JP2005183055A - 電磁調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 調理鍋が所定の加熱エリアから外れた位置に置かれていたり、調理鍋底の反りが許容範囲を超えている場合における安全面に配慮した電磁調理器を提供する。
【解決手段】 調理鍋が載置される天板下に配置された加熱コイルと、この加熱コイルの中心部に位置するように配置された第1温度検出手段と、前記加熱コイルの中心部から半径内に所定距離隔てて位置するように配置された第2温度検出手段と、前記第1温度検出手段の検出温度と第2温度検出手段の検出温度との比較により所定の条件を満たさない場合には加熱コイルへの通電を停止する制御手段とを備えた。
【選択図】 図8
【解決手段】 調理鍋が載置される天板下に配置された加熱コイルと、この加熱コイルの中心部に位置するように配置された第1温度検出手段と、前記加熱コイルの中心部から半径内に所定距離隔てて位置するように配置された第2温度検出手段と、前記第1温度検出手段の検出温度と第2温度検出手段の検出温度との比較により所定の条件を満たさない場合には加熱コイルへの通電を停止する制御手段とを備えた。
【選択図】 図8
Description
本願発明は、調理鍋が載置される天板下に誘導加熱(IH)方式の加熱コイルを備えた電磁調理器に関するものである。
この種の電磁調理器は、天板下に配置された温度検出手段(サーミスタ等)により鍋底の温度を測定して、揚げ物・湯沸かし・空焚き検知等の制御を行っている。
従来、上記温度検出手段を加熱コイルの中心部にのみ備えて、鍋底の中心部に上方向の反りのある鍋の油の異常加熱を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、温度検出手段を加熱コイルの中心部と周辺部の2箇所に備えて、調理鍋に調理物が投入されたときの油温の低下を周辺部の温度検出手段で捕らえて、中心部の温度検出手段の温度との温度差が設定温度以上になった場合には中心部の温度検出手段の上限値を上げるようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
特許第3070289号公報(図1、図2)
特許第2890652号公報(第1図、第3図)
一般に、調理鍋は、鍋底の中心部が上方に突出し、鍋底中心部が天板から離れた状態、すなわち鍋底が反っているものがある。この鍋底が反っている調理鍋を特許文献1に記載の電磁調理器で加熱する場合、鍋底中心部と天板との間に空気層が形成されるため、断熱され、調理鍋の熱が温度検出手段に伝わりにくく、調理鍋温度より温度検出手段で検出した温度が低くなり、温度検出精度が低下して異常加熱の原因となる。特許文献1では、温度上昇の傾きからこの異常加熱を推測して、回避するよう動作させることが記載されているが、調理加熱においては、雰囲気温度や鍋の材質などの使用条件が常に一定ではないので、一概に推定できるものではなく、誤動作が生じる恐れがある。また、長年使用していたり調理鍋を加熱している最中に熱による変形で、調理鍋の鍋底が逆反りしてしまうこと(鍋底の中心部が下方に突出し、鍋底周辺部が天板から離れた状態)もあるが、この場合、調理鍋と天板とが密着し、温度検出手段での検出温度精度が向上するが、鍋の安定性が悪くなって移動しやすくなり、温度検出手段上方から外れた位置に容易に移動してしまって、前述のような温度検出手段での検出精度が低下し、また調理鍋が回ったり移動したりすることで鍋内の内容物がこぼれたりする恐れがあるため、安全面で問題である。
また、特許文献2に記載のようなものでは、調理鍋が所定の加熱エリアから外れた位置に置かれて周辺部の温度検出手段にかからない場合や、鍋底が逆反りしていて周辺部の温度検出手段で温度を正しく検出できない場合には、中心部の温度検出手段の温度との温度差が大きくなって中心部の温度検出手段の上限値が高く設定され続けるため、安全面で問題が生じる。さらに、特許文献2には、加熱コイルの中心部と周辺部との2箇所に備えた温度検出手段うち一方の温度検出手段の検出温度が上限値に達したとき加熱を停止することも記載されているが、上限値に達するまで加熱を継続しないと加熱停止しないので、早期の異常検出が実現できない。
そこで、本願発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、調理鍋が所定の加熱エリアから外れた位置に置かれていたり、調理鍋底の反りが許容範囲を超えている場合における安全面に配慮した電磁調理器を提供することを目的とするものである。
上記のような目的を達成するために、本願発明は、調理鍋が載置される天板下に配置された加熱コイルと、この加熱コイルの中心部に位置するように配置された第1温度検出手段と、前記加熱コイルの中心部から半径内に所定距離隔てて位置するように配置された第2温度検出手段と、前記第1温度検出手段の検出温度と第2温度検出手段の検出温度との比較により所定の条件を満たさない場合には加熱コイルへの通電を停止する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、前記制御手段は、通常動作時には前記第1温度検出手段を用いて温度制御を行い、前記加熱停止の条件として前記第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度を比較判定することを特徴とするものである。
さらに、前記制御手段は、前記加熱停止時に報知手段を用いてエラー報知することを特徴とするものである。
また、前記制御手段は、前記加熱停止やエラー報知を、前記第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度が所定の条件を満たさなくなってから一定時間後に行うことを特徴とするものである。
また、前記第2温度検出手段は、前記加熱コイルの中心部から半径の略1/2の位置に配置されることを特徴とするものである。
また、前記所定の条件として、前記第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度差が一定範囲内に入ることを条件としたことを特徴とするものである。
本願発明によれば、加熱コイルの中心部に位置するように配置された第1温度検出手段に加えて、加熱コイルの中心部から半径内に所定距離隔てて位置するように配置された第2温度検出手段を備えると共に、前記第1温度検出手段の検出温度と第2温度検出手段の検出温度との比較により、それらが所定の条件を満たさない場合には調理鍋が所定の加熱エリアから外れた位置に置かれているか、調理鍋底の反りが許容範囲を超えていると判断して、加熱コイルへの通電が停止されるので、このような場合の安全面に配慮した電磁調理器を提供できる。
また、通常動作時には前記第1温度検出手段を用いて温度制御を行い、前記加熱停止の条件として前記第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度を比較判定することにより、上述したような効果に加えて、調理鍋の中心部と加熱コイルの中心部とが一致した天板位置(正規の鍋載置位置)からずらして鍋が置かれても加熱コイル中心部の第1温度検出手段を用いて通常動作時の温度制御を行うことができると共に、第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度を比較判定することにより上述したような異常検出を行うことができる。
さらに、前記加熱停止時に報知手段を用いてエラー報知することにより、上述したような効果に加えて、調理鍋が所定の加熱エリアから外れた位置に置かれていたり、調理鍋底の反りが許容範囲を超えている場合にはエラー報知されるので、使用者は調理鍋を所定の加熱エリアに置き直したり、鍋底の反りが許容範囲を超えている調理鍋を使用しないようにする対処を速やかに行うことができる。
また、前記加熱停止やエラー報知を、前記第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度が所定の条件を満たさなくなってから一定時間後に行うことにより、上述したような効果に加えて、使用者が、誤って天板上に載置した鍋を動かし、鍋の載置位置を加熱コイルの中心部からずらしてしまったり、調理の段取りの都合でわざと鍋の載置位置をずらしたりした場合にも、一定時間内に元に戻せば加熱停止やエラー報知は行われないので、上述したような加熱停止やエラー報知を極力減らすことができる。
また、前記第2温度検出手段は、前記加熱コイルの中心部から半径の略1/2の位置に配置されることにより、上述したような効果に加えて、加熱コイルから発生する磁界は、加熱コイルの巻線上が強いため、加熱コイルの巻線形状と同様にドーナツ形状に磁界が強くなり、巻線の存在しない加熱コイル中心部と外周部は磁界が弱く、それに伴って加熱は弱くなるので、第2温度検出手段を加熱コイルの中心部から半径の略1/2の位置に配置することで、調理鍋が多少ずれても調理鍋の温度上昇を捕らえることができ、かつ第1温度検出手段の検出温度とは明確に区別できる。
また、前記所定の条件として、前記第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度差が一定範囲内に入ることを条件としたことにより、上述したような効果に加えて、比較的容易かつ確実に条件判断を行うことができる。
以下、本願発明の一実施例となる組み込み式誘導加熱調理器を、各図面に基づいて説明する。なお、本願発明の対象となる電磁調理器は、以下に説明する組み込み式誘導加熱調理器の他、誘導加熱(IH)方式の加熱コイルが一つだけの簡易な卓上型の誘導加熱調理器にも適用可能である。
図1及び図2において、組み込み式誘導加熱調理器の本体1の上面周囲に設けられた天板枠2には、セラミック製のトッププレート(天板)3が取り付けられており、天板枠2後部には本体1内への吸気口と排気口とを設けた通気部4が設けられている。この通気部4には、多数のパンチング孔を穿設した通気カバー4aが着脱自在に取付けられている。なお、ここで、天板枠2の前部とは、後述するシンク18に本体1が組み込まれ、使用者が使用するとき、使用者側の天板枠2の一側部であり、また後部とは前部の反対側、すなわち使用者から一番離れた側部である。
天板枠2の前部側には天板操作部5が設けられ、トッププレート3の前部側中央には表示部6が設けられている。本体1の前面左側には、内側に調理庫を有するロースタ部7が配置され、このロースタ部7は扉8を有している。一方、本体1の前面右側には、操作部9が配置されており、この操作部9には、誘導加熱部の出力設定部10、タイマー運転を行うためのタイマー設定部11、電源スイッチ12が設けられている。
前記表示部6は、トッププレート3下方に配置され、表示部6と対向するトッププレート部分は透明に形成され、使用者はトッププレート3を介して表示部6を見ることができるよう構成されている。
また、前記天板操作部5は、前面側の操作部9と同様な操作指示設定が可能となるよう構成されている。従って、天板操作部5は、従来、本体前面の操作部9しか存在しなかったため、操作を行う際、目線を移動させてかがみながら操作しなければならないという課題を解決し、本体上面のトッププレート3付近に集約することで、使用者は立ったままの姿勢で、調理鍋内の攪拌や火加減の調整などが行えるようになり、使い勝手を向上できるものである。
トッププレート3上の前部左右には、後述する2つの誘導加熱コイル部の位置が印刷により描かれた誘導加熱部13,14が形成され、後部中央には誘導加熱できないアルミ製鍋等のためのラジエントヒータの位置が印刷により描かれたヒータ加熱部15が形成されている。各誘導加熱部13,14の下には、トッププレート3上に載置された調理鍋を誘導加熱する誘導加熱コイル部が対応して配置され、またヒータ加熱部15の下には、トッププレート3上に載置した調理鍋をヒータ加熱するラジエントヒータが対応して配置されている。各誘導加熱部13,14の前側には、それらの出力を表示するLEDなどで形成された出力表示部16,17が設けられている。
上記本体1は、図3に示すように、一般家庭の台所に設置されているシンク18に設けられた凹所に、トッププレート3がシンク18の天板部18aに露出するように、またロースタ部7及び操作部9がシンク18の前面部18bから臨むように組み込まれる。それゆえに組み込み式と呼ばれているのである。なお、このシンク18の凹所には、ガスコンロなども置き換えて組み込めるように、大きさが統一されている。
図1のA−A断面を示す図4において、トッププレート3の誘導加熱部13の直下には誘導加熱コイル部19が配置されている。また、その下方には、食品を出し入れするための前面開口を有するロースタ部7の調理庫20が設けられており、この調理庫20の底部20aには、扉8に着脱自在に連結された受け皿21が収納される。この調理庫20の上面20b外壁には、調理庫20内に収納された食品を加熱する平面ヒータから成る上ヒータ22が配置され、調理庫20の下部で受け皿21の上方には、調理庫20の後面20cから調理庫20内に突設させたシーズヒータから成る下ヒータ23が配置されている。また、受け皿21内には、下ヒータ23の上方に食品を載置するための平面部24aを有する食品載置台となる焼網24が載置され、この焼網24上に食品載置ネットとなるネット補助具25が着脱自在に載置される。
また、調理庫20には、その後面20cに開口20dが形成され、この開口20dと前記通気部4とが排気筒20eで連結されている。この排気筒20e内には、調理庫20側の開口20d近傍に配置された触媒用ヒータ20fと、この触媒用ヒータ20fの下流側に配置され、触媒用ヒータ20fによって加熱することで調理庫20内の食品から発生する煙や臭気を分解する脱煙触媒20gと、この脱煙触媒20gの下流側に配置され、調理庫20内の煙や臭気を前記触媒用ヒータ20f及び脱煙触媒20gを介して吸引し、通気部4から排気させる排気ファン20hが備えられている。
前記脱煙触媒20gは、プラチナ触媒(貴金属触媒)から構成され、触媒用ヒータ20fで加熱することで活性化し、有機成分を低温燃焼,すなわち酸化分解させることにより、通気部4から排気される煙や臭いを大幅に減少できるものである。このため、家庭のキッチンにおいて、組み込み式誘導加熱調理器専用の換気扇を使用していない場合、一般換気扇の吸引力が少ないために煙を十分に吸い込めず、キッチン全体に通気部4から排気される煙や臭気が拡散して壁面などが汚れるという課題を解決できるものである。特に、最近のキッチンは、オープンタイプが多く、キッチンに拡散した煙がリビングに流出することを抑制できるものである。
また、前記表示部6は、図2に示すように、天板枠2の近傍に1つの液晶表示素子で形成された第1表示部6aと、この第1表示部6aの後方に配置した第2表示部6bとを有している。図6の拡大図に示すように、第1表示部6aには、誘導加熱部13及び14での誘導加熱の様子を表示するものである。詳細には、中央に現在の加熱モード、すなわち加熱,湯沸し,保温,揚げ物調理,少量油での揚げ物調理を表示するモード表示部61と、モード表示部61の左右に各モード位置に対応させて三角印からなるモード指示部62,63とを有している。各モード指示部62,63は、現在の対応する誘導加熱部13,14の動作モードを三角印の点灯(他の三角印は消灯)により表示している。
また、第1表示部6aには、モード指示部62の左側上段にあって誘導加熱部13の現在の出力設定値、または揚げ物調理モードなら設定温度を表示する設定表示部64と、この設定表示部64の下段にあって誘導加熱部13のタイマー設定時の残り時間表示を行うタイマー時間表示部65と、モード指示部63の右側上段にあって誘導加熱部14の現在の出力設定値、または揚げ物調理モードなら設定温度を表示する設定表示部66と、この設定表示部66の下段にあって誘導加熱部14のタイマー設定時の残り時間表示を行うタイマー時間表示部67とを有している。
一方、第2表示部6bには、第1表示部6aに近傍する側にラジエントヒータ及びロースタ部7の各ヒータの駆動状態と設定出力を表示するヒータ設定表示部68とロースタ部7の自動調理メニュー表示部69とが配置されている。自動調理メニュー表示部69は、現在実行されているメニューを下方からLEDなどの点灯で、指示表示するよう構成されている。
図6は本実施例の組み込み式誘導加熱調理器の制御ブロック図であり、誘導加熱制御部30は前述した誘導加熱コイル部19を有し、トッププレート3上に印刷した誘導加熱部13上に載置した調理鍋を誘導加熱し、誘導加熱制御部31は同じく図示しない誘導加熱コイル部を使用してトッププレート3上に印刷した誘導加熱部14上に載置した調理鍋を誘導加熱する。負荷検出部32は、各誘導加熱部13,14に載置された調理鍋が、誘導加熱できない例えばアルミ製鍋や土鍋などの場合や、フォークやナイフなど誤って載置したが加熱されたくない小物などを、各誘導加熱制御部30,31内を流れる電流によって検出し、加熱が不適切と判断したとき、後述する制御部を介して誘導加熱制御部30,31を駆動停止させる。
ラジエントヒータ33はヒータ加熱部15の下方に配置され、ロースタヒータ34はロースタ部7の上ヒータ22及び下ヒータ23を総称したものである。冷却ファン35は本体1内に配置され、通気部4から吸気して後述する制御部や誘導加熱コイル部などを冷却し、再び通気部4から排気させるものである。IHサーミスタ群36は前述のトッププレート3の下方で各誘導加熱コイル部上に配置され、ロースタサーミスタ37は調理庫20の側面外壁に取り付けられて調理庫20内の温度を検知し、基板サーミスタ群38は後述する制御部を載置したプリント基板上の温度や、誘導加熱制御部30,31に使用されるパワースイッチング素子やダイオードブリッジなどの温度を検知する。制御部39は、マイクロコンピュータ等から構成されて、天板操作部5や前面の操作部9からの指示、IHサーミスタ群36、ロースタサーミスタ37、基板サーミスタ群38からの情報を元に、誘導加熱制御部30,31やラジエントヒータ33、ロースタヒータ34、冷却ファン35等に駆動指示を出力して駆動制御する。制御電源部40は商用電源から制御電源を形成して制御部39に供給する。また、報音部29は、エラー発生等をブザー音などの音により報知するもので、前記表示部6と共に本願発明の報知手段を構成する。
電源スイッチ12は、制御電源部40と商用電源との間に配置され、また触媒用ヒータ20f、排気ファン20h、誘導加熱制御部30,31、ラジエントヒータ33、ロースタヒータ34及び冷却ファン35は、電源スイッチ12と制御電源部40との間の電源ラインから分岐して、各部品に電源が供給されている。したがって、電源スイッチ12がオフされると、全ての電源がオフされる構成となっている。
前記誘導加熱制御部30の誘導加熱コイル部19及び誘導加熱制御部31の誘導加熱コイル部には、その中心部と誘導加熱コイル部の磁界の強くなる部分とに、IHサーミスタ群36を構成するサーミスタから成る後述の第1温度検出部と第2温度検出部が配置され、トッププレート3上に載置された調理鍋の温度をトッププレート3を介して検知して、間接的に調理鍋内の調理物の温度を検知するようにしている。図7に基づいて詳細に説明すると、図7(a)には誘導加熱コイル部の上面図を示し、図7(b)には図7(a)の誘導加熱コイル部位置に対応した磁界の強さを表している。前述の誘導加熱制御部30の誘導加熱コイル部19及び誘導加熱制御部31の誘導加熱コイル部を総称した誘導加熱コイル部41は、円形のコイル台42上に、リッツ線を撚った撚り線を用いて渦巻き状に巻いて形成した加熱コイル43を配置して構成され、加熱コイル43の中心部にサーミスタから成る第1温度検出部44が配置されると共に、加熱コイル43の半径の略1/2の位置で、加熱コイル43上の磁界が強い位置にサーミスタから成る第2温度検出部45を配置している。なお、サーミスタから成る前記第1,第2温度検出部44,45は前記図6に示したIHサーミスタ群36を構成している。
加熱コイル43から発生する磁界は、加熱コイル43の巻線上が強いため、加熱コイル43の巻線形状と同様にドーナツ形状に磁界が強くなり、巻線の存在しない加熱コイル中心部と外周部は磁界が弱く、それに伴って加熱は弱くなるので、第2温度検出部45を加熱コイル43の中心部から半径の略1/2の位置に配置することで、調理鍋が多少ずれても調理鍋の温度上昇をいち早く捕らえることができ、かつ第1温度検出部44の検出温度とは明確に区別できる。
本実施例のものでは、上記第1温度検出部44に加えて第2温度検出部45を用いることにより、調理鍋が所定の加熱エリアから外れた位置に置かれていたり、調理鍋底の反りが許容範囲を超えている場合における安全面に配慮されている。
以下、使用者が天板操作部5の操作により、揚げ物調理を選択したときの制御部39の動作を図8に示すフローチャートを参照して説明する。
先ずステップS1では、揚げ物調理が天板操作部5で選択されたとき、予め決められた設定温度T,例えば180℃を設定すると共に、鍋が天板上に載置されていれば、加熱コイル43への通電を開始し、揚げ物調理を開始する。
次のステップS2では、天板操作部5にて使用者が設定温度Tを変更したか否かを判断する。ここで変更したと判断された場合、設定温度Tを変更された温度に変更する(ステップS2のYes→ステップS3→ステップS2)。
ステップS4では、第1温度検出部44で検出温度T1を検出する。そして、ステップS5で、検出温度T1が設定温度Tより大きいか否かを判断する。設定温度Tより検出温度T1が大きいと判断された場合、加熱コイル43への通電を停止し、加熱を中断する(ステップS5のYes→ステップS6→ステップS2)。これは、鍋内の油の温度が設定温度に到達したので、加熱を一時停止させるためである。
ステップS7では、加熱コイル43への通電を開始する。これは、上記ステップS6で加熱停止された状態から加熱動作を開始させるためのものである。なお、加熱コイル43へ通電している状態でも、このステップS7は実行されるが、既に通電開始しているので、その状態は変わらない。
次のステップS8では、第2温度検出部45で検出温度T2を検出する。そして、ステップS9で、検出温度T1とT2の差,すなわちT2からT1を減算した絶対値が予め定められた一定値α以下か否か(一定範囲内が否か)を判断する。一定値α以下の場合は(ステップS9のYes)、前記ステップS2に戻って上述した処理を繰り返す。
通常、前述したように加熱コイル43から発生する磁界はドーナツ状に強くなり、第2温度検出部45の温度上昇が早く、第1温度検出部44の温度上昇は遅くなる。また、温度安定時には、第2温度検出部45の温度が高く、第1温度検出部44の温度は低くなる。しかし、調理用鍋が加熱コイル43の所定の加熱エリアから外れた位置に置かれている場合や、鍋底が逆反りしている場合には、いち早く温度の上昇を捕らえることができるはずの第2温度検出部45が逆に正常に温度を捕らえることができなくなるので、第1温度検出部44の検出温度T1と第2温度検出部45の検出温度T2との温度差が正常時に種々測定して予め定めた一定値α内に入らない状態となる。
このように、ステップS9で温度差が一定値αより大きいと判断された場合は、一定値αより大きいと判断されてからの時間経過をカウントする(ステップS9のNo→処理S10)。そして、次のステップS11で、ステップS10での時間カウント値が一定時間,ここでは例えば30秒経過しているか否かを判断する。30秒経過していなければ(ステップS11のNo)、前記ステップS2に戻って上述した処理を繰り返す。
一方、上記ステップS11で30秒経過したと判断された場合にはステップS12に進み、加熱コイル43への通電を停止し、さらにステップS13にて表示部6にエラー表示し、報音部29よりエラー報知を行う。このようなエラー表示は、例えば図5に示した表示部6の対応する設定表示部64,66の設定温度表示の代わりに、エラーを示す“E”と対応するエラー番号を表示することにより実現でき、使用者はエラー番号から取扱説明書を見てエラーの具体的内容を知って、調理鍋を置き直したり、中央部が下方に突出したような調理鍋を使用しない等の対処を速やかにとることができる。また、音によるエラー報知はブザー音等の連続音や間欠音により上記同様にして対処することができる。
上記のような異常時に一定時間(30秒)後に加熱停止やエラー報知を行うことにより、使用者が、誤って天板上に載置した鍋を動かし、鍋の載置位置を加熱コイル43の中心部からずらしてしまったり、調理の段取りの都合でわざと鍋の載置位置をずらしたりした場合にも、一定時間内に元に戻せば加熱停止やエラー報知は行われないので、加熱停止やエラー報知を極力減らすことができる。
以上、本願発明の一実施例について説明したが、本願発明は、上記の実施例の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上記実施例では、加熱コイル43への通電を停止するとともに、エラー報知を行うようにしたが、加熱停止のみを行うようにしても、安全面での一定の効果が得られる。また、報知も表示と報音の両方を行うようにしたが、いずれか一方だけでも一定の効果が得られる。さらに、調理鍋が所定の加熱エリアから外れた位置に置かれている場合と調理鍋底の反りが許容範囲を超えている場合を区別無く判断したが、それぞれの場合で第2温度検出部45の温度上昇の仕方が異なるので、これらを別々に判断して対応するエラー報知等を行うことも可能である。
また、上記実施例では、第2温度検出部45を加熱コイル43の中心部から半径の略1/2の位置に配置したが、加熱コイル43の中心部から半径内に所定距離隔てて位置するように配置すれば一定の効果が得られる。
また、上記実施例では、所定の条件を温度差が一定範囲内に入ることとして比較的容易かつ確実に条件判断を行うことができるようにしたが、第1温度検出部44と第2温度検出部45の温度上昇率の比較により、ほぼ一致する否か判断し、一致しなければエラーと判断することも可能である。
3 トッププレート
5 天板操作部
6 表示部
7 ロースタ部
9 操作部
13,14 誘導加熱部
19 誘導加熱コイル部
29 報音部
30,31 誘導加熱制御部
36 IHサーミスタ群
39 制御部
41 誘導加熱コイル部
43 加熱コイル
44 第1温度検出部
45 第2温度検出部
5 天板操作部
6 表示部
7 ロースタ部
9 操作部
13,14 誘導加熱部
19 誘導加熱コイル部
29 報音部
30,31 誘導加熱制御部
36 IHサーミスタ群
39 制御部
41 誘導加熱コイル部
43 加熱コイル
44 第1温度検出部
45 第2温度検出部
Claims (6)
- 調理鍋が載置される天板下に配置された加熱コイルと、この加熱コイルの中心部に位置するように配置された第1温度検出手段と、前記加熱コイルの中心部から半径内に所定距離隔てて位置するように配置された第2温度検出手段と、前記第1温度検出手段の検出温度と第2温度検出手段の検出温度との比較により所定の条件を満たさない場合には加熱コイルへの通電を停止する制御手段とを備えたことを特徴とする電磁調理器。
- 前記制御手段は、通常動作時には前記第1温度検出手段を用いて温度制御を行い、前記加熱停止の条件として前記第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度を比較判定することを特徴とする請求項1記載の電磁調理器。
- 前記制御手段は、前記加熱停止時に報知手段を用いてエラー報知することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電磁調理器。
- 前記制御手段は、前記加熱停止やエラー報知を、前記第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度が所定の条件を満たさなくなってから一定時間後に行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電磁調理器。
- 前記第2温度検出手段は、前記加熱コイルの中心部から半径の略1/2の位置に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電磁調理器。
- 前記所定の条件として、前記第1温度検出手段と第2温度検出手段の検出温度差が一定範囲内に入ることを条件としたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電磁調理器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003418911A JP2005183055A (ja) | 2003-12-17 | 2003-12-17 | 電磁調理器 |
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EP1813872A2 (en) * | 2006-01-25 | 2007-08-01 | LG Electronics Inc. | Apparatus and method for monitoring hot surface of cook top |
EP1813872A3 (en) * | 2006-01-25 | 2013-12-18 | LG Electronics Inc. | Apparatus and method for monitoring hot surface of cook top |
JP2011151034A (ja) * | 2011-03-28 | 2011-08-04 | Sanyo Electric Co Ltd | 加熱調理器 |
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