JP2005178960A - 密閉式浚渫用グラブバケット - Google Patents

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Abstract

【課題】浚渫作業時に掴み物の撹乱とか水中移動が発生せず、河川又は海水に濁りを生じたり周辺水域に濁りが拡散・移流することを防止し、更にグラブバケット自体の水中での抵抗を減少させて降下時間を短縮し、グラブバケットの内圧上昇に起因する変形,破損を引き起こすことがない密閉式浚渫用グラブバケットを得ることを目的とする。
【解決手段】吊支ロープ10で上部フレーム3を連結し、該上部フレーム3に軸支した上シーブ6と、下部フレーム2に軸支した下シーブ7との間に開閉ロープ8を掛け回してシェル1を開閉可能にしたグラブバケットにおいて、上記シェル1の上部に、開閉式の特殊ゴム蓋17を有する蓋体16が配設されたシェルカバー12を密接配置した密閉式浚渫用グラブバケットを基本構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明はグラブバケットに関し、特には港湾,河川,湖沼等における含水比の高いヘドロ,土砂等をバケット内に密閉することにより、掴み作業時における撹乱とか水中移動時,運搬船への積み込み時の濁りや飛散を効果的に防止するとともに、水中での抵抗を減少させて降下時間を短縮し、掴み物を所定の容量以上に掴んだ場合でも内圧上昇に起因する変形,破損を引き起こすことがない密閉式浚渫用グラブバケットに関するものである。
従来のグラブバケットの正面図を示す図8において、1,1は左右対称構成にかかる一対のシェル、2は下部フレーム、3は上部フレーム、4,4はタイロッドであり、シェル1,1は下部フレーム2に軸5,5を介して回動自在に軸支され、また左右のタイロッド4,4はその下端部がシェル1,1に、上端部が上部フレーム3に回動自在に軸支されている。下部フレーム2及び上部フレーム3にはそれぞれ所定個数の下シーブ7と上シーブ6が回転自在に軸支されていて、これらの下シーブ7と上シーブ6間には左右対称で2本の開閉ロープが掛け回され、シェル1,1の開閉操作をする。開閉ロープは上部フレーム3の上面に配置されたガイドローラ9を介して上方へ延び、浚渫船などのクレーンから吊支される。上部フレーム3の上面には浚渫用バケット全体を前記クレーンから昇降自在に吊支するための2本の吊支ロープが吊環11を介して上部フレーム3に連結されている。
特許文献1には夫々回動自在なアームを介して吊下げられるとともに各々が掬取開口の上部で回動自在に枢支され、閉じた状態において前記掬取開口の端面が互いに密着する一対のシェルと、このシェルの背部開口を塞ぐ防塵プレートと、この防塵プレートにあけられた透孔に接続されたフィルタとを備えてなるグラブバケットが記載されている。更に特許文献2には、シェルとロッドとを枢着する軸にシェル側面の上方の開口部を覆うようなカバーの一端部を回転自在に取付け、このカバーの表面とロッドとロッド上の案内及び上下部滑車を経由して開きワイヤーを配設し、カバーの裏面と下部滑車箱とをシェルを経由して閉じワイヤーを配設し、これらのワイヤーを介してシェルの開閉運動に同期させてカバーの開閉を行わせると共にバケットの全閉状態において対向するシェルの面にパッキンを設けたことにより掴み物の流出を防止したグラブバケットが開示されている。
実開昭61−65079号公報 特公昭53−18784号公報
しかしながら、従来のグラブバケットを利用した浚渫船による浚渫作業時には、ヘドロ等の掴み物の撹乱とか水中移動が発生しやすく、更にヘドロ運搬船への積み込み時に河川又は海水に大きな濁りを生じてしまうという課題がある。従来は上記に対処して周辺水域に濁りが拡散・移流することを防止するため、浚渫現場に汚濁防止膜を設置する手段が採用されているが、潮流の早い海域では浚渫作業中に該汚濁防止膜が流されてしまったり、グラブバケットと汚濁防止膜が接触して膜が破損する等の事故が発生して濁りの拡散・移流を完全に防止することができないという問題がある。
また、シェルを左右に広げたまま水中を降下する際には、グラブバケット自体の水中の抵抗が増加して降下時間が長くなるという問題があり、更にグラブバケットが掴み物を所定の容量以上に掴んだ場合には、この掴み物の逃げ道がないことによりグラブバケットの内圧が上昇して該グラブバケットの変形とか破損を引き起こしてしまう惧れがある。
そこで本発明は上記に鑑みて、浚渫作業時に掴み物の撹乱とか水中移動が発生せず、ヘドロ運搬船への積み込み時にも河川又は海水に濁りを生じたり周辺水域に濁りが拡散・移流することを防止するとともに、グラブバケット自体の水中での抵抗を減少させて降下時間を短縮し、グラブバケットが掴み物を所定の容量以上に掴んだ場合でも該グラブバケットの内圧上昇に起因する変形,破損を引き起こすことがない密閉式浚渫用グラブバケットを得ることを目的とするものである。
本発明は上記目的を達成するために、吊支ロープで上部フレームを連結し、該上部フレームに軸支した上シーブと、下部フレームに軸支した下シーブとの間に開閉ロープを掛け回してシェルを開閉可能にしたグラブバケットにおいて、上記シェルの上部に、開閉式の特殊ゴム蓋を有する蓋体が配設されたシェルカバーを密接配置した密閉式浚渫用グラブバケットを基本構成とする。具体的には、上記シェルの上部に、左右対称なシェルカバー上段、シェルカバー中段、シェルカバー下段とから構成され、上記シェルカバー上段とシェルカバー中段との間に開閉式の特殊ゴム蓋を有する複数個の蓋体が配設されたシェルカバーを密接配置してある。上記蓋体は、グラブバケットの内側から外側に掴み物が流出することを可能とし、掴み物が外側から内側に流入することはできない逆止弁を構成している。
本発明によって得られた密閉式浚渫用グラブバケットによれば、シェルを広げたまま水中を降下する際には蓋体の特殊ゴム蓋が上方に開いて水が上方に抜けるので、水中での抵抗が減少して降下時間を短縮することができる。グラブバケットが掴み物を所定容量以上に掴んだ場合には、内圧の上昇に伴って蓋体の特殊ゴム蓋が上方に開き、内圧が降下してグラブバケット自体の変形とか破損が引き起こされる惧れがない。グラブバケットの水中での移動時には、外圧によって蓋体の特殊ゴム蓋が閉じられるので、掴み物の撹乱とか水中移動は発生せず、河川又は海水に濁りを生じたり周辺水域に濁りが拡散・移流することは完全に防止することができる。
以下本発明にかかる密閉式浚渫用グラブバケットの最良の実施形態を従来の構成と同一の構成部分に同一の符号を付して説明する。図1は本発明にかかるグラブバケットの正面図、図2は同側面図であり、図中の1,1は左右対称構成にかかる一対のシェル、2は下部フレーム、3は上部フレーム、4,4はタイロッドである。シェル1,1は下部フレーム2に軸5を介し回動自在に軸支され、左右のタイロッド4,4はその下端部がシェル1,1に、上端部が上部フレーム3に回動自在に軸支されている。
上部フレーム3には上シーブ6が回転自在に軸支されており、下部フレーム2には下シーブ7が回転自在に軸支されている。これらのシーブ6,7間には図示を省略する開閉ロープが掛け回され、シェル1,1の開閉操作をする。図2に示すように開閉ロープ8,8は上部フレーム3の上面に配置されたガイドローラ9,9を介して上方へ延び、浚渫船などのクレーン(図示略)から吊支される。上部フレーム3の上面には浚渫用バケット全体を前記クレーンから昇降自在に吊支するための2本の吊支ロープ10,10が吊環11,11を介して上部フレーム3に連結されている。
12は本発明の特徴的構成体である密閉式シェルカバーであり、このシェルカバー12はシェル1,1の上部に密接配置されており、図3に示すように該シェルカバー12は左右対称にシェルカバー上段13,13、シェルカバー中段14,14、シェルカバー下段15,15とから構成され、上記シェルカバー上段13とシェルカバー中段14との間に空気抜き穴を有する蓋体16,16が複数個配設されている。この蓋体16の空気抜き穴には開閉式の特殊ゴム蓋17,17が取付けられている。図3の例では蓋体16,16が4個配設されており、図中右方の蓋体16,16は開いた状態として図示してある。尚、この蓋体16の個数は4個に限定されるものではない。
上記の蓋体16,16は、掴み物がグラブバケットの内側から外側に流出することは可能であるが、外側から内側に流入することはできない構造となっている。つまり蓋体16,16はヘドロ等の掴み物の流入と流出を規制する逆止弁を構成している。
図4は上記蓋体16の構成を示す分解斜視図であり、平面視がコ字状の上フレーム20と下フレーム21との間に特殊ゴム蓋17を挟み込み、ワッシャ25を介在してボルト23,23及びナット24,24を用いて特殊ゴム蓋17が上フレーム20と下フレーム21間に締結固定され、更に特殊ゴム蓋17の一端部上下を細長フレーム26,27で挟んでワッシャ25を介在して、最下部に配置した中空部28aを有する角形フレーム28の一辺にボルト29,29及びナット30,30を用いて締結固定されている。従って上フレーム20と下フレーム21及び特殊ゴム蓋17とからなる蓋体16は、角形フレーム28上で細長フレーム26,27を支軸として上方向にのみ開閉可能となっている。
かかる密閉式浚渫用グラブバケットによれば、浚渫船による河川あるいは海域での浚渫時に、上部フレーム3に連結されている吊支ロープ10,10を浚渫船のクレーンに吊支して、該クレーンから2本の吊支ロープ10,10を昇降させることによって上下のシーブ6,7間に掛け回された開閉ロープ8が回動して、図5,図6に示すようにシェル1,1の開閉操作が行われる。この動作時にシェル1,1を左右に広げたまま水中を降下する際には、図5中に示すように蓋体16,16の特殊ゴム蓋17,17を上方に開くことにより、グラブバケット内の水が上方に抜けて水中での抵抗が減少するので、降下時間を短縮することができる。
次にグラブバケットが掴み物を所定容量以上に掴んだ場合には、内圧の上昇に伴って同様に蓋体16,16の特殊ゴム蓋17,17が上方に開くので、掴み物の逃げ道ができることにより内圧が降下して該グラブバケット自体の変形及び破損が引き起こされる惧れがない。そしてグラブバケットの水中での移動時には、外圧によって蓋体16,16の特殊ゴム蓋17,17は閉じられており、従って掴み物の撹乱とか水中移動は発生せず、ヘドロ運搬船への積み込み時にも河川又は海水に濁りを生じることなく、周辺水域に濁りが拡散・移流することは完全に防止される。
図7は本発明で用いたシェルカバー12の変形例を示しており、このシェルカバー12は左右対称にシェルカバー上段13,13、シェルカバー中段14,14、シェルカバー下段15,15とから構成されていることは図3の構成と一致しているが、シェルカバー上段13とシェルカバー中段14との間に空気抜き穴を有する蓋体16,16が左右一対、合計2個配設されている。蓋体16の空気抜き穴に取付けられた開閉式の特殊ゴム蓋17,17の構造自体は前記例と同一である。図7中の右方の蓋体16は開いた状態として図示してある。
かかる変形例の密閉式浚渫用グラブバケットによっても蓋体16の特殊ゴム蓋17を上方に開くことにより水中での抵抗を減少させて降下時間は短縮され、グラブバケットが掴み物を所定容量以上に掴んだ場合でも内圧が降下してグラブバケット自体の変形及び破損は発生せず、グラブバケットの水中での移動時には外圧によって蓋体16の特殊ゴム蓋17が閉じられて掴み物の撹乱とか水中移動は発生せず、河川又は海水に濁りを生じたり周辺水域に濁りが拡散・移流することを防止することができる。
以上詳細に説明したように、蓋体の特殊ゴム蓋が上方に開くことによって水中を降下する際の抵抗が減少して降下時間が短縮され、グラブバケットが掴み物を所定容量以上に掴んだ場合でも内圧が降下してグラブバケット自体の変形,破損が引き起こされず、グラブバケットが水中で移動する際には外圧によって蓋体の特殊ゴム蓋が閉じられるので、掴み物の撹乱とか水中移動が発生せず、河川又は海水に濁りを生じたり周辺水域に濁りが拡散・移流することは完全に防止されるので、河川とか海域で浚渫作業を行う各種の浚渫船に広く適用することができる。
本発明にかかるグラブバケットの正面図。 図1の側面図。 密閉式シェルカバーのみ取り出して示す斜視概要図。 蓋体の構成を示す分解斜視図。 グラブバケットの開閉動作時の正面図。 図5の側面図。 本発明の変形例を示す斜視概要図。 従来のグラブバケットを示す正面図。
符号の説明
1…シェル
2…下部フレーム
3…上部フレーム
4…タイロッド
6…上シーブ
7…下シーブ
8…開閉ロープ
9…ガイドローラ
10…吊支ロープ
11…吊環
12…シェルカバー
13…シェルカバー上段
14…シェルカバー中段
15…シェルカバー下段
16…蓋体
17…特殊ゴム蓋
20…上フレーム
21…下フレーム
25…ワッシャ
26,27…細長フレーム
28…角形フレーム

Claims (3)

  1. 吊支ロープで上部フレームを連結し、該上部フレームに軸支した上シーブと、下部フレームに軸支した下シーブとの間に開閉ロープを掛け回してシェルを開閉可能にしたグラブバケットにおいて、
    上記シェルの上部に、開閉式の特殊ゴム蓋を有する蓋体が配設されたシェルカバーを密接配置したことを特徴とする密閉式浚渫用グラブバケット。
  2. 吊支ロープで上部フレームを連結し、該上部フレームに軸支した上シーブと、下部フレームに軸支した下シーブとの間に開閉ロープを掛け回してシェルを開閉可能にしたグラブバケットにおいて、
    上記シェルの上部に、左右対称なシェルカバー上段、シェルカバー中段、シェルカバー下段とから構成され、上記シェルカバー上段とシェルカバー中段との間に開閉式の特殊ゴム蓋を有する複数個の蓋体が配設されたシェルカバーを密接配置したことを特徴とする密閉式浚渫用グラブバケット。
  3. 上記蓋体は、グラブバケットの内側から外側に掴み物が流出することを可能とし、掴み物が外側から内側に流入することはできない逆止弁を構成してなる請求項1又は2に記載の密閉式浚渫用グラブバケット。
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