JP2005179508A - シート用生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法 - Google Patents

シート用生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
生分解性、成形性、及び耐熱性に優れ、しかも食品の包装容器等に利用する場合にも、安全性の高い生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】
植物繊維、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を混合し、発泡倍率が15倍以内で発泡された生分解性発泡体である。好ましくは、植物繊維が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有していることを特徴とする。
また、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであることが好ましく、特に、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいことが、より好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法に関し、特に、籾殻粉体などの植物繊維並びに生分解性を有する熱可塑性樹脂を用い、生分解性及び成形性に優れた生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法に関する。
食品等の包装容器として、従来よりプラスチック成形品が多用されており、廃棄処分等における環境問題の原因となっている。
これに対し、環境に優しい素材として、生分解性を有する成形品の開発が進められており、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなどが開発されている。
他方、籾殻など植物繊維に関しても、日常的に多量の廃棄物が発生しており、廃棄処分に係る問題が顕在化している。
以下の特許文献1においては、このような籾殻を有効利用するために、籾殻を用いた発泡体が提案されている。具体的には、乾燥した籾殻をボールミルにより40メッシュの篩いを通過する細かさに粉砕したものと、植物性バインダーとしてアルファー化澱粉、水、界面活性剤としてラウリル硫酸アンモニウム、発泡剤として炭酸水素ナトリウムを混練して、粒状に成形し、型内で、加熱発泡させて成形体を得るものである。
特開平7−113017号公報
しかしながら、特許文献1のような発泡体においては、包装容器などを製造する際に、複雑な形状や、厚みが薄く、容器の深さが深いものの場合には、発泡体が十分細部まで行き渡らず、しかも発泡体の密度分布にバラツキが発生し易いため、均質な容器を製造することが困難である。しかも、緻密な泡を形成するために界面活性剤を利用しており、食品などを入れる容器には、安全性上問題がある。
また、発泡体の形状を保持する主要成分としてアルファー澱粉を利用しているため、容器等に利用する場合には、耐水性や耐熱性が劣るという欠点を有している
また、以下の特許文献2においては、紙を用いた発泡体が記載されており、具体的には、細かく破砕した紙成分と熱可塑性樹脂あるいは植物性材料、及び水とを加熱混練し、水の蒸気圧により発泡した成形体を得る技術が開示されている。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等の合成樹脂およびポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリ乳酸等の生分解性樹脂が、植物性材料としては、茶の葉の破砕物、微細木粉、澱粉類が例示されている。
特開2000−273800号公報
特許文献2に開示されている水蒸気発泡は、特許文献1のように界面活性剤や発泡剤を利用していないため食品用の容器等に利用する場合にも、安全性が確保でき、しかも、生分解性樹脂や植物性材料を利用するため環境にも優しい発泡体を提供することができる。
しかしながら、例示されている発泡体は厚さ20mm、幅100mmの板状発泡体であり、緩衝材や断熱材として利用することは可能であるが、容器等の複雑な形状を成形するのは困難であるため、該発泡体の利用が制限されるという欠点を有している。
しかも、材料が紙を主成分とする発泡体であるため、耐熱性が劣るという問題がある。
本発明の目的は、上述した問題を解決し、生分解性、成形性、及び耐熱性に優れ、しかも食品の包装容器等に利用する場合にも、安全性の高い生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、植物繊維、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を混合し、発泡倍率が15倍以内で発泡された生分解性発泡体である。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の生分解性発泡体において、植物繊維が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有していることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいことを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の生分解性発泡体において、植物繊維が籾殻粉であることを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の生分解性発泡体の製造方法において、植物繊維、澱粉、生分解性熱可塑性樹脂、及び水を混合し、押出発泡することにより生分解性発泡体を製造することを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の生分解性発泡体を成形することにより得られる生分解性成形品である。
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の生分解性成形品において、該成形品がシート状の成形品であることを特徴とする。
また、請求項9に係る発明は、請求項7に記載の生分解性成形品において、該成形品が包装用容器であることを特徴とする。
また、請求項10に係る発明は、請求項7又は9に記載の生分解性成形品の製造方法において、生分解性発泡体をシート状に成形した後、該シートを更に加熱及び加圧することにより生分解性成形品を製造することを特徴とする。
請求項1に係る発明により、発泡体を構成する材料が、植物繊維、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を主成分とするため、生分解性に優れ、食品等の容器に利用する場合にも安全性が高い、しかも、発泡倍率を15倍以内に抑制するすることにより、従来の高い発泡倍率(20〜40倍程度)で発泡された発泡体と比較して、他の成形品に加工する際の再成形性に優れた発泡体を提供することが可能となる。
請求項2に係る発明により、耐熱性に劣る澱粉の利用を最小限とし、植物繊維を主要な成分とするため、例えば、籾殻などのシリカを含有する耐熱性の高い植物繊維を利用した場合には、耐熱性に優れた発泡体を提供することが可能となるなど、植物繊維の特性を生かした発泡体を提供することができる。
特に、植物繊維が5重量%未満の場合は、耐熱性が低下し、40重量%を超えると、含有物質間の結着性が低下し、脆弱性が増加する。また、澱粉が5重量%未満の場合は、含有する生分解性熱可塑性樹脂の量が増加し、発泡体並びに成形品のコストの増加を来たす。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性も低下することとなる。
請求項3に係る発明により、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであるため、発泡体を成形する温度と該発泡体を再成形する際の温度が異なる場合でも、優れた成形性を確保することが可能となる。
特に、発泡体を成形する際には、後述する水蒸気発泡を用いる場合には、水の沸点より、より高い温度状態で発泡させる方が、良質な発泡体を形成できるため、高温で適正な粘性を保持する樹脂が好ましい。他方、再成形する際には、一般的に金型等を用いるため、高温で加圧成形すると、金型の歪みや温度分布の不均一性のため、均質な成形体が得られ難い、このため、比較的低温でも溶解する樹脂を混入することが好ましい。
請求項4に係る発明により、生分解性熱可塑性樹脂が、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいため、発泡体を金型等により再成形する際に、成形性が向上する。
また、請求項3及び4に係る発明のように、複数の異なる特性を有する樹脂を混合することにより、単一の生分解性熱可塑性樹脂では達成することが難しい、複合した特性を発泡体に持たせることが可能となる。
請求項5に係る発明により、植物繊維を籾殻粉とすることにより、現在、我が国で大量に廃棄されている籾殻を、有効活用することが可能となる。
請求項6に係る発明により、生分解性発泡体の製造方法において、水蒸気発泡を利用することで、界面活性剤や発泡剤を利用しない発泡体が提供でき、該発泡体を食品等の容器に利用する場合でも、高い安全性を確保することが可能となる。
請求項7に係る発明により、請求項1乃至3のいずれかに記載の生分解性発泡体は、再成形性に優れた発泡体であるため、これらを成形することにより、発泡体の生分解性や耐熱性などの優れた特性を生かした生分解性成形品を得ることが可能となる。
請求項8に係る発明により、生分解性成形品がシート状の成形品であるため、包装容器などの多様な形状の成形品を製造する際の中間体として利用することが可能となる。しかも、従来の成形品の製造に利用される加熱プレス機を利用して、容易に成形品を製造することができる。しかも、発泡体の製造直後にローラなどの成形機を配置することにより、発泡体の余熱を利用して、容易にシート状に成形することも可能となる。
請求項9に係る発明により、生分解性成形品を包装用容器とすることで、本発明に係る発泡体の優れた特性である、生分解性、耐熱性、成形性及び安全性などを生かした優れた包装用容器を提供することができる。
請求項10に係る発明により、包装用容器などの複雑な生分解性成形品を得る際に、一旦、生分解性発泡体をシート状に成形した後、該シートを更に加熱及び加圧することにより再成形することで、従来の成形品の製造に利用される加熱プレス機を利用して、容易に複雑な成形品を製造することができる。しかも、均質な密度が得られやすいシート状に発泡体を成形しているため、複雑な成形品であっても、該シートを加熱及び加圧するだけで容易に均質な成形品を得ることが可能となる。
以下に、本発明に係る生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法について、詳細に説明する。
本発明に係る生分解性発泡体は、植物繊維、澱粉及び生分解性熱可塑性樹脂を主成分とするものである。生分解性発泡体の主な成分組成としては、植物繊維が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有し、それ以外は生分解性熱可塑性樹脂により構成される。
植物繊維が5重量%以下の場合には、澱粉や生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる上、機械的強度が劣るなどの問題が生じる。他方、植物繊維が40重量%を越えると、発泡性が劣り、伸長性も低下するため、複雑な成形品が形成できない。さらに、欠け、ひび割れ等が発生しやすく脆弱性が増加するという問題を生ずる。
また、澱粉の含有量が5重量%以下の場合には、生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる。さらに、植物繊維に対する結着力が低下し、脆弱性が増加する。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性や耐水性が劣り発泡体の利用範囲が限定される結果となる。
植物繊維は、発泡体及び成形品の増量剤として寄与するだけでなく、植物繊維が有する生分解性、殺菌性、耐熱性など種々の特性を付与することにも有用である。
植物繊維としては、植物の実、葉、茎・幹、又は皮などが利用可能であり、特に実の殻や、搾りかすなどの廃棄物が有用な資源として利用することが好ましい。例えば、米、麦、そば、大豆などの殻類の実の殻や皮、コーヒー、落花生などの実の殻、栗、オレンジ、りんご、梨などの果物の皮やそれらの搾りかす等が利用可能である。
特に、本発明においては、耐熱性に寄与するシリカを含む籾殻を植物繊維として利用することが好ましい。
澱粉は、発泡体を構成する発泡材の機能や増量剤としての機能を有するものであるが、植物繊維との結着性もよく植物繊維を結合させるバインダーの機能も有している。
本発明で利用可能な澱粉としては、トウモロコシ、麦、稲、馬鈴薯などから得られる生澱粉やα化度を調整した澱粉等がある。
生分解性熱可塑性樹脂は、発泡体の機械的強度を高めるだけでなく、耐熱性や耐水性の向上、並びに成形性に不可欠な伸張性を付与するために利用される。
生分解性熱可塑性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなど、各種のものが利用可能である。
本発明で用いる生分解性熱可塑性樹脂は、特に、発泡体及び成形品の耐熱性を向上させるため、融点が160℃以上、好ましくは170℃以上である高融点特性を有する樹脂を用いる。ただし、高融点の樹脂は、一般的に伸張性が劣るため、成形性が悪い。これを改善するため、伸び率が100%以上、好ましくは500%以上の樹脂を利用する。ただし、融点は90℃以上、好ましくは100℃以上であることが望ましい。融点が低いものは、耐熱性が劣るだけでなく、水蒸気発泡時の適正な水蒸気圧が得られる温度(例えば、170〜200℃程度)まで加熱した際に、適正な粘性が得られず、押出機からの押出不良や、発泡体の成形性が難しくなるなどの問題を生ずる。
したがって、本発明に係る発泡体には、適切な融点及び伸張性を有する異なる2種類以上の生分解性熱可塑性樹脂を混合して利用する。
高融点の樹脂と、低融点であるが伸び率の高い樹脂の混合割合は、生分解性成形品の耐熱性、成形性を考慮して適宜設定できるが、例えば、耐熱性を重視する場合には、低融点樹脂は高融点樹脂の総重量より少なく、好ましくは該総重量の半分以下、より好ましくは3分の1以下であることが望ましい。
また、本発明に係る発泡体の製造方法では、以下に述べるように水蒸気発泡を利用し、発泡倍率も15倍以下と低いため、発泡後に内部の水蒸気を外部に放出しやすくするため、蒸気透過性のある生分解性熱可塑性樹脂がより好ましい。
次に、生分解性発泡体の製造方法について説明する。
植物繊維は、乾燥させると共にボールミルなどで平均粒径が1mm以下、好ましくは500μm以下に粉砕する。粒径が1mm以上の場合も利用可能であるが、成形品の形状が複雑なものの場合には、微細粉に加工することが好ましい。
粉砕した植物繊維、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を、押出機に入れ、更に水蒸気発泡を行うための水を供給する。押出機においては、これらの材料を加熱及び混練し、押出機のダイ部から該材料を押し出す。押出時に材料は発泡し、生分解性発泡体を形成する。
生分解性発泡体の発泡倍率は、15倍以内とし、好ましくは10倍以内が望ましい。
発泡倍率が15倍を超えると、該発泡体を再成形した場合に、成形品内において密度のバラツキが発生しやすく、均質な成形体が得られない。つまり、発泡体自体は、一般的に内部の材料密度より外殻に近い部分の材料密度が高く、発泡体を圧縮した場合には、均質な密度及び厚みに成形できず、しかも、発泡体の内部には空気が存在するため、発泡体を圧縮した際に、内部の空気が外部に十分放出されず、泡立った成形品となり易い。
また、発泡倍率が極端に低い場合には、材料の使用量が増加し、高コスト化することとなる。
本発明の発泡体の製造方法においては、発泡倍率の制御は、押出機に混入する水の量で調整することが可能であり、ラウリル硫酸アンモニウムなどの界面活性剤を利用しないため、食品用の容器等にも利用可能な安全性の高い発泡体が製造可能である。また、本発明の発泡体の製造においては、食品衛生上安全な化学品は、必要に応じて用いることは可能であり、例えば、炭酸水素ナトリウムを発泡剤として利用することもできる。
次に、生分解性発泡体を用いた成形品について説明する。
本発明に係る生分解性発泡体は、再成形性に優れた発泡体であるため、これらを更に成形加工することにより、発泡体の生分解性や耐熱性などの優れた特性を生かした生分解性成形品を得ることが可能となる。
成形品としては、食品用の包装用容器、車両・電気製品のプラスチック・紙等の成形品など、各種の使い捨て成形品に使用することが可能である。特に、本発泡体をシート状に加熱・加圧成形したシート状の成形品は、該シートを再成形し包装用容器などを成形する際の中間体としても利用でき、有用な成形品を提供することが可能となる。
次に、生分解性発泡体を用いた成形品の製造方法について説明する。
本発明の生分解性発泡体をチップ状に加工し、金型に入れ加熱・加圧成形することも可能であるが、成形品内に均一に発泡体が分散するよう制御することが難しいため、まず発泡体を加熱・押圧することにより、シート状の成形品を形成する。次に、該シートを加熱した金型にて、加圧成形することにより、包装用容器などの成形品を製造する。
シート状の成形品の製造に際しては、生分解性発泡体を製造した後、所定の長さに発泡体を切断し、該発泡体の複数本を寄せ集めて、加熱・加圧ローラーにより、複数の発泡体を融着して、1枚のシートに成形する方法や、生分解性発泡体を押出機から押し出すと共に、複数の発泡体を加圧ローラーに導入し、シートを成形することも可能である。後者の場合、加圧ローラーは、必要に応じて加熱することも可能である。
また、発泡体の形状は円柱状のものに限らず、直方体状の板状発泡体を形成し、その後、上記加圧ローラーでシート状に成形することもできる。
シート状の成形品から、包装用容器等の成形品を得る際には、シートを加熱プレス機に導入し、所望の金型により加熱・加圧成形することで、容易に成形品が得られる。さらに、金型により加圧成形する際に、抜き打ち加工を施し、上記シートから包装用容器等の成形品を抜き出す処理も併せて行うことも可能である。
このような加熱プレス機としては、従来の合成樹脂シートから成形品を製造する際に利用される加熱プレス機を利用することが可能であるため、従来の設備を生かした、製造工程を設計することが可能となる。
植物繊維として乾燥・粉砕した籾殻粉(中日本産商株式会社製。80〜150メッシュ)を20重量%、澱粉としてコーンスターチ(日本澱粉工業株式会社製)を10重量%、生分解性熱可塑性樹脂として、融点が200℃であるコポリエステルのBiomax4024(デュポン株式会社製)を60重量%、融点が105〜115℃であり、伸び率が800%を持つEcoflex(BASF社製)を10重量%を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製)にて混練すると共に、混合した材料の総重量に対し、10重量%の水を添加し、混練温度を170〜200℃に保持しながら、押出機のダイ部(直径3mmの開口)から押し出すと共に水蒸気発泡させ、生分解性発泡体(円柱状)を得た。
上記実施例1の生分解性発泡体の発泡倍率は、5倍であった。
発泡倍率の測定方法は、未発泡状態の原料の密度を発泡体の密度で除算した値である。
上記水蒸気発泡に引き続き、生分解性発泡体を複数本並べて搬送し、加圧ローラー(ヨシムラ機械株式会社製。ローラーのギャップ3〜5mm)により、幅20cm、長さ30cmのシート状に成形した。
次に、該シート状成形体を加熱プレス機(ヨシムラ機械株式会社製)により、120〜200℃で、加熱・押圧し、幅9cm、長さ15cm、深さ1.5cmの容器を成形し、実施例1の成形品を得た。
上記実施例1と同様の材料及び製造方法で、添加する水の重量%を、10〜15重量%の範囲で変化させ、押出機内の圧力を調整することにより、発泡倍率が10倍,15倍,20倍の生分解性発泡体を得ると共に、該発泡体を成形し、実施例2(発泡倍率10倍),実施例3(同15倍),実施例4(同20倍)の容器の成形品を得た。
次に、上記実施例1の製造方法において、籾殻粉を40重量%、コーンスターチを10重量%、Biomax4024を40重量%、Ecoflexを10重量%とし、その他は実施例1と同様に製造することにより、実施例5の容器の成形品を得た。
また、上記実施例1の製造方法において、籾殻粉を20重量%、コーンスターチを30重量%、Biomax4024を40重量%、Ecoflexを10重量%とし、その他は実施例1と同様に製造することにより、実施例6の容器の成形品を得た。
次に、実施例1〜6の成形品に関する試験・評価方法について説明する。
(シート成形の試験・評価)
実施例1〜6の生分解性成形品を得る途中で得られるシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂や泡膨れが無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
×・・・全体の面積に対し10%以上の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
(融着性の試験・評価)
上記シート成形の試験・評価と同様に、実施例1〜6に係るシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・円柱状発泡体毎に分離が難しい成形体
×・・・シート状成形体の一部で円柱状発泡体毎に分離することが可能な成形体
(立体成形の試験・評価)
実施例1〜6の生分解性成形品について、成形された容器を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂が無い成形体
△・・・底面の湾曲分の一部に亀裂が見られる成形体
×・・・全体的に亀裂が多数見られる成形体
(耐熱性及び耐水性の試験・評価)
実施例1〜6の生分解性成形品について、成形された容器を蒸し器に入れ、30分間経過後に取り出し、元の成形品の形状からの変化を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・形状変化の無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に形状の変化が見られる成形体
×・・・全体の10%以上の面積に形状の変化が見られる成形体
以上の実施例1〜6に関し、上記のシート成形性、融着性、立体性形成、耐熱性・耐水性に係る試験・評価の結果を、表1に示す。
Figure 2005179508
表1に示すように、実施例1〜3に関しては、シート成形性、融着性、立体性形成、及び耐熱性に関し、優れた特性を示したが、生分解性発泡体の発泡倍率が15倍を超える実施例4は、シート状成形体を形成した際に、全体的に泡膨れが発生しており、立体成形した際にも、容器全体で厚みムラが生じ、伸び率が高い部分では亀裂が生じる箇所もあった。
また、籾殻粉が40重量%含有するもの(実施例5)においては、容器全体が脆く、立体成形した際に、亀裂が生じやすい。
さらに、コーンスターチを30重量%含有するもの(実施例6)においては、立体成形において、一部に亀裂が見られる上、耐熱性・耐水性試験においては、容器の一部の形状が変化するなど、十分な耐熱性及び耐水性が得られていないことが理解された。
上記実施例では、円柱状の生分解性発泡体からシート状成形体を形成したが、押出機のダイの形状を変更し、直方体状の発泡体を形成し、上述したシート状成形体並びに成形品である容器を形成し、上述と同様な試験を行ったが、上記実施例と同様の結果が得られた。
このため、シート状成形体を得る際には、円柱状発泡体又は直方体状発泡体のいずれを用いることも可能であることが理解できる。
上記実施例5及び6については、立体成形性や耐熱性及び耐水性に劣るものの、該成形品の表面に、ラミネートフィルムなどを付着し、容器の材質を複合化することにより、上記特性を改善することも可能である。
本発明に係る生分解性発泡体は、上述したように植物繊維、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂からなる発泡体に限るものではなく、必要に応じて食紅、酸化ケイ素などの着色剤、抗菌剤など種々の添加剤を添加し、多機能な成形品を構成することも可能である。
以上に説明したように、本発明によれば、生分解性、成形性及び耐熱性に優れ、しかも食品の包装容器等に利用する場合にも、安全性の高い生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法を提供することが可能となる。
本発明は、生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法に関し、特に、籾殻粉体などの植物繊維並びに生分解性を有する熱可塑性樹脂を用い、生分解性及び成形性に優れた生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法に関する。
食品等の包装容器として、従来よりプラスチック成形品が多用されており、廃棄処分等における環境問題の原因となっている。
これに対し、環境に優しい素材として、生分解性を有する成形品の開発が進められており、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなどが開発されている。
他方、籾殻など植物繊維に関しても、日常的に多量の廃棄物が発生しており、廃棄処分に係る問題が顕在化している。
以下の特許文献1においては、このような籾殻を有効利用するために、籾殻を用いた発泡体が提案されている。具体的には、乾燥した籾殻をボールミルにより40メッシュの篩いを通過する細かさに粉砕したものと、植物性バインダーとしてアルファー化澱粉、水、界面活性剤としてラウリル硫酸アンモニウム、発泡剤として炭酸水素ナトリウムを混練して、粒状に成形し、型内で、加熱発泡させて成形体を得るものである。
特開平7−113017号公報
しかしながら、特許文献1のような発泡体においては、包装容器などを製造する際に、複雑な形状や、厚みが薄く、容器の深さが深いものの場合には、発泡体が十分細部まで行き渡らず、しかも発泡体の密度分布にバラツキが発生し易いため、均質な容器を製造することが困難である。しかも、緻密な泡を形成するために界面活性剤を利用しており、食品などを入れる容器には、安全性上問題がある。
また、発泡体の形状を保持する主要成分としてアルファー澱粉を利用しているため、容器等に利用する場合には、耐水性や耐熱性が劣るという欠点を有している
また、以下の特許文献2においては、紙を用いた発泡体が記載されており、具体的には、細かく破砕した紙成分と熱可塑性樹脂あるいは植物性材料、及び水とを加熱混練し、水の蒸気圧により発泡した成形体を得る技術が開示されている。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等の合成樹脂およびポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリ乳酸等の生分解性樹脂が、植物性材料としては、茶の葉の破砕物、微細木粉、澱粉類が例示されている。
特開2000−273800号公報
特許文献2に開示されている水蒸気発泡は、特許文献1のように界面活性剤や発泡剤を利用していないため食品用の容器等に利用する場合にも、安全性が確保でき、しかも、生分解性樹脂や植物性材料を利用するため環境にも優しい発泡体を提供することができる。
しかしながら、例示されている発泡体は厚さ20mm、幅100mmの板状発泡体であり、緩衝材や断熱材として利用することは可能であるが、容器等の複雑な形状を成形するのは困難であるため、該発泡体の利用が制限されるという欠点を有している。
しかも、材料が紙を主成分とする発泡体であるため、耐熱性が劣るという問題がある。
本発明の目的は、上述した問題を解決し、生分解性、成形性、及び耐熱性に優れ、しかも食品の包装容器等に利用する場合にも、安全性の高い生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を混合し、発泡倍率が15倍以内で発泡された生分解性発泡体である。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の生分解性発泡体において、籾殻粉が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有していることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいことを特徴とする。
また、請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の生分解性発泡体の製造方法において、籾殻粉、澱粉、生分解性熱可塑性樹脂、及び水を混合し、押出発泡することにより生分解性発泡体を製造することを特徴とする。
また、請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の生分解性発泡体を成形することにより得られる生分解性成形品である。
また、請求項に係る発明は、請求項に記載の生分解性成形品において、該成形品がシート状の成形品であることを特徴とする。
また、請求項に係る発明は、請求項に記載の生分解性成形品において、該成形品が包装用容器であることを特徴とする。
また、請求項に係る発明は、請求項又はに記載の生分解性成形品の製造方法において、生分解性発泡体をシート状に成形した後、該シートを更に加熱及び加圧することにより生分解性成形品を製造することを特徴とする。
請求項1に係る発明により、発泡体を構成する材料が、籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を主成分とするため、生分解性に優れ、食品等の容器に利用する場合にも安全性が高い、しかも、発泡倍率を15倍以内に抑制することにより、従来の高い発泡倍率(20〜40倍程度)で発泡された発泡体と比較して、他の成形品に加工する際の再成形性に優れた発泡体を提供することが可能となる。
特に、籾殻粉を利用することにより、発泡体の耐熱性を向上すると共に、現在、我が国で大量に廃棄されている籾殻を、有効活用することが可能となる。
請求項2に係る発明により、耐熱性に劣る澱粉の利用を最小限とし、籾殻粉を主要な成分とするため、例えば、籾殻などのシリカを含有する耐熱性の高い植物繊維を利用した場合には、耐熱性に優れた発泡体を提供することが可能となるなど、植物繊維の特性を生かした発泡体を提供することができる。
特に、籾殻粉が5重量%未満の場合は、耐熱性が低下し、40重量%を超えると、含有物質間の結着性が低下し、脆弱性が増加する。また、澱粉が5重量%未満の場合は、含有する生分解性熱可塑性樹脂の量が増加し、発泡体並びに成形品のコストの増加を来たす。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性も低下することとなる。
請求項3に係る発明により、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであるため、発泡体を成形する温度と該発泡体を再成形する際の温度が異なる場合でも、優れた成形性を確保することが可能となる。
特に、発泡体を成形する際には、後述する水蒸気発泡を用いる場合には、水の沸点より、より高い温度状態で発泡させる方が、良質な発泡体を形成できるため、高温で適正な粘性を保持する樹脂が好ましい。他方、再成形する際には、一般的に金型等を用いるため、高温で加圧成形すると、金型の歪みや温度分布の不均一性のため、均質な成形体が得られ難い、このため、比較的低温でも溶解する樹脂を混入することが好ましい。
請求項4に係る発明により、生分解性熱可塑性樹脂が、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいため、発泡体を金型等により再成形する際に、成形性が向上する。
また、請求項3及び4に係る発明のように、複数の異なる特性を有する樹脂を混合することにより、単一の生分解性熱可塑性樹脂では達成することが難しい、複合した特性を発泡体に持たせることが可能となる。
請求項に係る発明により、生分解性発泡体の製造方法において、水蒸気発泡を利用することで、界面活性剤や発泡剤を利用しない発泡体が提供でき、該発泡体を食品等の容器に利用する場合でも、高い安全性を確保することが可能となる。
請求項に係る発明により、請求項1乃至3のいずれかに記載の生分解性発泡体は、再成形性に優れた発泡体であるため、これらを成形することにより、発泡体の生分解性や耐熱性などの優れた特性をかした生分解性成形品を得ることが可能となる。
請求項に係る発明により、生分解性成形品がシート状の成形品であるため、包装容器などの多様な形状の成形品を製造する際の中間体として利用することが可能となる。しかも、従来の成形品の製造に利用される加熱プレス機を利用して、容易に成形品を製造することができる。しかも、発泡体の製造直後にローラなどの成形機を配置することにより、発泡体の余熱を利用して、容易にシート状に成形することも可能となる。
請求項に係る発明により、生分解性成形品を包装用容器とすることで、本発明に係る発泡体の優れた特性である、生分解性、耐熱性、成形性及び安全性などをかした優れた包装用容器を提供することができる。
請求項に係る発明により、包装用容器などの複雑な生分解性成形品を得る際に、一旦、生分解性発泡体をシート状に成形した後、該シートを更に加熱及び加圧することにより再成形することで、従来の成形品の製造に利用される加熱プレス機を利用して、容易に複雑な成形品を製造することができる。しかも、均質な密度が得られやすいシート状に発泡体を成形しているため、複雑な成形品であっても、該シートを加熱及び加圧するだけで容易に均質な成形品を得ることが可能となる。
以下に、本発明に係る生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法について、詳細に説明する。
本発明に係る生分解性発泡体は、籾殻粉、澱粉及び生分解性熱可塑性樹脂を主成分とするものである。生分解性発泡体の主な成分組成としては、籾殻粉が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有し、それ以外は生分解性熱可塑性樹脂により構成される。
籾殻粉が5重量%以下の場合には、澱粉や生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる上、機械的強度が劣るなどの問題が生じる。他方、籾殻粉が40重量%を越えると、発泡性が劣り、伸長性も低下するため、複雑な成形品が形成できない。さらに、欠け、ひび割れ等が発生しやすく脆弱性が増加するという問題を生ずる。
また、澱粉の含有量が5重量%以下の場合には、生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる。さらに、籾殻粉に対する結着力が低下し、脆弱性が増加する。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性や耐水性が劣り発泡体の利用範囲が限定される結果となる。
籾殻粉のような植物繊維は、発泡体及び成形品の増量剤として寄与するだけでなく、植物繊維が有する生分解性、殺菌性、耐熱性など種々の特性を付与することにも有用である。
植物繊維としては、植物の実、葉、茎・幹、又は皮などが利用可能であり、特に実の殻や、搾りかすなどの廃棄物が有用な資源として利用することが好ましい。例えば、米、麦、そば、大豆などの殻類の実の殻や皮、コーヒー、落花生などの実の殻、栗、オレンジ、りんご、梨などの果物の皮やそれらの搾りかす等が利用可能である。
特に、本発明においては、耐熱性に寄与するシリカを含む籾殻を植物繊維として利用することが好ましい。
澱粉は、発泡体を構成する発泡材の機能や増量剤としての機能を有するものであるが、植物繊維との結着性もよく植物繊維を結合させるバインダーの機能も有している。
本発明で利用可能な澱粉としては、トウモロコシ、麦、稲、馬鈴薯などから得られる生澱粉やα化度を調整した澱粉等がある。
生分解性熱可塑性樹脂は、発泡体の機械的強度を高めるだけでなく、耐熱性や耐水性の向上、並びに成形性に不可欠な伸張性を付与するために利用される。
生分解性熱可塑性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなど、各種のものが利用可能である。
本発明で用いる生分解性熱可塑性樹脂は、特に、発泡体及び成形品の耐熱性を向上させるため、融点が160℃以上、好ましくは170℃以上である高融点特性を有する樹脂を用いる。ただし、高融点の樹脂は、一般的に伸張性が劣るため、成形性が悪い。これを改善するため、伸び率が100%以上、好ましくは500%以上の樹脂を利用する。ただし、融点は90℃以上、好ましくは100℃以上であることが望ましい。融点が低いものは、耐熱性が劣るだけでなく、水蒸気発泡時の適正な水蒸気圧が得られる温度(例えば、170〜200℃程度)まで加熱した際に、適正な粘性が得られず、押出機からの押出不良や、発泡体の成形性が難しくなるなどの問題を生ずる。
したがって、本発明に係る発泡体には、適切な融点及び伸張性を有する異なる2種類以上の生分解性熱可塑性樹脂を混合して利用する。
高融点の樹脂と、低融点であるが伸び率の高い樹脂の混合割合は、生分解性成形品の耐熱性、成形性を考慮して適宜設定できるが、例えば、耐熱性を重視する場合には、低融点樹脂は高融点樹脂の総重量より少なく、好ましくは該総重量の半分以下、より好ましくは3分の1以下であることが望ましい。
また、本発明に係る発泡体の製造方法では、以下に述べるように水蒸気発泡を利用し、発泡倍率も15倍以下と低いため、発泡後に内部の水蒸気を外部に放出しやすくするため、蒸気透過性のある生分解性熱可塑性樹脂がより好ましい。
次に、生分解性発泡体の製造方法について説明する。
籾殻は、乾燥させると共にボールミルなどで平均粒径が1mm以下、好ましくは500μm以下に粉砕する。粒径が1mm以上の場合も利用可能であるが、成形品の形状が複雑なものの場合には、微細粉に加工することが好ましい。
粉砕した籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を、押出機に入れ、更に水蒸気発泡を行うための水を供給する。押出機においては、これらの材料を加熱及び混練し、押出機のダイ部から該材料を押し出す。押出時に材料は発泡し、生分解性発泡体を形成する。
生分解性発泡体の発泡倍率は、15倍以内とし、好ましくは10倍以内が望ましい。
発泡倍率が15倍を超えると、該発泡体を再成形した場合に、成形品内において密度のバラツキが発生しやすく、均質な成形体が得られない。つまり、発泡体自体は、一般的に内部の材料密度より外殻に近い部分の材料密度が高く、発泡体を圧縮した場合には、均質な密度及び厚みに成形できず、しかも、発泡体の内部には空気が存在するため、発泡体を圧縮した際に、内部の空気が外部に十分放出されず、泡立った成形品となり易い。
また、発泡倍率が極端に低い場合には、材料の使用量が増加し、高コスト化することとなる。
本発明の発泡体の製造方法においては、発泡倍率の制御は、押出機に混入する水の量で調整することが可能であり、ラウリル硫酸アンモニウムなどの界面活性剤を利用しないため、食品用の容器等にも利用可能な安全性の高い発泡体が製造可能である。また、本発明の発泡体の製造においては、食品衛生上安全な化学品は、必要に応じて用いることは可能であり、例えば、炭酸水素ナトリウムを発泡剤として利用することもできる。
次に、生分解性発泡体を用いた成形品について説明する。
本発明に係る生分解性発泡体は、再成形性に優れた発泡体であるため、これらを更に成形加工することにより、発泡体の生分解性や耐熱性などの優れた特性を生かした生分解性成形品を得ることが可能となる。
成形品としては、食品用の包装用容器、車両・電気製品のプラスチック・紙等の成形品など、各種の使い捨て成形品に使用することが可能である。特に、本発泡体をシート状に加熱・加圧成形したシート状の成形品は、該シートを再成形し包装用容器などを成形する際の中間体としても利用でき、有用な成形品を提供することが可能となる。
次に、生分解性発泡体を用いた成形品の製造方法について説明する。
本発明の生分解性発泡体をチップ状に加工し、金型に入れ加熱・加圧成形することも可能であるが、成形品内に均一に発泡体が分散するよう制御することが難しいため、まず発泡体を加熱・押圧することにより、シート状の成形品を形成する。次に、該シートを加熱した金型にて、加圧成形することにより、包装用容器などの成形品を製造する。
シート状の成形品の製造に際しては、生分解性発泡体を製造した後、所定の長さに発泡体を切断し、該発泡体の複数本を寄せ集めて、加熱・加圧ローラーにより、複数の発泡体を融着して、1枚のシートに成形する方法や、生分解性発泡体を押出機から押し出すと共に、複数の発泡体を加圧ローラーに導入し、シートを成形することも可能である。後者の場合、加圧ローラーは、必要に応じて加熱することも可能である。
また、発泡体の形状は円柱状のものに限らず、直方体状の板状発泡体を形成し、その後、上記加圧ローラーでシート状に成形することもできる。
シート状の成形品から、包装用容器等の成形品を得る際には、シートを加熱プレス機に導入し、所望の金型により加熱・加圧成形することで、容易に成形品が得られる。さらに、金型により加圧成形する際に、抜き打ち加工を施し、上記シートから包装用容器等の成形品を抜き出す処理も併せて行うことも可能である。
このような加熱プレス機としては、従来の合成樹脂シートから成形品を製造する際に利用される加熱プレス機を利用することが可能であるため、従来の設備を生かした、製造工程を設計することが可能となる。
植物繊維として乾燥・粉砕した籾殻粉(中日本産商株式会社製。80〜150メッシュ)を20重量%、澱粉としてコーンスターチ(日本澱粉工業株式会社製)を10重量%、生分解性熱可塑性樹脂として、融点が200℃であるコポリエステルのBiomax4024(デュポン株式会社製)を60重量%、融点が105〜115℃であり、伸び率が800%を持つEcoflex(BASF社製)を10重量%を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製)にて混練すると共に、混合した材料の総重量に対し、10重量%の水を添加し、混練温度を170〜200℃に保持しながら、押出機のダイ部(直径3mmの開口)から押し出すと共に水蒸気発泡させ、生分解性発泡体(円柱状)を得た。
上記実施例1の生分解性発泡体の発泡倍率は、5倍であった。
発泡倍率の測定方法は、未発泡状態の原料の密度を発泡体の密度で除算した値である。
上記水蒸気発泡に引き続き、生分解性発泡体を複数本並べて搬送し、加圧ローラー(ヨシムラ機械株式会社製。ローラーのギャップ3〜5mm)により、幅20cm、長さ30cmのシート状に成形した。
次に、該シート状成形体を加熱プレス機(ヨシムラ機械株式会社製)により、120〜200℃で、加熱・押圧し、幅9cm、長さ15cm、深さ1.5cmの容器を成形し、実施例1の成形品を得た。
上記実施例1と同様の材料及び製造方法で、添加する水の重量%を、10〜15重量%の範囲で変化させ、押出機内の圧力を調整することにより、発泡倍率が10倍,15倍,20倍の生分解性発泡体を得ると共に、該発泡体を成形し、実施例2(発泡倍率10倍),実施例3(同15倍),比較例(同20倍)の容器の成形品を得た。
次に、上記実施例1の製造方法において、籾殻粉を40重量%、コーンスターチを10重量%、Biomax4024を40重量%、Ecoflexを10重量%とし、その他は実施例1と同様に製造することにより、実施例の容器の成形品を得た。
また、上記実施例1の製造方法において、籾殻粉を20重量%、コーンスターチを30重量%、Biomax4024を40重量%、Ecoflexを10重量%とし、その他は実施例1と同様に製造することにより、実施例の容器の成形品を得た。
次に、実施例1〜5及び比較例の成形品に関する試験・評価方法について説明する。
(シート成形の試験・評価)
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品を得る途中で得られるシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂や泡膨れが無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
×・・・全体の面積に対し10%以上の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
(融着性の試験・評価)
上記シート成形の試験・評価と同様に、実施例1〜5及び比較例に係るシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・円柱状発泡体毎に分離が難しい成形体
×・・・シート状成形体の一部で円柱状発泡体毎に分離することが可能な成形体
(立体成形の試験・評価)
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品について、成形された容器を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂が無い成形体
△・・・底面の湾曲分の一部に亀裂が見られる成形体
×・・・全体的に亀裂が多数見られる成形体
(耐熱性及び耐水性の試験・評価)
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品について、成形された容器を蒸し器に入れ、30分間経過後に取り出し、元の成形品の形状からの変化を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・形状変化の無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に形状の変化が見られる成形体
×・・・全体の10%以上の面積に形状の変化が見られる成形体
以上の実施例1〜5及び比較例に関し、上記のシート成形性、融着性、立体性形成、耐熱性・耐水性に係る試験・評価の結果を、表1に示す。
Figure 2005179508
表1に示すように、実施例1〜3に関しては、シート成形性、融着性、立体性形成、及び耐熱性に関し、優れた特性を示したが、生分解性発泡体の発泡倍率が15倍を超える比較例は、シート状成形体を形成した際に、全体的に泡膨れが発生しており、立体成形した際にも、容器全体で厚みムラが生じ、伸び率が高い部分では亀裂が生じる箇所もあった。
また、籾殻粉が40重量%含有するもの(実施例)においては、容器全体が脆く、立体成形した際に、亀裂が生じやすい。
さらに、コーンスターチを30重量%含有するもの(実施例)においては、立体成形において、一部に亀裂が見られる上、耐熱性・耐水性試験においては、容器の一部の形状が変化するなど、十分な耐熱性及び耐水性が得られていないことが理解された。
上記実施例では、円柱状の生分解性発泡体からシート状成形体を形成したが、押出機のダイの形状を変更し、直方体状の発泡体を形成し、上述したシート状成形体並びに成形品である容器を形成し、上述と同様な試験を行ったが、上記実施例と同様の結果が得られた。
このため、シート状成形体を得る際には、円柱状発泡体又は直方体状発泡体のいずれを用いることも可能であることが理解できる。
上記実施例及びについては、立体成形性や耐熱性及び耐水性に劣るものの、該成形品の表面に、ラミネートフィルムなどを付着し、容器の材質を複合化することにより、上記特性を改善することも可能である。
本発明に係る生分解性発泡体は、上述したように籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂からなる発泡体に限るものではなく、必要に応じて食紅、酸化ケイ素などの着色剤、抗菌剤など種々の添加剤を添加し、多機能な成形品を構成することも可能である。
以上に説明したように、本発明によれば、生分解性、成形性及び耐熱性に優れ、しかも食品の包装容器等に利用する場合にも、安全性の高い生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法を提供することが可能となる。
本発明は、シート用生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法に関し、特に、籾殻粉体などの植物繊維並びに生分解性を有する熱可塑性樹脂を用い、生分解性及び成形性に優れたシート用生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法に関する。
食品等の包装容器として、従来よりプラスチック成形品が多用されており、廃棄処分等における環境問題の原因となっている。
これに対し、環境に優しい素材として、生分解性を有する成形品の開発が進められており、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなどが開発されている。
他方、籾殻など植物繊維に関しても、日常的に多量の廃棄物が発生しており、廃棄処分に係る問題が顕在化している。
以下の特許文献1においては、このような籾殻を有効利用するために、籾殻を用いた発泡体が提案されている。具体的には、乾燥した籾殻をボールミルにより40メッシュの篩いを通過する細かさに粉砕したものと、植物性バインダーとしてアルファー化澱粉、水、界面活性剤としてラウリル硫酸アンモニウム、発泡剤として炭酸水素ナトリウムを混練して、粒状に成形し、型内で、加熱発泡させて成形体を得るものである。
特開平7−113017号公報
しかしながら、特許文献1のような発泡体においては、包装容器などを製造する際に、複雑な形状や、厚みが薄く、容器の深さが深いものの場合には、発泡体が十分細部まで行き渡らず、しかも発泡体の密度分布にバラツキが発生し易いため、均質な容器を製造することが困難である。しかも、緻密な泡を形成するために界面活性剤を利用しており、食品などを入れる容器には、安全性上問題がある。
また、発泡体の形状を保持する主要成分としてアルファー澱粉を利用しているため、容器等に利用する場合には、耐水性や耐熱性が劣るという欠点を有している
また、以下の特許文献2においては、紙を用いた発泡体が記載されており、具体的には、細かく破砕した紙成分と熱可塑性樹脂あるいは植物性材料、及び水とを加熱混練し、水の蒸気圧により発泡した成形体を得る技術が開示されている。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等の合成樹脂およびポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリ乳酸等の生分解性樹脂が、植物性材料としては、茶の葉の破砕物、微細木粉、澱粉類が例示されている。
特開2000−273800号公報
特許文献2に開示されている水蒸気発泡は、特許文献1のように界面活性剤や発泡剤を利用していないため食品用の容器等に利用する場合にも、安全性が確保でき、しかも、生分解性樹脂や植物性材料を利用するため環境にも優しい発泡体を提供することができる。
しかしながら、例示されている発泡体は厚さ20mm、幅100mmの板状発泡体であり、緩衝材や断熱材として利用することは可能であるが、容器等の複雑な形状を成形するのは困難であるため、該発泡体の利用が制限されるという欠点を有している。
しかも、材料が紙を主成分とする発泡体であるため、耐熱性が劣るという問題がある。
本発明の目的は、上述した問題を解決し、生分解性、成形性、及び耐熱性に優れ、しかも食品の包装容器等に利用する場合にも、安全性の高いシート用生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を混合して発泡させた生分解性発泡体であり、該生分解性発泡体をシート状に成形するためのシート用生分解性発泡体において、該発泡時の発泡倍率が15倍以内で発泡されたシート用生分解性発泡体である。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のシート用生分解性発泡体において、籾殻粉が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有していることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のシート用生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載のシート用生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいことを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のシート用生分解性発泡体の製造方法において、籾殻粉、澱粉、生分解性熱可塑性樹脂、及び水を混合し、押出発泡することによりシート用生分解性発泡体を製造することを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のシート用生分解性発泡体をシート状に成形することにより得られる生分解性成形品である。
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のシート用生分解性発泡体をシート状に成形し、その後、再成形して包装用容器を形成することにより得られる生分解性成形品である。
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載の生分解性成形品の製造方法において、前記シート用生分解性発泡体をシート状に成形した後、該シートを更に加熱及び加圧することにより包装用容器を製造することを特徴とする。
請求項1に係る発明により、発泡体を構成する材料が、籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を主成分とするため、生分解性に優れ、食品等の容器に利用する場合にも安全性が高い、しかも、シート状に成形するためのシート用生分解性発泡体において、発泡倍率を15倍以内に抑制することにより、従来の高い発泡倍率(20〜40倍程度)で発泡された発泡体と比較して、シート状への成形、更にはシート状から他の成形品に加工する際の再成形性に優れた発泡体を提供することが可能となる。
特に、籾殻粉を利用することにより、発泡体の耐熱性を向上すると共に、現在、我が国で大量に廃棄されている籾殻を、有効活用することが可能となる。
請求項2に係る発明により、耐熱性に劣る澱粉の利用を最小限とし、籾殻粉を主要な成分とするため、例えば、籾殻などのシリカを含有する耐熱性の高い植物繊維を利用した場合には、耐熱性に優れた発泡体を提供することが可能となるなど、植物繊維の特性を生かした発泡体を提供することができる。
特に、籾殻粉が5重量%未満の場合は、耐熱性が低下し、40重量%を超えると、含有物質間の結着性が低下し、脆弱性が増加する。また、澱粉が5重量%未満の場合は、含有する生分解性熱可塑性樹脂の量が増加し、発泡体並びに成形品のコストの増加を来たす。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性も低下することとなる。
請求項3に係る発明により、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであるため、発泡体を成形する温度と該発泡体を再成形する際の温度が異なる場合でも、優れた成形性を確保することが可能となる。
特に、発泡体を成形する際には、後述する水蒸気発泡を用いる場合には、水の沸点より、より高い温度状態で発泡させる方が、良質な発泡体を形成できるため、高温で適正な粘性を保持する樹脂が好ましい。他方、再成形する際には、一般的に金型等を用いるため、高温で加圧成形すると、金型の歪みや温度分布の不均一性のため、均質な成形体が得られ難い、このため、比較的低温でも溶解する樹脂を混入することが好ましい。
請求項4に係る発明により、生分解性熱可塑性樹脂が、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいため、発泡体を金型等により再成形する際に、成形性が向上する。
また、請求項3及び4に係る発明のように、複数の異なる特性を有する樹脂を混合することにより、単一の生分解性熱可塑性樹脂では達成することが難しい、複合した特性を発泡体に持たせることが可能となる。
請求項5に係る発明により、シート用生分解性発泡体の製造方法において、水蒸気発泡を利用することで、界面活性剤や発泡剤を利用しない発泡体が提供でき、該発泡体を食品等の容器に利用する場合でも、高い安全性を確保することが可能となる。
請求項6に係る発明により、請求項1乃至3のいずれかに記載のシート用生分解性発泡体は、再成形性に優れた発泡体であるため、これらを成形することにより、発泡体の生分解性や耐熱性などの優れた特性を活かした生分解性成形品を得ることが可能となる。
特に、生分解性成形品がシート状の成形品であるため、包装容器などの多様な形状の成形品を製造する際の中間体として利用することが可能となる。しかも、従来の成形品の製造に利用される加熱プレス機を利用して、容易に成形品を製造することができる。さらに、発泡体の製造直後にローラなどの成形機を配置することにより、発泡体の余熱を利用して、容易にシート状に成形することも可能となる。
請求項7に係る発明により、生分解性成形品を包装用容器とすることで、本発明に係る発泡体の優れた特性である、生分解性、耐熱性、成形性及び安全性などを活かした優れた包装用容器を提供することができる。
請求項8に係る発明により、包装用容器などの複雑な生分解性成形品を得る際に、一旦、生分解性発泡体をシート状に成形した後、該シートを更に加熱及び加圧することにより再成形することで、従来の成形品の製造に利用される加熱プレス機を利用して、容易に複雑な成形品を製造することができる。しかも、均質な密度が得られやすいシート状に発泡体を成形しているため、複雑な成形品であっても、該シートを加熱及び加圧するだけで容易に均質な成形品を得ることが可能となる。
以下に、本発明に係るシート用生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法について、詳細に説明する。
本発明に係るシート用生分解性発泡体は、籾殻粉、澱粉及び生分解性熱可塑性樹脂を主成分とするものである。シート用生分解性発泡体の主な成分組成としては、籾殻粉が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有し、それ以外は生分解性熱可塑性樹脂により構成される。
籾殻粉が5重量%以下の場合には、澱粉や生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる上、機械的強度が劣るなどの問題が生じる。他方、籾殻粉が40重量%を越えると、発泡性が劣り、伸長性も低下するため、複雑な成形品が形成できない。さらに、欠け、ひび割れ等が発生しやすく脆弱性が増加するという問題を生ずる。
また、澱粉の含有量が5重量%以下の場合には、生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる。さらに、籾殻粉に対する結着力が低下し、脆弱性が増加する。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性や耐水性が劣り発泡体の利用範囲が限定される結果となる。
籾殻粉のような植物繊維は、発泡体及び成形品の増量剤として寄与するだけでなく、植物繊維が有する生分解性、殺菌性、耐熱性など種々の特性を付与することにも有用である。
植物繊維としては、植物の実、葉、茎・幹、又は皮などが利用可能であり、特に実の殻や、搾りかすなどの廃棄物が有用な資源として利用することが好ましい。例えば、米、麦、そば、大豆などの殻類の実の殻や皮、コーヒー、落花生などの実の殻、栗、オレンジ、りんご、梨などの果物の皮やそれらの搾りかす等が利用可能である。
特に、本発明においては、耐熱性に寄与するシリカを含む籾殻を植物繊維として利用することが好ましい。
澱粉は、発泡体を構成する発泡材の機能や増量剤としての機能を有するものであるが、植物繊維との結着性もよく植物繊維を結合させるバインダーの機能も有している。
本発明で利用可能な澱粉としては、トウモロコシ、麦、稲、馬鈴薯などから得られる生澱粉やα化度を調整した澱粉等がある。
生分解性熱可塑性樹脂は、発泡体の機械的強度を高めるだけでなく、耐熱性や耐水性の向上、並びに成形性に不可欠な伸張性を付与するために利用される。
生分解性熱可塑性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなど、各種のものが利用可能である。
本発明で用いる生分解性熱可塑性樹脂は、特に、発泡体及び成形品の耐熱性を向上させるため、融点が160℃以上、好ましくは170℃以上である高融点特性を有する樹脂を用いる。ただし、高融点の樹脂は、一般的に伸張性が劣るため、成形性が悪い。これを改善するため、伸び率が100%以上、好ましくは500%以上の樹脂を利用する。ただし、融点は90℃以上、好ましくは100℃以上であることが望ましい。融点が低いものは、耐熱性が劣るだけでなく、水蒸気発泡時の適正な水蒸気圧が得られる温度(例えば、170〜200℃程度)まで加熱した際に、適正な粘性が得られず、押出機からの押出不良や、発泡体の成形性が難しくなるなどの問題を生ずる。
したがって、本発明に係るシート用生分解性発泡体には、適切な融点及び伸張性を有する異なる2種類以上の生分解性熱可塑性樹脂を混合して利用する。
高融点の樹脂と、低融点であるが伸び率の高い樹脂の混合割合は、生分解性成形品の耐熱性、成形性を考慮して適宜設定できるが、例えば、耐熱性を重視する場合には、低融点樹脂は高融点樹脂の総重量より少なく、好ましくは該総重量の半分以下、より好ましくは3分の1以下であることが望ましい。
また、本発明に係るシート用生分解性発泡体の製造方法では、以下に述べるように水蒸気発泡を利用し、発泡倍率も15倍以下と低いため、発泡後に内部の水蒸気を外部に放出しやすくするため、蒸気透過性のある生分解性熱可塑性樹脂がより好ましい。
次に、シート用生分解性発泡体の製造方法について説明する。
籾殻は、乾燥させると共にボールミルなどで平均粒径が1mm以下、好ましくは500μm以下に粉砕する。粒径が1mm以上の場合も利用可能であるが、成形品の形状が複雑なものの場合には、微細粉に加工することが好ましい。
粉砕した籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を、押出機に入れ、更に水蒸気発泡を行うための水を供給する。押出機においては、これらの材料を加熱及び混練し、押出機のダイ部から該材料を押し出す。押出時に材料は発泡し、シート用生分解性発泡体を形成する。
シート用生分解性発泡体の発泡倍率は、15倍以内とし、好ましくは10倍以内が望ましい。
発泡倍率が15倍を超えると、該発泡体を再成形した場合に、成形品内において密度のバラツキが発生しやすく、均質な成形体が得られない。つまり、発泡体自体は、一般的に内部の材料密度より外殻に近い部分の材料密度が高く、発泡体を圧縮した場合には、均質な密度及び厚みに成形できず、しかも、発泡体の内部には空気が存在するため、発泡体を圧縮した際に、内部の空気が外部に十分放出されず、泡立った成形品となり易い。
また、発泡倍率が極端に低い場合には、材料の使用量が増加し、高コスト化することとなる。
本発明のシート用生分解性発泡体の製造方法においては、発泡倍率の制御は、押出機に混入する水の量で調整することが可能であり、ラウリル硫酸アンモニウムなどの界面活性剤を利用しないため、食品用の容器等にも利用可能な安全性の高いシート用生分解性発泡体が製造可能である。また、本発明のシート用生分解性発泡体の製造においては、食品衛生上安全な化学品は、必要に応じて用いることは可能であり、例えば、炭酸水素ナトリウムを発泡剤として利用することもできる。
次に、シート用生分解性発泡体を用いた成形品について説明する。
本発明に係るシート用生分解性発泡体は、再成形性に優れた発泡体であるため、これらを更に成形加工することにより、発泡体の生分解性や耐熱性などの優れた特性を生かした生分解性成形品を得ることが可能となる。
成形品としては、食品用の包装用容器、車両・電気製品のプラスチック・紙等の成形品など、各種の使い捨て成形品に使用することが可能である。特に、本発泡体をシート状に加熱・加圧成形したシート状の成形品は、該シートを再成形し包装用容器などを成形する際の中間体としても利用でき、有用な成形品を提供することが可能となる。
次に、シート用生分解性発泡体を用いた成形品の製造方法について説明する。
本発明のシート用生分解性発泡体をチップ状に加工し、金型に入れ加熱・加圧成形することも可能であるが、成形品内に均一に発泡体が分散するよう制御することが難しいため、まず発泡体を加熱・押圧することにより、シート状の成形品を形成する。次に、該シートを加熱した金型にて、加圧成形することにより、包装用容器などの成形品を製造する。
シート状の成形品の製造に際しては、シート用生分解性発泡体を製造した後、所定の長さに発泡体を切断し、該発泡体の複数本を寄せ集めて、加熱・加圧ローラーにより、複数の発泡体を融着して、1枚のシートに成形する方法や、生分解性発泡体を押出機から押し出すと共に、複数の発泡体を加圧ローラーに導入し、シートを成形することも可能である。後者の場合、加圧ローラーは、必要に応じて加熱することも可能である。
また、発泡体の形状は円柱状のものに限らず、直方体状の板状発泡体を形成し、その後、上記加圧ローラーでシート状に成形することもできる。
シート状の成形品から、包装用容器等の成形品を得る際には、シートを加熱プレス機に導入し、所望の金型により加熱・加圧成形することで、容易に成形品が得られる。さらに、金型により加圧成形する際に、抜き打ち加工を施し、上記シートから包装用容器等の成形品を抜き出す処理も併せて行うことも可能である。
このような加熱プレス機としては、従来の合成樹脂シートから成形品を製造する際に利用される加熱プレス機を利用することが可能であるため、従来の設備を生かした、製造工程を設計することが可能となる。
植物繊維として乾燥・粉砕した籾殻粉(中日本産商株式会社製。80〜150メッシュ)を20重量%、澱粉としてコーンスターチ(日本澱粉工業株式会社製)を10重量%、生分解性熱可塑性樹脂として、融点が200℃であるコポリエステルのBiomax4024(デュポン株式会社製)を60重量%、融点が105〜115℃であり、伸び率が800%を持つEcoflex(BASF社製)を10重量%を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製)にて混練すると共に、混合した材料の総重量に対し、10重量%の水を添加し、混練温度を170〜200℃に保持しながら、押出機のダイ部(直径3mmの開口)から押し出すと共に水蒸気発泡させ、シート用生分解性発泡体(円柱状)を得た。
上記実施例1のシート用生分解性発泡体の発泡倍率は、5倍であった。
発泡倍率の測定方法は、未発泡状態の原料の密度を発泡体の密度で除算した値である。
上記水蒸気発泡に引き続き、シート用生分解性発泡体を複数本並べて搬送し、加圧ローラー(ヨシムラ機械株式会社製。ローラーのギャップ3〜5mm)により、幅20cm、長さ30cmのシート状に成形した。
次に、該シート状成形体を加熱プレス機(ヨシムラ機械株式会社製)により、120〜200℃で、加熱・押圧し、幅9cm、長さ15cm、深さ1.5cmの容器を成形し、実施例1の成形品を得た。
上記実施例1と同様の材料及び製造方法で、添加する水の重量%を、10〜15重量%の範囲で変化させ、押出機内の圧力を調整することにより、発泡倍率が10倍,15倍,20倍の生分解性発泡体を得ると共に、該発泡体を成形し、実施例2(発泡倍率10倍),実施例3(同15倍),比較例(同20倍)の容器の成形品を得た。
次に、上記実施例1の製造方法において、籾殻粉を40重量%、コーンスターチを10重量%、Biomax4024を40重量%、Ecoflexを10重量%とし、その他は実施例1と同様に製造することにより、実施例4の容器の成形品を得た。
また、上記実施例1の製造方法において、籾殻粉を20重量%、コーンスターチを30重量%、Biomax4024を40重量%、Ecoflexを10重量%とし、その他は実施例1と同様に製造することにより、実施例5の容器の成形品を得た。
次に、実施例1〜5及び比較例の成形品に関する試験・評価方法について説明する。
(シート成形の試験・評価)
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品を得る途中で得られるシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂や泡膨れが無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
×・・・全体の面積に対し10%以上の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
(融着性の試験・評価)
上記シート成形の試験・評価と同様に、実施例1〜5及び比較例に係るシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・円柱状発泡体毎に分離が難しい成形体
×・・・シート状成形体の一部で円柱状発泡体毎に分離することが可能な成形体
(立体成形の試験・評価)
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品について、成形された容器を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂が無い成形体
△・・・底面の湾曲分の一部に亀裂が見られる成形体
×・・・全体的に亀裂が多数見られる成形体
(耐熱性及び耐水性の試験・評価)
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品について、成形された容器を蒸し器に入れ、30分間経過後に取り出し、元の成形品の形状からの変化を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・形状変化の無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に形状の変化が見られる成形体
×・・・全体の10%以上の面積に形状の変化が見られる成形体
以上の実施例1〜5及び比較例に関し、上記のシート成形性、融着性、立体性形成、耐熱性・耐水性に係る試験・評価の結果を、表1に示す。
Figure 2005179508
表1に示すように、実施例1〜3に関しては、シート成形性、融着性、立体性形成、及び耐熱性に関し、優れた特性を示したが、シート用生分解性発泡体の発泡倍率が15倍を超える比較例は、シート状成形体を形成した際に、全体的に泡膨れが発生しており、立体成形した際にも、容器全体で厚みムラが生じ、伸び率が高い部分では亀裂が生じる箇所もあった。
また、籾殻粉が40重量%含有するもの(実施例4)においては、容器全体が脆く、立体成形した際に、亀裂が生じやすい。
さらに、コーンスターチを30重量%含有するもの(実施例5)においては、立体成形において、一部に亀裂が見られる上、耐熱性・耐水性試験においては、容器の一部の形状が変化するなど、十分な耐熱性及び耐水性が得られていないことが理解された。
上記実施例では、円柱状の生分解性発泡体からシート状成形体を形成したが、押出機のダイの形状を変更し、直方体状の発泡体を形成し、上述したシート状成形体、さらに成形品である容器を形成し、上述と同様な試験を行ったが、上記実施例と同様の結果が得られた。
このため、シート状成形体を得る際には、円柱状発泡体又は直方体状発泡体のいずれを用いることも可能であることが理解できる。
上記実施例4及び5については、立体成形性や耐熱性及び耐水性に劣るものの、該成形品の表面に、ラミネートフィルムなどを付着し、容器の材質を複合化することにより、上記特性を改善することも可能である。
本発明に係るシート用生分解性発泡体は、上述したように籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂からなる発泡体に限るものではなく、必要に応じて食紅、酸化ケイ素などの着色剤、抗菌剤など種々の添加剤を添加し、多機能な成形品を構成することも可能である。
以上に説明したように、本発明によれば、生分解性、成形性及び耐熱性に優れ、しかも食品の包装容器等に利用する場合にも、安全性の高いシート用生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法を提供することが可能となる。

Claims (10)

  1. 植物繊維、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を混合し、発泡倍率が15倍以内で発泡された生分解性発泡体。
  2. 請求項1に記載の生分解性発泡体において、植物繊維が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有していることを特徴とする生分解性発泡体。
  3. 請求項1又は2に記載の生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであることを特徴とする生分解性発泡体。
  4. 請求項3に記載の生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいことを特徴とする生分解性発泡体。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の生分解性発泡体において、植物繊維が籾殻粉であることを特徴とする生分解性発泡体。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の生分解性発泡体の製造方法において、植物繊維、澱粉、生分解性熱可塑性樹脂、及び水を混合し、押出発泡することにより生分解性発泡体を製造することを特徴とする生分解性発砲体の製造方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の生分解性発泡体を成形することにより得られる生分解性成形品。
  8. 請求項7に記載の生分解性成形品において、該成形品がシート状の成形品であることを特徴とする生分解性成形品。
  9. 請求項7に記載の生分解性成形品において、該成形品が包装用容器であることを特徴とする生分解性成形品。
  10. 請求項7又は9に記載の生分解性成形品の製造方法において、生分解性発泡体をシート状に成形した後、該シートを更に加熱及び加圧することにより生分解性成形品を製造することを特徴とする生分解性成形品の製造方法。
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