JP2005179134A - 軽量樹脂モルタル用組成物 - Google Patents

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清春 大西
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Abstract

【課題】 十分な可撓性を有する軽量樹脂モルタルを提供すること。
【解決手段】 エポキシ樹脂、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤及び軽量骨材を含むA剤と、シリル基末端ポリアルキレンオキシド及びエポキシ樹脂用硬化剤を含むB剤からなる樹脂モルタル用組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂モルタル用組成物及び樹脂モルタルの施工方法に関する。
コンクリート構造物の欠損部などの充填・補修には、一般的にエポキシ樹脂系のモルタルが使用されている。しかしながら、現在使用されているモルタルは非常に硬く、しかも可撓性を有さないので、振動や衝撃により剥離、脱落が起こり易く、特に、人体に当たると非常に危険である。
また、建築材用積層パネルの裏打ち材として、石膏100重量部に対して1〜7重量部のエポキシシリル基末端ポリアルキレンオキシドと10重量部以下のシラス・バルーン等の軽量材を加えた石膏組成物が開発されているが(例えば、特許文献1参照。)、現場で順序正しく混練配合を行う必要があるので手間がかかる上に、石膏を主原料とするので可撓性は全くない。
特開平5-124016号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、十分な可撓性を有する軽量樹脂モルタルを得るための組成物を提供することである。
本発明者は、上記の様な技術の現状に留意しつつ、研究を進めた結果、エポキシ樹脂、シリル基末端ポリアルキレンオキシド及び軽量骨材を含む樹脂モルタルが上記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の樹脂モルタル用組成物に関する。
1.エポキシ樹脂、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤及び軽量骨材を含むA剤と、シリル基末端ポリアルキレンオキシド及びエポキシ樹脂用硬化剤を含むB剤からなる樹脂モルタル用組成物。
2.エポキシ樹脂100重量部に対して、エポキシ樹脂用硬化剤を1〜100重量部、シリル基末端ポリアルキレンオキシドを10〜2000重量部、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤を0.01〜400重量部、軽量骨材を10〜2000重量部含む上記項1記載の組成物。
3.シリル基が、下記の化学式(1)
Figure 2005179134
〔式中、Aは、-O-、-S-、-NH-CO-、-OCO-、-NH-又は-ONH-を表し、R1及びR2は、それぞれ同一又は相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアリールアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。〕で表される上記項1又は2に記載の組成物。
4.シリル基末端ポリアルキレンオキシドにおけるシリル基がメチルジメトキシシリル基であり、シリル基末端ポリアルキレンオキシドの重量平均分子量が400〜60000であることを特徴とする上記項1〜3のいずれかに記載の組成物。
5.軽量骨材の嵩比重が0.8 g/cm3以下である上記項1〜4のいずれかに記載の組成物。
6.得られた樹脂モルタル硬化物の比重が0.9 g/cm3以下である上記項1〜5のいずれかに記載の組成物。
7.エポキシ樹脂、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤及び軽量骨材を含むA剤と、シリル基末端ポリアルキレンオキシド及びエポキシ樹脂用硬化剤を含むB剤とを混練し、得られた樹脂モルタルを補修部分に充填する工程を含む、樹脂モルタルの施工方法。
(1)本発明の樹脂モルタル用組成物
本発明の新規組成物は、エポキシ樹脂、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤及び軽量骨材を含むA剤と、シリル基末端ポリアルキレンオキシド及びエポキシ樹脂用硬化剤を含むB剤からなる新規な樹脂モルタル用組成物である。
本発明によれば、上記したように、使用する樹脂モルタル用組成物の各成分をA剤とB剤というように2組に分けて準備し、その後それらを混ぜ合わせることが好ましい。そうすることにより、エポキシ樹脂、シリル基末端ポリアルキレンオキシドが硬化するのを防ぐことができ、本発明の組成物の保存安定性が非常によくなるからである。特に、A剤中に含まれる水分によってシリル基末端ポリアルキレンオキシドが硬化するのを防ぐことができる点で優れている。
このように、A剤とB剤を使用時(補修時)に混練することにより、シリル基末端ポリアルキレンオキシドがすみやかに硬化するので、樹脂モルタルの内部硬化性が向上するという効果も得られる。
また、本発明の樹脂組成物に接着性付与剤を添加する場合、例えば、エポキシ樹脂と反応を起こすアミン系カップリング剤等は、エポキシ樹脂が配合されていない側(B剤)に添加することにより使用可能となるなど、多くの種類の接着性付与剤を樹脂モルタル組成物に配合することができる。
本発明では、必須成分をA剤とB剤とに配合する方法として、上記した配合(以下の表1の(I))の他に、(II)で示される配合も可能である。しかしながら、(II)の配合を採用した場合、B剤の量が非常に少なくなるので、軽量骨材を均一に分散させることは困難である。従って、本発明では、(I)の配合とするのが特に好ましい。
Figure 2005179134
本発明の組成物は、上記の必須成分の他に、任意成分として、脱水剤、可塑剤、充填剤、その他の添加剤を含んでいてもよい。以下に各成分について詳述する。
エポキシ樹脂
本発明において、エポキシ樹脂としては、一般に使用されているエポキシ基を有する樹脂を使用できる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂;これらの樹脂に水素添加した樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ウレタン変性エポキシ樹脂;メタキシレンジアミン、ヒダントイン等をエポキシ化した含窒素エポキシ樹脂;ポリブタジエン、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等を分子中に含むゴム変性エポキシ樹脂等が使用できる。
また、本発明では、エポキシ樹脂として、グリシドールなどのエポキシ基を含有した化合物を使用することも可能である。この化合物は、1又はそれ以上の置換基を有していてもよい。
これらのエポキシ樹脂のうち、本発明の組成物においては分子量が70〜5500程度、好ましくは70〜1600程度のものを使用するのが好ましい。また、エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。エポキシ樹脂は、便宜上A剤に配合するものとする。
エポキシ樹脂用硬化剤
エポキシ樹脂の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂を硬化(重合)するために使用される化合物を広く使用できる。例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N-アミノエチルピペラジン、o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミン類;2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのトリ−2−エチルヘキシル酸塩などの第3級アミン塩類;ポリアミノアミドなどのポリアミド樹脂類;2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール類;ジシアンジアミド;三フッ化ホウ素酸モノエチルアミンコンプレックスなどの三フッ化ホウ素酸化合物;無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ドデシニル無水コハク酸、無水ピロメリット酸、無水クロレン酸等の無水カルボン酸類等を使用することができる。
本発明において、上記のエポキシ樹脂用硬化剤は、エポキシ樹脂が配合されていないB剤に、エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜100重量部程度、好ましくは5〜50重量部程度配合すればよい。エポキシ樹脂用硬化剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この範囲内では、得られる樹脂モルタルの性質を損なうことなく、効率良くエポキシ樹脂を硬化させることができる。
シリル基末端ポリアルキレンオキシド
本発明において使用するシリル基末端ポリアルキレンオキシドとは、ポリアルキレンオキシドの末端にシリル基を有する化合物である。ポリアルキレンオキシドとしては、アルキレン部分の炭素数が2〜6であるポリアルキレンオキシド(重量平均分子量;300〜10000程度)が好ましい。
また、上記ポリアルキレンオキシドが2〜5個程度結合したものも好適に使用することができる。その場合、同一のポリアルキレンオキシドどうしが結合していてもよいし、異なるポリアルキレンオキシドどうしが結合していてもよい。ポリアルキレンオキシドどうしは、直接結合していてもよく、本発明で得られる樹脂モルタルの性質を損なわないような他のアルキレン基を介して結合することもできる。さらに、ポリアルキレンオキシドは、本発明の樹脂モルタルの性質を損なわない程度に、置換基を有していてもよい。
シリル基としては、例えば、下記の化学式(1)
Figure 2005179134
〔式中、Aは、-O-、-S-、-NH-CO-、-OCO-、-NH-又は-ONH-を表し、R1及びR2は、それぞれ同一化又は相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアリールアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。〕で表される化合物が例示できる。
炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアリールアルキル基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
その中でも、好ましいシリル基としては、ハロゲノシリル基、アシルオキシシリル基、アミドシリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、アルコキシシリル基、チオアルコキシシリル基等が使用でき、アルコキシシリル基がより好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等が使用できるが、水分に対して安定であり、触媒(硬化剤)非存在下では反応しにくい等の点から、メチルジメトキシシリル基が特に好ましい。
このようなシリル基末端ポリアルキレンオキシドは、重量平均分子量が400〜60000程度、好ましくは3000〜20000程度のものがよい。また、このようなシリル基末端ポリアルキレンオキシドは、市販されているものを使用することができる。
シリル基末端ポリアルキレンオキシドは、特に好ましくはB剤に、エポキシ樹脂100重量部に対して10〜2000重量部程度、好ましくは100〜1000重量部程度配合する。この範囲において、樹脂モルタルの可撓性を向上させることができ、また、施工の際に使用するプライマーとの接着性を向上させることもできるからである。シリル基末端ポリアルキレンオキシドは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤
本発明において、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤は、シリル基末端ポリアルキレンオキシドを硬化させることができれば限定されない。例えば、オクチル酸錫、ステアリン酸錫、ナフテン酸鉄、オクチル酸鉛等のカルボン酸の金属塩;ジ−n−ブチル錫−ジ−ラウレート、ジ−n−ブチル錫−ジ−ラウレート、ジ−n−ブチル錫−ジ−フタレート等の錫化合物などが使用できる。
これらのシリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤は、シリル基末端ポリアルキレンオキシドが配合されていないA剤に、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.01〜400重量部程度、好ましくは0.01〜200重量部程度配合すればよい。シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
軽量骨材
本発明において使用される軽量骨材は、嵩比重が0.8g/cm3程度以下、好ましくは0.01〜0.8g/cm3程度である。上記範囲の嵩比重を有する軽量骨材を使用することにより、得られる樹脂モルタルの比重を小さくすることができる。このような軽量骨材としては、中空のセラミック粒材、ガラスバルーン、シラスバルーン、樹脂バルーン等の軽量骨材が挙げられ、中空のセラミック粒材が好ましい。
また、分散性等の点から、篩い分け法を利用して求めた骨材の平均粒径が、0.01〜1000μm程度、好ましくは5〜600μm程度の範囲に入るのがよい。骨材の配合量は、エポキシ樹脂100重量に対して、10〜2000重量部程度、好ましくは25〜2000重量部とすればよい。
軽量骨材は、少量(エポキシ樹脂100重量部に対して、40重量部程度以下、好ましくは20重量部程度以下。)ならB剤にも配合することができるが、使用する軽量骨材の全量をA剤に配合するのが好ましい。B剤を脱水する際に、真空下での撹拌操作で壊れるおそれがあるからである。
接着性付与剤
本発明の樹脂モルタル用組成物は、必要に応じて、接着性付与剤が添加されていてもよい。接着性付与剤を添加することにより、プライマーとの接着性を向上させ、補修後の落下、剥離等を十分に防ぐことができる。
接着性付与剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤等が使用できるが、その中でも加水分解性シリル基を有するシラン化合物が好ましい。このようなシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の炭素数2〜8のビニルアルキルアルコキシシラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の炭素数2〜8の(メタ)アクリロイロキシアルキルアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等の炭素数2〜8のアルキルアルコキシシラン;γ−(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルメチルジメトキシシラン等の炭素数3〜19のアミノアルキルアルコキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の炭素数3〜12のエポキシアルキルアルコキシ;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の炭素数2〜8のメルカプトアルキルアルコキシシラン等が使用できる。
これらの化合物のうち、アミン系のカップリング剤(アミノアルキルアルコキシシラン)、エポキシ系のカップリング剤(エポキシアルキルアルコキシシラン)が好ましく、アミン系のカップリング剤(アミノアルキルアルコキシシラン)が特に好ましい。これらの化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。当該接着性付与剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.01〜600重量部程度、好ましくは0.01〜200重量部程度である。
接着性付与剤は、エポキシ樹脂及びシリル基末端ポリアルキレンオキシドとの反応を起こさない化合物であれば、A剤又はB剤のどちらに添加してもよい。エポキシ樹脂又はシリル基末端ポリアルキレンオキシドのどちらかと反応する化合物の場合は、その反応が生じるエポキシ樹脂又はシリル基末端ポリアルキレンオキシドが配合されていない方に添加すればよい。例えば、上記アミン系のカップリング剤を使用する場合、エポキシ樹脂と反応してエポキシ樹脂を硬化させるので、B剤に添加するのがよい。
脱水剤
本発明の樹脂モルタル用組成物には、脱水剤を配合してもよい。脱水剤は、本発明においてはB剤に添加すればよいが、必要に応じてA剤とB剤の両方に添加することも可能である。脱水剤を配合することにより、残存する水分を効率良く除去でき、特に、シリル基末端ポリアルキレンオキシドの硬化を防ぐことができるので、製品の安定性も向上する。
脱水剤としては、一般に樹脂中で脱水作用を示す化合物を広く使用することができる。本発明においては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン化合物;γ-メタクリロキシプロリルトリメトキシシラン等のアクリルシラン化合物;アセチルアセトン;オルトギ酸エチル等のオルトギ酸エステル等を使用するのが好ましい。その中でも、ビニルシラン化合物がより好ましい。
これらの化合物は単独で又は2種以上混合して使用することができる。脱水剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1〜400重量部程度、好ましくは0.1〜100重量部程度である。
可塑剤
本発明の樹脂モルタル用組成物には、可塑剤を配合してもよい。可塑剤は、A剤、B剤のどちらか一方又は両方に添加することができる。可塑剤を添加することにより、作業性や施工性を向上させることができる。また、本発明樹脂モルタルの可撓性をさらに高くすることもできる。
可塑剤は、シリル基末端ポリアルキレンオキシド及びエポキシ樹脂に均一に混合され得るものであれば、幅広く使用することができる。具体的には、リン酸エステル、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、脂肪酸エステルなどのエステル系可塑剤;オイル系可塑剤、アクリル系可塑剤、芳香族系可塑剤などが例示できる。その中でも、ジ−2−エチルヘキシルフタレートなどのエステル系可塑剤が好ましい。
可塑剤も、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。配合量は、樹脂モルタルの性質を損なわない程度で配合することができる。例えば、エポキシ樹脂100重量部に対して、0〜2000重量部程度、好ましくは、0〜500重量部程度とすればよい。
充填剤
充填材は、本発明の目的を損なわない程度でA剤及びB剤の少なくとも一方に配合することができる。充填剤としては、例えば、結晶シリカ、非晶シリカ、フュームドシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラック、ガラス繊維、クレー、マイカ、タルク、酸化アルミニウムなど幅広く使用することができる。
このような充填剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。エポキシ樹脂100重量部に対して、0〜2000重量部程度、好ましくは、0〜500重量部程度とすればよい。
その他の添加剤
更に本発明の組成物には、得られる樹脂モルタルの性質を損なわない範囲で、A剤及びB剤の少なくとも一方に、上記充填剤以外の添加剤を配合することができる。
該添加剤としては特に制限されないが、例えば、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系等)、光安定剤(ヒンダードアミン系等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、有機リン系過酸化物分解剤、有機イオウ系過酸化物分解剤等)、遮光剤(ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム等)、金属不活性剤(ベンゾトリアゾール系等)、消光剤(有機ニッケル等)、防黴剤、抗菌剤、防臭剤、帯電防止剤、顔料、染料、流動性調整剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、滑剤、離型剤、潤滑剤、核剤、強化剤、相溶化剤、アンチブロッキング剤、アンチトラッキング剤、蓄光剤、各種安定剤等を挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用することもできるが、2種以上を併用することも可能である。
A剤とB剤の調製
上記した各成分を混合することにより、A剤及びB剤を得る。A剤、B剤を調製する方法は限定されず、単にそれぞれの成分を混合すればよい。B剤はシリル基末端ポリアルキレンオキシドを含んでいるので、真空下での撹拌を行うなどして脱水するのが好ましい。
また、B剤に脱水剤を配合すれば、脱水をより確実に行うことができる。B剤中の水分量は、例えば、カールフィッシャー水分計などで測定した場合に、0.1重量%程度以下、好ましくは0.05重量%程度以下であれば、シリル基末端ポリアルキレンオキシドの重合(硬化)を十分に抑制することができる。
(2)樹脂モルタルの施工
本発明の樹脂モルタルは、上記したエポキシ樹脂、シリコーン用硬化剤及び軽量骨材を含むA剤と、シリコーン及びエポキシ樹脂用硬化剤を含むB剤とを混練することにより得ることができる。A剤とB剤とを混練する方法は限定されず、手で混ぜ合わせてもよく、プラネタリーミキサー等の一般に使用されているミキサーを使用してもよい。
このようにして得られた樹脂モルタルは、硬化する前にコンクリートやモルタル等の欠損部に充填すればよい。樹脂モルタルを充填する前に、コンクリート等の補修部分(欠損部)にエポキシ系プライマー等の公知のプライマーを塗布することにより、樹脂モルタルのコンクリート等との接着力を高めることができる。プライマーを塗布する方法、量などは限定されず、補修する部分の形状、面積等に応じて適宜選択することができる。はけやスプレーを用いて塗布すればよい。
さらに、樹脂モルタルにより欠損部の充填を行った後、水、有機溶剤、アルコール等のならし液を用いて、その樹脂モルタルの表面をならすことにより、美粧性(表面仕上げ性)を高めることができる。
本発明の樹脂モルタルは、コンクリート等の補修部分に充填した後、例えば、常温で2日〜30日程度放置すれば十分に硬化させることができる。得られた樹脂モルタルの硬化物は、比重が0.9 g/cm3以下(比重が0.4〜0.9 g/cm3程度、好ましくは0.4〜0.8 g/cm3程度)と軽量であり、可撓性も有するので、施工後に振動や衝撃を受けても脱落、剥離等が非常に起こりにくい。
本発明で得られた樹脂モルタルは、十分な可撓性を有し、さらに軽量であるため、補修後長時間経過しても剥離、脱落等を起こしにくい。また、施工性に優れ、幅広い用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の樹脂モルタル(実施例1〜4)および比較例の樹脂モルタル(比較例1〜3)を、表2に示す成分及び配合割合に従って製造した。
樹脂モルタルの製造
エポキシ樹脂及び充填剤、比較例3では、エポキシ樹脂、充填剤及び炭酸カルシウムを3本ロールで混練した後、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤を加え、さらに、軽量骨材を配合し、プラネタリーミキサーで30分間攪拌してA剤を得た。
次に、シリル基末端ポリアルキレンオキシド、エポキシ樹脂用硬化剤および可塑剤を配合し、10mmHg以下の真空下、50〜60℃で、プラネタリーミキサーを用いて1時間攪拌した。そこに脱水剤を添加して水分量を0.05重量%以下にし、さらに接着性付与剤を添加して混練攪拌し、B剤を得た。
このようにして得られたA剤とB剤を手で混練し、テフロン(R)シート上に移し、3mm厚になるように表面をコテでならして、3mm厚のシート作製した。これを23℃で7日間養生したものをテストピースとした。各テストピースについて、施工性、保存安定性、硬度、硬化物比重、接着性及び可撓性の項目について試験した。
試験項目
施工性は、コンクリートの欠損部にプライマーを塗布した後、混合した各樹脂モルタルを埋め込んだ際の樹脂モルタルの状態で確認した。「○」は、樹脂ダレがなく、表面仕上げ性が良好であることを示し、「×」は、樹脂ダレが起こったか又は表面仕上げ性が悪かったことを示す。
保存安定性は、50℃で1ヶ月放置した後、樹脂モルタルがゲル化又は軟化したか否かによって確認した。「○」は、ゲル化又は軟化しなかった場合を示し、「×」は、ゲル化または軟化した場合を示す。
硬度は、硬化後の樹脂モルタル自身の硬度のことであり、硬度計を使用して測定した。表中の「A」は、ASTM D 2240 Type Aを使用して測定した結果を示し、「D」は、ASTM D 2240 Type Dで測定した結果を示す。硬度は、混練した樹脂モルタルを23℃で7日養生した後に測定した。
硬化物比重とは、硬化後の樹脂モルタル自身の比重のことである。硬化物比重は、混練した樹脂モルタルを23℃で7日養生した後に、水中置換法で測定した。
接着性は、プライマ−に完全に接着しているかどうかを目視により確認した。「○」は、完全に接着していたことを示し、「×」は、プライマーと樹脂モルタルの間で層間剥離していたことを示す。
可撓性は、300mm×10mm×3mmシートのテストピースを作製し、23℃で7日養生して得られた硬化物を曲げ、両端をくっつけて円にした。「○」は、簡単に折れ曲がり(円になり)、樹脂モルタルにクラック等が生じなかった場合を示し、「×」は、曲がらなかったか、または曲がったとしてもクラックが生じた場合を示す。
Figure 2005179134
なお、表2中で使用した成分は以下の通りである。
エポキシ樹脂としては、エピコート828(油化シェルエポキシ社製;ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を使用した。
エポキシ樹脂用硬化剤として、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを使用した。
シリル基末端ポリアルキレンオキシドとして、サイリルSAT-030(鐘淵化学社製)を使用した。
シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤として、No.918(三共有機合成株式会社製;ジブチル錫オキサイドのフタル酸ジオクチル溶液)を使用した。
軽量骨材として、脱水処理していない中空セラミックバルーンを使用した。
脱水剤として、ビニルトリメトキシシランを使用した。
接着性付与剤として、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランを使用した。
また、充填剤としては、脱水処理していない酸化チタンを使用した。

Claims (7)

  1. エポキシ樹脂、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤及び軽量骨材を含むA剤と、シリル基末端ポリアルキレンオキシド及びエポキシ樹脂用硬化剤を含むB剤からなる樹脂モルタル用組成物。
  2. エポキシ樹脂100重量部に対して、エポキシ樹脂用硬化剤を1〜100重量部、シリル基末端ポリアルキレンオキシドを10〜2000重量部、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤を0.01〜400重量部、軽量骨材を10〜2000重量部含む請求項1記載の組成物。
  3. シリル基が、下記の化学式(1)
    Figure 2005179134
    〔式中、Aは、-O-、-S-、-NH-CO-、-OCO-、-NH-又は-ONH-を表し、R1及びR2は、それぞれ同一又は相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアリールアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。〕で表される請求項1又は2に記載の組成物。
  4. シリル基末端ポリアルキレンオキシドにおけるシリル基がメチルジメトキシシリル基であり、シリル基末端ポリアルキレンオキシドの重量平均分子量が400〜60000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 軽量骨材の嵩比重が0.8 g/cm3以下である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 得られた樹脂モルタル硬化物の比重が0.9 g/cm3以下である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. エポキシ樹脂、シリル基末端ポリアルキレンオキシド用硬化剤及び軽量骨材を含むA剤と、シリル基末端ポリアルキレンオキシド及びエポキシ樹脂用硬化剤を含むB剤とを混練し、得られた樹脂モルタルを補修部分に充填する工程を含む、樹脂モルタルの施工方法。

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