JP2005179858A - 手袋の製造方法及び当該製造方法により得られた不織布を構成材料とする手袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】 不織布を構成材料とした手袋を製造するにあたり、装着時の破れもなく、外観が良好な手袋が得られるとともに、生産性にも優れた手袋の製造方法及び当該製造方法により得られた不織布を構成材料とする手袋を提供すること。
【解決手段】 重ね合わせた2枚の不織布を、超音波振動を発振する超音波発振機21と、回転状態の回転ロール22との間を通過させるとともに、前記超音波発振機21の底面部221で回転ロール22の表面に形成された手袋形の溶断刃23を押圧することにより、重ね合わされた2枚の不織布2を手袋形状に超音波溶断する手袋1の製造方法及び不織布2を構成材料とする手袋1であり、溶断時に溶断刃23が不織布2を溶断する部分が不織布に対して点接触となるため、手袋1の全体に対して溶着部をムラなく形成することができ、手袋1を安定して連続的に生産することが可能となる。
【選択図】 図6
Description
また、重ね合わされた2枚の不織布を、超音波ウェルダー等の超音波発生機を用いて手袋周縁部を超音波溶断して不織布製手袋を形成していく技術も知られている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、このような技術では、高温の手袋型により手袋全面を一度に溶断する必要がある一方、熱溶断する面積が広いことに加え、溶断部分の長さも手袋1枚当たり1m以上にも及んでしまうため、製造に際して大きな圧力が必要となることから熱溶断されない部分も出てしまう等、安定した熱溶断を実施することが困難であった。
また、加熱した手型により不織布の全面を均一に押圧することが困難な場合もあり、手袋を連続的に安定した生産することができないという問題もあった。
このように、従来における不織布製手袋の製造方法にあっては、生産性や得られる手袋の品質や特性の面において、必ずしも満足のいくものが得られていなかったのが実状であった。
また、超音波溶断を超音波発信機と、表面に手袋形状の溶断刃が形成された回転ロールで行うようにしているので、手袋を連続的に安定して生産することが可能となる。
そして、不織布層を構成材料として超音波溶断により手袋を得るようにしているので、溶断時の樹脂劣化による焦げ目やヒゲのない手袋を簡便な手段で得ることができる。
なお、本明細書において、「不織布層」とは、不織布単体、不織布の積層体やこれらと他の層(例えば、フィルム層)との積層体を含む意味である。
かかる本発明によれば、超音波発振機の回転ロールに対する押圧力を特定の範囲としているので、超音波発信機が手袋を構成する不織布層や溶断刃を超音波溶断に適した状態で押圧することが可能となるため、不織布を手袋形状に効率よく超音波溶断することができる。
かかる本発明によれば、超音波発振機の底面部が平面状であるため、不織布層に対する超音波振動の伝達や溶断刃による超音波溶断がスムースに行われることになる。
かかる本発明は、前記した製造方法を用いて得られるものであるので、不織布同士を溶着する溶着部も強固に溶着されており、装着時の破れもなく、また、溶着部におけるヒゲや焦げ目の発生もない、外観が良好な手袋を得ることができる。
かかる本発明によれば、不織布層を構成する繊維が特定の熱可塑性樹脂からなるようにしているので、通気性、保温性、伸縮性、手に対する着脱性に優れ、また、手指の脂の付着を防止でき、手の感触も良好な手袋を得ることができる。
かかる本発明によれば、不織布層を構成する繊維が、熱可塑性樹脂からなる繊維とレーヨン、キュプラ、綿、絹、パルプといった融点を持たない非溶融性繊維とを混合してなるものであるので、吸水性、保湿性、保液性に優れた手袋を得ることができる。
かかる本発明によれば、不織布層をスパンボンド不織布とすることにより、スパンボンド不織布は腰と張りがあり、また、柔軟性にも優れ、手袋の強度等を良好なものとすることができる。
更には、スパンボンド不織布は、安定した生産が可能となるため、手袋を低コストで製造することが可能となる。
ここで、フィルム層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド(ナイロン)系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられ、これらの一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
かかる本発明によれば、不織布層が不織布と熱可塑性樹脂からなるフィルム層との積層体からなるものであるので、前記した効果に加えて、防水性、防汚性を付与することができ、また、手に対する着脱性を更に向上させることができる。
なお、不織布とフィルム層とを積層するには、公知のドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、ポリサンドラミネート法により積層すればよく、例えば、いわゆるカーテンスプレー方式によりホットメルト接着剤等を塗布して、両者を積層するようにしてもよい。不織布とフィルム層をこのように積層すれば、柔軟性、装着感が向上した手袋となる。
なお、本発明の手袋1は、超音波溶断により形成されるため、かかる溶着部5の幅W1を、概ね0.1〜0.6mm程度と小さくすることができる。
また、本発明の手袋1を構成する不織布1を構成する材料としては、この中でも、ポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。
一方、伸度が20%より小さい場合にあっては、手袋1の伸びが不十分であるために手袋1が装着しづらくなる場合があり、また、伸度が200%より大きい場合にあっては、手袋1は装着しやすくなる反面で、手袋1を装着した後に手袋1が脱落したり、装着感が悪くなる場合がある。
また、このような不織布2としては、例えば、エルタス(登録商標)PC8020、PC8030(ともに旭化成せんい(株)製)等が市販されており、これらを使用することができる。
図2は、本発明の手袋1の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とすることもある)を実施する製造装置10の基本構成を示した概略図である。
また、図3は、図2の製造装置10における超音波溶断部20の構成を示した概略図である。なお、図2においては、溶断刃23は回転ロール22の表面に2箇所配設されており、また、図3においては、不織布2は示されていない。
この超音波溶断部20は、図示しない供給部から送り出されてきた2枚の不織布2を、超音波ホーン21と、表面に手袋形状の溶断刃23が形成された回転ロール22とで挟み込んで、超音波ホーン21より発される超音波振動により積層される不織布2を発熱させた状態で、超音波ホーン21を回転ロールに押し当てて押圧し、回転ロール22を回転させて手袋形状の溶断刃23により溶断することにより、周囲が好適に溶着された手袋1を得ることができる。
また、この超音波ホーン21は、底面部211を平面形状とすることが好ましく、これにより回転ロール22の表面に形成される溶断刃23との接触を効率よく行うことができる。
超音波溶断部20では、図4(A)に示すように、図示しない供給部から送り出されてくる積層された2枚の不織布2を挟み込んだ状態で、超音波ホーン21を図4(A)の矢印の方向に下ろして、当該超音波ホーン21の底面部211により不織布2及び回転ロール22を押圧する。
そして、この図4(B)の状態で回転ロール22が回転することにより、重ね合わされた2枚の不織布2が、手袋形状に超音波溶断されていくことになる。
図5(A)において、溶断刃23の刃角αは、80〜160度の範囲内とすることが好ましく、100〜140度の範囲内であることが特に好ましい。溶断刃23の刃角αが80度より小さいと、不織布2の溶断された端面が十分に融着されずに、着用時に手袋1が破れてしまう場合がある。一方、溶断刃23の刃角αが160度より大きい場合にあっては、溶断しようとする場所以外にも超音波による振動が伝達されてしまい、手袋1を構成する不織布2同士の融着が起こり、手袋1の形状が不安定になってしまう場合があるため好ましくない。
0.6mmの範囲内とすることが好ましく、0.2〜0.3mmの範囲内とすることが特に好ましい。平面部231の幅が0.1mmより小さいと、不織布2の融着が不十分な状態で切断されてしまい、使用時に手袋1が破れてしまう場合がある。一方、平面部231の幅が0.6mmより大きいと、超音波溶断がスムースに行われずに、溶断面にバリ等が形成されてしまい、手袋1の外観を悪くしてしまう場合がある。また、超音波溶断を実施するにあたって超音波ホーンの出力を大きくする必要があるため、コスト高となる場合がある。
また、溶断部23aの高さT2は、0.1〜0.5mm程度とすればよい。
なお、図5(A)及び(B)において、溶断刃23の高さは、例えば0.4〜1.0mm、溶断刃23の幅W4は、例えば2〜5mmの範囲内とすればよい。
そして、回転ロール22の表面に対して溶断刃23を設けるには、ミル彫刻等の彫刻により形成してもよく、また、ケミカルエッチング等のエッチングにより形成するようにしてもよい。
まず、供給部30から送り出される2枚の不織布2は、ガイドロール31を通過することにより積層される。また、積層された2枚の不織布2は、ロール32を通過して、超音波溶断部20に送られていく。
なお、超音波溶断部20においては手袋1の手首部分は溶断されないため、この超音波溶断部20では、手袋1と不織布2とは離れていない。
そして、切断された手袋1は、落下して収納部60に収納され、手袋が打ち抜かれた後の不織布2は、巻取部70にて巻き取られていくことになる。
このように、本発明の手袋の製造方法により、不織布2を構成材料とした手袋1を、安定して連続的に製造することができる。
例えば、前記した実施形態では、手袋1として、単層の不織布2を2枚重ね合わせた構成のものを示したが、これには限定されず、例えば、図7及び図8に示すように、不織布2に更に他の層を積層した材料を手袋1の構成材料として用いてもよい。
なお、以下の説明では、既に前記した実施形態で説明した部分又は部材と同様な部材等については、同一符号を付して、その説明を省略している。
フィルム層3の厚さは、10〜50μmの範囲内とすることが好ましく、15〜25μmの範囲内とすることが特に好ましい。
ここで、不織布2に挟みこまれるフィルム層3を構成する材料としては、前記した図7の態様に示した材料に準ずればよい。
また、本態様におけるフィルム層3の厚さは、10〜50μmの範囲内とすることが好ましく、15〜25μmの範囲内とすることが特に好ましい。
手袋1に対して防水性、防汚性を付与することができ、また、手に対する着脱性を更に向上させることができる。このため、使用時に手が濡れや汚れを好適に防止することができる。
その他、本発明の実施における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としても問題はない。
不織布製手袋の製造(1):
図6に示した製造装置10を用いて、使用した不織布2の仕様、回転ロール22の表面に形成される溶断刃23の仕様及び製造条件をそれぞれ下記のようにして、不織布2を構成材料とした手袋1(不織布製手袋1)を連続的に製造したところ、装着時の破れもなく、外観が良好な不織布製手袋1を連続的に安定して製造することができた。
品名 : エルタスクリンプ(登録商標)PC8020(旭化成せんい(株)製、ポリプロピレン系スパンボンド不織布)
目付 : 20g/m2
厚み : 0.20mm
破断伸度 : 70%(縦、横とも)
溶断刃23の材質 : 炭素鋼(S25C)
溶断刃23の刃角α : 120度
平面部231の幅W2 : 0.2mm
溶断刃23の幅W4 : 3.0mm
溶断刃23の高さT1 : 0.6mm
溶断部23aの高さT2 : 0.3mm
超音波ホーン21の押圧力 : 0.14MPa
超音波ホーン21の周波数 : 19.15kHz
超音波ホーン21の出力 : 1200W
回転ロール22の回転速度 : 5m/分
回転ロール22の幅 : 260mm
回転ロール22の径 : φ250mm
不織布製手袋の製造(2):
実施例1の不織布製手袋1の製造において、溶断刃23を図5(A)から図5(B)の形状のものに変更した以外は、実施例1と同様な方法を用いて不織布製手袋1を製造したところ、実施例1と同様に、装着時の破れもなく、外観が良好な不織布製手袋1を連続的に安定して製造することができた。
なお、溶断刃23の仕様は下記のようにした。
平面部231の幅W2 : 0.2mm
突起部232の幅W3 : 0.8mm
溶断刃23の幅W4 : 3.0mm
溶断刃23の高さT1 : 0.8mm
突起部232の高さT3 : 0.3mm
2…不織布
5…溶着部
10…製造装置
20…超音波溶断部
21…超音波ホーン(超音波発信機)
22…回転ロール
23…溶断刃
23a…溶断部
30…供給部
40…テンションロール
50…打抜部
60…手袋収納部
70…巻取部
211…底面部
231…平面部
232…突起部
α…溶断刃の刃角
W1…溶着部の幅
W2…平面部の幅
W3…突起部の幅
W4…溶断刃の幅
T1…溶断刃の高さ
T2…溶断部の高さ
T3…突起部の高さ
Claims (8)
- 重ね合わせた2枚の不織布層を、超音波振動を発振する超音波発振機と、回転状態の回転ロールとの間を通過させるとともに、
前記超音波発振機の底面部で回転ロールの表面に形成された手袋型の溶断刃を押圧して、重ね合わされた2枚の不織布層を手袋形状に超音波溶断することを特徴とする手袋の製造方法。 - 請求項1記載の手袋の製造方法において、
前記超音波発振機の底面部による前記回転ロールに対する押圧力が0.1〜0.7MPaであることを特徴とする手袋の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の手袋の製造方法において、
前記超音波発振機の底面部が平面状であることを特徴とする手袋の製造方法。 - 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の手袋の製造方法により得られたことを特徴とする不織布を構成材料とする手袋。
- 請求項4に記載の不織布を構成材料とする手袋において、
前記不織布層を構成する繊維が、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリアミド(ナイロン)系樹脂、ポリ乳酸(PLA)系樹脂よりなる群から選ばれた一種または二種以上の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする不織布を構成材料とする手袋。 - 請求項5に記載の不織布を構成材料とする手袋において、
前記不織布層を構成する繊維が、レーヨン、キュプラ、綿、絹、パルプよりなる群から選ばれた一種または二種以上からなる繊維を混合することを特徴とする不織布を構成材料とする手袋。 - 請求項4ないし請求項6の何れかに記載の不織布を構成材料とする手袋において、
前記不織布層がスパンボンド不織布であることを特徴とする不織布を構成材料とする手袋。 - 請求項4ないし請求項7の何れかに記載の不織布を構成材料とする手袋において、
前記不織布層が、不織布と熱可塑性樹脂からなるフィルム層の積層体であることを特徴とする不織布を構成材料とする手袋。
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