JP2005171319A - 延性および伸びフランジ性に優れる高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

延性および伸びフランジ性に優れる高強度冷延鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い延性と優れた伸びフランジ性とを具備した高強度冷延鋼板(TRIP鋼板)の製造方法を提案する。
【解決手段】 C:0.05〜0.4mass%、Si:3.0mass%以下、Mn:0.5〜3.0mass%、P:0.050mass%以下、S:0.005mass%以下、Al:3.0mass%以下、SiとAlの合計:0.5〜3.0mass%を含有する鋼片を熱間圧延し、冷間圧延し、その後、750℃以上に加熱し10秒以上保持してから10℃/sec以上の速度で350℃以下まで冷却する連続焼鈍し、250〜550℃の温度で120〜600秒保持する焼戻し処理し、さらにその後、720℃以上850℃以下の温度に加熱し10〜300秒保持してから5℃/sec以上の速度で350〜550℃の温度域まで冷却し、引き続きその温度域に20〜600秒保持してから室温まで冷却する再焼鈍を施す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車用鋼板等の加工用途に用いて好適な延性および伸びフランジ性に優れる高強度冷延鋼板の製造方法に関するものである。
近年、地球環境の保護という観点から、自動車の燃費改善が求められている。また、自動車が衝突した際、乗員を保護する観点から、自動車車体の安全性向上も求められている。このような要求に応えるため、自動車車体の軽量化および高強度化が積極的に進められている。自動車車体の軽量化と高強度化を同時に満足させるには、車体を構成する部品の素材を高強度化することが効果的であり、そのため、高強度鋼板が自動車部品の素材として積極的に使用されている。
さて、鋼板を素材とする自動車部品の多くは、プレス加工によって製品形状に成形される。そのため、自動車部品に用いられる鋼板は、高強度であると共に成形性にも優れることが必要とされる。優れた成形性を実現するには、高い延性および伸びフランジ性を確保することが必要である。延性に優れる高強度鋼板としては、フェライトとマルテンサイトの複合組織を有する二相組織鋼板(DP鋼)や、特許文献1および特許文献2に開示されているような、フェライト、ベイナイトおよび残留オーステナイトを含む組織からなる、いわゆるTRIP鋼(Transformation Induced Plasticity鋼)が知られている。しかし、これらDP鋼やTRIP鋼などの複合組織鋼板は、一般的に伸びフランジ性に劣るという問題点を有している。
そこで、伸びフランジ性を改善するために各種の技術開発が行われている。例えば、特許文献3には、SiとAlとを複合添加することにより、局部延性および伸びフランジ性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献4には、熱間圧延後、500℃以下で巻き取り、550〜700℃で10〜30時間保持した後、さらに、冷間圧延し、焼鈍することにより伸びフランジ性を向上させる技術が開示されている。
特公平5−064215号公報 特開平4−333524号公報 特開平5−070886号公報 特開2003−183775号公報
しかしながら、特許文献3の技術は、引張強さ(TS)と穴拡げ率(λ)との積(TS×λ)が40000MPa・%程度でしかなく、強度と伸びフランジ性を十分に両立しているとは言えない。また、特許文献4の技術は、冷間圧延前に高温で長時間の加熱保持が必要であり、生産性の点からは問題がある。
本発明の目的は、長時間の加熱保持を必要とせずに、高い延性と優れた伸びフランジ性とを具備した高強度冷延鋼板(TRIP鋼)を得る有利な製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題達成に向けて、製造条件、特に冷延後の焼鈍条件と鋼板特性との関係について鋭意検討を重ねた。その結果、特定の成分組成を有するTRIP鋼の素材を、通常の熱間圧延、冷間圧延をした後、焼鈍してから急冷する連続焼鈍し、焼戻し処理し、さらにもう一度連続焼鈍を行うことにより、従来のTRIP鋼を凌ぐ高い延性と優れた伸びフランジ性を有する鋼板を得ることができることを見出した。本発明の鋼板が、このような高い延性と優れた伸びフランジ性を示す理由は、1回目の連続焼鈍後の急冷により生成したマルテンサイトを焼き戻すことにより、マルテンサイトのラス間に微細な炭化物が析出し、これをもう一度焼鈍することにより、炭化物が再固溶して微細なオーステナイトが分散して生成する結果、焼鈍後、最終的に得られる鋼板は、残留オーステナイト(残留γ)相や他の低温変態相が微細に分散した組織となるためと考えられる。
上記知見に基き開発された本発明は、C:0.05〜0.4mass%、Si:3.0mass%以下、Mn:0.5〜3.0mass%、P:0.050mass%以下、S:0.005mass%以下、Al:3.0mass%以下、SiとAlの合計:0.5〜3.0mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼片を熱間圧延し、冷間圧延し、その後、750℃以上に加熱し10秒以上保持してから10℃/sec以上の速度で350℃以下まで冷却する連続焼鈍し、250〜550℃の温度で120〜600秒保持する焼戻し処理し、さらにその後、720℃以上850℃以下の温度に加熱し10〜300秒保持してから5℃/sec以上の速度で350〜550℃の温度域まで冷却し、引き続きその温度域に20〜600秒保持してから室温まで冷却する再焼鈍を施すことを特徴とする延性および伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法である。
本発明は、上記成分組成に加えてさらに、Mo:1.0mass%以下、Cr:2.0mass%以下、B:0.003mass%以下のうちの1種または2種以上を含有することが好ましい。
また本発明は、上記成分組成に加えてさらに、Ti:0.25mass%以下、Nb:0.1mass%以下、V:0.3mass%以下のうちの1種または2種以上を含有することが好ましい。
さらに本発明は、上記成分組成に加えてさらに、Ca,REMのうち1種または2種を合計で0.01mass%以下含有することが好ましい。
本発明によれば、高強度でかつ延性および伸びフランジ性に優れる、即ち、引張強さ(TS)と伸び(El)との積(TS×El)および引張強さ(TS)と穴拡げ率(λ)との積(TS×λ)が高い高強度冷延鋼板を安価にかつ安定して製造することができる。また、この鋼板を、自動車部品の素材として用いることにより、自動車の車体軽量化、低燃費化に大きく寄与することができる。
本発明に係る高強度冷延鋼板(TRIP鋼)の製造方法において、鋼片の成分組成を限定する理由について説明する。
C:0.05〜0.4mass%
Cは、鋼の強化に寄与するだけでなく、残留オーステナイトを得る上でも有用な元素である。しかし、C含有量が0.05mass%未満ではその添加効果に乏しく、一方、0.4mass%を超えると溶接性の劣化を招くため、C量は0.05〜0.4mass%の範囲に限定する。好ましくは0.10〜0.25mass%である。
Si:3.0mass%以下
Siは、固溶強化作用を有するとともに、炭化物の生成を抑えて残留オーステナイトの生成を促進する作用を有する元素である。しかし、3.0mass%を超えて含有しても、その効果が飽和するだけでなく、スケール性状を悪くし、表面品質の低下を招く。よって、Siは3.0mass%以下に限定する。なお、本発明の製造方法を溶融亜鉛めっき鋼板の製造に適用する場合には、めっき性の観点から、添加量を1mass%以下とするのが好ましい。
Mn:0.5〜3.0mass%
Mnは、固溶強化により鋼を強化するとともに、鋼の焼入れ性を向上し、さらに残留オーステナイトや低温変態相の生成を促進する作用を有する。このような効果は、Mn含有量が0.5mass%以上で認められる。一方、3.0mass%を超えて含有しても、その効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなると共に、コストの上昇を招く。よって、Mnの含有量は0.5〜3.0mass%の範囲に限定する。好ましくは1.0〜2.0mass%である。
P:0.050mass%以下
Pは、加工性を劣化することなく固溶強化できる元素であり、高強度鋼板を得るのに有用な元素である。しかし、0.050mass%超の含有は、スポット溶接性を低下させるため、0.050mass%以下に制限する。好ましくは0.020mass%以下である。
S:0.005mass%以下
Sは、Mnと結合することによりMnSを形成し、鋼板の伸びフランジ性を低下させる不純物元素である。そのため、Sの含有量は0.005mass%以下に制限する。好ましい範囲は0.003mass%以下である。
Al:3.0mass%以下
Alは、Siと同様に、炭化物の生成を抑え、残留オーステナイト相の生成を促進する作用を有する。しかし3.0mass%を超えて含有すると、その効果が飽和するだけでなく、鋼中の介在物の量が増加し、延性を低下させる。よってAlの添加量は3.0mass%以下に制限する。
SiとAlの合計:0.5〜3.0mass%
SiとAlの合計の含有量は、0.5mass%未満では、上述したSiやAlの効果が認められないので、0.5mass%以上とする。一方、SiとAlを合計で3.0mass%以上添加しても、その効果は飽和するため、上限を3.0mass%とする。
本発明の鋼板は、上記必須として含有する成分の他、鋼の焼入れ性を向上させる成分としてMo,Cr,Bを、強度を改善する成分としてTi,Nb,Vを、また加工性を改善する成分としてCaやREMを、以下の範囲で必要に応じて含有させることができる。
Mo:1.0mass%以下、Cr:2.0mass%以下、B:0.003mass%以下の中から選ばれた1種または2種以上
Mo,Cr,Bは、鋼の焼入れ性を向上させる元素であり、必要に応じて含有することができる。しかし、Mo,Cr,Bの過度の添加は、延性の低下を招くため、添加する場合はそれぞれ、Mo:1.0mass%、Cr:2.0mass%、B:0.003mass%を上限とする。なお、焼入性の改善効果を得るためには、Moの場合は0.02mass%以上、Crの場合は0.02mass%以上、Bの倍は0.0003mass%以上含有させることが好ましい。
Ti:0.25mass%以下、Nb:0.1mass%以下、V:0.3mass%以下の中から選ばれた1種または2種以上
Ti,Nb,Vはいずれも、強度の向上に寄与するので、必要に応じて添加することができる。また、TiやNbは、中炭素鋼の熱間圧延時に発生し易いエッジ部の粒界割れを防止する上で有効な元素でもある。しかしながら、過度の添加は延性の低下を招くので、それぞれ、Ti:0.25mass%、Nb:0.1mass%、V:0.3mass%を上限とする。なお、強度の向上を図るためには、Tiの場合は0.005mass%以上、Nbの場合は0.003mass%以上、Vの場合は0.02mass%以上含有させることが好ましい。
Ca,REMの中から選ばれた1種または2種を合計で0.01mass%以下
Ca,REMは、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、加工性とくに伸びフランジ性の向上に寄与する。しかし、CaとREMの含有量の合計が0.01mass%を超えると、その効果は飽和する。よって、Ca,REMのうちの1種または2種を合計で、0.01mass%以下含有させることができる。なお、加工性の改善効果を発現させるためには、CaとREMを合計で0.001mass%以上含有させることが好ましい。より好ましい範囲は、0.001〜0.005mass%である。
以上、本発明で用いる鋼片の成分組成について説明したが、上記した成分組成を有する鋼片の製造方法については、転炉等、通常公知の方法で鋼を溶製したのち、連続鋳造法、造塊法等の通常公知の方法で鋼片とすればよい。また、本発明では、上記の成分組成を有する鋼片を熱間圧延し、冷間圧延するが、これらの圧延についても、通常公知の方法で行えばよい。本発明では、上記冷間圧延の後、連続焼鈍、焼戻し処理、さらに、再焼鈍を特定の条件で順次施すことを特徴とする。以下に、各工程の限定理由を説明する。
連続焼鈍:焼鈍温度 750℃以上、保持時間 10秒以上、保持後冷却速度 10℃/sec以上、冷却終了温度 350℃以下
1回目の連続焼鈍においては、焼鈍後の冷却によりマルテンサイト相を生成させることが必要であり、そのためには、焼鈍温度はオーステナイトが出現する750℃以上、保持時間は10秒以上とする必要がある。焼鈍温度が750℃未満あるいは保持時間が10秒未満では、フェライト相からオーステナイト相への変態が不十分となり、冷却後、十分な量のマルテンサイト相を得ることができない。一方、高温、長時間の焼鈍は、製造コストの上昇を招くため、焼鈍温度は900℃以下、保持時間は300秒以下とすることが好ましい。また、焼鈍後の冷却速度が10℃/sec未満であったり、冷却終了温度が350℃を超えていたりすると、十分なマルテンサイト相が生成しなくなるため、冷却速度は10℃/sec以上、冷却終了温度は350℃以下とする。
焼戻し処理:処理温度 250〜550℃、処理時間 120〜600秒
連続焼鈍後、焼戻し処理を施すことにより、生成したマルテンサイト相のラス間に微細な炭化物を析出させる。この微細な炭化物の析出処理は、その後行われる再焼鈍により、微細なオーステナイト相を生成させるために必要な工程である。しかし、焼戻し温度が250℃未満または焼戻し時間が120秒未満では、十分な炭化物の析出が起こらず、また、焼戻し温度が550℃超えまたは焼戻し時間が600秒超えでは、炭化物が粗大化し、次工程で行われる再焼鈍時に炭化物が溶け残るとともに、微細に分散したオーステナイト相を得ることができなくなる。よって、焼戻し処理は上記の範囲とする。
再焼鈍:焼鈍温度 720℃以上850℃以下、保持時間 10〜300秒、保持後冷却速度 5℃/sec以上、冷却終了温度 350〜550℃、冷却後保持時間 20〜600秒
焼戻し処理後に行う2回目の連続焼鈍(再焼鈍)は、焼戻し処理後、室温まで冷却してから、あるいは、焼戻し温度からそのまま再加熱し、720℃以上850℃以下の温度で10〜120秒間保持する条件で行う。この焼鈍を施すことにより、前工程の焼戻し処理で生成した微細炭化物が再固溶し、微細に分散したオーステナイト相が得られる。加熱温度が720℃未満あるいは保持時間が10秒未満では、再オーステナイト化が不十分となり、一方、加熱温度が850℃より高いか、あるいは、保持時間が300秒を超えると、オーステナイトが粗大となり、本発明の効果が得られない。
加熱、保持終了後は、5℃/sec以上の冷却速度で350〜550℃の温度域まで冷却し、引き続きその温度域に20〜600秒間保持した後、室温まで冷却する。冷却速度が5℃/sec未満では、冷却時にパーライト変態が起こり、得られる残留オーステナイト(γ)の量が減少する。また、冷却後、350〜550℃の温度域で20〜600秒間保持することにより、オーステナイト相の一部がベイナイト相に変態し、未変態のオーステナイト相へのC濃化が促進され、残留γ相の生成が容易になる。保持温度が350℃未満あるいは保持時間が20秒未満では、ベイナイト変態によるオーステナイト相へのCの濃化が不十分となり、得られる残留γ量が減少する。一方、保持温度が550℃超えあるいは保持時間が600秒超えでは、パーライト変態が起きたり、過度にベイナイト変態が進行したりして、得られる残留γ量が減少する。そのため焼鈍後の冷却速度およびその後の保持温度、保持時間は上記の範囲とする。
上記2回目の焼鈍(再焼鈍)は、通常の連続焼鈍ライン(CAL)、または、連続溶融亜鉛めっきライン(CGL)で行うことができる。連続溶融亜鉛めっきラインを用いる場合には、溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。この場合には、めっき前の焼鈍温度を720℃以上850℃以下、保持時間を10〜300秒とし、その後、5℃/sec以上の冷却速度で350〜550℃の温度範囲まで冷却し、この温度範囲にて20〜600秒の間に、溶融亜鉛めっきを施せばよく、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合にはこの間にさらに合金化処理を施せばよい。
表1に示す成分組成を有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造法にて鋼片とし、この鋼片を、仕上温度900℃、熱延後の冷却速度10℃/sec、巻取温度600℃の条件で熱間圧延を行い、板厚3.0mmの熱延鋼板とし、次いで、酸洗し、冷間圧延し、板厚1.6mmの冷延鋼板とした。この冷延鋼板を、連続焼鈍ラインにて、表2に示す条件で連続焼鈍、焼戻し処理を行い、その後、連続焼鈍ライン(CAL)または溶融亜鉛めっきライン(CGL)にて、表2に示す条件で再焼鈍を行い、得られた鋼板について、ミクロ組織および機械的特性(引張試験,穴拡げ試験)を下記の要領で調査、測定した。
<ミクロ組織>
鋼板のミクロ組織は、圧延方向断面を光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡にて観察し、鋼板のフェライト分率(vol%)の測定および低温変態相の種類の判別を行った。また、残留オーステナイト相の体積率は、鋼板を板厚方向の中心面まで研磨し、この板厚中心面の回折X線強度測定により求めた。この測定では、入射X線としてMo-Kα線を使用し、フェライト相の{110}、{200}、{211}各面の回折X線強度に対する残留オーステナイト相の{111}、{200}、{220}、{311}各面の回折X線強度の比を求め、これらの平均値を残留オーステナイト相の体積率とした。
<機械的特性>
(1) 引張試験:延性を評価するために、鋼板から圧延直角方向に採取したJIS 5号試験片を用いて、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行い、耐力(YS)、引張強さ(TS)、破断伸び(El)を測定し、降伏比(YR)、引張強さと伸びとの積(TS×El)を求めた。
(2) 穴拡げ試験:穴拡げ試験を行い、伸びフランジ性を評価した。穴拡げ試験は、鋼板に直径10mmの円形の初期穴を打抜き、この穴に60°円錐ポンチを押し当てて穴拡げ加工を行い、穴縁の亀裂が板厚を貫通した時の穴径dbを求め、次式によって穴拡げ率λを求めた。また、この値から、引張り強さと穴拡げ率との積(TS×λ)を求めた。
λ(%)={(db−di)/di}×100
ここで、di:初期穴径(mm)、db:亀裂が板厚を貫通したときの穴径(mm)
Figure 2005171319
Figure 2005171319
Figure 2005171319
上記測定の結果を、表3に示した。また、表3に示した本発明例の鋼板と比較例の鋼板の、引張強さと伸びとの積(TS×El)と引張り強さと穴拡げ率との積(TS×λ)との関係を図1に示した。表3および図1から明らかなように、本発明例の鋼板は、引張強さと伸びとの積(TS×El)が22750MPa・%以上でかつ引張り強さと穴拡げ率との積(TS×λ)が66025MPa・%以上と優れた延性と伸びフランジ性を有する高強度冷延鋼板となっている。これに対して、本発明の範囲を外れる鋼板は、引張強さと伸びとの積(TS×El)は最高で25160MPa・%で、しかも、引張り強さと穴拡げ率との積(TS×λ)は高々57600MPa・%でしかなく、本発明鋼板と比較して、特に、伸びフランジ性が大きく劣っていることがわかる。
Figure 2005171319
Figure 2005171319
本発明例の鋼板と比較例の鋼板の引張強さと伸びとの積(TS×El)と引張り強さと穴拡げ率との積(TS×λ)を比較して示すグラフである。

Claims (4)

  1. C:0.05〜0.4mass%、
    Si:3.0mass%以下、
    Mn:0.5〜3.0mass%、
    P:0.050mass%以下、
    S:0.005mass%以下、
    Al:3.0mass%以下、
    SiとAlの合計:0.5〜3.0mass%
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼片を熱間圧延し、冷間圧延し、その後、750℃以上に加熱し10秒以上保持してから10℃/sec以上の速度で350℃以下まで冷却する連続焼鈍し、250〜550℃の温度で120〜600秒保持する焼戻し処理し、さらにその後、720℃以上850℃以下の温度に加熱し10〜300秒保持してから5℃/sec以上の速度で350〜550℃の温度域まで冷却し、引き続きその温度域に20〜600秒保持してから室温まで冷却する再焼鈍を施すことを特徴とする延性および伸びフランジ性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Mo:1.0mass%以下、Cr:2.0mass%以下、B:0.003mass%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度冷延鋼板の製造方法。
  3. 上記成分組成に加えてさらに、Ti:0.25mass%以下、Nb:0.1mass%以下、V:0.3mass%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度冷延鋼板の製造方法。
  4. 上記成分組成に加えてさらに、Ca,REMのうち1種または2種を合計で0.01mass%以下含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高強度冷延鋼板の製造方法。

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