JP2005177626A - フィルタ、その製造方法およびフィルタユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧力損失が小さく、1回の操作により完全に分離することができ、分離対象物質を分解することにより連続的な分離操作が可能なフィルタを提供する。
【解決手段】 本発明のフィルタは、多孔質基材上に形成され、触媒機能を備え、多孔質基材から外方に貫通する細孔を有し、細孔の孔径は、0.1nm〜500nmであり、大径部分と小径部分とを備え、大径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも大きく、小径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも小さいことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、分離機能と触媒機能の両方を有し、空気の清浄または水の浄化などに使用するフィルタに関する。
触媒機能を備えるフィルタには、触媒によって化学反応を促進し、生成物を多孔体を介して分離し、系外に除外することで、触媒部における反応生成物の濃度を減少させ、反応速度を向上させるメンブレンリアクタといわれるものがある。また、ある物質を分離し、その物質を分解することにより、空気または水などを浄化することを目的として用いられる。この場合、主に触媒表面への分解対象物質の吸着によって分離が進行する。したがって、分解能力を高めるために吸着量の増加が不可欠であるが、従来は触媒の担持量が少なかったり、触媒部分の表面積が小さいために、吸着量が不足し、分解性能が十分ではなかった。このため、フィルタを多層化する必要があり、装置作製にコストがかかり、フィルタ前後での圧力損失が高くなるなどの問題があった。
圧力損失の低減には、直立した細孔を利用する方法が有用であり、直立した細孔構造を簡単に形成する方法として、陽極酸化処理法が知られている。陽極酸化処理法は、酸性溶液中で電解処理を行なうことで、陽極表面に細孔構造を有する酸化膜を形成する方法であり、このような陽極酸化膜をフィルタ材料として用いる方法は、既に知られている(特許文献1および特許文献2参照)。また、製造方法としては、陽極酸化膜を管状に生成して、多孔性のアルミナチユーブを製造する方法(特許文献3参照)および陽極酸化時に供給する電力をパルス状にすることで微細孔を得る方法(特許文献4参照)などが提案されている。これらの酸化膜は、膜上面と下面が異なる細孔径を有するものではなく、分離機能は陽極酸化膜の片面のみが負うことになる。また、あくまで限外ろ過膜としての利用方法であって、分離した物質を分解するものではない。たとえ触媒機能を有するものであっても、表面積が大きくなく、分解対象物の吸着量が少ないため、分解性能が低いと予想される。
一方、陽極酸化膜の膜上面と下面が異なる細孔径を有するもの(特許文献5参照)また触媒機能を有するもの(特許文献6参照)が提案されている。これらは、陽極酸化膜を形成した後、基体である酸化アルミニウムを溶解させ、陽極酸化膜を自立体として得る工程を有するが、溶解に長時間を有するという問題がある。また、機械的強度を確保するために、ある程度の厚さが必要とされることから、陽極酸化処理時間が長くなり、使用時に分離膜を挟んで圧力損失が大きくなるという問題がある。触媒機能の付加に関する提案もされているが(特許文献7参照)、触媒層の形成は陽極酸化処理工程後に行なわれるため、工程が煩雑で、細孔径の制御が難しいという問題がある。
特開昭60−187320号公報 特開昭61−71804号公報 特開平9−67173号公報 特開平9−316692号公報 特開平2−258620号公報 特開昭62−269753号公報 特開昭62−269753号公報
本発明の課題は、圧力損失が小さく、1回の操作により完全に分離することができ、分離対象物質を分解することにより連続的な分離操作が可能なフィルタを提供することにある。また、細孔の孔径の制御が容易であり、簡単な工程により製造することのできるフィルタの製造方法を提供することにある。
本発明のフィルタは、多孔質基材上に形成され、触媒機能を備えるフィルタであって、多孔質基材から外方に貫通する細孔を有し、細孔の孔径は、0.1nm〜500nmであり、大径部分と小径部分とを備え、大径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも大きく、小径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも小さいことを特徴とする。
本発明の製造方法は、かかるフィルタの製造方法であって、アルミニウム元素を含む原料から製造することを特徴とする。また、本発明のフィルタユニットは、かかるフィルタに隣接して触媒励起光発光領域を有することを特徴とする。
本発明によれば、圧力損失が小さく、1回の操作により完全に分離することができ、連続的な分離操作が可能なフィルタを提供することができる。
(フィルタ)
本発明のフィルタは、多孔質基材上に形成され、触媒機能を備え、多孔質基材から外方に貫通する細孔を有し、細孔の孔径が、0.1nm〜500nmであり、大径部分と小径部分とを備え、大径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも大きく、小径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも小さいことを特徴とする。かかるフィルタは、分離特性に優れ、圧力損失が少なく、連続的な分離操作が可能である。
多孔質基材上に形成されるフィルタは、多孔質基材からフィルタを通って外方に貫通する細孔を有する。細孔は、図4に示すように、多孔質基材の表面41に対して、細孔42の長手方向43が、60度〜120度の範囲にあるものを指すが、圧力損失を低減する点で、75度〜105度の範囲内にあるものが好ましい。また、細孔の密度は、孔径によっても異なるが、一般的には、分離特性を高め、圧力損失を低減する一方で、フィルタの機械的強度を保持する点で、10個/mm〜1011個/mmが好ましく、10個/mm〜1010個/mmがより好ましい。
細孔は、大径部分と小径部分とを有し、フィルタによる分離対象物質を含む液体または気体(以下、「分離対象流体」ともいう。)が流れる上流側に、分離対象物質よりも大きな孔径を有する大径部分を備え、下流側に、分離対象物質よりも小さな孔径を有する小径部分を備える。かかる細孔により、一度の操作で分離対象物を完全に分離することができる。
細孔の具体的な構造を図1に模式的に示す。図1(a)に示すように、フィルタの構成材料1内の細孔2は、流体の流れていく方向に従って、孔径が次第に小さくなっていくテーパ構造、または図1(b)に示すように、ある深さまで孔径がほぼ一定であるが、その後、孔径が小さくなる2段階構造、または図1(c)に示すように、図1(a)の構造と図1(b)の構造を合成したような構造などがあるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
分離対象流体が、このような構造の細孔内を通過すると、ある程度、孔径が小さくなった部分で分離対象物質が分離され、残流体のみ排出される。したがって、大径部分の孔径を分離対象物質の外径よりも大きくし、小径部分の孔径を分離対象物質の外径よりも小さくすることにより、一回の操作で分離対象物質は完全に分離される。分離が完了すれば、その下流において孔径が大きくなることもできる。
また、フィルタが備える触媒機能により分離対象物質を分解するため、連続的に分離操作を行なうことが可能である。上流部に大きな孔径の部分が存在することにより、触媒と分離対象物質の接触面積が増大するため、分解性能が向上する。細孔の孔径は、0.1nm以上とし、1nm以上が好ましい。孔径0.1nm以下の構造体は作製が困難であり、孔径を1nm以上とすることにより、分離操作の効率を高め、圧力損失を低減することができる。一方、細孔の孔径が大きくなるにつれて、フィルタ全体としては表面積が小さくなり、分離対象物質との接触確率が低くなる。このため、分解性能の向上を図る点で、細孔の孔径は500nm以下とし、50nm以下が好ましい。
かかる細孔を有するフィルタは、多孔質基材上に形成する。多孔質基材は、酸化アルミニウム、窒化珪素、カーボンもしくはガラスなどの無機セラミックスまたは各種樹脂などである。このような多孔質基材の上にフィルタを形成することにより、同等の機械的強度であっても、細孔構造部の膜厚が低減でき、製造工程の簡略化および使用時の圧力損失の低減を図ることができる。
大径部分のフィルタの厚さは、50nm〜500μmが好ましく、1μm〜100μmがより好ましい。分離対象物質の分子サイズまたは原子サイズよりも大きな孔径を有する大径部分の層の厚さを50nm以上とすることにより、均一な層の形成が容易になり、また表面積を確保して、分離対象物質と触媒との接触を高めることができる。一方、大径部分の厚さを500μm以下とすることにより、細孔構造における圧力損失を低減することが容易となる。分離対象物質の分子サイズなどよりも小さい孔径の小径部分の厚さは、均一な層が形成できるなら、圧力損失を低減する観点から、なるべく薄いものが望ましい。
本発明のフィルタが備える触媒機能としては、たとえば光触媒機能がある。光触媒とは、光エネルギを励起源として、化学反応を推進するものである。光触媒反応は、まず光触媒が光を吸収して励起状態になり、その上に分子が吸着して活性化状態になって反応が促進する。通常の触媒反応は、分子が触媒上に吸着し、熱エネルギを利用して活性化状態になり、反応を推進する。光触媒反応の基本的な推進力は光であるが、光が関与しない、熱エネルギによる触媒作用が含まれる。たとえば、光によって通常の触媒ができる場合などである。このとき、光を遮断しても、反応が縦続する場合もあるが、できた触媒の寿命が非常に短いときには、光照射中にしか反応が起こらず、光触媒反応のように見えるので、このような触媒も光触媒に含めることとする。
光触媒には、大別して半導体と色素(有機金属錯体)がある。半導体の場合、エネルギバンドギャップ以上の光が当たると、電子が励起して伝導帯の電子になり、正孔が生成する。これらの電子と正孔が光触媒反応を起こす。光触媒の場合、反応速度を向上させるには、光が透過する表面層の表面積を上げ、分解対象物質との接触確率を上げる、つまり、吸着量を上げることが特に重要であり、本発明のフィルタを用いることにより、大幅な効率向上を実現できる。
これら光触媒機能を有する材料としては、耐腐食性が高い点で、酸化チタンが好適である。細孔構造を形成する物質が酸化チタンを含んでいる態様が望ましいが、酸化チタンは、細孔構造を形成する物質の主成分であっても、また一部であっても共に有効である。
本発明のフィルタにおいては、触媒励起光発光領域が、光触媒機能を有する領域に隣接する態様が望ましい。先に述べたように、光触媒機能を発揮させるにはエネルギバンドギャップ以上の光を照射する必要がある。この光を触媒励起光と呼ぶが、触媒励起光を効率よく光触媒に供給するためには、触媒励起光発光領域を光触媒領域に隣接させることが最も効果的である。ここでいう隣接とは、光触媒機能を奏する領域と、触媒励起光発光領域とが接触している態様のほか、触媒励起光を発光した後、減衰するまでの範囲に、光触媒機能を奏する領域が存在している態様も含まれる。また、これら両者が複合して存在している態様も含まれる。これらの態様は、光触媒と触媒励起光発光物質のみが存在している態様のみならず、触媒機能に関与しない、細孔構造の骨格材料などが含まれている態様であっても有効である。
光触媒領域と触媒励起光発光領域とが隣接する態様を、図2に模式的に示す。図2(a)には、光触媒領域23と触媒励起光発光領域22が共に粒子状であり、両者が重複し、複合している例を示す。また、図2(b)には、光触媒領域23と触媒励起光発光領域22が粒子状であるが、触媒機能に関与しない他の材料21によって、両者が隔離されている例を示す。一方、図2(c)には、光触媒領域23と触媒励起光発光領域22が共に層状であり、両者が互いに隣接している例を示す。また、図2(d)には、光触媒領域23と触媒励起光発光領域22が層状であるが、触媒機能に関与しない他の材料21によって、両者が隔離されている例を示す。図2に示す例、および、これらが混在している場合など、いずれも本発明に含まれ、これらに限定されるものではない。触媒励起光としては、エネルギが高い点で、紫外線領域の光が好ましい。
細孔構造を形成する骨格材料は、陽極酸化処理により容易に本発明の細孔構造を形成することができる点で、少なくとも酸素とアルミニウム元素を含む材料、たとえば、酸化アルミニウムを含むものが好ましい。この場合、酸化アルミニウムは、結晶質に限定されるものではなく、非晶質であっても使用することができる。
(フィルタの製造方法)
本発明の製造方法は、かかるフィルタの製造方法であって、アルミニウム元素を含む原料から製造することを特徴とする。かかる原料には、たとえば、触媒とアルミニウム金属との合金、触媒の原料となる元素とアルミニウム金属との合金、これらが多層構造をなすもの、粒状に複合して形成されているものなどが挙げられる。触媒は、代表的には、Fe、Ni、Ptなどの金属類、NiO、ZnO、Crなどの酸化物、WSなどの硫化物を使用することができる。
原料は、たとえば、図3(a)に示すように、触媒原子Mがアルミニウム原子Alの中に原子レベルで分散している態様、図3(b)に示すように、触媒となる粒子31と、アルミニウム元素を含む粒子32とが、その他の物質を含む粒子33の中に分散している態様、また、図3(c)に示すように、触媒となる層34と、アルミニウム元素を含む層35と、その他の物質を含む層36とが、多層構造を形成している態様などを成している。図3には、結晶質のような構造で表現しているが、非晶質構造の場合も本発明に含まれ、また、図3の例に限定されるものではない。触媒が酸化物の場合、触媒が不純物程度以上の酸素を含まない状態でアルミニウム金属と複合して、図3のような構造に形成したものを原料とすることもできる。
まず、原料を多孔質基材上に形成する。形成方法としては、スパッタリング法、EB真空蒸着法、抵抗加熱方式真空蒸着法、陰極式アーク放電真空蒸着法または各種のCVD法などが挙げられるが、特に限定されるものではない。スパッタリング法、EB真空蒸着法、抵抗加熱方式真空蒸着法または陰極式アーク放電真空蒸着法を用いる場合の原料は、触媒もしくは触媒原料と、アルミニウム元素の合金もしくは混合物、またはターゲットを分割して原料を配置したもの、または原料それぞれの単体をターゲットとして用いることができる。
これらの原料を酸化処理することで、本発明のフィルタを得ることができる。酸化処理の方法としては陽極酸化処理法を用いることが望ましい。たとえば、アルミニウム金属を陽極酸化することにより、酸化アルミニウム(以下、「アルミナ」ともいう。)からなる多孔質基材上に、多孔質基材から外方に貫通する細孔を有するフィルタを形成することができる。陽極酸化処理は、一般的には硫酸、シュウ酸またはクロム酸などの酸性溶液中で、陽極に配置した原料に、5V〜100V程度の電力を印加することにより、陽極表面に原料の酸化物を形成する方法である。そのほか、陽極において酸化物が得られる他の公知の方法も使用することができる。
アルミニウム金属の陽極酸化においては、電解時間を長くすると、酸化膜の厚みが増し、貫通する細孔も成長していく。また、細孔の孔径および細孔の間隔は、陽極酸化処理時の電流および電圧を調整することにより制御することができる。たとえば、電圧を高くすると孔径は大きくなり、細孔の間隔も大きくなる。したがって、陽極酸化処理の初期には電圧を高くしておき、その後、電圧を低くする手法をとることにより、本発明のフィルタを製造することができる。電圧低下を連続的に行なえば、図1(a)に示すような、フィルタの外方に進むにつれて孔径が細くなるテーパ構造となり、不連続に行なえば、図1(b)と(c)に示すような2段階構造などとなる。また、孔径は、溶液の種類および溶液の濃度によっても調製することができる。
細孔の孔径を50nm以上とする場合は、たとえば、リン酸水溶液またはクロム酸水溶液中に、形成した陽極酸化膜を浸して、化学的にエッチングすることで孔径を大きくすることができる。細孔の孔径は、浸漬している時間が長いほど、大きくなる。したがって、陽極酸化処理により、たとえば、図1(a)、(b)または(c)にそれぞれ示すような構造を形成しておけば、エッチング後も相対的な形状は変化せずに、孔径のみが大きい同様の構造を形成することができる。
アルミニウム金属以外の元素を用いることによっても、本発明の貫通した細孔構造を得ることができる。たとえば、アルミニウム金属と他の元素を合金化し、もしくは混合し、または多層構造とし、アルミニウム金属の割合を調整することにより、本発明の貫通した細孔構造を得ることができる。得られるフィルタは、限外ろ過膜としての機能のみならず、触媒機能を併せ持っており、有用である。触媒機能は、陽極酸化処理条件により調整することができる。
陽極酸化処理時に、アルミニウム元素の酸化と並行して、触媒原料となる元素が酸化され、酸化物となる場合もあるが、原料中の状態を保ち、金属状態または硫化物などの状態を維持する場合もある。いずれにしても、これらの触媒となる元素は、陽極酸化処理後、酸化アルミ中に分散して存在している。このように、アルミニウム元素を含む原料により、本発明のフィルタを得ることができる。
光触媒機能を有する酸化チタンは、(NHTiFなどの金属フッ化物錯体を用いて形成することができる。具体的には、文献(ナノ学会創立大会講演予稿集、2003年、p134)に示されるように、陽極酸化により形成した酸化アルミ膜を金属フッ化物錯体溶液中に浸し、酸化アルミを溶解しつつ、酸化チタンを形成し、最終的に、光触媒機能を有する酸化チタンを備え、多数の貫通孔を有する本発明のフィルタを得ることができる。
この場合、陽極酸化により形成した酸化アルミ膜は鋳型として働き、細孔の孔径を決定する。すなわち、細い孔径を有する酸化アルミ膜を用いて酸化チタンを形成する場合には、細い孔径の細孔を有するフィルタが得られる。したがって、当初、たとえば、図1(a)、(b)または(c)のような構造を有する酸化膜を陽極酸化処理により形成しておき、その後、金属フッ化物錯体溶液中に浸すことにより、細孔の孔径の相対的な大きさが反映され、酸化チタンが生成されたフィルタを得ることが可能である。
原料中に、アルミニウム元素およびチタン元素が含まれている態様が望ましい。この場合、酸化処理時にアルミニウム元素が酸化されて酸化アルミが生成するのと並行して、チタン元素が酸化されて、触媒機能を担う酸化チタンが生成するため、フィルタ形成後に触媒を形成する場合に比べて、工程を簡略化することができる。原料は、たとえば、図3(a)に示すように、触媒原子Mがチタン原子であり、触媒原子Mがアルミニウム原子Alの中に原子レベルで分散している態様、図3(b)に示すように、触媒となる粒子31と、アルミニウム元素を含む粒子32とが、その他の物質を含む粒子33の中に分散している態様、また、図3(c)に示すように、触媒となる層34と、アルミニウム元素を含む層35と、その他の物質を含む層36とが、多層構造を形成している態様などとすることができる。
アルミニウム元素とチタン元素のほかに、たとえば、Pt、PdまたはAgの各元素などを原料中に含ませる態様も有効である。この場合、酸化処理後に酸化アルミと酸化チタンと共にPt粒子、Pd粒子またはAg粒子を含ませることができる。酸化チタンは、これらの金属と複合して働くことにより、光を受けて発生した正孔と電子の再結合を抑制し、化学反応に寄与できる正孔と電子の数を増やし、分解反応を促進することができる。
(フィルタユニット)
本発明のフィルタユニットは、前述のフィルタに隣接して、触媒励起光発光領域を有することを特徴とする。フィルタに隣接して、触媒励起光発光領域を配置することにより、効率よく光触媒機能を引き出すことができる。したがって、かかるフィルタユニットは、フィルタによる分離と、触媒による分解を効率よく促進し、連続的に分離操作を進めることができる。また、フィルタによる圧力損失が小さくなり、フィルタの製造も容易である。触媒励起光の発光源としては、各種放電管またはLEDなどの外部光源を利用することができる。触媒励起光が、触媒機能付フィルタに照射されるように、触媒励起光発光領域を設定する。触媒励起光は、エネルギが大きい点で、紫外線が望ましい。
実施例1〜7
表1に示すような、孔径2,000nmの多孔質基材上に、触媒原料とアルミニウム元素からなる皮膜をスパッタリング法により形成した。つぎに、多孔質基材上に形成した皮膜に、0.2Mのシュウ酸溶液中で陽極酸化処理を行なった。陽極酸化処理は、直流電源の正極に、皮膜を形成した試料を接続し、対向極である負極に白金板を接続し、35Vを印加して行なった。テーパ型の細孔の場合は、連続的に電圧を減少させ、2段階の場合は、途中で不連続に電圧を減少させ、いずれも最終的な電庄を15Vとした。大径層の厚さが、表1に記載の値になるように、酸化アルミの成長速度から電圧変化の時間を調整した。2段階構造の細孔の場合は、最後に15Vの一定の電圧で10分間維持した。
Figure 2005177626
陽極酸化処理後の状態を観察したところ、多孔質基材から外方に貫通する細孔が形成されていた。表1に、分布する細孔の密度を示す。触媒原料として、TiとPtを併用した実施例4〜7に関しては、酸化アルミ粒子、Pt粒子とTiO粒子が複合構造を有していた。また、原料が、触媒原料層を有する多層構造の場合は、触媒層内で、Pt粒子とTiO粒子が分散していた。50nm以上の孔径の細孔を得る場合は、陽極酸化後、2質量%のリン酸水溶液に浸し、孔径を大きくした。
これらの試料を用いて、ダイオキシンの分離分解実験を行なった。実験は、直径30mmのフィルタの上面から、分離対象物質であるダイオキシンを含む溶液を供給した。ダイオキシンの分子サイズ(外径)は5nmである。また、供給圧力は0.5MPaであり、溶液をフィルタの上面から供給し、フィルタを通って、下面側へと排出した。排出された液については、分離対象物質の有無をクロマトグラフィにより調査した。
また、分離性能をみるために、ダイオキシンの濃度を徐々に増加させた。ダイオキシンが、ある濃度以上になると、分解が追いつかず、細孔が分離対象物質で埋まり、分離不可能となるが、実施例1における分離不能となるときのダイオキシンの濃度を1.0とし、実施例2〜7については、実施例1のときの濃度1.0の何倍の濃度まで分離でき、連続運転可能であるかを調査した。これらの結果を、限界処理量として表1に示す。表1には、触媒励起光発光領域が、フィルタ内で触媒に隣接している場合は、フィルタ内の発光領域の欄に「○」と表示し、触媒励起光発光領域がフィルタ内にない場合は「×」と表示した。また、触媒励起光発光領域がフィルタ内にない場合は、フィルタ外に高圧水銀ランプをセットし、フィルタユニットとした。表1では、フィルタ外に、このような発光領域を設けた場合には、フィルタ外発光領域に「○」と表示し、設けなかった場合には「×」と表示した。
実施例1〜7では、1回の分離操作後、分解対象物質であるダイオキシンは観測されなかった。また、PtをTiOと一緒に触媒とする方が、分離性能が向上した。
実施例8
本実施例では、原料に触媒原料を加えず、アルミニウム元素のみを用い、0.2Mの硫酸水溶液中で陽極酸化し、酸化アルミの皮膜を形成した。陽極酸化は、はじめ40Vの電圧を印加し、上面の酸化膜の厚さが400μmになったところで、印加電圧を20Vにまで下げて行なった。得られた酸化アルミ膜を鋳型とし、これを(NHTiF液中に1時間浸し、蒸留水で洗浄した後、観察すると、全体が、触媒であるTiOの多孔体になっていた。また、多孔質基材から外方へ貫通する細孔を有していた。つぎに、実施例1〜7と同様に、分離分解実験を行なったところ、1回の分離操作後で、フィルタの排出液中にはダイオイキシンは観察されなかった。限界処理量を表1に示す。
比較例1
フィルタにおける細孔の大径部分の孔径を1,000nmとした以外は、実施例1〜7と同様にして、フィルタを形成し、分離分解実験を行なったが、分離対象物であるダイオキシンは完全に分離できず、フィルタの排出液中に認められた。
比較例2
カーボン多孔質基材上に、平均粒径10,000nmのTiO粒子を分散させたエタノール溶液を塗布した。塗布の回数を調整して、孔径5,000nmの細孔を有し、TiOからなるフィルタを形成した。得られたフィルタについて、実施例1〜7と同様に、分離分解実験を行なったが、分離対象物であるダイオキシンは完全に分離できず、フィルタの排出液中に認められた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のフィルタにおける細孔の構造を示す模式図である。 本発明のフィルタにおける触媒領域と触媒励起光発光領域とが隣接する態様を示す模式図である。 本発明のフィルタの原料における触媒とアルミニウム元素との配置を示す模式図である。 本発明のフィルタにおける細孔の構造を示す模式図である。
符号の説明
1 フィルタの構成材料、2,42 細孔、21 他の材料、22 触媒励起光発光領域、23 光触媒領域、41 多孔質基材の表面、43 長手方向。

Claims (11)

  1. 多孔質基材上に形成され、触媒機能を備えるフィルタであって、
    多孔質基材から外方に貫通する細孔を有し、
    細孔の孔径は、0.1nm〜500nmであり、大径部分と小径部分とを備え、
    大径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも大きく、
    小径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも小さい
    ことを特徴とするフィルタ。
  2. 大径部分のフィルタの厚さが、50nm〜500μmである請求項1に記載のフィルタ。
  3. フィルタの構成材料が、少なくとも酸素とアルミニウム元素を含む請求項1または2に記載のフィルタ。
  4. 細孔の密度が、10個/mm〜1011個/mmである請求項1〜3のいずれかに記載のフィルタ。
  5. 触媒が、光触媒である請求項1〜4のいずれかに記載のフィルタ。
  6. フィルタの構成材料が、酸化チタンを含む請求項5に記載のフィルタ。
  7. 光触媒機能を奏する領域に隣接して触媒励起光発光領域を有する請求項5または6に記載のフィルタ。
  8. 多孔質基材上に形成され、触媒機能を備えるフィルタの製造方法であって、
    フィルタは、多孔質基材から外方に貫通する細孔を有し、
    細孔の孔径は、0.1nm〜500nmであり、大径部分と小径部分とを備え、
    大径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも大きく、
    小径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも小さいフィルタの製造方法であり、
    アルミニウム元素を含む原料から製造することを特徴とするフィルタの製造方法。
  9. 原料が、チタン元素を含む請求項8に記載のフィルタの製造方法。
  10. 原料が、金属フツ化物錯体を含む請求項8または9に記載のフィルタの製造方法。
  11. 多孔質基材上に形成され、触媒機能を備えるフィルタであって、
    多孔質基材から外方に貫通する細孔を有し、
    細孔の孔径は、0.1nm〜500nmであり、大径部分と小径部分とを備え、
    大径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも大きく、
    小径部分の孔径は、フィルタによる分離対象物質の外径よりも小さいフィルタに隣接して触媒励起光発光領域を有することを特徴とするフィルタユニット。
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