JP2005174161A - Icカード及びicカードの製造方法 - Google Patents

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晋治 内廣
Hideki Takahashi
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Abstract

【課題】耐久性の向上、密着性の向上、カード気泡の防止、カード凹凸の軽減が可能である。
【解決手段】第1のシート材1と第2のシート材2との間に接着剤を塗工し、この接着剤層内に支持体上に形成したICモジュールを封入して作製された多層構成のICカードにおいて、ICモジュールを形成する支持体の厚みが10μm以上100μm以下であり、かつICモジュールを構成するICチップの素材中の不純物含有率が0.001重量%以下である。
【選択図】図1

Description

この発明は、ICモジュールを内蔵した自動車免許証等の免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等のICカード及びICカードの製造方法に関するものである。
従来、ICカードはICチップ、アンテナを実装した回路基板に形成したICモジュールを、2枚のシート基材の間に挿入し、湿気硬化型接着剤やUV硬化型、2液混合型接着剤などを用いて貼り合わせ、硬化後にカード状に打ち抜いて作成されることが一般的である(例えば、特許文献1乃至特許文献3)。
これらの接着剤の中でも、耐久性の面からカードに柔軟性を持たせるため、柔軟性のある湿気硬化型接着剤が好ましく用いられている。
特開2002−79618号公報(第1〜第6頁、図1) 特開平5−278320号公報(第1〜第5頁、図1〜図6) 特開平8−238876号公報(第1〜第8頁、図1)
しかしながら、ICチップはシリコンなど硬いが脆い材料で形成されているため、材料の構造自体に欠陥があると割れやすいという欠点があり、ICチップに耐久性をもたせることが課題となっている。
一方、ICカードはカード厚みに制限があることから、支持体の片面にモジュールを形成する場合には通常100μm厚以下のシート基材が用いられている。しかし、ICカードは通常持ち運ばれて使用されるため、強く曲げられたり一点に強い力がかかることが繰り返し行われることが多く、カード積層部分に小さな気泡が残ると積層されたICカードのシートが材料の界面で剥離したりする問題が生じていた。
また、剥離強度を向上させるために特開2003−132331では、支持体の中央部及び周辺部に孔を空ける事例が示されているが、支持体の中央部や端部に孔をあけると、支持体の厚み分の段差が生じ、カード化した場合に表面に凹凸の段差が現れ、カード表面に印字及び画像形成を行う場合には好ましくない。
加えて、ICモジュールにはICチップ、アンテナなど高低差があるため、接着剤がうまく平滑にできずにラミネートされることによってカード表面に凹凸が生じ、表面に印字したり画像を形成することが困難になるなど重大な問題が生じており、解決が強く望まれていた。
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、耐久性の向上、密着性の向上、カード気泡の防止、カード凹凸の軽減が可能であるICカード及びICカードの製造方法を提供することを目的としている。
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤を塗工し、この接着剤層内に支持体上に形成したICモジュールを封入して作製された多層構成のICカードにおいて、
前記ICモジュールを形成する前記支持体の厚みが10μm以上100μm以下であり、かつ前記ICモジュールを構成するICチップの素材中の不純物含有率が0.001重量%以下であることを特徴とするICカードである。
請求項2に記載の発明は、前記ICモジュールを構成するICチップ厚みと支持体厚みとの比率は、ICチップ厚み/支持体厚みが
6:1から1:1の間であることを特徴とする請求項1に記載のICカードである。
請求項3に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤を塗工し、この接着剤層内に支持体上に形成されたICモジュールを封入して作製された多層構成のICカードにおいて、
前記ICモジュールを形成する前記支持体の大きさが構成されるICカードの大きさより小さく、かつカード断面に前記支持体が露出していないことを特徴とするICカードである。
請求項4に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤を塗工し、この接着剤層内に支持体上に形成されたICモジュールを封入して作製された多層構成のICカードにおいて、
前記ICモジュールを形成する前記支持体に、少なくとも開口孔、切欠き、切り込みのいずれかが設けられていることを特徴とするICカードである。
請求項5に記載の発明は、前記少なくとも開口孔、切欠き、切り込みのいずれかが前記ICモジュールを形成するアンテナもしくはICチップの位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のICカードである。
請求項6に記載の発明は、前記支持体の素材がPET、PET−G、PENのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項7に記載の発明は、前記支持体の150℃30分保持された場合の熱収縮率が±2.5%以内であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項8に記載の発明は、前記支持体の少なくとも一面に凹凸が形成され、かつ表面粗さが算術平均高さ(Ra)で0.02μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項9に記載の発明は、前記接着剤が湿気硬化型接着剤であり、かつ貼り合わせに使用される時の120℃における粘度が5000mPa・S以上40000mPa・S以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項10に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項9のいずれかにおいて作製されたICカードであり、
前記ICカードの中央部に500g/2mm2の応力を与えた時に得られる抗力の値の10分後の減衰率が2%以上15%以下であることを特徴とするICカードである。
請求項11に記載の発明は、第1のシート材または第2のシート材の少なくとも片面に受像層を有し、
前記受像層に熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、
前記第1のシート材または第2のシート材の少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項12に記載の発明は、前記氏名、顔画像を含む個人識別情報を設けた上面に透明保護層が設けられ、
前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項11に記載のICカードである。
請求項13に記載の発明は、前記ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことを特徴とする請求項11または請求項12に記載のICカードである。
請求項14に記載の発明は、前記ICカードが非接触式であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項15に記載の発明は、前記ICカードのチップ周辺部の平面凹凸性が±10μm以内であることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載のICカードである。
請求項16に記載の発明は、請求項1乃至請求項10に記載されるICカードは貼り合わせ品であり、
前記貼り合わせ品をカード状に打ち抜く前に、前記貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁することを特徴とするICカードの製造方法である。
請求項17に記載の発明は、請求項1乃至請求項10に記載されるICカードは貼り合わせ品であり、
前記貼り合わせ品をカード状に打ち抜く前に、前記貼り合わせ品の印刷のない面にフォーマット印刷を施すことを特徴とする記載のICカードの製造方法である。
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
請求項1に記載の発明では、ICモジュールを形成する支持体の厚みが10μm以上で強度があり、100μm以下で薄型であり、かつICモジュールを構成するICチップの素材中の不純物含有率が0.001重量%以下であり、ICチップに含まれる不純物の量を減少させ、例えばICチップをシリコンなど硬いが脆い材料で形成する場合、割れにくくなりICチップの耐久性が向上する。
請求項2に記載の発明では、ICモジュールを構成するICチップ厚みと支持体厚みとの比率は、ICチップ厚み/支持体厚みが
6:1から1:1の間であり、
ICチップ厚みと支持体厚みとの比率を最適化することで、ICチップの耐久性の向上を図ることができる。
請求項3に記載の発明では、ICモジュールを形成する支持体の大きさが構成されるICカードの大きさより小さく、かつカード断面に支持体が露出していないので、カード断面から支持体が剥離することが防止でき、ICカードの密着性が向上する。
請求項4に記載の発明では、ICモジュールを形成する支持体に設けられた少なくとも開口孔、切欠き、切り込みのいずれかによって、片面に存在する接着剤と、もう一方の面に存在する接着剤が行き来することができ、第1のシート材と第2のシート材との密着性が向上する。
請求項5に記載の発明では、少なくとも開口孔、切欠き、切り込みのいずれかがICモジュールを形成するアンテナもしくはICチップの位置に設けられていることで、片面に存在する接着剤と、もう一方の面に存在する接着剤がアンテナもしくはICチップの位置で行き来することができ、第1のシート材と第2のシート材との密着性が向上する。また、少なくとも開口孔、切欠き、切り込みのいずれかを、支持体の中央部や側面部だけでなく、アンテナもしくはICチップにかかるようにすることで、アンテナ及びICチップの凸部と開口孔、切欠き、切り込みが設けられた凹部とが補いあって凹凸の発生を緩和させ、表面凹凸性の良いICカードを作製することが可能である。
請求項6に記載の発明では、支持体の素材がPET、PET−G、PENのいずれかであることで、カード積層部分に小さな気泡が残ることを防止でき、しかも接着剤との密着性が向上し、カードの凹凸が軽減可能である。
請求項7に記載の発明では、支持体の150℃30分保持された場合の熱収縮率が±2.5%以内であり、熱収縮率が大きいとラミネート時に熱等がかかり、支持体が収縮して皺が生じたり、気泡が形成されるため、カードの密着性が低下、カードの耐久性が低下するが、支持体が150℃30分保持された場合の熱収縮率が±2.5%以内であるとラミネート時にかかる熱収縮量が小さいため支持体間での剥離が生じにくく、接着剤との密着性が向上し、カードの凹凸が軽減可能である。
請求項8に記載の発明では、支持体の少なくとも一面に凹凸が形成され、かつ表面粗さが算術平均高さ(Ra)で0.02μm以上50μm以下であることで、支持体が接着剤と強固に密着し、ICカードの密着性が向上する。
請求項9に記載の発明では、接着剤が湿気硬化型接着剤であり、かつ貼り合わせに使用される時の120℃における粘度が5000mPa・Sよりも小さい場合はカードを貼り合わせる際に気泡が多く発生し、平面凹凸性が悪化し、40000mPa・Sよりも大きい場合では接着剤の塗布性が劣化するため、平面凹凸性が悪化し、さらに平面凹凸性の他に、硬化後のカード表面強度が低下するといった問題が発生するが、粘度が5000mPa・S以上40000mPa・S以下であると前記したような問題が解消される。
請求項10に記載の発明では、請求項1乃至請求項9のいずれかにおいて作製されたICカードであり、ICカードの中央部に500g/2mm2の応力を与えた時に得られる抗力の値の10分後の減衰率が2%以上15%以下であることで、ICカードが一般に使用される上で、折り曲げられた場合でも曲げにくく剛性を有する。
請求項11に記載の発明では、受像層に熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、第1のシート材または第2のシート材の少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けていることで、免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等に好ましく用いることができる。
請求項12に記載の発明では、氏名、顔画像を含む個人識別情報を設けた上面に透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることで、氏名、顔画像を含む個人識別情報が透明保護層により保護され、耐久性が向上する。
請求項13に記載の発明では、ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。
請求項14に記載の発明では、ICカードが非接触式であり、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
請求項15に記載の発明では、ICカードのチップ周辺部の平面凹凸を規定することで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。
請求項16に記載の発明では、請求項1乃至請求項10に記載されるICカードの貼り合わせ品をカード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁することで、取扱が容易で、かつ打ち抜き精度が向上する。
請求項17に記載の発明では、請求項1乃至請求項10に記載されるICカードの貼り合わせ品をカード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品の印刷のない面にフォーマット印刷を施すことで、取扱が容易で、かつフォーマット印刷の精度が向上する。
以下、この発明のICカード及びICカードの製造方法の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明の用語の意義は、これに限定されない。
図1はICカードの作成工程の概略構成図である。
このICカードの作成工程では、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)1が第1のシート材供給部Aに配備され、長尺シート状の第2のシート材(表シート)2が第2のシート材供給部Bに配備される。第2のシート材2に接着剤供給部Cから接着剤を供給して塗工し、接着剤加熱部Dで加熱してインレット供給部Eへ送る。
インレット供給部Eでは、ICチップ、アンテナを有するICモジュールを含む部品のインレット3が供給され、第2のシート材2の所定位置に載置され、この第2のシート材2をバックローラ部Fへ送る。
第1のシート材1に接着剤供給部Gから接着剤を供給して塗工し、接着剤加熱部Hで加熱してバックローラ部Fへ送る。
バックローラ部Fは、温度調節可能なラミネートローラ4を有し、このラミネートローラ4を用いて第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせる。このラミネートローラ4の対ローラ4a,4bの温度差が0℃以上100℃以下である。この実施の形態では、第2のシート材2が受像層を有し、第1のシート材1が筆記層を有し、対ローラ4a,4bは、受像層側のローラの温度が筆記層側のローラの温度より低い温度である。
このバックローラ部Fの後段に加熱部Iが配置され、バックローラ部Fにより貼り合わせ後に加熱部Iの対ローラ5a,5bにより加熱する。このように、第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせる前にシート材の塗工された接着剤層を再加熱し、キャタピラプレス部Jへ送る。
バックローラ部F、加熱部I、キャタピラプレス部Jは、貼り合わせの同一ライン上にキャタピラプレス部Jが配置され、キャタピラプレス部Jは、加熱プレス部J1と冷却プレス部J2とを有し、加熱加圧した後に冷却加圧する。キャタピラプレス部Jにより加熱加圧、冷却加圧された後に、貼り合わせ品が裁断部Kへ送られる。裁断部Kでは、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁する。その後に、打ち抜き部Lへ送り、カード状に打ち抜く。この打ち抜き部Lでカード状に打ち抜く前に、第1のシート材1と第2のシート材2のいずれか一方にフォーマット印刷を施す。
カード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁すること、取扱が容易で、かつ打ち抜き精度が向上する。また、カード状に打ち抜く前に、フォーマット印刷を施すことで、取扱が容易で、かつフォーマット印刷の精度が向上する。
図2はICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。ICカードの貼り合わせ品のICカード基材は、第1のシート材1と第2のシート材2との間に所定の厚みの電子部品3aを備えている。電子部品3aは、アンテナ3a1、ICチップ3a2等からなり、この電子部品3aのICモジュールはインレット3に備えられている。第1のシート材1と第2のシート材2との間にインレット3を配置し、接着剤層6,7を介在して積層した積層構造である。ICチップ3a2は補強板3bで覆われ、この補強板3bはICチップ3a2より大きな形状であり、ICチップ3a2を保護している。
この第1のシート材1または第2のシート材2の、少なくとも片面に、この実施の形態では第2のシート材2の片面に受像層8aを有し、熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けている。また、氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cが転写箔の転写によって設けられ、この透明保護層8cは活性光線硬化樹脂からなる。個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cを設けることで、個人識別情報8bが保護され、耐久性が向上する。また、この実施の形態では、第1のシート材1の片面に、筆記可能な筆記層9aを設けている。
このように、ICカードの受像層8aに熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設け、また筆記可能な筆記層9aを設けていることで、免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等に好ましく用いることができる。
また、ICチップ3a2が顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。このチップ周辺部の平面凹凸性が±10μm以内であり、ICカードのチップ周辺部の平面凹凸を規定することで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。
また、ICカードは、ICモジュールを有し、非接触式カードであり、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
この実施の形態では、第1のシート材1と第2のシート材2との間に接着剤を塗工し、この接着剤層6,7内に支持体3c上に形成したICモジュールを封入して作製された多層構成のICカードである。この接着剤層6,7内に支持体3c上に形成したICモジュールは、図3乃至図5に示すように構成される。図3はICモジュールの平面図、図4はインレットの側面図、図5はインレットの平面図である。
ICモジュールを形成する支持体3cの厚みD1が10μm以上100μm以下であり、かつICモジュールを構成するICチップ3aの素材中の不純物含有率が0.001重量%以下である。
ICモジュールを形成する支持体3cの厚みD1が10μm以上で強度があり、100μm以下で薄型であり、かつICモジュールを構成するICチップ3a2の素材中の不純物含有率が0.001重量%以下であり、ICチップ3a2に含まれる不純物の量を減少させ、例えばICチップ3a2をシリコンなど硬いが脆い材料で形成する場合、割れにくくなりICチップ3a2の耐久性が向上する。
また、ICモジュールを構成するICチップ厚みD2と支持体厚みD1との比率は、ICチップ厚みD2/支持体厚みD1が6:1から1:1の間であり、ICチップ厚みD2と支持体厚みD1との比率を最適化することで、ICチップ3a2の耐久性の向上を図ることができる。
また、ICモジュールを形成する支持体3cの大きさが構成されるICカードの大きさより小さく、かつカード断面に支持体3cが露出していない。このように、支持体3cの周囲が接着剤層6,7で覆われてカード断面に支持体が露出していないことで、カード断面から支持体3cが剥離することが防止でき、ICカードの密着性が向上する。
このICモジュールを形成する支持体3cは、図6に示すように形成される。図6(a)では支持体3cのアンテナ3a1の位置に開口孔3c1が設けられ、図6(b)では支持体3cのアンテナ3a1の位置に切欠き3c2が設けられ、図6(c)では支持体3cの中央部に切り込み3c3が設けられている。
図6(d)では支持体3cのICチップ3a2の位置に開口孔3c1が設けられ、図6(e)では支持体3cのアンテナ3a1及びICチップ3a2の位置に開口孔3c1が設けられ、図6(f)では支持体3cの中央部及びアンテナ3a1の位置に切り込み3c3が設けられている。
図6(g)では支持体3cのICチップ3a2の位置に開口孔3c1が設けられ、中央部の位置に切り込み3c3が設けられ、図6(h)では支持体3cのICチップ3a2の位置に開口孔3c1が設けられ、中央部と端部の位置に切り込み3c3が設けられ、図6(i)では支持体3cのICチップ3a2の位置に開口孔3c1が設けられ、アンテナ3a1の位置に開口孔3c1が設けられている。
この実施の形態では、ICモジュールを形成する支持体3cに設けられた少なくとも開口孔3c1、切欠き3c2、切り込み3c3のいずれかによって、片面に存在する接着剤と、もう一方の面に存在する接着剤が行き来することができ、図6(j)に示す比較例のICモジュールを形成する支持体3cと比較して第1のシート材1と第2のシート材2との密着性が向上する。
また、少なくとも開口孔3c1、切欠き3c2、切り込み3c3のいずれかがICモジュールを形成するアンテナ3a1もしくはICチップ3a2の位置に設けられていることで、図7に示すように、片面に存在する接着剤と、もう一方の面に存在する接着剤がアンテナ3a1もしくはICチップ3a2の位置で行き来することができ、第1のシート材1と第2のシート材2との密着性が向上する。また、少なくとも開口孔3c1、切欠き3c2、切り込み3c3のいずれかを、支持体3cの中央部や側面部だけでなく、アンテナ3a1もしくはICチップ3a2にかかるようにすることで、凹みを緩和させ、表面凹凸性の良いICカードを作製することが可能である。
この実施の形態の支持体3cの素材はPET、PET−G、PENのいずれかであることが好ましく、カード積層部分に小さな気泡が残ることを防止でき、しかも接着剤との密着性が向上し、カードの凹凸が軽減可能である。
また、支持体3cの150℃30分保持された場合の熱収縮率が±2.5%以内であり、熱収縮率が大きいとラミネート時に熱等がかかり、支持体が収縮して皺が生じたり、気泡が形成されるため、カードの密着性が低下、カードの耐久性が低下するが、支持体3cが150℃30分保持された場合の熱収縮率が±2.5%以内であるとラミネート時にかかる熱収縮量が小さいため支持体間での剥離が生じにくく、接着剤との密着性が向上し、カードの凹凸が軽減可能である。
また、支持体3cの少なくとも一面に凹凸が形成され、かつ表面粗さが算術平均高さ(Ra)で0.02μm以上50μm以下であり、支持体3cが接着剤と強固に密着し、ICカードの密着性が向上する。
また、この実施の形態の接着剤は湿気硬化型接着剤であり、かつ貼り合わせに使用される時の120℃における粘度が10000mPa・S以上40000mPa・S以下であることが好ましい。粘度が10000mPa・Sよりも小さい場合はカードを貼り合わせる際に気泡が多く発生し、平面凹凸性が悪化し、40000mPa・Sよりも大きい場合では接着剤の塗布性が劣化するため、平面凹凸性が悪化し、さらに平面凹凸性の他に、硬化後のカード表面強度が低下するといった問題が発生するが、粘度が10000mPa・S以上40000mPa・S以下であると前記したような問題が解消される。
このようにして作製されたICカードは、ICカードの中央部に500g/2mm2の応力を与えた時に得られる抗力の値の10分後の減衰率が2%以上15%以下であることが好ましく、減衰率が2%以上15%以下であることで、ICカードが一般に使用される上で、折り曲げられた場合でも曲げにくく剛性を有する。
次に、この発明の構成を詳細に説明する。
[インレット支持体の密着性]
インレット支持体はフィルムタイプの材料を各種用いることができるが、接着剤との密着性、ICモジュールとしての加工性を考慮すると、その中でも特にPET、PET−G、PENが好ましい。インレット支持体を第1のシート材と第2のシート材であるカード用シート基材上に塗工された接着剤面との密着性が85〜100%の範囲であることが好ましく、より好ましくは95〜100%である。これ以外の範囲では、インレット支持体をシート基材との間に入れて貼り合わせる際に浮きが生じ、その部分に空気や炭酸ガスが入り、カードサイズに断裁加工された後、カード表面に凹凸が生じ、好ましくない。
密着度については、株式会社キーエンス社製デジタルHFマイクロスコープVH−604を用い高倍率レンズで2000倍にて表面を撮影し、密着部の面積を求め下記の式1から密着度を算出した。
密着していない部分は、空隙のため浮いている様子が観察できた。
(密着している部分の面積/全体面積)×100・・・式1
この密着度を向上させる方法としては、この発明請求項記載のICモジュール用インレット支持体を用い、請求項記載の加工を行なうことにより達成することができた。
[サンドマット加工(表面粗さ)]
一般にフィルム等の表面に細かい凹凸をつけることをサンドマット加工と言い、細かい砂をフィルムの表面にぶつけることによって凹凸をつける加工方法が用いられる。砂をぶつける量やスピードにより凹凸の度合いを調整することが可能である。サンドマット加工をする前に先にアンテナパターンなどを水性インキで印刷しておき、その後でサンドマット加工を行ない、最終工程で水洗することで、印刷したパターン部のみを取り除いて加工することが可能である。
表面が粗いほうが接着剤の食いつきがよくなり、密着性が向上し、この発明では表面粗さが算術平均高さ(Ra)で0.02μm以上50μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1.00μm以上40μm以下であり、より好ましくは5.00μm以上30μm以下である。
[ICチップ中の不純物]
集積回路(IC)に使われているシリコンは99.999999999%(いわゆるイレブン・ナイン)という超高純度になっており、不純物の割合は1×10-7程度である。一般的にICチップの製造には不純物を添加することにより半導体としての機能を持たせている。この工程でウエハ前面、あるいは表面の一部にP型やN型の導電型不純物を添加する。不純物添加工程には、熱拡散法とイオン注入法の二つがあるが、最近のICチップ製造にはイオン注入法の方が多用されている。
しかし、ICチップ内部に多量の不純物が混入すると、格子欠陥が生じてその部分からクラックが生じやすくなる。また、電子の流れが悪くなり性能が低下するなどの問題があり、この発明では不純物含有率が0.001重量%以下が好ましい。イオン注入は加速した任意のイオンを直接半導体に導入する方法であり、熱拡散係数や固溶度によらず非熱平衡状態で半導体に不純物を添加できる利点を有する。イオン注入では不純物の導入と同時に結晶欠陥も導入されるという問題がある。結晶欠陥は伝導に寄与する電子や正孔などのキャリアを散乱・捕獲することで電気特性に悪影響を与えるので、イオン注入後は熱処理を行い、このような欠陥を除去して結晶性を回復させる必要がある。SiCでは室温でのイオン注入により発生する高濃度の欠陥が熱処理後も残留し、結晶性が回復しない。これに対して、試料を加熱しながらイオン注入を行う「高温イオン注入法」を用いると、注入中にも欠陥が除去できるので欠陥の蓄積が抑えられ、注入後の熱処理により結晶性を十分回復させることが可能となる。
イオン注入機には、イオンの打ち込みエネルギーによって、低・中・高速タイプに分けることができる。低・中速タイプでは数〜数十KeVで打ち込み、主に浅い拡散層を形成するために用いられる。高速タイプでは、数百KeVからMeVの加速エネルギーで、CMOSのウェル形成やROMコードの書きこみなどに用いられる。
イオン注入機では、ボロン(B)、リン(P)、ヒ素(As)などのガスをアーク放電によりイオン化する。これを電界加速したあと、磁界を用いた質量分析器で、注入種と電荷種を選択する。こうして選ばれたイオンはさらに加速されウエハ表面に打ち込まれる。
イオンはビーム照射されるので、ウエハ前面に打ち込むにはビーム走査とウエハの移動が必要になる。
また、ウエハ表面が帯電するとイオンビームの照射が定まらないため、イオンがウエハに達する直前でエレクトロンシャワーを通してイオンのプラス電荷を電子電荷で相殺し中性状態にする。
[インレット支持体]
使用されるインレット支持体としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PET−G、PEN(ポリエチレンナフタレート)、塩化ビニル、PC(ポリカーボネート)、TAC(トリアセチルセルロース)、アクリル、紙、ユポなどがいずれも用いられるが、この発明では機械的強度、寸法安定性、耐溶剤性の点からPET、PET−G、PENが好ましく、さらに好ましくは透明性、加工適性、コストの点からPET又はPET−Gである。
[熱収縮率]
使用されるインレット支持体は熱収縮率が大きいとラミネート時に熱等がかかり収縮して皺が生じたり、気泡が形成されるため、インレット支持体の密着性が低下、カードの耐久性が低下する。この発明ではインレット支持体が150℃30分保持された場合の熱収縮率が±2.5%以内であるとラミネート時にかかる熱収縮量が小さいためシート間での剥離が生じにくく、好ましく用いられ、さらに好ましい範囲は±2.0%以内である。
[開口孔または切欠きを有するインレット支持体]
インレット支持体に開口孔または切欠きを設ける場合、単にインレット支持体の中央部や端部などへ開口孔または切欠きを設けると、第1のシート材と第2のシート材である表裏基材又は接着剤層との間に段差が生じるため、ICカードにした際に表面性が劣化する。それを補うためにはアンテナ及びICチップなど凸部のある部分の下部に開口孔または切欠きを設けることが好ましい。アンテナ及びICチップの凸部と開口孔または切欠きの設けられた凹部とが補いあって凹凸の発生を緩和させることができる。
[切り込みを有するインレット支持体]
インレット支持体のアンテナまたICチップのない部分に開口孔または切欠きを設けると前述のように段差のためにカード表面に凹凸が生じ好ましくないため、インレット支持体に切り込みを設けるのが好ましい。インレット支持体に切り込みがあると、切り込みの間を通して、インレット支持体の表側と裏側の接着剤が流動するため、貼り合わされた第1のシート材と第2のシート材の表面に凹凸が発生しにくい。
[インレット支持体のサイズ]
インレット支持体のサイズがカードより大きいとカード断面にインレット支持体が露出するため、一般的にカードとして使用される場合を想定すると、その隙間から液体等がしみこみ、密着性及び耐久性を劣化させる。インレット支持体のサイズはカード断面から0.1mm以上内側にインレット支持体の外周部がくることが好ましく、1.0mm以上内側であることがより好ましい。
[インレット支持体の剛性]
ICカードは一般に使用される上で、折り曲げられた場合でも曲げにくいことが必要である。この発明ではICカード中央部に500g/2mm2の応力を与えた時に得られる抗力の値の10分後の減衰率が2%以上15%以下であることが剛性上好ましく、より好ましくは3%以上12%以下である。
[接着剤の破断伸度]
接着剤の破断伸度とは接着剤を一定の速さで引っ張り続けると、ある時点で接着剤がちぎれて破断する。その時までに伸びた接着剤の伸び率のことである。一般に破断伸度が小さいとはさみ状の刃物で断裁を行うときに切れやすく、破断伸度が大きいと接着剤が切れるまでの伸びが大きいため、はさみ状の刃物で断裁するときには切れにくく不利である。
一方、カード基材の一部として接着剤を用いる時は、カードが曲げられたり折られたりした時には、破断伸度の値が大きいほうが、柔軟性があり好ましい。
カード断裁をする時、パンチとダイがほぼ直角にかみ合わさる直角刃を用いる場合、破断伸度が小さく接着剤硬化完了時の破断伸度が大きいのが理想的である。断裁加工時の破断伸度の好ましい範囲は5%以上500%以下であり、さらに好ましくは50%以上400%以下である。完全硬化完了時の破断伸度は100%以上1500%以下が好ましく、より好ましくは150%以上950%以下、さらに好ましくは200%以上600%以下である。
[接着剤の弾性率]
接着剤に外力を加えて変形させるとき、外力によって生ずる応力と、変形によって生ずるひずみとは、変形があまり大きくない範囲では比例する(フックの法則)。
接着剤の弾性率は、このときの比例定数を弾性率として求める。すなわち、弾性率CはC=(応力)/(ひずみ)で表される。弾性率が高いとハサミなどの刃物で断裁加工する場合には断裁しやすくなるが、反面、接着剤が固くなってしまうためカード耐久性は低下する。一方、弾性率が低いと断裁加工時に断面から接着剤がはみだし、カード化した場合に断面形状が劣化し外観は悪くなるため、好ましい接着剤の弾性率の範囲は30kgf/mm2以上100kgf/mm2以下であり、さらに好ましくは35kgf/mm2以上80kgf/mm2以下である。
<破断伸度、2%弾性率の測定方法>
この発明における樹脂破断伸度(%)、2%弾性率は、23℃55%RHの条件下でこの発明の接着剤を塗工後を300時間以上放置した後、株式会社オリエンテックテンシロン万能試験機RTA−100を用いデーター処理は、テンシロン多機能型データー処理TYPE MP−100/200S Ver.44を用い測定を行った。樹脂の固定手段はエアーチャック方式で固定した。クロスヘッドスピードは、5〜100mm/min、RANGEは5〜100%、荷重は0.1〜500kgを選択することができるが、この発明の評価では、クロスヘッドスピードは、30mm/min、RANGEは20%、荷重は100kgの条件で評価を行なった。
接着剤の破断伸度、2%弾性率を測定するに当たり、特に単独膜を作成するのは難しいため、PP離型シートに500μmの樹脂層を形成し所望のサンプルを作成し測定を行った。測定は、1cm巾のサンプルをエアーチャックに固定し引っ張り試験を行なった。
破断伸度は、引っ張り時の活性光線硬化樹脂の破断又は亀裂が入ったときの破断点伸びから破断点伸度を求めた。
[バックロール温調]
この発明における、第1のシート材と第2のシート材を貼り合させるラミネートローラ4の対ローラ4a,4bは、温度調整機構がついており、このローラの温度が40℃以上90℃以下であることが好ましい。この温度調整機構としてはローラを電気的に加熱したり、ローラ内部に熱風を吹き込んだり、温調した液体を循環させる方法などがあるが、温水を循環させる方法が簡便で好ましい。より好ましい温度範囲としては60℃以上90℃以下である。
加えて、塗工された接着剤の温度低下を防ぐために、塗工された接着剤が相手側シート基材と貼り合わされる前に再加熱のための加熱装置をつけるほうが好ましい。加熱装置の温度は50℃以上120℃以下が好ましく、更に好ましくは60℃以上120℃以下である。
[ラミネート時の環境]
通常、ラミネートをする際に特に環境湿度や温度を調整せずとも接着剤は塗工可能で、接着剤の硬化も進行するが、湿気硬化型接着剤を用いる際は作成時から温度と湿度を与えるような環境で作業が行われるほうが接着剤硬化速度が速くなり、接着剤の完全硬化が速くなる。作成時の環境としては、温度は20℃以上50℃以下が好ましく、湿度は70%以上100%以下が好ましい。
[ラミネート後の貼り合わせ品保管環境]
接着剤が塗工され、貼り合わされた貼り合わせ品は接着剤が硬化するまで保管される。この貼り合わせ品の保管環境は温度が20℃以上50℃以下で、かつ湿度が40%以上100%以下であることが好ましい。温湿度がこれらの値以下だと接着剤の硬化が進まず、温度がこの範囲以上であると接着剤に発砲が生じて貼り合わせ品が膨れる原因となる。
貼り合わせ品は約3日後でシート間の剥離強度が1500g/2.5cm以上となり、持ち運んだり、貼り合わせ品を断裁加工しても、貼り合わせ品がゆがんだり、たわんだりしなくなる。その後1週間から4週間かけて接着剤が完全に硬化する。
[貼り合わせ品にかかる荷重]
ラミネートした直後の貼り合わせ品は接着剤の硬化が完了していないため、貼り合わされた2枚のシート材の密着性を上げるために、保管する際にはある程度の荷重をかけることが必要である。また、かける荷重が大きすぎると、貼り合わせ品に歪みが生じたり、貼りあわされた貼り合わせ品の内部にあるICチップなどが破損する可能性があるため、貼り合わせ品に加えられる荷重は2kg/m2以上1500kg/m2以下であることが好ましい。
この発明において、カードサイズのカード基材を作製する場合、製造方法として、例えば、第1のシート材と第2のシート材を接着剤を介して貼り合わせ、接着後積層された貼り合わせ済みシートをカードサイズに整形する方法が選択される。カードサイズに整形する方法としては、打ち抜く方法もしくは断裁する方法等が主に選択される。
[打ち抜き方式(パンチダイ方式)]
この発明では刃の種類をパンチダイ方式の刃を用いることが好ましい。ここで言うパンチダイ方式とは上下が対となった金型を用い、その上下の刃の角度が90度前後で貼り合わせ品を断裁する方式のことである。パンチダイ方式の断裁刃の角度は80°以上100°以下であることが好ましく、より好ましくは85°以上95°以下である。パンチダイ方式は刃の構造が簡易であるため、多量の貼り合わせ品を打ち抜くのに適しているが、破断伸度の高い貼り合わせ品に対しては打ち抜くことが困難である。
[完全硬化の判断]
実施例の湿気硬化型接着剤を用いた貼り合わせ品の硬化後とは、湿気硬化型接着剤に含まれるイソシアネート基が95%以上反応した時のことで、硬化の確認には作成した貼り合わせ品をカード状に断裁し、90℃以上の熱処理を行った際に炭酸ガスの発生による膨れが生じるか否かで反応が終了しているかどうかを判断することができる。反応の途中経過を知るには、赤外吸収スペクトルを測定し、スペクトル強度よりイソシアネート基(NCO基)の量を定量することで調べることができる。
[接着剤の塗工粘度]
ラミネートして貼り合わせ品作成時の接着剤塗工粘度が5000mPa・Sよりも小さい場合はカードを貼り合わせる際に気泡が多く発生し、平面凹凸性が悪化し、40000mPa・Sよりも大きい場合では接着剤の塗布性が劣化するため、平面凹凸性が悪化する。平面凹凸性の他に、硬化後のカード表面強度が低下するといった問題が発生するため、好ましくは5000mPa・S以上40000mPa・S以下、より好ましくは7000mPa・S以上25000mPa・S以下である。塗工温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは130℃以下である。
[ICカード基材作成用接着剤]
この発明の貼り合わせ材料としては、ホットメルト接着剤、熱可塑性樹脂等を用いることが好ましい。例えば、ホットメルト接着剤は、一般に使用されているものを用いることができる。ホットメルト接着剤の主成分としては、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系、ポリエステル系、ポリアミド系、熱可塑性エラストマー系、ポリオレフィン系などが挙げられる。但し、この発明においては、低温接着剤の中でも具体的には湿気硬化型接着剤が好ましい。
反応型ホットメルト接着剤として湿気硬化型の材料で特開2000−036026、特開2000−211278、特開2000−219855、特開2002−175510で開示されている。これら接着剤のいずれも使用してもよく、低温接着ができれば特に制限はない材料を用いることができる。
接着剤の膜厚は、電子部品と含めた厚さで100〜600μmが好ましく、より好ましくは150〜500μm、更に好ましくは150μ〜450μmである。
また、120℃における粘度が5000mPa・Sよりも小さい場合はカードを貼り合わせる際に気泡が多く発生し、平面凹凸性が悪化し、20000mPa・Sよりも大きい場合では接着剤の塗布性が劣化するため、平面凹凸性が悪化する。硬化後のカード表面強度が低下するといった問題や、バリやヒゲといった問題が発生するため、好ましくは7000mPa・S以上20000mPa・S以下である。
[電子部品]
電子部品とは、情報記録部材のことを示し具体的には当該電子カードの利用者の情報を電気的に記憶するICチップ及び該ICチップに接続されたコイル状のアンテナである。ICチップはメモリのみやそれに加えてマイクロコンピューターなどである。場合により電子部品にコンデンサーを含んでもよい。この発明はこれに限定はされず情報記録部材に必要な電子部品であれば特に限定はない。
ICモジュールはアンテナコイルを有するものであるが、アンテナパターンを有する場合、導電性ペースト印刷加工、或いは銅箔エッチング加工、巻線溶着加工等のいずれかの方法を用いてもよい。プリント基板としては、ポリエステル等の熱可塑性のフィルムが用いられ、更に耐熱性が要求される場合はポリイミドが有利である。ICチップとアンテナパターンとの接合は銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト等の導電性接着剤(日立化成工業のEN−4000シリーズ、東芝ケミカルのXAPシリーズ等)や、異方性導電フィルム(日立化成工業製アニソルム等)を用いる方法、或いは半田接合を行う方法が知られているがいずれの方法を用いてもよい。
予めICチップを含む部品を所定の位置に載置してから樹脂を充填するために、樹脂の流動による剪断力で接合部が外れたり、樹脂の流動や冷却に起因して表面の平滑性を損なったりと安定性に欠けることを解消するため、予め基板シートに樹脂層を形成しておいて該樹脂層内に部品を封入するために電子部品を多孔質の樹脂フィルム、多孔質の発泡性樹脂フィルム、可撓性の樹脂シート、多孔性の樹脂シート又は不織布シート状にし使用されることが好ましい。例えば特開平11−105476号等に記載されている方法等を用いることができる。
また、ICチップは点圧強度が弱いためにICチップ近傍に補強板を有することも好ましい。電子部品の全厚さは10〜300μmが好ましく、より好ましくは30〜300μm、更に好ましくは30〜250μmが好ましい。
[第1のシート材と、第2のシート材との間に電子部品とを備える方法]
この発明において第1のシート材と第2のシート材との間に所定の電子部品とを備えるために製造方式としては、熱貼合法、接着剤貼合法及び射出成形法が知られているが、いずれの方法で貼り合わせてもよい。又、第1のシート材と第2のシート材は貼り合わせる前後いずれかにフォーマット印刷又は、情報記録を行ってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、シルク印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、インクジェット方式、昇華転写方式、電子写真方式、熱溶融方式等のいずれの方式によって形成することができる。
この発明のIC搭載カード基材の製造方法は、特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開平10−316959、特開平11−5964等のように貼り合わせ、塗設方法が開示されている。いずれの貼り合わせ方式、塗設方式方法等を用いることができ、この発明には特に制限ない。
また、特定の位置に接着剤部材を配置させる方法としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などにより、所定位置に接着剤を塗布することにより製造することができる。また、ホットメルト接着剤を使用する場合には、ハンドガンタイプのホットメルトアプリケーターにより、ノズルから接着剤をビード状に塗布することでそれぞれの配置へ塗布することも可能である。
或いは、フィルム状に加工された該接着剤を、所定の配置に設置するべく断裁し、それぞれの配置へ設置した後に、加熱、加圧処理を施して貼り合わせる事もできる。
[ICカード基材用シート材]
ICカード基材用シート材の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、生分解性脂肪族ポリエステル、生分解性ポリカーボネート、生分解性ポリ乳酸 、生分解性ポリビニルアルコール、生分解性セルロースアセテート、生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体或いはこれら2層以上の積層体が挙げられる。この発明の支持体の厚みは30〜300μm望ましくは50〜200μmである。
この発明においては、基材の熱による収縮、反りなどによるカード基材搬送性の観点から低温接着剤の他にシート材として150℃/30minにおける熱収縮率が縦(MD)、横(TD)で2.5%以下が好ましい。又上記基材上に後加工上密着性向上のため易接処理を行っていても良く、チップ保護のために帯電防止処理を行なっていても良い。
具体的には、帝人デュポンフィルム株式会社製のU2シリーズ、U4シリーズ、ULシリーズ、東洋紡績株式会社製クリスパーGシリーズ、東レ株式会社製のE00シリーズ、E20シリーズ、E22シリーズ、X20シリーズ、E40シリーズ、E60シリーズQEシリーズを好適に用いることができる。
この発明の第2のシート材は、当該カード利用者の顔画像を形成するため受像層のほかにクッション層を設けてもよい。個人認証カード基体表面には画像要素が設けられ、顔画像等の認証識別画像、属性情報画像、フォーマット印刷から選ばれる少なくとも一つが設けられたものであってもよく、また全く印刷部分のないホワイトカードであってもよい。
[貼り合せ]
貼り合わせ時には、基材の表面平滑性、第1のシート材と第2のシート材との間に所定の電子部品の密着性を上げるために加熱及び加圧を行うことが好ましく、上下プレス方式、ラミネート方式等で製造することが好ましい。加熱は、10〜180℃が好ましく、より好ましくは30〜150である。加圧は、1.0〜300kgf/cm2が好ましく、より好ましくは1.0〜200kgf/cm2である。これより圧が高いとICチップが破損する。加熱及び加圧時間は好ましくは、0.001〜90secより好ましくは0.001〜60secである。これより時間が長いと製造効率が低下する。
前記第1のシート材と第2のシート材が接着剤を介して貼り合わされ、その接着剤層中にICチップおよびアンテナを有するICモジュールを有するICカード用の貼り合わせ品は、所定の条件下で保管された後に、打ち抜き金型に供給する。前記打ち抜き金型によって、ICカード用の貼り合わせ品からICカードを打ち抜くことによって、ICカードは製造される。この場合、打ち抜き加工の前に、認証識別画像や書誌事項を記録してもよい。
[ICカード上への転写箔付与方法]
転写箔の被転写材への転写は通常サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプマシンなどの加熱しながら加圧を行える手手段を用い転写を行う。
[熱転写記録法で昇華もしくは熱拡散性染料画像を受容する受像層]
第2のシート材に有する受像層は、バインダーと各種の添加剤で形成することができる。
この発明における受像層は、昇華型熱転写方式により階調情報含有画像を形成すると共に、昇華型熱転写方式または溶融型熱転写方式により文字情報含有画像を形成するので、昇華性色素の染着性、または昇華性色素の染着性とともに熱溶融性インクの接着性も良好でなければならない。かかる特別な性質を受像層に付与するには、後述するように、バインダー、および各種の添加剤の種類およびそれらの配合量を適宜に調整することが必要である。
以下、受像層を形成する成分について詳述する。
この発明における受像層用のバインダーは、通常に知られている昇華型感熱転写記録受像層用のバインダーを適宜に用いることができる。主なバインダーとしては、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂などさまざまのバインダーを使用することができる。
ただし、この発明によって形成される画像につき、実際的要求(たとえば発行されるIDカードに所定の耐熱性が要求されるなど)が存在するのであれば、そのような要求項目を満たすようにバインダーの種類あるいは組み合わせを考慮することが必要になる。画像の耐熱性を例にすると、60℃以上の耐熱性が要求されるのであれば、昇華性色素のにじみを考慮して、Tgが60℃以上であるバインダーを使用するのが好ましい。
また、受像層には、離型剤を添加することが好ましい。有効な離型剤としては、用いるバインダーと相溶性のあるものが好ましく、具体的には変性シリコーンオイル、変性シリコーンポリマーが代表的であり、例えばアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂などが挙げられる。このなかでもポリエステル変性シリコーンオイルはインクシートとの融着を防止するが、受像層の2次加工性を妨げないという点で特に優れている。受像層の2次加工性とは、マジックインキでの筆記性、できた画像を保護する際に問題となるラミネート性などを指す。この他離型剤としてはシリカ等の微粒子も有効である。2次加工性を問題としない場合は融着防止策として硬化型シリコーン化合物の使用も有効である。紫外線硬化型シリコーン、反応硬化型シリコーンなどが入手可能であり、大きな離型効果が期待できる。
この発明における受像層は、その形成成分を溶媒に分散あるいは溶解してなる受像層用塗工液を調製し、その受像層用塗工液を前記支持体の表面に塗布し、乾燥する塗工法によって製造することができる。
支持体の表面に形成される受像層の厚みは、一般に1〜50μm、好ましくは2〜10μm程度である。この発明においては、支持体と受像層との間にクッション層あるいはバリヤー層を設けることもできる。クッション層を設けると、ノイズが少なくて、画像情報に対応した画像を再現性良く転写記録することができる。クッション層を構成する材質としては例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、特願平2001−16934等に記載の光硬化型樹脂等が挙げられる。クッション層の厚さは通常、1〜50μm、好ましくは3〜30μmである。
この発明においては、受像層上にフォーマット印刷からなる情報坦持体層を設けることができる。
フォーマット印刷からなる情報坦持体とは、識別情報及び書籍情報を記録した複数の選ばれる少なくとも一つが設けられた情報坦持体を表し、具体的には、罫線、社名、カード名称、注意事項、発行元電話番号等を表す。
フォーマット印刷からなる情報坦持体の形成には、日本印刷技術協会出版の「平版印刷技術」、「新・印刷技術概論」、「オフセット印刷技術」、「製版・印刷はやわかり図鑑」等に記載されている一般的なインキを用いて形成することができ、光硬化型インキ、油溶性インキ、溶剤型インキなどにカーボンなどのインキにより形成される。
また、場合により目視による偽造防止のために透かし印刷、ホログラム、細紋等が採用されてもよく、偽造変造防止層としては印刷物、ホログラム、バーコード、マット調柄、細紋、地紋、凹凸パターンなどで適時選択され、可視光吸収色材、紫外線吸収材、赤外線吸収材、蛍光増白材、金属蒸着層、ガラス蒸着層、ビーズ層、光学変化素子層、パールインキ層、隣片顔料層、帯電防止層などから表シートに印刷等で設けることも可能である。
この発明のクッション層を形成する材料としては、特開2001−1693記載の光硬化型樹脂、ポリオレフィンが好ましい。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水素添加イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンの様な柔軟性を有し、熱伝導性の低いものが適する。
[クッション層]
この発明のクッション層を形成する材料としては、ポリオレフィンが好ましい。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水素添加イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエン、光硬化型樹脂層の様な柔軟性を有し、熱伝導性の低いものが適する。具体的には、特開2002−222403等のクッション層を使用することができる
この発明でいうクッション層とは、受像層と電子部品の間にクッション層を有するかいずれの形態であれば特に制限はないが、前記基体と実質的に同質の別支持体の第2のシート材もしくは第1、第2のシート材両面上に塗設あるいは貼合されて、形成されることが特に好ましい。
[筆記層]
筆記層とは、IDカードの裏面に筆記をすることができるようにした層である。このような筆記層としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、ケイソウ土、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微細粉末を熱可塑性樹脂(ポリエチレン等のポリオレフィン類や、各種共重合体等)のフィルムに含有せしめて形成することができる。特開平1−205155号公報に記載の「書き込み層」をもって形成することができる。前記筆記層は支持体における、複数の層が積層されていない第1のシート材に形成される。筆記層にワックス等の滑り性を良好にする素材を添加すると、擦られた場合の破損や摩耗を防ぐために有効である。添加剤としてはポリエチレンワックスが好ましく用いられる。
[光学変化素子層転写層]
場合により偽変造防止の目的で光学変化素子層転写層設けることが可能である。光学変化素子(Optical Variable Device:OVD)とは、1)キネグラムのような回析格子の2次元のCG画像であり、線画像構成の画像が移動、回転、膨張、縮小等自由に動き変化する点に特徴があるもの、2)Pixelgramのような画像がポジとネガに変化する特徴があるようなもの、3)OSD(Optical Security Device)のような色が金色から緑色に変化するもの、4)LEAD(Long Lasting Economical Anticopy Device)のような像画が変化して見えるもの、5)ストライブ型OVD、6)金属箔等を表し、日本印刷学会誌(1998年)第35巻第6号P482〜P496記載に有るような用紙の素材、特殊な印刷技法、特殊インキ等でセキュリティを維持してもよい。この発明においては、ホログラムがとくに好ましい。
[ICカード作成方法]
ここで、ホットメルト接着剤を使用したこの発明のICカードの作製方法の一例を挙げる。ICカードの作製に当たっては、先ず表裏のシートにアプリケーターでホットメルト接着剤を所定の厚さに塗工する。塗工方法としてはローラー方式、Tダイ方式、ダイス方式などの通常の方法が使用される。この発明でストライプ状に塗工する場合、Tダイスリットを間欠に開口部を持たせる等の方法があるが、これに限られるものではない。プレス等で貼り合わせた後は所定形状に打ち抜くなり、カード状に断裁するなりしてカード化する。接着剤に反応型接着剤を用いた場合は所定時間硬化反応させた後にカード状に断裁する。硬化促進のために貼り合わせたシートのカードサイズの周囲に反応に必要な水分供給のための穴を開ける方法も有効な手段の一つである。
[実施例1]
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、この発明の形態はこれに限定されない。尚、以下において「部」は「重量部」を示す。
[接着剤の作成]
用いる接着剤は、既存の製品として以下のイ)〜ニ)を用いた。
イ)Henkel社製Macroplast QR3460
ロ)積水化学工業(株)製エスダイン9632
ハ)接着剤(弾性エポキシ接着剤)
使用の本発明弾性エポキシ接着剤:株式会社スリーボンド製
スリーボンド3950セット(硬化後500μm破断伸度246%、2%弾性率0.3%、粘度30000mPa・S)を用いたA液供給部には主剤を投入し、B液供給部には硬化剤を投入した。又B液にはB液に対して3重量%のメルク社製イリジオン211を添加した。
使用にあたってはラミネート機の接着剤供給部を改造し、A液B液供給部を設け、使用前に両液を混合して用いることのできるようにした。
ニ)接着剤(熱硬化型接着剤)
本発明熱硬化型接着剤:下記組成物から配合して成る接着剤。
使用本発明熱硬化型接着剤組成物:
・セロキサイド2021
(ダイセル化学工業株式会社製)エポキシ当量128〜140) 38部
・エポライト3002(共栄社化学株式会社製) 表の粘度となる量に調整
・エピコート#828(油化シェルエポキシ社製)エポキシ当量184〜194) 表の粘度となる量に調整
・熱カチオン発生化合物:セロキサイドSI−60L
(三新化学工業株式会社製) 7部
さらに上記イ)〜ニ)に対して
・多孔質高シリカアルミノシリケート(AMT−SILICA#200B;水澤化学工業製)
を表に示す粘度となる量まで添加し、上記成分を温度180℃にて60分間、ホモジナイザーにて攪拌し、接着剤を作成した。
そして、上記化合物を接着剤供給部に接着剤を投入し、上記条件にて塗工を実施した。
<第1のシート材(裏シート)の作成>
第1のシート材の表シート及び第1のシート材の裏シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレード188μmを使用した。
(筆記層の作成)
第1のシート材(裏シート)188μmに下記組成の第1筆記層形成用塗工液、第2筆記層形成用塗工液及び第3筆記層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが5μm、15μm、0.2μmになる様に積層することにより筆記層を形成した。
〈第1筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂〔東洋紡績(株)製:バイロン200〕 8部
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
カーボンブラック 微量
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂 4部
〔東洋紡績(株)製:バイロナールMD1200〕
シリカ 5部
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
水 90部
〈第3筆記層形成用塗工液〉
ポリアミド樹脂〔三和化学工業(株)製:サンマイド55〕 5部
メタノール 95部
得られた筆記層の中心線平均粗さは1.34μmであった。
(筆記層へのフォーマット印刷層の形成)
オフセット印刷法により、フォーマット印刷(罫線、発行者名、発行者電話番号)を行なった。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
<第2のシート材(表シート)の作成>
第1のシート材の表シート及び第1のシート材の裏シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレードを使用した。
PETシートの厚みは表裏とも188μmである。
(表シートの作成)
表シート188μmに下記組成物からなるクッション層、受像層を順次塗工乾燥してなる第2のシート材(表シート1)を形成した。
(光硬化型クッション層) 膜厚10μm
ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学社製:NKオリゴUA512) 55部ポリエステルアクリレート(東亞合成社製:アロニックスM6200) 15部ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学社製:NKオリゴUA4000) 25部ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ:イルガキュア184) 5部メチルエチルケトン 100部 塗布後の活性光線硬化性化合物は、90℃/30secで乾燥を行い、次いで水銀灯(300mJ/cm2)で光硬化を行なった。
(受像層)
上記クッション層上に下記組成の第1受像層形成用塗工液、第2受像層形成用塗工液及び第3受像層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが0.2μm、2.5μm、0.5μmになる様に積層することにより受像層を形成した。
〈第1受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 9部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBL−1〕
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 6部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBX−1〕
金属イオン含有化合物(化合物MS) 4部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第3受像層形成用塗工液〉
ポリエチレンワックス 2部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックE1000〕
ウレタン変性エチレンアクリル酸共重合体 8部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254〕
メチルセルロース〔信越化学工業(株)製:SM15〕 0.1部
水 90部
(フォーマット印刷層からなる情報坦持体形成)
該受像層上にオフセット印刷法により、フォーマット印刷(従業員証、氏名)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
(透明樹脂層形成)
下記組成物からなる印刷インキを用いロールミルにより混合し、印刷インキを作成した。オフセット印刷法により受像層上に印刷を行った。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
(透明樹脂層組成物1)
ウレタンアクリレートオリゴマー 50部
脂肪族ポリエステルアクリレートオリゴマー 35部
ダイロキュア1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製) 5部
トリメチロールプロパンアクリレート 10部
(IC隠蔽層の作成)
樹脂凸印刷法により、受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷を行なった。印刷紋様は図8又は図9の何れかで行なった。実施した紋様は表に記載する。印刷印刷インキはUV墨インキにより印刷を行なった。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。膜厚は1.0μmであった。
[使用インレット]
表に示す厚みの帝人デュポンフィルム(株)製Sシリーズテトロンフィルムの上に厚さ10μmのアルミニウム箔を蒸着させた後、アンテナ線の形態のようにエッチング処理をした。こうして得られたベースシートの上にICチップ、補強板などを設置し、ICカード用インレットとした。
<ICカード用画像記録体の作成>
上記作成された、図10の第1のシート材(裏シート)と、図11の第2のシート材(表面シート)を用い、図12に記載のIC搭載カード基材及び受像層付きICカード基材の作成装置を用いてICカード基材を作成した。
実施形態としてのICカード基材作成について説明をする。図12はICカード基材作成装置を示す概略構成図である。
この発明のICカード基材作成装置は、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)を第1のイート材供給部にセットし、枚葉シートの第2のシート材(表シート)を第2のシート材供給部にセットし、それぞれの接着剤供給部に接着剤を投入した。
第2のシート材に特定温度で窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、厚さ270μmの図4及び図5から構成される電子部品をIC/固定部材供給部から配置し、第2のシート搬送部材により第2のシート材を搬送した。接着剤の温度低下を防ぐために加熱加圧ロールによる加熱部材を加熱し加温した。
第1のシート材に特定温度で窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、この第1のシート材と第2シート材に湿気硬化型接着剤と電子部品とからなる複合体を加熱加圧ロール(圧力3kg/cm2、ロール表面温度70℃)、膜厚制御ロールにより貼り合わせ、740μmに制御されたICカード基材原版の貼り合わせ品を作成した。
断裁工程は接着剤の初期硬化、電子部品の支持体との密着性が十分に行われたてから化粧断裁することが好ましい。断裁性を考慮すると接着剤は必ずしも完全に硬化させる必要はない。作成された貼り合わせ品はIC搭載カード基材搬送部により搬送し、ローターリカッターで切断し、55mm×85mmサイズのICカード用画像記録体を得ることができた。
仕上がったカード基材表裏面にフォーマット印刷部がない場合は、カード印刷機により樹脂凸版印刷法で、ロゴとOPニスを順次印刷した。また、この発明のICカード基材製造の作成環境、及び湿気硬化型接着剤、接着剤塗工温度、接着剤貼り合わせ時の温度等の条件は表に記載した。
図12に示すICカード基材作成装置は、1液接着剤タイプであるが、図13に示すICカード基材作成装置は、2液接着剤タイプである。この図13に示すICカード基材作成装置の2液接着剤タイプでは、A液供給部とB液供給部とを備え、A液とB液を混合部で混合し、混合して得られた接着剤を脱泡部で気泡を除去し、それぞれの接着剤供給部へ供給するようになっている。
この断裁工程では、図14及び図15に示すカード打抜き機が用いられる。この実施の形態では、カード打抜き機を打抜金型装置で構成し、図14は打抜金型装置の全体概略斜視図であり、図15は打抜金型装置の主要部の正面端面図である。
この打抜金型装置は、上刃110及び下刃120を有する打抜金型を備え、上刃110は、外延の内側に逃げ141が設けられた打抜用ポンチ111を含み、下刃120は、打抜用ダイス121を有する。打抜用ポンチ111を、打抜用ダイス121の中央に設けられたダイス孔122に、下降させることにより、ダイス孔122と同じサイズのICカードを打ち抜く。このために、打抜用ポンチ111のサイズは、ダイス孔122のサイズより若干小さくなっている。上部断裁刃の刃の角度が直角に近いものが一般的にパンチダイと呼ばれ、鋭角であるものが中空刃と呼ばれる。パンチダイ方式では、通常抜き落とし方式になるが、中空刃では抜き落としにせずに下敷きを設ける場合が多い。
[ICカード作成方法]
[ICカードへ認証識別画像、属性情報画像の記載方法]
(昇華型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のイエローインク層形成用塗工液、マゼンタインク層形成用塗工液、シアンインク層形成用塗工液を各々の厚みが1μmになる様に設け、イエロー、マゼンダ、シアンの3色のインクシートを得た。
〈イエローインク層形成用塗工液〉
イエロー染料
(三井東圧染料(株)製MSYellow) 3部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈マゼンダインク層形成用塗工液〉
マゼンダ染料
(三井東圧染料(株)製 MS Magenta) 2部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 2部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈シアンインク層形成用塗工液〉
シアン染料
(日本化薬(株)製 カヤセットブルー136) 3部
ポリビニルアセタール 5.6部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 20部
(溶融型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のインク層形成用塗工液を厚みが2μmになる様に塗布乾燥してインクシートを得た。
〈インク層形成用塗工液〉
カルナバワックス 1部
エチレン酢酸ビニル共重合体 1部
〔三井デュポンケミカル社製:EV40Y〕
カーボンブラック 3部
フェノール樹脂〔荒川化学工業(株)製:タマノル521〕 5部
メチルエチルケトン 90部
(顔画像の形成)
受像層又は透明樹脂部、情報印刷部と昇華型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより画像に階調性のある人物画像を受像層に形成した。この画像においては上記色素と受像層のニッケルが錯体を形成している。
(文字情報の形成)
透明樹脂部と溶融型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.5W/ドット、パルス幅1.0m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより文字情報をICカード用画像記録体上に形成した。上記により顔画像と属性情報を設けた。
[ICカード表面保護用箔の作成]
(転写箔1の作成)
0.1μmのフッ素樹脂層の離型層を設けた厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムー2の離型層上に下記組成物を積層し転写箔1の作成を行なった。
(活性光線硬化性化合物)
新中村化学社製 A−9300/新中村化学社製 EA−1020=35/11.75部
反応開始剤
イルガキュア184日本チバガイギー社製 5部
添加剤不飽和基含有樹脂 48部
その他の添加剤
大日本インキ界面活性剤F−179 0.25部
〈中間層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学(株)製:エスレックBX−1〕3.5部
タフテックスM−1913(旭化成) 5部
硬化剤 ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製]1.5部
メチルエチルケトン 90部
塗布後硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行なった。
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.5μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B〕 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕 2部
水 45部
エタノール 45部
(転写箔2の作成)
0.1μmのフッ素樹脂層の離型層を設けた厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムー2の離型層上に下記組成物を積層し活性光線硬化型転写箔2の作成を行なった。
(活性光線硬化性化合物)
新中村化学社製 A−9300/新中村化学社製 EA−1020=35/11.75部
反応開始剤
イルガキュア184日本チバガイギー社製 5部
添加剤不飽和基含有樹脂 48部
その他の添加剤
大日本インキ界面活性剤F−179 0.25部
〈中間層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学(株)製:エスレックBX−1〕3.5部
タフテックスM−1913(旭化成) 5部
硬化剤 ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製]1.5部
メチルエチルケトン 90部
塗布後硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行なった。
〈バリヤー層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学(株)製:エスレックBX−1〕 1部
タフテックスM−1913(旭化成) 8部
硬化剤 ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1部
メチルエチルケトン 90部
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.5μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B〕 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕 2部
水 45部
エタノール 45部
画像、文字が記録された前記受像体上に前記構成からなる転写箔1および転写箔2を用いて、表面温度200℃に加熱した、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて圧力150kg/cm2で1.2秒間熱をかけて、転写箔1および転写箔2の順番で転写をおこなった。前記転写は、図16に記載のICカード作成装置を使用して行なった。
図16は、ICカードの作成装置としてのカードプリンタであり、カードプリンタには、上方位置にカード基材供給部10及び情報記録部20が配置され、下方位置に、透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70が配置され、この後更に透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70が配置され、画像記録体としてカードを作成する。
カード基材供給部10には、例えば、図1で作成されたカード使用者の個人情報を書き込むために予め枚葉状にカットされた複数枚のカード基材50が、顔写真を記録する面を上に向けてストックされている。この例では、カード基材50が支持体と受像層からなり、このカード基材50は1枚ずつカード基材供給部10から所定のタイミングで自動供給される。
情報記録部20には、イエローリボンカセット21、マゼンダリボンカセット22、シアンリボンカセット23、ブラックリボンカセット24が配置され、それぞれに対応して記録ヘッド25〜28が配置されている。イエローリボン、マゼンダリボン、シアンリボン等の熱転写シートによる熱転写で、カード基材50が移動されている間に、その受像層の所定領域にカード使用者の顔写真等の諧調を有する画像領域が記録される。
また、文字リボンカセット31及び記録ヘッド32が配置され、文字リボン等の熱転写シートによる熱転写で、その氏名やカード発行日等の認証識別情報が記録され、画像記録層が形成される。この情報記録部20では、イメージワイズに加熱して前記受像層に諧調情報画像を形成し、画像を形成する際の記録ヘッド条件は0.01〜0.3kg/cm2の範囲で加圧し、ヘッドの温度50〜500℃で形成する。
透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70では、転写箔カセット71が配置され、この転写箔カセット71に対応して熱転写ヘッド72が配置されている。光学変化素子転写箔43及び/又は透明保護転写箔64、硬化型転写箔66を転写し、光学変化素子転写層及び/透明保護転写層、硬化型済保護層含有転写層が設けられる。
上記のようにして得られたカードに市販の印刷機を用いてカード印刷を施した。
この実施例の評価を以下に示す。
物性の評価
[インレット支持体表面粗さの測定]
カード作製に用いられたインレット支持体の表面粗さを表面粗さ計(RST/PLUS WYCO社製)によって測定した。
[インレット支持体とシート基材面との間の密着度の評価]
密着度については、株式会社キーエンス社製デジタルHFマイクロスコープVH−604を用い高倍率レンズで2000倍にて表面を撮影し、密着部の面積を求め下記の式から密着度を算出した。
密着していない部分は、空隙のため浮いている様子が観察できた。
(密着している部分の面積/全体面積)×100
密着性は70〜100%の範囲であることが好ましく、より好ましくは75〜100%である。
[剥離強度測定]
ラミネートされた貼り合わせ品を2.5cm幅に切断し、不動工業(株)社製のFUDO RHEO METER NRM−2002Jを用いて、貼り合わされた貼り合わせ品の端の未接着部分をつかみ上部を固定し下部を引っ張り、剥離するまでの最大強度を測定した。1500g/2.5cm以上が望ましい値である。測定範囲外となる場合には切断する貼り合わせ品の幅を狭めて測定し、2.5cm換算した。
[カード剛性の測定]
打ち抜いたカードを間隙を40mmにした幅10mmのコの字型の治具の上にカードの中心が治具の中央になるように載せ、幅10mm厚み3mmの平板状の棒で上部から5cm/分の速さで、応力が600gになるまで押し込み、応力値の減衰を測定した。そして、500秒後に示した応力値を記録した。記録した応力値が最初にかけた応力の600gに近いと剛性が強いことを意味する。
[耐水性の評価]
仕上がったカードを水温25℃の水道水に3日浸積し、カード表面を観察した。評価は目視で下記のような評価項目で評価した。
×:転写箔が剥がれ保護層が無くなっている。
△:カード表面に水泡がでている。
○:初期のカードと変化がない。
[曲げ適性の評価]
このように最後まで作成された、個人認証カードを、図17に示すように、カードの長辺方向:たわみ35mm、カードの短辺方向:たわみ15mmとなるように、125回毎に長辺方向、短辺方向を周期30/minの条件で合計1000回のテストを行った。その後市販のリーダーライターでIC機能を確認し、3段階で評価を行った。得られた結果を表に示す。
○:変形がなく、IC機能も問題ない。
△:変形はないが、IC機能が失われている。
×:折れ曲がってしまい、IC機能が失われている。
[カード断裁性]
図14及び図15に示されたカード打ち抜き機にパンチダイもしくは中空刃を載せ、カード形態に打ち抜いた後、カード断面を観察、5段階評価した。4以上が好ましい結果である。
5:カード断面に支持体のバリや接着剤のはみ出しがなく、断面が平滑である。
4:カード断面に支持体のバリや接着剤のはみ出しがない。
3:カード断面に支持体のバリが発生はないが、接着剤が飛び出していて、断面がざらつく。
2:カード断面に支持体のバリが発生し、接着剤が飛び出していて、断面がざらつく。
1:カード断面に支持体のバリが発生し、接着剤が大きく飛び出している。
[カード耐久性]
このように最後まで作成された、個人認証カードを、図17に示すように、カードの長辺方向:たわみ35mm、カードの短辺方向:たわみ15mmとなるように、125回毎に長辺方向、短辺方向を周期30/minの条件で合計1000回のテストを行なった。その後市販のリーダーライターでIC機能を確認し、5段階で評価を行った。4以上が好ましい結果である。
5:変形がなく、IC機能も問題ない。
4:多少変形があるが、IC機能に問題がない。
3:変形がないか多少ある程度であるが、IC機能が失われている。
2:大きく変形しており、IC機能が失われている。
1:折れ曲がってしまい、IC機能が失われている。
[カード生産性]
図14及び図15に示されたカード打ち抜き機にパンチダイもしくは中空刃を載せ、作成されたシートをカード形態に打ち抜いた。カードを1日あたり1500枚打ち抜き、カードの断面に切れ残りが発生して刃の交換が必要となるまでのカード枚数を記録した。30万枚以上打ち抜けることが生産で使用可能となる条件とした。これ以下では工程の停止回数や刃のメンテ性が悪化し、生産に適さない。また断裁性が悪いと刃の摩耗がおきやすい。
[画像印字性]
顔画像及び文字情報を形成した後の形成性を5段階で評価した。
5:チップ周辺部に文字や画像のカスレが全くなくきれいである。
4:チップ周辺部に文字や画像のカスレはないが、凹凸により文字や画像がやや見にくい。
3:チップ周辺部に文字や画像のカスレが見られる。
2:チップ周辺部で文字や画像が全く形成されていない部分が一部ある。
1:チップ周辺部だけでなく文字や画像が全く形成されていない部分が多数ある。
4と5が実用可のレベルである。
結果を表に示す。

Figure 2005174161
表の結果によりこの発明においては比較例に対し、密着性、剥離性、剛性、耐水性、曲げ適性、カード断裁性、カード耐久性、生産性、画像印字性において、優れた効果を示す結果となり、発明の効果が認められる。
この発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤を塗工し、この接着剤層内に支持体上に形成したICモジュールを封入して作製され、ICモジュールを内蔵した自動車免許証等の免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等のICカード及びICカードの製造方法に適用できる。
ICカードの作成工程の概略構成図である。 ICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。 ICモジュールの平面図である。 インレットの側面図である。 インレットの平面図である。 インレットの実施形態を示す平面図である。 ICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。 受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。 受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。 第1のシート材(裏シート)を示す図である。 第2のシート材(表面シート)を示す図である。 ICカード基材作成装置を示す概略構成図である。 ICカード基材作成装置を示す概略構成図である。 打抜金型装置の全体概略斜視図である。 打抜金型装置の主要部の正面端面図である。 ICカードの作成装置としてのカードプリンタを示す図である。 カード耐久性の試験を説明する図である。
符号の説明
1 第1のシート材(裏シート)
2 第2のシート材(表シート)
3 インレット
3a 電子部品
3a1 アンテナ
3a2 ICチップ
3b 補強板
6,7 接着剤層
8a 受像層
8b 個人識別情報
8c 透明保護層
9a 筆記層
A 第1のシート材供給部
B 第2のシート材供給部
C,G 接着剤供給部
D,H 接着剤加熱部
E インレット供給部
F バックローラ部
I 加熱部
J キャタピラプレス部
K 裁断部
L 打ち抜き部

Claims (17)

  1. 第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤を塗工し、この接着剤層内に支持体上に形成したICモジュールを封入して作製された多層構成のICカードにおいて、
    前記ICモジュールを形成する前記支持体の厚みが10μm以上100μm以下であり、かつ前記ICモジュールを構成するICチップの素材中の不純物含有率が0.001重量%以下であることを特徴とするICカード。
  2. 前記ICモジュールを構成するICチップ厚みと支持体厚みとの比率は、ICチップ厚み/支持体厚みが
    6:1から1:1の間であることを特徴とする請求項1に記載のICカード。
  3. 第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤を塗工し、この接着剤層内に支持体上に形成されたICモジュールを封入して作製された多層構成のICカードにおいて、
    前記ICモジュールを形成する前記支持体の大きさが構成されるICカードの大きさより小さく、かつカード断面に前記支持体が露出していないことを特徴とするICカード。
  4. 第1のシート材と第2のシート材との間に接着剤を塗工し、この接着剤層内に支持体上に形成されたICモジュールを封入して作製された多層構成のICカードにおいて、
    前記ICモジュールを形成する前記支持体に、少なくとも開口孔、切欠き、切り込みのいずれかが設けられていることを特徴とするICカード。
  5. 前記少なくとも開口孔、切欠き、切り込みのいずれかが前記ICモジュールを形成するアンテナもしくはICチップの位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のICカード。
  6. 前記支持体の素材がPET、PET−G、PENのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード。
  7. 前記支持体の150℃30分保持された場合の熱収縮率が±2.5%以内であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のICカード。
  8. 前記支持体の少なくとも一面に凹凸が形成され、かつ表面粗さが算術平均高さ(Ra)で0.02μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のICカード。
  9. 前記接着剤が湿気硬化型接着剤であり、かつ貼り合わせに使用される時の120℃における粘度が5000mPa・S以上40000mPa・S以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のICカード。
  10. 前記請求項1乃至請求項9のいずれかにおいて作製されたICカードであり、
    前記ICカードの中央部に500g/2mm2の応力を与えた時に得られる抗力の値の10分後の減衰率が2%以上15%以下であることを特徴とするICカード。
  11. 第1のシート材または第2のシート材の少なくとも片面に受像層を有し、
    前記受像層に熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、
    前記第1のシート材または第2のシート材の少なくとも一部に筆記可能な筆記層を設けていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のICカード。
  12. 前記氏名、顔画像を含む個人識別情報を設けた上面に透明保護層が設けられ、
    前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項11に記載のICカード。
  13. 前記ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことを特徴とする請求項11または請求項12に記載のICカード。
  14. 前記ICカードが非接触式であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載のICカード。
  15. 前記ICカードのチップ周辺部の平面凹凸性が±10μm以内であることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載のICカード。
  16. 請求項1乃至請求項10に記載されるICカードは貼り合わせ品であり、
    前記貼り合わせ品をカード状に打ち抜く前に、前記貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁することを特徴とするICカードの製造方法。
  17. 請求項1乃至請求項10に記載されるICカードは貼り合わせ品であり、
    前記貼り合わせ品をカード状に打ち抜く前に、前記貼り合わせ品の印刷のない面にフォーマット印刷を施すことを特徴とする記載のICカードの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009051115A (ja) * 2007-08-28 2009-03-12 Toppan Forms Co Ltd Icカードの製造方法
JP2009053988A (ja) * 2007-08-28 2009-03-12 Toppan Forms Co Ltd Icカードおよびそのicカードの製造方法
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