JP2005175239A - 電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】 溶媒への溶解度が高く、低温から高温に至るまでの広い温度範囲で高い電導度を示し、かつ長期信頼性に優れた電気二重層キャパシタ用電解液と、該電解液を用いて作製されてなる電気二重層キャパシタを提供。
【解決手段】 プロピレンカーボネート及び/またはγ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒に、一般式〔1〕で表される第4級スピロアンモニウム塩を、電解質として1.5mol/L超、3mol/L以下の範囲で溶解させた電気二重層キャパシタ用電解液であり、また、該電解液を用いて作製された電気二重層キャパシタである。
Figure 2005175239

(式中、X及びYは、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲンを、k及びiは、0または1〜4の正整数を、n及びmは、炭素数3〜7のメチレン鎖を表す。Aはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンに代表される酸成分を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタは、分極性電極と電解液との界面に形成される電気二重層を利用した電荷蓄積デバイスである。
電気二重層キャパシタに用いられる電解液は、電導度が低いとキャパシタの内部抵抗が大きくなり、充放電時に電圧が降下する等の不都合が生ずるため、高電導度で、かつ長期間の耐久性が要求される。
また、電解液中の電解質濃度が低く、イオン量が不足すると、大電流密度の充電時に内部抵抗が上昇するため、電解液中の電解質濃度はできるだけ高い方が望ましい。
一般的に、電解液中の電解質濃度を高くすると、低温で電解液中の電解質が析出し易くなり、電導度が低下し、充放電特性が低下するといった不都合が生ずるため、低温でも結晶析出がなく、電導度が高い特性が要求される。
従来、電気二重層キャパシタ用電解液としては、γ−ブチロラクトン(以下、「GBL」と略記する。)、プロピレンカーボネート(以下、「PC」と略記する。)等の非プロトン性溶媒中に、テトラエチルアンモニウム塩等の直鎖アルキル第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩からなる電解質を溶解させたものが知られている。
しかしながら、上記電解質は、有機溶媒への溶解度が約0.7〜1.5mol/Lと小さいため、該電解質を溶解させた電解液の電導度が低いという欠点があった。
近年、有機溶媒への溶解度が約3mol/Lと高いN,N’−ジアルキル置換イミダゾリウム塩を電解質として用いた電解液が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記N,N’−ジアルキル置換イミダゾリウム塩を電解質とした電解液は、直鎖アルキル第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩と比較して、低温下では電解液の粘度が高くなると同時に電導度の低下が大きく、また、該電解液を用いて作製した電気二重層キャパシタは、長期間の高電圧付加により、静電容量が大きく低下し、長期信頼性に乏しいという解決すべき課題が残されていた。
特許第2945890号明細書
本発明の目的は、溶媒への溶解度が高く、低温から高温に至るまでの広い温度範囲で優れた電導度を示し、かつ耐電圧が高く長期信頼性に優れた電気二重層キャパシタ用電解液と、該電解液を用いて作製されてなる電気二重層キャパシタを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定濃度の第4級スピロアンモニウム塩を電解質として用いた電解液が、広い温度範囲で高い電導度を示し、かつ長期信頼性に優れていることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、非プロトン性溶媒中、一般式〔1〕で表される第4級スピロアンモニウム塩が、電解質として1.5mol/L超、3mol/L以下の範囲で含有されてなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液であり、また、該電解液を用いて作製されてなることを特徴とする電気二重層キャパシタである。
Figure 2005175239
(式中、X及びYは、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲンを、k及びiは、0または1〜4の正整数を、n及びmは、炭素数3〜7のメチレン鎖を、Aは酸成分を表す。)
上記一般式〔1〕において、X及びYが炭素数5以上のアルキル基の場合、または、n及びmの炭素数が8以上の場合には、得られる電解液の電導度が低下し、不都合である。また、X及びYのハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
一般式〔1〕で表される第4級スピロアンモニウム塩のカチオンとしては、例えば、アザシクロブタン−1−スピロ−1’−アザシクロブチルイオン、ピロリジン−1−スピロ−1’−アザシクロブチルイオン、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムイオン、ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウムイオン、スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウムイオン、3−エチルピロリジニウム−1−スピロ−1’−ピロリジニウムイオン、3−エチルピロリジニウム−1−スピロ−1’−(3’−エチル)ピロリジニウムイオン、2,4−ジフルオロピロリジニウム−1−スピロ−1’−ピロリジニウムイオン、2,4−ジフルオロピロリジニウム−1−スピロ−1’−(2’,4’−ジフルオロ)ピロリジニウムイオンがあげられる。
また、酸成分Aとしては、例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO )、トリフルオロ酢酸イオン(CFCO2 )、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン((CFSO2))、ペルフルオロブタンスルホン酸イオン(CSO )、トリストリフルオロメタンスルホニルメチド酸イオン((CFSO2)3)があげられる。
本発明に用いられる第4級スピロアンモニウム塩は、上記カチオンと酸成分とが組み合わされてなり、これらの塩を単独または二種以上を混合して用いることができる。以下、本発明の電気二重層キャパシタ用電解液について、詳細に説明する。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、非プロトン性溶媒中に、上記第4級スピロアンモニウム塩を電解質として溶解させたものである。
第4級スピロアンモニウム塩は、非プロトン性溶媒への溶解度が高く、低温でも結晶が析出し難いため、高濃度の電解液を調製することが可能であり、得られた電解液は、低温から高温に至るまで広い温度範囲で優れた電導度を示す。
上記電解液中の第4級スピロアンモニウム塩の濃度は、1.5mol/L超、3mol/L以下、好ましくは、1.5mol/L超、2.5mol/L以下である。1.5mol/L以下では、電解液の電導度が不足し、不都合であり、また、3mol/L超では、低温特性が著しく低下するとともに、経済性に劣り不都合である。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液の製造方法を、以下に説明する。
まず、環状第2級アミンに、ハロゲン化剤としてジハロゲン化アルキルを反応させて、第4級ハロゲン化スピロアンモニウムを合成した後、イオン交換膜を用いた電気透析法により、第4級水酸化スピロアンモニウム水溶液を得る。
ついで、得られた第4級水酸化スピロアンモニウム水溶液に、酸成分を当量添加して中和反応させた後、減圧下で脱水させて、第4級スピロアンモニウム塩を得る。
得られた第4級スピロアンモニウム塩を、非プロトン性溶媒中に、1.5mol/L超、3mol/L以下の濃度となるよう溶解させて、本発明の電気二重層キャパシタ用電解液を得る。
本発明に用いられる非プロトン性溶媒としては、電気二重層キャパシタ用電解液に一般的に用いられているPC、GBL、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン等があげられ、特に限定されないが、電解液の耐久性、電導度、温度特性、毒性を考慮すると、PC及び/またはGBLが好ましい。
本発明の電解液は、必要に応じて添加剤を混合してもよい。添加剤としては、リン系化合物[リン酸、リン酸エステルなど]、ホウ酸系化合物[ホウ酸、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコール(エチレングリコール、グリセリンなど)]との錯化合物、ニトロ化合物[p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノールなど]があげられる。
本発明の電気二重層キャパシタは、キャパシタの分極性電極に、駆動用電解液として、本発明の電解液を含浸させて作製される。
分極性電極としては、活性炭粉末、活性炭繊維等の炭素材料や、貴金属酸化物材料、あるいは導電性高分子材料等が用いられるが、炭素材料が安価で好ましい。
分極性電極2枚の間に、セパレータを挟み込み、本発明の電解液を含浸させた後、ステンレス製外装ケースに収容させて、本発明の電気二重層キャパシタを完成する。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、非プロトン性溶媒に第4級スピロアンモニウム塩が電解質として溶解されてなり、該電解質は溶媒への溶解度が高く、電解質濃度が1.5mol/L超、3mol/L以下に調製された電解液は、低温下においても結晶の析出がなく、低温から高温までの広い温度範囲にわたって高い電導度を示し、電導性に優れている。
また、本発明の電解液を用いて作製した電気二重層キャパシタは、高電圧で長期間作動させても静電容量の低下が小さく、耐電圧が高く長期信頼性に優れている。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により説明する。なお、本発明は実施例によりなんら限定されない。
実施例1
溶媒であるPCに、第4級スピロアンモニウム塩として、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウム(以下、「SBPP−BF」と略記する。)を溶解させて、濃度2.5mol/Lの電気二重層キャパシタ用電解液を調製した。該電解液の温度−40℃及び30℃における電導度の測定値を表1に示す。
別に、分極性電極として、活性炭粉末(粒径20μm、比表面積2,000m/g)90質量%とポリテトラフルオロエチレン粉末10質量%をロールで混練、圧延して厚さ0.4mmのシートを作製した。このシートを、直径13mmφに打ち抜いて、円板状電極を得た。
上記円板状電極2枚に、ポリプロピレン製セパレータを挟み込み、先に調製した電解液を真空含浸させ、ついで、該電極をステンレス製ケースに載置した後、ガスケットを介してステンレス製蓋を一体的に加締めて封口し、定格電圧3.3V、静電容量1.5Fのコイン型電気二重層キャパシタを作製した。
得られたキャパシタに、温度70℃の恒温槽中、電圧3.3Vを1,000時間印加させて耐電圧試験を行った。初期及び耐電圧試験後の静電容量値と、静電容量の変化率(%)を表2に示す。なお、キャパシタの静電容量は電圧3.3Vで1時間充電後、1mAで放電したときの電圧勾配から求め、表中の値は、試験に供したキャパシタ15個の測定値の平均値である。
実施例2
実施例1において、第4級スピロアンモニウム塩として、テトラフルオロホウ酸−3−エチルピロリジニウム−1−スピロ−1’−ピロリジニウム(以下、「EPSP−BF」と略記する。)を用い、濃度2.5mol/Lの電気二重層キャパシタ用電解液を得、電導度を測定した結果を表1に示す。また、得られた電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、長期信頼性試験をおこなった結果を表2に示す。
実施例3
実施例1において、第4級スピロアンモニウム塩として、テトラフルオロホウ酸−2,4−ジフルオロピロリジニウム−1−スピロ−1’−ピロリジニウム(以下、「DFPSP−BF」と略記する。)を用い、濃度2.5mol/Lの電気二重層キャパシタ用電解液を得、電導度を測定した結果を表1に示す。また、得られた電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、長期信頼性試験をおこなった結果を表2に示す。
比較例1
実施例1において、直鎖アルキル第4級アンモニウム塩として、テトラフルオロホウ酸−テトラエチルアンモニウム(以下、「TEA−BF」と略記する。)を用い、濃度0.69mol/Lに調製した以外は、実施例1と同様にして、電気二重層キャパシタ用電解液を得、電導度を測定した結果を表1に示す。また、得られた電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、長期信頼性試験をおこなった結果を表2に示す。
比較例2
実施例1において、直鎖アルキル第4級アンモニウム塩として、テトラフルオロホウ酸−トリエチルメチルアンモニウム(以下、「TEMA−BF」と略記する。)を用い、濃度1.8mol/Lに調製した以外は、実施例1と同様にして、電気二重層キャパシタ用電解液を得、電導度を測定した結果を表1に示す。また、得られた電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、長期信頼性試験をおこなった結果を表2に示す。
比較例3
実施例1において、イミダゾリウム塩として、テトラフルオロホウ酸−1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム(以下、「TMI−BF」と略記する。)を用い、濃度2.5mol/Lに調製した以外は、実施例1と同様にして、電気二重層キャパシタ用電解液を得、電導度を測定した結果を表1に示す。また、得られた電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、長期信頼性試験をおこなった結果を表2に示す。
Figure 2005175239
Figure 2005175239
表1に示すように、本発明の第4級スピロアンモニウム塩を電解質とした電解液(実施例1〜3)は、従来の直鎖アルキル第4級アンモニウム塩を電解質とした電解液(比較例1及び2)及び第4級イミダゾリウム塩を電解質とした電解液(比較例3)に比べて、広い温度範囲にわたって、高い電導度を示すことがわかる。
また、表2に示すように、比較例1〜3の電解液を用いて作製したキャパシタは、長期信頼性試験後の容量低下率が大きいのに対し、本発明の電解液を用いて作製したキャパシタ(実施例1〜3)は、容量低下率が小さく、長期信頼性に優れている。
非プロトン性溶媒中、第4級スピロアンモニウム塩が、電解質として1.5mol/L超、3mol/L以下の範囲で含有されてなる本発明の電気二重層キャパシタ用電解液、及び該電解液を用いて作製されてなる電気二重層キャパシタは、広い温度範囲にわたって、優れた電導度及び長期信頼性を有し、小型電子機器から大型自動車用途まで、広範な産業分野においての使用が可能である。

Claims (4)

  1. 非プロトン性溶媒中、一般式〔1〕で表される第4級スピロアンモニウム塩が、電解質として1.5mol/L超、3mol/L以下の範囲で含有されてなることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液。
    Figure 2005175239
    (式中、X及びYは、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲンを、k及びiは、0または1〜4の正整数を、n及びmは、炭素数3〜7のメチレン鎖を、Aは酸成分を表す。)
  2. 非プロトン性溶媒が、プロピレンカーボネート及び/またはγ−ブチロラクトンであることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
  3. 酸成分Aが、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン、ペルフルオロブタンスルホン酸イオン、トリストリフルオロメタンスルホニルメチド酸イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ用電解液を用いて作製されてなることを特徴とする電気二重層キャパシタ。


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