JP2012246570A - 透明導電性フィルム、その製造方法及びそれを備えたタッチパネル - Google Patents

透明導電性フィルム、その製造方法及びそれを備えたタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】ペン入力耐久性および高温高湿信頼性に優れる透明導電体層を有する透明導電性フィルムを提供すること。
【解決手段】透明なフィルム基材の片面に少なくとも1層のアンダーコート層を介して、透明導電体層を有する透明導電性フィルムであって、前記透明導電体層は、厚さdが15〜35nmであり、平均表面粗さRaが0.37〜1nmであることを特徴とする透明導電性フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、可視光線領域に於いて透明性を有し、かつフィルム基材上にアンダーコート層を介して透明導電体層が設けられた透明導電性フィルムおよびその製造方法に関する。さらには、当該透明導電性フィルムを備えたタッチパネルに関する。
本発明の透明導電性フィルムは、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイなどのディスプレイ方式やタッチパネルなどに於ける透明電極のほか、透明物品の帯電防止や電磁波遮断などのために用いられる。特に、本発明の透明導電性フィルムはタッチパネル用途において好適に用いられる。なかでも、抵抗膜方式のタッチパネル用途において好適である。
タッチパネルには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。抵抗膜方式のタッチパネルは、一対の透明導電性フィルムがスペーサーを介して対向配置されており、上側の透明導電性フィルムに電流を流し、下側の透明導電性フィルムに於ける電圧を計測するような構造となっている。上側の透明導電性フィルムを指やペン等による押圧操作を介して下側の透明導電性フィルムに接触させると、その接触部分が通電することにより、その接触部分の位置が検知される。従って、透明導電性フィルムにはペン入力耐久性が求められる。
このような透明導電性フィルムとして、近年では、可撓性、加工性に加えて、耐衝撃性に優れ、軽量である等の利点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムをはじめとする各種のプラスチックフィルムを基材とした透明導電性フィルムが使用されている。このような透明導電性フィルムが用いられるタッチパネルは、屋外で用いられることが多い。従って、透明導電性フィルムにはペン入力耐久性とともに、高温高湿信頼性が求められる。
ところで、透明導電性フィルムとしては、透明導電体層の膜厚を12〜2nmにし、最大表面粗さを1〜20nm、平均表面粗さを0.1〜10nmに制御したものが提案されている(特許文献1)。また、透明導電性フィルムとしては、透明導電体層を2層設け、表面粗さRaを0.5〜2.0nm、最大高さRyを8〜20nmに制御したものが提案されている(特許文献2)。また、透明導電性フィルムとしては、透明導電体層の中心線平均表面粗さRaを1nm以下、10点平均粗さRzを10nm以下、最大高さRyを10nm以下に研磨したものが提案されている(特許文献3)。特許文献1では極薄膜の連続膜の透明導電体層が得られること、特許文献2では透明導電体層が低抵抗で表面平坦性に優れること、特許文献3では透明導電体層が表面の平滑性に優れることが記載されているが、特許文献1乃至3に記載の透明導電体層は、ペン入力耐久性とともに、高温高湿信頼性に優れるものを提供しているものではない。
国際公開2004/105055号パンフレット 特開2005−268616号公報 特開2005−93318号公報
本発明は、ペン入力耐久性および高温高湿信頼性に優れる透明導電体層を有する透明導電性フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。また、当該透明導電性フィルムを備えたタッチパネルを提供することを目的とする。
本願発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記透明導電性フィルム等により前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、透明なフィルム基材の片面に少なくとも1層のアンダーコート層を介して、透明導電体層を有する透明導電性フィルムであって、
前記透明導電体層は、厚さdが15〜35nmであり、平均表面粗さRaが0.37〜1nmであることを特徴とする透明導電性フィルム、に関する。
前記透明導電性フィルムにおいて、前記透明導電体層は、平均表面粗さRaを厚さdで割った値(Ra/d)が、0.017〜0.045であることが好ましい。
前記透明導電性フィルムにおいて、前記透明導電体層は、最大表面粗さRyが7.5〜15nmであることが好ましい。
前記透明導電性フィルムにおいて、前記透明導電体層は、最大表面粗さRyを厚さdで割った値(Ry/d)が、0.34〜1であることが好ましい。
前記透明導電性フィルムにおいて、透明なフィルム基材の側から第一層目のアンダーコート層は、有機物により形成されていることが好ましい。
前記透明導電性フィルムにおいて、アンダーコート層が少なくとも2層ある場合には、少なくとも、透明なフィルム基材の側から最も離れたアンダーコート層は、無機物により形成されていることが好ましい。無機物により形成されたアンダーコート層としては、SiO膜が好適である。
本発明の透明導電性フィルムとしては、前記透明なフィルム基材の他方の面には、透明な粘着剤層を介して、透明基体が貼り合わされているものを用いることができる。
前記透明導電性フィルムは、タッチパネルに好適に用いられる。タッチパネルとしては、抵抗膜方式のタッチパネルに好適である。
また本発明は、前記透明導電性フィルムの製造方法であって、
透明なフィルム基材の片面に、少なくとも1層のアンダーコート層を形成する工程、及び、
前記アンダーコート層上に、放電出力4〜7W/cm2の条件下で、ターゲットをスパッタリングして透明導電体層を形成する工程、を有することを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法、に関する。
前記製造方法において、透明導電体層を形成する工程の後に、120〜160℃でアニール化処理して結晶化させる工程を有することができる。
また本発明は、前記透明導電性フィルムを備えたことを特徴とするタッチパネル、に関する。
本発明の透明導電性フィルムは、透明導電体層の厚さd、平均表面粗さRaが所定の範囲に制御されている。かかる透明導電体層の制御によって、本発明ではペン入力耐久性および高温高湿信頼性に優れる透明導電性フィルムが得られる。また、透明導電体層について、厚さdおよび平均表面粗さRaの関係について、平均表面粗さRaを厚さdで割った値(Ra/d)、最大表面粗さRyを厚さdで割った値(Ry/d)を所定の範囲に制御することで、ペン入力耐久性および高温高湿信頼性の両立に相関があることを見出した。その結果、本発明では、前記値(Ra/d)や、前記値(Ry/d)を制御することで、よりペン入力耐久性および高温高湿信頼性に優れる透明導電体層を有する透明導電性フィルムが得られる。また、本発明では、透明導電性フィルムの製造に関し、放電出力を所定範囲で制御してスパッタリングにより透明導電体層を形成することで、放電出力が低い場合に比べて、平均表面粗さRaが、厚さdに対して成長しやすいことを見出だした。かかる製造方法により、本発明の厚さd、平均表面粗さRaを満足できる透明導電体層を効率よく形成することができる。かかる透明導電性フィルムは、タッチパネルにおいて好適に用いられる。特に抵抗膜式のタッチパネルに好適に用いられる。
本発明の実施の形態について、図を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の透明導電性フィルムの一例を示す断面図である。図1の透明導電性フィルムは、透明なフィルム基材1の片面に、アンダーコート層2を介して、透明導電体層3を有する。図2は、アンダーコート層2が2層ある場合である。図2では、透明なフィルム基材1の側からアンダーコート層21、22がこの順で設けられている。
また、前記透明導電性フィルムの透明なフィルム基材1の他面(透明導電体層3を設けていない面)には、図3に示すように、透明な粘着剤層4を介して透明基体5を貼り合わすことができる。透明基体5は、1枚の基体フィルムからなっていてもよく、2枚以上の基体フィルムの積層体(透明な粘着剤層を介して積層したもの)であってもよい。また、図3は、透明基体5の外表面にハードコート層(樹脂層)6が設けられている場合である。
前記フィルム基材1としては、特に制限されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが用いられる。例えば、その材料として、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂である。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載の高分子フィルム、例えば、(A)側鎖に置換及び/又は非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換及び/又は非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が挙げられる。具体的には、イソブチレン及びN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物の高分子フィルムを用いることができる。
前記フィルム基材1の厚みは、2〜200μmの範囲内であることが好ましく、2〜100μmの範囲内であることがより好ましい。フィルム基材1の厚みが2μm未満であると、フィルム基材1の機械的強度が不足し、このフィルム基材1をロール状にしてアンダーコート層2、透明導電体層3を連続的に形成する操作が困難になる場合がある。一方、厚みが200μmを超えると、透明導電体層3の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上が図れなくなる場合がある。
前記フィルム基材1には、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、この上に設けられるアンダーコート層2の前記フィルム基材1に対する密着性を向上させるようにしてもよい。また、アンダーコート層2を設ける前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化してもよい。
アンダーコート層2は、無機物、有機物または無機物と有機物との混合物により形成することができる。なお、アンダーコート層2の屈折率は、通常、1.3〜2.5、さらには1.38〜2.3、さらには1.4〜2.3であるのが好ましい。例えば、無機物として、NaF(1.3)、Na3AlF6(1.35)、LiF(1.36)、MgF2(1.38)、CaF2(1.4)、BaF2(1.3)、SiO2(1.46)、LaF3(1.55)、CeF3(1.63)、Al23(1.63)などの無機物〔上記各材料の( )内の数値は光の屈折率である〕があげられる。これらのなかでも、SiO2、MgF2、A123などが好ましく用いられる。特に、SiO2が好適である。上記の他、酸化インジウムに対して、酸化セリウムを10〜40重量部程度、酸化錫を0〜20重量部程度含む複合酸化物を用いることができる。
また有機物としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー、有機シラン縮合物などがあげられる。これら有機物は、少なくとも1種が用いられる。特に、有機物としては、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用するのが望ましい。
アンダーコート層2は、透明なフィルム基材1と透明導電体層3の間に設けられるものであり、導電体層としての機能を有しないものである。即ち、アンダーコート層2は誘電体層として設けられる。従って、アンダーコート層2は、通常、表面抵抗が、1×106Ω/□以上であり、好ましくは1×107Ω/□以上、さらに好ましくは1×108Ω/□以上である。なお、アンダーコート層2の表面抵抗の上限は特にない。一般的には、アンダーコート層2の表面抵抗の上限は測定限界である、1×1013Ω/□程度であるが、1×1013Ω/□を超えるものであってもよい。
透明なフィルム基材1の側から第一層目のアンダーコート層は、有機物により形成されていることが、生産性および屈曲性の点で好ましい。従って、アンダーコート層2が1層の場合には、アンダーコート層2は、有機物により形成するのが好ましい。
またアンダーコート層2が少なくとも2層ある場合には、少なくとも、透明なフィルム基材1の側から最も離れたアンダーコート層は、無機物により形成されていることが、ペン入力耐久性の点で好ましい。アンダーコート層2が3層以上ある場合には、透明なフィルム基材1の側から第二層目より上のアンダーコート層についても無機物により形成されていることが好ましい。
無機物により形成されたアンダーコート層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスとして、またはウェット法(塗工法)などにより形成できる。アンダーコート層を形成する無機物としては、前述の通り、SiOが好ましい。ウェット法では、シリカゾル等を塗工することによりSiO2膜を形成することができる。
以上から、アンダーコート層2を2層設ける場合には、第一アンダーコート層21を有機物により形成し、第二アンダーコート層22を無機物により形成するのが好ましい。
アンダーコート層2の厚さは、特に制限されるものではないが、光学設計、前記フィルム基材1からのオリゴマー発生防止効果の点から、通常、1〜300nm程度であり、好ましくは5〜300nmである。なお、アンダーコート層2を2層以上設ける場合、各層の厚さは、5〜250nm程度であり、好ましくは10〜250nmである。
前記透明導電体層3の構成材料としては特に限定されず、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の金属酸化物が用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。例えば酸化スズを含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化スズなどが好ましく用いられる。透明導電体層3の屈折率は、通常、1.95〜2.05程度である。
透明導電体層3の厚さdは、15〜35nmである。厚さdを、かかる範囲に制御することで、ペン入力耐久性および高温高湿信頼性を満足することができ、また、その表面抵抗を1×103Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とすることができる。厚さdが、15nm未満ではペン入力耐久性および高温高湿信頼性を満足できない。一方、厚さdが35nmを超える場合には、膜厚が厚くなりすぎて透明性の低下などをきたすおそれがあり、また、クラックが形成されやすくなり、ペン入力耐久性が低下するので、あまり好ましくない。前記厚さdは、好ましくは17〜35nm、より好ましくは17〜30nmである。
また、透明導電体層3は、平均表面粗さRaが0.37〜1nmである。平均表面粗さRaを、かかる範囲に制御することで、ペン入力耐久性を満足することができる。平均表面粗さRaが、0.37nm未満では、厚さdが前記範囲を満足していても、ペン入力耐久性を満足できない。一方、平均表面粗さRaが1nmを超える場合には、厚さdが前記範囲を満足していても高温高湿信頼性を満足できないので好ましくない。前記平均表面粗さRaは、好ましくは0.37〜0.95nm、より好ましくは0.37〜0.9nmである。
また、前記透明導電体層は、平均表面粗さRaを厚さdで割った値(Ra/d)が、0.017〜0.045であるのが、ペン入力耐久性および高温高湿信頼性を満足するうえで好ましい。前記値(Ra/d)は、より好ましくは0.017〜0.043、さらに好ましくは0.017〜0.04である。
また、前記透明導電体層は、最大表面粗さRyが7.5〜15nmであるのが、ペン入力耐久性および高温高湿信頼性を満足するうえで好ましい。最大表面粗さRyは、より好ましくは7.5〜14nm、さらに好ましくは7.5〜13nmである。
また、前記透明導電体層は、最大表面粗さRyを厚さdで割った値(Ry/d)が、0.34〜1であるのが、ペン入力耐久性および高温高湿信頼性を満足するうえで好ましい。前記値(Ry/d)は、より好ましくは0.34〜0.9、さらに好ましくは0.34〜0.8である。
透明導電体層3の形成方法としては、前記厚さd、平均表面粗さRaの範囲を満足することができる方法であればよく、具体的には、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法を例示できる。これらのなか、スパッタリング法が生産性および均一性の点で好ましい。スパッタリング法では、ターゲットをスパッタリングして、前記アンダーコート層2上に透明導電体層3を形成する。
前記ターゲットは、金属酸化物ターゲット、メタルターゲットのいずれも適用できるが、本発明では、金属酸化物ターゲットが好適である。金属酸化物ターゲットは、焼結体が好適に用いられる。なお、透明導電体層の構成材料が、酸化スズを含有する酸化インジウムの場合には、金属酸化物ターゲットとしては酸化スズ‐酸化インジウムが用いられ、メタルターゲットとしては、スズ‐インジウムの合金が用いられる。なお、金属酸化物ターゲットである、酸化スズ‐酸化インジウムは、その焼結体を用いるのが好ましい。
前記スパッタリングは、アルゴンガスを主ガスとするアルゴンガス雰囲気下にスパッタリングを行う方法、酸素ガスを含むアルゴンガス雰囲気下にスパッタリングを行う、反応性スパッタリングを行う方法のいずれも採用できる。前者のスパッタリング方法の場合には、金属酸化物ターゲットが用いられる。一方、後者の反応性スパッタリング方法の場合には、金属酸化物ターゲット、メタルターゲットを用いる。本発明では、反応性スパッタリング方法を採用するのが好ましく、特に、金属酸化物ターゲット(好ましくは焼結体)を用いて反応性スパッタリング方法を採用するのが好ましい。なお、反応性スパッタリング方法において、アルゴンガス雰囲気中の酸素ガスの含有量は、アルゴンガスに対して、容量比で、0.2〜5%程度、好ましく0.2〜3%である。
前記スパッタリングにあたり、放電出力4〜7W/cm2の条件下で行うことが、形成される透明導電体層3が前記厚さd、平均表面粗さRaの範囲を満足するうえで好ましい。放電出力が4W/cm2未満では、凹凸が十分に形成されない場合があり、7W/cm2を超える場合にはターゲット表面にノジュールが発生し、安定に放電ができない場合がある。前記放電出力は、より好ましくは4〜6.8W/cm2、さらに好ましくは4〜6.5W/cm2である。また、前記スパッタリングは、透明なフィルム基材1を、温度80〜160℃に加熱して行うことが、形成される透明導電体層3が前記厚さd、平均表面粗さRaの範囲を満足するうえで好ましい。透明なフィルム基材の加熱手段としては、例えば、加熱ロール、IRヒーター等があげられる。前記透明なフィルム基材の温度が80℃未満では、凹凸が十分に形成されず、耐久性が良好でない場合がある。なお、前記温度の上限160℃は、透明なフィルム基材が耐えうる上限温度から決定されている。前記透明なフィルム基材1の加熱温度は、好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは90〜150℃である。
また、スパッタリングは、常圧または減圧下に行われる。通常、0.01〜1Pa程度であり、好ましくは0.1〜0.6Paである。
また、透明導電体層3を形成した後、必要に応じて、120〜160℃の範囲内でアニール処理を施して結晶化することができる。前記アニール温度は130〜155℃であることが好ましい。このため、フィルム基材1は、100℃以上、更には150℃以上の耐熱性を有することが好ましい。また、前記結晶化の処理時間は0.5〜5時間、さらには0.5〜4時間であるのが好ましい。
また、フィルム基材1の透明導電体層3を設けていない側には、透明な粘着剤層4を介して透明基体5を貼り合わすことができる。透明基体5は、少なくとも2枚の透明な基体フィルムを透明な粘着剤層により貼り合わせた複合構造であってもよい。
透明基体5の厚さは、通常、90〜300μmであるのが好ましく、より好ましくは100〜250μmに制御される。また、透明基体5を複数の基体フィルムにより形成する場合、各基体フィルムの厚さは10〜200μm、更には20〜150μmであり、これら基体フィルムに透明な粘着剤層を含めた透明基体5としての総厚さが前記範囲に入るように制御される。基体フィルムとしては、前記したフィルム基材1と同様のものが挙げられる。
フィルム基材1と透明基体5の貼り合わせは、透明基体5側に前記の粘着剤層4を設けておき、これに前記フィルム基材1を貼り合わせるようにしてもよいし、逆にフィルム基材1側に前記の粘着剤層4を設けておき、これに透明基体5を貼り合わせるようにしてもよい。後者の方法では、粘着剤層4の形成を、フィルム基材1をロール状にして連続的に行なうことができるので、生産性の面で一層有利である。また、フィルム基材1に、順次に複数の基体フィルムを粘着剤層により貼り合せることにより透明基体5を積層することもできる。なお、基体フィルムの積層に用いる透明な粘着剤層は、下記の透明な粘着剤層4と同様のものを用いることができる。また、透明導電性フィルム同士の貼り合わせに際しても、適宜に粘着剤層4を積層する透明導電性フィルムを選択して、透明導電性フィルム同士を貼り合せることができる。
粘着剤層4としては、透明性を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性及び接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
粘着剤層4の構成材料である粘着剤の種類によっては、適当な粘着用下塗り剤を用いることで投錨力を向上させることが可能なものがある。従って、そのような粘着剤を用いる場合には、粘着用下塗り剤を用いることが好ましい。
前記粘着用下塗り剤としては、粘着剤の投錨力を向上できる層であれば特に制限はない。具体的には、例えば、同一分子内にアミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基等の反応性官能基と加水分解性のアルコキシシリル基とを有するシラン系カップリング剤、同一分子内にチタンを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するチタネート系カップリング剤、及び同一分子内にアルミニウムを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するアルミネート系カップリング剤等のいわゆるカップリング剤、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エステルウレタン系樹脂等の有機反応性基を有する樹脂を用いることができる。工業的に取扱い易いという観点からは、シラン系カップリング剤を含有する層が特に好ましい。
また、前記粘着剤層4には、ベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また、粘着剤層4には必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また透明微粒子を含有させて光拡散性が付与された粘着剤層4とすることもできる。
尚、前記の透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカ、酸化カルシウム、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性の無機系微粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタンの如き適宜なポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子など適宜なものを1種又は2種以上用いることができる。
前記粘着剤層4は、通常、ベースポリマー又はその組成物を溶剤に溶解又は分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の粘着剤溶液により形成される。前記溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の粘着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
この粘着剤層4は、例えば、透明基体5の接着後に於いては、そのクッション効果により、フィルム基材1の一方の面に設けられた透明導電体層の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性、いわゆるペン入力耐久性および面圧耐久性を向上させる機能を有する。この機能をより良く発揮させる観点から、粘着剤層4の弾性係数を1〜100N/cmの範囲、厚さを1μm以上、通常5〜100μmの範囲に設定するのが望ましい。前記厚さであると上記効果が十分発揮され、透明基体5とフィルム基材1との密着力も十分である。上記範囲よりも薄いと上記耐久性や密着性が十分確保できず、また上記範囲よりも厚いと透明性などの外観に不具合が発生してしまうおそれがある。なお、透明導電性フィルムに適用する粘着剤層4の弾性係数、厚さは他の態様においても前記同様である。
前記の弾性係数が1N/cm未満であると、粘着剤層4は非弾性となるため、加圧により容易に変形してフィルム基材1、ひいては透明導電体層3に凹凸を生じさせる。また、加工切断面からの粘着剤のはみ出しなどが生じやすくなり、そのうえ透明導電体層3の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上効果が低減する。一方、弾性係数が100N/cmを超えると、粘着剤層4が硬くなり、そのクッション効果が期待できなくなるため、透明導電体層3の耐擦傷性やタッチパネル用としてのペン入力耐久性および面圧耐久性を向上させることが困難になる傾向がある。
また、粘着剤層4の厚さが1μm未満となると、そのクッション効果が期待できないため、透明導電体層3の耐擦傷性やタッチパネル用としてのペン入力耐久性および面圧耐久性を向上させることが困難になる傾向がある。その一方、厚くしすぎると、透明性を損なったり、粘着剤層4の形成や透明基体5の貼り合わせ作業性、更にコストの面でも好結果を得にくい。
この様な粘着剤層4を介して貼り合わされる透明基体5は、フィルム基材1に対して良好な機械的強度を付与し、ペン入力耐久性および面圧耐久性の他に、とくに、カールなどの発生防止に寄与するものである。
セパレータを用いて粘着剤層4を転写する場合、その様なセパレータとしては、例えばポリエステルフィルムの少なくとも粘着剤層4と接着する面に移行防止層及び/又は離型層が積層されたポリエステルフィルム等を用いるのが好ましい。
前記セパレータの総厚は、30μm以上であることが好ましく、60〜100μmの範囲内であることがより好ましい。粘着剤層4の形成後、ロール状態にて保管する場合に、ロール間に入り込んだ異物等により発生することが想定される粘着剤層4の変形(打痕)を抑制する為である。
前記移行防止層としては、ポリエステルフィルム中の移行成分、特に、ポリエステルの低分子量オリゴマー成分の移行を防止する為の適宜な材料にて形成することができる。移行防止層の形成材料として、無機物若しくは有機物、又はそれらの複合材料を用いることができる。移行防止層の厚さは、0.01〜20μmの範囲で適宜に設定することができる。移行防止層の形成方法としては特に限定されず、例えば、塗工法、スプレー法、スピンコート法、インラインコート法などが用いられる。また、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法等も用いることができる。
前記離型層としては、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブテン等の適宜な剥離剤からなるものを形成することができる。離型層の厚さは、離型効果の点から適宜に設定することができる。一般には、柔軟性等の取り扱い性の点から、該厚さは20μm以下であることが好ましく、0.01〜10μmの範囲内であることがより好ましく、0.1〜5μmの範囲内であることが特に好ましい。離型層の形成方法としては特に制限されず、前記移行防止層の形成方法と同様の方法を採用することができる。
前記塗工法、スプレー法、スピンコート法、インラインコート法に於いては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等の電離放射線硬化型樹脂や前記樹脂に酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、マイカ等を混合したものを用いることができる。また、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法又は電気メッキ法を用いる場合、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト又はスズやこれらの合金等からなる金属酸化物や、ヨウ化鋼等からなる他の金属化合物を用いることができる。
また必要に応じて、前記透明基体5の外表面(粘着剤層4とは反対側の面)に、外表面の保護を目的としたハードコート層(樹脂層)6を設けるようにしてもよい。ハードコート層6としては、例えば、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などの硬化型樹脂からなる硬化被膜が好ましく用いられる。ハードコート層6の厚さとしては、0.1〜30μmが好ましい。厚さが0.1μm未満であると、硬度が不足する場合がある。また、厚さが30μmを超えると、ハードコート層6にクラックが発生したり、透明基体5全体にカールが発生する場合がある。
また、本発明の透明導電性フィルムには視認性の向上を目的とした防眩処理層や反射防止層を設けることができる。抵抗膜方式のタッチパネルに用いる場合には、前記ハードコート層6と同様に前記透明基体5の外表面(粘着剤層4とは反対側の面)に、防眩処理層や反射防止層を設けることができる。また前記ハードコート層6上に、防眩処理層や反射防止層を設けることができる。一方、静電容量方式のタッチパネルに用いる場合には、防眩処理層や反射防止層は、透明導電体層3上に設けられることもある。
防眩処理層の構成材料としては特に限定されず、例えば電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。防眩処理層の厚みは0.1〜30μmが好ましい。
反射防止層としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等が用いられる。反射防止機能を一層大きく発現させる為には、酸化チタン層と酸化ケイ素層との積層体を用いることが好ましい。前記積層体は、ハードコート層6上に屈折率の高い酸化チタン層(屈折率:約2.35)が形成され、該酸化チタン層上に屈折率の低い酸化ケイ素層(屈折率:約1.46)が形成された2層積層体、更に、この2層積層体上に、酸化チタン層及び酸化ケイ素層がこの順序で形成された4層積層体が好ましい。この様な2層積層体又は4層積層体の反射防止層を設けることにより、可視光線の波長領域(380〜780nm)の反射を均一に低減させることが可能である。
本発明の透明導電性フィルムは、例えば、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチパネルに好適に適用できる。特に、抵抗膜方式のタッチパネルに好適である。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、各例中、部はいずれも重量基準である。
<屈折率>
各層の屈折率は、アタゴ社製のアッベ屈折率計を用い、各種測定面に対して測定光を入射させるようにして、該屈折計に示される規定の測定方法により測定を行った。
<各層の厚さ>
フィルム基材、透明基体、ハードコート層、粘着剤層等の1μm以上の厚みを有するものに関しては、ミツトヨ製マイクロゲージ式厚み計にて測定を行った。ハードコート層、粘着剤層等の直接厚みを計測することが困難な層の場合は、各層を設けた基材の総厚みを測定し、基材の厚みを差し引くことで各層の膜厚を算出した。
アンダーコート層、透明導電体層の厚みは、大塚電子(株)製の瞬間マルチ測光システムであるMCPD2000(商品名)を用い、干渉スペクトルの波形を基礎に算出した。
実施例1
(アンダーコート層の形成)
厚さが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)からなるフィルム基材の一方の面に、メラミン樹脂:アルキド樹脂:有機シラン縮合物の重量比2:2:1の熱硬化型樹脂(光の屈折率n=1.54)により、厚さが185nmの第一層目のアンダーコート層を形成した。次いで、シリカゾル(コルコート(株)製,コルコートP)を、固形分濃度2重量%になるようにエタノールで希釈し、第一層目のアンダーコート層上に、シリカコート法により塗布し、その後、150℃で2分間乾燥、硬化させて、厚さが33nmの第二層目のアンダーコート層(SiO膜,光の屈折率1.46)を形成した。
(透明導電体層の形成)
次に、第二層目のアンダーコート層上に、アルゴンガス99容量%と酸素ガス1容量%とからなる0.4Paの雰囲気中、前記PETフィルムを温度100℃の条件で加熱しながら、放電出力:6.35W/cm2、酸化インジウム97重量%、酸化スズ3重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚さ22nmのITO膜(光の屈折率2.00)を形成した。
(ハードコート層の形成)
ハードコート層の形成材料として、アクリル・ウレタン系樹脂(大日本インキ化学(株)製のユニディック17−806)100部に、光重合開始剤としてのヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア184)5部を加えて、30重量%の濃度に希釈してなるトルエン溶液を調製した。
このハードコート層の形成材料を、厚さが125μmのPETフィルムからなる透明基体の一方の面に塗布し、100℃で3分間乾燥した。その後、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(エネルギー密度80W/cm、15cm集光型)2灯で紫外線照射を行ない、厚さ5μmのハードコート層を形成した。
(透明導電性フィルムの作製)
次いで、前記透明基体のハードコート層形成面とは反対側の面に、厚さ約20μm、弾性係数10N/cmの透明なアクリル系の粘着剤層を形成した。粘着剤層組成物としては、アクリル酸ブチルとアクリル酸と酢酸ビニルとの重量比が100:2:5のアクリル系共重合体100部に、イソシアネート系架橋剤を1部配合してなるものを用いた。上記粘着剤層側に、上記フィルム基材(透明導電体層を形成していない側の面)を貼り合せて、透明導電性フィルムを作製した。
(透明導電体層の結晶化)
透明導電性フィルムの作製後、140℃で90分間の加熱処理を行って、ITO膜を結晶化した。
(タッチパネルの作製)
上記透明導電性フィルムを一方のパネル板とし、他方のパネル板として、ガラス板上に厚さが30nmのITO薄膜を形成したものを用い、この両パネル板を、ITO薄膜同士が対向するように、厚さが10μmのスペーサーを介して対向配置させ、スイッチ構体としてのタッチパネルを作製した。
実施例2〜4および比較例1〜4
実施例1において、透明導電体層の形成にあたり、PETフィルムの加熱温度、放電出力、及び透明導電体層の厚みを表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、当該透明導電性フィルムのITO膜を結晶化した後に、タッチパネルを作製した。
実施例および比較例の透明導電性フィルムおよびタッチパネル(サンプル)について、下記評価を行った。結果を表1に示す。
<透明導電体層の表面特性>
エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型プローブ顕微鏡(SPI3800)を用いて、AFM観察を行った。測定は、コンタクトモードにて、探針はSi製(バネ定数0.09N/m)を用い、1μm平方スキャンにて行い、平均表面粗さ(Ra)および最大高さ(Ry)を測定した。
<ITO膜の表面抵抗値>
二端子法を用いて、ITO膜の表面電気抵抗(Ω/□)を測定した。
<光の透過率>
島津製作所製の分光分析装置UV−240を用いて、光波長550nmに於ける可視光線透過率を測定した。
<ペン入力耐久性>
透明導電性フィルムで構成したパネル板側から、ポリアセタールからなるペン(ペン先R0.8mm)を用いて、荷重500gで30万回の摺動を行った。摺動後、以下のようにして、透明導電性フィルムのリニアリティ(%)を測定し、ペン入力耐久性を評価した。
[リニアリティの測定方法]
透明導電性フィルムに5Vの電圧を印加し、透明導電性フィルムにおける、電圧を印加する端子A(測定開始位置)および端子B(測定終了位置)の間の出力電圧を測定した。
リニアリティは、測定開始位置Aでの出力電圧をEA、測定終了位置Bでの出力電圧をEB、各測定点Xでの出力電圧をEX、理論値をEXXとすると、以下の計算から、求めることができる。
XX(理論値)={X・(EB−EA)/(B−A)}+EA
リニアリティ(%)=〔(EXX−EX)/(EB−EA)〕×100
なお、リニアリティ測定の概略は、図4に示すとおりである。タッチパネルを用いる画像表示装置では、ペンで押さえられることにより上部パネルと下部パネルの接触部分の抵抗値から画面上に表示されるペンの位置が決定されている。上部および下部パネル表面の出力電圧分布が理論線(理想線)のようになっているものとして抵抗値は決められる。すると、電圧値が、図4の実測値のように理論線からずれると、実際のペン位置と抵抗値によって決まる画面上のペン位置がうまく同調しなくなる。理論線からのずれがリニアリティであり、その値が大きいほど、実際のペン位置と画面上のペンの位置のずれが大きくなる。
<高温・高湿の環境下における信頼性>
各例で得られた透明導電性フィルムをサンプルAとした。サンプルAを、60℃、95%R.H.の環境下に500時間放置した。この処理されたものを、サンプルBとした。これらについて、上記と同様の方法にて、表面電気抵抗(Ω/□)を測定し、サンプルAの抵抗(RA)と、サンプルBの抵抗(R)から、比(R/R)を求め、信頼性を評価した。
Figure 2012246570
本発明の実施の一形態に係る透明導電性フィルムを示す断面図である。 本発明の実施の一形態に係る透明導電性フィルムを示す断面図である。 本発明の実施の一形態に係る透明導電性フィルムを示す断面図である。 リニアリティ測定の概略を示す説明図である。
1 フィルム基材
2 アンダーコート層
3 透明導電体層
4 粘着剤層
5 透明基体
6 ハードコート層

Claims (2)

  1. 透明なフィルム基材の片面に少なくとも1層のアンダーコート層を介して、透明導電体層を有する透明導電性フィルムの製造方法であって、
    透明なフィルム基材の片面に、少なくとも1層のアンダーコート層を形成する工程、及び、
    前記アンダーコート層上に、放電出力4〜7W/cmの条件下で、ターゲットをスパッタリングして透明導電体層を形成する工程、を有し、
    前記透明導電体層は、厚さdが15〜35nmであり、平均表面粗さRaが0.37〜1nmであることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
  2. 透明導電体層を形成する工程の後に、120〜160℃でアニール化処理して結晶化させる工程を有することを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルムの製造方法。

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