JP2005179508A - シート用生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
生分解性、成形性、及び耐熱性に優れ、しかも食品の包装容器等に利用する場合にも、安全性の高い生分解性発泡体及びその製造方法、並びに当該発泡体を用いた生分解性成形品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】
植物繊維、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を混合し、発泡倍率が15倍以内で発泡された生分解性発泡体である。好ましくは、植物繊維が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有していることを特徴とする。
また、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであることが好ましく、特に、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいことが、より好ましい。
【選択図】なし
Description
これに対し、環境に優しい素材として、生分解性を有する成形品の開発が進められており、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなどが開発されている。
以下の特許文献1においては、このような籾殻を有効利用するために、籾殻を用いた発泡体が提案されている。具体的には、乾燥した籾殻をボールミルにより40メッシュの篩いを通過する細かさに粉砕したものと、植物性バインダーとしてアルファー化澱粉、水、界面活性剤としてラウリル硫酸アンモニウム、発泡剤として炭酸水素ナトリウムを混練して、粒状に成形し、型内で、加熱発泡させて成形体を得るものである。
また、発泡体の形状を保持する主要成分としてアルファー澱粉を利用しているため、容器等に利用する場合には、耐水性や耐熱性が劣るという欠点を有している
しかしながら、例示されている発泡体は厚さ20mm、幅100mmの板状発泡体であり、緩衝材や断熱材として利用することは可能であるが、容器等の複雑な形状を成形するのは困難であるため、該発泡体の利用が制限されるという欠点を有している。
しかも、材料が紙を主成分とする発泡体であるため、耐熱性が劣るという問題がある。
特に、植物繊維が5重量%未満の場合は、耐熱性が低下し、40重量%を超えると、含有物質間の結着性が低下し、脆弱性が増加する。また、澱粉が5重量%未満の場合は、含有する生分解性熱可塑性樹脂の量が増加し、発泡体並びに成形品のコストの増加を来たす。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性も低下することとなる。
特に、発泡体を成形する際には、後述する水蒸気発泡を用いる場合には、水の沸点より、より高い温度状態で発泡させる方が、良質な発泡体を形成できるため、高温で適正な粘性を保持する樹脂が好ましい。他方、再成形する際には、一般的に金型等を用いるため、高温で加圧成形すると、金型の歪みや温度分布の不均一性のため、均質な成形体が得られ難い、このため、比較的低温でも溶解する樹脂を混入することが好ましい。
また、請求項3及び4に係る発明のように、複数の異なる特性を有する樹脂を混合することにより、単一の生分解性熱可塑性樹脂では達成することが難しい、複合した特性を発泡体に持たせることが可能となる。
本発明に係る生分解性発泡体は、植物繊維、澱粉及び生分解性熱可塑性樹脂を主成分とするものである。生分解性発泡体の主な成分組成としては、植物繊維が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有し、それ以外は生分解性熱可塑性樹脂により構成される。
植物繊維が5重量%以下の場合には、澱粉や生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる上、機械的強度が劣るなどの問題が生じる。他方、植物繊維が40重量%を越えると、発泡性が劣り、伸長性も低下するため、複雑な成形品が形成できない。さらに、欠け、ひび割れ等が発生しやすく脆弱性が増加するという問題を生ずる。
また、澱粉の含有量が5重量%以下の場合には、生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる。さらに、植物繊維に対する結着力が低下し、脆弱性が増加する。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性や耐水性が劣り発泡体の利用範囲が限定される結果となる。
植物繊維としては、植物の実、葉、茎・幹、又は皮などが利用可能であり、特に実の殻や、搾りかすなどの廃棄物が有用な資源として利用することが好ましい。例えば、米、麦、そば、大豆などの殻類の実の殻や皮、コーヒー、落花生などの実の殻、栗、オレンジ、りんご、梨などの果物の皮やそれらの搾りかす等が利用可能である。
特に、本発明においては、耐熱性に寄与するシリカを含む籾殻を植物繊維として利用することが好ましい。
本発明で利用可能な澱粉としては、トウモロコシ、麦、稲、馬鈴薯などから得られる生澱粉やα化度を調整した澱粉等がある。
生分解性熱可塑性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなど、各種のものが利用可能である。
高融点の樹脂と、低融点であるが伸び率の高い樹脂の混合割合は、生分解性成形品の耐熱性、成形性を考慮して適宜設定できるが、例えば、耐熱性を重視する場合には、低融点樹脂は高融点樹脂の総重量より少なく、好ましくは該総重量の半分以下、より好ましくは3分の1以下であることが望ましい。
また、本発明に係る発泡体の製造方法では、以下に述べるように水蒸気発泡を利用し、発泡倍率も15倍以下と低いため、発泡後に内部の水蒸気を外部に放出しやすくするため、蒸気透過性のある生分解性熱可塑性樹脂がより好ましい。
植物繊維は、乾燥させると共にボールミルなどで平均粒径が1mm以下、好ましくは500μm以下に粉砕する。粒径が1mm以上の場合も利用可能であるが、成形品の形状が複雑なものの場合には、微細粉に加工することが好ましい。
粉砕した植物繊維、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を、押出機に入れ、更に水蒸気発泡を行うための水を供給する。押出機においては、これらの材料を加熱及び混練し、押出機のダイ部から該材料を押し出す。押出時に材料は発泡し、生分解性発泡体を形成する。
発泡倍率が15倍を超えると、該発泡体を再成形した場合に、成形品内において密度のバラツキが発生しやすく、均質な成形体が得られない。つまり、発泡体自体は、一般的に内部の材料密度より外殻に近い部分の材料密度が高く、発泡体を圧縮した場合には、均質な密度及び厚みに成形できず、しかも、発泡体の内部には空気が存在するため、発泡体を圧縮した際に、内部の空気が外部に十分放出されず、泡立った成形品となり易い。
また、発泡倍率が極端に低い場合には、材料の使用量が増加し、高コスト化することとなる。
本発明に係る生分解性発泡体は、再成形性に優れた発泡体であるため、これらを更に成形加工することにより、発泡体の生分解性や耐熱性などの優れた特性を生かした生分解性成形品を得ることが可能となる。
成形品としては、食品用の包装用容器、車両・電気製品のプラスチック・紙等の成形品など、各種の使い捨て成形品に使用することが可能である。特に、本発泡体をシート状に加熱・加圧成形したシート状の成形品は、該シートを再成形し包装用容器などを成形する際の中間体としても利用でき、有用な成形品を提供することが可能となる。
本発明の生分解性発泡体をチップ状に加工し、金型に入れ加熱・加圧成形することも可能であるが、成形品内に均一に発泡体が分散するよう制御することが難しいため、まず発泡体を加熱・押圧することにより、シート状の成形品を形成する。次に、該シートを加熱した金型にて、加圧成形することにより、包装用容器などの成形品を製造する。
また、発泡体の形状は円柱状のものに限らず、直方体状の板状発泡体を形成し、その後、上記加圧ローラーでシート状に成形することもできる。
このような加熱プレス機としては、従来の合成樹脂シートから成形品を製造する際に利用される加熱プレス機を利用することが可能であるため、従来の設備を生かした、製造工程を設計することが可能となる。
上記実施例1の生分解性発泡体の発泡倍率は、5倍であった。
発泡倍率の測定方法は、未発泡状態の原料の密度を発泡体の密度で除算した値である。
次に、該シート状成形体を加熱プレス機(ヨシムラ機械株式会社製)により、120〜200℃で、加熱・押圧し、幅9cm、長さ15cm、深さ1.5cmの容器を成形し、実施例1の成形品を得た。
(シート成形の試験・評価)
実施例1〜6の生分解性成形品を得る途中で得られるシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂や泡膨れが無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
×・・・全体の面積に対し10%以上の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
上記シート成形の試験・評価と同様に、実施例1〜6に係るシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・円柱状発泡体毎に分離が難しい成形体
×・・・シート状成形体の一部で円柱状発泡体毎に分離することが可能な成形体
実施例1〜6の生分解性成形品について、成形された容器を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂が無い成形体
△・・・底面の湾曲分の一部に亀裂が見られる成形体
×・・・全体的に亀裂が多数見られる成形体
実施例1〜6の生分解性成形品について、成形された容器を蒸し器に入れ、30分間経過後に取り出し、元の成形品の形状からの変化を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・形状変化の無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に形状の変化が見られる成形体
×・・・全体の10%以上の面積に形状の変化が見られる成形体
また、籾殻粉が40重量%含有するもの(実施例5)においては、容器全体が脆く、立体成形した際に、亀裂が生じやすい。
さらに、コーンスターチを30重量%含有するもの(実施例6)においては、立体成形において、一部に亀裂が見られる上、耐熱性・耐水性試験においては、容器の一部の形状が変化するなど、十分な耐熱性及び耐水性が得られていないことが理解された。
このため、シート状成形体を得る際には、円柱状発泡体又は直方体状発泡体のいずれを用いることも可能であることが理解できる。
これに対し、環境に優しい素材として、生分解性を有する成形品の開発が進められており、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなどが開発されている。
以下の特許文献1においては、このような籾殻を有効利用するために、籾殻を用いた発泡体が提案されている。具体的には、乾燥した籾殻をボールミルにより40メッシュの篩いを通過する細かさに粉砕したものと、植物性バインダーとしてアルファー化澱粉、水、界面活性剤としてラウリル硫酸アンモニウム、発泡剤として炭酸水素ナトリウムを混練して、粒状に成形し、型内で、加熱発泡させて成形体を得るものである。
また、発泡体の形状を保持する主要成分としてアルファー澱粉を利用しているため、容器等に利用する場合には、耐水性や耐熱性が劣るという欠点を有している
しかしながら、例示されている発泡体は厚さ20mm、幅100mmの板状発泡体であり、緩衝材や断熱材として利用することは可能であるが、容器等の複雑な形状を成形するのは困難であるため、該発泡体の利用が制限されるという欠点を有している。
しかも、材料が紙を主成分とする発泡体であるため、耐熱性が劣るという問題がある。
特に、籾殻粉を利用することにより、発泡体の耐熱性を向上すると共に、現在、我が国で大量に廃棄されている籾殻を、有効活用することが可能となる。
特に、籾殻粉が5重量%未満の場合は、耐熱性が低下し、40重量%を超えると、含有物質間の結着性が低下し、脆弱性が増加する。また、澱粉が5重量%未満の場合は、含有する生分解性熱可塑性樹脂の量が増加し、発泡体並びに成形品のコストの増加を来たす。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性も低下することとなる。
特に、発泡体を成形する際には、後述する水蒸気発泡を用いる場合には、水の沸点より、より高い温度状態で発泡させる方が、良質な発泡体を形成できるため、高温で適正な粘性を保持する樹脂が好ましい。他方、再成形する際には、一般的に金型等を用いるため、高温で加圧成形すると、金型の歪みや温度分布の不均一性のため、均質な成形体が得られ難い、このため、比較的低温でも溶解する樹脂を混入することが好ましい。
また、請求項3及び4に係る発明のように、複数の異なる特性を有する樹脂を混合することにより、単一の生分解性熱可塑性樹脂では達成することが難しい、複合した特性を発泡体に持たせることが可能となる。
本発明に係る生分解性発泡体は、籾殻粉、澱粉及び生分解性熱可塑性樹脂を主成分とするものである。生分解性発泡体の主な成分組成としては、籾殻粉が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有し、それ以外は生分解性熱可塑性樹脂により構成される。
籾殻粉が5重量%以下の場合には、澱粉や生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる上、機械的強度が劣るなどの問題が生じる。他方、籾殻粉が40重量%を越えると、発泡性が劣り、伸長性も低下するため、複雑な成形品が形成できない。さらに、欠け、ひび割れ等が発生しやすく脆弱性が増加するという問題を生ずる。
また、澱粉の含有量が5重量%以下の場合には、生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる。さらに、籾殻粉に対する結着力が低下し、脆弱性が増加する。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性や耐水性が劣り発泡体の利用範囲が限定される結果となる。
植物繊維としては、植物の実、葉、茎・幹、又は皮などが利用可能であり、特に実の殻や、搾りかすなどの廃棄物が有用な資源として利用することが好ましい。例えば、米、麦、そば、大豆などの殻類の実の殻や皮、コーヒー、落花生などの実の殻、栗、オレンジ、りんご、梨などの果物の皮やそれらの搾りかす等が利用可能である。
特に、本発明においては、耐熱性に寄与するシリカを含む籾殻を植物繊維として利用することが好ましい。
本発明で利用可能な澱粉としては、トウモロコシ、麦、稲、馬鈴薯などから得られる生澱粉やα化度を調整した澱粉等がある。
生分解性熱可塑性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなど、各種のものが利用可能である。
高融点の樹脂と、低融点であるが伸び率の高い樹脂の混合割合は、生分解性成形品の耐熱性、成形性を考慮して適宜設定できるが、例えば、耐熱性を重視する場合には、低融点樹脂は高融点樹脂の総重量より少なく、好ましくは該総重量の半分以下、より好ましくは3分の1以下であることが望ましい。
また、本発明に係る発泡体の製造方法では、以下に述べるように水蒸気発泡を利用し、発泡倍率も15倍以下と低いため、発泡後に内部の水蒸気を外部に放出しやすくするため、蒸気透過性のある生分解性熱可塑性樹脂がより好ましい。
籾殻は、乾燥させると共にボールミルなどで平均粒径が1mm以下、好ましくは500μm以下に粉砕する。粒径が1mm以上の場合も利用可能であるが、成形品の形状が複雑なものの場合には、微細粉に加工することが好ましい。
粉砕した籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を、押出機に入れ、更に水蒸気発泡を行うための水を供給する。押出機においては、これらの材料を加熱及び混練し、押出機のダイ部から該材料を押し出す。押出時に材料は発泡し、生分解性発泡体を形成する。
発泡倍率が15倍を超えると、該発泡体を再成形した場合に、成形品内において密度のバラツキが発生しやすく、均質な成形体が得られない。つまり、発泡体自体は、一般的に内部の材料密度より外殻に近い部分の材料密度が高く、発泡体を圧縮した場合には、均質な密度及び厚みに成形できず、しかも、発泡体の内部には空気が存在するため、発泡体を圧縮した際に、内部の空気が外部に十分放出されず、泡立った成形品となり易い。
また、発泡倍率が極端に低い場合には、材料の使用量が増加し、高コスト化することとなる。
本発明に係る生分解性発泡体は、再成形性に優れた発泡体であるため、これらを更に成形加工することにより、発泡体の生分解性や耐熱性などの優れた特性を生かした生分解性成形品を得ることが可能となる。
成形品としては、食品用の包装用容器、車両・電気製品のプラスチック・紙等の成形品など、各種の使い捨て成形品に使用することが可能である。特に、本発泡体をシート状に加熱・加圧成形したシート状の成形品は、該シートを再成形し包装用容器などを成形する際の中間体としても利用でき、有用な成形品を提供することが可能となる。
本発明の生分解性発泡体をチップ状に加工し、金型に入れ加熱・加圧成形することも可能であるが、成形品内に均一に発泡体が分散するよう制御することが難しいため、まず発泡体を加熱・押圧することにより、シート状の成形品を形成する。次に、該シートを加熱した金型にて、加圧成形することにより、包装用容器などの成形品を製造する。
また、発泡体の形状は円柱状のものに限らず、直方体状の板状発泡体を形成し、その後、上記加圧ローラーでシート状に成形することもできる。
このような加熱プレス機としては、従来の合成樹脂シートから成形品を製造する際に利用される加熱プレス機を利用することが可能であるため、従来の設備を生かした、製造工程を設計することが可能となる。
上記実施例1の生分解性発泡体の発泡倍率は、5倍であった。
発泡倍率の測定方法は、未発泡状態の原料の密度を発泡体の密度で除算した値である。
次に、該シート状成形体を加熱プレス機(ヨシムラ機械株式会社製)により、120〜200℃で、加熱・押圧し、幅9cm、長さ15cm、深さ1.5cmの容器を成形し、実施例1の成形品を得た。
(シート成形の試験・評価)
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品を得る途中で得られるシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂や泡膨れが無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
×・・・全体の面積に対し10%以上の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
上記シート成形の試験・評価と同様に、実施例1〜5及び比較例に係るシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・円柱状発泡体毎に分離が難しい成形体
×・・・シート状成形体の一部で円柱状発泡体毎に分離することが可能な成形体
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品について、成形された容器を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂が無い成形体
△・・・底面の湾曲分の一部に亀裂が見られる成形体
×・・・全体的に亀裂が多数見られる成形体
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品について、成形された容器を蒸し器に入れ、30分間経過後に取り出し、元の成形品の形状からの変化を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・形状変化の無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に形状の変化が見られる成形体
×・・・全体の10%以上の面積に形状の変化が見られる成形体
また、籾殻粉が40重量%含有するもの(実施例4)においては、容器全体が脆く、立体成形した際に、亀裂が生じやすい。
さらに、コーンスターチを30重量%含有するもの(実施例5)においては、立体成形において、一部に亀裂が見られる上、耐熱性・耐水性試験においては、容器の一部の形状が変化するなど、十分な耐熱性及び耐水性が得られていないことが理解された。
このため、シート状成形体を得る際には、円柱状発泡体又は直方体状発泡体のいずれを用いることも可能であることが理解できる。
これに対し、環境に優しい素材として、生分解性を有する成形品の開発が進められており、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなどが開発されている。
以下の特許文献1においては、このような籾殻を有効利用するために、籾殻を用いた発泡体が提案されている。具体的には、乾燥した籾殻をボールミルにより40メッシュの篩いを通過する細かさに粉砕したものと、植物性バインダーとしてアルファー化澱粉、水、界面活性剤としてラウリル硫酸アンモニウム、発泡剤として炭酸水素ナトリウムを混練して、粒状に成形し、型内で、加熱発泡させて成形体を得るものである。
また、発泡体の形状を保持する主要成分としてアルファー澱粉を利用しているため、容器等に利用する場合には、耐水性や耐熱性が劣るという欠点を有している
しかしながら、例示されている発泡体は厚さ20mm、幅100mmの板状発泡体であり、緩衝材や断熱材として利用することは可能であるが、容器等の複雑な形状を成形するのは困難であるため、該発泡体の利用が制限されるという欠点を有している。
しかも、材料が紙を主成分とする発泡体であるため、耐熱性が劣るという問題がある。
特に、籾殻粉を利用することにより、発泡体の耐熱性を向上すると共に、現在、我が国で大量に廃棄されている籾殻を、有効活用することが可能となる。
特に、籾殻粉が5重量%未満の場合は、耐熱性が低下し、40重量%を超えると、含有物質間の結着性が低下し、脆弱性が増加する。また、澱粉が5重量%未満の場合は、含有する生分解性熱可塑性樹脂の量が増加し、発泡体並びに成形品のコストの増加を来たす。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性も低下することとなる。
特に、発泡体を成形する際には、後述する水蒸気発泡を用いる場合には、水の沸点より、より高い温度状態で発泡させる方が、良質な発泡体を形成できるため、高温で適正な粘性を保持する樹脂が好ましい。他方、再成形する際には、一般的に金型等を用いるため、高温で加圧成形すると、金型の歪みや温度分布の不均一性のため、均質な成形体が得られ難い、このため、比較的低温でも溶解する樹脂を混入することが好ましい。
また、請求項3及び4に係る発明のように、複数の異なる特性を有する樹脂を混合することにより、単一の生分解性熱可塑性樹脂では達成することが難しい、複合した特性を発泡体に持たせることが可能となる。
特に、生分解性成形品がシート状の成形品であるため、包装容器などの多様な形状の成形品を製造する際の中間体として利用することが可能となる。しかも、従来の成形品の製造に利用される加熱プレス機を利用して、容易に成形品を製造することができる。さらに、発泡体の製造直後にローラなどの成形機を配置することにより、発泡体の余熱を利用して、容易にシート状に成形することも可能となる。
本発明に係るシート用生分解性発泡体は、籾殻粉、澱粉及び生分解性熱可塑性樹脂を主成分とするものである。シート用生分解性発泡体の主な成分組成としては、籾殻粉が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有し、それ以外は生分解性熱可塑性樹脂により構成される。
籾殻粉が5重量%以下の場合には、澱粉や生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる上、機械的強度が劣るなどの問題が生じる。他方、籾殻粉が40重量%を越えると、発泡性が劣り、伸長性も低下するため、複雑な成形品が形成できない。さらに、欠け、ひび割れ等が発生しやすく脆弱性が増加するという問題を生ずる。
また、澱粉の含有量が5重量%以下の場合には、生分解性熱可塑性樹脂が多くなり、コストが高くなる。さらに、籾殻粉に対する結着力が低下し、脆弱性が増加する。他方、澱粉が30重量%を越えると、発泡体を再成形する際の成形性が低下すると共に、耐熱性や耐水性が劣り発泡体の利用範囲が限定される結果となる。
植物繊維としては、植物の実、葉、茎・幹、又は皮などが利用可能であり、特に実の殻や、搾りかすなどの廃棄物が有用な資源として利用することが好ましい。例えば、米、麦、そば、大豆などの殻類の実の殻や皮、コーヒー、落花生などの実の殻、栗、オレンジ、りんご、梨などの果物の皮やそれらの搾りかす等が利用可能である。
特に、本発明においては、耐熱性に寄与するシリカを含む籾殻を植物繊維として利用することが好ましい。
本発明で利用可能な澱粉としては、トウモロコシ、麦、稲、馬鈴薯などから得られる生澱粉やα化度を調整した澱粉等がある。
生分解性熱可塑性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートなどのサクシネート系重合体、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシプロピオナートやポリヒドロキシブチレートさらにポリヒドロキシパリレートなどのポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステルに芳香族成分を主鎖に導入したコポリエステルなど、各種のものが利用可能である。
高融点の樹脂と、低融点であるが伸び率の高い樹脂の混合割合は、生分解性成形品の耐熱性、成形性を考慮して適宜設定できるが、例えば、耐熱性を重視する場合には、低融点樹脂は高融点樹脂の総重量より少なく、好ましくは該総重量の半分以下、より好ましくは3分の1以下であることが望ましい。
また、本発明に係るシート用生分解性発泡体の製造方法では、以下に述べるように水蒸気発泡を利用し、発泡倍率も15倍以下と低いため、発泡後に内部の水蒸気を外部に放出しやすくするため、蒸気透過性のある生分解性熱可塑性樹脂がより好ましい。
籾殻は、乾燥させると共にボールミルなどで平均粒径が1mm以下、好ましくは500μm以下に粉砕する。粒径が1mm以上の場合も利用可能であるが、成形品の形状が複雑なものの場合には、微細粉に加工することが好ましい。
粉砕した籾殻粉、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を、押出機に入れ、更に水蒸気発泡を行うための水を供給する。押出機においては、これらの材料を加熱及び混練し、押出機のダイ部から該材料を押し出す。押出時に材料は発泡し、シート用生分解性発泡体を形成する。
発泡倍率が15倍を超えると、該発泡体を再成形した場合に、成形品内において密度のバラツキが発生しやすく、均質な成形体が得られない。つまり、発泡体自体は、一般的に内部の材料密度より外殻に近い部分の材料密度が高く、発泡体を圧縮した場合には、均質な密度及び厚みに成形できず、しかも、発泡体の内部には空気が存在するため、発泡体を圧縮した際に、内部の空気が外部に十分放出されず、泡立った成形品となり易い。
また、発泡倍率が極端に低い場合には、材料の使用量が増加し、高コスト化することとなる。
本発明に係るシート用生分解性発泡体は、再成形性に優れた発泡体であるため、これらを更に成形加工することにより、発泡体の生分解性や耐熱性などの優れた特性を生かした生分解性成形品を得ることが可能となる。
成形品としては、食品用の包装用容器、車両・電気製品のプラスチック・紙等の成形品など、各種の使い捨て成形品に使用することが可能である。特に、本発泡体をシート状に加熱・加圧成形したシート状の成形品は、該シートを再成形し包装用容器などを成形する際の中間体としても利用でき、有用な成形品を提供することが可能となる。
本発明のシート用生分解性発泡体をチップ状に加工し、金型に入れ加熱・加圧成形することも可能であるが、成形品内に均一に発泡体が分散するよう制御することが難しいため、まず発泡体を加熱・押圧することにより、シート状の成形品を形成する。次に、該シートを加熱した金型にて、加圧成形することにより、包装用容器などの成形品を製造する。
また、発泡体の形状は円柱状のものに限らず、直方体状の板状発泡体を形成し、その後、上記加圧ローラーでシート状に成形することもできる。
このような加熱プレス機としては、従来の合成樹脂シートから成形品を製造する際に利用される加熱プレス機を利用することが可能であるため、従来の設備を生かした、製造工程を設計することが可能となる。
上記実施例1のシート用生分解性発泡体の発泡倍率は、5倍であった。
発泡倍率の測定方法は、未発泡状態の原料の密度を発泡体の密度で除算した値である。
次に、該シート状成形体を加熱プレス機(ヨシムラ機械株式会社製)により、120〜200℃で、加熱・押圧し、幅9cm、長さ15cm、深さ1.5cmの容器を成形し、実施例1の成形品を得た。
(シート成形の試験・評価)
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品を得る途中で得られるシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂や泡膨れが無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
×・・・全体の面積に対し10%以上の面積に亀裂又は泡膨れが見られる成形体
上記シート成形の試験・評価と同様に、実施例1〜5及び比較例に係るシート状成形体について、目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・円柱状発泡体毎に分離が難しい成形体
×・・・シート状成形体の一部で円柱状発泡体毎に分離することが可能な成形体
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品について、成形された容器を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・亀裂が無い成形体
△・・・底面の湾曲分の一部に亀裂が見られる成形体
×・・・全体的に亀裂が多数見られる成形体
実施例1〜5及び比較例の生分解性成形品について、成形された容器を蒸し器に入れ、30分間経過後に取り出し、元の成形品の形状からの変化を目視により観察し、以下のように3段階で評価した。
○・・・形状変化の無い成形体
△・・・全体の10%未満の面積に形状の変化が見られる成形体
×・・・全体の10%以上の面積に形状の変化が見られる成形体
また、籾殻粉が40重量%含有するもの(実施例4)においては、容器全体が脆く、立体成形した際に、亀裂が生じやすい。
さらに、コーンスターチを30重量%含有するもの(実施例5)においては、立体成形において、一部に亀裂が見られる上、耐熱性・耐水性試験においては、容器の一部の形状が変化するなど、十分な耐熱性及び耐水性が得られていないことが理解された。
このため、シート状成形体を得る際には、円柱状発泡体又は直方体状発泡体のいずれを用いることも可能であることが理解できる。
Claims (10)
- 植物繊維、澱粉、及び生分解性熱可塑性樹脂を混合し、発泡倍率が15倍以内で発泡された生分解性発泡体。
- 請求項1に記載の生分解性発泡体において、植物繊維が5〜40重量%、澱粉が5〜30重量%を含有していることを特徴とする生分解性発泡体。
- 請求項1又は2に記載の生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を混合したものであることを特徴とする生分解性発泡体。
- 請求項3に記載の生分解性発泡体において、生分解性熱可塑性樹脂が、高融点の樹脂より低融点の樹脂の方が伸張性が大きいことを特徴とする生分解性発泡体。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の生分解性発泡体において、植物繊維が籾殻粉であることを特徴とする生分解性発泡体。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の生分解性発泡体の製造方法において、植物繊維、澱粉、生分解性熱可塑性樹脂、及び水を混合し、押出発泡することにより生分解性発泡体を製造することを特徴とする生分解性発砲体の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の生分解性発泡体を成形することにより得られる生分解性成形品。
- 請求項7に記載の生分解性成形品において、該成形品がシート状の成形品であることを特徴とする生分解性成形品。
- 請求項7に記載の生分解性成形品において、該成形品が包装用容器であることを特徴とする生分解性成形品。
- 請求項7又は9に記載の生分解性成形品の製造方法において、生分解性発泡体をシート状に成形した後、該シートを更に加熱及び加圧することにより生分解性成形品を製造することを特徴とする生分解性成形品の製造方法。
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