JP4756572B2 - 多孔性ダイヤモンド層及び多孔性ダイヤモンド粒子の製造方法及びそれらを使用する電気化学用電極 - Google Patents

多孔性ダイヤモンド層及び多孔性ダイヤモンド粒子の製造方法及びそれらを使用する電気化学用電極 Download PDF

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本発明は、電気化学反応に使用可能なダイヤモンド電極の製造に適した多孔性で有効面積の大きいダイヤモンド層又はダイヤモンド粒子の製造方法、及びこれらのダイヤモンド層や粒子を使用して製造され、電気化学反応が効率良く進行でき、かつ耐久性に優れる電気化学用電極に関するものである。
電気分解プロセスは、クリーンな電気エネルギーを利用して、電極表面で化学反応を制御することにより、水溶液系であれば水素、酸素、オゾン、過酸化水素などを発生させることが可能であり、工業電解としては食塩電解、電解めっき、金属採取などで汎用されている基本技術である。最近では有機汚濁物を間接的に分解するか、該物質を電極に吸着し、直接的に電気分解することが可能であることから、廃水処理としても利用されつつある。
電気分解における陽極での酸化反応では、水処理に有効な酸化剤(有効塩素、オゾンなど)が生成し、一部OHラジカルなどの活性種も発生することが知られており、それらを含む水は活性水、機能水、イオン水、殺菌水などの名称で汎用されている(強酸性電解水の基礎知識、オーム社)。
このように電解プロセスが活用されているが、電極材料によっては十分に対象となる反応が進行しないことが指摘されている。一般的に水溶液における電気分解による陽極酸化反応は、水を原料とする電解生成物が生成するが、水の放電に対して反応性の高い電極触媒を使用すると、目的物質を生成させるための、他の共存物質の酸化が容易には進行しないことが多い。
酸化を行う電解用電極(陽極)の触媒材料として、酸化鉛、酸化錫、白金族金属及びそれらの酸化物、カーボンなどが知られている。電極基材として使用しうる材料は、長寿命の観点と処理表面への汚染が起きないという観点から耐食性を有することが必要であり、陽極基材としてはチタンなどの弁金属、その合金に限定される。電極触媒としても白金、イリジウムなどの貴金属及びそれらの酸化物に限定されている。しかしながらこれらの高価な材料を用いても、電流を流すと電流密度、時間に応じて消耗し、溶液中に流出することが知られており、より耐食性の優れた電極が望まれている。黒鉛や非晶質カーボン材料は従来から電極材料として用いられているが、消耗性、特に陽分極では著しい消耗がある。
これに対して、ダイヤモンドは熱伝導性、光学的透過性、高温かつ酸化に対しての耐久性に優れており、特にドーピングにより電気伝導性の制御も可能であることから、半導体デバイス、エネルギー変換素子として有望とされていて、例えば特開昭58-1060379ではイオン注入により導電性を付与したダイヤモンド電極のセンサーとしての応用が開示されている。
電気化学用電極としてSwain [Journal of Electrochemical Society, Vol.141, 3382-、(1994)]らはダイヤモンドの酸性電解液中での安定性を報告し、他のカーボン材料に比較してはるかに優れていることを示唆した。基礎的な電気化学特性に関しては電気化学および工業物理化学、p389、Vol.67、No.4(1999)に詳しい。
米国特許明細書第5399247号ではダイヤモンドを陽極材料に用いて有機廃水が分解できることが示唆されている。特開2000-226682は導電性ダイヤモンドを陽極及び陰極として使用し、有機物を電気化学的に処理する方法を提案している。また特開2000-254650は導電性ダイヤモンド電極を陽極とし、陰極として過酸化水素発生用ガス拡散陰極を使用し水処理を行う方法を提案している。
電流密度が大きくかつ高い電位領域での工業的な利用の報告は未だ十分になされていないが、最近になってダイヤモンド電極は水の分解反応に対しては不活性であり、酸化反応では酸素以外にオゾンの生成が報告されている(特開平11-269685)。
電解用電極としてダイヤモンドを使用する電解プロセスでは、従来の電極を用いた場合より反応効率は向上するが、応用分野によっては、寿命が乏しく対応できないことがあった。
この原因として、ダイヤモンド表面の活性点は他の電極材料に比較して、存在密度として小さく、また、幾何学的形状も平滑である(白金電極の電気化学的二重層容量に比較すると、100分の1程度に過ぎない)ため、与えた電流密度より実際の電流密度が増大し、電解による電極減耗を起こし易いと推定される。
最近、多孔性のマスキング材を設置したダイヤモンド表面を、酸素プラズマでエッチングすることにより、マスク仕様に応じて、数十nmの孔を有し、ピッチが100nm程度(奥行き数μm)のハニカム形状を有するダイヤモンド電極の製法が考案され(Adv. Mater., 6, 444(2000))、これに白金などの他の触媒を形成される技術も報告されている(J. Electroanal. Chem., 514, 35-50(2001))。
しかしながら、この方法は、工業用の電極に応用することは困難である。更にマスキング材を使用するため、より微細な多孔質化には限界があった。このような状況から、工業電解に利用できる多孔度のより高いダイヤモンド電極の開発が要請されている。
本発明は前述の従来技術の問題点を解消し、従来よりも微細な孔を、電気化学用電極の製造に使用する、ダイヤモンド層やダイヤモンド粒子表面に形成する方法、及びこれらの多孔性ダイヤモンドを使用する電気化学的な電極を提供することを目的とする。
本発明は、基材表面に被覆したダイヤモンド層に、コバルト、鉄、ニッケル、ルテニウム、白金から成る群から選択される少なくとも一種の金属及び/又は基合金よりなる炭素反応性の金属粒子を析出させ、還元ガス雰囲気中で熱処理することにより、前記金属を触媒とする炭素還元反応を進行させ、前記ダイヤモンド層の表面に、代表径が0.5nm以上300nm以下の範囲にある微細孔を形成させることにより製造される多孔性ダイヤモンド層を有することを特徴とする電気化学用電極の製造方法、ダイヤモンド粒子に、炭素反応性の金属粒子を析出させ、還元ガス雰囲気中で熱処理することにより、前記金属を触媒とする炭素還元反応を進行させ、前記ダイヤモンド粒子の表面に、代表径が0.5nm以上300nm以下の範囲にある微細孔を形成させることを特徴とする電気化学用電極用多孔性ダイヤモンド粒子の製造方法、及びこれらの多孔性ダイヤモンド層や多孔性ダイヤモンド粒子を使用する電気化学用電極である。


以下本発明を詳細に説明する。
本発明では、ダイヤモンド層やダイヤモンド粒子表面に、炭素反応性の多数の金属粒子を担持させ、この金属粒子と前記ダイヤモンド層やダイヤモンド粒子の表面又はその近傍の炭素を反応させることにより、前記表面炭素を除去し、除去された箇所に多数の微細孔を形成させる。
本発明では、ダイヤモンド層等の表面に担持される金属又は凝集金属の数やサイズに応じて微細孔が形成され、換言すると、原子レベル又はそれに近い微細孔を多数形成できる。担持する金属の量を調節することにより所望値に近い数の微細孔を形成できる。
微細孔の深さは、担持する金属と炭素の反応性に最も影響され、反応性が高いほど深さは深くなる傾向がある。
形成する孔の寸法、分散度合は、金属粒子の析出状態に依存するため、目的に応じて制御できる必要がある。高温においては、結晶粒界やエッジ、キンク、ステップに金属が移動し凝集するため、特定の結晶方位に沿って孔形成反応は進行しやすく、生じる孔寸法も大きくなる傾向がある。
本発明における微細孔の形状は特に限定されず、半球状、下端が半球状の円柱形、下端が半球状の多角柱形、下向き円錐形、横断面形状が長円形の溝など、前記金属粒子との反応により形成され得るすべての凹状部を含む。
本発明で使用可能な金属としては、コバルト、鉄、ニッケル、ルテニウム、白金等の金属とこれらの合金も含まれ、炭素及びこの炭素と反応してガス状の生成物を生成する反応の触媒として機能する任意の金属及び合金が含まれる。
前記金属(合金)粒子をダイヤモンド表面に形成(担持)させるには、金属粒子前駆体として、硝酸塩などの水溶液をダイヤモンド層表面に滴下又は被覆し、室温〜90℃で乾燥させ、その後の熱処理において、金属に分解(熱分解)させるか、あるいはCVD、PVD、スパッターなどの蒸着、析出方法によって担持する。また、金属コロイド溶液を塗布し、金属粒子に変換することも可能である。
このように金属粒子の担持は既存の方法を用いれば良く特に限定はない。熱分解を利用する場合には、後工程に使用するダイヤモンドの合成方法装置を利用することは特に好ましい。
金属粒子触媒と接するダイヤモンド炭素の還元反応としては例えば次の反応が考えられ、生成するメタンはガスであり、ダイヤモンド層表面から離脱し、離脱箇所に微細孔が形成される。
C + 2H = CH
孔形成後に、金属粒子がダイヤモンド表面に残留するが、酸で溶解可能であり、電極として使用する前に除去することが好ましい。
微細孔形成のための前記金属粒子とダイヤモンド層等との反応条件は、実用的な時間内に微細孔が形成されれば特に限定されないが、還元性雰囲気、例えば0.1MPaの常圧で、水素などの還元性ガスを窒素などの不活性ガスと混合して反応装置に供給することが望ましく、その割合は水素3〜30%及び窒素70〜97%の範囲が好ましい。
反応時間により微細孔の広がりや深さが増減するが、通常1〜10時間処理することが好ましい。
温度は600〜900℃で実施することが望ましい。600℃より低い場合、反応処理時間が増加し実用的でない。一方900℃より高温では、処理時間を短縮ができるが、過度に微細孔の形成が進みダイヤモンド層の機械的強度が劣り、また、ダイヤモンド基材の水素による腐食、脆化が進行しやすい傾向がある。
条件により微細孔の代表径(全微細孔のうち90%以上)は、孔径0.5nm〜300nmの範囲で変化し、孔深さ10〜300nmの範囲で調整可能である。孔径はこれより小さいと、電解液の侵入ができず、電気化学への応用に関して顕著な改善効果が得られない。一方、これより大きい孔を形成することは可能であろうが、そもそも微細孔を形成するダイヤモンド層の結晶寸法が100nm〜10μmであるため、微細孔形成の実用上の意義がなくなる。孔の深さはこれよりも深いと、孔径との比率にも依るが、有効に電気化学反応に寄与しない部分が生じ、また、機械的強度の低下を招く恐れがある。
本発明のダイヤモンド層やダイヤモンド粒子は次のようにして作製できる。
基材表面にダイヤモンド層を形成する場合には、熱フィラメントCVD、マイクロ波プラズマCVD、プラズマアークジェット法、PVD法などを使用し、ダイヤモンド粒子を得るには従来からの超高圧による合成ダイヤモンド粉末(HPHT法)、プラズマアークジェット法が使用できる。
通常、ダイヤモンド層はシリコンやニオビウム基材の上にCVD法によって形成されることが多い。基材表面を研磨することは密着性の増大に寄与するため研磨することが好ましい。前記研磨にダイヤモンド粉末を用い、核として基材に付与すること、或いは傷付け処理を行うことは、均一なダイヤ層の成長に効果がある。電極基材の形状は、粒子、繊維、板、穴明き板など、いずれの形状に対しても、細孔形成が同様の方法で可能となる。
次に代表的な熱フィラメントCVD法を用いるダイヤモンド層形成について説明する。
反応装置内は水素気流下とし、炭素源として、CH4、CH3OHなどを供給することが望ましいが、気化可能な有機物であれば限定はない。水素に対する有機化合物ガス濃度は0.1〜5vol%、装置内圧力は0.002〜0.1MPaが好ましい。反応装置は水素雰囲気かつ高温で耐性のある材料を用いる。フィラメント温度を炭素ラジカルが生成する温度1800〜2600℃にする一方、ダイヤモンドが析出する温度(650〜950℃)領域に電極基材を設置する。フィラメント材質としては、Ta、Wなどが好ましい。ダイヤモンドを良好な導電性とするために、通常原子価の異なる元素を微量添加を行い、その場合には、気流中にホウ素やリン、窒素を混合して生成ダイヤモンドに導電性を付与する。好ましい含有率は炭素原子に対して1〜100000ppmであり、更に好ましくは100〜10000ppmである。ホウ素の原料化合物には毒性の少ない酸化ホウ素、5酸化2燐などが好ましいが、特に限定はない。ダイヤモンドが導電性を必要としない場合には、前記元素の添加は不要である。
本発明により製造されるダイヤモンド層やダイヤモンド粒子は、通常電気化学的電極に利用され、該電極は、食塩電解、水処理、オゾン製造用電解、有機物電解、金属採取、電解めっき等の各種工業電解に使用できる。本製法は大型のダイヤモンド電極でも応用でき、生産性が顕著に向上する。
また前記電気化学用電極は電解用に限定されず、センサーなどの分析用電極としても使用でき、この場合には、比表面積の増加による電極感度の向上が期待できる。
更に本発明のダイヤモンド層やダイヤモンド粒子は導電性を必要としない用途にも使用できる。
以上のように、本発明によると、ダイヤモンド成分が、適切な金属触媒粒子と接することにより、炭化水素等に還元除去され、微細な多孔質ダイヤモンド層やダイヤモンド粒子が構築でき、この製法により、ダイヤモンド電極に増大した活性な反応部位を付与できる。
このようにダイヤモンド層等の表面に担持させた金属粒子を使用してダイヤモンド層表面の炭素を除去して微細孔形成を行うため、原子レベル又はそれに近いレベルで微細孔が形成されたダイヤモンド層やダイヤモンド粒子が得られる。しかも金属担持と熱処理(炭素の反応)という簡単な操作で所望の微細孔を有するダイヤモンド層やこれらを使用するダイヤモンド電極が得られる。なお前記ダイヤモンド層やダイヤモンド粒子は電気化学的用途に限定されない。
次に本発明による多孔性ダイヤモンド層又はダイヤモンド粒子及びこれらを使用して製造されるダイヤモンド電極に関する実施例を説明する。
[実施例1]
次の条件でホットフィラメントCVD装置を用いて基材表面に直接ダイヤモンドを析出させた。
ダイヤモンド微粒子(平均粒径3μm)からなる研磨材を用いて、1mm厚さの単結晶シリコン板である基材表面を研磨し、表面の活性化、核付けを行った後、熱フィラメントCVD装置に装着した。
炭素源としてエチルアルコールを用い、これに酸化ホウ素を1500ppmの濃度で溶解させた。水素ガスを0.01リットル/minの速度で流し、一部は炭素源容器にバイパスさせ、水素に対するエチルアルコールガス濃度を0.5vol%とし、これらのガスを前記CVD装置内を流しながら、フィラメントに電流を流し、炭素ラジカルが生成する温度2200〜2400℃に昇温した。フィラメント直下にある基材の温度を測定したところ、800℃であった。5時間CVD操作を継続した後、基材を取出した。
このようにして作成した5μm厚さのボロン添加ダイヤモンド電極に、1cm2当たり0.5μgの金属コバルトを真空蒸着によって担持した。その後、1気圧の10%水素+90%窒素フロー下で、900℃にて3時間熱処理し、電極表面に微細孔(溝状凹部を含む)を形成した。微細孔の寸法をAFMで観察したところ、直径が10nm〜50nmに分布し、深さは約50nmであった。微細孔形成前後のラマンピークを比較したが、1330cm-1のダイヤモンドピークに大きい変化はなかった。
処理後表面のコバルト粒子を酸で溶解可能させ、ダイヤモンドのみを残留させた。
このように作製した電極を面積1cm2に切り出し陽極とし、対極をジルコニウム板、極間を1cmとして、150g/リットル硫酸、60℃の条件で電解を行ったところ、1A/cm2での過電圧は2.10Vであった。また、電気二重層容量は50μF/cm2であった。
本実施例で得られたダイヤモンド電極の表面構造のSEM写真(倍率:4万2千倍)を図1に示す。
[実施例2]
処理温度を800℃にしたこと以外は実施例1と同条件で3時間処理したところ、電極表面に微細孔が形成された。処理後表面のコバルト粒子は硝酸で溶解可能させ、ダイヤモンドのみを残留させた。微細孔の寸法は直径が5nm〜50nmに分布し、深さは約20nmであった。1A/cm2での過電圧は2.15Vであった。また、電気二重層容量は30μF/cm2であった。
本実施例で得られたダイヤモンド電極の表面構造のSEM写真(倍率:5万倍)を図2に示す。
[実施例3]
処理温度を700℃にしたこと以外は実施例1と同条件で3時間処理したところ、電極表面に微細孔が形成された。処理後表面のコバルト粒子は硝酸で溶解可能させ、ダイヤモンドのみを残留させた。微細孔の寸法は直径が1nm〜10nmに分布し、深さは約20nmであった。1A/cm2での過電圧は2.20Vであった。また、電気二重層容量は15μF/cm2であった。
本実施例で得られたダイヤモンド添加の表面構造のSEM写真(倍率:8万3千倍)を図3に示す。
[実施例4]
実施例1と同様に作製した5μm厚のダイヤモンド電極表面に、0.1mMの硝酸ルテニウム水溶液を滴下し、1気圧の10%水素+90%窒素フロー下で、800℃にて5分間熱処理し、1cm当たり0.3μgの金属ルテニウム微粒子を析出させた。
その後、実施例1と同じ条件で5時間熱処理を行った。電極表面に形成された微細孔の寸法をAFMで観察したところ、直径が30nm〜100nmに分布し、深さは約20nmであった。処理後表面のルテニウム粒子は硝酸で溶解可能させ、ダイヤモンドのみを残留させた。実施例1と同じ条件で電解を行ったところ、1A/cm2での過電圧は2.05Vであった。また、電気二重層容量は40μF/cm2であった。
[実施例5]
実施例1と同様に作製した5μmの厚さのダイヤモンド電極に、0.12mMの硝酸コバルト水溶液を滴下し、1気圧の10%水素+90%窒素フロー下で、600℃にて5分間熱処理し、金属コバルト微粒子を析出させた。
その後、1気圧の5%水素+95%窒素フロー下で、600℃にて10時間熱処理を行った。電極表面に形成された微細孔の寸法は、直径が20nm〜80nmに分布し、深さは約20nmであった。実施例1と同じ条件で電解を行ったところ、1A/cm2での過電圧は2.10Vであった。また、電気二重層容量は45μF/cm2であった。
[実施例6]
硝酸ルテニウム水溶液の代わりに0.1mMの塩化白金水溶液を用いたこと以外は実施例4と同様の条件にて処理したところ、電極表面に微細孔が形成された。微細孔の寸法は直径が20nm〜100nmに分布し、深さは約20nmであった。1A/cm2での過電圧は2.00Vであった。また、電気二重層容量は45μF/cm2であった。
[実施例7]
ホウ素3000ppmを含むダイヤモンド粉末を超高圧法により作製した。作製した粉末の平均直径は20μmであった。
作製したダイヤモンド粉末を0.1mMの硝酸ニッケル水溶液中に浸し、1気圧の10%水素+90%窒素フロー下700℃にて20分間処理し、ニッケル微粒子を析出させた。
その後、1気圧の10%水素+90%窒素フロー下で、800℃にて2時間熱処理した。ダイヤモンド粉末表面に形成された微細孔の寸法をSEMで観察したところ、直径が10nm〜50nmに分布し、深さは約10nmであった。
[実施例8]
硝酸ニッケル水溶液の代わりに、濃度0.1mMの塩化鉄水溶液中を用いたこと以外は実施例4と同様にダイヤモンド粉末を処理し、電極表面に形成された微細孔をSEMにて観察した。微細孔の寸法は直径が20nm〜50nmに分布し、深さは約10nmであった。
[比較例1]
微細孔の形成を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ条件でダイヤモンド電極を製造した。このダイヤモンドを使用して実施例1と同じ条件で電解を行ったところ、1A/cm2での過電圧は2.30V、また、電気二重層容量は5μF/cm2であった。
本比較例で得られたダイヤモンド電極の表面構造のSEM写真(倍率:4万2千倍)を図4に示す。
[実施例及び比較例の考察]
実施例1と比較例1(特に図1と図4)を比較すると、微細孔形成操作を行っていない比較例1では微細孔が存在しないのに対し、微細孔形成操作を行った実施例1では、微細孔が無数に形成していることがわかる。更に実施例1〜8では微細孔が得られ、更に実施例1〜6における過電圧は、2.00〜2.15Vで、比較例1の2.30Vより大きく減少した。これは電極面積の増加により実電流密度が低下し低過電圧化が実現できるためであり、経済性の向上が実現した。
実施例1で得られたダイヤモンド電極の表面構造のSEM写真(倍率:4万2千倍)。 実施例2で得られたダイヤモンド電極の表面構造のSEM写真(倍率:5万倍)。 実施例3で得られたダイヤモンド電極の表面構造のSEM写真(倍率:8万3千倍)。 比較例1で得られたダイヤモンド電極の表面構造のSEM写真(倍率:4万2千倍)。

Claims (5)

  1. 基材表面に被覆したダイヤモンド層に、コバルト、鉄、ニッケル、ルテニウム、白金から成る群から選択される少なくとも一種の金属及び/又は基合金よりなる炭素反応性の金属粒子を析出させ、還元ガス雰囲気中で熱処理することにより、前記金属を触媒とする炭素還元反応を進行させ、前記ダイヤモンド層の表面に、代表径が0.5nm以上300nm以下の範囲にある微細孔を形成させることにより製造される多孔性ダイヤモンド層を有することを特徴とする電気化学用電極の製造方法。
  2. ダイヤモンド粒子に、前記炭素反応性の金属粒子を析出させ、還元ガス雰囲気中で熱処理することにより、前記金属を触媒とする炭素還元反応を進行させ、前記ダイヤモンド粒子の表面に、代表径が0.5nm以上300nm以下の範囲にある微細孔を形成させることを特徴とする電気化学用電極用多孔性ダイヤモンド粒子の製造方法。
  3. 熱処理温度が600℃以上900℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 微細孔形成後に金属粒子を酸で溶解除去することを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 請求項2乃至のいずれか1項に記載された方法により製造されたダイヤモンド粒子を基材表面に被覆して製造されるダイヤモンド層を含んで成ることを特徴とする電気化学用電極。
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