JP2005172694A - タンパク質の検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (A)標的物質と下記式(1)で表される6員環を有する化合物で標識された蛋白質とを接触させて結合反応を行う工程;及び、
(B)上記6員環を有する化合物に対する抗体を用いて標的物質と結合した該6員環を有する化合物で標識された蛋白質を検出する工程;
を含む、標的物質の検出方法。
【化1】
(式中、R1及びR2は同一でも異なっていてもよく、各々独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示し、点線は6員環を形成するのに必要な原子団を示す。)
【選択図】 なし
Description
(B)上記6員環を有する化合物に対する抗体を用いて標的物質と結合した該6員環を有する化合物で標識された蛋白質を検出する工程;
を含む、標的物質の検出方法が提供される。
本発明の第二の態様では、6員環を有する化合物に対する抗体と、当該抗体に特異的に結合することができる標識抗体とを用いて、標的物質と結合している6員環を有する化合物により標識された蛋白質を検出することにより、該標的物質を検出する。
好ましくは、式(1)で表される6員環を有する化合物がテオフィリン誘導体またはフェノバルビタール誘導体である。
好ましくは、式(1)で表される6員環を有する化合物が下記式で示される化合物である。
好ましくは、標識抗体の標識として、酵素標識、蛍光標識、化学発光標識又は生物発光標識を使用する。
好ましくは、標識抗体の標識酵素としてアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アセテートキナーゼ、ルシフェラーゼ、アミラーゼ、グルコース6リン酸脱水素酵素、セルラーゼ又はキサンチンオキシダーゼを使用する。
好ましくは、検出方法は、発光法、蛍光法、遅延蛍光法、比色法または電気化学法である。
好ましくは、6員環を有する化合物で標識された蛋白質は、標的物質に対する抗体、レセプター、DNA結合蛋白質 またはそれらの断片である。
本発明においては、先ず、標的物質と下記式(1)で表される6員環を有する化合物(本明細書中において、ハプテンとも称する場合がある)で標識された蛋白質とを接触させて結合反応を行う。
式(1)において点線で示される6員環を形成するのに必要な原子団としては、主鎖が炭素原子またはヘテロ環を形成する異種原子(例えば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子など)から構成される原子団である。即ち、当該原子団の主鎖は、炭素原子または異種原子(例えば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子など)から選択される2原子から成る連結基であり、これらの炭素原子または異種原子には、水素原子または置換基が、適切な原子価を維持するように結合している。また、当該原子団の中には二重結合が存在してもよい。
式(1)で表される化合物がテオフィリン誘導体となるためには、当該原子団は、−C(NHR21)=C(N=R22)−(式中、R21及びR22は一緒になって5員環を形成する)で表される。
また、式(1)で表される化合物がフェノバルビタール誘導体となるためには、当該原子団は、−C(=O)―C(CH2CH3)(C6H5)−で表される。
リンカーが結合した式(1)で表される6員環を有する化合物の具体例としては、以下の構造式で示されるテオフィリン−LCまたはテオフィリン−8−ブタン酸などが挙げられる。
本発明の第一の態様によれば、6員環を有する化合物(ハプテン)で標識された蛋白質のもつハプテンと、標識された抗ハプテン抗体と結合させる。この反応は常用の条件下で、例えばトリス緩衝液(pH7.5)、リン酸緩衝液等の中で20〜37℃にて15〜60分間行うことができる。次に、洗浄液、例えばトリス緩衝液(pH7.5)等により固体担体を洗浄して未結合の標識抗体を除去した後、抗ハプテン抗体の標識が酵素であれば、該酵素に対する発色基質と反応せしめることにより発色を行う。
発光法及び蛍光法は、標識として化学発光物質、蛍光物質、または発光反応または蛍光反応を触媒する酵素を使用することにより行うことができる。
遅延蛍光法では、非常に蛍光寿命の長い蛍光色素(例えば、ランタニドキレート化合物)を使用する。これにより、励起光、短寿命蛍光物質に起因するバックグラウンドの上昇を抑えることができ、高感度の検出系が設計できる可能性がある。
比色法では、酵素反応により生成された生成物の吸光度の変化を測定する。代表的な例として、酵素ペルオキシダーゼ・基質ABTS(2,2 Azinobis[3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonic acid]-diammonium salt)系を挙げることができる。
また、フェロセン誘導体を用いることにより、電気化学的手法での検出が可能になる。
(1) プロテインチップ、
(2)固定された全細胞,固定された組織塗布標本、染色反応;
(3)ウエスタンブロット分析;
(4)血液分析
(5)環境汚染物質の分析
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
1mgのTheophylline-8-butanoic acid(Sigma 社)を0.1M MES 緩衝液2ml に溶解し、WSC塩酸塩3.6mg 及び NHS 2.5mg を加え室温で15分間撹拌した。これに、εAmino Caproic ACID (Sigma 社) 2.0mgを200μlの0.1M MES に溶解して添加し、室温で2時間反応させた。1M Tris緩衝液(pH7.5)100μlを加え反応を停止させた後、8gのODSシリカ(YMC-ODS-AQ 120A)を充填したカラムに吸着させ、30%メタノール水溶液で溶離した。溶離液を濃縮後さらに中圧分取クロマトグラフィー(YAMAZEN Ultrapack ODS-S-4OB)により精製した。
2mgのTheophylline-8-butanoic acid(Sigma 社)を0.1M MES 緩衝液4ml に溶解し、WSC塩酸塩7mg 及び NHS 5mg を加え室温で15分間撹拌した。これに、BSA(Sigma 社) 10mgを2mlの0.1M MESに溶解して添加し、室温で2時間反応させた。1M Tris緩衝液(pH7.5)500μlを加え反応を停止させた後、0.1M Tris緩衝液(pH7.5)に対して透析を行った。
このTheophylline-BSAを免疫原として、通常の方法(A Laboratory Manual:Antibodies GoldSpringHaborLaboratory1988年刊) によりマウスモノクローナル抗体を作成した。
合成例1で作製したTheophylline-LC誘導体(0.2mg)をPBS 0.4ml に溶解し、WSC塩酸塩0.7mg 及び NHS 0.5mg を加え室温で15分間撹拌した。これに、抗ヒトIgG抗体 1mgを0.2mlのPBSに溶解して添加し、室温で2時間反応させた。1M Tris緩衝液(pH7.5)500μlを加え反応を停止させた後、0.1M Tris緩衝液(pH7.5)に対して透析を行った。
合成例2により作成した抗Theophylline Monoclonal抗体をProteinAカラムより精製後、パパイン処理によりF(ab’)2を作成した。また、ALP(AlkalinePhosphatase (Sigma社))を、Sulfosuccimidyl4-[N-maleimidomethl]-cyclohexane-1-carboxylate(Pierce社)と反応させることにより、ALPにmaleimido基を導入し、これとFab’のSH基とを反応させることにより、抗Theophylline抗体ALP コンジュゲートを作成した。詳しい合成条件は、酵素免疫測定法第3版(医学書院1978年刊)記載の方法を用いた。
抗ヒトIgG抗体PBS溶液1ml(1mg/ml )にDigoxigenin-NHS(ロシュダイアグノスティック社製)のDMSO溶液(1mg/20μl)20μlを添加し、室温で2時間反応させた。その後、1M Tris緩衝液(pH7.5)500μlを加え反応を停止させた後、0.1M Tris緩衝液(pH7.5)に対して透析を行った。
ヒトIgG PBS溶液1μlをナイロン膜に点着後、風乾したのち、3%BSA溶液にて3時間ブロッキングを行った。
その後、合成例4に記載の抗Theophylline抗体ALPコンジュゲートの0.5%のBSA入り緩衝液A 5mlに37℃で30分振盪後、0.3%のTween20入りTris-HCl(pH7.5)(1mM MgCl2, 0.1mM ZnCl2)緩衝液Aにより10分×3回洗浄した。このメンブレンをラップフィルムに乗せ、CDPStar 検出キット(Rosche Diagnostics社)添付のCDP-Star検出試薬を十分量滴下し、3分後にラップでくるみ、LAS1000(富士フイルム製)で発光を検出・記録した。
実施例1で使用したTheophylline−抗ヒトIgG抗体の代わりに合成例5のDigoxigenin−抗ヒトIgG抗体を使用し、実施例1で使用した抗Theophylline抗体ALPコンジュゲートの代わりに抗Digoxigenin抗体ALPコンジュゲート(ロシュダイアグノスティック社製)を使用した以外は、実施例1と同様の実験を行い、これを比較例とした。
実施例1と比較例1についての発光強度の測定結果を以下の表2に記載する。表2の結果から分かるように、本発明の方法を用いた場合の方が、従来のジゴキシゲニン標識法を用いた場合よりも、良好なシグナルが得られ、メンブラン上の蛋白質を効率よく検出できることが明らかである。
Claims (11)
- 6員環を有する化合物に対する抗体として標識抗体を使用して、標的物質と結合した6員環を有する化合物で標識された蛋白質を検出する、請求項1に記載の方法。
- 6員環を有する化合物に対する抗体と、当該抗体に特異的に結合することができる標識抗体とを用いて、標的物質と結合した6員環を有する化合物で標識された蛋白質を検出する、請求項1に記載の方法。
- 標的物質が固相担体に固定化されている、請求項1から3の何れかに記載の方法。
- 式(1)で表される6員環を有する化合物がテオフィリン誘導体またはフェノバルビタール誘導体である、請求項1から4の何れかに記載の方法。
- 6員環を有する化合物に対する抗体がモノクローナル抗体である、請求項1から6の何れかに記載の方法。
- 標識抗体の標識として、酵素標識、蛍光標識、化学発光標識又は生物発光標識を使用する、請求項1から7の何れかに記載の方法。
- 標識抗体の標識酵素としてアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アセテートキナーゼ、ルシフェラーゼ、アミラーゼ、グルコース6リン酸脱水素酵素、セルラーゼ又はキサンチンオキシダーゼを使用する、請求項1から8の何れかに記載の方法。
- 検出方法が、発光法、蛍光法、遅延蛍光法、比色法または電気化学法である、請求項1から9の何れかに記載の方法。
- 6員環を有する化合物で標識された蛋白質が、標的物質に対する抗体、レセプター、DNA結合蛋白質 またはそれらの断片である請求項1から10の何れかに記載の方法。
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