JP2005179845A - 一方向性炭素繊維織物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素繊維の配向が一方向揃っており、炭素繊維がばらばらにならず、容易に積層が可能で取扱いやすいとともに、炭化焼成処理によって横糸が残存しない特徴を有する一方向性炭素繊維織物を提供する。
【解決手段】多数本の炭素繊維からなる炭素繊維糸である縦糸と、熱融着性樹脂含有繊維である横糸からなる一方向性炭素繊維織物であって、横糸の熱融着性樹脂含有繊維は炭素化可能な有機繊維で構成される非融着性繊維および熱融着性樹脂繊維からなり、熱融着性樹脂繊維が90〜120℃で融着可能であり、非融着性繊維が融着しないかあるいは熱融着性樹脂繊維の融着温度より20℃以上高い温度でしか融着しない繊維であり、縦糸と横糸は横糸の熱融着性樹脂によって融着している一方向性炭素繊維織物。
【選択図】なし
【解決手段】多数本の炭素繊維からなる炭素繊維糸である縦糸と、熱融着性樹脂含有繊維である横糸からなる一方向性炭素繊維織物であって、横糸の熱融着性樹脂含有繊維は炭素化可能な有機繊維で構成される非融着性繊維および熱融着性樹脂繊維からなり、熱融着性樹脂繊維が90〜120℃で融着可能であり、非融着性繊維が融着しないかあるいは熱融着性樹脂繊維の融着温度より20℃以上高い温度でしか融着しない繊維であり、縦糸と横糸は横糸の熱融着性樹脂によって融着している一方向性炭素繊維織物。
【選択図】なし
Description
本発明は、炭素繊維織物に関するものであり、特に炭素繊維強化炭素複合材料や炭素繊維強化金属複合材料の強化繊維として有用な炭素繊維織物およびその製造方法に関する。
耐熱性の構造部材やヒートシンクのような放熱部材においては、CFRP製なみに軽量で高い曲げ剛性を有し、かつ耐熱性が優れた材料が求められてきており、炭素繊維強化炭素複合材料や炭素繊維強化金属複合材料などの先端材料が開発されてきた。これら先端材料は強化繊維である炭素繊維の配向により、伝熱特性や機械的強度に特徴をもたせることが可能なものである。
従来これらの炭素繊維には一方向プリプレグを使用することが知られていたが、一方向プリプレグの製造には大規模な製造設備が必要であり、未だ小規模な需要しか望めない先端材料分野では一方向プリプレグのコストが莫大となり現実的ではなかった。
また一方向性炭素繊維織物の使用が考えられるが、市販の一方向性炭素繊維織物は横糸がガラス繊維であり、ガラス繊維は珪素分として焼成後も不純物として残存する問題があって、組成のスペックが厳しい先端材料としては適さなかった。
また特許文献1には縦糸構成に着目した一方向性炭素繊維織物の発明が記載されている。しかしその実施例では、市販の一方向性炭素繊維織物と同様ガラス繊維が用いられている。
本発明は、かかる先端材料に有用な強化繊維用途の一方向性炭素繊維織物として、炭素繊維の配向が一方向に揃っており、炭素繊維がばらばらにならず、容易に積層が可能で取扱いやすいとともに、炭化焼成処理によって横糸が残存しない特徴を有する一方向性炭素繊維織物を提供するものである。
即ち、本発明は多数本の炭素繊維からなる炭素繊維糸である縦糸と、熱融着性樹脂含有繊維である横糸からなる一方向性炭素繊維織物であって、横糸の炭素化可能な有機繊維で構成される非融着性繊維および熱融着性樹脂繊維からなり、熱融着性樹脂繊維が90〜120℃で融着可能であり、非融着性繊維が融着しないかあるいは熱融着性樹脂繊維の融着温度より20℃以上高い温度でしか融着しない繊維であり、縦糸と横糸は横糸の熱融着性樹脂によって融着していることを特徴とする一方向性炭素繊維織物に関する。
また本発明は多数本の炭素繊維からなる撚りのない炭素繊維糸を縦糸として用い、横糸として熱融着性樹脂含有繊維を用い、該熱融着性樹脂含有繊維は炭素化可能な有機繊維で構成される非融着性繊維および熱融着性樹脂繊維からなり、熱融着性樹脂繊維が90〜120℃で融着可能であり、非融着性繊維が融着しないかあるいは熱融着性樹脂繊維の融着温度より20℃以上高い温度でしか融着しない繊維からなり、該縦糸と該横糸を用いて一方向性炭素繊維織物を製造する方法であって、複数本の前記炭素繊維糸を各々解舒し、該複数の縦糸の間に複数の横糸を通して前駆織物を製織し、この前駆織物を熱融着性樹脂繊維の融着温度より10℃高い温度から、非融着性繊維の融着温度もしくは熱融着性樹脂繊維の融着温度より40℃高い温度の何れか低い方の温度、に設定した加熱加圧装置に通すことによって、縦糸を撚りのない扁平にしかつ横糸に含まれる熱融着性樹脂繊維を融着させて横糸と縦糸を融着することを特徴とする一方向性炭素繊維織物の製造方法に関する。
本発明の一方向性炭素繊維織物を用いることにより、引き揃えが一層容易になり、熱伝導率や弾性率等の機械的強度について設計どおりの最終製品を製造することができる。
また容易にC/C用の樹脂が含浸でき、当該樹脂を含浸した特別な一方向プリプレグを製造する必要もないので全体の製造コストを抑えることができる。
CFシートの製造:
本発明の一方向性炭素繊維織物は炭素繊維束を一方向に並べて、熱融着性樹脂含有繊維で該炭素繊維束間が分かれないように融着することにより作製される。強化繊維としての炭素繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維のいずれも使用できるが、高い曲げ剛性(弾性率)、振動減衰性や高い熱伝導率を要求する場合はピッチ系炭素繊維が好ましい。例えば、PAN系炭素繊維としてトレカ(登録商標、東レ(株)社製)、パイロフィル(登録商標、三菱レイヨン(株)社製)、ベスファイト(登録商標、東邦レイヨン(株)社製)、ピッチ系炭素繊維としてグラノック(登録商標、日本グラファイトファイバー(株)社製)の各種グレードの糸が挙げられる。
縦糸の炭素繊維は通常、硬化剤を含有しない0.5〜2.5質量%程度のエポキシ樹脂系サイジング剤を付着させたものである。サイジング剤が0.5質量%より少ないと、製織工程での縦糸に毛羽立ちが多くなり、製織後の縦糸の扁平な形状を維持することが困難になる。一方、2.5質量%を越えるサイジング剤は、織物へのマトリックス樹脂の含浸を阻害したり、成形物の物性を低下させることがあるので好ましくない。
前記炭素繊維は、通常1000〜100000本、好ましくは1000〜20000本のフィラメントから構成することができる。これらのフィラメントは、積層設計が容易なため通常無撚りが好ましい。ただし、0.1〜20回/m、好ましくは0.1〜5回/mの撚りをかけて炭素繊維とすることもでき、僅かな撚りをかけて用いることにより、前記強化繊維と前記熱融着性樹脂含有繊維との融着の際、前記熱融着性樹脂含有繊維が前記炭素繊維に面接触し、好ましい炭素繊維織物とすることができる。
なお、前記炭素繊維は、後述する貼着工程におけるマトリックス樹脂の含浸性を良好とするため、後に詳述する熱融着性樹脂含有繊維とは異なり、樹脂を含んでいないことが好ましい。
前記炭素繊維は、引張弾性率が通常150〜1000GPa、好ましくは200〜1000GPa、引張強度が通常2〜10GPa、好ましくは3.5〜10GPa、破断伸度が通常1〜10%、好ましくは1.5〜10%であることが望ましい。
前記熱融着性樹脂含有繊維は、熱融着性樹脂繊維および非融着性繊維で構成され、全て炭素化可能な材料で構成されていることが必須であり、かつ縦糸の炭素繊維と横糸の熱融着性樹脂含有繊維とが熱融着性樹脂繊維によって融着でき適度に炭素繊維を拘束可能な強度を有する限り特に限定されない。
非融着性繊維は炭素化可能なもので構成されていることが必須であり、有機繊維で前記した特性を有するものであればよい。例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維等のような有機合成繊維や、綿糸、絹糸、麻糸等のような天然有機繊維でもよい。非融着性繊維は熱ロール等の加熱加圧装置を通したときに織物が変形しないように熱収縮しない材質であることが好ましく、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、綿糸等が好ましい。
非融着性繊維は、補助糸とも呼ばれるものであり、本発明では、縦糸をほぐれないようにできるものであればいずれの繊維からなってもよい。横糸の繊度は縦糸の繊度より小さくかつ50〜600デニールの範囲にあることが好ましい。
熱融着性樹脂繊維は、炭素化可能なもので構成されていることが必須であり、非融着性繊維に混繊、付着あるいは付帯させて使用することができる。該付帯のさせ方は非融着性繊維に平行に沿わせるか、非融着性繊維の周囲に螺旋状に巻いて付帯させるか、エアーサッカー等を使用して非融着性繊維に絡ませることができるが、螺旋状に巻くほうが炭素繊維との融着が確実で好ましい。横糸における非融着性繊維と熱融着性樹脂繊維の割合は特に限定されないが、通常横糸中に熱融着性樹脂繊維を3〜20質量%程度存在させる。
前記熱融着性樹脂繊維としては、炭素繊維との融着性に優れたものが好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等からなる繊維を用いることができる。
なお、熱融着性樹脂繊維を使用するときは融着温度が90〜120℃程度が好ましい。非融着性繊維は、融着しない材質か、融着するとしても融着温度が、熱融着性繊維の融着温度よりも10℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上高いことが重要である。この範囲にないと炭素繊維との融着が確実に行えないか、非融着性繊維が融着等により損傷して横糸が縦糸である炭素繊維の拘束ができなくなるため好ましくない。
前記熱融着性樹脂含有繊維は、通常10〜10000本、好ましくは100〜1000本のフィラメントから構成することができる。
前記炭素繊維織物において、前記縦糸と横糸との織り方は特に限定されないが、平織り、綾織り、朱子織り等の織り方で織ったものを使用することができる。また、横糸と縦糸とは、通常90°で交差するものを使用するが、90°以外で交差したものを使用することもできる。
前記炭素繊維及び熱融着性樹脂含有繊維の配置間隔は、炭素繊維を保持すること、後述するマトリックス樹脂の含浸性をよくすること、炭素繊維方向を選択的に強化すること等の観点から、前記炭素繊維の間隔が密であり、好ましくは炭素繊維間の隙間(目すき)が実質的にないか、目すきがあったとしても1mm以下、好ましくは0.5mm以下であり、かつ前記熱融着性樹脂含有繊維が3〜100mmと疎であることが望ましい。
前記縦糸と横糸との融着方法は、熱融着性樹脂繊維による融着であれば特に限定されず、熱ロールを通過させるなどのホットメルト接着方法等の通常の方法を用いることができる。また、融着するとは、前記熱融着性樹脂の少なくとも一部が溶融し、前記炭素繊維に付着または含浸した後硬化し、縦糸と横糸とが接着又は固着された状態をいう。
前記炭素繊維織物の設計厚さは、通常0.05〜0.5mmである。
前期炭素繊維織物のシート寸法は特に限定されず強化対象の構造物に応じて決定されるが、通常幅10〜200cm、長さ1〜500mのものを用いることができる。
前記炭素繊維織物の繊維目付は通常50〜1000g/m2、好ましくは100〜6000g/m2のものを用いることができる。
上述した一方向炭素繊維織物を使用することにより、炭素繊維の引き揃えが容易になり繊維の弾性率、強度等の機械的物性、さらに熱物性(熱膨張率と熱伝導率)について設計どおりの最終製品を製造することができる。また容易に炭素繊維織物に樹脂を含浸でき、当該樹脂を含浸した特別な一方向プリプレグを製造することが必要な場合も、一方向プリプレグの製造には大掛かりな装置が必要とされることもないので全体の製造コストが安くできる。熱融着性樹脂含有繊維に有機系の合成繊維を使用すれば焼成工程により炭化するので熱融着性樹脂含有繊維が不純物として残存して最終製品の性能に影響を与えることもない。
織物製造方法:
本発明の一方向性炭素繊維織物は、縦糸が撚りのないものが好ましく、この場合多数本の炭素繊維からなる撚りのない炭素繊維糸を縦糸として用い、横糸として熱融着性樹脂含有繊維を用いる。複数本の前記炭素繊維糸を各々解舒し、該複数の縦糸の間に複数の横糸を通して前駆織物を製織し、この前駆織物を下限が熱融着性樹脂繊維の融着温度より10℃高い温度であり、上限が非融着性繊維の融着温度かもしくは熱融着性樹脂繊維の融着温度より40℃高い温度の何れか低い方であるように設定した加熱加圧装置、例えば熱ロールに通すことによって、熱融着性繊維を溶かし、縦糸を撚りのない扁平な形状にしかつ横糸に含まれる熱融着性樹脂繊維を融着させて横糸と縦糸を融着することによって得ることができる。
本発明の一方向性炭素繊維織物は、縦糸が撚りのないものが好ましく、この場合多数本の炭素繊維からなる撚りのない炭素繊維糸を縦糸として用い、横糸として熱融着性樹脂含有繊維を用いる。複数本の前記炭素繊維糸を各々解舒し、該複数の縦糸の間に複数の横糸を通して前駆織物を製織し、この前駆織物を下限が熱融着性樹脂繊維の融着温度より10℃高い温度であり、上限が非融着性繊維の融着温度かもしくは熱融着性樹脂繊維の融着温度より40℃高い温度の何れか低い方であるように設定した加熱加圧装置、例えば熱ロールに通すことによって、熱融着性繊維を溶かし、縦糸を撚りのない扁平な形状にしかつ横糸に含まれる熱融着性樹脂繊維を融着させて横糸と縦糸を融着することによって得ることができる。
この温度範囲をはずれると、炭素繊維との確実な融着が困難であり、あるいは横糸が加熱加圧装置の熱で損傷して炭素繊維の確実な拘束ができないので好ましくない。
更に、縦糸が横糸と製織された後、加熱加圧装置を通過して撚りのない扁平となったときの縦糸は、幅が3〜16mm、厚みが0.1〜0.6mmであることが好ましい。
更に、縦糸が横糸と製織された後、加熱加圧装置を通過して撚りのない扁平となったときの縦糸は、幅が3〜16mm、厚みが0.1〜0.6mmであることが好ましい。
本発明の一方向性炭素繊維織物は、縦糸同士のピッチの縦糸幅に対する比が0.8〜1.3、織物目付が50〜600g/m2、繊維密度が0.4〜2.2g/cm3、織物厚さが0.1〜0.5mmの範囲であることが好ましい。ここで、織物の繊維密度とは、次式で定義される値をいう。
織物の繊維密度(g/cm3)=[織物目付(g/m2)]/[織物厚さ(mm)]
尚、織物目付(g/m2 )及び織物厚さ(mm)は、JIS R7602に準拠して測定する値である。本発明の好ましい形態の一方向性炭素繊維織物は、縦糸ピッチが縦糸幅とほぼ同じであるので、織物の繊維密度は大きくすることができ強化繊維部材として好ましく使用できる。
尚、織物目付(g/m2 )及び織物厚さ(mm)は、JIS R7602に準拠して測定する値である。本発明の好ましい形態の一方向性炭素繊維織物は、縦糸ピッチが縦糸幅とほぼ同じであるので、織物の繊維密度は大きくすることができ強化繊維部材として好ましく使用できる。
繊維密度が上記範囲内の織物を用いれば、ハンドレイアップ成形法や真空バッグ成形法等の簡易成形法であっても、繊維体積含有率の大きな、すなわち機械的特性に優れた、炭素繊維強化炭素複合材、炭素繊維強化複合金属材、繊維強化プラスチック等の炭素繊維強化複合材料を成形することができる。
本発明の一方向性炭素繊維織物は、複数の炭素繊維糸からなる縦糸と、横糸とが交錯した織物で、織り組織は綾組織や繻子組織等特に限定はない。しかし、通常の織物に比べ本発明の織物は横糸間の間隔が大きく、目ずれしやすいので、形態安定性の点から平織組織が好ましい。
また、本発明の織物は、扁平な縦糸が非常に粗い密度で製織され、織糸のクリンプが小さいので剪断変形させやすい。すなわち、本発明の織物は、縦糸の間隔を詰める余裕が充分あるので、剪断変形させたときに織糸の幅並びに間隔を狭めながら皺を発生させることなく大きく変形させることができる。
本発明の一方向性炭素繊維織物には、公知の方法によりマトリックス樹脂を含浸させてプリプレグを製造することもできる。本発明において使用することができるマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられ、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等がある。これらの熱硬化性樹脂は、織物に含浸された状態でBステージである。
また、マトリックスとして使用できる熱可塑性樹脂としては、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。なお、本発明の織物に占める熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の量は、プリプレグの質量基準で好ましくは30〜67質量%、より好ましくは34〜55質量%である。
実施例:
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。もっとも本発明は実施例等により限定されるものではない。
本発明の方法を適用して本発明の一方向性炭素繊維織物を製造する際に使用する織物製造装置を説明する。製造装置は、横糸供給装置として、ボビン、ガイドローラ、引取りローラ、テンション装置及びレピア等を備えており、縦糸供給装置として、クリール、コーム、テンションガイド、綜絖および筬を備えている。本実施例では、1本の縦糸を構成する炭素繊維糸を2本とし、縦糸供給装置のクリールには4つのボビンを設けた。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。もっとも本発明は実施例等により限定されるものではない。
本発明の方法を適用して本発明の一方向性炭素繊維織物を製造する際に使用する織物製造装置を説明する。製造装置は、横糸供給装置として、ボビン、ガイドローラ、引取りローラ、テンション装置及びレピア等を備えており、縦糸供給装置として、クリール、コーム、テンションガイド、綜絖および筬を備えている。本実施例では、1本の縦糸を構成する炭素繊維糸を2本とし、縦糸供給装置のクリールには4つのボビンを設けた。
先ず、横糸供給装置を説明すると、ボビンには、繊維が600デニールのポリエステル繊維糸(融着温度160℃)が巻回されており、該ポリエステル繊維には縦糸と融着するため共重合ナイロン糸(融着温度110℃)を螺旋状に8質量%からませている。このポリエステル繊維はガイドローラを経て、引取りローラの回転により一定速度で解舒される。そして、引取りローラから引き出されたポリエステル繊維糸は、テンション装置のガイドを経てレピアに引掛けられる。
テンション装置は、レピアによる縦糸間への間欠的な横糸の挿入に際し、引取りローラによって一定速度で解舒されるポリエステル繊維糸の弛みをスプリングで吸収させて、常に緊張させておくものである。レピアは筬の前部に配置される長手条の部材で、間欠的に横方向に作動して、横糸を製織部の縦糸間に挿入するものである。
次に縦糸供給装置について図1を参照して説明する。用いた縦糸1は、撚りのない、引張強度が約5GPa、引張弾性率が約235GPa、引張破断伸度が2.1%で、エポキシ系サイジング剤が0.8質量%付着した炭素繊維糸(東レ(株)社製トレカM46J(炭素繊維の数12,000本、繊度445g/(1000m))4本であり、4つのボビン2に1本ずつ巻かれている。
炭素繊維糸1は、各ボビン2から撚りがかからないように解舒され、目板3の各穴へ1本ずつ通される。綜絖4は、炭素繊維糸毎に1本配置されており、隣接する2本の綜絖が1本の縦糸用の炭素繊維糸をメール5を通してそれぞれ1本ずつ筬6へ案内する。また、一対の綜絖とこれに隣接する他の一対とは、メールが所定の高低差をもって位置するよう駆動手段によって昇降され、筬6の下流側に形成される縦糸と縦糸の間に横糸10を通す杼道を作る。綜絖のメールは、隣接する糸と綜絖との間における干渉を少なくする目的で丸あるいは縦長形状になっている。
筬6は、フレーム7に多数の筬羽8が上下方向に配置されたものである。ここでは4本の炭素繊維糸1を所定の密度に配列させ、一対の筬羽8、8間に1本ずつ通して4本の縦糸とした上で織前へ案内した。
縦糸供給装置においては、上記の様に炭素繊維糸が多数の撚りのない縦糸を織前に導き、そして横糸供給装置から送られてくる横糸に織り込んで平織り物を製織した。その後130℃に加熱した熱ロールに通して横糸に含まれるナイロン糸を溶融させて縦糸と横糸を固着させ、図2に示すような撚りのない扁平な縦糸11とした一方向性炭素繊維織物を製造した。
得られた織物は、縦糸の密度が2.5本/cm、横糸密度1.25本/cm、縦糸の幅4mm、縦糸ピッチ/縦糸幅比1.00、織物目付200g/m2 、織物厚さ0.11mm、織物密度0.9g/cm3 であった。
この織物を20枚同一方向に積層し、フェノール樹脂を含浸させてCFRP板を作製した。このとき樹脂は十分に含浸した。得られたCFRP板を1000℃で焼成して炭化し、炭素繊維強化炭素複合材料を製造した。当該部材の曲げ強度1750MPa、引張弾性率202GPaであり、機械的性能に優れていた。
1:炭素繊維糸
2:ボビン
3:目板
4:綜絖
5:メール
6:筬
7:フレーム
8:筬羽
10:横糸
11:縦合糸
2:ボビン
3:目板
4:綜絖
5:メール
6:筬
7:フレーム
8:筬羽
10:横糸
11:縦合糸
Claims (2)
- 多数本の炭素繊維からなる炭素繊維糸である縦糸と、熱融着性樹脂含有繊維である横糸からなる一方向性炭素繊維織物であって、横糸の熱融着性樹脂含有繊維は炭素化可能な有機繊維で構成される非融着性繊維および熱融着性樹脂繊維からなり、熱融着性樹脂繊維が90〜120℃で融着可能であり、非融着性繊維が融着しないかあるいは熱融着性樹脂繊維の融着温度より20℃以上高い温度でしか融着しない繊維であり、縦糸と横糸は横糸の熱融着性樹脂によって融着していることを特徴とする一方向性炭素繊維織物。
- 多数本の炭素繊維からなる撚りのない炭素繊維糸を縦糸として用い、横糸として熱融着性樹脂含有繊維を用い、該熱融着性樹脂含有繊維は炭素化可能な有機繊維で構成される非融着性繊維および熱融着性樹脂繊維からなり、熱融着性樹脂繊維が90〜120℃で融着可能であり、非融着性繊維が融着しないかあるいは熱融着性樹脂繊維の融着温度より20℃以上高い温度でしか融着しない繊維からなり、該縦糸と該横糸を用いて一方向性炭素繊維織物を製造する方法であって、複数本の前記炭素繊維糸を各々解舒し、該複数の縦糸の間に複数の横糸を通して前駆織物を製織し、この前駆織物を熱融着性樹脂繊維の融着温度より10℃高い温度から、非融着性繊維の融着温度もしくは熱融着性樹脂繊維の融着温度より40℃高い温度の何れか低い方の温度、に設定した加熱加圧装置に通すことによって、縦糸を撚りのない扁平にしかつ横糸に含まれる熱融着性樹脂繊維を融着させて横糸と縦糸を融着することを特徴とする一方向性炭素繊維織物の製造方法。
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