JP2005179562A - 多孔性フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた電池用セパレータ - Google Patents

多孔性フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた電池用セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】 機械的強度に優れ、電池用セパレーターとして有用な多孔性フィルムを提供する。
【解決手段】 ポリエチレンに代表されるポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂及び炭素原子の略球殻状構造を有するフラーレン類(フラーレン類とは、炭素原子数60〜100程度のフラーレンまたはこの2量体、3量体、フラーレン誘導体、フラーレンを有する錯体、金属内包フラーレンなどを意味する。)からなる組成物から公知の方法で多孔性フィルムを製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子材料、衣料、医療・衛生品、包装材料などに用いられる多孔性フィルムに関し、特に、機械的強度に優れた多孔性フィルムに関するものである。
従来、多孔性フィルムは、防水透湿性フィルムや各種フィルタなどの各種用途に広く使用されている。多孔性フィルムが用いられる具体的な用途としては、例えば、電池用セパレータ、電解コンデンサ隔膜等の電子材料用途、精密濾過膜等の分離膜用途、雨カッパ、手袋、防塵着、手術着、防水服等の衣料用途、病院用シーツ、紙おむつ用バックシート、生理用ナプキン、防漏シート、包袋等の医療・衛生品用途、脱酸素剤、乾燥剤等の包装材料の用途を挙げることができる(特許文献1〜5)。
特開平11−21370号公報 特開平11−116714号公報 特開2001−2826号公報 特開2002−200670号公報 特開2003−82139号公報
このように多様な分野に広く用いられている多孔性フィルムには、その機械的強度をより高めたいという課題がある。すなわち、例えば工業的プロセスにおいて多孔性フィルムを利用した製品の生産速度をさらに上げようとする場合や、多孔性フィルムを新規の用途に適用していく場合等に、多孔性フィルムの機械的強度をより高めたい場合がある。
多孔性フィルムの機械的強度を上げる方法としては、従来、例えば多孔性フィルムの延伸倍率を制御する方法が提案されていた。しかし、延伸倍率を制御する方法では、多孔性フィルムの多孔構造が変化し、所定の気体や液体に対する所望の透過性が十分に発現されなくなる場合がある。
また、上記多孔性フィルムの機械的強度を上げる別の方法として、例えば充填剤や補強剤を添加する方法が提案されていた。しかし、充分な機械的強度を得るには相当量の充填剤や補強剤を添加しなければならないため、延伸加工が困難となる場合がある。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたものである。即ち、本発明は、従来よりも高い機械的強度を有する多孔性フィルム及びその製造方法を提案することを目的とする。さらに、本発明は、この多孔性フィルムの具体的な用途の一例として、例えば、これを用いた電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行なった結果、熱可塑性樹脂及びフラーレン類から形成される多孔性フィルムが、高い機械的強度を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、熱可塑性樹脂及びフラーレン類から形成されることを特徴とする、多孔性フィルムに存する(請求項1)。
このとき、多孔性フィルムは、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることが好ましい(請求項2)。
また、多孔性フィルムは、フラーレン類がC60及び/又はC70であることが好ましい(請求項3)。
本発明の別の要旨は、熱可塑性樹脂及びフラーレン類から形成される多孔性フィルムの製造方法であって、
(a)フラーレン類と熱可塑性樹脂との混合物を得る工程、及び、
(b)該混合物を成形して多孔性フィルムとする工程
を有することを特徴とする、多孔性フィルムの製造方法に存する(請求項4)。
本発明のさらに別の要旨は、電池に使用される電池用セパレータであって、上記の多孔性フィルムからなることを特徴とする、電池用セパレータに存する(請求項5)。
本発明によれば、高い機械的強度を有する多孔性フィルムを得ることができる。
また、本発明によれば、電池の性能を保ちつつ、機械的強度を向上させることができるセパレータを得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。
<A.多孔性フィルム>
本発明の多孔性フィルムは、熱可塑性樹脂及びフラーレン類から形成されることを特徴とする。以下、本発明の多孔性フィルムについて、詳細に説明する。
[A−1.多孔性フィルムの構成]
(1)熱可塑性樹脂
本発明の多孔性フィルムに用いられる熱可塑性樹脂について特に制限は無く、公知の熱可塑性樹脂を任意に用いることができる。
本発明の多孔性フィルムに用いる熱可塑性樹脂の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等のオレフィンの単独重合体または2種類以上のオレフィンの共重合体、および1種類以上のオレフィンと該オレフィンと重合可能な1種類以上の重合性モノマーとの共重合体であるポリオレフィン系樹脂;ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル系樹脂;ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体等のスチレン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹脂;6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン等のアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和エステル系樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;ポリアセタール;ポリフェニレンスルフィド;シリコーン樹脂;熱可塑性ウレタン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルイミド;各種熱可塑性エラストマーやこれらの架橋物等が挙げられる。
上記例示した熱可塑性樹脂のうち、安価である、混練や延伸工程における温度が適度である、延伸加工適性に優れている、柔軟性などのフィルム物性に優れているなどの理由から、ポリオレフィン系樹脂が好ましく使用される。
ここで、ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(ブテン−1)およびエチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
さらに、ポリオレフィン系樹脂のうちで好ましいのはポリエチレン樹脂である。その中でも、フィルム強度や延伸特性などがより優れているので、高密度ポリエチレン(HDPE)が特に好ましい。ここで高密度ポリエチレン樹脂とは、密度が0.926g/cm3以上のポリエチレン樹脂をいうが、その中でも、密度が0.930g/cm3以上の高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
高密度ポリエチレン樹脂は、シート状に成形し、縦横各3倍以上二軸延伸することにより、各延伸方向のフィルム破断強度を200kg/cm2以上と高めることが可能であるため、本発明の多孔性フィルムの機械的強度を高めることができる。
さらに、高密度ポリエチレン樹脂としては、そのメルトフローレート(以下適宜、「MFR」という)が通常1以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.1以下のものが望ましい。MFRを1以下とすると延伸倍率を高めることがより容易になり、本発明の多孔性フィルムの強度を効果的に向上させることができる。
熱可塑性樹脂の分子量については、特に制限はない。通常、公知のフィルム成形方法でフィルム形成が可能であれば熱可塑性樹脂の分子量は任意であり、例えば、重量平均分子量で10000以上1000万以下の範囲で最適な範囲を選択すればよい。一般に、熱可塑性樹脂は、分子量が過度に小さいと強度が小さく延伸加工しにくい傾向がある。また、分子量が過度に大きいと、粘度が大きく均一混合しにくい、溶融押出加工がしにくいなどの傾向がある。しかし、重量平均分子量を上記範囲とすれば、上記の傾向を良好に抑制できる利点がある。
なお、重量平均分子量は、従来公知の方法{例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法}を用いることにより測定できる。GPC法では測定する熱可塑性樹脂とともに溶媒を用いる必要があるが、用いる溶媒は、熱可塑性樹脂にあわせて従来公知の溶媒を用いればよい。
また、本明細書において規定したこれら熱可塑性樹脂の性状は、常温(25℃)、常湿(50%RH)において、通常固体である。
さらに、熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(2)フラーレン類
本発明の多孔性フィルムに用いられるフラーレン類について特に制限は無く、公知のフラーレン類を任意に用いることができる。ただし、本明細書において、フラーレンとは球殻状または略球殻状炭素分子を指し、フラーレン類とは、フラーレン、フラーレン誘導体、フラーレンを有する錯体、金属内包フラーレン(メタロフラーレン)等のフラーレン骨格を有する物質、並びに、それらの混合物のことを指す。なお、上記フラーレン又はフラーレン骨格を有する球殻または略球殻構造においては、これを構成する炭素の一部が欠損していても良い。
フラーレンの種類は、本発明の目的を満たす限り特に制限されない。具体例としては、C60、C70、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100等又はこれら化合物の2量体、3量体等を挙げることができる。
これらフラーレンの中でも好ましいのは、C60、C70、又はこれらの2量体、3量体であり、特に好ましいのはC60及びC70である。C60、C70は溶媒への溶解性が高いため、特に極性の小さい樹脂との親和性に優れており、熱可塑性樹脂と均一に混合しやすいという利点がある。また、C60、C70は工業的に得やすい利点もある。
また、フラーレンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。ただし、併用する場合にはC60とC70とをともに用いることが好ましい。この組み合わせで用いることにより、熱可塑性樹脂に対するフラーレン類の均一分散性が高くなるからである。
このように、C60およびC70を併用する場合、C60:C70の重量比を、通常99:1以上、好ましくは95:5以上、より好ましくは90:10以上、また、通常1:99以下、好ましくは10:90以下、より好ましくは20:80以下の範囲とすることが望ましい。上記範囲内で用いることにより、C60とC70との相互作用が良好となり、熱可塑性樹脂に対するC60及びC70の分散安定性が向上するからである。
なお、フラーレンは、通常、抵抗加熱法、レーザー加熱法、アーク放電法、燃焼法などにより得られたフラーレン含有スートから抽出分離することによって得られる。この際、スートからフラーレンを完全に分離する必要は必ずしもなく、性能を損なわない範囲でスート中のフラーレンの含有率を調整することができる。
さらに、フラーレンは、常温(25℃)、常湿(50%RH)では、通常粉末状の性状を有し、その二次粒径は、通常10nm以上、好ましくは15nm以上、より好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上であり、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。ここで二次粒径とは、フラーレン分子が複数集合した凝集体の粒径をいい、例えば、フラーレン分子が複数集合して形成される微結晶体、この微結晶体が複数集合して形成される微結晶集合体、さらにこの微結晶集合体が複数集合して形成される粒子の粒径等が該当する。なお、微結晶体にはフラーレンの非晶質体が含まれていてもよい。
また、フラーレン誘導体とは、フラーレンを構成する少なくとも1つの炭素に、有機化合物の一部分を形成する原子団や無機元素等からなる基(以下適宜、「結合基」という)が結合した化合物をいう。なお、フラーレン誘導体を得るために用いるフラーレンとしては、本発明の目的を満たす限り制限されず、例えば具体的に示したフラーレンのいずれを用いてもよい。
結合基の式量としては、通常1以上、好ましくは6以上、より好ましくは16以上、さらに好ましくは20以上とする。式量を6以上とすれば、立体的に比較的大きい基(例えば、式量7となるLi)をフラーレン骨格に結合させることができ、フラーレン誘導体が安定化するものと考えられる。また、式量の上限は特に制限されず、上記結合基がポリマーのような高分子量のものであってもよい。但し、立体障害の点からは、式量を1000以下にすることが好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは300以下、特に好ましくは200以下とする。
結合基について特に制限はなく、フラーレンに結合させることができる基であれば任意の基を用いることができるが、工業的に得やすい点から、水素原子、アルカリ金属原子、カルコゲン原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、酸素を含む特性基、硫黄を含む特性基、窒素を含む特性基等が好ましい。
アルカリ金属原子としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等を挙げることができる。中でも工業的に合成し易い点から好ましいのは、リチウム、ナトリウム、カリウムである。
また、カルコゲン原子としては、例えば酸素、イオウ、セレン、テルル等を挙げることができる。中でも工業的に合成し易い点から好ましいのは、酸素、イオウである。
さらに、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。なおハロゲン原子に代えて、ハロゲン原子を含む基、例えばヨードシル基などを用いてもよい。
また、脂肪族炭化水素基としては、脂鎖式炭化水素基(脂肪族鎖状炭化水素基)及び脂環式炭化水素基が挙げられる。このうち、脂鎖式炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、エチニル基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
一方、脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−シクロヘキセニル基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、シクロヘキシル基である。
さらに、芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フェニル基、ベンジル基、ビフェニリル基である。
また、複素環基としては、例えばフリル基、フルフリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピペリジノ基、ピペリジル基、キノリル基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、フリル基、ピリジル基である。
さらに、酸素を含む特性基は、酸素を含む基であれば任意のものを用いることができるが、例えば水酸基、過酸化水素基、酸素原子(エポキシ基)、カルボニル基等を挙げることができる。この中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは水酸基、酸素原子である。
その他、酸素を含む特性基としては、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、なども挙げられる。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、メトキシ基、エトキシ基である。
カルボキシル基、エステル基としては、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、カルボキシ基、アセトキシ基である。
アシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロロホルミル基、オキサル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、ホルミル基、アセチル基である。
その他にも、酸素を含む特性基としては、例えばアセトニル基、フェナシル基、サリチル基、サリチロイル基、アニシル基、アニソイル基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、アセトニル基、サリチル基である。
また、硫黄を含む特性基としては、硫黄を含む基であれば任意のものを用いることができるが、例えばメルカプト基、チオ基(−S−)、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、チオホルミル基、チオアセチル基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、チオカルバモイル基、スルホン酸基、メシル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、トシル基、スルホアミノ基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、メルカプト基、スルホン酸基である。
さらに、窒素を含む特性基としては、窒素を含む基であれば任意のものを用いることができるが、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、ヒドロキシアミノ基、アセチルアミノ基、ベンザミド基、スクシンイミド基、カルバモイル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドラジノ基、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、ウレイド基、ウレイレン基、アミジノ基、グアニジノ基等を挙げることができる。中でも、工業的に合成し易い点から好ましいのは、アミノ基、シアノ基、シアナート基である。
さらに、上記の結合基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。結合基に置換する置換基は、それぞれ独立に、上述した結合基と同様のものを用いることができる。
結合基として好ましいのは、水素原子、ナトリウム、カリウム、酸素原子、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ビフェニリル基、エトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。なお、上記結合基の中でも酸素は結合手が2つあるため、酸素原子を結合基として用いると、酸素原子のそれぞれの結合手がフラーレンを構成する炭素原子と結合してエポキシ基を形成する。
上述した結合基がフラーレンに結合したフラーレン誘導体の中でも、特に好ましいフラーレン誘導体の例としては、水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、スルホン化フラーレン、ビフェニルフラーレン(単数又は複数のビフェニリル基がフラーレンの球殻構造に結合したフラーレン誘導体)などを挙げることができる。
フラーレン誘導体において、フラーレンに結合する結合基は、フラーレンを構成する炭素原子のうちの1つ以上に結合していればよい。また、1つのフラーレンに結合する結合基の数は、用いるフラーレン骨格に置換し得る最大数まで可能である。結合基の数としては、通常48個以下、好ましくは36個以下、より好ましくは10個以下、最も好ましくは4個以下である。
なお、1つのフラーレン誘導体に結合する結合基、及び置換基の種類は、それぞれ1種が単独であってもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で結合又は置換していても良い。
次に、フラーレン誘導体の構造について、その製造方法と共に説明する。
フラーレン誘導体は、フラーレンに結合基を結合させることにより製造することができる。フラーレンに結合基を結合させる際の具体的手法に特に制限は無く、目的とするフラーレン誘導体に応じて適当な手法により結合させればよい。
以下、フラーレンの例としてC60を用いてフラーレン誘導体の説明を行なう。
60に結合基を結合させる場合、その結合基は、C60分子中の(6−6)結合を構成する2個の炭素原子に結合する。これは、(6−6)結合を形成する2個の炭素原子の電子吸引性が高くなっているからである。なお、ここで「(6−6)」とはフラーレン骨格中において6員環同士が隣接している部分のことを指し、したがって、「(6−6)結合」とはフラーレン骨格の6員環同士が隣接している部分の炭素結合のことをいう。また同様に、後述する「(6−5)」とはフラーレン骨格中において6員環と5員環とが隣接している部分のことを指す。
また、結合する結合基は、C60の(6−6)結合のいずれかの炭素又は両方の炭素に結合する場合が考えられる。両方の炭素に結合する場合としては、両方の炭素に同一の結合基が結合する場合、異なる結合基が結合する場合、及び、両方の炭素が環の一部となるように環化付加する場合を挙げることができる。
結合基が環化付加する場合としては、付加した結合基が3員環、4員環、5員環、6員環を形成する各種の反応があり、環の構成分子にさらに置換基を結合させることにより様々なフラーレン誘導体を得ることができる。
3員環形成の付加反応により製造されるC60誘導体としては、例えば(6−5)開環系フレロイドや(6−6)閉環系メタノフラーレンなどが挙げられる。フレロイドやメタノフラーレンにおいてはフラーレンに結合する結合基はメチレン基であるが、このメチレン基の2個の水素を所定の置換基で置換すれば、より高次の誘導体が得られる。また、結合基として窒素原子を用い、この窒素原子により3員環を形成する場合はアザフレロイドとなり、窒素原子が有する3つの結合手のうち、フラーレン部分に結合する2つの結合手以外の結合手に結合する基を置換することにより多様なフラーレン誘導体を得ることができる。
60に結合基を結合させた際に、結合した結合基が5員環を形成する場合としては、ピラゾリン縮合体、オキサゾリジン縮合体、ジヒドロフラン縮合体、ピロリジン縮合体などを形成する場合が挙げられる。また、結合した結合基が6員環を形成する場合としては、ジエン類を付加する反応が知られている。そして、上記5員環又は6員環を形成する結合基を置換することによって、より高次の誘導体が得られることとなる。
また、5員環又は6員環においては、環を形成する原子数が多いことから、置換基を導入できる部位も複数あり多様な誘導体を形成することが可能となる。
60からフラーレン誘導体としてC60誘導体を製造させる場合には以上のようにして製造を行なう。同様に、C70をはじめ他のフラーレンからフラーレン誘導体を製造する場合も、それぞれのフラーレンに結合基を結合させることで、種々多様なフラーレン誘導体を製造し、本発明の多孔性フィルムに用いることができる。
さらに、フラーレン誘導体を合成する他の方法としては、以下のような方法を挙げることもできる。
例えば、求核付加反応を利用することにより、フラーレンに結合基を結合させて、フラーレン誘導体を得ることができる。具体的には、有機リチウム試薬やグリニャール試薬などとの反応により、アルキル基やフェニル基などの結合基をフラーレンに導入することができる。また、炭素求核剤であるシアン化ナトリウムを用いれば、シアノ基をフラーレンに導入することができる。このように、導入される基は用いられる試薬により変更することができる。
さらに、求核付加反応やシアン化ナトリウムを用いた反応により合成されるフラーレン誘導体は、アニオンとして塩を形成することもできるが、アニオンを求電子剤で捕捉することにより1,2―ジヒドロフラーレン誘導体とすることが多い。プロトンで捕捉すれば1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の1置換体を得ることができ、求電子剤の種類によれば第2の置換基としてメチル基やシアノ基を有する1,2―ジヒドロフラーレン誘導体の2置換体を得ることができる。
また、求核付加反応では他にシリルリチウムとの反応やアミンとの反応によりフラーレン誘導体を合成することもできる。
さらに、酸化反応、還元反応によれば水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレンを得ることができる。またラジカル反応によりフッ素などのハロゲンを導入することも可能である。
なお、フラーレン誘導体は通常、常温(25℃)、常湿(50%RH)では粉末状である。その2次粒径は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、また、通常1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。上記範囲とすることにより、フラーレン誘導体の熱可塑性樹脂への分散性が良好になる。
また、本発明の多孔性フィルムに含有させるフラーレン及びフラーレン誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(3)熱可塑性樹脂とフラーレン類との関係
上記のように、本発明の多孔性フィルムは熱可塑性樹脂及びフラーレン類から形成されるが、熱可塑性樹脂に対するフラーレン類の含有量は特に制限されず、それぞれ任意の比率で含有させることができる。ただし一般的には、熱可塑性樹脂100重量部に対するフラーレン類の含有量は、通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、また、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。上記範囲内とすることにより、熱可塑性樹脂中でのフラーレン類の分散状態を均一にすることができるからである。また、含有量を上記範囲内とすることにより、フラーレン類が凝集した領域が生じにくくなり、多孔性フィルムの延伸を行なう際に多孔性フィルムの破れを良好に抑制できるようになる。
(4)多孔性フィルムとフラーレン類との関係
また、フラーレン類の重量を除いた多孔性フィルムの重量を100重量部としたときに、これに対するフラーレン類の含有量は、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.03重量部以上とし、一方、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下とする。上記範囲とすれば、本発明の効果が顕著に発揮されるようになる。
(5)その他の成分
本発明の多孔性フィルムには、熱可塑性樹脂及びフラーレン類のほか、適宜任意の材料を含有させることができる。含有させる材料としては、例えば、充填剤、可塑剤、加工助剤、安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、非イオン性界面活性剤等の添加剤を挙げることができる。各添加剤は、それぞれ独立に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
充填剤は、通常、本発明の多孔性フィルムを成形する際に、多孔性フィルムの空孔を形成しフィルムを多孔化するために用いるものである。この他、充填剤は、様々な目的で用いることができる。充填剤としては、無機充填剤及び有機充填剤の何れも使用することができる。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム,酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト、珪藻土、酸化亜鉛、ガラス粉等が挙げられ、中でも炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、硫酸バリウム、アルミナが好適に用いられる。
また、有機充填剤としては、種々の樹脂粒子を使用することができるが、中でもスチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジルまたはアクリル酸メチルの単独重合体、上記モノマー群から選択される2種類以上のモノマーの共重合体、メラミン、尿素等の重縮合樹脂の粒子が好ましい。
上記充填剤の粒径は、平均粒径で通常5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下のものが望ましい。平均粒径が5μmをよりも大きくなると、延伸で形成される孔の径が大きくなりすぎ強度が低下する。一方、充填剤の粒径は、通常0.01μm以上となる。
上記充填剤の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して通常70重量部以上、好ましくは100重量部以上、また、通常400重量部以下、好ましくは200重量部以下である。上記範囲を下回ると、本発明の多孔性フィルムが多孔化はするものの十分な連通性が得られない。また、上記範囲を上回ると熱可塑性樹脂の粘度が高くなり、成形加工性に劣るばかりでなく、得られる多孔性フィルムが脆くなり十分な延伸が行なえなくなる虞がある。
また、充填剤は、熱可塑性樹脂への分散性を高めるため表面処理剤により表面処理されているものを用いることができるが、表面処理をしていない充填剤を用いてもよい。表面処理されていないものを用いる場合は、熱可塑性樹脂に上記充填剤を配合する際に表面処理剤を同時に又は逐次仕込むことが好ましい。
表面処理剤としては、充填剤の表面を疎水化できる化合物が挙げられ、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸又はその金属塩、ロジン及び変性ポリエチレンオリゴマー等が挙げられる。中でもステアリン酸等の脂肪酸又はその金属塩を用いるのが好ましい。
上記例示したものの中でも硫酸バリウムは好適な充填剤である。硫酸バリウムは、公知のものが任意に使用できるが、例えば、重晶石とオイルコークスとを還元焙焼して得られた硫化バリウムに硫酸または硫酸ナトリウムを反応、精製させて製造する沈降性硫酸バリウム、及び重晶石を粉砕して製造する簸性硫酸バリウムなどを用いることができる。
この硫酸バリウムとしては、平均粒子径が通常0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上とする。平均粒子径をこの範囲とすれば、二次凝集して多孔性フィルム上に凝集物として点在すること、及び、延伸ムラを生じることを抑制することができる。また、平均粒子径は、通常5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下とする。平均粒子径をこの範囲とすれば、多孔性フィルムの孔の緻密性が低下し延伸性が低下することを良好に抑制することができるようになる。
また、硫酸バリウムは、最大粒子径が15μm以下であり、10μm以下の粒子径のものが90重量%以上であることが好ましい。
なお、硫酸バリウムの配合量は、充填剤の全重量に対し、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、また、通常100重量%以下である。硫酸バリウムの配合量が、10重量%未満では得られる多孔性フィルムの連通孔が少なくなるため透湿度が小さくなる虞がある。
可塑剤は、通常多孔性フィルムの製造時において、熱可塑性樹脂と他の物質との組成物に対して塑性を与え、柔軟性、加工性を高めるものである。その種類に制限はないが、可塑剤を抽出することにより多孔性フィルムを形成する場合には、熱可塑性樹脂との相溶性を考慮し、しかも熱可塑性樹脂の融点より低い融点及び熱可塑性樹脂の溶融温度より高い沸点を有し、かつ、熱可塑性樹脂を溶解しない有機溶媒に可溶な物質が好適に用いられる。また、成形時の原料ハンドリングの簡便性を考慮すると、可塑剤としては常温固体のものが、好適に用いられる。例えば、ステアリルアルコール、セリルアルコールなどの高級脂肪族アルコール、n−デカン、n−ドデカンなどのn−アルカン類、パラフィンワックス、流動パラフィン、灯油などが挙げられる。これらの中で好ましいものとしては、ステアリルアルコール、パラフィンワックス、流動パラフィンが挙げられる。
可塑剤の配合量は、目的とする多孔性フィルムの多孔構造の違いにもによるが、熱可塑性樹脂と可塑剤との合計重量に対して通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、また、通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下である。
加工助剤は、通常、成形時の加工性を向上させるものであり、公知のものを任意に用いることができる。その具体例としては、例えば、アミド化合物、側鎖を有する炭化水素化合物、鉱油、ワックス類、脂肪酸エステル類などが挙げられる。
アミド化合物は、アミンとカルボン酸とからなる構造のモノまたはポリアミド化合物であれば特に制限はなく、アミノ基およびカルボニル基末端を分子内に残した化合物でも、アミド基の形で封鎖された化合物のいずれでもよい。具体的には、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、トリメチレンビスオクチル酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、トリオクタトリメリット酸アミド、ジステアリル尿素、ブチレンビスステアリン酸アミド、キシリレンビスステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルフタル酸アミド、ジステアリルオクタデカ二酸アミド、イプシロンカプロラクタム、およびこれらの誘導体が挙げられる。これらアミド化合物のうち、好ましいものとしては、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミドが挙げられる。
側鎖を有する炭化水素重合体としては、ポリα−オレフィン類で、炭素数4以上の側鎖を有する通常オリゴマーに分類されるものが好ましい。具体的には、エチレン−プロピレンの共重合体やそのマレイン酸誘導体(例えば、三井石油化学工業社製、商品名:ルーカント)、イソブチレンの重合体(例えば、出光石油化学工業社製、商品名:ポリブテンHV−100)、ブタジエン、イソプレンのオリゴマーおよびその水添物、1−ヘキセンの重合物、ポリスチレンの重合物およびこれらから誘導される誘導体、ヒドロキシポリブタジエンやその水添物、末端ヒドロキシポリブタジエン水添物(三菱化学製、商品名:ポリテールHA)、などが挙げられる。上記の側鎖を有する炭化水素重合体のうち、好ましいものとしては、エチレン−プロピレンの共重合体やそのマレイン酸誘導体、イソブチレンの重合体が挙げられる。
鉱油としては、流動パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。鉱油のうち好ましいものとしては、流動パラフィンが挙げられる。
脂肪族エステル類としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。このうち、ポリオレフィン系の樹脂との適応性に優れるのは、グリセリン脂肪酸エステルである。
加工助剤は、多孔性フィルムの全重量を100重量部としたときに、これに対し、通常0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上とし、一方、通常30重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下とする。上記範囲とすれば、加工助剤としての効果を十分に発揮することができるようになる。
また、酸化防止剤は多孔性フィルムを構成する熱可塑性樹脂等の酸化を防止するもので、公知のものを任意に用いることができる。その例としては、フェノール系、有機フォスファイド系、有機チオエーテル系等のものを用いることができる。
フェノール系の酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,6−ジ−シクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジイソプロピル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−2−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、テトラキス(メチレン(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート)メタン、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(例えば、旭電化工業(株)製アデカスタブAO−40)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1330)、1,3,5−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)メタン、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1010)、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルフェノール)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オキザミドビス(エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(2,4−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシル)プロピオネート)、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1076)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジルチオノ−1,3,5−トリアジン、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(例えば、シプロ化成(株)製シーノックス226M)、2,2′−メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール)、ビス(3,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシド)グリコールエステル、4,4′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート、1,3,5−トリス((3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニールオキシエチル)イソシアヌレート、2−オクチルチオ−4,6−ジ(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,4′−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)等が挙げられる。これらのうち好ましいものとしては、2, 6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4, 4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
有機フォスファイド系の酸化防止剤としては、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル−ジフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガフォス168)、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト(例えば、住友化学工業(株)製スミライザーTNP)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(例えば、旭電化工業(株)製アデカスタブPEP−8)、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノまたはジ混ノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4′−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)ビス(4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール))1,6−ヘキサンオールジホスファイト、フェニル−4,4′−イソプロピリデンジフェノールペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(例えば、旭電化工業(株)製アデカスタブPEP−24G)、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(例えば、旭電化工業(株)製アデカスタブPEP−36)、トリス(4,4′−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール))ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4′−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスファイト(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガフォスP−EPQ)等が挙げられる。これらのうち好ましいものとしては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスファイトが挙げられる。
有機チオエーテル系酸化防止剤としては、ジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−などのジアルキル−チオプロピオネート、及びブチル−、オクチル−、ラウリル−、ステアリル−などのアルキル−チオプロピオン酸の多価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートのエステル、ペンタエリスチトールテトララウリルチオプロピオネート等が挙げられる。さらに具体的にはジラウリルチオプロピオネート(例えば、ジラウリル−3−3′−チオジプロピオネート:(株)エーピーアイコーポレーション製DLTP「ヨシトミ」)、ジミリスチルチオプロピオネート(例えば、ジミリスチル−3−3′−チオジプロピオネート:(株)エーピーアイコーポレーション製DMTP「ヨシトミ」)、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート等が挙げられる。これらのうち好ましいものとしては、ジラウリルチオプロピオネート、ジミリスチルチオプロピオネートが挙げられる。
酸化防止剤は、多孔性フィルムの全重量を100重量部としたときに、これに対し、通常0.01重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上とし、一方、通常3重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下とする。上記範囲とすれば酸化防止剤としての効果を十分に発揮することができるようになる。
[A−2.多孔性フィルムの物性]
以下、本発明の多孔性フィルムの物性について説明する。
(1)膜厚
本発明の多孔性フィルムの膜厚に特に制限は無く、その用途に応じて任意の膜厚とすることができる。例えば、電池用セパレータ、電解コンデンサ隔膜、及び、電気二重層キャパシタ隔膜として用いる場合、本発明の多孔性フィルムの膜厚は、通常3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、一方、通常200μm以下、好ましくは50μm以下である。上記範囲内とすれば、電池、電解コンデンサ、及び、電気二重層キャパシタの体積エネルギー密度を十分確保することができ、セパレータのフィルム強度を確保し、正極と負極との短絡を抑制することもできる。
(2)透気度
本発明の多孔性フィルムの透気度について特に制限は無く、その用途に応じて任意の値とすることができる。例えば電池用セパレータに用いる場合、本発明の多孔性フィルムの透気度は、通常10(秒/100cc)以上、好ましくは30(秒/100cc)以上、また、通常3000(秒/100cc)以下、好ましくは1000(秒/100cc)以下、より好ましくは600(秒/100cc)以下である。上記範囲内とすれば、イオン電導性を十分に確保することができる。また、上記範囲内とすれば、フィルム強度が低下したり、孔の直線性が大きくなって短絡等を起こすことを良好に抑制することができる。なお、多孔性フィルムの透気度は、JIS P8117に準拠した方法で測定することができる。
(3)空孔率
本発明の多孔性フィルムの空孔率について特に制限は無く、その用途に応じて任意の値とすることができる。例えば電池用セパレータ、電解コンデンサ隔膜、及び、電気二重層キャパシタ隔膜に用いる場合、本発明の多孔性フィルムの空孔率は、通常20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、また、通常95%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。上記範囲内とすれば、フィルム強度が低下し破れやすくなることを良好に抑制することができる。また、上記範囲内とすれば、孔の連通性が低下しイオン電導性が低下することを良好に抑制することができる。なお、空孔率は、多孔性フィルムを2cm四方に切り出し、その膜厚と重量とを測定し、下記式(1)により計算で求める。
空孔率(%) = (Vρ−W)/(Vρ)×100 ・・・式(1)
但し、上記式(1)において、Vは切り出した多孔性フィルムの体積を表わし、Wは切り出した多孔性フィルムの重量を表わし、ρは多孔性フィルムの材料の密度を表わす。
(4)ピン刺し強度値
本発明の多孔性フィルムのピン刺し強度値について特に制限は無く、その用途に応じて任意の値とすることができる。例えば電池用セパレータ、電解コンデンサ隔膜、及び、電気二重層キャパシタ隔膜に用いる場合、本発明の多孔性フィルムのピン刺し強度値は、通常55800N/m(6gf/μm)以上、好ましくは62720N/m(6.4gf/μm)以上、より好ましくは66640N/m(6.8gf/μm)以上である。一方、ピン刺し強度は大きければ大きいほど好ましいが、通常は392000N/m(40gf/μm)以下となる。上記範囲とすれば、多孔性フィルムの機械的強度を十分に確保することができる。
ピン刺し強度の測定方法は、特に制限されず公知の方法を用いればよい。このような方法として、例えば、ピン径1mm、ピン先端0.5R、ピン刺し速度2cm/min、ホルダー径10mmの条件で測定を行い、最大強度をマイクロメータで計測する。そして、この最大強度をフィルム厚みで除してgf/μmを単位として算出する方法を挙げることができる。
(5)フラーレン類の熱可塑性樹脂中での粒径
本発明の多孔性フィルムにおいて、多孔性フィルム内に含有されるフラーレン類の粒径について特に制限は無いが、一般的には、多孔性フィルム内に含有されるフラーレン類の粒径平均粒径は通常30μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。なお、フラーレン類を熱可塑性樹脂中で均一に分散させるためには、平均粒径は小さければ小さい方が好ましいが、現実的には、下限値は0.001μmとなる。
フラーレン類は製造直後は粒子状の形態を有し、その粒度分布は数nmオーダーから数mmオーダーの範囲(10-9〜10-3mの範囲)と非常に広範にわたる。したがって、このようなフラーレン類をそのまま用いると、多孔性フィルム中でのフラーレン類の粒子径の分布が不均一となり、多孔性フィルムの性能が安定しない。すなわち、粒径分布が広範なフラーレン類を多孔性フィルムに含有させると、多孔性フィルム中において小粒径のフラーレン類が多数分布する領域は、耐熱性や機械的強度が高くなる一方で、多孔性フィルム中において大粒径のフラーレン類が少数分布する領域は、耐熱性や機械的強度の改善が得られにくい。このため、一つの製造ロット内又は複数の製造ロット間において多孔性フィルムの性能が安定せず、実使用可能な多孔性フィルムを得ることができなくなる。
しかし、多孔性フィルム中のフラーレン類の平均粒径を上述したような比較的小さな範囲とすると、多孔性フィルム中のフラーレン類の分散が良好となり、多孔性フィルムの機械的強度が向上する。これは、通常多孔性フィルム中では熱可塑性樹脂の高分子鎖とフラーレン分子とが、所定の拘束あるいは結合(擬似架橋点)を有すると考えられるためである。すなわち、フラーレン類の平均粒径を上述したような比較的小さな範囲とすると、フラーレン類の粒子の表面積が増大し、上述したような疑似架橋点がより多く形成されて、熱可塑性樹脂とフラーレン類との結合がより強固となる。これにより、多孔性フィルムの機械的性質が向上するものと考えられる。
なお、本発明においてフラーレン類の熱可塑性樹脂中での分散がよいとは、多数のフラーレン類の粒子が熱可塑性樹脂中に均一に存在することをいう。
また、本発明におけるフラーレン類の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、多孔性フィルムの断面を観察して熱可塑性樹脂中に存在するフラーレン類の凝集粒子30個の粒径を測定してその平均を計算する方法により得た値を用いることとする。
[A−3.多孔性フィルムの製造方法]
本発明の多孔性フィルムの製造方法は、少なくとも上述した熱可塑性樹脂及びフラーレン類よりなる多孔性フィルムを製造することが可能な製造方法であれば他に制限は無く、任意の方法により製造することができる。
一般に、多孔性フィルムの製造方法は、以下の(1)〜(4)のような製造方法によって製造することができる。
(1)原料である熱可塑性樹脂及びフラーレン類を良溶媒に溶解して、中空糸、フィルム等の任意の形状に成形し、得られた成形体を貧溶媒に浸漬させ、その際に生じる二相分離現象を利用する相転換法を利用した製造方法。
(2)原料である熱可塑性樹脂及びフラーレン類に、溶媒で容易に抽出できる添加剤を加えて成形し、得られた成形体中の添加剤を溶媒で抽出、除去する抽出法を利用した製造方法。
(3)原料である熱可塑性樹脂及びフラーレン類に、上記説明した無機充填剤、又は、上記説明した有機充填剤を加えて成形した後、得られた成形体を延伸し、熱可塑性樹脂と無機充填剤との界面、又は、熱可塑性樹脂と有機充填剤との界面を剥離させて多孔化する界面剥離法を利用した製造方法。
(4)結晶性を有する熱可塑性樹脂にフラーレン類を混合した後、成形し、得られた成形体を延伸し、構造的に弱い非晶質部分を選択的に延伸させて微細孔を形成する延伸法を利用した製造方法。
以上説明した4つの製造方法は、下記(a)、(b)の2つの工程に整理することができる。即ち、
(a)フラーレン類と熱可塑性樹脂との混合物を得る工程、及び、
(b)該混合物を成形して多孔性フィルムとする工程
の2つの工程である。本発明の多孔性フィルムの製造方法(以下適宜、「本発明の製造方法」という)は、上記(a)、(b)の工程を有する。
以下、それぞれの工程について説明する。
(a)フラーレン類と熱可塑性樹脂との混合物を得る工程
本発明の製造方法においては、まず、熱可塑性樹脂とフラーレン類との混合物を得る。熱可塑性樹脂とフラーレン類との混合物を得ることができれば任意の方法を用いることができるが、通常は、熱可塑性樹脂とフラーレン類とを混合し、混合材料(熱可塑性樹脂とフラーレン類との混合物)とする。この際の具体的な手法に制限は無いが、通常、熱可塑性樹脂とフラーレン類とを、ロール、バンバリーミキサー、一軸押出機、二軸押出機、二軸混練機などの混合装置を用いて混練し、混合材料とする。
また、上記説明した充填剤等の添加剤は、フラーレン類と熱可塑性樹脂を混練する際に、同時に混合してもよい。また、フラーレン類と熱可塑性樹脂とを混練した後に、添加剤を上記混合材料に含有させてもよい。
ただし、混練強度や生産性の観点から、熱可塑性樹脂及びフラーレン類の混合の際には二軸混練機を用いることが好ましい。二軸混練機を用いてフラーレン類と熱可塑性樹脂とを混合する場合、温度に特に制限はなく、選定した熱可塑性樹脂に通常用いられる温度とすればよい。さらに、二軸混練機のスクリュー構成、回転数、滞留時間などその他の条件についても特に制限はないが、これらの条件を適度に調整することにより、熱可塑性樹脂の熱劣化の抑制が可能となり、また、フラーレン類の熱可塑性樹脂中への均一分散性を均衡させることができる。
さらに、後述する実施例のように、フラーレン類と熱可塑性樹脂とを混練した混合材料を一度得た後に、添加剤をさらに含有させて混合を続けてもよい。この方法は、特に、フラーレン類と熱可塑性樹脂以外の添加剤が混練条件において熱可塑性樹脂に比べて低粘度になる場合に、フラーレン類の熱可塑性樹脂中への均一分散性を確保するために有効な方法である。
このような場合、フラーレン類と熱可塑性樹脂とを混練した組成物を得る工程で用いる混練機と引き続き添加剤を添加して混練する工程で用いる混練機は同一でも異なっていてもよい。さらには1台のバッチ混練機で前段の混練時間が経過した後に、引き続き添加剤を添加して同一の混練機をそのまま用いて混練してもよく、また、1台の2軸混練機で前段の混練工程が終了するゾーンの後に、添加剤を供給するゾーンを設置して混練を継続してもよい。
なお、フラーレン類と熱可塑性樹脂とを混合して混合物を得る場合に、フラーレン類を比較的多量に含有させて、熱可塑性樹脂中にフラーレン類を高濃度に含有させた混合材料(マスターバッチ)を得てもよい。このような混合材料は、多孔性フィルムを製造する工程の前、又は、多孔性フィルムを製造する工程時において、熱可塑性樹脂をさらに混合(混練)する。そして、この熱可塑性樹脂の追加により、フラーレン類の含有量を、最終的に得られる多孔性フィルム中における所望の含有量に調整することになる。
(b)混合原料を成形して多孔性フィルムとする工程
混合材料を成形して多孔性フィルムとする工程としては、混合材料をフィルム成形した後に成形されたフィルムを多孔化する工程、又は、混合材料のフィルム成形と同時に多孔化を行なう工程を挙げることができる。
(b−1)フィルム成形
フィルム成形は、従来公知の方法を任意に用いることができる。例えば、TダイによるTダイ法、円形ダイによるインフレーション法、カレンダー加工法、熱プレス法等によって成形できる。
フィルム成形時の温度に特に制限はなく、選定した樹脂に通常用いられる温度範囲で成形すればよい。
また、フィルム成形時の膜厚は特に制限はなく、後述の延伸工程後の膜厚を所望の値にするように適宜設定される。
(b−2)フィルムの多孔化・延伸
フィルムを多孔化・延伸する手法は特に制限されず、任意の方法によって延伸を行なうことができる。
具体例を挙げると、以下に示すように、可塑剤を抽出して孔形成(多孔化)した後延伸を行なう方法と、充填剤で孔形成(多孔化)を行ないながら延伸を行なう方法とが挙げられる。以下、それぞれについて説明する。
可塑剤を抽出して孔形成しながら延伸を行なう方法においては、成形により得られたフィルムは一軸又は二軸延伸される。延伸に際してはロール延伸機、テンター等の公知の延伸装置を適宜用いることができる。一軸延伸に関しては縦延伸、横延伸のいずれを選択することもできる。また、二軸延伸に関しては逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれも可能である。特に好ましい方法としては、例えば、二軸延伸で面積延伸倍率を3倍〜10倍とし、且つ、延伸温度を熱可塑性樹脂の結晶分散温度以上、熱可塑性樹脂の融点+10℃以下の範囲とすると、後工程の可塑剤除去により生成する孔の均一性が高くなりやすいので望ましい。但し、かかる延伸処理工程は、場合によっては、可塑剤を除去した後の延伸処理の条件を工夫することで省略することも可能である。
次に、延伸されたフィルムは、冷却後、可塑剤を除去して多孔化する。可塑剤の除去方法としては、例えば、フィルム中の可塑剤をイソプロパノール、エタノール、ヘキサンなどの有機溶媒で溶解し、溶媒置換により抽出除去する、所謂、公知の有機溶媒抽出法が挙げられる。
また、上記のようにして可塑剤を除去し多孔化したフィルムに対し、さらに延伸処理を行なうことが望ましい。これにより、熱寸法安定性を付与される他、孔径や空孔率を大きい範囲に調整することが可能であり、浸液性等をより高めることができる。延伸処理は、加熱ロールによる接触加熱、オーブン中での空気中加熱等の公知の任意の方法で実施することができる。また、前述の延伸装置を転用することも可能である。延伸処理に際しては、最終的な多孔性フィルムの物性を損なわない範囲で延伸を行なっても構わない。延伸の方法としては、前述の、縦方向、横方向の積極的な延伸はもちろん、流れ方向、幅方向を拘束しフィルムの加熱収縮を阻害することで延伸効果を付与する、いわゆる消極的延伸も用いることができる。最終的な多孔性フィルムの物性を損なわないため及びフィルムのハンドリング性を保つためには、熱処理時の変形操作が、温度が熱可塑性樹脂の融点−10℃以上で融点以下、好ましい面積倍率が通常2倍以上、好ましくは10倍以上、また、通常100倍以下とすることが適当である。
一方、充填剤で孔形成を行ないながら延伸を行なう方法においても、成形により得られたフィルムは一軸又は二軸延伸される。延伸に際しては可塑剤で孔形成を行なう場合と同様、ロール延伸機、テンター等の公知の延伸装置を適宜用いることができる。一軸延伸に関しては縦延伸、横延伸のいずれを選択することもできる。また、二軸延伸に関しては逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれも可能である。延伸倍率は通常2倍以上、好ましくは3倍以上、また、通常10倍以下、好ましくは8倍以下である。2倍以上の延伸倍率で延伸すると、透気度が低くなりすぎることがなくなり、例えばセパレータとして使用したときに内部抵抗が良好な電池を与える多孔性フィルムが得られやすい。また、10倍以下の延伸倍率で延伸すると、厚さの均一なフィルムが得やすく、また、延伸時に破膜しにくくなる。
次に、延伸されて形成された多孔性フィルムは、冷却後、充填剤を除去してもよい。充填剤の除去方法としては、例えば、フィルム中の充填剤を酸、アルカリ等の水溶液、又は、有機溶媒に浸漬することにより除去する方法が挙げられる。
延伸時のフィルムの温度に特に制限はないが、フィルムを断裂させずに円滑に延伸を行うと共に、例えば電池用セパレータとして好適な通気度を有する多孔性フィルムを効率的に形成する上で、熱可塑性樹脂の融点あるいは軟化点以下の温度が好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、そのポリオレフィン系樹脂の融点以下の温度が好ましく、特に50℃〜150℃の範囲が好ましい。
また、多孔性フィルムの機械的強度、透気度、膜厚等を調整することを目的として、多孔化したフィルムに対し、さらに延伸処理を行なってもよい。延伸の際の条件は、上記調整の目的に従い、適宜選択すればよい。
<B.多孔性フィルムの用途>
[B−1.多孔性フィルムの一般的な用途]
本発明の多孔性フィルムは、機械的強度が高いため、様々な用途に用いることができる。このような用途としては、例えば、電池用セパレータ、電解コンデンサ隔膜、電気二重層キャパシタ隔膜等の電子材料用途、精密濾過膜等の分離膜用途、雨カッパ、手袋、防塵着、手術着、防水服等の衣料用途、病院用シーツ、紙おむつ用バックシート、生理用ナプキン、防漏シート、包袋等の医療・衛生品用途、脱酸素剤、乾燥剤等の包装材料の用途を挙げることができる。
これら用途の中でも、より生産性を高めるための高速成形に必要な強度の確保の要求が大きいなどの点から、電池用セパレータ、電解コンデンサ隔膜、電気二重層キャパシタ隔膜等の電子材料用途が好ましく、さらに、容量密度を向上させるために薄肉化の要求が大きいことなどの点から電池用セパレータとして用いることが特に好ましい。
[B−2.リチウム二次電池]
以下、本発明の多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いる一例として、リチウム二次電池を例にとって説明する。
リチウム二次電池は、基本的には、正極、負極及び電解質から構成され、正極と負極との間に、正極と負極との短絡を防止するために電池用セパレータが設置される。本発明の多孔性フィルムは、この電池用セパレータとして用いるのに好適である。
以下、正極、負極、電解質等のリチウム二次電池に用いられる各部材について説明する。
(1)正極
正極は、通常、Liを吸蔵・放出し得る正極活物質及びバインダーを含有する活物質層を集電体上に形成してなる。
正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物等各種の無機化合物が挙げられる。ここで遷移金属としてはFe、Co、Ni、Mn等が用いられる。具体的には、MnO、V25、V613、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物などのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、TiS2、FeS、MoS2などの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。これらの化合物はその特性を向上させるために部分的に元素置換したものであっても良い。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ジスルフィド系化合物、ポリスルフィド系化合物、N−フルオロピリジニウム塩等の有機化合物を混合して用いても良い。
上記正極活物質のうち、高性能なリチウム二次電池を得る観点から、正極活物質は、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物とすることが好ましく、より好ましくはリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物とすることである。リチウムコバルト複合酸化物は、放電曲線が平坦であるためレート特性に優れる有用な正極活物質であり、リチウムニッケル複合酸化物は単位重量あたりの電流容量が大きいため電池容量を大きくすることができる利点がある。
また、正極活物質として、上記リチウム遷移金属複合酸化物を1種類単独で用いてもよく、複数種を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、これらリチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属サイトの一部は他の元素で置換されていてもよい。遷移金属サイトの一部を他の元素で置換することにより、リチウム二次電池の安全性を向上させることができるようになる。また、これらリチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属の一部を他の元素で置換することにより、結晶構造の安定性を向上させることができる。この際の該遷移金属サイトの一部を置換する他元素(以下、置換元素と表記する)としては、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等が挙げられ、好ましくはAl、Cr、Fe、Co、Li、Ni、Mg、Ga、更に好ましくは、Co、Alである。なお、遷移金属サイトは2種以上の他元素で置換されていてもよい。置換元素による置換割合は通常ベースとなる遷移金属元素の2.5モル%以上、好ましくはベースとなる遷移金属元素の5モル%以上であり、通常ベースとなる遷移金属元素の30モル%以下、好ましくはベースとなる遷移金属元素の20モル%以下である。置換割合が少なすぎると結晶構造の安定化が十分図れない場合があり、多すぎると電池にした場合の容量が低下してしまう場合がある。
正極活物質の比表面積は、通常0.01m2/g以上、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.4m2/g以上であり、また通常10m2/g以下、好ましくは5m2/g以下、より好ましくは2m2/g以下である。比表面積が小さすぎるとレート特性の低下、容量の低下を招き、大きすぎると電解液等と反応し、サイクル特性を低下させることがある。比表面積の測定はBET法に従う。
正極活物質の平均二次粒径は、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.5μm以上であり、通常300μm以下、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、最も好ましくは20μm以下である。平均二次粒径が小さすぎると電池のサイクル劣化が大きくなったり、安全性に問題が生じたりする場合があり、大きすぎると電池の内部抵抗が大きくなり、出力が出にくくなる場合がある。
活物質層中の正極活物質の割合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは98重量%以下である。多すぎると電極の機械的強度が劣る傾向にあり、少なすぎると容量等電池性能が劣る傾向にある。
活物質層に使用するバインダーとしては、電解液等に対して安定である必要があり、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等の観点から各種の材料が使用される。具体的には、シリケート、ガラスのような無機化合物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどのポリマー鎖中に環構造を有するポリマー;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類が挙げられる。
他の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル誘導体系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマー;ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが使用できる。
また上記のポリマーなどの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。これらの樹脂の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは10万以上、一方、通常300万以下、好ましくは100万以下である。低すぎると塗膜の強度が低下する傾向にある。一方、高すぎると正極製造用の塗料の粘度が高くなり電極の形成が困難になることがある。好ましいバインダー樹脂としては、フッ素系樹脂、CN基含有ポリマーが挙げられ、より好ましくはポリフッ化ビニリデンである。
バインダーの使用量は、正極活物質100重量部に対して通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、また通常30重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。バインダーの量が少なすぎると活物質層の強度が低下する傾向にあり、バインダーの量が多すぎると電池容量が低下する傾向にある。
活物質層中には、必要に応じて、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性材料、補強剤など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填剤などを含有させてもよい。
正極に使用される集電体の材料としては、通常、アルミニウム、銅、ニッケル、錫、ステンレス鋼等の金属、これら金属の合金等を用いることができる。この場合、正極の集電体としては、通常アルミニウムが用いられる。集電体の形状は特に制限されず、例えば、板状やメッシュ状の形状を挙げることができる。集電体の厚みは通常1μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは30μm以下である。薄すぎると機械的強度が弱くなるが、厚すぎると電池が大きくなり、電池の中で占めるスペースが大きくなってしまい、電池のエネルギー密度が小さくなる。
正極は、上記正極活物質とバインダーとを、バインダー等を溶解しうる溶剤を用いて分散塗料化し、その塗料を集電体上に塗布、乾燥することにより製造することができる。
活物質層を形成する際に使用する溶剤としては、例えばN−メチルピロリドンや、ジメチルホルムアミドを挙げることができ、好ましくはN−メチルピロリドンである。塗料中の溶剤濃度は、少なくとも10重量%より大きくするが、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上である。また、上限としては、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下である。溶剤濃度が低すぎると塗布が困難になることがあり、高すぎると塗布膜厚を上げることが困難になると共に塗料の安定性が悪化することがある。
また、分散塗料化には通常用いられる分散機が使用でき、プラネタリーミキサー、ボールミル、サンドミル、二軸混練機などが使用できる。
さらに、集電体上に塗料を塗布する塗布装置に関しては特に限定されず、スライドコーターやエクストルージョン型のダイコーター、リバースロール、グラビアコーター、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビアコーター、ロッドコーター、ブレードコーターなどが挙げられるが、ダイコーター、ブレードコーター、及びナイフコーターが好ましく、塗料粘度および塗布膜厚等を考慮するとエクストルージョン型のダイコーター、簡便な点からはブレードコーターが最も好ましい。
上記塗料を集電体上に塗布した後、塗膜を乾燥させることによって活物質層が形成される。乾燥の際の乾燥温度は、通常室温(25℃)以上、好ましくは50℃以上、一方、通常200℃以下、好ましくは150℃以下とする。また、乾燥の際の乾燥時間は、通常1分以上、好ましくは5分以上、一方、通常1時間以下、好ましくは30分以下とする。乾燥条件の一例としては、例えば、120℃程度の温度で10分間程度の時間乾燥する条件を挙げることができる。
活物質層の厚さは、通常10μm以上、好ましくは20μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは150μm以下である。活物質層の厚さが過度に薄いと、電池の容量が小さくなりすぎる。一方、過度に厚いとレート特性が低下する場合がある。
(2)負極
負極は、通常、Liを吸蔵・放出し得る負極活物質、バインダー、及び必要に応じて導電剤等の添加剤を含有する活物質層を集電体上に形成してなる。
負極活物質としては、通常、炭素性物質を挙げることができる。これら炭素性物質は、金属やその塩、酸化物との混合体、被覆体の形であっても利用できる。上記炭素性物質の他、負極活物質としては、けい素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケルなどの酸化物、あるいは硫酸塩さらには金属リチウムやLi−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cdなどのリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、けい素、錫などの金属なども使用できる。
これら負極活物質の粒径は、通常1μm以上、好ましくは5μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは30μm以下である。あまりに大きすぎても小さすぎても初期効率、レート特性、サイクル特性等の電池特性が低下する傾向にある。無論、上記した中から選ばれる2種以上の負極活物質を併用してもよい。
負極活物質としては、好ましくは炭素性物質を用いる。炭素性物質としては、例えば、グラファイト等の黒鉛材料;石炭系コークス、石油系コークス;石炭系ピッチ若しくは石油系ピッチの炭化物、又はこれらピッチを酸化処理したものの炭化物;ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物を挙げることができる。さらに上記炭素性物質を一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等を挙げることもできる。
上記炭素性物質のうち、好ましいのは、コークス及びグラファイト等の黒鉛材料であるが、容量が大きい点で、グラファイト等の黒鉛材料が特に好ましい。
黒鉛材料としては、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛粉末及びその精製品、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックの黒鉛化品、気相成長炭素繊維等の炭素繊維が挙げられる。このような黒鉛材料ならどれでもよいが、容量の点から好ましいのは人造黒鉛又は天然黒鉛である。電池性能を制御し易いという観点から特に好ましいのは人造黒鉛である。なお、黒鉛材料は、表面をアモルファス処理してもよい。
黒鉛材料の平均粒径は、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、また、通常45μm以下、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。平均粒径が過度に小さいと、黒鉛材料の比表面積が増えることとなり不可逆容量が増え電池容量が低下してしまう。一方、平均粒径が過度に大きいと活物質層の膜厚が制限され均一な活物質層を基材の上に形成させることが難しくなる。
黒鉛材料の比表面積は、通常0.1m2/g以上、好ましくは0.3m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上とする。比表面積が過度に小さいと電池のレート特性が低下する。一方、黒鉛材料の比表面積は、通常30m2/g以下、好ましくは20m2/g以下、より好ましくは10m2/g以下とする。比表面積が過度に大きいと電池の初期効率が低下する。比表面積の測定はBET法に従う。
活物質層中の負極活物質の割合、電極材料層に用いるバインダーの種類、負極活物質とバインダーとの割合、活物質層中に含有されるフラーレン類の種類及びその量、及び活物層中に含有させる添加剤等、については、正極の場合と同様とすることができる。
負極に使用される集電体としては、電気化学的に溶出等の問題が生じず、電池の集電体として機能しうる各種のものを使用でき、通常は銅、ニッケル、ステンレス等の金属や合金が用いられる。好ましくは、銅を使用する。集電体の形状としては、例えば、板状やメッシュ状の形状を挙げることができる。集電体の厚みは、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、また通常100μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。薄すぎると機械的強度が弱くなるが、厚すぎると電池が大きくなり、電池の中で占めるスペースが大きくなってしまい、電池のエネルギー密度が小さくなる。
(3)電解質
リチウム二次電池に使用される電解質は、通常、支持電解質であるリチウム塩を非水系溶媒に溶解してなる電解液を有する。
非水系溶媒としては、比較的高誘電率の溶媒が好適に用いられる。具体的にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のグライム類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類、スルフォラン等の硫黄化合物、アセトニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。以上の非水系溶媒は、複数種を併用することができる。
なお、非水系溶媒は、粘度が1mPa・s以上であることが好ましい。
電解液に含有させる支持電解質であるリチウム塩としては、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiClO4、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、LiSO3CF2等を挙げることができる。これらのうちでは特にLiPF6及びLiClO4が好適である。これら支持電解質の電解液における含有量は、通常0.5mol/l〜2.5mol/lである。
また、電解液中には、必要に応じて、電池の性能向上のために各種の添加剤を添加することができる。
(4)電池用セパレータ
正極と負極との間には、正極と負極との短絡防止のために、本発明の多孔性フィルムを電池用セパレータとして存在させる。電池用セパレータとして用いる場合の本発明の多孔性フィルムについては上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
(5)ケース
上記のようにして得られた正極及び負極は、セパレータを介して積層され、これら正極、負極、セパレータ中に電解質を含浸させて電池要素が製造される。そして、この電池要素は、通常、ケースに収納される。
電池要素としては、例えば、正極と負極とをセパレータ及び電解質を含有する電解質層を介して積層した積層体を巻回した形態、正極と負極とをセパレータ及び電解質を含有する電解質層を介して平板状に積層した形態、又は前記平板状に積層した電池要素を複数個用意してさらに積層した形態を挙げることができる。
電池要素を収納するケースは、通常、コインセル、乾電池等の金属缶、及び形状可変性を有するケースを挙げることができる。本発明においては、上記いずれのケースを用いても良い。リチウム二次電池を軽量化する観点からは、形状可変性を有するケースを用いることが好ましい。
形状可変性を有するケースとは、可撓性を有するケースを意味する。具体的には、柔軟性、屈曲性等を有するケースを意味する。より具体的には、人間の手で柔軟に曲げることができ、平板状のケースをL字型やS字型等の形状に容易に変更できるようなケースを意味する。
形状可変性ケースの材料としては、アルミニウム、ニッケルメッキした鉄、銅等の膜厚の薄い金属、合成樹脂等を用いることができる。好ましくは、ガスバリア層と樹脂層とが設けられたラミネートフィルム、特に、ガスバリア層の両面に樹脂層が設けられたラミネートフィルムである。このようなラミネートフィルムは、高いガスバリア性を有すると共に、高い形状可変性と薄さを有する。その結果、外装材の薄膜化・軽量化が可能となり、電池全体としての容量を向上させることができる。
ラミネートフィルムに使用するガスバリア層の材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、モリブデン、金等の金属やステンレスやハステロイ等の合金、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の金属酸化物を使用することができる。好ましくは、軽量で加工性に優れるアルミニウムである。
樹脂層に使用する樹脂としては、熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー類、熱硬化性樹脂、プラスチックアロイ等各種の合成樹脂を使うことができる。これらの樹脂にはフィラー等の充填剤が混合されているものも含んでいる。
形状可変性ケースの厚さは、通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、通常1mm以下、好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下、最も好ましくは0.15mm以下とする。薄いほど電池がより小型・軽量化できるが、あまりに薄いと、高温保存時のケースの内部圧力の上昇により破裂する危険性が大きくなるだけでなく、十分な剛性の付与ができなくなったり密閉性が低下する可能性もある。
(6)リチウム二次電池の用途
リチウム二次電池が電源として使用される電気機器としては、例えば、携帯用パーソナルコンピュータ、ペン入力パーソナルコンピュータ、モバイルパーソナルコンピュータ、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)等を挙げることができる。
また、リチウム二次電池は、電気自動車用途等の大型電源として用いることもできる。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明の実施例としての多孔性フィルムに用いた(A)フラーレン類、(B)樹脂、(C)充填剤、(D)加工助剤及び(E)酸化防止剤は以下のものを用いた。なお、実施例中で「部」とは「重量部」を意味する。
(A)フラーレン類
フラーレン類としては、C60の含有率が62重量%、C70の含有率が23重量%のものを用いた。以下では、使用したフラーレン類を単にMFと表記する。
(B)熱可塑性樹脂
高密度ポリエチレン(日本ポリケム社製HF310:MFR0.06g/10分、密度0.950g/cm3)を用いた。以下では単にHDPEという。
(C)充填剤
硫酸バリウム(堺化学社製B−55:平均粒径0.66μm)を用いた。
(D)加工助剤
流動パラフィンを用いた。
(E)酸化防止剤
チバガイギー社製イルガノックス1010を用いた。
(実施例1)
[多孔性フィルムの作製]
熱可塑性樹脂であるHDPE100部に対し、フラーレン類であるMF0.1部を、2軸混練機で200℃、100rpmの条件で混合し、混合材料としてHDPE/MF組成物(ペレット)を得た。
得られたHDPE/MF組成物中のHDPE100部に対して、加工助剤である流動パラフィンを5部、充填剤である硫酸バリウムを150部、酸化防止剤であるイルガノックス1010を0.5部加え、バッチ混練機で200℃、100rpmで10分混練した。得られた組成物を200℃で熱プレス成形し、厚さ300μm〜400μmのシートを作成した。このシートを2軸延伸機を用いて132℃で、1000%/分の歪み速度で、3.5倍×3.5倍の同時2軸延伸を行なった。これにより、多孔性フィルムを得た。
[多孔性フィルムの膜厚の測定]
得られた多孔性フィルムの膜厚は、マイクロメータを用いて測定した。測定結果を表1に示す。
[多孔性フィルムの空孔率の測定]
得られた多孔性フィルムの空孔率は、2cm四方に切り出したフィルムの膜厚をマイクロメータで測定し、このフィルムの重量を精密電子天秤で測定し、上記式(1)によって算出した。なお、膜厚はフィルムの四隅と中央とで測定し、その平均値を用いた。
測定結果を表1に示す。
[多孔性フィルムの透気度の測定]
得られた多孔性フィルムの透気度は、JIS P8117に準じて、東洋精機製作所製B型ガーレーデンソーメーターを用いて測定した。測定結果を表1に示す。
[多孔性フィルムのピン刺し強度試験]
ピン刺し強度の測定は、直径1mmφのピンを速度2cm/分でフィルムに垂直に押し破るときの最大強度(gf)をフィルム厚み(μm)で除することによって測定した。
具体的には、ピン径1mm、ピン先端0.5R、ピン刺し速度2cm/min、ホルダー径10mmの条件で、レオテック社製 FUDOH RHEO METERを用いて測定を行ない、最大強度をマイクロメータで計測し、その最大強度をフィルム厚みで除してgf/μmを単位として算出した。そして、算出された値に9.8×103を掛けて、N/m単位に換算した。
上記測定により得られたピン刺し強度の測定結果を表1に示す。
[リチウム二次電池の作製]
正極は、以下の方法で作成した。
リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)90部、PVDF5部、アセチレンブラック5部、NMP80部を混合して、正極塗料を得た。これをアルミ箔(厚み20μm)上にドクターブレードで塗布、乾燥させて、アルミ集電体上に活物質層を形成した。さらにこの活物質層を100kN/mの線圧にてロールプレス処理し、正極を得た。これを有効サイズが20mm×20mmになるよう裁断した。
負極は、以下の方法で作成した。
黒鉛材料90部、PVDF10部、NMP110部を混合して、負極塗料を得た。これをアルミ箔(厚み20μm)上にドクターブレードで塗布、乾燥させて、アルミ集電体上に活物質層を形成した。さらにこの活物質層を100kN/mの線圧にてロールプレス処理し、正極を得た。これを有効サイズが20mm×20mmになるよう裁断した。
電解液は、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)を体積比1:1の混合溶媒に、リチウム塩としてLiPF6を1mol/L溶解させたものを用いた。
電池用セパレータとして、上記[多孔性フィルムの作製]で作製した多孔性フィルムを25mm×25mmに裁断したものを用いた。
正極及び負極に電流取り出し用の端子を取り付けた後、上記電池用セパレータを介して積層し、ラミネートフィルムからなるケースに封入し、上記電解液を注入して密封した。
[電池特性の評価]
電池特性は、下記条件にて充放電を行ない、1回目の充電容量、1回目の放電容量及び初期効率を測定することにより評価した。
充電条件:電流密度1mA/cm2で4.2Vまで定電流充電後、電流密度が0.02mA/cm2に低下するまで定電圧充電を行なった。
放電条件:電流密度0.4mA/cm2で3.0Vまで定電流放電を行なった。
初期効率:(1回目の放電容量)/(1回目の充電容量)により算出した。
(実施例2)
フラーレン類であるMFの含有量を0.3部としたこと以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを作製し、膜厚、空孔率、透気度、ピン刺し強度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
フラーレン類であるMFの含有量を1部としたこと以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを作製し、膜厚、空孔率、透気度、ピン刺し強度及び電池特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
フラーレン類であるMFの含有量を3部としたこと以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを作製し、膜厚、空孔率、透気度、ピン刺し強度及び電池特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
2軸延伸機を用いた延伸において延伸倍率を4倍×4倍の同時2軸延伸としたこと以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを作製し、膜厚、空孔率、透気度、ピン刺し強度及び電池特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
フラーレン類であるMFの含有量を0.3部としたこと、2軸延伸機を用いた延伸において延伸倍率を4倍×4倍の同時2軸延伸としたこと、以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを作製し、膜厚、空孔率、透気度、ピン刺し強度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例7)
フラーレン類であるMFの含有量を1部としたこと、2軸延伸機を用いた延伸において延伸倍率を4倍×4倍の同時2軸延伸としたこと、以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを作製し、膜厚、空孔率、透気度、ピン刺し強度及び電池特性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
フラーレン類であるMFを添加しないこと以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを作製し、膜厚、空孔率、透気度、ピン刺し強度及び電池特性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
フラーレン類であるMFを添加しないこと、2軸延伸機を用いた延伸において延伸倍率を4倍×4倍の同時2軸延伸としたこと、以外は実施例1と同様にして多孔性フィルムを作製し、膜厚、空孔率、透気度、ピン刺し強度及び電池特性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005179562
Figure 2005179562
表1及び表2から、実施例1〜7の多孔性フィルムは、比較例1,2の多孔性フィルムよりも高いピン刺し強度を有していることが分かる。したがって、本発明の多孔性フィルムは従来の多孔性フィルムに比べて機械的強度が優れていることが確認された。
また、実施例1〜7の電池用セパレータを用いた電池は、比較例1,2の電池と同程度の充電容量を有し、また、比較例1,2の電池よりも高い放電容量及び初期効率を有することが分かる。したがって、本発明の電池用セパレータは、従来の電池用セパレータよりも機械的強度に優れていることに加え、その電池特性も、従来のものよりも劣ることは少なくともないことが確認された。
本発明の多孔性フィルムは、機械的強度が高いため、様々な用途に用いることができ、例えば、電池用セパレータ、電解コンデンサ隔膜、電気二重層キャパシタ隔膜等の電子材料用途、精密濾過膜等の分離膜用途、雨カッパ、手袋、防塵着、手術着、防水服等の衣料用途、病院用シーツ、紙おむつ用バックシート、生理用ナプキン、防漏シート、包袋等の医療・衛生品用途、脱酸素剤、乾燥剤の包装材料などの用途に用いて好適である。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂及びフラーレン類から形成される
    ことを特徴とする、多孔性フィルム。
  2. 該熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の多孔性フィルム。
  3. 該フラーレン類がC60及び/又はC70である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の多孔性フィルム。
  4. 熱可塑性樹脂及びフラーレン類から形成される多孔性フィルムの製造方法であって、
    (a)熱可塑性樹脂とフラーレン類との混合物を得る工程、及び、
    (b)該混合物を成形して多孔性フィルムとする工程を有する
    ことを特徴とする、多孔性フィルムの製造方法。
  5. 電池に使用される電池用セパレータであって、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔性フィルムからなる
    ことを特徴とする、電池用セパレータ。

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