JP2005185083A - 電動機、これに用いられる弾性部材、および電動機の製造装置 - Google Patents

電動機、これに用いられる弾性部材、および電動機の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 部品点数の増大を招くことなく、簡単な構造でハウジングのマグネットを保持する電動機を提供する。
【解決手段】 弾性部材50はそれぞれ二つの挿入部51を有している。各挿入部51は、四つのマグネット40が形成する四つの隙間41に挿入される。挿入部51は、隙間41に挿入されることにより弾性変形し、四つのマグネット40がそれぞれ周方向へ離れる方向へ力を加える。これにより、四つのマグネット40は二つの弾性部材50によってハウジング11の内壁11aに押し付けられる。その結果、マグネット40は、弾性部材50により周方向だけでなく軸方向への移動も規制される。したがって、部品点数の増大を招くことなく簡単な構造でマグネット40をハウジング11に保持することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電動機、これに用いられる弾性部材、および電動機の製造装置に関する。
従来、電動機においては、ハウジング内壁に複数のマグネットを配置するにあたり、各マグネットを周方向に離間させるため、各マグネット間の隙間にばね片や非磁性体のストッパーを挿入し、マグネットをハウジングに保持することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特公平8−9995号公報
しかしながら、上記従来技術では、複数のマグネットを周方向に離間させるために、複数の規制部材(特許文献1では、ばね片とストッパー)が必要となる。そのため、部品点数の増大および構造の複雑化を招くという問題がある。
そこで、本発明の目的は、部品点数の増大を招くことなく、簡単な構造でマグネットをハウジングに保持することにある。
また、本発明の他の目的は、弾性部材を確実にマグネットの間に形成される隙間に圧入する電動機製造装置を提供することにある。
請求項1から11のいずれか記載の発明では、一体で少なくとも二か所の隙間に挿入され、隣り合うマグネットにそれぞれ周方向において離れる方向の力を加える弾性部材を備えることを特徴としている。なお、本発明において、弾性部材の「一体」という用語については、一部材のみで構成されたものだけでなく、複数の部材を一体的に繋ぎ合わせたものをも含むものとする。これにより、部品点数の増大を招くことなく、簡単な構造でマグネットをハウジングに保持することができる。
また、請求項4記載の発明では、弾性部材は略コの字形状である。そのため、隙間に挿入される挿入部と、挿入部を接続する接続部を一体に成形することができる。したがって、部品点数の増加を招くことはない。
請求項5記載の発明では、接続部は径方向においてマグネットの内側の端面よりも外側に位置する。そのため、マグネットとともに弾性部材をハウジングに設置したとき、弾性部材の接続部はマグネットの内周側には突出しない。したがって、例えば固定子であるマグネットの内周側に電機子などの可動子を設置するとき、弾性部材が可動子の作動を阻害することはない。
請求項6記載の発明では、マグネットは周方向の両端部に軸方向へ伸びる溝部を有している。これにより、マグネットが形成する隙間に挿入された弾性部材はマグネットの溝部によって位置が決められる。したがって、マグネットおよび弾性部材の位置ずれを防止することができる。
請求項7記載の発明では、溝部において弾性部材とマグネットとが接する接点はマグネットの周方向の端面よりも内側すなわち周方向の他端側に位置する。これにより、弾性部材はマグネットによって位置が決められる。また、溝部に収容された弾性部材は移動が規制される。したがって、マグネットおよび弾性部材の位置ずれを防止することができる。
ところで、マグネット内周側のスペースを大きくするためにマグネットを薄くすると、磁力の低下を避けるためにマグネットの周方向長さを長くする必要がある。この場合、マグネットの間に形成される隙間は小さくなる。これに対して請求項8記載の発明では、針金状の弾性部材を用いることにより、マグネット間の隙間が小さくても弾性部材は隙間へ容易に挿入することができる。
弾性部材によりマグネットを保持する場合、弾性部材はマグネットの間に形成される隙間に設置される。隙間に弾性部材を設置するとき、弾性部材には荷重が加えられる。弾性部材を針金状に形成する場合、弾性部材は加わった荷重によりマグネットの径方向外側へ傾斜したり、折れ曲がったりしやすい。そのため、弾性部材に荷重を加える部材から弾性部材が外れ、隙間への弾性部材の設置が妨げられるという問題がある。そこで、請求項12記載の発明では、弾性部材を径方向外側から覆うガイド部材を備えている。ガイド部材が弾性部材の径方向外側への傾斜を規制するとともに、圧入部材が弾性部材を隙間に圧入する。これにより、弾性部材は、径方向外側への傾斜が規制される。したがって、弾性部材を確実にマグネットの間に形成される隙間に圧入することができる。
請求項13記載の発明では、ガイド部材の溝部と圧入部材の突出部とは噛み合って軸方向の相対移動する。ガイド部材と圧入部材との傾斜および周方向への相対的な回転が防止される。これにより、弾性部材の傾斜に関係なく圧入部材は弾性部材を隙間に圧入する。したがって、弾性部材を確実にマグネットの間に形成される隙間に圧入することができる。
請求項14記載の発明では、ガイド部材はマグネット支持部側の端部に傾斜面を有している。傾斜面は、マグネット支持部側から遠ざかるにつれて内径が縮小している。これにより、弾性部材は傾斜面に案内されて径方向外側への傾斜が規制される。したがって、弾性部材を確実にマグネットの間に形成される隙間に圧入することができる。
請求項15記載の発明では、圧入部材はリブを有している。リブは、圧入部材の径方向外側の端部においてマグネット支持部側へ突出している。そのため、ガイド部材で径方向外側への傾斜が規制された弾性部材は、圧入部材で隙間に圧入されるとともに、最終的には圧入部材のリブによって径方向外側への傾斜が規制される。これにより、弾性部材は、圧入の最終段階まで径方向外側への傾斜が規制される。したがって、弾性部材を確実にマグネットの間に形成される隙間に圧入することができる。
請求項16記載の発明では、マグネットは円環状に支持される。そして、円環状に支持されているマグネットの周方向の両端部間に、弾性部材の挿入部が挿入される。これにより、弾性部材は仮取り付けされる。マグネットの間に弾性部材の挿入部が挿入されると、弾性部材の挿入部とは反対側の端部は円環状のマグネットの径方向外側から覆われる。弾性部材は、外側が覆われた状態でマグネットの間に圧入される。弾性部材は、針金状であるため、マグネット方向へ力を加えると、外側へ傾斜したり折れ曲がったりしやすい。弾性部材の径方向外側を覆うことにより、外側への傾斜および折れ曲がりが低減される。これにより、圧入時に弾性部材が傾斜したり折れ曲がることはない。したがって、弾性部材は、挿入部から挿入部とは反対側の端部まで折れ曲がることなくマグネットの間に確実に圧入することができる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による電動機(以下、電動機を「モータ」という。)を適用した燃料ポンプを図2に示す。燃料ポンプ10は、例えば車両などの図示しない燃料タンクの内部に設置されるインタンク式ポンプである。燃料ポンプ10は、吸入した燃料を加圧するポンプ部20と、ポンプ部を駆動するモータ部30とを備えている。ポンプ部20は、カバー21、ケーシング22および回転部材としてのインペラ23を有している。モータ部30は、直流モータを構成しており、固定子としてのマグネット40、ならびに可動子としての電機子31および整流子32を有している。
燃料ポンプ10のハウジング11は、シャフト12の両端側に設置されているカバー21およびポンプカバー13をかしめ固定している。ケーシング22は、カバー21とハウジング11との間に挟み込まれている。カバー21とケーシング22との間には、略C字形状のポンプ流路24が形成されている。カバー21およびケーシング22は、インペラ23を回転可能に収容しているケース部材である。ケーシング22は、内周側で軸受部材25を支持している。
円板状に形成されたインペラ23の外周縁部には多数の羽根溝が形成されている。インペラ23が電機子31の回転によりシャフト12とともに回転すると、インペラ23の羽根溝の前後で流体摩擦力により圧力差が生じる。これを多数の羽根溝で繰り返すことによりポンプ流路24の燃料は加圧される。インペラ23の回転によりカバー21に形成された燃料吸入口26からポンプ流路24に吸入された燃料タンクの内部の燃料は、ケーシング22から電機子31の整流子32と反対側の端部に設置されたカバー33側に排出される。さらに、燃料は、電機子31の外周を経由して整流子32側に流れ、シャフト12の周囲においてポンプカバー13に形成されている連通路14から燃料吐出口15を通り吐出される。燃料吐出口15から吐出された燃料は、図示しないエンジンへ供給される。
ポンプカバー13は、樹脂製であり、モータ部30の整流子32側を覆っている。燃料吐出口15はシャフト12の軸上でポンプカバー13のほぼ中央部に形成されている。図3に示すように、ポンプカバー13の整流子32側には、ブラシ71、ブラシ71を整流子32に押し付けるスプリング72、端子73とブラシ71とを電気的に接続するプレート74などのポンプ構成部品が設置されている。
整流子32は、図2に示すように電機子31のインペラ23と反対側に組み付けられている。軸方向において電機子31の整流子32と反対側の軸方向の端部をカバー33が覆っている。電機子31の回転軸としてのシャフト12は、ケーシング22に支持されている軸受部材25とポンプカバー13に支持されている軸受部材16とにより軸受けされている。
電機子31は、回転中央部に中央コア34を有している。シャフト12は中央コア34に圧入されている。周方向に複数に分割された磁極コイル部35は、中央コア34の外周に設置され、中央コア34と結合している。各磁極コイル部35は、コイルコア36、ボビン37、およびボビン37に巻き線を集中巻きして形成されているコイル38を有している。本実施形態の場合、磁極コイル部35は中央コア34の周方向へ六つ設置されており、各磁極コイル部35は同一構成である。
各コイル38の整流子32側の端部は端子39と電気的に接続している。端子39は電機子31の外周面よりも内側に位置しているので、端子39が電機子31の外周における燃料の流れを阻害することはない。端子39は整流子32と電気的に接続している。コイル38の整流子32と反対側であるインペラ23側の端部は端子27と電気的に接続している。
整流子32は一体に形成されたカセット式である。整流子32は回転方向に設置された複数のセグメントを有している。本実施形態の場合、整流子32は六つの磁極コイル部35に対応して六つのセグメントを有している。周方向において隣接しているセグメント同士は電気的に絶縁されている。電機子31に回転によって各セグメントは順次ブラシ71と接触する。
マグネット40は、周方向に概ね四等分されており、図1から図4に示すようにハウジング11の内壁11aに沿って設置されている。マグネット40は、周方向の両端部に異なる磁極を有している。四つのマグネット40は、図1および図4に示すように周方向において隣り合うマグネット40との間に四つの隙間41を形成している。マグネット40は、図1、図5および図6に示すように周方向の両端部に他方の端部側に窪んでいる溝部42を有している。溝部42は、図5に示すように断面が略円弧状である。
マグネット40は、図1、図3および図4に示すように弾性部材50によりハウジング11に保持されている。弾性部材50は、図6および図7に示すようにハウジング11およびマグネット40の軸方向に伸びる二本の挿入部51、および二本の挿入部51を接続する接続部52を有している。弾性部材50は、針金状の一本の部材を折り曲げて略コの字形状に形成されている。
挿入部51は、各マグネット40の間に形成される隙間41に挿入される。挿入部51は、軸方向の途中に湾曲した湾曲部53を有している。弾性部材50は弾性変形可能であり、変形することにより変形方向と逆方向へ押し付け力を生じる。接続部52は、ハウジング11の周方向へ沿って伸びており二本の挿入部51を接続している。接続部52は、マグネット40の軸方向の端部に沿った形状を有している。すなわち、接続部52は、ハウジング11の内壁11aに沿って円弧状に形成されているマグネット40に対応して円弧状に形成されている。また、マグネット40に弾性部材50を取り付けたとき、接続部52は図1に示すようにマグネット40の径方向外側の端面40aと径方向内側の端面40bとの間に位置する。これにより、接続部52は、マグネット40の径方向内側すなわち内周側に突出しない。
本実施形態のようにモータ部30が四つのマグネット40を有する場合、弾性部材50は二つ設置されている。一つの弾性部材50は二つの挿入部51を有している。そのため、四つのマグネット40が形成する四つの隙間41には、二つの弾性部材50が有している四つの挿入部51がそれぞれ挿入される。各マグネット40の間に挿入部51を挿入すると、弾性部材50の変形にともなう弾性力によって各マグネット40の間には周方向へ離れる方向の力が加えられる。すなわち、マグネット40の間に形成される隙間41に挿入部51を挿入することにより、挿入部51の湾曲部53が変形し、挿入部51は隙間41を挟んで対向するマグネット40に互いに離れる方向へ力を加える。これにより、四つのマグネット40は二つの弾性部材50により、全体として径が拡大する方向の力が加わる。その結果、四つのマグネット40は、ハウジング11の内壁11aに押し付けられ、ハウジング11に保持される。
隙間41に挿入部51を挿入したとき、挿入部51はマグネット40の溝部42に入り込む。図5に示すように、円弧状の溝部42の内径は弾性部材50の挿入部51の外径よりも大きい。そのため、挿入部51は溝部42に収容される。また、溝部42に挿入部51が収容されたとき、溝部42と挿入部51との接点55はマグネット40の周方向の端面40cよりも内側すなわち他方の端部側に位置している。これにより、ハウジング11の径方向における弾性部材50の移動は溝部42を形成するマグネット40の端部40cにより規制される。
次に、各マグネット40の間に弾性部材50を圧入する電動機製造装置60について説明する。
電動機製造装置60は、図8に示すようにマグネット支持部90を有する本体部61と、ガイド部材62と、圧入部材63とを備えている。本体部61のガイド部材62側には、マグネット支持部90が設置されている。マグネット支持部90は、図9に示すように略円環状の空間を形成する外側部材91および内側部材92を有している。外側部材91の内周壁と内側部材92の外周壁との間にはマグネット40を収容する収容空間部93が形成される。収容空間部93には、図10に示すように周方向へ4つに分割されたマグネット40が設置される。各マグネット40は周方向に所定の間隔で設置され、各マグネット40の周方向の両端部の間には弾性部材50の挿入部51が挿入される隙間94が形成される。隙間94に対応する位置において、外側部材91から突起911が突出し、内側部材92から突起921が突出している。これにより、収容空間部93にマグネット40を設置したとき、マグネット40の周方向の移動は突起911および突起921により規制される。
ガイド部材62と圧入部材63とは図11に示すように同軸上に設置されている。また、ガイド部材62および圧入部材63とマグネット支持部90とは同軸上に設置されている。ガイド部材62は圧入部材63の径方向外側を覆う略円筒状である。これにより、ガイド部材62と圧入部材63とは、軸方向へ相対的に移動可能である。ガイド部材62は、内側に径方向外側へ窪んでいる溝部621を有している。溝部621は、ガイド部材62の周方向へ均等な間隔で4つ形成されている。一方、圧入部材63は、外側に径方向外側へ突出する突出部631を有している。各突出部631は、それぞれガイド部材62の溝部621の収容される。これにより、ガイド部材62と圧入部材63とは、溝部621に突出部631が噛み合った状態で軸方向へ往復相対移動する。また、溝部621と突出部631とが噛み合うことにより、ガイド部材62と圧入部材63との周方向への相対的な回転および軸に対する傾斜が防止される。
ガイド部材62は、マグネット支持部90側の端部の内壁に傾斜面622を有している。傾斜面622は、マグネット支持部90側の端部から遠ざかるにつれてガイド部材62の内径が縮小するように径方向内側へ傾斜している。また、圧入部材63は、各突出部631のマグネット支持部90側の端部にマグネット支持部90側に突出するリブ632を有している。リブ632は、各突出部631の径方向外側の端部に設置されている。
ガイド部材62および圧入部材63は可動部64とともに軸方向すなわち図8の上下方向へ移動する。可動部64は、ガイド部材62および圧入部材63を保持する保持部材65を有している。これにより、可動部64の上下の移動にともなってガイド部材62および圧入部材63は上下に移動する。ガイド部材62は、圧入部材63と保持部材65との間において軸方向へ自由に移動可能である。また、ガイド部材62は、例えばスプリングなどの弾性部材66によってマグネット支持部90側に押し付けられている。これにより、可動部64とともにガイド部材62および圧入部材63がマグネット支持部90側へ移動すると、最初にガイド部材62がマグネット支持部90と接し、ガイド部材62の移動は規制される。さらに、可動部64がマグネット支持部90側に移動することにより、圧入部材63のみがマグネット支持部90側へ移動する。
次に、上記構成の電動機製造装置60の作動について説明する。
電動機製造装置60によって弾性部材50を圧入する場合、まずマグネット支持部90にマグネット40が設置される。マグネット40は、図10に示すようにマグネット支持部90の外側部材91と内側部材92との間に形成される収容空間部93に設置される。収容空間部93は、マグネット40よりもわずかに大きい。そのため、マグネット40は、傾斜することなく収容空間部93に整列して設置される。マグネット40が収容空間部93に設置されると、弾性部材50の挿入部51がマグネット40の周方向の端部間に形成される隙間94に挿入される。隙間94は挿入部51よりも大きいため、弾性部材50の挿入部51は隙間94に容易に挿入される。一方、弾性部材50は湾曲部53を有している。湾曲部53は隙間94からマグネット40側へ突出しているため、マグネット40と湾曲部53とが接することにより、弾性部材50のマグネット支持部90側への移動は規制される。すなわち、弾性部材50を各マグネット40の間に設置するためには、湾曲部53がマグネット40と接することにより移動が規制されている弾性部材50を下方へ圧入する必要がある。
隙間94に弾性部材50の挿入部51が挿入されると、図12(A)に示すようにガイド部材62および圧入部材63の下方にマグネット支持部90が位置する。そのため、ガイド部材62は弾性部材50の挿入部51とは反対側の端部を径方向外側から覆う。これにより、弾性部材50の挿入部51とは反対側の端部は、ガイド部材62の傾斜面622と接する。弾性部材50の挿入部51とは反対側の端部がガイド部材62の傾斜面622と接することにより、マグネット支持部90の径方向における弾性部材50の外側への傾きが防止される。また、ガイド部材62に傾斜面622を形成することにより、弾性部材50の挿入部51とは反対側の端部はガイド部材62に確実に案内される。
可動部64の移動にともなってガイド部材62および圧入部材63がマグネット支持部90側へ移動すると、図12(B)に示すように弾性部材50の挿入部51とは反対側の端部は傾斜面622によって圧入部材63側へ案内される。そして、弾性部材50の挿入部51とは反対側の端部は、径方向外側が圧入部材63のリブ632に接する。これにより、弾性部材50の傾きは確実に規制される。
可動部64がさらに移動すると、ガイド部材62および圧入部材63は可動部64とともに移動し、図12(C)に示すようにガイド部材62のマグネット支持部90側の端部がマグネット支持部90と接する。ガイド部材62と圧入部材63とは軸方向へ相対移動可能である。そのため、ガイド部材62とマグネット支持部90とが接すると、ガイド部材62の移動は規制されるものの、圧入部材63の移動は規制されない。これにより、可動部64がさらに移動すると、圧入部材63のみがマグネット支持部90側へ移動する。
可動部64の移動にともなって圧入部材63のみがマグネット支持部90側へ移動することにより、弾性部材50は、圧入部材63によって押し付けられ、マグネット40の間に圧入される。このとき、弾性部材50の挿入部51とは反対側の端部は圧入部材63のリブ632に接触しているため、軸方向の力が加わっても径方向外側へ傾斜したり折り曲げられることはない。その結果、弾性部材50は、マグネット40の間に十分に圧入される。
弾性部材50がマグネット40の間に圧入されると、組み付けられた弾性部材50およびマグネット40は形状を保持したままハウジング11の内側に設置される。マグネット40は弾性部材50により周方向へ押し付けられている。そのため、マグネット40はハウジング11の内壁に押し付けられる。
以上説明した本発明の第1実施形態では、四つのマグネット40は二つの弾性部材50によりハウジング11に保持している。弾性部材50がマグネット40を周方向においてそれぞれ離れる方向へ力を加えることにより、マグネット40はハウジング11の内壁11aに押し付けられる。そのため、マグネット40は、ハウジング11へ強固に押し付けられ、周方向だけでなく軸方向の移動も規制される。その結果、マグネット40は、ハウジング11へ保持されるとともに、移動が規制される。したがって、部品点数の増大を招くことなく、簡単な構造でマグネット40をハウジング11に保持することができる。また、弾性部材50は、挿入部51と接続部52とが一体にコの字形状に成形されている。そのため、部品点数が低減されるとともに、構造を簡単にすることができる。
第1実施形態では、弾性部材50は針金状である。そのため、弾性部材50は、マグネット40の押し付けに必要な弾性力を確保するために最小限の径となるまで、径を縮小可能である。弾性部材50の径を縮小することにより、隣り合うマグネット40の間に形成される隙間41が小さくても、弾性部材50は容易に挿入される。例えば、モータ部30の小型化にともない、ハウジング11の内径を縮小しつつ磁気的な性能を確保するためにマグネット40の周方向の長さを維持する場合、各マグネット40の間に形成される隙間41は小さくなる。この場合でも、第1実施形態では、弾性部材50の径を縮小可能であるため、小さくなった隙間41に弾性部材50の挿入部51は容易に挿入される。また、小さくなった隙間41に設置した弾性部材50により、マグネット40はハウジング11に強固に保持される。したがって、モータ部30の小型化、ひいては燃料ポンプ10を小型化する場合でも、マグネット40をハウジング11へ確実に保持することができる。
第1実施形態では、マグネット40は周方向の端部に溝部42を有している。溝部42には弾性部材50の挿入部51が収容される。また、溝部42に挿入された挿入部51は、溝部42の内側においてマグネット40と接触する。そのため、マグネット40の間に形成される隙間41に弾性部材50の挿入部51を収容したとき、挿入部51は溝部42を形成するマグネット40によりハウジング11の径方向の移動が規制される。すなわち、弾性部材50は、マグネット40の溝部42によりハウジング11の径方向の位置が決められる。したがって、ハウジング11に保持されているマグネット40および弾性部材50の位置ずれを防止することができる。
第1実施形態では、弾性部材50の接続部52はマグネット40の径方向内側に突出していない。これにより、マグネット40の径方向内側に電機子31を設置する場合、弾性部材50と電機子31とは干渉しない。したがって、電機子31の安定した作動を確保することができる。
第1実施形態では、電動機製造装置60によりマグネット40の間に弾性部材50を設置している。弾性部材50は、圧入初期においてガイド部材62の傾斜面622によって径方向外側への傾斜が防止され、圧入中期および末期において圧入部材63のリブ632によって径方向外側への傾斜が防止される。したがって、弾性部材50に軸方向の力を加えても弾性部材50を傾斜することなく圧入することができる。
(第2、第3実施形態)
上述した本発明の第1実施形態の変形例として、第2実施形態および第3実施形態について説明する。なお、上述の第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態または第3実施形態のマグネット40の溝部の形状は第1実施形態と異なる。図13に示す第2実施形態の場合、マグネット40の周方向の端部40cに形成されている溝部81は断面が略V字形状である。また、図14に示す第3実施形態の場合、マグネット40の周方向の端部40cに形成されている溝部82は断面が矩形状である。
第2実施形態および第3実施形態では、第1実施形態と同様に弾性部材50の挿入部51は溝部81または溝部82に収容される。また、挿入部51とマグネット40との接点55は、マグネット40の周方向の端面40cよりも周方向において内側すなわち他の端部側に位置する。したがって、隙間41に挿入された挿入部51の位置が決められ、ハウジング11に保持されているマグネット40および弾性部材50の位置ずれを防止することができる。
なお、溝部の断面形状は、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態で説明した以外の形状としてもよい。
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態では、本発明のモータを燃料ポンプのモータ部に適用する例について説明した。しかし、本発明のモータは燃料ポンプに限らず、種々の産業機械あるいは家庭電化製品などのモータ部として適用することができる。
さらに、本発明の複数の実施形態では、ハウジングに周方向へ四つのマグネットを配置した四極モータを例に説明した。しかし、マグネットの数は、二つ以上であればいずれであってもよい。すなわち、二極モータあるいは三極モータなど、任意に磁極の数を選択することができる。この場合、本発明を適用すると、例えば二極モータであれば、一つの弾性部材により二つのマグネットをハウジングに保持することができる。
さらに、本発明の複数の実施形態では、弾性部材が二本の挿入部を有する例について説明した。しかし、弾性部材は三本以上の挿入部を有していてもよい。
また、上記各実施形態では、四つのマグネットを周方向に離間させるにあたり、二つの弾性部材を用い、これら各弾性部材の挿入部が四つの隙間全てに挿入される実施形態について説明した。しかし、これらの形態に限らず、例えば二つの隙間に一つの弾性部材を挿入し、残り二つの隙間については、別途他の弾性部材(例えば、板バネ等)をそれぞれ挿入することにより、各マグネットを周方向に離間させても良い。
また、上記各実施形態では、弾性部材50が針金状の一本の部材を折り曲げることによって形成されている。しかし、弾性部材50の構成としては、このように一部材のみで構成されるものだけでなく、複数の部材を一体的に繋ぎ合わせて構成されたものでも良い。例えば、各挿入部51および接続部52をそれぞれ針金状の三本の部材で形成し、これらを溶接等により一体的に構成しても良い。
本発明の第1実施形態による燃料ポンプを示す図であって、ハウジング、マグネットおよび弾性部材をポンプ部側から見た概略図である。 本発明の第1実施形態による燃料ポンプを示す断面図である。 図4の矢印III方向から見た矢視図である。 本発明の第1実施形態による燃料ポンプを示す図であって、モータ部およびポンプカバーをポンプ部側から見た概略図である。 本発明の第1実施形態による燃料ポンプにおいて、マグネットの周方向の端部を拡大した概略図である。 本発明の第1実施形態による燃料ポンプにおいて、ハウジング、マグネットおよび弾性部材の構成を示す概略斜視図である。 本発明の第1実施形態による燃料ポンプの弾性部材を示す概略図であって、(A)はポンプ部側から見た図であり、(B)は(A)の矢印B方向から見た矢視図である。 本発明の第1実施形態による燃料ポンプに適用される弾性部材を圧入する電動機製造装置を示す概略図である。 図8に示す電動機製造装置のマグネット支持部を可動部側から見た概略図である。 図8に示す電動機製造装置のマグネット支持部にマグネットを収容した状態を示す概略図である。 図8に示す電動機製造装置のガイド部材および圧入部材を示す図であって、(A)は図8のXI部分を拡大した断面図であり、(B)は(A)の矢印B方向から見た図である。 図8に示す電動機製造装置による弾性部材の圧入手順を示す概略図である。 本発明の第2実施形態による燃料ポンプにおいて、マグネットの周方向の端部を拡大した概略図である。 本発明の第3実施形態による燃料ポンプにおいて、マグネットの周方向の端部を拡大した概略図である。
符号の説明
11 ハウジング、11a 内壁、30 モータ部(電動機)、40 マグネット、41 隙間、42、81、82 溝部、50 弾性部材、51 挿入部、52 接続部、60 電動機製造装置、62 ガイド部材、63 圧入部材、90 マグネット支持部、93 収容空間部、94 隙間、621 溝部、622 傾斜面、631 突出部、632 リブ

Claims (16)

  1. 筒状のハウジングと、
    前記ハウジングの内壁に沿って、前記ハウジングの周方向において少なくとも二つ形成される隙間を挟んで少なくとも二つ設置されているマグネットと、
    一体で少なくとも二か所の前記隙間に挿入され、隣り合う前記マグネットにそれぞれ周方向において離れる方向の力を加える弾性部材と、
    を備えることを特徴とする電動機。
  2. 前記弾性部材は、前記ハウジングの軸方向に伸び前記隙間に挿入される少なくとも二つの挿入部を有することを特徴とする請求項1記載の電動機。
  3. 前記弾性部材は、前記ハウジングの周方向に伸び前記挿入部を接続する接続部を有することを特徴とする請求項2記載の電動機。
  4. 前記弾性部材は、略コの字形状であることを特徴とする請求項3記載の電動機。
  5. 前記接続部は、径方向において前記マグネットの内側の端面よりも外側に位置することを特徴とする請求項3または4記載の電動機。
  6. 前記マグネットは、周方向の両端部に軸方向へ伸びる溝部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の電動機。
  7. 前記溝部は前記隙間に挿入される前記弾性部材を収容し、前記溝部において前記弾性部材と前記マグネットとが接する接点は前記マグネットの周方向の端面よりも内側に位置することを特徴とする請求項6記載の電動機。
  8. 前記弾性部材は、針金状であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の電動機。
  9. 筒状のハウジングの内壁に沿って、前記ハウジングの周方向において少なくとも二つ形成される隙間を挟んで少なくとも二つ設置されているマグネットを前記ハウジングに保持し、一体で前記ハウジングの周方向において前記マグネットの間に形成される少なくとも二つの前記隙間に挿入され、隣り合う前記マグネットにそれぞれ周方向において離れる方向の力を加える弾性部材であって、
    前記マグネットの軸方向に伸び前記隙間に挿入される少なくとも二つの挿入部を備えることを特徴とする弾性部材。
  10. 前記マグネットの周方向に伸び前記挿入部を接続する接続部を備えることを特徴とする請求項9記載の弾性部材。
  11. 筒状のハウジングの内壁に沿って、前記ハウジングの周方向において少なくとも二つ形成される隙間を挟んで少なくとも二つ設置されているマグネットと、
    一体で少なくとも二か所の前記隙間に挿入され、隣り合う前記マグネットに周方向において離れる方向の力を加える弾性部材と、
    を備えることを特徴とする電動機のマグネット固定構造。
  12. 円環状に少なくとも二つ設置されているマグネットの間に形成される少なくとも二つの隙間に、隣り合う前記マグネットにそれぞれ周方向において離れる方向の力を加える針金状の弾性部材を圧入する電動機の製造装置であって、
    前記マグネットを円環状に支持し、前記マグネットの間に前記弾性部材の挿入部を挿入可能な空間を形成するマグネット支持部と、
    前記弾性部材の前記挿入部とは反対側の端部を前記マグネット支持部の径方向において外側から覆い、前記隙間に圧入される前記弾性部材が径方向外側へ傾斜するのを規制する筒状のガイド部材と、
    前記ガイド部材の内周側に前記ガイド部材と軸方向へ相対移動可能に設置され、前記弾性部材を前記マグネット支持部方向へ押し付けて前記隙間に圧入する圧入部材と、
    を備えることを特徴とする電動機の製造装置。
  13. 前記ガイド部材は、内側に径方向外側へ窪んでいる溝部を有し、
    前記圧入部材は、外側に径方向外側へ突出し前記溝部と噛み合って前記ガイド部材との軸方向への相対移動を案内する突出部を有することを特徴とする請求項12記載の電動機の製造装置。
  14. 前記ガイド部材は、前記マグネット支持部側の端部の内壁に前記マグネット支持部側から遠ざかるにつれて内径が縮小する傾斜面を有することを特徴とする請求項12または13記載の電動機の製造装置。
  15. 前記圧入部材は、径方向外側の端部に前記マグネット支持部側へ突出するリブを有することを特徴とする請求項12、13または14記載の電動機の製造装置。
  16. 円環状に少なくとも二つ設置されているマグネットの間に形成される少なくとも二つの隙間に、隣り合う前記マグネットにそれぞれ周方向において離れる方向の力を加える針金状の弾性部材を圧入する電動機の製造方法であって、
    前記マグネットを円環状に支持し、前記円環状に支持されている前記マグネットの周方向の端部間に前記弾性部材の挿入部を挿入する段階と、
    前記弾性部材の前記挿入部とは反対側の端部を円環状に支持されている前記マグネットの径方向において外側から覆う段階と、
    前記弾性部材の前記挿入部とは反対側の端部を覆うことにより前記弾性部材の径方向外側への傾斜を規制しながら、前記弾性部材を前記マグネットの間に圧入する段階と、
    を含むことを特徴とする電動機の製造方法。
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