JP2005183310A - 透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルとこれらの製造方法 - Google Patents

透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルとこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】指入力及びペン入力耐久性などの機械耐久性を満足し、特にタッチパネルに適用した場合においていわゆる額縁付近での耐久性を向上させ、かつ特殊加工の不要な生産性に優れた構成の透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルを提供する。
【解決手段】光透過性のフィルム基材1の少なくとも片面にインジウム−スズの複合酸化物より成る透明導電膜2を形成し、この透明導電膜2のインジウム−スズ複合酸化物の結晶粒径を5nm以上50nm以下として構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性フィルム及びこの透明導電性フィルムを用いて得られるタッチパネルに関し、更に詳しくは、ペン摺動耐久性及び打鍵耐久性などの機械耐久性に優れる透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルとこれらの製造方法に関するものである。
透明高分子フィルム上に、透明でかつ抵抗値の小さい透明導電膜を設けた透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどのようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極など、電気、電子分野の用途で広く使用されている。
近年、情報表示用の液晶ディスプレイと情報入力用のタッチパネルを搭載した携帯型の情報機器が広く使用されはじめているが、これらに搭載されるタッチパネルとしては抵抗膜方式のものが多い。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電膜が形成された2枚の透明導電基板をおよそ10〜150μmの間隔で相対させて構成する。指、ペン等でタッチした部分でのみ両透明電極基板が接触してスイッチとして動作し、例えばディスプレイ画面上のメニューの選択あるいは手書き文字の入力等を行うことが出来る。この様な透明導電基板としては、ガラス基板、各種の透明高分子フィルム基板、透明高分子シート基板等の基板上に、例えばインジウム−スズ複合酸化物(ITO)等の金属酸化物の透明導電膜を形成したものが広く用いられている。
タッチパネルに要求される特性の内、特に重要であり、これまで課題となってきたのはペン及び指入力に対する耐久性(打鍵耐久性、ペン摺動耐久性)である。
タッチパネルにペンあるいは指で入力する際、両透明電極膜同士が部分的に接触するが、入力時に受ける荷重で透明導電膜にクラック、剥離などが生じない、優れたペン摺動耐久性を有する透明導電性フィルムが要望されている。
しかしながら従来、単層の透明高分子フィルムに透明導電膜を形成した構成では、前述した耐久性を満足するものがなく、特に額縁と呼ばれるタッチパネルのエッジ付近の入力に対しては、入力時の荷重によって数回で破壊してしまう問題があった。
耐久性を向上させる方法として、厚さ2〜120μmの透明フィルム基材の一方面に透明導電性薄膜を形成し、他方の面に弾性係数が1×10〜1×10dyn/cm(0.01〜1MPa)、厚さ1μm以上である透明な粘着剤層を介して透明基体を貼りあわせてなる透明導電性積層体が開示されている(例えば特許文献1〜4参照。)。
これらの発明によれば透明基体の貼り合せを行わない場合に対して耐久性は向上している。しかし、指入力耐久性より要求特性が厳しいペン入力耐久性は未だ不十分である。
また透明プラスチックフィルムの一方にダイナミック硬度0.005〜2のクッション層を設け、クッション層上に直接、透明樹脂層を介して、或いは透明樹脂層及び硬化性高分子硬化層を介して、透明導電薄膜を設けた透明導電性フィルムが開示されている(例えば特許文献5及び6参照。)。
これらの発明によればクッション層が無い場合やクッション層のダイナミック硬度が上記範囲外の場合に比較してペン入力耐久性が向上している。
更に、透明高分子フィルム、適度な弾性率を有する透明樹脂層即ち弾性係数が40乃至600kg/cm2の透明樹脂層、透明高分子フィルム、透明無機薄膜層、透明導電層をこの順番で積層した透明導電性フィルムが開示されている(例えば特許文献7参照。)。
この発明によれば透明樹脂層が無い場合や透明樹脂層のヤング率が上記範囲外の場合に比較して耐ペン摺動性(ペン入力耐久性)が向上している。
しかしながら従来提案された透明導電性フィルムは、いずれも透明高分子フィルムに透明樹脂層を形成した積層基材を透明導電膜の支持体としており、特殊加工を必要とし、商業的にはコストが高くなる問題があった。また透過率の低下も課題であり、タッチパネル用の透明導電膜としては不十分であった。
特許第2667680号公報 特許第2667686号公報 特許第2624930号公報 特許第2763472号公報 特開平11−34206号公報 特開平11−198273号公報 特許公報第3318145号
本発明は、各種透明導電性フィルムにおける問題を解決して、指入力及びペン入力耐久性などの機械耐久性を満足し、特にタッチパネルに適用した場合においていわゆる額縁付近での耐久性を向上させ、かつ特殊加工の不要な生産性に優れた構成の透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルを提供する。
上記問題を解決するために本発明による透明導電性フィルムは、光透過性のフィルム基材の少なくとも片面にインジウム−スズの複合酸化物より成る透明導電膜を形成し、この透明導電膜のインジウム−スズ複合酸化物の結晶粒径を5nm以上50nm以下として構成する。
また本発明による透明導電性フィルムは、上述の構成において、透明導電膜中のスズ含有量を、1.5重量%以上8重量%以下として構成する。
更に本発明による透明導電性フィルムは、上述の各構成において、フィルム基材の厚さを50μm以上190μm以下として構成する。
また本発明による透明導電性フィルムの製造方法は、光透過性のフィルム基材上に、インジウム−スズ複合酸化物より成る透明導電膜を、スズの含有量が1.5重量%以上8重量%以下とされたターゲットを用いてスパッタ法により形成する。
また更に本発明によるタッチパネル及びその製造方法は、上述の本発明による透明導電性フィルム及びその製造方法を適用してタッチパネルを構成する。
上述したように本発明においては、透明導電性フィルムのフィルム基材上に形成する透明導電膜の結晶粒径すなわち膜質と、膜厚を適切に選定することによって、従来フィルム基材を一層とする場合に得られなかったペン耐久性、機械耐久性、特にタッチパネルに適用する場合の額縁付近の耐久性を大幅に向上することができる。
また本発明において、透明導電膜の形成にあたり、スパッタ法によって、スズ含有量の重量比を1.5重量%以上8重量%以下とすることによって、良好な膜質をもって容易に上述の結晶粒径の透明導電膜を形成することができ、機械耐久性を良好に保持することができる。
更に本発明において、フィルム基材の厚さを50μm以上190μm以下とすることによって、より確実に機械耐久性の向上を図ることができた。
従って、このような本発明を適用してタッチパネルを構成することにより、ペン耐久性をはじめとする機械耐久性を向上させることができ、特に額縁付近の耐久性を大幅に向上させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、透明導電膜のインジウム−スズ複合酸化物の結晶粒径を5nm以上50nm以下とすることによって、ペン耐久性などの機械耐久性を向上させることができる。
また、本発明による透明導電性フィルムにおいて、透明導電膜中のスズ含有量を、1.5重量%以上8重量%以下として構成することによって、簡単な製造工程をもって容易に機械耐久性を向上した透明導電性フィルムを得ることができる。
また、本発明によるタッチパネルによれば、機械耐久性、特に額縁付近の機械耐久性の良好なタッチパネルを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に適用して好適な透明導電性フィルムの一構成例の要部の略線的拡大断面図である。透明高分子フィルム等より成る光透過性のフィルム基材1の少なくとも片面に透明導電膜2が形成され、他方の面にこの例においてはハードコート層3が形成されて、1枚の透明導電性フィルム10を構成している。
図2は、本発明による透明導電性フィルムを利用して構成したタッチパネル20の一例の要部の略線的拡大断面図である。この例においては、ガラス基板等より成る基材11の上に、例えばITOより成る透明導電膜12が成膜され、その上に所定のピッチ及び形状をもって例えば光硬化型樹脂より成るドットスペーサー13が形成されていわゆる固定電極基板21が構成される。
この上に、フィルム基材1の両面に透明導電膜2及びハードコート層3がそれぞれ形成された本発明構成による透明導電性フィルム、すなわちいわゆる可動電極基板22を持ち来たして、図示しないが所定の間隔をもって、互いの透明導電膜2及び12が向かい合うように配置してタッチパネル20が形成される。
なお、図2においては、タッチパネルの一部の概略構成を示し、周囲の絶縁部、粘着層、外部への引き出し回路等は省略してある。
本発明による透明導電性フィルム10は、透明導電膜2のインジウム−スズ複合酸化物の結晶粒径を5nm以上50nm以下として構成する。
本発明者等の鋭意考察研究の結果、透明導電性フィルムの耐久性向上にあたって、透明導電膜の結晶粒は密度の高い状態が好ましいことがわかった。
結晶粒界は、例えばインジウム−スズ複合酸化膜においては、スズの過度の偏析や格子欠陥による歪が影響して発生する。結晶粒が粗、すなわち結晶粒界が多い膜では結晶粒が微細であっても、結晶粒の密度が高い場合に対して劣る。結晶粒が微細であり、密度が高い透明導電膜が好ましい。
本発明の透明導電性フィルムをタッチパネルの可動電極基板(いわゆる上基板)として用いた場合、5nmに満たない粒径の結晶粒で構成される透明導電膜は、ペン耐久性が弱く好ましくない。
また50nmを超える粒径の結晶粒で構成される透明導電膜はタッチパネルの中央部におけるペン耐久性は良好であるが、額縁近傍の耐久性に劣る。
したがって、本発明においては透明導電膜の結晶粒径を5nm以上50nm以下の範囲に選定するものである。
なお、結晶粒径はSPM(Scanning Probe Microscopy:走査型プローブ顕微鏡)を用いて表面の凹凸形状を測定し、得られたプロファイルから任意に10個の結晶粒の最大幅を計測し、その平均値として求めた。
またこの透明導電膜2の厚さt1は、10nm以上40nm以下とするときに、適切な導電性を得ることができる。また厚さt1をこの範囲とする場合に、透明導電性フィルムの機械耐久性には影響を与えなかった。
更に、この透明導電膜2は、スズ含有量を、1.5重量%以上8重量%以下とするものであり、最も好ましくは2〜5重量%であり、結晶粒径の小さい膜を得ることができる。
このような構成とすることによって、良好な機械耐久性を確実に得ることができた。
透明導電性フィルムの透明導電膜の平均表面粗さRaは、1μm四方で1.5nm以上3nm以下であるのが好ましく、最も好ましくは1.5nm以上2.5nm以下とする時に良好な機械耐久性を得ることができた。尚、1μm四方の表面粗さは透明導電膜自体の表面粗さを示す。すなわち、透明導電膜の面内に欠陥がある場合は、平均表面粗さRaは大きな値となり、耐久性も弱い。
また、透明導電膜の表面抵抗値は200〜1000Ω/sq.であり、好ましくは300〜500Ω/sq.である。膜厚は比抵抗値によって決まるが、抵抗値の均一性、透明性の観点から10〜30nmが好ましい。
本発明の透明導電膜を成膜する方法は、特に限定されず公知の慣用手法により成膜することが可能である。具体的には、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成膜法等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
例えばスパッタ法では、ターゲットのスズ添加量を変え、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法ではペレットのスズ組成を変えることにより上記組成重量比の透明導電膜を容易に形成することが可能である。
特に最適には、スズ含有量が1.5重量%以上8重量%以下とされたターゲットを用いてスパッタにより成膜することによって、上述の結晶粒径の範囲をもって透明導電膜を形成することができる。
また本発明による透明導電性フィルムは、フィルム基材1の厚さt2を50μm以上190μm以下として構成する。これにより、十分な機械耐久性を得ることができた。
また後述するように、特に厚さt2を75μm以上125μmの範囲に選定する場合には、タッチパネルに適用した場合の額縁付近の機械耐久性を更に向上させることができた。またタッチパネルの薄さ、軽さの観点からも良好な特性を示す。
尚、フィルム基材1としては、公知の各種の光透過性の高分子フィルムを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド、アラミド、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、トリアセチルセルロース、ポリスルフォン、ポリプ、ジアセチルセルロース、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂など、従来から用いられている樹脂フィルムの中から適宜選択して利用することが可能である。
これら光透過性のフィルム基材は、一般的な溶融押出法もしくは溶液流延法等により好適に形成される。タッチパネルのペンあるいは指で入力する際に、透明導電膜にクラック、剥離などが生じないためには、機械強度が高いフィルム基材を用いるのが好ましい。すなわち高分子フィルムに一軸もしくは二軸延伸を施して、機械的に強度を高め、長手方向或いは幅方向の少なくとも一方のヤング率を3.5GPa以上とすることによって、確実に良好な機械耐久性を得ることができた。
本発明に好適に用いられるフィルム基材1の光透過性は、高いことが好ましく、特にタッチパネルの可動電極基板として用いる場合には、400nm〜700nmの波長領域における透過率の平均値が少なくとも80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
上述したように、本発明による透明導電性フィルムをタッチパネルのいわゆる可動電極基板(上基板)として用いた場合、固定電極基板(下基板)としてガラス電極基板を利用することが可能であるが、携帯型の情報機器に適したタッチパネルを作製するためには、固定電極基板として本発明の透明導電性フィルムを使用するのが好ましい。この場合は軽量でかつ衝撃などに対して割れにくく取り扱いの容易な携帯型の情報機器に適したタッチパネルを得ることができる。
また、本発明に用いられるハードコート層1を構成する材料としては、公知の透明樹脂を用いることができる。
例えば硬化型樹脂として、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のケイ素アルコキシドの重合体やエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の多官能アクリレート系放射線硬化性樹脂等がある。これらの中でも、多官能アクリレート系樹脂等の放射線硬化性樹脂は、放射線の照射により比較的短時間に架橋度の高い層が得られることから、製造プロセスへの負荷が少なくまた膜強度が強い特徴があり、最も好ましく用いられる。
尚、ハードコート層はフィルム基材上に直接、もしくは適当なアンカー層を介して積層される。こうしたアンカー層としては例えば、ハードコート層とフィルム基材との密着性を向上させる機能を有する層や、K値が負の値となる三次元屈折率特性を有する層等の各種の位相補償層、水分や空気の透過を防止する機能もしくは水分や空気を吸収する機能を有する層、紫外線や赤外線を吸収する機能を有する層、基板の帯電性を低下させる機能を有する層等が好ましく挙げられる。
ハードコート層のフィルム基材への実際の塗工法としては、前記の化合物ならびに各種添加剤(硬化剤、触媒等)を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調節した塗工液を用いて、フィルム基材1上に塗工後、放射線照射や加熱処理等により層を硬化させる。塗工方式としては例えば、マイクログラビヤコート法、マイヤーバーコート法、ダイレクトグラビヤコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、コンマコート法、ダイコート法、ナイフコート法、スピンコート法等の各種塗工方法が用いられる。
また、ハードコート層に微粒子を含有させることにより、滑り性、干渉縞防止性、アンチグレア性を付与することが可能である。含有させる微粒子は、平均粒径1〜4μmの粒径のものを含有させることにより、ハードコート層表面に微細な凹凸を形成するのが好ましい。
ハードコート層に含有させる微粒子としては公知の各種無機及び有機フィラーを用いることができる。具体的には、例えば、シリカ微粒子、架橋アクリル微粒子、架橋ポリスチレン微粒子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このような微粒子を含有するハードコート層はフィルム基材上に直接、もしくは適当なアンカー層を介して積層される。アンカー層としては例えば、上記微粒子を含有するハードコート層とフィルム基材との密着性を向上させる機能を有する層や、水分や空気の透過を防止する機能、もしくは水分や空気を吸収する機能を有する層、紫外線や赤外線を吸収する機能を有する層、基板の帯電性を低下させる機能を有する層等が上げられる。
尚、これらハードコート層の材料、成膜方法、含有する微粒子の材料構成などを変更しても、完成した透明導電性フィルムにおける機械耐久性には影響がなかった。
尚、フィルム基材1と透明導電膜2との間には、その他反射防止(AR)層、SiO等、スパッタ法で形成された下地層を公知の技術を用いて設けることが可能である。
また、これらハードコート層、反射防止層、SiO層、下地層などの材料構成は、機械耐久性には特に影響を及ぼさなかった。
次に、本発明の効果を確認するために行った実施例及び比較例について説明する。なお、以下の各実施例では具体的な数値を挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
各例ともに、以下の図3A〜Cに示す製造工程により、図2において説明した構成のタッチパネルを作製して機械耐久性についての評価を行った。
先ず、図3Aに示すように、ガラス基板より成る基材11上に、ITO等より成る透明導電膜12をスパッタ法等により成膜し、更にスクリーン印刷及び紫外線照射等によって光硬化性樹脂等より成るドットスペーサー13を所定のパターンに形成する。
そして次に、図3Bに示すように、基材1の四辺に沿う各配線部14a〜14d及び外部回路引き出し用の接続部15をスパッタ法、フォトリソグラフィ等の適用によって所定のパターンに形成する。
この後、図3Cに示すように、基材1上の接続部15に外部への引き出し電極部16を接続して固定電極基板21を構成し、この上に本発明構成による透明導電性フィルム10より成る可動電極基板22を矢印aで示すように持ち来たし、接着剤等によって接続してタッチパネルが構成される。図3Cにおいて、図2と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
(1)実施例1
この例においては、タッチパネルの固定電極基板21の基材1として、厚さ0.5mmのガラス基板を用いてその両面にディップコーティング法にてSiO膜(図示せず)を設けた後、400℃の電気炉にて焼結を行い、スパッタ法により厚さ20nmのITO膜を透明導電膜11として設けた。そしてこの上に、高さ10μm、直径50μm、ピッチ1.5mmのドットスペーサー12を設け、ガラス電極基板からなる固定電極基板21を作製した。
一方、可動電極基板22のフィルム基材1として、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、商品名U35)を用いた。フィルム基材1のヤング率はJIS K 7161に則り、以下の条件で測定した。
フィルム基材を幅10mm、長さ100mmの試験片として、これをテンシロン型の引張試験機にて、引張速度10mm/分、温度25℃相対湿度55%の条件で引っ張り、0.05〜0.1%の伸びを与える荷重を求めてヤング率を算出した。
そしてこのフィルム基材1の片面にハードコート層3を形成するために、下記の組成成分をロールミルにて混合し、均一に分散させ、塗料を作製して、ポリエチレンテレフタレートより成るフィルム基材1の易接着処理が施されている面にバーコーターで塗布した。オーブンで70℃、5分間乾燥したのち、UV照射機(岩崎電気社製、商品名ESC−401GX)にて硬化することにより3μmのハードコート層3を得た。塗料組成を以下に示す。
ポリエステルアクリレート(日本化薬社製、商品名KAYARADO DPHA)90重量部
ポリエステルアクリレート(東亞合成社製、M101) 10重量部
反応希釈剤 N−ビニルピロリドン 50重量部
(東亞合成社製、商品名M150)
光重合開始剤 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 4重量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、商品名ダロキュア1173)
次にフィルム基材1のハードコート層3を形成した面とは反対側の面に、結晶質からなるITO膜を20nmの厚さで形成し、ポリエチレンテレフタレートより成るフィルム基材1上にハードコート層3及びITOより成る透明導電膜2が形成された透明導電性フィルム10を形成し、可動電極基板22とした。
透明導電膜2の形成は、ターゲットとして酸化スズを5.0重量%含有した酸化インジウム(ジャパンエナジー(株)製、密度7.1g/cm)を用いた。DCマグネトロン装置内に、ハードコート層3が形成されたフィルム基材1を、ハードコート層3と反対側の面にITO膜が成膜されるようにセットし、1.5W/cm3のDC電力を印加した。
装置内にはArガスを150sccm、Oガスを5sccmの流速で流し、0.3Paの雰囲気下としてDCマグネトロンスパッタ法により成膜した。
得られた透明導電性フィルムを150℃に調整した熱風乾燥機中で60分間熱処理し、ITOの結晶化を行った。実施例1においては、透明導電膜2の平均結晶粒径は30nmであり、表面抵抗は298Ω/sq.であった。
なお、平均結晶粒径はSPM(Nano Scope IIIa/D−3000、Digital Instruments社)を用いて測定した。スキャンサイズ1μm×1μmの範囲をタッピングAFMモードで測定し、得られた凹凸画像から任意に10個の結晶粒の最大幅を計測し、その平均値として求めた。
前記透明導電フィルムの透明導電膜側の0.15mm四方におけるRaは2.2nmであり、1μm四方におけるRaは1.8nmであった。
三次元表面粗さRaの測定方法を以下に示す。
0.15mm四方のRaは、非接触三次元粗さ計Zygo社 New View5000で求めた。また1μm四方におけるRaはSPM(Nano Scope IIIa/D−3000、Digital Instruments社)を用いて測定した。
Ra(算術平均粗さ)は抽出曲線から、その平均線の方面に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取った部分の平均線をX軸、縦倍率の方向をY軸として抽出曲線をy=f(x)で表した時に、下記の数1により求めた値である。
Figure 2005183310
すなわち、本測定の0.15mm四方におけるRaはL=0.15mmとし、任意の10線のf(x)を抽出し、それぞれのf(x)と平均線で囲まれる部分の面積を、L=0.15mmで割った平均偏差を求めた。
本測定の1μm四方におけるRaは、L=1μmとし、2nmピッチで500個所のf(x)を抽出し、それぞれのf(x)と平均線で囲まれる部分の面積を、L=1μmで割った平均偏差を求めた。
(2)実施例2
透明導電膜2の成膜に酸化インジウムターゲットの酸化スズ含有量が3重量%の組成からなるITOターゲットを用いた以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、結晶粒径を測定したところ、平均粒径は11nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(3)実施例3
透明導電膜2の成膜に酸化インジウムターゲットの酸化スズ含有量が1.5重量%の組成からなるITOターゲットを用いた以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、結晶粒径を測定したところ、平均粒径は5nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(4)実施例4
透明導電膜2の成膜に酸化インジウムターゲットの酸化スズ含有量が8重量%酸化の組成からなるITOターゲットを用いた以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、結晶粒径を測定したところ、平均粒径は50nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(5)実施例5
フィルム基材1として用いるポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みを、50μmとした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は32nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(6)実施例6
フィルム基材1として用いるポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みを、75μmとした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は31nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(7)実施例7
フィルム基材1として用いるポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みを、125μmとした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は29nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(8)実施例8
フィルム基材1として用いるポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みを、188μmとした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は30nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(9)実施例9
フィルム基材1を厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人株式会社製、商品名Q65)とした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は31nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(10)実施例10
フィルム基材を100μmのポリイミドフィルム(宇部興産株会社製、商品名ユーピレックス125S)とした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は30nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(11)比較例1
透明導電膜2の成膜に酸化インジウムターゲットの酸化スズ含有量が1重量%の組成からなるITOターゲットを用いた以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は3nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(12)比較例2
透明導電膜2の成膜に酸化インジウムターゲットの酸化スズ含有量が10重量%の組成からなるITOターゲットを用いた以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は60nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(13)比較例3
透明導電膜2の成膜に酸化インジウムターゲットの酸化スズ含有量が30重量%の組成からなるITOターゲットを用いた以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、SPMで観察したところ、明瞭な結晶は観察されなかった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(14)比較例4
フィルム基材1として用いるポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みを、38μmとした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は33nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成したが、フィルムの剛性が小さく加工工程においてハンドリングが困難であり、タッチパネルを作製することができず、耐久性の測定はできなかった。
(15)比較例5
フィルム基材として用いるポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みを、200μmとした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は32nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(16)比較例6
フィルム基材1を100μmのポリカーボネートとした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は33nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(17)比較例7
フィルム基材1として用いるポリエチレンテレフタレートフィルムの0.15mm四方のRaを3.5nmとした以外は、上述の実施例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、透明導電膜の結晶粒径を測定したところ、平均粒径は30nmであった。これを可動電極基板とし、タッチパネルを形成した。
(18)比較例8
以下の方法で貼り合わせによる透明導電性フィルムを作製した。厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(三菱化学ポリエステル社製、商品名T600E)フィルム上に、実施例1と同様の条件で透明導電膜を形成した。そしてこのフィルムと、厚さ25μmの高透明接着剤転写テープ(住友スリーエム社製、商品名8142)と、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(三菱化学ポリエステル社製、商品名O300E)とを重ね合わせ、ラミネーターに通して貼り合わせ、透明導電性フィルムを作製した。
(19)評価
これら実施例1〜12および比較例1〜10に係るタッチパネルについて、ペン摺動耐久性を評価した。評価には同一条件で作製したタッチパネル2枚を使用し、1枚は額縁から2mm離れた部分において、ペン摺動試験を行い、もう1枚はタッチパネルの中央部においてペン摺動試験を行った。当該試験は、試験前、及びペン摺動回数1万回往復毎に15万回往復まで、48ポイントでリニアリティの理論値ET、リニアリティLを測定し、リニアリティLが理論値ETの1.5%を超えていなければ、耐久性に問題なしとして試験を継続した。
当該試験による夫々の実施例、比較例のペン摺動耐久性の値は、リニアリティLが理論値ETの1.5%を超えない範囲におけるペン摺動回数の最大回数である。また、耐久性の判定基準としては、エッジから2mmのペン摺動耐久性が8万回以上であることとした。
尚、当該試験において使用しているリニアリティLが理論値ETの1.5%を超えない範囲、及びペン摺動耐久性が8万回以上とする値は、タッチパネルの種類、搭載する機種の要求特性により異なるもので、この値に限定されない。
ペン摺動試験の条件は、先端が0.8Rのポリアセタール製ペンを用いてタッチパネルの可動電極基板の表面(ハードコート面)をエッジに平行にペンを摺動させた。摺動速度は210mm/sec、ストロークは35mm、ペン荷重は3Nとして行った。
リニアリティの測定方法は、可動電極基板上又は固定電極基板上の平行電極間に直流電圧5Vを印加する。平行電極と垂直方向に9mm間隔で電圧を測定する。測定開始位置Aの電圧をEA、測定終了位置Bの電圧をEB、Aからの距離Xにおける電圧実測値をEX、理論値をET、リニアリティをLとすると、
ET=(EB−EA)・X/(B−A)+EA
L(%)=(|ET−EX|)/(EB−EA)・100
以上の実施例及び比較例の測定結果を下記の表1〜4に示す。
Figure 2005183310
Figure 2005183310
Figure 2005183310
Figure 2005183310
実施例1〜10記載の本発明の透明導電性フィルムは、エッジから2mmの部分及び中央部でのペン耐久性試験で8万回以上の耐久性が得られ、良好な結果であった。
一方、透明導電膜2の成膜に酸化インジウムターゲットの酸化スズ含有量が1.5重量%に満たない組成からなるITOターゲットを用いて透明導電膜を形成した比較例1の透明導電性フィルムで形成したタッチパネルは、エッジから2mm部分でのペン耐久性が悪かった。
また、透明導電膜2の成膜に酸化インジウムターゲットの酸化スズ含有量が8重量%を超える組成からなるITOターゲットを用い、透明導電膜を形成した比較例2及び3の透明導電性フィルムで形成したタッチパネルは、エッジから2mm部分でのペン耐久性が悪かった。
更に、フィルム基材1の厚さが50μmに満たない比較例4の透明導電性フィルムを用いてタッチパネルを形成しようとした場合は、透明導電性フィルムの構成が小さく、タッチパネルに組み立てることが困難であった。
また、フィルム基材1の厚さが190μmを超える比較例5の透明導電性フィルムを用いたタッチパネルは、中央部のペン摺動試験では耐久性が良好であったが、エッジから2mm部分での耐久性が悪かった。
尚、このフィルム基材1の厚さは、50〜188μmの範囲で良好な結果を得たが、特に75μm以上125μmの範囲とするときに、より良好なペン摺動耐久性が得られることがわかる。
更に、ヤング率が3.5GPaに満たないフィルム基材1を用いた比較例6の透明導電性フィルムを用いたタッチパネルは、エッジから2mm部分及び中央部でのペン耐久性試験が共に、好ましくない結果であった。
また更に、表4に示すように、フィルム基材12の0.15mm四方の平均表面粗さが3nmを超える比較例7の透明導電性フィルムを用いたタッチパネル、更に透明導電膜2の1μm四方の平均表面粗さが3nmを超える比較例2の透明導電性フィルムを用いたタッチパネルは、エッジから2mmの部分及び中央部でのペン耐久性試験で共に、好ましくない結果であった。
以上の結果を総合すると、透明導電性フィルムの透明導電層2は、その結晶粒径を5nm以上50nm以下とすることによって、タッチパネルに適用した場合に中央部分及び額縁近傍部分共に良好なペン入力機械耐久性を得ることができることがわかった。
また、透明導電層をスパッタ法によりスズ含有量を1.5〜8重量%として形成することによって、良好な結晶粒径をもって、すなわち好ましい機械耐久性をもって透明導電性フィルムを形成することができる。
更に、フィルム基材の厚さを50μm以上190μm以下、より好ましくは75μm以上125μm以下とすることによって、より確実に良好な機械耐久性の透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルを提供することができる。
更にまた、透明導電膜の表面の1μm四方辺りの平均表面粗さRaを1.5nm以上3nm以下とすることによって、良好な機械耐久性をもって透明導電性フィルム及びタッチパネルを構成することができる。特に、この平均表面粗さRaを1.5nm以上2.5nm以下とするときに、確実に良好な機械耐久性とすることができた。
また、フィルム基材のヤング率が3.5GPa以上とされる場合に、確実に好ましい機械耐久性をもって透明導電性フィルム及びタッチパネルを構成することができる。
なお、フィルム基材のヤング率は3.5GPa以上5.6GPa以下の範囲で良好な機械耐久性を得ているが、このヤング率が11GPaのフィルム基材を用いる場合においても、同様に良好な機械耐久性を得ることができた。
更に、フィルム基材の平均表面粗さは、0.15mm四方辺りで3.5nmであった比較例7においては、良好な機械耐久性が得られなかった。このフィルム基材の平均表面粗さは、より平滑なほうが望ましいといえる。しかしながら、1nm未満の平均表面粗さとすることは難しく、また平滑すぎると取り扱い、加工性に劣る恐れがある。
従って、このフィルム基材の平均表面粗さとしては、0.15mm四方辺り1〜3nm程度とすることが望ましい。
尚、透明導電膜の0.15mm四方の表面粗さは透明導電膜の下に位置する層の表面粗さに影響される。透明導電膜と接する層が荒れている場合には、ペン耐久性試験で突起部の透明導電膜が優先的に磨耗劣化してしまう問題があり、機械耐久性が劣化すると予想される。従って、上述の各実施例においては、フィルム基材上に直接透明導電膜を形成したが、透明導電膜とフィルム基材との間に反射防止層等の他の層を介在させる場合、透明導電膜の直下に接する層の0.15mm四方の平均表面粗さを1〜3nmとすることが望ましい。
また、上述の実施例8及び比較例8で作製した透明導電性フィルムに対し、全光線透過率を測定して、貼り合わせフィルム基材を用いて機械的耐久性の向上を図る場合に対し、本発明構成の透明導電性フィルムの光透過性についての評価を行った。
全光線透過率の測定は、JIS7361の規定に準じ、(株)村上色彩技術研究所のヘーズメーター(曇り度計)、HM−150型測定機を用いて測定した。この結果を下記の表5に示す。
Figure 2005183310
この結果から、本発明による透明導電性フィルムは、フィルム基材を貼り合わせることなく構成していることから、その全光線透過率において、貼り合わせ基材を用いる従来構成の透明導電性フィルムよりも光透過率において有利であることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。例えば上述の各例において透明導電膜2とフィルム基材1との間に反射防止膜等の層を介在させるなど本発明構成を逸脱しない範囲で種々の構成とすることができる。
またその他例えば、上述の各実施例においては透明導電膜2の厚さを20nmとした場合を示すが、この厚さは10nm以上40nm以下とする場合は例えばタッチパネルに適用して好適な導電性を得ることができる。
更にまた、上述の各実施の形態では、本発明の透明導電性フィルムを可動電極基板に用い、固定電極基板にガラス基板を用いた構成について説明したが、勿論これに限られず、本発明の透明導電性フィルムを固定電極基板として用いたタッチパネル、可動電極基板、固定電極基板の両方に本発明の透明導電性フィルムを用いた構成においても上述の各例と同様な効果を得ることができる。
以上述べたように、本発明の透明導電性フィルムは、フィルムと透明導電膜の強度を高めることによって、ペン摺動耐久性が良好なタッチパネルを得ることができるものである。
本発明透明導電性フィルムの一例の要部の略線的拡大断面図である。 本発明タッチパネルの一例の要部の略線的拡大断面図である。 Aはタッチパネルの一例の製造工程図である。Bはタッチパネルの一例の製造工程図である。Cはタッチパネルの一例の製造工程図である。
符号の説明
1 フィルム基材
2 透明導電膜
3 ハードコート層
10 透明導電性フィルム
11 基材
12 透明導電膜
13 ドットスペーサー
14a 配線部
14b 配線部
14c 配線部
14d 配線部
15 接続部
16 引き出し電極部
20 タッチパネル
21 固定電極基板
22 可動電極基板

Claims (19)

  1. 光透過性のフィルム基材の少なくとも片面にインジウム−スズの複合酸化物より成る透明導電膜が形成され、
    前記透明導電膜のインジウム−スズ複合酸化物の結晶粒径が5nm以上50nm以下とされて成る
    ことを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 前記透明導電膜中のスズ含有量が、1.5重量%以上8重量%以下とされた
    ことを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記フィルム基材の厚さが50μm以上190μm以下とされる
    ことを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
  4. 前記フィルム基材の厚さが50μm以上190μm以下とされる
    ことを特徴とする請求項2記載の透明導電性フィルム。
  5. 前記透明導電膜の表面の1μm四方辺りの平均表面粗さRaが1.5nm以上3nm以下とされる
    ことを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
  6. 前記透明導電膜の表面の1μm四方辺りの平均表面粗さRaが1.5nm以上3nm以下とされる
    ことを特徴とする請求項2記載の透明導電性フィルム。
  7. 前記透明導電膜の表面の1μm四方辺りの平均表面粗さRaが1.5nm以上3nm以下とされる
    ことを特徴とする請求項3記載の透明導電性フィルム。
  8. 前記透明導電膜の表面の1μm四方辺りの平均表面粗さRaが1.5nm以上3nm以下とされる
    ことを特徴とする請求項4記載の透明導電性フィルム。
  9. 前記フィルム基材のヤング率が3.5GPa以上とされる
    ことを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム。
  10. 前記フィルム基材のヤング率が3.5GPa以上とされる
    ことを特徴とする請求項2記載の透明導電性フィルム。
  11. 前記フィルム基材のヤング率が3.5GPa以上とされる
    ことを特徴とする請求項3記載の透明導電性フィルム。
  12. 前記フィルム基材のヤング率が3.5GPa以上とされる
    ことを特徴とする請求項4記載の透明導電性フィルム。
  13. 前記フィルム基材のヤング率が3.5GPa以上とされる
    ことを特徴とする請求項5記載の透明導電性フィルム。
  14. 前記フィルム基材のヤング率が3.5GPa以上とされる
    ことを特徴とする請求項6記載の透明導電性フィルム。
  15. 前記フィルム基材のヤング率が3.5GPa以上とされる
    ことを特徴とする請求項7記載の透明導電性フィルム。
  16. 前記フィルム基材のヤング率が3.5GPa以上とされる
    ことを特徴とする請求項8記載の透明導電性フィルム。
  17. 透明フィルム基材の少なくとも片面に、インジウム−スズの複合酸化物より成る透明導電膜が形成されて成る透明導電性フィルムの製造方法において、
    前記透明導電膜を、スズ含有量が1.5重量%以上8重量%以下とされたターゲットを用いてスパッタ法により成膜する
    ことを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
  18. 光透過性のフィルム基材の少なくとも片面にインジウム−スズの複合酸化物より成る透明導電膜が形成され、
    前記透明導電膜のインジウム−スズ複合酸化物の結晶粒径が5nm以上50nm以下とされて成り、
    前記フィルム基材とは別体の基材上に、少なくとも透明導電膜及びドットスペーサーが形成され、
    前記基材及び前記フィルム基材が、互いの前記透明導電膜が向かい合うように所定の間隔をもって配置されて成る
    ことを特徴とするタッチパネル。
  19. 透明フィルム基材の少なくとも片面に、インジウム−スズの複合酸化物より成る透明導電膜を、スズ含有量が1.5重量%以上8重量%以下とされたターゲットを用いてスパッタ法により成膜し、
    前記透明フィルム基材とは別体の基材上に、少なくとも透明導電膜及びドットスペーサーを形成して、
    前記基材及び前記フィルム基材を、互いの前記透明導電膜が向かい合うように所定の間隔をもって配置して形成する
    ことを特徴とするタッチパネルの製造方法。
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