JP2014141805A - 薄層用幅広グラブバケット - Google Patents

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Abstract

【課題】薄層用幅広グラブバケットにおいて、硬い地盤や障害物との衝突に対する強度を実現する。
【解決手段】互いに対向して配置された一対のシェル1,1と、一対のシェル1,1の開閉の支点となる主軸4と、下部フレーム3Aと、上部フレーム2Aと、主軸4から等距離に離間した各シェル上の連結点に連結された下端及び上部フレーム2Aに連結された上端をそれぞれ備えた一対のタイロッド5,5と、を備え、上部フレーム2Aに対して下部フレーム3Aを上下移動させることにより一対のシェル1,1を開閉させる薄層用幅広グラブバケット10において、シェル1を形成する板部材が、主軸4の周囲においてシェル主板1Aと、シェル主板1Aの両面上に重ねた一対のシェル腕板1B1,1B2と、少なくとも一方のシェル腕板1B1の片面上に重ねた1枚のシェル補強板1Cと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、海底や湖底、川床等の堆積土砂を浚渫する際に使用するグラブバケットに関し、特に、維持浚渫のために、硬土質地盤や破砕岩浚渫された地盤上に堆積された薄層のヘドロを広い面積で掴み取る薄層用幅広グラブバケットに関する。
例えば港内の水深維持や航路、泊地の水深増大のための浚渫作業では、必要な水深まで掘削し、掘削された土砂を陸揚げする。このような浚渫方法の1つに、グラブ浚渫船等に設置されたクレーンにより吊下されたグラブバケットを用いる方法がある。グラブバケットは、互いに対向して配置された一対のシェルの開閉により浚渫を行うものである。
近年、港湾整備が進み、上記のような大々的な浚渫作業は少なくなってきた反面、これまでに整備した航路、泊地の維持浚渫が繰り返し行われている。しかし、維持浚渫における浚渫厚さは1m未満の薄層であることが多く、その土質はヘドロ層であることが多い。このため、特許文献1又は特許文献2のように、軟弱なヘドロ層を薄く浚渫する薄層用かつ幅広タイプのグラブバケット(本明細書では「薄層用幅広グラブバケット」と称する)が開発されている。
薄層用のグラブバケットでは、1回の掘削による切取部分の穴の底面がほぼ平坦な形状となりその深さは最大でも1m程度である。これに対し、通常のグラブバケットでは、切取部分の穴の底面が、中央部分が深く(2〜3m程度)両側部分が浅い湾曲した形状となる。
また、幅広タイプのグラブバケットとは、シェルにおける開閉軸に平行な方向の長さが、通常のものに比べて長いものをいう。幅広グラブバケットは、通常のグラブバケットに比べて最大開口面積が大きい。このような幅広グラブバケットを仕上げ堀りに用いると、通常のグラブバケットに比べて一度に広い面積を掘削できるので、少ない回数で浚渫を完了することができる。
特許第3884028号公報 特開2010−159545号公報
維持浚渫の対象となる土質はヘドロ層であることが多いが、ヘドロ層の下は硬土質地盤(N値15程度)の場合もある。場所によっては、破砕された岩盤の高さが計画水深付近となっている箇所もある。その場合、浚渫作業においてグラブバケットを閉める際にシェルの刃先がこの硬土質地盤に当たってしまう。特許文献1又は特許文献2のような軟土質層(N値5程度)を対象としたグラブバケットの場合、一箇所でも硬土質地盤に引っ掛かった状態でグラブバケットを閉めると、刃先に偏荷重がかかり、シェルに捻れや歪みを生じたり、グラブバケットが破損したりする可能性がある。
シェルの刃先がヘドロ層の下の硬い地盤に接触しないためには、ヘドロ層の最下部までの掘削を行わないようにする必要がある。この結果、ヘドロ層の最下部は残されることとなる。
また、ヘドロ層の下の地盤が軟らかかったとしても、長年使用されてきた港湾の海底面上には、船舶からの落下物や自然沈下した流木、石材等が堆積している場合がある。それらの障害物に当たった場合にも、シェルに捻れや歪みを生じたり、グラブバケットが破損したりする可能性がある。
特に、幅広タイプのグラブバケットは、通常のグラブバケットに比べて強度的に弱く、歪みを生じやすい。
現状では、薄層用幅広グラブバケットにおいて、硬土質地盤に適用可能な強度を備えたものはない。
以上の現状に鑑み本発明は、薄層用幅広グラブバケットにおいて、硬土質地盤(N値15程度)や障害物等との衝突に対する強度を備えることにより、シェルの捻れや歪みを生じずグラブバケットが破損しないようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を提供する。なお、括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付したものである。
本発明の態様は、互いに対向して配置された一対のシェル(1,1)と、前記一対のシェル(1,1)の開閉の支点となる主軸(4)と、前記主軸(4)が固定された下部フレーム(3A)と、前記下部フレーム(3A)の上方に配置された上部フレーム(2A)と、前記主軸(4)から等距離に離間した各シェル上の連結点に回動自在に連結された下端及び前記上部フレーム(2A)に回動自在に連結された上端をそれぞれ備えた一対のタイロッド(5,5)と、を備え、前記主軸(4)の方向において前記タイロッド(5,5)の下端の幅よりも前記シェルが両側に張り出しており、前記上部フレーム(2A)に対して前記下部フレーム(3A)を上下移動させることにより前記一対のシェル(1,1)を開閉させる薄層用幅広グラブバケット(10)において、前記シェル(1)を形成する板部材が、前記主軸(4)の周囲においてシェル主板(1A)と、前記シェル主板(1A)の両面上に重ねた一対のシェル腕板(1B1,1B2)と、少なくとも一方の前記シェル腕板(1B1)の片面上に重ねたシェル補強板(1C)と、を有することを特徴とする。
上記態様において、前記タイロッド(5,5)の下端を各シェル(1,1)上の連結点に回動自在に連結するためのブラケット(7)を備え、前記ブラケット(7)を形成する板部材が、一対のブラケット主板(7A1,7B1)と、各ブラケット主板(7A1,7B1)の片面上に重ねたブラケット補強板(7A2,7B2)と、を有することが、好適である。
上記態様において、前記シェル(1,1)の湾曲した底板(1D)の内面上に、湾曲に沿って立設された底板補強リブ(1E)を有することが、好適である。
上記態様において、前記シェル(1,2)の底板(1D)の刃先に着脱可能な爪(8,8)を備えたことが、好適である。
本発明による薄層用幅広グラブバケットは、シェルの開閉支点の周囲の板部材を肉厚とし、タイロッド下端を連結するためのブラケットの板部材を肉厚とし、シェルの底板の内面に底板補強リブを設けたことにより、シェルの剛性が向上する。この結果、N値15程度の硬土質地盤に相当する大きな偏荷重がかかった場合にも、シェルに捻れや歪みを生じず、グラブバケットが破損しない。
また、着脱可能な爪を刃先に取り付けると、N値15程度の硬土質地盤を薄層で掘削する場合に、刃先を硬土質地盤に効率的に進入させることができる。
図1(a)は、本発明の薄層用幅広グラブバケットの一実施例を概略的に示したシェル閉状態の正面図であり、図1(b)はシェル開状態の部分正面図である。 図2は、図1(a)に対応する概略的な側面図である。 図3は、主軸の周囲におけるシェルの構成を概略的に示した外観斜視図である。 図4は、タイロッドの下端の連結部の構成を概略的に示した外観斜視図である。 図5は、シェルの底板内面の構成を概略的に示した外観斜視図である。
以下、一実施例を示した図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)は、本発明の薄層用幅広グラブバケットの一実施例を概略的に示したシェル閉状態の正面図であり、図1(b)はシェル開状態の部分正面図である。図2は、図1(a)に対応する概略的な側面図である。これらの図面を参照して、本発明の薄層用幅広グラブバケット10の基本構成を説明する。
なお、前述の通り、「薄層用」とは、1回のシェル開閉による切取部分が、例えば1m程度の深さの底面が平坦な穴となるグラブバケットを意味する。また、「幅広」とは、シェルにおける開閉軸に平行な方向の長さが通常のものに比べて長く、タイロッドの下端よりも両側に張り出しているグラブバケットを意味する。
図1(a)に示すように、薄層用幅広グラブバケット(以下、単に「グラブバケット」と称する)10は、凹形状の内面が互いに対向するように配置された左右一対のシェル1、1を有する。一対のシェル1、1の各々の一端部は、共通の1つの主軸4に回動自在に連結されている。一対のシェル1、1は、主軸4を蝶番のように開閉の支点として開閉可能である。主軸4は、下部フレーム3Aに固定されている。下部フレーム3Aの上方に離間して、上部フレーム2Aが配置されている。
さらに、グラブバケット10は、左右一対のタイロッド5、5を有する。左側のタイロッド5の下端は、左側のシェル1の連結点に回動自在に連結され、右側のタイロッド5の下端は、右側のシェル1の連結点に回動自在に連結されている。シェル1、1上の連結点は、それぞれ主軸4から等距離に離間した位置にある。タイロッド5、5の下端の連結軸を符号6A、6Aで示す。一方、左側のタイロッドの上端は、上部フレーム2Aの左端部に回動自在に連結され、右側のタイロッド5の上端は、上部フレーム2Aの右端部に回動自在に連結されている。タイロッド5、5の上端の連結軸を符号6B、6Bで示す。
上部フレーム2Aの下部には上シーブ2B、2Bが設けられ、上部フレーム3Aの上部には下シーブ3Bが設けられている。図示しないが、上シーブ2B、2Bと下シーブ3Bの間には開閉ワイヤーが掛けられ、この開閉ワイヤーは上部フレーム2Aを貫通して上方に延在し、グラブ浚渫船等の操作部に連結されている。開閉ワイヤーを操作することにより、上部フレーム2Aと下部フレーム3Aの間の距離を変えることができる。図1(a)のシェル1、1の閉状態の位置から、下部フレーム3Aを降下させると、図1(b)に示すようにシェル1、1が開いて開状態となる。下部フレーム3Aを上昇させると、再び閉状態となる。上部フレーム2Aに対して下部フレーム3Aを相対的に上下移動させることにより一対のシェル1、1を開閉させることができる。
グラブバケット10は、上部フレーム2Aの上面に設けた吊環9を用いて、グラブ浚渫船等に設置されたクレーンから吊下される。
シェル1、1の刃先には、複数の爪8、8が突出して取り付けられている。好適には、これらの爪8、8はボルト及びナットを用いて着脱可能である。ヘドロ層や軟弱地盤の浚渫時には爪8、8を取り外し、硬土質地盤や障害物のあるヘドロ層等の浚渫時には爪8、8を取り付ける。図2の側面図に示すように、左右のシェル1、1の爪8、8は互い違いに設けられている。
また、図2に示すように、グラブバケット10は、幅広タイプであるので、側面視にてタイロッド5の下端の幅よりもシェル1の幅が長く、タイロッド5の下端よりも両側に張り出している。通常のタイプでは、タイロッドの幅とシェル1の幅が同程度である。
図3〜図5を参照して、図1及び図2に示したグラブバケット10の補強構造を説明する。
図3は、主軸4の周囲におけるシェル1の構成を概略的に示した外観斜視図である。シェル1の一端部には、主軸4(ここでは図示しない)に回動自在に連結するための連結部が設けられている。主軸4との連結部は、シェル1の本体から一体的に延びている板部材であり、主軸4を貫通させるための環状部分を有する。板部材は、中央の1枚のシェル主板1Aと、シェル主板1A両面上にそれぞれ重ねた一対のシェル腕板1B1、1B2とからなる3層構造を備えている。さらに、主軸4の周囲の環状部分を特に強化するために、少なくとも一方のシェル腕板1B1の片面上に1枚のシェル補強板1Cを重ねて4層構造としている。
主軸との連結部における各板の厚さは、いずれも30mmとすることが好ましい。通常のグラブバケットではシェルを形成する部材の板厚は22〜25mmであり、本発明では厚さを増すことで20〜35%強度が増している。また、通常のグラブバケットではシェルを形成する部材に一般構造用圧延鋼材SS400を用いるが、本発明では、耐摩耗鋼HARDOX(登録商標)400を用いることが好ましい。これにより、偏荷重がかかってもシェル1と主軸4との連結部が破損しない程度の強度が得られる。
図4は、タイロッド5の下端の連結部の構成を概略的に示した外観斜視図である。タイロッドの下端を貫通する連結軸6A(ここでは図示しない)は、シェル1の連結点上に設けられたブラケット7により軸支される。一対の板部材から構成されるブラケット7の間にタイロッド5の下端が配置される。一方の板部材は、ブラケット主板7A1とブラケット補強板7A2を重ねた2層構造であり、他方の板部材は、ブラケット主板7B1とブラケット補強板7B2を重ねた2層構造である。
ブラケット7における各板の厚さはいずれも30mmとすることが好ましく、耐摩耗鋼HARDOX(登録商標)400を用いることが好ましい。通常のグラブバケットではブラケット補強板が無いので、本発明のブラケット7は、通常よりも220%強度が増している。これにより、偏荷重がかかってもシェル1とタイロッド5との連結部が破損しない程度の強度が得られる。
図5は、シェル1の底板内面の構成を概略的に示した外観斜視図である。シェル1、1の底板1Dの内面は湾曲した凹部を形成している。底板1Dの内面の湾曲に沿って複数の底板補強リブ1Eが立設されている。また、底板1Dの厚さは、22mmとすることが好ましく、それにより通常より15%強度を増している。
刃先に爪8を取り付けた場合、爪8が引っ掛かると偏荷重を生じるが、シェル1は十分な強度を備えているので、偏荷重がかかってもシェル1が捻れたり歪んだりすることがない。
10 グラブバケット
1 シェル
1A シェル主板
1B1 シェル腕板
1B2 シェル腕板
1C シェル補強板
1D 底板
1E 底板補強リブ
2A 上部フレーム
2B 上シーブ
3A 下部フレーム
3B 下シーブ
4 主軸
5 タイロッド
6A タイロッド下端連結軸
6B タイロッド上端連結軸
7 ロッド下端ブラケット
7A1、7B1 ブラケット主板
7A2、7B2 ブラケット補強板
8 爪
9 吊環

Claims (4)

  1. 互いに対向して配置された一対のシェル(1,1)と、前記一対のシェル(1,1)の開閉の支点となる主軸(4)と、前記主軸(4)が固定された下部フレーム(3A)と、前記下部フレーム(3A)の上方に配置された上部フレーム(2A)と、前記主軸(4)から等距離に離間した各シェル上の連結点に回動自在に連結された下端及び前記上部フレーム(2A)に回動自在に連結された上端をそれぞれ備えた一対のタイロッド(5,5)と、を備え、前記主軸(4)の方向において前記タイロッド(5,5)の下端の幅よりも前記シェルが両側に張り出しており、前記上部フレーム(2A)に対して前記下部フレーム(3A)を上下移動させることにより前記一対のシェル(1,1)を開閉させる薄層用幅広グラブバケット(10)において、
    前記シェル(1)を形成する板部材が、前記主軸(4)の周囲においてシェル主板(1A)と、前記シェル主板(1A)の両面上に重ねた一対のシェル腕板(1B1,1B2)と、少なくとも一方の前記シェル腕板(1B1)の片面上に重ねたシェル補強板(1C)と、を有することを特徴とする薄層用幅広グラブバケット。
  2. 前記タイロッド(5,5)の下端を各シェル(1,1)上の連結点に回動自在に連結するためのブラケット(7)を備え、前記ブラケット(7)を形成する板部材が、一対のブラケット主板(7A1,7B1)と、各ブラケット主板(7A1,7B1)の片面上に重ねたブラケット補強板(7A2,7B2)と、を有することを特徴とする請求項1に記載の薄層用幅広グラブバケット。
  3. 前記シェル(1,1)の湾曲した底板(1D)の内面上に、湾曲に沿って立設された底板補強リブ(1E)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の薄層用幅広グラブバケット。
  4. 前記シェル(1,2)の底板(1D)の刃先に着脱可能な爪(8,8)を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄層用幅広グラブバケット。
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