JP2005179247A - エステル類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明によれば、工業的に使用が容易な試薬を用い、工業的に簡便な操作により効率的に、かつ副生物の混入なくマレイミド基を有するエステル類を製造することが可能となる。
【解決手段】 下記一般式(I)
Figure 2005179247

(式中、Rは、置換基を有していても良い2価の炭化水素基を示し、該炭化水素基は骨格の一部が酸素原子で置換されていても良い。)で表されるマレアミノ酸とイミド環骨格を有するヒドロキシ化合物とをカルボジイミド系縮合剤の存在下で反応させ、エステル化及び上記一般式(I)で表される化合物の分子内環化をさせた後、反応液を水と接触させることでマレイミド基を有するエステル類を晶析させることを特徴とするマレイミド基を有するエステル類の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マレイミド基を有するエステル類の製造方法に関する。詳しくはカルボジイミド系縮合剤を用いたエステル化および分子内環化反応後、必要に応じて副生する固体状態のウレア化合物を除去し、得られる液体を水と接触させることで目的とするマレイミド基を有するエステル化合物を晶析させることを特徴とする製造方法に関する。本発明により得られるマレイミド基を有するエステル類は、医薬、農薬、硬化性高分子材料などの精密化学品として有用である。特に近年は、イムノアッセイ等の分野で酵素を担体に担持させる際の担体側のカルボキシル基の活性化やドラッグデリバリー用試剤としても有用である。
マレイミド基を有するエステル類の製造方法としては、1)無水マレイン酸とグリシンなどのアミノカルボン酸とを反応させて得られるマレアミノ酸を無水酢酸及び塩基を用い閉環させマレイミド酸としてから、カルボン酸基をクロロ化により酸クロライド基とした後、ヒドロキシ化合物と反応させて目的物を得る方法(例えば特許文献1参照)、2)上記のマレアミノ酸またはマレイミド酸をカルボジイミド系縮合剤を作用させ閉環およびエステル化して目的物を得る方法(例えば特許文献2参照)等が知られている。
方法1)は多段階ルートによる製法であり、操作が煩雑である。また上記の2法ではいずれも、副生物(方法1)では無機塩類、方法2)ではウレア類)と目的エステル類との分離のために溶剤抽出を行う必要がある。しかしながら、目的のマレイミド基を有するエステル類は一般的に抽出に使用される溶剤(例えばトルエン、酢酸エチルなど)への溶解度が非常に小さく抽出効率が低い上、溶解度を高めるためにジクロロメタンやクロロホルムなどの含ハロゲン系溶剤を用いた場合でも、極めて大量の溶剤で抽出する必要がある。加えて、副生物であるウレアは結晶性が高いため、抽出された粗生成物を精製するために再結晶操作を行っても、混入ウレアの除去が難しく、高純度の目的物を得ることは困難であった。
よって工業的に簡便かつ安全に高純度の目的のマレイミド基を有するエステル類を得るための製造方法が望まれている。
米国特許4980482号明細書 Synthesis,(1991),p.819
本発明は、マレイミド基を有するエステル類を工業的に使用が容易な試薬を用い、工業的に簡便な操作により効率的に、かつ、副生物の混入なく製造できる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、無水マレイン酸とグリシンなどのアミノカルボン酸との反応で得られるマレアミノ酸化合物をカルボジイミド系縮合剤で閉環マレイミド化およびエステル化するにあたり、反応液を水と接触させることで副生するウレア類の混入なく高純度のマレイミド基を有するエステル生成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、反応液を水に加えて目的物を晶析させることを特徴とするマレイミド基を有するエステル類の製造方法に存する。
本発明によれば、工業的に使用が容易な試薬を用い、工業的に簡便な操作により効率的に、かつ副生物の混入なくマレイミド基を有するエステル類を製造することが可能となる。
以下、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明する。
本発明の製造方法においては、カルボジイミド系縮合剤の存在下、マレアミノ酸化合物の分子内環化によるイミド環形成と残るカルボキシル基のエステル化により目的物を製造した後に、反応液を水と接触させ、高純度の目的物を析出、単離するものである。
(マレアミノ酸化合物)
本発明におけるマレアミノ酸化合物は、無水マレイン酸とアミノカルボン酸類とから得られる物である。
上記アミノカルボン酸類としては、アミノ基とカルボキシル基を有するものであれば、特に限定されないが、好ましくはHN−R−COOHで表される化合物(ここで、Rは、置換基を有していても良い2価の炭化水素基を示し、該炭化水素基は骨格の一部が酸素原子で置換されていても良い。)が挙げられる。
該Rとしては、−CH−、−(CH−、−(CH−等の直鎖状、、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;−CH−等のアルキレン基とアリーレン基を組み合わせた基等を骨格として有する2価の基であり、これらはニトロ基やアルコキシ基等の反応に不活性な基で置換されていても良い。また、さらに上記炭化水素基は骨格の一部が酸素原子で置換され、−CHOCH−等のエーテル基を形成しても良い。
上記アミノカルボン酸類としてより好ましくは、炭素数10以下のものであり、さらに好ましくはRとして炭素数6以下のアルキレン基又はフェニレン基を有するアミノカルボン酸が挙げられる。
該アミノカルボン酸として好ましい具体例としては、グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、p−アミノ安息香酸またはm−アミノ安息香酸が挙げられ、特に好ましくはグリシンまたはβ−アラニンであり、最も好ましくはβ−アラニンである。
得られるマレアミノ酸は、再結晶等の公知の方法で単離精製してもよいが、単離することなく反応液のまま次工程に使用する方が、操作を簡略化できるため好ましい。
上記マレアミノ酸は、公知の製造方法に準じて又はそれの組み合わせにより、任意に製造することができるが、通常、アミノカルボン酸の使用量は、無水マレイン酸1モルに対して通常、0.8モル以上、好ましくは0.9モル以上の範囲で用いられる。ここでアミノカルボン酸が過剰すぎるとコスト及び精製分離の観点から好ましくないため、通常2モル以下、好ましくは1.5モル以下の範囲で用いられる。
マレアミノ酸の製造に使用される溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、フルオロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ニトロベンゼン、ベンゾニトリル等の含窒素置換基を有する芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのアルキルニトリル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類などが例示される。特に、マレアミノ酸を単
離することなく反応液のまま次工程に使用する場合には、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
また溶媒の使用量は無水マレイン酸の重量に対し、通常0.01倍以上、好ましくは0.1倍以上であり、上限としては、通常100倍以下、好ましくは50倍以下である。
マレアミノ酸の製造における反応温度は、通常−10℃以上、好ましくは0℃以上であり、上限としては、通常、200℃以下、好ましくは100℃以下である。
反応時間は、反応の規模にもよるが、通常、0.01時間以上、好ましくは0.5時間以上行われ、通常、24時間以内、好ましくは12時間以内である。
この反応では、反応方式に特に制限はなく、回分式あるいは連続式の反応器を用いることができる。また反応試剤の投入方法・順序にも特に制限はなく、任意の方法・順序で添加することができ、反応器内部が所定の温度に到達した時点で反応開始とする。例えば、室温において回分式反応容器に、無水マレイン酸及びアミノカルボン酸を加え、撹拌しながら昇温することで反応を行う方法が挙げられる。マレアミノ酸を単離しない場合には、反応終了後に反応液を室温まで冷却して使用する。
(ヒドロキシ化合物)
本発明において使用されるヒドロキシ化合物は目的とするエステルに対応するものであれば特に限定されないが、具体的にはイミド環骨格を有するものであり、該イミド環骨格を形成する窒素原子に水酸基が結合しているものである。
上記イミド環骨格として好ましくは下記一般式(II)
Figure 2005179247
(式中、R’は、それぞれ独立して、置換されていても良い炭化水素基を示し、R’同士が一体となって縮合環を形成していても良い。)で表されるものが挙げられる。
R’の炭化水素基として、好ましくはメチル基、エチル基等のアルキル基;アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル等のアラルキル基が挙げられ、これらの炭化水素基はニトロ基やアルコキシ基等の反応に不活性な基で置換されていても良い。また、R’は一体となって2価の炭化水素基を形成していてもよく、該炭化水素基は骨格の一部が酸素原子で置換され、−CHOCH−、−CHOCHOCH−、−OCHO−等のエーテル基を形成しても良い。
上記イミド環骨格のうち好ましくは下記構造式で示される基である。
Figure 2005179247
このうち本発明で用いられるヒドロキシ化合物として好ましくは、N−ヒドロキシスクシンイミド又はN−ヒドロキシマレイミドであり、より好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミドである。
ヒドロキシ化合物の使用量は、マレアミノ酸1モルに対して通常、0.5モル以上、好ましくは0.8モル以上の範囲で用いられ、通常3.0モル以下、好ましくは1.5モル以下の範囲で用いられる。また前工程で得られたマレアミノ酸を単離せずに使用する場合には、無水マレイン酸1モルに対して上記の量のヒドロキシ化合物を使用する。
(カルボジイミド系縮合剤)
本発明において使用されるカルボジイミド系縮合剤としては、エステル化反応で一般的に用いられる物であれば特に限定されないが、通常、一般に市販されている化合物を使用することができる。具体的には、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、1,3−ジ−(2−ブチル)カルボジイミド、1−t−ブチル−3−エチルカルボジイミド、1−(2−ブチル)−3−エチルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドおよびその塩酸付加物またはヨウ化メチル付加物、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)メチル−p−トルエンスルホネート等が例示される。このうち操作上の点からは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドおよびその塩酸付加物またはヨウ化メチル付加物、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)メチル−p−トルエンスルホネート等の水溶性カルボジイミド類が好ましく、一方、コスト的に好ましくは1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドである。これらのうち、工業的な製造を考慮すると1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドが特に好ましい。
カルボジイミド系縮合剤の使用量は、マレアミノ酸1モルに対して通常、1.8モル以上、好ましくは2モル以上の範囲で用いられる。ここでカルボジイミド系縮合剤が過剰すぎるとコスト及び精製分離の観点から好ましくないため、通常5モル以下、好ましくは3モル以下の範囲で用いられる。また前工程で得られたマレアミノ酸を単離せずに使用する場合には、通常、原料である無水マレイン酸から定量的にマレアミノ酸が得られるため、無水マレイン酸1モルに対して上記の量のカルボジイミド系縮合剤を使用すればよい。
(マレアミノ酸の閉環およびエステル化反応)
本発明におけるマレアミノ酸の閉環およびヒドロキシ化合物とのエステル化に際し、使用される溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、フルオロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類;ニトロベンゼン、ベンゾニトリル等の含窒素置換基を有する芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのアルキルニトリル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類などが例示される。このうち25℃における水への溶解度が10%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは水と混和するような水溶性の溶媒が好ましく、より好ましくはアミド類、エーテル類又はアルキルニトリル類であり、特に好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン又はアセトニトリルである。
溶媒の使用量はマレアミノ酸の重量に対し、通常0.1倍以上、好ましくは0.5倍以上であり、200倍以下、好ましくは100倍以下である。
反応温度は、通常−50℃以上、好ましくは−20℃以上であり、上限としては、通常、150℃以下、好ましくは100℃以下である。
反応時間は、反応の規模及び温度等にもよるが、通常、0.01時間以上、好ましくは0.1時間以上行われ、通常、48時間以内、好ましくは24時間以内に反応は完了する。
この反応では、反応方式には特に制限はなく、回分式あるいは連続式の反応器を用いることができる。
反応試剤の投入方法としても特に限定されないが、好ましい態様としては、マレアミノ酸、ヒドロキシ化合物及び溶媒を混合し所定の反応温度に保持したところへ、カルボジイミド系縮合剤を添加する方法が挙げられる。またマレアミノ酸を単離せずにマレアミノ酸の合成反応液をそのまま使用する場合には、マレアミノ酸合成反応液へヒドロキシ化合物を加え所定の反応温度に保持したところへ、カルボジイミド系縮合剤を添加する方法が挙げられる。
カルボジイミド系縮合剤の添加方法としては、固体状態での添加も可能であるが、溶媒に溶解または懸濁させて添加する方法をとる方が好ましい。その場合の溶媒としてはマレアミノ酸の閉環およびエステル化反応に使用するものと同様の溶媒を使用することができ、好ましくはマレアミノ酸の閉環およびエステル化反応の使用溶媒と同一のものを使用する。またカルボジイミド系縮合剤の濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上で実施され、通常100重量%以下、好ましくは50重量%以下で実施される。カルボジイミド系縮合剤を溶解または懸濁させた液体の添加速度については、反応液温度を所定の反応温度に保持するような速度で添加することが好ましい。
また必要に応じ、添加剤、例えばカルボジイミド系縮合剤の副反応を抑制するための添加剤を任意の量を共存させることが出来る。添加剤としては例えばN,N−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基が挙げられる。それらは一般にN−アシル尿素類の副生を抑制するのに効果がある。
(エステル化合物の単離)
マレアミノ酸の閉環およびエステル化反応が終結すると、副生したウレア類が析出した懸濁液が得られる。本発明の製造方法は、該反応後の液を水と接触させ、ウレアを水に溶解させると共に目的生成物を晶析させることを特徴とするものである。このうち反応後の懸濁液から析出したウレアを通常のろ過操作によりろ別した溶液と水とを接触させる方が使用する水の量を削減でき好ましい。上記ろ過操作を行った後でもろ液中には溶解したウレアが残存しているため、水中に添加することで残存ウレアを水へ溶解させ、目的とするエステル化合物を析出させることで精製単離を行うこととなる。
水へ添加する溶液中のエステル化合物の濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上で実施され、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下で実施される。
使用する水の量は、副生ウレアが全て溶解する限りにおいては特に限定されないが、反応液から析出したウレアを予めろ別しておくか否かにより異なり、ウレアを予めろ別しない場合には、目的生成物であるエステル化合物を含有する溶液の体積に対し通常、0.5倍容量以上、好ましくは5倍容量以上であり、上限は250倍容量以下であり、好ましくは100倍容量以下で実施され、ウレアを予めろ別する場合には目的生成物であるエステル化合物を含有する溶液の体積に対し通常、0.05倍容量以上、好ましくは0.5倍容量以上であり、上限は25倍容量以下であり、好ましくは10倍容量以下で実施される。
添加する際の温度は通常−10℃以上、好ましくは0℃以上であり、晶析温度は段階的に上昇させてもよい。また、晶析温度の上限としては、あまり高すぎるとウレアの溶解という点では好ましいが目的物の晶析という観点では不利になるので、通常、80℃以下、
好ましくは50℃以下である。また、添加後に液を冷却し、添加温度よりも低温で熟成させても良い。
添加に要する時間は、反応の規模及び温度等にもよるが、所定の添加温度を保持するように設定される。通常、0.01時間以上、好ましくは0.1時間以上行われ、通常、24時間以内、好ましくは12時間以内に添加は完了する。
添加する際の攪拌速度に特に制限はないが、強めに攪拌する方が析出するエステル化合物を均一に分散できるので好ましい。
添加終了後は一定時間攪拌させながら熟成させる方が好ましい。熟成温度は添加温度と同じ範囲で実施される。熟成時間は通常、0.01時間以上、好ましくは0.1時間以上行われ、通常、24時間以内、好ましくは12時間で熟成は完了する。
熟成完了後、析出したエステル化合物は通常のろ過操作により単離すればよい。
これにより得られるエステル化合物は、純度が95%以上、好ましくは97%以上と高く、かつ、ウレアの混入量も通常、5重量%以下、好ましくは3重量%以下のものである。
(エステル化合物の精製)
上述で得られるエステル化合物は、必要に応じてさらに公知の方法を組み合わせて精製することも可能であり、例えば、不純物の除去には縣洗又は再結晶という操作を行えばよく、またエステル化合物が着色している場合には、固体吸着剤による脱色処理を行えばよい。
ここで、縣洗又は再結晶操作は、極微量の残存ウレアを除去するためにきわめて有効であり、実施することが好ましい。
具体的には、エステル化合物の可溶性溶媒とエステル化合物の貧溶媒である脂肪族炭化水素溶媒との混合溶媒を用い、単離したエステル化合物の洗浄及び再結晶を行うが、このとき微量含まれるウレアを効率的に溶解除去するためには上記混合溶媒にアルコール溶媒を加えたものを用いるのが好ましい。
上記可溶性溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのアルキルニトリル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類;N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの高極性溶媒類などが例示され、そのうち好ましくはアセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン又はN,N−ジメチルホルムアミドである。
脂肪族炭化水素溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数5〜10程度のものが例示され、好ましくは炭素数6〜8の物であり、特に好ましくはヘプタンである。
上記可溶性溶媒と脂肪族炭化水素溶媒との混合比率としては、可溶性溶媒:脂肪族炭化水素系溶媒=5:1〜0.2:1、好ましくは3:1〜0.3:1であり、特に好ましくは3:1〜0.8:1である。
アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどが例示され、好ましくはエタノール又は2−プロパノールである。
上記混合溶媒中におけるアルコール系溶媒の濃度としては、5重量%以上、好ましくは
8重量%以上、より好ましくは15重量%以上であり、上限としては、80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
溶媒の使用量は、エステル化合物の重量に対し、通常0.01倍以上、好ましくは0.05倍以上であり、100倍以下、好ましくは50倍以下である。
洗浄する際の温度としては、通常−10℃以上、好ましくは0℃以上であり、上限としては、通常、200℃以下、好ましくは100℃以下である。
洗浄に要する時間は、通常、0.01時間以上、好ましくは0.1時間以上行われ、通常、24時間以内、好ましくは12時間で洗浄を行う。
洗浄溶媒とエステル化合物との接触のさせ方としては特に限定されないが、例えば回分式反応器にエステル化合物と所定の溶媒とを仕込み、所定の温度・時間で攪拌し洗浄する方法が挙げられる。
また、エステル化合物を上記の可溶性溶媒に溶解させ、その溶液をアルコール溶媒と脂肪族炭化水素溶媒との混合溶媒中へ攪拌しながら添加して不純物を溶解しながらエステル化合物を析出させるといった再結晶方法でも同様に不純物ウレアを除去することができる。
固体吸着剤による脱色処理方法としては、具体的には、エステル化合物を上述と同様の可溶性溶媒に溶解し、任意の固体吸着剤に接触させた後ろ別して、液層部を濃縮することで精製されたエステル化合物を単離する処理である。
任意の固体吸着剤としては、具体的には活性炭、セライト、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、カーボンブラック、ゼオライト等の多孔性無機化合物の他、イオン交換樹脂等の有機化合物の吸着剤も使用できる。このうち好ましくは活性炭である。
これらの固体吸着剤は、その粒度や多孔度は特に限定されず、任意のものを使用できる。吸着剤の好ましい量は、通常は、精製されるエステル化生成物の重量に対し0.01倍以上、好ましくは0.05倍以上で使用され、5倍以下、好ましくは1倍以下で使用される。
固体吸着剤との接触温度は通常−10℃以上、好ましくは0℃以上であり、上限としては、通常、200℃以下、好ましくは100℃以下である。
吸着処理時間は、通常、0.01時間以上、好ましくは0.1時間以上行われ、通常、24時間以内、好ましくは12時間で実施する。
前述の懸濁洗浄と、この吸着処理とは別々に実施しても、組み合わせて実施してもよい。また処理の順序に特に制限はないが、例えば可溶性溶媒に溶解したエステル化合物を固体吸着剤により処理し、吸着剤をろ別した溶液を、アルコール溶媒と脂肪族炭化水素溶媒との混合溶媒に添加して洗浄することで、両方の処理を連続して実施することができる。
生成物の確認は、必要に応じて、高速液体クロマトグラフィー等による反応液の分析により行うことができる。
上記の精製を行ったエステル化合物は、純度が99%以上、好ましくは99.5%以上と高く、かつ、ウレアの混入量も通常、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下のものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
窒素雰囲気下、ジムロート冷却器、温度計、マグネット攪拌器を付した50mL三口フラスコに、無水マレイン酸1g(10.2mmol)、β−アラニン0.91g(10.2mmol)を仕込み、N,N−ジメチルホルムアミド11.4mLに懸濁させた。内温62℃で1時間加熱攪拌し、淡黄色均一溶液を得た。HPLC分析から(Z)―4−オキソ−5−アザ−2−オクテンジオン酸の含有量は97.5%であった。
この溶液を内温5℃に冷却し、N−ヒドロキシスクシンイミド1.44g(12.5mmol)を加え溶解させた。そこへ、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド4.21g(20.4mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド4.4mLに溶解させた溶液を、内温5℃を保持したまま滴下した。直ちに昇温を開始し、室温下で6時間攪拌し反応させ、3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルを含む反応液スラリーを得た。
白色沈殿をろ別し、沈殿をN,N−ジメチルホルムアミド15mLで掛け洗いし、橙色均一溶液を得た。この溶液を、内温15℃に保持した水60mL中に攪拌しながら15分間かけて滴下した。さらに室温で1時間攪拌後、析出した沈殿をろ取し、水6mLで掛け洗いした。得られた粉末を40℃で減圧乾燥し、3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルを白色粉末として1.29g得た。無水マレイン酸基準の収率48%、純度97.1wt%であり、1,3−ジシクロヘキシルウレアの残存量は2.9wt%であった。
比較例1
実施例1と同様にして、3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルを含む反応液スラリーを得た。
白色沈殿をろ別し得られた橙色均一溶液に、酢酸エチル50mLと水100mLを加え抽出した。分液した水層を再度酢酸エチル68mLで抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、濃縮して得られた薄赤色粉末1.33gのH−NMR分析から、3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルの含有量は82wt%、無水マレイン酸基準の収率40%であり、1,3−ジシクロヘキシルウレアが18wt%含まれていた。
実施例2
窒素雰囲気下、ジムロート冷却器、温度計、マグネット攪拌器を付した500mL三口フラスコに、無水マレイン酸10g(102mmol)、β−アラニン9.1g(102mmol)を仕込み、N,N−ジメチルホルムアミド114mLに懸濁させた。内温62℃で1時間加熱攪拌し、淡黄色均一溶液を得た。HPLC分析から(Z)―4−オキソ−5−アザ−2−オクテンジオン酸の含有量は97.5%であった。
この溶液を内温5℃に冷却し、N−ヒドロキシスクシンイミド14.4g(125mmol)を加え溶解させた。そこへ、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド42.1g(204mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド45mLに溶解させた溶液を、内温5℃を保持したまま滴下した。直ちに昇温を開始し、室温下で9時間攪拌し反応させ、3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルを含む反応液スラリーを得た。
白色沈殿をろ別し、沈殿をN,N−ジメチルホルムアミド100mLで掛け洗いし、橙色均一溶液を得た。この溶液を、内温10℃に保持した水350mL中に攪拌しながら45分間かけて滴下した。さらに同温で1時間攪拌後、析出した沈殿をろ取し、水100mLで掛け洗いし、ウエットケーキ29.15gを得た。無水マレイン酸基準の収率43%であり、1,3−ジシクロヘキシルウレアの残存量は3wt%であった。
実施例3
実施例1と同様にして、3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルを含む反応液スラリーを得た。
白色沈殿をろ別し、沈殿をN,N−ジメチルホルムアミド10mLで掛け洗いし、橙色均一溶液を得た。この溶液を、内温15℃に保持した水35mL中に攪拌しながら10分間かけて滴下した。さらに室温で1時間攪拌後、析出した沈殿をろ取し、水10mLで掛け洗いした。取り出した
この沈殿をアセトニトリル20mL、エタノール10mL、ヘプタン6mlの混合溶媒に加え、室温で1.5時間懸濁攪拌した。得られた沈殿をろ取し、ヘプタン6mLで掛け洗い後、減圧乾燥し、3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステル1.04gを得た。無水マレイン酸基準の収率38%、純度97.8wt%であり、1,3−ジシクロヘキシルウレアは検出されなかった。
参考例1(3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルの精製)
3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルを94.9wt%、1,3−ジシクロヘキシルウレアを1.1wt%含む沈殿8.86gをアセトニトリル50mL、エタノール100mL、ヘプタン60mlの混合溶媒に加え、室温で1時間懸濁攪拌した。得られた沈殿をろ取し、ヘプタン40mLで掛け洗い後、減圧乾燥し、3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステル6.83gを得た。回収率80%、純度98.8wt%であり、他にアセトニトリル1.2wt%を含んでいた。1,3−ジシクロヘキシルウレアは検出されなかった。
参考例2(3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルの精製)
3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステル(純度99.8wt%)の淡黄色粉末7.01gをアセトニトリル200mLに溶解させ、活性炭(東洋カルゴン社製F400、mesh12×40)1.15gを加え、室温で2時間攪拌した。活性炭をろ別後、約1/10体積まで濃縮して得られたスラリー溶液に、エタノール10mLとヘプタン5mLを加え、室温で1h撹拌した。沈殿をろ取し、ヘプタン15mLで掛け洗い後、減圧乾燥し、3−マレイミドプロパン酸N−スクシンイミジルエステルを白色粉末として5.55gを得た。回収率79%、純度99.9wt%であった。

Claims (1)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 2005179247
    (式中、Rは、置換基を有していても良い2価の炭化水素基を示し、該炭化水素基は骨格の一部が酸素原子で置換されていても良い。)で表されるマレアミノ酸とイミド環骨格を有するヒドロキシ化合物とをカルボジイミド系縮合剤の存在下で反応させ、エステル化及び上記一般式(I)で表される化合物の分子内環化をさせることにより下記一般式(III

    Figure 2005179247
    (式中、Rは、上記一般式(I)と同義であり、Yはヒドロキシ化合物由来の基を示す。)で表されるマレイミド基を有するエステル類を製造するにあたり、反応液を水と接触させることでマレイミド基を有するエステル類を晶析させることを特徴とするマレイミド基を有するエステル類の製造方法。
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