される少なくとも二つの前記隙間に挿入され、隣り合う前記マグネットにそれぞれ周方向において離れる方向の力を加える弾性部材であって、
前記マグネットの軸方向に伸び前記隙間に挿入される少なくとも二つの挿入部を備えることを特徴とする弾性部材。 - 前記マグネットの周方向に伸び前記挿入部を接続する接続部を備えることを特徴とする請求項9記載の弾性部材。
- 筒状のハウジングの内壁に沿って、前記ハウジングの周方向において少なくとも二つ形成される隙間を挟んで少なくとも二つ設置されているマグネットと、
一体で少なくとも二か所の前記隙間に挿入され、隣り合う前記マグネットに周方向において離れる方向の力を加える弾性部材と、
を備えることを特徴とする電動機のマグネット固定構造。 - 円環状に少なくとも二つ設置されているマグネットの間に形成される少なくとも二つの隙間に、隣り合う前記マグネットにそれぞれ周方向において離れる方向の力を加える針金状の弾性部材を圧入する電動機の製造装置であって、
前記マグネットを円環状に支持し、前記マグネットの間に前記弾性部材の挿入部を挿入可能な空間を形成するマグネット支持部と、
前記弾性部材の前記挿入部とは反対側の端部を前記マグネット支持部の径方向において外側から覆い、前記隙間に圧入される前記弾性部材が径方向外側へ傾斜するのを規制する筒状のガイド部材と、
前記ガイド部材の内周側に前記ガイド部材と軸方向へ相対移動可能に設置され、前記弾性部材を前記マグネット支持部方向へ押し付けて前記隙間に圧入する圧入部材と、
を備えることを特徴とする電動機の製造装置。 - 前記ガイド部材は、内側に径方向外側へ窪んでいる溝部を有し、
前記圧入部材は、外側に径方向外側へ突出し前記溝部と噛み合って前記ガイド部材との軸方向への相対移動を案内する突出部を有することを特徴とする請求項12記載の電動機の製造装置。 - 前記ガイド部材は、前記マグネット支持部側の端部の内壁に前記マグネット支持部側から遠ざかるにつれて内径が縮小する傾斜面を有することを特徴とする請求項12または13記載の電動機の製造装置。
- 前記圧入部材は、径方向外側の端部に前記マグネット支持部側へ突出するリブを有することを特徴とする請求項12、13または14記載の電動機の製造装置。
- 円環状に少なくとも二つ設置されているマグネットの間に形成される少なくとも二つの隙間に、隣り合う前記マグネットにそれぞれ周方向において離れる方向の力を加える針金状の弾性部材を圧入する電動機の製造方法であって、
前記マグネットを円環状に支持し、前記円環状に支持されている前記マグネットの周方向の端部間に前記弾性部材の挿入部を挿入する段階と、
前記弾性部材の前記挿入部とは反対側の端部を円環状に支持されている前記マグネットの径方向において外側から覆う段階と、
前記弾性部材の前記挿入部とは反対側の端部を覆うことにより前記弾性部材の径方向外側への傾斜を規制しながら、前記弾性部材を前記マグネットの間に圧入する段階と、
を含むことを特徴とする電動機の製造方法。
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